JPH1079516A - 半導体装置およびその作製方法 - Google Patents

半導体装置およびその作製方法

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JPH1079516A
JPH1079516A JP9196498A JP19649897A JPH1079516A JP H1079516 A JPH1079516 A JP H1079516A JP 9196498 A JP9196498 A JP 9196498A JP 19649897 A JP19649897 A JP 19649897A JP H1079516 A JPH1079516 A JP H1079516A
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舜平 山崎
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久 大谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】CMOS構造を有する半導体装置において、精
密なしきい値電圧の制御を行うための技術を提供する。 【構成】 CMOS回路を作製するにあたって、ゲイト
絶縁膜を形成する前の段階で、Pチャネル型半導体装置
の活性層に対してP型を付与する不純物元素を添加す
る。その後、活性層に対して熱酸化処理を施すことで、
不純物元素を再分布させ、活性層の主表面における不純
物元素の濃度を微量なものとする。その微量な不純物元
素によって、精密なしきい値電圧の制御が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本明細書で開示する発明は、
ガラス基板、石英基板、シリコンウェハー等の絶縁性を
有する基板上に形成された結晶性を有する半導体(単結
晶および非単結晶を含む)を用いた半導体装置およびそ
の作製方法に関する。特に、Nチャネル型半導体装置と
Pチャネル型半導体装置とを相補的に組み合わせたCM
OS回路を構成する例に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、安価なガラス基板上に薄膜トラン
ジスタ(TFT)を作製する技術が急速に発達してきて
いる。その理由は、アクティブマトリクス型の表示装置
の需要が高まったことにある。アクティブマトリクス型
の表示装置は、マトリクス状に配置された各画素のそれ
ぞれにTFT(画素TFT)を配置し、各画素TFTの
スイッチング機能によりデータ信号を制御するものであ
る。
【0003】これらマトリクス状に配置された画素TF
Tは、同一基板上に形成された周辺駆動回路によってゲ
イト信号およびデータ信号の送信を制御される。この様
な制御回路を構成するに際して、Nチャネル型TFTと
Pチャネル型TFTとを相補的に組み合わせたCMOS
回路を構成する技術が一般的に普及している。
【0004】また、この様な周辺駆動回路を構成するた
めの回路TFTは、高速動作性が要求されるので活性層
には主に結晶性珪素膜が用いられる。結晶性珪素膜は非
晶質珪素膜よりもキャリアの移動が速いため、高い電気
特性を有する薄膜トランジスタを形成することが可能で
ある。
【0005】ここでトップゲイト型TFTでCMOS回
路を構成した場合の断面図の一例を図1(A)に示す。
101はガラスまたは石英基板であり、その表面には下
地膜102が成膜されている。また、103はNチャネ
ル型TFTの活性層となる結晶性珪素膜であり、104
はPチャネル型TFTの活性層となる結晶性珪素膜であ
る。
【0006】これら活性層はゲイト絶縁膜105で覆わ
れ、ゲイト電極106、107が形成されている。そし
て、取り出し配線とゲイト電極とを電気的に絶縁する層
間絶縁膜108でもってゲイト電極106、107は覆
われる。
【0007】また、層間絶縁膜108にはコンタクトホ
ールを介して活性層103、104と電気的に接続する
ソース電極109、110およびドレイン電極111が
配置されている。この場合、CMOS回路であるのでド
レイン電極111はNチャネル型TFTとPチャネル型
TFTとで共通である。最後に、ソースおよびドレイン
電極109〜111は保護膜112で覆われて、図1
(A)の様なCMOS回路が構成される。
【0008】図1(A)に示す構造は、CMOS回路の
最も単純な構成であり、信号の極性を反転させる回路と
して機能するインバータ回路である。そして、この様な
CMOS回路を組み合わせることでNAND回路やNO
R回路等のさらに複雑な論理回路を構成することがで
き、様々な電気回路を設計することが可能となる。
【0009】ところが、特開平4-206971号公報や特開平
4-286339号公報に記載されている様に、従来より結晶性
珪素膜を用いて作製されたCMOS回路は、Nチャネル
型TFTの電気特性がデプレッション方向にシフトし、
Pチャネル型TFTはエンハンスメント方向にシフトす
ることが問題となっていた。
【0010】その場合のTFTの電気特性(Id-Vg 特
性) を図1(B)に示す。図1(B)において、横軸
(Vg)はゲイト電圧であり、縦軸(Id)はドレイン
電流である。103で示される曲線はNチャネル型TF
TのId-Vg 特性を示し、104で示される曲線はPチャ
ネル型TFTのId-Vg 特性を示している。
【0011】Nチャネル型TFTのId-Vg 特性103が
デプレッション方向にシフトし、Pチャネル型TFTの
Id-Vg 特性104がエンハンスメント方向にシフトする
とは、どちらも図1(B)に示す様にゲイト電圧Vgに
対してマイナス側に偏っていることを意味している。
【0012】従って、Nチャネル型およびPチャネル型
のId-Vg 特性113、114はゲイト電圧が0Vの時を
基準にして、左右非対称となっており、Nチャネル型お
よびPチャネル型TFTのしきい値電圧の絶対値は大き
く異なるものとなる。
【0013】しかしながら、特開平4-206971号公報にも
記載してある様に、Nチャネル型TFTとPチャネル型
TFTのしきい値電圧(駆動電圧)の相違により出力電
圧に偏りが生じると、CMOS回路の動作速度の低下や
誤動作を招く原因となる。
【0014】上記問題点を解決するために、これらの公
報ではTFTのチャネル形成領域に対して一導電性を付
与する不純物元素を添加し、しきい値電圧の制御を行う
方法が開示されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の技術(以下、チャネルドープと呼ぶ)はその添加量が
微量になると制御が難しいという問題があった。本出願
人の実験的な経験では、1×1018/cm3程度まではしきい
値の変化が見られないが、それを超えると微量の濃度変
化で急激にしきい値の変化が確認された。
【0016】例えば、制御すべきしきい値電圧のシフト
量が1V以下である様な場合、コンマ数Vのしきい値電
圧をシフトさせるには非常に微量の添加量を要求され
る。そのため、しきい値電圧を精度良く制御するために
は添加する不純物元素濃度の微妙な制御が必要不可欠で
あった。しかし、不純物元素の微妙な添加は技術上極め
て困難なことであった。例えば、本出願人の実験的な経
験では、 1×1018/cm3程度まではしきい値の変化が見ら
れないが、それを超えると微量の濃度変化で急激にしき
い値の変化が確認された。
【0017】本明細書で開示する発明は、上記問題点を
鑑みてなされたものであり、不純物元素の添加濃度を微
妙に制御して、しきい値電圧の微妙な制御を行う技術を
提供することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本明細書で開示する発明
の構成は、絶縁表面を有する基板上に形成されたNチャ
ネル型半導体装置およびPチャネル型半導体装置とを相
補的に組み合わせたCMOS構造を有する半導体装置に
おいて、前記Pチャネル型半導体装置の活性層のみに
は、少なくともチャネル形成領域を含む一部の領域にお
いてP型を付与する不純物元素が意図的に添加されてお
り、前記不純物元素の深さ方向の濃度分布は、前記活性
層の主表面近傍において前記主表面に向かって連続的に
減少し、前記主表面近傍に残存する前記不純物元素がし
きい値電圧の制御に利用されることを特徴とする。
【0019】本発明においては、活性層中に含有される
P型を付与する不純物元素(代表的にはB(ボロン))
を熱酸化膜(ゲイト絶縁膜)に取り込むことで活性層表
面(反転層が形成される面)におけるBイオン濃度を低
減する。即ち、その熱酸化膜をゲイト絶縁膜として利用
する場合、その内部には取り込まれたBイオンが存在
し、その濃度は 1×1017〜 1×1020/cm3である。
【0020】また、結晶性珪素膜を非晶質珪素膜を結晶
化して得る場合は、結晶化を助長する触媒元素(金属元
素)を利用すると、得られた結晶性珪素膜にはその金属
元素が 5×1018/cm3以下の濃度で含有される。なお、こ
の値は熱酸化処理をハロゲン元素を有する雰囲気におい
て行った場合の例である。この様な場合、ゲイト絶縁膜
中にも金属元素やハロゲン元素が含まれる。特に、ハロ
ゲン元素は 1×1016〜1×1020/cm3の濃度でゲイト絶縁
膜中に含まれる。
【0021】また、前記金属元素とはNi(ニッケ
ル)、Co(コバルト)、Pt(白金)、Cu(銅)、
Fe(鉄)から選ばれた一種または複数種の元素であ
り、代表的にはNiが用いられる。また、前記熱酸化処
理は700 〜1100℃の比較的高い温度範囲で行われ、前記
ハロゲン元素とはしてはCl(塩素)またはF(フッ
素)が一般的である。熱酸化処理の際、処理雰囲気にハ
ロゲン元素を導入する場合には、ハロゲン元素をその組
成に含む、HClガス、NF3 ガス、ClF3 ガスを用
いれば良い。
【0022】また、他の発明の構成は、絶縁表面を有す
る基板上に形成されたNチャネル型半導体装置およびP
チャネル型半導体装置とを相補的に組み合わせたCMO
S構造を有する半導体装置において、前記Pチャネル型
半導体装置の活性層には、少なくともチャネル形成領域
を含む領域においてP型を付与する不純物元素が意図的
に添加されており、前記Nチャネル型半導体装置の活性
層には、少なくともエッジ部分を含む領域においてP型
を付与する不純物元素が意図的に添加されており、前記
不純物元素の深さ方向の濃度分布は、前記活性層の主表
面近傍において前記主表面に向かって連続的に減少し、
前記主表面近傍に残存する前記不純物元素がしきい値電
圧の制御に利用されることを特徴とする。
【0023】なお、具体的には前記Pチャネル型半導体
装置の活性層における少なくともチャネル形成領域を含
む領域には、少なくともチャネル形成領域内においてエ
ッジ部分が含まれないことを特徴とする。
【0024】また、他の発明の構成は、絶縁性を有する
基板上に結晶性珪素膜でなる第1および第2の活性層を
形成する工程と、前記第1の活性層に対してのみP型を
付与する不純物元素を含有せしめる工程と、前記第1お
よび第2の活性層に対して熱酸化処理を施すことにより
前記第1の活性層表面に形成される熱酸化膜の内部に前
記不純物元素を取り込む工程と、を少なくとも有する半
導体装置の作製方法であって、前記不純物元素の深さ方
向の濃度分布は、前記活性層の主表面近傍において前記
主表面に向かって連続的に減少し、前記主表面近傍に残
存する前記不純物元素がしきい値電圧の制御に利用され
ることを特徴とする。
【0025】本発明は上記の様な構成の作製方法を用い
て、Nチャネル型半導体装置およびPチャネル型半導体
装置を相補的に組み合わせたCMOS構造とする半導体
装置を作製することを目的としている。なお、上記構成
では、第1の活性層がPチャネル型半導体装置となり、
第2の活性層がNチャネル型半導体装置となる。
【0026】また、他の発明の構成は、絶縁表面を有す
る基板上にP型を付与する不純物元素を含有せしめた結
晶性珪素膜でなる第1の活性層および該不純物元素が含
有されない第2の活性層を形成する工程と、前記第1お
よび第2の活性層に対して熱酸化処理を施して熱酸化膜
を形成する工程と、を少なくとも有する、Nチャネル型
半導体装置およびPチャネル型半導体装置とを相補的に
組み合わせたCMOS型の半導体装置の作製方法であっ
て、前記第1の活性層は前記Pチャネル型半導体装置
を、前記第2の半導体装置は前記Nチャネル型半導体装
置を構成し、前記熱酸化処理により前記第1の活性層の
内部に含有される前記不純物元素を前記熱酸化膜の内部
に取り込み、前記活性層の主表面における前記不純物元
素の濃度を低減せしめ、前記活性層の主表面に残存する
前記不純物元素を利用してしきい値電圧の制御を行うこ
とを特徴とする。
【0027】また、他の発明の構成は、絶縁表面を有す
る基板上にP型を付与する不純物元素を含有せしめた結
晶性珪素膜でなる第1の活性層および第2の活性層を形
成する工程と、前記第1および第2の活性層に対して熱
酸化処理を施して熱酸化膜を形成する工程と、を少なく
とも有する、Nチャネル型半導体装置およびPチャネル
型半導体装置とを相補的に組み合わせたCMOS型の半
導体装置の作製方法であって、前記第1の活性層は前記
Pチャネル型半導体装置を、前記第2の半導体装置は前
記Nチャネル型半導体装置を構成し、前記熱酸化処理に
より前記第1の活性層の内部に含有される前記不純物元
素を前記熱酸化膜の内部に取り込み、前記活性層の主表
面における前記不純物元素の濃度を低減せしめ、前記活
性層の主表面に残存する前記不純物元素を利用してしき
い値電圧の制御を行うことを特徴とする。
【0028】以上の様な構成でなる発明を実施すること
で、従来のチャネルドープ技術をより精密に行うことが
できる。これは、Pチャネル型半導体装置に対してBイ
オンを添加する構成において達せられ、チャネル形成領
域において、Si/SiO2 界面近傍(活性層側)のBイオン
濃度が低減する物理減少を利用した技術である。
【0029】
【実施例】
〔実施例1〕本発明を用いてNチャネル型TFTとPチ
ャネル型TFTとを相補的に組み合わせたCMOS回路
を作製する一例を示す。本実施例で作製するCMOS回
路は図1(A)に示した様な最も単純な構成でなるイン
バータ回路である。また、Pチャネル型TFTのみにB
(ボロン)イオンを添加してしきい値電圧の制御を行う
例とする。説明には図2、3を用いる。
【0030】図2(A)において、201は基板であ
る。基板201としては、ガラス基板、石英基板、シリ
コン基板(ウェハー)等を用いることができる。基板は
後の熱酸化工程における耐熱性を考慮して決定する。本
実施例では、基板201として石英基板を用い、その表
面には下地膜202として酸化珪素膜を成膜する。
【0031】次に、後にTFTの活性層となる結晶性珪
素膜を形成する。結晶性珪素膜を得るための手段として
は様々な方法があるが、本実施例では減圧熱CVD法、
若しくはプラズマCVD法により100 〜3000Å、好まし
くは100 〜1000Å、代表的には200 〜500 Åの厚さに成
膜した非晶質珪素膜を、エキシマレーザーによるアニー
ル処理により結晶化して結晶性珪素膜を得ることにす
る。エキシマレーザーとしてはKrF、XeCl等の励
起ガスを利用した紫外光を用いれば良い。
【0032】また、加熱処理または加熱処理とレーザー
アニール処理を併用した手段により前記非晶質珪素膜の
結晶化を行うこともできる。例えば、600 ℃程度の温度
による加熱処理を施すことで非晶質珪素膜を固相成長さ
せ、その後レーザーアニールにより結晶性を改善する方
法は効果的である。
【0033】以上の技術を利用して結晶性珪素膜203
を得たら、パターニングを施して後にNチャネル型TF
Tの活性層を構成する島状半導体層204、後にPチャ
ネル型TFTの活性層を構成する島状半導体層205を
形成する。
【0034】次に、島状半導体層204、205をパタ
ーニングするためのレジストマスク(図示せず)を専用
の剥離液で除去した後、再度、Nチャネル型TFTの活
性層となる島状半導体層204を覆ってレジストマスク
206を形成する。そして、この状態で島状半導体層2
05のみに対してP型を付与する不純物元素であるBイ
オンの添加を行う(チャネルドープ工程)。
【0035】本実施例ではBイオンの添加は、質量分離
したBイオンを 1×1016〜 1×1019/cm3 の濃度でイオ
ン注入法により注入して行う。この方法では、Bイオン
のみを選択的に添加することが可能であるので、添加量
(添加濃度)を制御しやすいといった利点がある。ま
た、質量分離しないでイオン注入を行う手段として、イ
オン注入法以外にプラズマドーピング法がある。これら
手段による場合には、Bイオンが他の原子や分子ととも
にクラスター(塊)状に添加されるので、後に拡散工程
を設ける必要がある。
【0036】また、Bイオンの添加量(添加濃度)は、
Vthをどれだけ変化させるかで異なるため実験的に最適
値を求めなければならない。また、本発明の構成では、
実際のチャネル形成領域のSi/SiO2 界面近傍におけるB
イオン濃度は後の熱酸化工程の後に決定される。従っ
て、それを踏まえて添加濃度を調節する必要がある。
【0037】なお、本実施例ではイオン注入法によりB
イオンの添加を行う例を示すが、非晶質珪素膜を成膜す
る際に、成膜ガスにBイオンを含む組成のガス(ジボラ
ンなど)を持ちいることでBイオンを添加する手段をと
ることもできる。ただし、その場合にはNチャネル型T
FTのしきい値電圧も正方向にシフトするので注意しな
ければならない。
【0038】Bイオンの添加工程が終了したら、ここで
島状半導体層204、205に対して熱酸化処理を施
す。熱酸化方法としては、ドライO2 酸化、ウェットO
2 酸化、パイロジェニック酸化等の公知の酸化技術を用
いれば良い。また、雰囲気ガスとしてNF3 ガスを用い
た酸化方法は500 〜700 ℃程度の比較的低温でも熱酸化
膜を形成することができるので、ガラス基板にも対応で
きる。
【0039】本実施例におけるこの熱酸化工程は、熱酸
化膜中にBイオンを取り込むことによるSi/SiO2 界面の
Bイオン濃度の低減(または制御)を目的としている。
ここで図4に示すのは、シリコンおよびボロンの拡散係
数(Diffudion Coeffcient)と温度(Temperature )の
関係を示すグラフである。
【0040】図4からも明らかな様に、シリコン中にお
いてボロンとシリコンの拡散係数の差は大きくなく(金
属元素と比較して、という意味)、ボロンは拡散しにく
い物質であることが判る。例えば、上記熱酸化工程が95
0 ℃で行われたとすると、ボロンの拡散係数は約 4×10
-14cm2/Sと非常に小さい。この事は、後に珪素膜とその
熱酸化膜との界面においてBイオンの再分布が生じる
際、はっきりとした濃度勾配が現れることを意味してい
る。
【0041】ここで、上述の熱酸化工程によりSi/SiO2
界面近傍のBイオンの濃度がどの様な分布を示すかを図
5に示す。なお、図5には比較のためPイオンの場合に
ついても記載しておく。
【0042】図5に示す様に、Si中に存在する添加イオ
ン(B、P)は酸化膜が形成されると再分布する。これ
は、Si中およびSiO2中において添加イオンの溶解度と拡
散速度が異なるために起こる現象である。添加イオンの
Si中における溶解度を [C] Siとし、SiO2中における溶
解度を [C] SiO2とする時、平衡偏析係数mは次式で定
義される。 m= [C] Si/ [C] SiO2
【0043】この時、Si/SiO2 界面近傍の添加イオンの
偏析はmの値に支配される。通常、Si中における添加イ
オンの拡散係数が十分大きいとして、m<1の場合、Si
中の添加イオンはSiO2中に取り込まれる(図5
(A))。また、m>1の場合、SiO2が添加イオンを排
斥し、その結果としてSi/SiO2 界面近傍の添加イオン濃
度が増大する(図5(B))。
【0044】文献値によると、Bイオンのmの値は0.3
程度であり、Pイオンのmの値は10程度である。従っ
て、本実施例における熱酸化工程後のBイオンの濃度分
布は図5(A)の様になり、熱酸化膜207、208中
にBイオンが取り込まれ、島状半導体層205のSi/SiO
2 界面近傍におけるBイオン濃度は極めて微量な状態と
なる。
【0045】即ち、後に島状半導体層205がTFTの
活性層として機能する際に、チャネル形成領域の活性層
主表面(実際に反転層が形成される領域側)近傍におけ
るBイオン濃度が極めて少なくすることができるので、
この濃度を調節することでしきい値電圧の微妙な制御を
実現することができる。従って、活性層205の内部に
おいて、Bイオンの濃度はゲイト絶縁膜208との界面
に近づくにつれて減少していく特徴がある。
【0046】なお、Pイオンを添加イオンとして用いた
場合、逆に図5(B)に示す様にSi/SiO2 界面近傍にお
けるPイオン濃度が増大してしまうので、微妙なしきい
値電圧の制御を行うことはできない。
【0047】また、この熱酸化工程は活性層の主表面に
おける添加イオン(Bイオン)の濃度を均一にするとい
った効果を有している。この効果は以下に記載する様な
利点を有する。
【0048】例えば、図8(A)に示す様に、イオン注
入法やプラズマドーピング法により添加されたBイオン
の濃度プロファイル801は、活性層中の深さ方向にお
いて不均一な分布状態となっている。特に、プラズマド
ーピング法は浅い添加領域を形成するには有効だがその
分均一性を確保するのが困難である。なお、図8
(A)、(B)は任意の深さについて注目した面内方向
の濃度分布を示している。
【0049】即ち、活性層の主表面近傍においては面内
方向に(勿論、深さ方向にも)濃度的な濃淡が生じてお
り、この濃淡はチャネル形成領域のバンド状態に反映
し、延いては半導体装置間におけるしきい値電圧のバラ
ツキに影響する。
【0050】しかし、本実施例の様に熱酸化工程を施し
た後では、Bイオンが再分布する際に多少の拡散を伴う
ので全体的に濃度の濃淡の差が低減される。即ち、図8
(B)に示す様に、濃度の高い領域のBイオンは優先的
に熱酸化膜中へと取り込まれて十分に低減される。ま
た、濃度の低い領域のBイオンは拡散により濃度が高ま
り、ある程度以上の濃度となると熱酸化膜へと取り込ま
れる。
【0051】従って、活性層の主表面に残存するBイオ
ンの濃度プロファイル802は、全体的にはほぼ均一な
濃度分布状態なる。以上の様に、熱酸化によるBイオン
の吸い出し効果は濃度分布の均一性を向上させる上でも
効果的にあり、しきい値電圧の微妙な制御に大きく寄与
する効果の一つと言える。
【0052】また、本実施例では、この熱酸化工程で形
成された500 Åの熱酸化膜をゲイト絶縁膜として利用す
る。熱酸化膜をゲイト絶縁膜として用いた場合、Si/SiO
2 界面近傍のおける界面準位等を少なくすることができ
るので、極めて優れた電気特性を有するTFTとするこ
とができる。また、その膜厚は熱酸化工程の温度、時
間、雰囲気を変えることで調節することが可能である。
【0053】また、さらに本実施例の場合、この熱酸化
工程を950 ℃という比較的高い温度で行っているので、
島状半導体層204、205の結晶性を大幅に向上させ
る効果も期待できる。
【0054】熱酸化工程を終えて図2(C)に示す状態
が得られたら、後にゲイト電極を構成することになる図
示しないアルミニウム膜を成膜する。このアルミニウム
膜はヒロックやウィスカーの発生を抑制するためにスカ
ンジウムを0.2 wt重量%含有させる。アルミニウム膜
の成膜方法はスパッタ法や電子ビーム蒸着法を用いて行
う。
【0055】ヒロックやウィスカーというのは、アルミ
ニウムの異常成長に起因する刺状あるいは針状の突起物
のことである。ヒロックやウィスカーの存在は、隣合う
配線間や上限間に離間した配線間においてショートやク
ロスクトークが発生する原因となる。
【0056】アルミニウム膜以外の材料としてはタンタ
ル、モリブデン等の陽極酸化可能な金属を利用すること
ができる。また、アルミニウム膜の代わりに導電性を付
与した珪素膜を用いることも可能である。
【0057】アルミニウム膜を成膜したら、電解溶液中
においてアルミニウム膜を陽極とした陽極酸化を行い、
アルミニウム膜表面に薄く緻密な陽極酸化膜を形成す
る。この陽極酸化膜はパターニングの際、レジストマス
クとアルミニウム膜との密着性を高める役割を果たす。
【0058】次にレジストマスク209、210を形成
する。そしてこのレジストマスク209、210を利用
して図示しないアルミニウム膜をパターニングし、ゲイ
ト電極の原型となるアルミニウム膜のパターン211、
212を形成する。このようにして図2(D)に示す状
態を得る。
【0059】次に、特開平7-169974号公報記載の条件に
従ってアルミニウム膜のパターン211、212の側面
に多孔質の陽極酸化膜213、214を形成する。本実
施例ではこの多孔質の陽極酸化膜212、214の膜厚
を0.7 μmとする。こうして図2(E)に示す状態を得
る。
【0060】さらに、レジストマスク209、210は
除去した後、特開平7-169974号公報記載の条件に従っ
て、緻密で強固な陽極酸化膜215、216の形成を行
う。ただし、本実施例ではこの膜厚が700 Åとなる様に
到達電圧を調節する。また、この工程によりゲイト電極
21、22が画定する。構造としては図3(A)の様な
状態となっている。
【0061】次に、図3(A)に示す状態においてN型
を付与する不純物としてPイオンを全面に添加する。こ
のPイオン添加は、0.2 〜5×1015/cm2 、好まし
くは1〜2×1015/cm2 という高いドーズ量で行
う。ドーピング方法としてはプラズマドーピング法やイ
オンドーピング法を用いる。
【0062】この図3(A)に示す工程の結果、高濃度
にPイオンが注入された領域217〜220が形成され
る。これらの領域は後にソース/ドレイン領域として機
能する。(図3(A))
【0063】次に、酢酸、硝酸、リン酸を混合した混酸
溶液を用いて多孔質状の陽極酸化膜213、214を除
去した後、右側のPチャネル型TFTを構成する素子を
覆うようにしてレジストマスク221を形成する。そし
て、その状態で再びPイオンの注入を行う。このPイオ
ンの注入は、ドーズ量を0.1 〜5×1014/cm2 、好
ましくは0.3 〜1×1014/cm2 という低い値とす
る。(図3(B))
【0064】即ち、図3(B)で示す工程で行われるP
イオンの注入はそのドーズ量を図3(A)に示す工程に
おいて行われたドーズ量に比較して低いものとする。す
ると、この工程の結果、223、225の領域がライト
ドープされた低濃度不純物領域となる。また、222と
226の領域は、より高濃度にPイオンが注入された高
濃度不純物領域となる。
【0065】この工程において、222の領域がNチャ
ネル型TFTのソース領域となる。そして223と22
5が低濃度不純物領域、226がドレイン領域となる。
また、324で示される領域は実質的に真性なチャネル
形成領域となる。なお、225で示される領域が一般に
LDD(ライトドープドレイン)領域と称される領域で
ある。
【0066】また、特に図示しないが陽極酸化膜215
でイオン注入を遮られた領域がチャネル形成領域224
と低濃度不純物領域223、225との間に存在する。
この領域はオフセット領域と呼ばれ、陽極酸化膜215
の膜厚分の距離を有する。
【0067】オフセットゲイト領域はイオン注入されず
実質的に真性であるが、ゲイト電圧が印加されないため
チャネルを形成せず、電界強度を緩和し、劣化を抑制す
る抵抗成分として機能する。ただし、その距離(オフセ
ット幅)が短い場合、実効的なオフセット領域として機
能しない。本実施例ではその幅が700 Åであるのでオフ
セット領域としては機能しない。
【0068】次に、レジストマスク221を除去して、
図3(C)に示すように左側のNチャネル型TFTを覆
うレジストマスク227を形成する。そして、図3
(C)に示す状態においてP型を付与する不純物として
B(ボロン)イオンの注入を行う。ここでは、Bイオン
のドーズ量を0.2 〜10×1015/cm2 、好ましくは
1〜2×1015/cm2 程度とする。このドーズ量は図
3(A)に示す工程におけるドーズ量と同程度とするこ
とができる。
【0069】この工程により高濃度不純物領域219、
220がN型からP型へと反転してPチャネル型TFT
のソース領域228、ドレイン領域229が形成され
る。また、ゲイト電極22の直下にはチャネル形成領域
230が形成される。このチャネル形成領域230はチ
ャネルドープ工程によりBイオンが添加されているが、
Si/SiO2 界面近傍のBイオン濃度は界面に近づくにつれ
て減少している。
【0070】次に、図3(C)に示す工程の終了後、レ
ジストマスク227を取り除き、添加された不純物元素
(PおよびBイオン)の活性化と島状半導体層が受けた
損傷の回復を行うためにエキシマレーザー光の照射を行
う。照射エネルギーは200 〜250mJ/cm2 とする。
【0071】エキシマレーザー光の照射が終了したら、
図3(D)に示すように層間絶縁膜231を4000Åの厚
さに成膜する。層間絶縁膜231は酸化珪素膜、酸化窒
化珪素膜、窒化珪素膜のいずれでも良く、多層構造とし
ても良い。これら珪化膜の成膜方法は、プラズマCVD
法や熱CVD法を用いればよい。また、透過性を有する
有機性樹脂膜(例えばポリイミド)を用いることもでき
る。
【0072】次にコンタクトホールの形成を行い、Nチ
ャネル型TFTのソース電極232、Pチャネル型TF
Tのソース電極233を形成する。また、ドレイン電極
234はNチャネル型TFTとPチャネル型TFTとで
共有する様な構成とすることでCMOS構造が実現され
る。(図3(D))
【0073】なお、本実施例では石英基板上にTFTを
形成してCMOS回路を構成する例を示したが、シリコ
ンウェハー上に形成したMOSFETに対しても容易に
応用することができる。即ち、IC技術も本発明の応用
分野である。
【0074】ここで、本実施例に従って作製した図3
(D)に示されるTFTの電気特性(Id-Vg 特性) は図
6に示す様なものとなる。図6において、601、60
2で示される曲線(実線)は、それぞれNチャネル型T
FTおよびPチャネル型TFTのId-Vg 特性を示してい
る。また、603で示される曲線(破線)は、本発明の
構成を用いない場合のPチャネル型TFTのId-Vg 特性
である。なお、横軸はTFTのゲイト電圧(Vg)、縦
軸はドレイン電流(Id)である。
【0075】本実施例において、作製したNチャネル型
TFTのId-Vg 特性601から計算により求めたしきい
値電圧Vth,nは0.1 〜0.5Vの範囲に納まるものであっ
た。また、Pチャネル型TFTのId-Vg 特性602から
計算により求めたしきい値電圧Vth,pは-0.5〜-0.1V の
範囲に納まるものであった。
【0076】また、従来例のId-Vg 特性603と比較す
ると、明らかに本発明を利用したId-Vg 特性602は正
方向(矢印方向)側にシフトしていることが判る。な
お、破線で示されるId-Vg 特性603より求めたしきい
値電圧は-1.5〜-1.0V 程度の範囲に納まるものであっ
た。従って、このシフト量はコンマ数V程度の微小なも
のであり、従来のチャネルドープ技術では制御できない
程、精密な制御であることが判る。
【0077】この事は、本発明により極めて精密にチャ
ネルドープを行うことができることを顕著に示してい
る。また、この発明は本実施例の様にチャネルドープを
しなくても十分にしきい値電圧が小さい様なTFTにお
いて、特に効果を発揮するものである。
【0078】さらに、本発明の構成にある様に、Pチャ
ネル型TFTに対してのみBイオンを添加することには
大きな意義がある。その事について、以下に説明をす
る。
【0079】通常、Nチャネル型TFTのしきい値電圧
(Vth,n)とPチャネル型TFTのしきい値電圧(Vt
h,p)との開き(差)をウィンドウと呼んでいる。ま
た、特開平4-206971号公報にも記載がある様に、ウィン
ドウがゲイト電圧0Vを基準にして左右対称でない場
合、即ちVth,n、Vth,pの絶対値に偏りがある場合には
CMOS回路の動作速度の低下や誤動作を招くことが知
られている。
【0080】活性層として結晶性珪素膜を用いる場合ゲ
イト電圧に対して負方向にシフトすることが多い。従っ
て、一般的にはNチャネル型TFTにP型を付与する不
純物元素を添加してしきい値制御を行うのであるが、こ
の方法ではウィンドウ幅が大きくなり、ゲイト電極に印
加しなければならない電圧幅が増大してしまう。
【0081】即ち、ゲイト電圧の駆動電圧が高くなり、
消費電力の増大を招く。また、高速動作するCMOS回
路を高い駆動電圧で動作させるには、耐劣化性に優れた
高い信頼性を実現する必要があるため、さらに高性能な
TFTを作製しなければならない。
【0082】ところが、本実施例に示す様にPチャネル
型TFTのみのしきい値制御を行えばウィンドウ幅を狭
くすることができるので、消費電力を低減することが可
能である。特に、本実施例の作製プロセスに従えば、ウ
ィンドウ幅を 0.2〜1V以内の範囲に納めることができる
ので、消費電力に低減のみならず、高い信頼性を有する
CMOS回路を作製することができる。
【0083】以上の様に、本実施例では、チャネルドー
プによりPチャネル型TFTのしきい値電圧のみを制御
しているので、ウィンドウ幅が狭く、かつ、Id-Vg 特性
バランスが良い。特に、チャネルドープ後に添加イオン
の再分布を行い、チャネル形成領域のSi/SiO2 界面近傍
の添加イオン濃度を低減している事が本発明の最も大き
な特徴である。
【0084】これにより微妙なしきい値電圧の制御が可
能となり、本実施例で説明した様な、しきい値電圧が小
さく、極めて微妙な精度でチャネルドープを行うことを
要求される場合において、非常に有効な手段として活用
することができる。
【0085】〔実施例2〕実施例1においては、チャネ
ルドープ工程を島状半導体層の形成直後に行う例を示し
たが、チャネルドープ工程を別の工程間に行っても構わ
ない。例えば、結晶化前の非晶質珪素膜に添加しても良
いし、島状半導体層とする前(パターニング前)の結晶
性珪素膜中に添加しても問題ない。特に、非晶質珪素膜
中に添加する場合、質量分離をしないイオン注入法(添
加イオンがクラスター状に打ち込まれる)を用いた場合
でも、結晶化の際に膜中に均一に拡散させることができ
るため、問題なく実施することができる。
【0086】また、例えば、パターニング前の結晶性珪
素膜またはパターニング後の結晶性珪素膜中にイオン添
加を行い、その後熱拡散またはレーザーアニールによっ
て添加イオンを拡散させた後に、熱酸化工程を行う方法
でも良い。
【0087】以上の様に、本発明におけるチャネルドー
プ工程の位置は他の工程との兼ね合いで適宜変えること
が可能である。基本的には、熱酸化工程で最終的な添加
イオン濃度の微調整を行うので、それまでに島状半導体
層中に必要量の添加イオンが含有されていれば良い。
【0088】〔実施例3〕実施例1において、図5
(A)、(B)で示した図は、拡散速度が小さい物質に
ついての再分布の傾向を示している。P、Bイオンの拡
散速度はほぼ同程度であり、図4で説明した様に十分小
さい。しかし、添加イオンの拡散速度が十分大きくなる
と、再分布に際しての挙動が変化してくる。
【0089】例えば、Bイオンの拡散速度が大きくなる
と、図5(A)とは異なる分布状態を示す様になる。実
際に、水素が含まれる雰囲気において熱酸化工程を行う
とBイオンの拡散速度が大きくなることが報告されてい
る。
【0090】その場合には、Si/SiO2 界面におけるBイ
オンの濃度分布は図7で示される様な傾向を示す。即
ち、図7に示す様にSi/SiO2 界面におけるBイオンの濃
度は、図5(A)に示した場合よりも少なくなる。ま
た、SiO2中のBイオン濃度も明らかに減少する。
【0091】従って、この事を利用すれば活性層の主表
面におけるBイオンの濃度をより効果的に低減すること
が可能となり、より精密なしきい値電圧の制御が可能と
なる。また、水素を含む雰囲気では、水素イオンが活性
層を構成する結晶性珪素膜のダングリングボンド(未結
合手)や欠陥を補償するので結晶性が向上するといった
効果も付加することができる。
【0092】〔実施例4〕本実施例では、ゲイト電極と
して導電性を有する結晶性珪素膜を用いた場合の例を図
9に示す。なお、ここでは石英基板上にCMOS回路を
作製する例を示すが、ガラス基板上、シリコン基板(ウ
ェハーを含む)上に形成するのであっても構わない。シ
リコン基板上には、従来のMOSFETを用いたIC回
路を作製することもできるし、いわゆるSOI 構造として
も良い。
【0093】図9において、901は石英基板であり、
902は下地膜となる酸化珪素膜である。また、90
3、904はLDD領域を有した活性層であり、903
はNチャネル型TFTに、904はPチャネル型TFT
になる。活性層903、904の形成は以下の様にして
行われる。
【0094】まず、酸化珪素膜902上に結晶性珪素膜
を得る。形成方法は実施例1に従っても良いし、減圧熱
CVD法で成膜ガスとしてSiH4、Si2H6 、SiH2Cl2 等の
シラン系ガスを用いて結晶性珪素膜を直接成膜しても良
い。本実施例では、ノンドープの結晶性珪素膜を用い
る。次に、結晶性珪素膜を得たら、島状にパターニング
して活性層の原型とし、チャネルドープを行う。チャネ
ルドープは実施例1と同様にPチャネル型TFTにのみ
Bイオンを添加する。
【0095】次に、熱酸化工程を行って、ゲイト絶縁膜
905、906の形成、並びにSi/SiO2 界面近傍におけ
るBイオン濃度の低減を行う。なお、熱酸化膜の膜質、
膜厚およびしきい値制御のためのBイオン濃度等を考慮
して最適な条件による加熱処理を行う。勿論、形成され
た熱酸化膜を除去して、例えば、TEOS/O2 系ガスやSiH4
/N2O系ガスを用いたプラズマCVD法により酸化珪素膜
を成膜してゲイト絶縁膜とすることも可能である。
【0096】次に、後のゲイト電極907、908を形
成し、それをマスクとして不純物イオンの注入を行う。
この不純物注入工程は活性層903、904内にソース
/ドレイン領域、低濃度不純物領域(LDD領域)、チ
ャネル形成領域を形成するための工程である。
【0097】なお、低濃度不純物領域は耐劣化性を高め
るための目的で配置されるので、劣化の問題の小さいP
チャネル型TFTには設ける必要がない場合もある。同
一基板上にCMOS回路を形成するには不純物注入を選
択的に行うので工程がやや複雑となってしまうので配置
しない方が工程は簡略化する。本実施例では、Nチャネ
ル型およびPチャネル型の両方にLDD領域を配置する
構成とする。
【0098】まず、1回目の不純物注入(Pイオンおよ
びBイオン)を行い、1回の不純物注入が終了したら、
窒化珪素膜を成膜し、異方性エッチングを利用してサイ
ドウォール909、910を形成する。そして、2回目
の不純物注入(PイオンおよびBイオン)を行い、Nチ
ャネル型TFTおよびPチャネル型TFTのソース/ド
レイン領域を形成する。なお、サイドウォール909、
910の直下は低濃度不純物領域(LDD領域)とな
る。また、ゲイト電極907、908の直下はチャネル
形成領域となる。
【0099】活性層903、904が完成したら、全面
にスパッタ法でTi(チタン)膜またはCo(コバル
ト)膜等を成膜し、ソース/ドレイン領域とゲイト電極
907、908上に露出した珪素膜と反応させる。反応
させるには加熱処理により行えば良いが、処理雰囲気を
制御しやすいことと、スループットの高いことからRT
A法によるのが望ましい。この技術はサリサイド技術と
して知られている。
【0100】こうして、ソース/ドレイン領域およびゲ
イト電極907、908の一部はサリサイド化(本実施
例では、チタンシリサイドやコバルトシリサイドとな
る)されて低抵抗な領域となる。後は、層間絶縁膜91
1を成膜し、コンタクトホールを形成して、配線912
〜914を形成して図9に示す様な構造のCMOS回路
を形成することができる。
【0101】〔実施例5〕本発明は様々な半導体集積回
路に対して応用することが可能である。本実施例では、
その一例としてSRAM(Static Rondom Access Memor
y )に応用する場合の例を示す。説明は図10を用いて
行う。
【0102】SRAMはフリップフロップ等の双安定回
路を記憶素子に用いたメモリであって、双安定回路のO
N−OFFあるいはOFF−ONの2安定状態に対応し
て2進情報値(0または1)を記憶するものである。電
源の供給がある限り記憶が保持される点で有利である。
また、記憶回路はNMOS回路やCMOS回路で構成さ
れる。図10(A)に示すSRAMの回路は受動負荷素
子に高抵抗を用いた回路である。
【0103】1001で示されるのはワード線であり、
1002はビット線である。1003は高抵抗で構成さ
れる負荷素子であり、1004で示されるような2組の
ドライバトランジスタと1005で示されるような2組
のアクセストランジスタとでSRAMが構成される。以
上のような構成でなるSRAMの特徴は、高速動作が可
能で、信頼性が高くシステムへの組む込みが容易なこと
などである。
【0104】〔実施例6〕本実施例は、本発明に加えて
特開平7-176753号公報に記載の技術を実施するものであ
り、例えば、Pチャネル型TFTのみならずNチャネル
型TFTに対してもBイオンの添加を施す場合の例を説
明する。
【0105】具体的には、Pチャネル型TFTに対して
チャネルドープを施す際に、Nチャネル型TFTの活性
層の一部に対して、逆導電型を付与するBイオンの添加
を行う。これは、例えば、活性層のエッジ部分といった
電流パスとなり易い箇所にエネルギー的に障壁の高い流
域を形成してリーク電流の発生(ショートチャネルリー
ク)を防ぐものである。なお、特開平7-176753号公報に
は、様々な不純物で上記効果を達成する旨が記載されて
いるが、本実施例はその構成の一部(活性層とは逆導電
型を付与する不純物を利用する例)を利用する。
【0106】実施例1では、図2に示す様にチャネルド
ープ工程の際にNチャネル型TFTに対してレジストマ
スク206を設けることで、選択的にPチャネル型TF
Tの活性層205に対するチャネルドープを行った。し
かし本実施例の特徴は、レジストマスク206の一部に
開口を形成しておき、選択的にNチャネル型TFTの活
性層204の一部に対してもBイオンの添加を行うこと
にある。
【0107】Nチャネル型TFTの活性層204におい
て、どの領域にBイオンを添加するかは任意に設定する
ことができる。本実施例では、その応用例をいくつか挙
げて説明する。
【0108】図11(A)において、1101はNチャ
ネル型TFTの活性層であり、1102はPチャネル型
TFTの活性層である。また、1103は結晶性珪素膜
でなるゲイト電極であり、1104は導電性材料でなる
配線(ソースまたはドレイン電極)である。従って、図
11(A)はCMOS回路を上面から見た図を示してい
る。
【0109】活性層1101、1102において斜線で
示した領域は、チャネルドープ時にBイオンを添加した
領域である。本実施例ではBイオンを添加しない領域を
実質的に真性なI層とし、チャネルドープ行程でBイオ
ンを添加した領域をP--層として取り扱うことにする。
ただし、チャネルドープの目的は全体的にN--層として
振る舞う活性層に対して、P型を付与するBイオンを添
加することでI層の性質に近づけることを主体としてい
る。従って、本実施例におけるI層とは実質的に弱いN
層(N--層)であり、P--層とは実質的に真性なI層で
ある。
【0110】図11(A)ではNチャネル型TFTの活
性層1101のエッジ部分のみにBイオンを添加して、
この部分を逆の導電型を有するP--層としている。活性
層のエッジ部分はプラズマダメージなどで損傷を受けや
すいので、電流パスを形成しやすく、ここにP--層を設
けることでエネルギー障壁を高くしてリーク電流を防止
するのである。
【0111】また、このCMOS回路のNチャネル型T
FTをA−A’で切った断面図が図11(B)である。
図から明らかな様に、活性層のエッジ部分1105、1
106にはBイオンが添加されてP--層が形成され、ゲ
イト電極の直下(1106で示される領域)はI層のま
まとなっている。一方、Pチャネル型TFTをB−B’
で切った断面図が図11(C)である。この場合、図か
ら明らかな様に、ゲイト電極の下(1107で示される
領域)にもBイオンが添加され、斜線で示される様なP
--層が形成される。
【0112】また、CMOS回路をC−C’で横方向に
切った断面図が図11(D)である。この場合において
も、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTとで活性
層の構成が異なってくる。Nチャネル型TFTの場合、
ソース領域1108、ドレイン領域1109には高濃度
にPイオンが添加されて強いN型層(N++層)となり、
チャネル形成領域1110はI層のまま残る。
【0113】Pチャネル型TFTの場合、ソース領域1
111、ドレイン領域1112には高濃度にBイオンが
添加されて強いP型層(P++層)となり、チャネル形成
領域1113は微量にBイオンが添加されたP--層とな
っている。
【0114】なお、図11(E)、(F)、(G)、
(H)に示すのはNチャネル型TFTの活性層にBイオ
ンを添加する場合の他の例である。(E)、(F)はエ
ッジ部分に局所的にP--層を設けた例であり、(G)は
チャネル形成領域に狭いP--層を設けることでソース/
ドレイン間のリーク電流の低減を狙った例である。ま
た、(H)はチャネルドープ工程で活性層のエッジ部分
の損傷が悪化しない様に、エッジ部分をP--層で囲んだ
例である。
【0115】以上の様に、チャネルドープと同時にNチ
ャネル型TFTに対してもBイオンに添加を行い、リー
ク電流を効果的に抑制する技術を併用することが可能で
ある。なお、Nチャネル型TFTに対するイオン添加
は、所望の領域のみレジストマスクに開口を設けて置け
ば良いだけであるので、本実施例で示した例に限らず、
幅広く応用することができる。
【0116】ところで、チャネルドープ時にPチャネル
型TFTに対してBイオンを添加する際、活性層のエッ
ジ部分のみにイオン添加を行わない構成とすると、その
領域が結果的に逆導電型を有する領域として残存し、リ
ーク電流を効果的に抑制する機能を顕す。その例を図1
2を用いて説明する。なお、CMOS回路の構造は図1
1と同様であるので、同じ符号を併用する。
【0117】図12(A)において、1101で示され
るNチャネル型TFTにはエッジ部分にBイオンが添加
されてP--層が形成される。詳細は既に説明したので、
ここでは図12(A)に示す領域にBイオンを添加する
例のみとする。前述の図11(A)と異なるのは、Pチ
ャネル型TFTの活性層1201の構成である。
【0118】図12(A)のNチャネル型TFTをA−
A’で切った断面図(図12(B))は特に変わりない
が、Pチャネル型TFTをB−B’で切った断面、図1
2(C)では、エッジ部1202がI層となっている。
勿論、エッジ部分以外の領域1203はチャネルドープ
されているのでP--層となっている。
【0119】前述の様に、I層は実質的にはN--層であ
り、P--層は実質的にI層と見なせる性質を有してい
る。従って、Bイオンを添加しないI層(実質的にN--
層)はPチャネル型TFTに対して逆導電型領域といて
振る舞う。即ち、P型領域とN型領域とが構成されるの
で、その間ではエネルギー障壁が高く、キャリアの移動
が効果的に抑制される。
【0120】図12(D)においては、Pチャネル型T
FTのソース領域1204、ドレイン領域1205は強
いP型を示すP++層となり、チャネル形成領域1206
はP--層となっている。即ち、図12(C)に示す様
に、最終的にはチャネル形成領域の少なくともエッジ部
分に対しては、実質的に逆導電型(N型)を付与するI
層が形成される構成とすることで、リーク電流の低減効
果が得られる。その様な構成とする例としては、図12
(E)、(F)で示される領域にI層を残存させておけ
ば良い。
【0121】〔実施例7〕実施例1で作製したCMOS
回路を、同一基板上に画素領域と周辺駆動回路とを集積
化したアクティブ型表示装置に対して応用することが可
能である。アクティブ型表示装置としては、一般的にア
クティブマトリクス型液晶表示装置が知られている。そ
の構成を図13に示す。
【0122】図13に示す構成は、同一基板上に画素領
域と周辺駆動回路を形成し、さらにメモリ回路やCPU
回路といったコントロール回路を備えたSOG (システ
ム・オン・グラス)タイプの表示装置である。
【0123】図13において、1301は画素領域であ
り、通常百数十万個のTFTがマトリクス状に配置され
て、液晶へ印加する電圧の制御を行っている。また、1
302は垂直走査用駆動回路、1303は水平走査用駆
動回路である。これらの駆動回路は、シフトレジスタ回
路、バッファ回路、サンプリング回路等で構成されてお
り、ゲイト信号やビデオ信号の制御を行う。また、13
04はコントロール回路であり、CPU回路やメモリ回
路等で構成される。
【0124】CMOS構造を有する半導体装置は、図1
3において水平・垂直走査用駆動回路1302、130
3、コントロール回路1304等に利用される。また、
これら駆動回路等は高い信頼性を要求されるが、実施例
1で作製したCMOS構造を有する半導体装置は駆動電
圧が小さくて済むので、耐圧に余裕のある設計を行うこ
とができる。
【0125】また、本発明を応用することの可能な電気
光学装置としては、図13で示した様なアクティブマト
リクス型液晶表示装置のみならず、その他のアクティブ
型フラットパネルディスプレイも含まれ、例えばEL表
示装置やCL表示装置に利用することもできる。また、
直視型ディスプレイのみでなく、プロジェクションタイ
プの表示装置にも応用できる。
【0126】アクティブ型表示装置において、周辺駆動
回路は表示画面の応答を速めてチラツキやフリッカ等を
抑制するためにも、高速動作を要求される。特に、クロ
ック動作を行うシフトレジスタ回路やカウンタ回路は、
最も高速動作を要求される回路である。
【0127】図14(A)に示すのは、ゲイトドライバ
ー部を構成するシフトレジスタ回路である。このシフト
レジスタ回路は画素領域に配列されるゲイト線を順次
(または一本毎)に選択していくための機能を有してい
る。従って、シフトレジスタ回路の動作速度が遅いとゲ
イト線の選択に時間がかかり、最終的には表示画面の1
フィールド(または1フレーム)が終了するまでの時間
が長くなる。即ち、画面がちらついて見えるのである。
【0128】このシフトレジスタ回路は基本的に図14
(B)に示す様なクロックドインバータ回路と、図14
(C)に示す様なインバータ回路とで構成される。図1
4(B)、(C)はどちらもCMOS回路で構成されて
いるので、ここに本発明を用いて作製したCMOS回路
を利用するのである。
【0129】実施例1で示した様に、本発明を利用して
作製したCMOS回路の特徴は、Nチャネル型TFTと
Pチャネル型TFTとでしきい値電圧の絶対値がほぼ同
じ値であり、ウィンドウがVg=0Vに対して殆ど左右
対称である。そのため、出力電圧の偏りのないバランス
の良い特性を有している。また、ウィンドウ幅が狭い
(Vth,nとVth,pの絶対値がそれぞれ小さい) ので、駆
動するための消費電力が低いといった利点を有してい
る。
【0130】以上の様に、本発明を利用して特性バラン
スの良いCMOS回路を作製し、それを周辺駆動回路と
して利用することは非常に有効である。通常、高速動作
する駆動回路は耐圧が低く、劣化が激しいことがある。
しかし、実施例1に従って作製したTFTは、消費電
力、即ち駆動電圧を低く抑えることができるので、劣化
の恐れの少ない高い信頼性を有する駆動回路を構成する
ことができる。
【0131】〔実施例8〕本実施例は、絶縁表面を有す
る基板上に配置された結晶性珪素膜でなる活性層と、前
記活性層に対して熱酸化処理を施して得られたゲイト絶
縁膜と、前記ゲイト絶縁膜上に配置されたゲイト電極
と、を少なくとも有する、Nチャネル型半導体装置およ
びPチャネル型半導体装置とを相補的に組み合わせたC
MOS構造を有する半導体装置において、前記Pチャネ
ル型半導体装置の活性層のみにおいてP型を付与する不
純物元素が意図的に添加されており、前記不純物元素の
濃度分布は、前記活性層と前記ゲイト絶縁膜との界面に
おいて不連続であり、かつ、前記活性層側の界面近傍に
おいて前記界面に向かって連続的に減少する傾向にあ
り、前記活性層側の界面近傍に残存する前記不純物元素
がしきい値電圧の制御に利用されることを特徴とする半
導体装置に関するものである。
【0132】本発明を用いてNチャネル型TFTとPチ
ャネル型TFTとを相補的に組み合わせたCMOS回路
を作製する他の一例を示す。本実施例で作製するCMO
S回路は図1(A)に示した様な最も単純な構成でなる
インバータ回路である。また、Pチャネル型TFTのみ
にB(ボロン)イオンを添加してしきい値電圧の制御を
行う例とする。説明には図15を用いる。
【0133】図15(A)において、1501は基板で
ある。基板1501としては、ガラス基板、石英基板、
シリコン基板(ウェハー)等を用いることができる。た
だし、後の熱酸化工程の温度が高い場合、具体的には65
0 ℃を超える様な場合には、ガラス基板の様な軟化点の
低いものではなく、耐熱性に優れた石英基板などを用い
ることが好ましい。本実施例では、基板1501として
石英基板を用い、その表面には下地膜1502として酸
化珪素膜を成膜する。
【0134】次に、後にTFTの活性層となる結晶性珪
素膜を形成する。本実施例では、非晶質珪素膜を結晶化
して結晶性珪素膜を得る。まず、図示しない非晶質珪素
膜を減圧熱CVD法、若しくはプラズマCVD法により
1000Åの厚さに成膜する。後の熱酸化工程において膜減
りが起こるので、その辺りを計算に入れて所望の膜厚よ
りも厚めに形成しておくと良い。
【0135】非晶質珪素膜を成膜したら、加熱処理また
はレーザーアニール処理もしくは両者を併用した手段に
より前記非晶質珪素膜の結晶化を行う。本実施例では、
本発明者らによる特開平6-232059号公報や特開平7-3213
39号公報記載の技術を用いて結晶化を行う。これらの技
術は金属元素(例えばニッケル、銅など)を保持した状
態で500 〜700 ℃、代表的には600 〜650 ℃の温度範囲
で、1 〜24hr、代表的には4 〜12hr程度の加熱処理を行
うことで結晶性に優れた珪素膜を得るものである。
【0136】上記手段により図示しない非晶質珪素膜は
結晶化され、結晶性珪素膜1503が得られる。この様
にして得られた結晶性珪素膜1503は、上記公報に記
載の技術を用いない場合に比べて優れた結晶性を有す
る。また、本発明者らの知見によると、加熱処理により
結晶化させた後にレーザーアニール処理を行うことで、
さらに結晶性を向上させることが可能である。こうし
て、図15(A)に示す状態が得られる。
【0137】次に、結晶性珪素膜1503をパターニン
グして後にNチャネル型TFTの活性層を構成する島状
半導体層1504、後にPチャネル型TFTの活性層を
構成する島状半導体層1505を形成する。
【0138】次に、島状半導体層1504、1505を
パターニングするためのレジストマスク(図示せず)を
専用の剥離液で除去した後、再度、Nチャネル型TFT
の活性層となる島状半導体層1504を覆ってレジスト
マスク1506を形成する。そして、この状態で島状半
導体層1505のみに対してP型を付与する不純物元素
であるBイオンの添加を行う(チャネルドープ工程)。
【0139】本実施例ではBイオンの添加は、質量分離
したBイオンを 1×1016〜 1×1019/cm3 の濃度でイオ
ン注入法により注入して行う。この方法では、Bイオン
が原子状に添加されるので、島状半導体層内の均一に分
布させることができる。また、質量分離しないでイオン
注入を行う場合には、Bイオンが他の原子や分子ととも
にクラスター(塊)状に添加されるので、後に拡散工程
を設けて均一に分布させる必要がある。
【0140】また、Bイオンの添加量(添加濃度)は、
Vthをどれだけ変化させるかで異なるため実験的に最適
値を求めなければならない。また、本発明の構成では、
実際のチャネル形成領域のSi/SiO2 界面近傍のBイオン
濃度は後の熱酸化工程の後に決定される。従って、それ
を踏まえて添加濃度を調節する必要がある。
【0141】なお、本実施例ではイオン注入法によりB
イオンの添加を行う例を示すが、非晶質珪素膜を成膜す
る際に、成膜ガスにBイオンを含む組成のガス(ジボラ
ンなど)を持ちいることでBイオンを添加する手段をと
ることもできる。ただし、その場合にはNチャネル型T
FTのしきい値電圧も正方向にシフトするので注意しな
ければならない。
【0142】Bイオンの添加が終了したら、レジストマ
スク1506を除去して熱酸化工程を行う。本実施例で
は、この熱酸化工程として、酸素(O2 )に対して塩化
水素(HCl)を1〜10%、好ましくは3%含有させ
た酸化性雰囲気において、800 〜1100℃、具体的には95
0 ℃の温度で30min の加熱処理を行っている。(図15
(C))
【0143】本実施例におけるこの熱酸化工程は主に3
つの目的を有しており、第1は結晶化の際に利用した触
媒元素(本実施例ではニッケル)のゲッタリング除去、
第2は熱酸化膜中にBイオンを取り込むことによるSi/S
iO2 界面のBイオン濃度の低減(または制御)、第3は
ゲイト絶縁膜1507、1508の形成、である。特
に、本発明の必須項目は第2の目的であるSi/SiO2 界面
のBイオン濃度の低減である。
【0144】図4からも明らかな様に、ニッケルに比べ
てボロンは拡散しにくい。例えば、上記熱酸化工程の処
理温度である950 ℃の場合、ニッケルの拡散係数は約 4
×10-8cm2/S であり、ボロンの拡散係数(約 4×10-14c
m2/S)の約10000 倍である。
【0145】従って、島状半導体層1504、1505
中のニッケルは速やかに移動してClイオンと結合し、
ニッケル塩化物となる。このニッケル塩化物は揮発性の
高い物質であるので気相中へと脱離し、膜中のニッケル
がゲッタリング除去される。
【0146】また、上述の熱酸化工程によるSi/SiO2
面近傍のBイオン及びPイオンの濃度は、実施例1と同
様に図5に示す。
【0147】また、本実施例では、この熱酸化工程で形
成された500 Åの熱酸化膜をゲイト絶縁膜として利用す
る。熱酸化膜をゲイト絶縁膜として用いた場合、Si/SiO
2 界面近傍のおける界面準位等を少なくすることができ
るので、極めて優れた電気特性を有するTFTとするこ
とができる。また、その膜厚は熱酸化工程の温度、時
間、雰囲気を変えることで調節することが可能である。
【0148】また、さらに本実施例の場合、この熱酸化
工程を950 ℃という比較的高い温度で行っているので、
島状半導体層1504、1505の結晶性が大幅に向上
する。これは、Clイオンによりニッケルがゲッタリン
グされた際に、ニッケルが脱離した後に残されたSiの未
結合手が隣接するSi同士で再結合してSi-Si 結合を形成
するからである。従って、結晶粒内の欠陥や粒界におけ
る欠陥が大幅に低減されて結晶性が向上するのである。
【0149】熱酸化工程を終えて図15(C)に示す状
態が得られたら、実施例1の図2(D)以降と同様に図
3(D)に示した様な半導体装置を形成する。
【0150】〔実施例8におけるTFTの説明〕本実施
例8に従って作製した図3(D)に示されるTFTの電
気特性(Id-Vg特性) は図16に示す様なものとなる。
図16において、1601で示される曲線(実線)はN
チャネル型TFTのId-Vg 特性、1602で示される曲
線(実線)はPチャネル型TFTのId-Vg 特性を示して
いる。また、1603で示される曲線(破線)は、本発
明の構成を用いない場合のPチャネル型TFTのId-Vg
特性である。なお、横軸はTFTのゲイト電圧(V
g)、縦軸はドレイン電流(Id)である。また、Id-V
g 特性の測定はドレイン電圧Vd=1Vの時として調べ
た。
【0151】本実施例では、Nチャネル型TFTのId-V
g 特性1601から計算により求めたしきい値電圧Vt
h,nは0.1 〜0.5V、少なくとも-0.2〜0.5Vの範囲に納ま
るものであった。また、Pチャネル型TFTのId-Vg 特
性1602から計算により求めたしきい値電圧Vth,pは
-0.05 〜-0.1V 、少なくとも-0.5〜0.2Vの範囲に納まる
ものであった。
【0152】また、従来例のId-Vg 特性1603と比較
すると、明らかに本発明を利用したId-Vg 特性1602
は正方向(矢印方向)側にシフトしていることが判る。
なお、破線で示されるId-Vg 特性1603より求めたし
きい値電圧は-1.5〜-1.0V 程度の範囲に納まるものであ
った。従って、このシフト量はコンマ数V程度の微小な
ものであり、従来のチャネルドープ技術では制御できな
い程、精密な制御であることが判る。
【0153】この事は、本発明により極めて精密にチャ
ネルドープを行うことができることを顕著に示してい
る。また、この発明は本実施例の様にチャネルドープを
しなくても十分にしきい値電圧が小さい様なTFTにお
いて、特に効果を発揮するものである。
【0154】本実施例を用いて作製される半導体装置
は、高速動作性に極めて優れる点が最大の特徴であるの
で、CMOS回路を構成して周辺駆動回路、特にシフト
レジスタ回路の様な高速動作性が要求される箇所に配置
するのが最も好ましいと言える。
【0155】また、本出願人は図3(D)に示した様な
CMOS回路を直列に奇数組接続して形成した閉回路
(リングオシレータ)を作製し、その周波数特性を調べ
たところ、図18に示す様な優れた周波数特性を実現す
ることが判明した。なお、測定は9、19、51組
(段)のCMOS回路を接続したリングオシレータで行
い、電源電圧と発振周波数の関係を求めた。
【0156】図18によると、例えば電源電圧10
(V)、9段のリングオシレータは123MHzの発振周波数
を実現しており、極めて動作速度が速いことが判る。こ
の様な結果は、前述の様にS値が極めて小さいことが大
きな要因の一つとなっている。従って、図18に示した
様な高速動作を可能とする回路を構成する場合、S値は
85mV/dec以下、好ましくは75mV/dec以下であることが必
要である。
【0157】なお、本実施例では石英基板上に形成した
結晶性珪素膜を用いて薄膜トランジスタを形成している
のであるが、この事も高い周波数特性を実現することに
寄与している。この事についての説明を以下に行う。
【0158】シリコンウェハー上に形成したMOSFE
Tでは、一般的に動作周波数fは時定数τに反比例し、
f=1/τの関係にあることが知られている。τは、容
量Cと抵抗Rとの積で表せるので、f=1/CRとも書
き換えられる。なお、容量Cとしてはゲイト容量、空乏
層容量、配線間容量、配線−基板間容量等が存在し、抵
抗Rとしてはソース/ドレイン間抵抗、配線抵抗等が存
在する。従って、動作周波数はこれら全ての容量および
抵抗によって決定される。
【0159】従来より動作周波数を大きくするために配
線抵抗の低減が活発に研究されたが、配線の微細化に伴
いそれも困難な状況となってくると、配線−基板間容量
の低減が注目を浴びた。これを可能としたのが SOI技術
であるが、それでも容量の低減が精一杯である。
【0160】しかし、近年活発化してきた薄膜トランジ
スタ技術はガラス基板や石英基板上に形成するという大
きな特徴のため、配線−基板間容量が存在しないという
利点を有している。本実施例に従って作製したTFT
は、性能的には(電気特性的には) SOI構造のTFTと
比べても何ら遜色のないレベルに達しているので、周波
数特性としては SOI構造のTFTを超えるものが期待で
きる。
【0161】また、動作周波数fはチャネル長Lの2乗
に反比例することが知られている。例えば、ICにおい
ては200MHzの高速動作を実現するために、チャネル長を
0.35μm以下とする必要があった。しかし、 SOI構造の
TFTではそれ以上のチャネル長あっても200MHzを達成
できる。況して、本実施例のTFTは配線−基板間容量
に分だけ SOI構造のTFTよりも優れているので、チャ
ネル長Lによりマージンを持たせることができる上、場
合によっては200MHz以上の高速動作を実現することも可
能と予想される。
【0162】以上の様に、本実施例では、チャネルドー
プによりPチャネル型TFTのしきい値電圧のみを制御
しているので、ウィンドウ幅が狭く、かつ、Id-Vg 特性
バランスが良い。特に、チャネルドープ後に添加イオン
の再分布を行い、チャネル形成領域のSi/SiO2 界面近傍
の添加イオン濃度を低減している事が本発明の最も大き
な特徴である。
【0163】これにより微妙なしきい値電圧の制御が可
能となり、本実施例で説明した様な、しきい値電圧が小
さく、極めて微妙な精度でチャネルドープを行うことを
要求される場合において、非常に有効な手段として活用
することができる。
【0164】〔活性層のEgの説明〕ところで、本出願
人は本実施例に従って形成した結晶性珪素膜の室温( 10
〜30℃) におけるエネルギーバンドギャップ(Eg)の
測定を行った。このEgの値は、結晶性珪素膜の光学吸
収スペクトルを測定して珪素膜の実効透過率の光学波長
依存性を求め、実効透過率が減少し始める吸収端におけ
る光波長の値を、E=hc/λで表される式を用いてエ
ネルギー値に変換して算出される値で定義することとし
た。
【0165】ここで、本実施例に示す結晶性珪素膜の光
学吸収スペクトルを測定した際の実験データを図19に
示す。図19において、横軸は通常の可視光領域の光波
長であり、縦軸は膜内を透過する前後における光強度の
比をとった実効透過率(膜面における反射光成分を排除
して計算した透過率)である。なお、珪素膜の膜厚は40
0 Åと600 Åの2種類を測定した。
【0166】珪素膜内を光が透過する時、珪素膜のEg
よりも大きいエネルギーを持つ波長領域の光は透過でき
ずに吸収され、Egよりも小さいエネルギーしか持たな
い波長領域の光は珪素膜を透過する事実から、光学吸収
スペクトルの吸収端の波長を持つ光のエネルギーがEg
に相当すると考えられる。
【0167】図19において、透過率が下がり始めるの
は光波長が約800nm 以下の領域であり、この800nm とい
う波長からEgを求めると約1.5eV であった。この計算
はアインシュタインの光子エネルギーの式、Eg=hc
/λ(h:プランク定数、c:光速、λ:光波長)から
求めた。
【0168】この様にして得られたEgはTFTの電気
特性と大きく関係している。例えば、本実施例で作製す
るTFTはエンハンスメント型のTFTであるので、ノ
ーマリオフ特性(非選択時においてTFTがオフ状態と
なる特性)でなくてはならない。そのためには、Egが
1.3eV 以上であることが重要となる。その理由を図17
を用いて以下に説明する。
【0169】ここで、図17に示すのは、ソース/ドレ
イン領域となる導電性領域1701、1702とチャネ
ル形成領域1703のバンド状態を模式的に表した図で
ある。なお、Pチャネル型TFTのチャネル形成領域に
は微妙にBイオンが添加されているためNチャネル型T
FTよりも僅かにΔEが小さいが、添加濃度が微妙であ
るためここではその差を無視して考える。
【0170】図17に示す様に、導電性領域1701
(または1702)はチャネル形成領域1703との間
にエネルギーバンド差(ΔE)を形成する。この時、Δ
Eが十分に大きくないと、非選択時においてもTFTが
オン状態(ノーマリオン)となり、いわゆるデプレッシ
ョン型TFTとなってしまう。
【0171】例えば SOI構造においてはEg=約1.1eV
であり、その場合、ΔEは0.5V程度と小さく、TFTは
ノーマリオンとなってしまっていた。そのため、チャネ
ルドープを行ってΔEの値を意図的に大きくすることで
ノーマリオフを実現するしかなかった。
【0172】しかし、図17においてEgの値が大きく
なれば必然的にΔEの値も大きくなることは自明であ
る。本出願人の知見によると、Egが1.3eV 以上であれ
ばΔEの値は、ノーマリオフを実現するに足る大きさに
なる。従って、本実施例のTFTをエンハンスメント型
TFTとするにあたって、Egが1.3eV であることは重
要なのである。
【0173】なお、Eg=1.3eV の場合、先程の光子エ
ネルギーの式から光波長を求めると約950nm である。従
って、前述の光波長800nm に±150nm の範囲を持たせた
領域、即ちEgが1.3 〜1.9eV 、好ましくは1.4 〜1.7e
V において、本実施例で示した様な高性能なTFTを得
ることができると考えられる。
【0174】〔実施例9〕実施例8ではHClガスを用
いて触媒元素(ニッケル)のゲッタリングを行ったが、
例えばNF3 、ClF3 ガス等のフッ素系ガスを用いる
こともできる。この場合、ゲッタリング処理の際に未結
合手がフッ素で終端されるが、Si−F結合はSi−H
結合よりも結合力が強いので好ましい。
【0175】また、NF3 ガスは実施例1のHClガス
よりも低温(600 〜800 ℃程度) で分解するので、加熱
処理の温度を低くすることができる。本実施例では酸素
に対してHClを0.1 〜10wt%、代表的には3wt%、N
3 ガスを0.1 〜3wt %、代表的には0.3wt%混合させた
雰囲気中において、700 ℃30〜60min の加熱処理を行
う。
【0176】以上の様に、ニッケルを除去した後にSi
の未結合手をSi同士で再結合させ、再結合しきれなか
った未結合手をフッ素で終端することで欠陥密度がさら
に低減する。また、加熱処理の温度を200 〜300 ℃も下
げることができるので製造過程におけるスループットを
向上させることができる。
【0177】また、酸素に対して水素を3wt%、ClF
3 ガスを0.3wt%混合させた雰囲気中において、500 〜60
0 ℃の温度範囲で30〜60min のウェット酸化処理を行う
ことでも同様の効果を得ることが可能である。この場合
はさらに、Cl元素とF元素とでニッケルのゲッタリン
グが行われるといった利点がある。
【0178】〔実施例10〕本明細書で開示する発明
は、TFT(Thin Film Transistor、薄膜トランジス
タ)に代表される半導体装置を利用した電気光学装置に
応用することが可能である。電気光学装置としては、液
晶表示装置、EL(エレクトロルミネッセンス)表示装
置、EC(エレクトロクロミックス)表示装置などが挙
げられる。
【0179】また、応用商品としてはTVカメラ、パー
ソナルコンピュータ、カーナビゲーション、TVプロジ
ェクション、ビデオカメラ等が挙げられる。それら応用
用途の簡単な説明を図20を用いて行う。
【0180】図20(A)はTVカメラであり、本体2
001、カメラ部2002、表示装置2003、操作ス
イッチ2004で構成される。表示装置2003はビュ
ーファインダーとして利用される。
【0181】図20(B)はパーソナルコンピュータで
あり、本体2101、カバー部2102、キーボード2
103、表示装置2104で構成される。表示装置21
04はモニターとして利用され、対角十数インチもサイ
ズが要求される。
【0182】図20(C)はカーナビゲーションであ
り、本体2201、表示装置2202、操作スイッチ2
203、アンテナ2204で構成される。表示装置22
02はモニターとして利用されるが、地図の表示が主な
目的なので解像度の許容範囲は比較的広いと言える。
【0183】図20(D)はTVプロジェクションであ
り、本体2301、光源2302、表示装置2303、
ミラー2304、2305、スクリーン2306で構成
される。表示装置2303に映し出された画像がスクリ
ーン2306に投影されるので、表示装置2303は高
い解像度が要求される。
【0184】図20(E)はビデオカメラであり、本体
2401、表示装置2402、接眼部2403、操作ス
イッチ2404、テープホルダー2405で構成され
る。表示装置2402に映し出された撮影画像は接眼部
2403を通してリアルタイムに見ることができるの
で、使用者は画像を見ながらの撮影が可能となる。
【0185】以上の様に、本発明の応用範囲は極めて広
く、様々な半導体回路を有する製造品に適用することが
可能である。
【0186】
【発明の効果】本明細書に開示する発明を実施すること
で、従来のチャネルドープ技術をより精密に行うことが
できる。具体的には、従来数Vオーダーで制御されてい
たしきい値電圧をコンマ数Vオーダーで制御することが
可能となる。
【0187】特に、極めて優れた特性を有するTFT
(例えば、しきい値電圧の絶対値自体が極めて小さく制
御が困難)に対しては、本発明は非常に有効であり、ゲ
イト電圧の駆動電圧、延いては消費電力にまで影響を及
ぼすウィンドウ幅を少なくとも1V以下、具体的には0.
4 〜1.0Vの範囲に納めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 薄膜トランジスタの構造および特性を示す
図。
【図2】 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図3】 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図4】 温度の拡散係数の関係を示す図。
【図5】 Si/SiO2 界面におけるドーパントの分布状
態を示す図。
【図6】 薄膜トランジスタの特性を示す図。
【図7】 Si/SiO2 界面におけるドーパントの分布状
態を示す図。
【図8】 Si/SiO2 界面におけるドーパントの分布状
態を示す図。
【図9】 シリコンゲイトTFTの構造を示す図。
【図10】 SRAMの回路構成を示す図。
【図11】 CMOSにおける活性層の構成を示す図。
【図12】 CMOSにおける活性層の構成を示す図。
【図13】 アクティブマトリクス型表示装置の構成を
示す図。
【図14】 シフトレジスタ回路の構成を示す図。
【図15】 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図16】 薄膜トランジスタの特性を示す図。
【図17】 Egを説明するためのバンド図
【図18】 CMOS回路の周波数特性を示す図
【図19】 透過光の光波長依存性を示す図
【図20】 半導体装置の応用例を示す図。
【符号の説明】
101 ガラス(または石英)基板 102 酸化珪素膜 103 Nチャネル型TFTの活性層 104 Pチャネル型TFTの活性層 105 ゲイト絶縁膜 106、107 ゲイト電極 108 層間絶縁膜 109、110 ソース電極 111 ドレイン電極 112 保護膜
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 29/78 618D 622 627G

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁表面を有する基板上に形成されたNチ
    ャネル型半導体装置およびPチャネル型半導体装置とを
    相補的に組み合わせたCMOS構造を有する半導体装置
    において、 前記Pチャネル型半導体装置の活性層のみには、少なく
    ともチャネル形成領域を含む一部の領域においてP型を
    付与する不純物元素が意図的に添加されており、 前記不純物元素の深さ方向の濃度分布は、前記活性層の
    主表面近傍において前記主表面に向かって連続的に減少
    し、 前記主表面近傍に残存する前記不純物元素がしきい値電
    圧の制御に利用されることを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】絶縁表面を有する基板上に形成されたNチ
    ャネル型半導体装置およびPチャネル型半導体装置とを
    相補的に組み合わせたCMOS構造を有する半導体装置
    において、 前記Pチャネル型半導体装置の活性層には、少なくとも
    チャネル形成領域を含む領域においてP型を付与する不
    純物元素が意図的に添加されており、 前記Nチャネル型半導体装置の活性層には、少なくとも
    エッジ部分を含む領域においてP型を付与する不純物元
    素が意図的に添加されており、 前記不純物元素の深さ方向の濃度分布は、前記活性層の
    主表面近傍において前記主表面に向かって連続的に減少
    し、 前記主表面近傍に残存する前記不純物元素がしきい値電
    圧の制御に利用されることを特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記Pチャネル型半導
    体装置の活性層における少なくともチャネル形成領域を
    含む領域には、少なくともチャネル形成領域内において
    エッジ部分が含まれないことを特徴とする半導体装置。
  4. 【請求項4】請求項1または請求項2において、前記半
    導体装置の活性層に対して熱酸化処理を施すことにより
    得られた熱酸化膜はゲイト絶縁膜として利用され、 前記熱酸化膜中における前記不純物元素の濃度は 1×10
    17〜 1×1020/cm3であることを特徴とする半導体装置。
  5. 【請求項5】請求項1乃至請求項4において、前記活性
    層の膜厚は100 〜1000Åであることを特徴とする半導体
    装置。
  6. 【請求項6】請求項1または請求項2において、前記N
    チャネル型半導体装置のしきい値電圧は 0.1〜0.5Vであ
    り、 前記Pチャネル型半導体装置のしきい値電圧は-0.5〜-
    0.1V であり、 前記Nチャネル型半導体装置およびPチャネル型半導体
    装置のウィンドウ幅は0.2 〜1 V以内であることを特徴
    とする半導体装置。
  7. 【請求項7】絶縁性を有する基板上に結晶性珪素膜でな
    る第1および第2の活性層を形成する工程と、 前記第1の活性層に対してのみP型を付与する不純物元
    素を含有せしめる工程と、 前記第1および第2の活性層に対して熱酸化処理を施す
    ことにより前記第1の活性層表面に形成される熱酸化膜
    の内部に前記不純物元素を取り込む工程と、 を少なくとも有する半導体装置の作製方法であって、 前記不純物元素の深さ方向の濃度分布は、前記活性層の
    主表面近傍において前記主表面に向かって連続的に減少
    し、 前記主表面近傍に残存する前記不純物元素がしきい値電
    圧の制御に利用されることを特徴とする半導体装置の作
    製方法。
  8. 【請求項8】請求項7において、前記第1の活性層はP
    チャネル型半導体装置の活性層であり、 前記第2の活性層はNチャネル型半導体装置の活性層で
    あり、 前記Pチャネル型半導体装置およびNチャネル型半導体
    装置を相補的に組み合わせてCMOS構造とすることを
    特徴とする半導体装置の作製方法。
  9. 【請求項9】絶縁表面を有する基板上にP型を付与する
    不純物元素を含有せしめた結晶性珪素膜でなる第1の活
    性層および該不純物元素が含有されない第2の活性層を
    形成する工程と、 前記第1および第2の活性層に対して熱酸化処理を施し
    て熱酸化膜を形成する工程と、 を少なくとも有する、Nチャネル型半導体装置およびP
    チャネル型半導体装置とを相補的に組み合わせたCMO
    S型の半導体装置の作製方法であって、 前記第1の活性層は前記Pチャネル型半導体装置を、前
    記第2の半導体装置は前記Nチャネル型半導体装置を構
    成し、 前記熱酸化処理により前記第1の活性層の内部に含有さ
    れる前記不純物元素を前記熱酸化膜の内部に取り込み、 前記活性層の主表面における前記不純物元素の濃度を低
    減せしめ、 前記活性層の主表面に残存する前記不純物元素を利用し
    てしきい値電圧の制御を行うことを特徴とする半導体装
    置の作製方法。
  10. 【請求項10】絶縁表面を有する基板上にP型を付与す
    る不純物元素を含有せしめた結晶性珪素膜でなる第1の
    活性層および第2の活性層を形成する工程と、 前記第1および第2の活性層に対して熱酸化処理を施し
    て熱酸化膜を形成する工程と、 を少なくとも有する、Nチャネル型半導体装置およびP
    チャネル型半導体装置とを相補的に組み合わせたCMO
    S型の半導体装置の作製方法であって、 前記第1の活性層は前記Pチャネル型半導体装置を、前
    記第2の半導体装置は前記Nチャネル型半導体装置を構
    成し、 前記熱酸化処理により前記第1の活性層の内部に含有さ
    れる前記不純物元素を前記熱酸化膜の内部に取り込み、 前記活性層の主表面における前記不純物元素の濃度を低
    減せしめ、 前記活性層の主表面に残存する前記不純物元素を利用し
    てしきい値電圧の制御を行うことを特徴とする半導体装
    置の作製方法。
  11. 【請求項11】請求項10において、前記Nチャネル型
    半導体装置の活性層には、少なくともエッジ部分を含む
    領域に対して前記不純物元素が添加され、 前記Pチャネル型半導体装置の活性層には、少なくとも
    チャネル形成領域内においてはエッジ部分を含まない領
    域に前記不純物元素が添加されることを特徴とする半導
    体装置の作製方法。
  12. 【請求項12】請求項7乃至請求項11において、前記
    活性層の膜厚は100 〜1000Åであることを特徴とする半
    導体装置の作製方法。
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