JPH107951A - 吸水性高分子被覆用粉末と吸水材および吸水方法 - Google Patents

吸水性高分子被覆用粉末と吸水材および吸水方法

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JPH107951A
JPH107951A JP8169918A JP16991896A JPH107951A JP H107951 A JPH107951 A JP H107951A JP 8169918 A JP8169918 A JP 8169918A JP 16991896 A JP16991896 A JP 16991896A JP H107951 A JPH107951 A JP H107951A
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water
powder
absorbing
inorganic powder
absorbing polymer
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JP8169918A
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English (en)
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Akira Nishihara
明 西原
Yukiya Yamashita
行也 山下
Hideaki Sakurai
英章 桜井
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水中に金属イオン、特にアルカリ土類金属イ
オンが混入した場合の吸水性高分子の吸水能の低下を防
ぐ。 【解決手段】 無機粉末 (例、乾式法で製造された酸化
ケイ素、酸化チタン、アルミナなどの酸化物の微粉末)
を官能基を有するシランカップリング剤で表面処理し、
必要であれば官能基を化学反応により別の官能基に変換
させることにより粉末表面に酸型またはキレート形成型
の官能基 (例、スルホン酸基) を導入した無機粉末を、
ポリアクリル酸塩系吸水性高分子と混合して、高分子を
この粉末で被覆する。官能基が金属イオンを捕獲する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙おむつ、生理用
ナプキン等の衛生用品に現在大量に使用され、また人工
雪、土木用止水材、土壌保水材等の幅広い用途への応用
が期待されている吸水性高分子を被覆するための粉末
と、この粉末で吸水性高分子を被覆した吸水材とに関す
る。
【0002】
【従来の技術】吸水性高分子は、最大で自重の数百倍か
ら千倍もの水を吸収することができる高分子であり、水
で膨潤してヒドロゲルを形成することにより大量の水を
吸収する。この性質を利用して、紙おむつ、生理用ナプ
キン等の体液吸収用の衛生用品に幅広く用いられている
ことは周知の通りである。また、砂漠の緑化用、農園芸
用等の土壌保水材を始め、人工雪、土木用止水材等とし
て幅広い用途への研究が勢力的に行われており、一部で
は実際に使用が試みられている。
【0003】吸水性高分子には、デンプン系、カルボキ
シメチルセルロース系などの半合成品と、ポリアクリル
酸塩系、マレイン酸共重合体系などの合成品とがある
が、吸水能が最も高いのはポリアクリル酸塩系のもので
ある。
【0004】ポリアクリル酸塩系の吸水性高分子は、ア
クリル酸塩 (通常は最も安価なアクリル酸ナトリウムが
使用される) を二官能性モノマーと共重合させるか、ポ
リアクリル酸塩を架橋剤により架橋させることにより製
造される。別のポリアクリル酸塩系吸水性高分子とし
て、酢酸ビニルとアクリル酸メチルとを共重合し、次い
でアルカリ (例、水酸化ナトリウム) でケン化すること
により得られる、ビニルアルコールとアクリル酸塩との
共重合体からなる吸水性高分子もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなポリアクリ
ル酸塩系の吸水性高分子は、純水を吸収させた場合には
非常に高い吸水能を示すが、水中に金属イオンが混入す
るとその吸水能が大きく低下することが知られている。
金属イオンの中でも、1価のアルカリ金属イオンより、
カルシウムやマグネシウムといった2価のアルカリ土類
金属のイオンの方が、吸水能の低下が著しくなる。ポリ
アクリル酸塩系吸水性高分子の吸水量は、例えば水中に
0.1 %程度のナトリウムイオンが混入すると半分以下
に、0.1 %程度のカルシウムイオンが混入した場合には
1/10以下まで低下する。
【0006】吸水性高分子が吸収する水性液体が純水で
あることは少ない。例えば、衛生用品が吸収する体液
(尿または血液) は、少量のナトリウムイオンに加えて
微量の各種金属イオンを含有しうる。また、土壌保水材
や土木用止水材が吸収する土壌中の水 (ここでは土壌水
という) は、硬水として知られるように、土壌鉱物の溶
解に起因するカルシウム、マグネシウムなどのアルカリ
土類金属イオンを含有しうる。従って、水中の金属イオ
ンによる吸水性高分子、特にポリアクリル酸塩系吸水性
高分子の吸水能の低下を防止することが望まれている。
【0007】水中の金属イオンによる吸水能の低下を防
止するため、アクリル酸塩に金属イオンと反応する官能
基 (例えばスルホン酸基等) を有するモノマーを共重合
させた吸水性高分子を合成し、水中の金属イオンをこの
スルホン酸基で捕獲することが試みられたが、吸水性高
分子の分子内に官能基を導入しても、この官能基で捕獲
される前に金属イオンが吸水性高分子と接触して、その
吸水能を低下させるため、効果があまりない。
【0008】別の手段として、吸水性高分子を陽イオン
交換樹脂で包み込んで、金属イオンが吸水性高分子に到
達する前にイオン交換樹脂で金属イオンを捕獲すること
も提案されたが、この包み込む方式では、吸水性高分子
の用途が限定される。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、微細な無
機粉末の表面に表面処理によってスルホン酸やカルボン
酸といった官能基を導入したものが、金属イオンと反応
してこのイオンを捕獲し、固定化する能力があることを
見出した。そこで、この粉末をビーズ状吸水性高分子と
混合して粉末で高分子を被覆したところ、金属イオンが
混入した水に対する吸水性高分子の吸水能が大幅に向上
することを知り、本発明に到達した。
【0010】ここに、本発明は、 金属イオンと反応性の酸基またはキレート形成性官能
基を表面に有する無機粉末からなる、吸水性高分子被覆
用粉末、および 吸水性高分子を、その1〜40重量%の量の上記無機粉
末で被覆してなる、吸水材、である。
【0011】上記の無機粉末を、例えばビーズ状の吸水
性高分子と混合して、吸水性高分子をこの無機粉末で被
覆すると、水中に混入した金属イオンがこの無機粉末の
表面の官能基 (酸基またはキレート形成性の基) に捕獲
されるため、金属イオンが混入した水に対する吸水性高
分子の吸収能が著しく改善される。
【0012】好適態様にあっては、(a) 官能基が無機粉
末の表面処理により粉末表面に結合させた有機ケイ素部
分中に存在し、有機ケイ素部分の結合量が無機粉末の重
量に対して3〜40重量%の範囲内であり、(b) 無機粉末
は乾式法で製造された酸化ケイ素、酸化チタンおよび酸
化アルミニウムから選ばれた金属酸化物の平均粒径1μ
m以下の微粉末であり、(c) 無機粉末は乾式法による表
面処理で導入されたスルホン酸基を表面に有している、
乾式法で製造された上記無機粉末であり、(d) 吸水性高
分子はポリアクリル酸塩系のものである。
【0013】本発明によれば、上記の吸水材を使用して
雨水または土壌水を吸水する方法もまた提供される。本
発明の吸水材は、吸水性高分子の形状 (例、ビーズ形
状) をそのまま維持しており、吸水性高分子を従来と同
様に使用できるため、用途が制限されない。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明を適用する吸水性高分子の
種類は特に制限されないが、本発明の目的が金属イオン
による吸水能低下を防止することであるため、金属イオ
ンの混入による吸水能の低下が特に著しいポリアクリル
酸塩系の吸水性高分子に本発明を適用することが、その
効果が特に大きくなることから好ましい。しかし、例え
ば、マレイン酸共重合体系等の他の吸水性高分子でも、
程度の違いはあっても金属イオンによる吸水能の低下が
認められるので、他の吸水性高分子に適用することもで
きる。
【0015】ポリアクリル酸塩系の吸水性高分子は、前
述したようにいくつかの種類があるが、そのいずれでも
よい。ポリアクリル酸塩の具体例にはポリアクリル酸ナ
トリウム、ポリアクリル酸カリウム等があるが、ポリア
クリル酸ナトリウムが最も普通である。各種のポリアク
リル酸塩系吸水性高分子が市販されており、それらを使
用することもできる。
【0016】吸水性高分子の形状も特に制限されない
が、吸水性高分子は水との接触面積が大きくなるように
ビーズ状で使用されることが多い。その場合、本発明の
無機粉末は、ビーズ状の吸水性高分子と混合してこれを
被覆することにより、その効果を発揮する。ビーズ形状
は特に制限されず、例えば、球形、中空体、円筒形、不
規則形状などでよい。
【0017】本発明により吸水性高分子の被覆に用いる
無機粉末は、金属イオンと反応する酸基またはキレート
形成性官能基を粉末表面に有する。以下では、酸基とキ
レート形成性官能基を、単に「官能基」と総称すること
がある。
【0018】酸基は、スルホン酸基、カルボン酸基、リ
ン酸基等でよく、これらは何れもその水素イオンが水溶
液中の金属イオンとイオン交換反応してその金属塩を形
成することにより水溶液中の金属イオンを捕獲する能力
を有する。
【0019】一方、キレート形成性官能基は、アミノ
基、イミノ基、ケト基などの金属に配位可能な基を2個
以上有する官能基であり、その例としてはアミノ酢酸
基、アミノカルボン酸基、イミノジ酢酸基、β−ジケト
基、アミノリン酸基、ポリアミノ基等が挙げられる。こ
のような官能基は金属イオンと反応してキレートを形成
することにより水溶液中の金属イオンを捕獲する能力を
有する。
【0020】無機粉末の種類は特に限定されないが、対
応するハロゲン化物から乾式法で製造された酸化ケイ
素、酸化チタン、酸化アルミニウムといった金属酸化物
の粉末が好ましい。乾式法で製造された無機粉末は、湿
式法で製造された粉末に比較して凝集傾向が低く、吸水
性高分子の表面に均一に分散させて一様に被覆すること
ができる。もちろん、湿式法で合成された粉末を利用す
ることも可能であるが、この場合には凝集した粉末を解
砕するための粉砕工程が一般に必要であり、それでも均
一に被覆しにくいことがある。
【0021】無機粉末は平均粒径1μm以下の微粉末で
あることが好ましい。平均粒径が1μmを超える無機粉
末は、粒径が大きいため吸水性高分子の表面に均一に分
散させることが困難となる。
【0022】上記の酸基またはキレート形成性官能基
は、適当な有機連結基を介して無機粉末表面に結合させ
ることができる。それにより、表面に官能基を有する無
機粉末が得られる。
【0023】具体的には、上記官能基を有するか、また
は化学反応により上記官能基を形成する別の官能基を有
するシランカップリング剤型の有機ケイ素化合物 (即
ち、加水分解性有機シラン化合物、以下シランカップリ
ング剤という) を利用し、このシランカップリング剤で
無機粉末を表面処理して、シランカップリング剤をその
加水分解反応により無機粉末表面に結合させた後、シラ
ンカップリング剤が目的とするものとは別の官能基を有
するものである場合には、化学反応により目的とする官
能基を導入することにより、表面に上記官能基を有する
無機粉末を得ることができる。従って、得られた無機粉
末において、官能基は無機粉末の表面処理により粉末表
面に結合させた有機ケイ素部分中に存在する。
【0024】官能基を有する有機ケイ素部分の無機粉末
への結合量は、無機粉末の重量に対して好ましくは3〜
40重量%、より好ましくは10〜25重量%である。3重量
%未満では、無機粉末表面に存在する金属イオン捕獲用
の官能基の数が少ないため、吸水性高分子の吸水能を十
分に向上させることができない。結合量は多いほど好ま
しいが、40重量%を超える量の有機ケイ素部分を無機粉
末に結合させることは困難である。
【0025】上記のシランカップリング剤による無機粉
末の表面処理による粉末表面への官能基の導入について
さらに詳しく説明する。使用するシランカップリング剤
は、代表的には一般式:R3SiXR' で示される加水分
解性のシラン化合物である。ここで、3個のR基はアル
コキシル基またはハロゲン (一部はアルキル基でもよ
い) であり、Xは2価連結基、代表的にはアルキレン基
またはフェニルアルキレン基であり、R' 基は官能基で
ある。Xがフェニルアルキレン基である場合、官能基
R’はフェニル基上に存在していてもよい。
【0026】このシランカップリング剤で無機粉末を表
面処理すると、シランカップリング剤が大気中の水分等
により加水分解し、加水分解生成物は無機粉末の表面に
存在する水酸基と縮合反応して無機粉末表面に結合され
る。こうして無機粉末の表面に結合したシランカップリ
ング剤の加水分解物は、−SiXR' 部分を有しており、
官能基R’が粉末表面に導入される。
【0027】この表面処理は、無機粉末をシランカップ
リング剤またはその溶液中に浸漬するといった手法で湿
式法により実施することもできるが、シランカップリン
グ剤またはその溶液を、攪拌状態(好ましくは浮遊状
態)の無機粉末に滴下または噴霧することにより乾式で
行うことが好ましい。湿式法による処理は、特に無機粉
末が乾式法で製造されたものである場合、その分散性を
損ない、凝集を生じ易い。しかも、滴下または噴霧によ
る乾式処理は、シランカップリング剤の使用量が少量で
よく、被覆量の制御が容易であるという利点もある。加
水分解を完了するため、滴下または噴霧の終了後に無機
粉末を加熱することが好ましい。この加熱温度は通常は
150 ℃以下で十分である。
【0028】その後、官能基R’が酸基またはキレート
形成性官能基ではない場合には、適当な化学反応により
R’を酸基またはキレート形成性官能基に変換する。例
えば、目的とする官能基がスルホン酸基である場合、ス
ルホン酸基は酸性度が高く、シランカップリング剤の加
水分解を生じてしまうため、スルホン酸基を持ったシラ
ンカップリング剤は安定に合成することができない。
【0029】その場合、スルホン酸エステル基を持った
シランカップリング剤を合成し、このシランカップリン
グ剤で無機粉末を表面処理して、粉末表面にスルホン酸
エステル基を導入する。その後、この粉末を乾燥雰囲気
中で加熱してスルホン酸エステル基を熱分解するか、或
いは水分を含有する雰囲気中で加熱してスルホン酸エス
テル基を加水分解すると、スルホン酸エステル基はスル
ホン酸基に変換されるので、スルホン酸基を表面に持っ
た無機粉末が得られる。加水分解は湿式法でも実施でき
るが、前述したように乾式法で実施する方が好ましい。
カルボン酸基、リン酸基といった他の酸基、或いはアミ
ノ酢酸等のキレート形成性官能基も、同様の手法を採用
して無機粉末の表面に導入することができる。
【0030】スルホン酸基の別の導入方法として、チオ
ール基またはスルフィド基を有するシランカップリング
剤で無機粉末を表面処理した後、チオール基またはスル
フィド基を酸化してスルホン酸基に変換させる方法も可
能である。この酸化は、例えば過酸化水素水を用いて湿
式法で行うのが普通であるが、オゾンを作用させるとい
った手法で乾式法で実施することもできる。過酸化水素
水による湿式酸化は、アルカリ性過酸化水素中で行うこ
とが好ましく、その後に酸を加えて金属塩を遊離させる
と、スルホン酸基を持つ粉末が得られる。
【0031】エポキシ基を有するシランカップリング剤
を用いて各種の官能基を無機粉末の表面に導入すること
もできる。エポキシ基を有するシランカップリング剤で
無機粉末を表面処理した後、例えば、アミノカルボン酸
の塩を反応させてそのアミノ基でエポキシ基を開環反応
させ(カルボン酸基がエポキシ基と反応しないように塩
を用いる)、次いで酸を作用させて金属塩を遊離させる
と、アミノカルボン酸基が無機粉末表面に導入される。
エポキシ基を含有するシランカップリング剤で表面処理
した後に反応させる化合物を変えることにより、各種の
キレート形成型官能基をこの手法で導入することができ
る。例えば、この時にリン酸を反応させるとリン酸基を
粉末表面に導入することができる。
【0032】こうして表面に酸基またはキレート形成性
官能基を導入した無機粉末を、吸水性高分子の被覆用に
用いる。この被覆方法は特に限定されないが、一般的に
はビーズ状等の粒状の吸水性高分子と上記無機粉末と
を、ターブラーミキサー、ヘンシェルミキサー等により
単に機械的に混合すればよい。無機粉末が微細であるの
で、このような混合だけで無機粉末が吸水性高分子の各
ビーズ粒を被覆できる。得られた無機粉末で被覆された
吸水性高分子は、その形状に本質的な変化がないので、
未被覆の吸水性高分子と同様に、各種用途に吸水材とし
て使用できる。
【0033】陽イオン交換樹脂も金属イオン捕獲能を有
するが、イオン交換樹脂では微細な粉末状とすることが
困難で、上記の無機粉末のように混合のみで吸水性高分
子ビーズを被覆できるような分散性に優れた粉末を得る
ことができない。
【0034】このように表面に官能基を有する無機粉末
で被覆したビーズ状の吸水性高分子を吸水材として使用
した場合、水はまず無機粉末と接触する。従って、水中
に金属イオンが混入していても、水が吸水性高分子と接
触する前に、その表面を被覆している無機粉末表面の官
能基と金属イオンが反応して、金属イオンが捕獲され
る。その結果、水中の金属イオンによる吸水性高分子の
吸水能の低下が防止されると考えられる。
【0035】さらに、吸水性高分子の表面に存在する無
機粉末は、吸水性高分子が膨潤したときの吸水性高分子
のビーズ粒同士の凝結を防止するアンチブロッキング剤
としても働き、水と吸水性高分子との接触を高める効果
も有する。
【0036】無機粉末の吸水性高分子への被覆量は、吸
水性高分子の1〜40重量%の範囲内が好ましい。1重量
%未満では、無機粉末の混合による効果がほとんど現れ
ない。40重量%を超える量で無機粉末を被覆しても、効
果が飽和し、吸水能改善の効果の著しい改善は得られな
い。より好ましい被覆量は5〜30重量%である。
【0037】吸水性高分子への無機粉末の被覆量と、反
応できる金属イオン量には限りがあるので、本発明の吸
水材は、一般に金属塩濃度が比較的低い水溶液に対して
使用することが好ましい。中でも、少量の存在でも急激
に吸水性高分子の吸収能を低下させるカルシウム、マグ
ネシウム等のアルカリ土類金属イオンを含む水溶液への
使用により適している。このような水溶液の例として、
雨水、硬水、土壌水等が挙げられる。具体的な使用例と
しては、土木用止水材、人工雪、砂漠緑化材、農園芸用
土壌保水材等が挙げられる。ただし、これらは本発明を
なんら限定するものではない。
【0038】
【実施例】
(合成例1) (吸水性高分子の合成)攪拌機、還流冷却器、温度計、窒
素ガス導入管を備えた500 mLの四つ口フラスコに、シク
ロヘキサン 100g、ソルビタンモノステアレート 0.5g
を添加し、窒素ガスをバブリングして溶媒中の酸素を十
分に追い出した。
【0039】別に、アクリル酸ナトリウム40g、N,N-メ
チレンビスアクリルアミド0.01g、過硫酸カリウム0.05
gを水に溶解し、窒素バブリングで溶存酸素を除去し
て、水溶液250 mLを調製した。この水溶液を先のシクロ
ヘキサン中に添加し、攪拌して分散させ、60℃で2時間
反応させることにより、アクリル酸ナトリウムを懸濁重
合させた。
【0040】反応液を室温で2時間静置し、上澄み液を
デカンテーションにより除去し、ビーズ状沈降成分 (懸
濁重合物) を濾過、減圧乾燥して、ポリアクリル酸ナト
リウム型の吸水性高分子を作成した。
【0041】(実施例1)本実施例では表面にスルホン
酸基を有する無機粉末を乾式法による表面処理で調製し
た。
【0042】乾式法で製造された酸化ケイ素粉末 (アエ
ロジル#200 :平均粒径12 nm)を攪拌して浮遊状態に保
持し、これに所定量のスルホン酸エステル基含有シラン
カップリング剤[3(CH3O)Si(CH2)3SO3CH(CH3)2]のヘキサ
ン溶液を滴下した後、60℃に2時間加熱して、このスル
ホン酸エステル基を含有するシランカップリング剤の加
水分解物を酸化ケイ素粉末に結合させた。次いで、加熱
温度を120 ℃に上げ、この温度に1時間加熱する間にス
ルホン酸エステル基を熱分解して、表面にスルホン酸基
を有する酸化ケイ素粉末を得た。
【0043】酸化ケイ素粉末の表面に結合した有機ケイ
素部分の量は、滴下量から算出して無機粉末の15重量%
であり、この有機ケイ素部分は−Si(CH2)3SO3Hで示され
る構造を持つと考えられる。この粉末5重量%を脱イオ
ン水に懸濁させると水はpH2以下の強酸性を示し、こ
れから粉末表面にスルホン酸基が生成していることがわ
かる。
【0044】合成例1で合成したビーズ状の吸水性高分
子 2.0gに、上記のように表面処理した酸化ケイ素粉末
0.2gを添加し、ターブラーミキサーで10分間攪拌し
て、吸水性高分子をその10重量%の量の無機粉末で被覆
した吸水材を得た。
【0045】この吸水材の金属イオン含有水溶液中での
吸水能を次のように評価した。吸水材 1.0gを250 メッ
シュのナイロン袋に入れ、カルシウムイオン (またはマ
グネシウムイオン) 0.1 重量%を含有する塩化カルシウ
ム (または塩化マグネシウム) 水溶液500 g中に30分浸
漬した後、ナイロン袋を引き上げ、30分間水切りした
後、重量変化を測定し、吸水量を求めた。結果を表1に
まとめて示す。
【0046】(実施例2)本実施例では表面にアミノ酢
酸基を有する無機粉末を乾式法による表面処理で調製し
た。
【0047】実施例1と同様にして、同じ酸化ケイ素粉
末を、アミノ酢酸エステル基を含有するシランカップリ
ング剤[3(C2H5O)Si(CH2)3NHCH2CO2C(CH3)3] で表面処理
した(加熱温度60℃) 。その後、加熱温度を200 ℃に上
げてエステル基を熱分解させることにより、キレート形
成により金属イオンを捕獲できるアミノ酢酸型の官能基
を表面に有する酸化ケイ素粉末を得た。
【0048】この酸化ケイ素粉末の表面に結合した有機
ケイ素部分の量は無機粉末の25重量%であり、この部分
は−Si(CH2)3NHCH2CO2H で示される構造を持つと考えら
れる。実施例1と同様にして、この酸化ケイ素粉末0.4
gを吸水性高分子2.0 gに混合し、得られた吸水材の吸
水能を測定した。結果を表1に示す。
【0049】(実施例3)本実施例では表面にスルホン
酸基を有する無機粉末を湿式法による表面処理で調製し
た。
【0050】乾式法により製造された酸化チタン粉末
(日本アエロジル社製P-25:平均粒径21 nm)を攪拌して
浮遊状態に保持し、これに所定量のチオール基含有シラ
ンカップリング剤 [3(CH3O)Si(CH2)3SH]のヘキサン溶液
を滴下した後、120 ℃に2時間加熱してシランカップリ
ング剤の加水分解物を酸化ケイ素粉末に結合させた。次
いで、この酸化チタン粉末をアルカリ性過酸化水素水
(過酸化水素水を水酸化ナトリウムでアルカリ性にした
もの) 中に懸濁させてチオール基を酸化してスルホン酸
ナトリウム塩型の官能基にし、次いで硫酸を加えて中和
することによりナトリウム塩を遊離させると、表面にス
ルホン酸基を有する酸化チタン粉末が得られた。
【0051】この酸化チタン粉末の表面に結合した有機
ケイ素部分の量は無機粉末の20重量%であり、この部分
は−Si(CH2)3SO3Hで示される構造を持つと考えられる。
実施例1と同様にして、この酸化チタン粉末0.1 gを吸
水性高分子2.0 gに混合し、得られた吸水材の吸水能を
測定した。結果を表1に示す。
【0052】(実施例4)本実施例では、リン酸基を有
する無機粉末を湿式法で調製した。
【0053】乾式法で製造された酸化アルミニウム粉末
(日本アエロジル社製:平均粒径13nm)を攪拌して浮遊
状態に保持し、これに所定量のエポキシ基含有シランカ
ップリング剤 [3(C2H5O)Si(CH2)3OCH2CH(O)CH2] のヘキ
サン溶液を滴下した後、60℃に2時間加熱してシランカ
ップリング剤の加水分解物を酸化アルミニウム粉末に結
合させた。
【0054】こうして表面処理した酸化アルミニウム粉
末を水中に分散させ、これにリン酸を作用させてエポキ
シ基を開環させると、表面にリン酸基を有する酸化アル
ミニウム粉末が得られた。
【0055】この酸化アルミニウム粉末の表面に結合し
た有機ケイ素部分の量は無機粉末の10重量%であり、こ
の部分は−Si(CH2)3OCH2CH(OH)CH2PO(OH)2で示される構
造を持つと考えられる。実施例1と同様にして、この酸
化アルミニウム粉末0.3 gを吸水性高分子2.0 gに混合
し、得られた吸水材の吸水能を測定した。結果を表1に
示す。
【0056】(比較例1)吸水性高分子のみを使用して吸
水能を測定した。結果を表1に示す。 (比較例2〜4)無機粉末として、乾式法で製造された未
処理の酸化ケイ素粉末、酸化チタン粉末、および酸化ア
ルミニウム粉末 (いずれも実施例で使用したものと同
じ) をそれぞれ用いて、吸水性高分子の吸水能を測定し
た結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1に示すように、本発明に従って酸型ま
たはキレート形成型の官能基を表面に有する無機粉末で
被覆した吸水性高分子からなる実施例の吸水材は、Caイ
オンまたはMgイオンを0.1 重量%含有する水溶液を、自
重の約100 倍以上 (正確には96〜153 倍) 吸収できた。
これに対し、この粉末で被覆しなかった比較例1の吸水
性高分子の吸水量は自重の42倍であり、官能基を有しな
い無機粉末で被覆した比較例2〜4の吸水性高分子の吸
水量は最高でも自重の65倍であった。従って、本発明に
よる吸水能の向上は、主に無機粉末の表面に存在する官
能基によるものであると推測される。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、酸基またはキレート形
成性官能基を表面に有する無機粉末で吸水性高分子を被
覆して吸水材として使用することにより、吸水性高分子
の吸水能を著しく低下させることが知られている金属イ
オン、特にCaやMgなどのアルカリ土類金属イオンが水中
に混入していても、吸水能の低下が少なく、従って従来
の吸水性高分子より吸水能が改善される。
【0060】この吸収材は、吸水性高分子を無機粉末で
被覆したものであるので、本質的な形状変化はなく、従
来のビーズ状等の吸水性高分子と同様に各種用途に使用
できるが、特に少量のマグネシウムやカルシウムを含有
している雨水や土壌水などの自然水の吸収に使用するの
に適しており、従って、土木用止水材、人工雪、砂漠緑
化材、農園芸用保水材等として有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/00 C09K 3/00 N

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオンと反応性の酸基またはキレー
    ト形成性官能基を表面に有する無機粉末からなる、吸水
    性高分子被覆用粉末。
  2. 【請求項2】 前記官能基が無機粉末の表面処理により
    粉末表面に結合させた有機ケイ素部分中に存在し、有機
    ケイ素部分の結合量が無機粉末の重量に対して3〜40重
    量%の範囲内である、請求項1記載の吸水性高分子被覆
    用粉末。
  3. 【請求項3】 前記無機粉末が、乾式法で製造された酸
    化ケイ素、酸化チタンおよび酸化アルミニウムから選ば
    れた金属酸化物の平均粒径1μm以下の微粉末である、
    請求項1または2記載の吸水性高分子被覆用粉末。
  4. 【請求項4】 前記無機粉末が、乾式法による表面処理
    で導入されたスルホン酸基を表面に有するものである、
    請求項3記載の吸水性高分子被覆用粉末。
  5. 【請求項5】 吸水性高分子を、その1〜40重量%の量
    の請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粉末で被覆
    してなる、吸水材。
  6. 【請求項6】 吸水性高分子がポリアクリル酸塩系のも
    のである、請求項5記載の吸水材。
  7. 【請求項7】 請求項5または6記載の吸水材を使用し
    て雨水または土壌水を吸水する方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002038124A (ja) * 2000-04-13 2002-02-06 Bristol Myers Squibb Co 吸収物質およびその製法
KR100393733B1 (ko) * 2001-03-28 2003-08-06 홍국선 초친수성 코팅 조성물 및 이를 이용한 코팅막 제조방법
JP2010138278A (ja) * 2008-12-11 2010-06-24 Kao Corp 吸水性樹脂複合体の製造方法
JP2014168949A (ja) * 2013-02-07 2014-09-18 Toyo Seikan Group Holdings Ltd 水分バリア性に優れたガスバリア性積層体
US9751995B2 (en) 2014-08-04 2017-09-05 Lg Chem, Ltd. Superabsorbent polymer and a preparation method thereof

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