JPH1079118A - 磁気記録カード用基材およびその製造法 - Google Patents

磁気記録カード用基材およびその製造法

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JPH1079118A
JPH1079118A JP8232874A JP23287496A JPH1079118A JP H1079118 A JPH1079118 A JP H1079118A JP 8232874 A JP8232874 A JP 8232874A JP 23287496 A JP23287496 A JP 23287496A JP H1079118 A JPH1079118 A JP H1079118A
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magnetic
fiber
sheet
polyester
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JP8232874A
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Kozo Maeda
浩三 前田
Mikio Matsuoka
幹雄 松岡
Kiyoshi Miyagi
清 宮城
Tasuku Kamisaka
佐 上坂
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 磁気記録カードの真偽判別手段として、感磁
性繊維によるカード表面の凹凸を無くして、磁気ヘッド
による固有情報の読み取りが確実に行えるようにし、感
磁性繊維の配設位置や配設パターンを外部から感知不能
とし、安定した再生出力を得られるようにして、偽造・
改ざんが不可能で、高性能の磁気記録カード用基材およ
び製造法を提供する。 【解決手段】 2層のポリエステル系樹脂を主たる成分
とするフィルム層間に、感磁性繊維を含むシート体と高
分子接着剤および要すれば架橋剤とからなる中間層を積
層してなる複合シートにおいてフィルム層の厚みT1
2 中間層の厚みT3 、各々の関係が、 0.1T1 <T3 <1.5T2 (但し T1 ≦T2 ) を満足させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録カード用
基材およびその製造法に関し、例えばテレホンカードや
鉄道カード、パチンコカードなどのプリペイドカードや
IDカード等を含めた各種カード等の様に、真正さが要
求される磁気記録カードにおける真偽判別を極めて確実
に行えると共に、偽造・改ざんが不可能な様に工夫され
た磁気記録カード用の基材およびその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録方式を活用した各種プリ
ペイドカードやIDカードなどのカードシステムは、例
えばテレホンカード、鉄道・バスやハイウエイなどの交
通カード、パチンコに代表される各種レジャーカード、
ポイントカード、会員証や流通・金融カードなど、数多
くの分野で社会生活に定着し利用されるに至っている。
しかし、その利用分野が広がるとともに、記録情報の読
み取りや再加工のための技術も高度化され、各種分野に
おいて偽造・改ざん等の被害が増大し、もはや軽視しえ
ない大きな社会問題となりつつある。
【0003】一方、こうした現状に鑑み、偽造・改ざん
の防止方法や対策についても多くの技術が開発・提案さ
れており、例えば磁気記録カードについては、磁気シー
ルド等により記録データの読み取りを防止する方法など
も開発されているが、同時に偽造・改ざんの技術もなお
一層精緻・高度化され、従来のセキュリティ対策のみで
は対応しきれなくなって来ているのが実情である。こう
した状況のもと、磁気記録カードの真偽判定をより確実
に行うための新しい考え方も幾つか提案されはじめてい
る。例えば特開平6−227187号公報の如く不織布
状の感磁性繊維を真偽判別層として利用した磁気記録カ
ード等が提案されている。この公開技術は、磁気記録カ
ードにおける本来の記録データに加えて、当該カードが
真正なものであるあるか否かを判別するための真偽判別
部として不織布状の感磁性繊維を内蔵せしめ、該感磁性
繊維層を真偽判別のための記憶部として活用し、カード
の偽造を予め防止するものであり、感磁性繊維がランダ
ム方向に複雑に絡み合って偶然性による固有の情報を持
ち、殆ど再現不能の情報記録部となり得る事から、カー
ドの偽造は極めて困難になるものと考えられる。
【0004】この様に、感磁性繊維を用いた真偽判別手
段は非常に有効な手段と考えられるが、本出願人の知る
限りにおいては、現実の磁気記録カードに実用化された
ものは市販されるに至っていない。その最大の理由は、
通常プラスチックシートによって構成されるカード基材
の間に感磁性繊維不織布を挟み込むと、その繊維位置が
カード表面に凹凸となって表れるとともに、該感磁性繊
維のパターンがカード表面に浮き出し、磁気ヘッドによ
る記録読み取りが困難になること、また積層接合時の圧
力を高めるなど表面凹凸を無くしたとしても、感磁性繊
維の配設位置に大きな圧接力がかって該配設位置がカー
ド表面に縞状に表れ、感磁性繊維の配設位置を外部から
簡単に感知出来るようになり、ひいてはその部分の真偽
判別情報が比較的簡単に読み取られる恐れがあるために
よると考えられる。従って、感磁性繊維を用いることの
利点をより有効に生かすには、該感磁性繊維の配設によ
って生じる凹凸を無くすとともに、該配設位置や感磁性
繊維のランダム配列パターンを外部から感知出来なくす
るための工夫が必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な事情に着目して成されたものであって、その目的は、
真偽判別手段として感磁性繊維を利用する技術をさらに
改善し、特に感磁性繊維がランダム方向に複雑に絡み合
って偶然性による固有の情報を持ち、殆ど再現不能に配
設された該感磁性繊維の配設によって生じる凹凸を無く
すとともに、該配設位置や感磁性繊維のランダム配列パ
ターンを外部から感知出来なくすることにより、偽造・
改ざんを確実に防止できる技術を確立しようとするもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らは鋭意検討の結果、磁気記録カード用基材
として、2層のポリエステル系樹脂フィルム層間に特定
条件を満足する如く感磁性繊維を含むシート体を配する
ことおよび、それを特定条件下において製造することに
より、感磁性繊維の配設によって生じることのあるカー
ド表面の凹凸を無くし、磁気ヘッドによる読み取りを確
実にするとともに、該感磁性繊維の配設パターンを前記
ポリエステル樹脂層の表面側から感知できない様にする
ことが可能となり偽造・改ざんを確実に防止できること
を見出したものである。
【0007】即ち本発明は、同種または異なった
(A)、(B)2層のポリエステル系樹脂を主たる成分
とするフィルム層間に、構成の一部または全部が、感磁
性繊維よりなるシート体(C)を高分子接着剤(D)及
び要すれば、架橋剤(E)とにより積層してなる複合シ
−トであって(A)および(B)層の各々の厚みを
1 、T 2 、(C)ならびに(D)および/または
(E)とからなる中間層の厚みT3 の関係が下式 0.1T1 <T3 <1.5T2 (但し T1 ≦T2 ) (1) を満足し該複合シートの総厚みTが1000μm以下で
あることを特徴とする磁気記録カード用基材であり、ま
た、本発明の他の1つは、同種または異なった(A),
(B)2層のポリエステル系樹脂を主成分とするフィル
ム層間に、構成の1部または全部が感磁性繊維よりなる
シート体(C)を、高分子接着剤(D)及び要すれば、
架橋剤(E)とにより積層してなる複合シ−トを製造す
るに当たり、高分子接着剤(D)または高分子接着剤
(D)と架橋剤(E)を含む、接着剤溶液(S)の層間
への供給厚みTS が、該感磁性繊維を含むシート体
(C)の見掛け厚みTC に対し 0.6TC <TS <5.0TC (2) であることを満足する如く、供給した後、乾燥し
(A),(B)層間での加圧、貼りあわせを行うことを
特徴とする磁気記録カード基材用複合シ−トの製造法で
ある。
【0008】本発明におけるポリエステル系樹脂とは、
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸
の如き芳香族ジカルボン酸またはそのエステルとエチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、1、4−ブタン
ジオール、1、6−ヘキサメチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコールの如きグリコール類とを重縮合させて
得られる如きポリエステルを主体とするものである。勿
論、ポリエステル系樹脂の成分として共重合可能な芳香
族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸類や、芳香族、脂肪
族、脂環族のグリコール類を含んでいてもよいことは言
うまでもない。これらのポリエステルは芳香族ジカルボ
ン酸とグリコールとを直接反応させ、重縮合させるほ
か、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコー
ルとをエステル交換反応させた後重縮合させるか、ある
いは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮
合させる等の方法によって製造させる。かかるポリエス
テルの代表例としてはポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン2、6
−ナフタレート等が挙げられる。このポリエステルはホ
モポリマーであってもよく、第三成分を共重合したもの
であってもよい。いずれにしても本発明においては、エ
チレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチ
レン2、6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ま
しくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以
上であるポリエステルが好ましい。
【0009】上記ポリエステル系樹脂を用いたフィルム
により本発明の磁気記録カード用基材を得る場合、該ポ
リエステル樹脂層は2軸延伸配向されていることがカー
ドの強度、腰など実用性の点から特に好ましい。また、
本発明のポリエステル系樹脂を主たる成分とするフィル
ム層はその一部もしくは全部が不透明である必要があ
る。不透明なポリエステル系樹脂層は特に限定されない
が、通常は無機粒子あるいはプラスチックと非相溶の樹
脂の添加により得ることが出来る。不透明度は、光学濃
度0.3以上であることが望ましく、0.5以上である
ことが特に好ましい。光学濃度が0.3未満である場合
にはカードとした場合に感磁性繊維の配設位置が光学的
に感知しやすくなるとともに、表に印刷を施した場合に
印刷効果が不鮮明となり好ましくない。
【0010】このような光学濃度を得る方法は特に限定
されないが、通常は無機粒子或いはポリエステルと非相
溶の樹脂の添加により得ることが出来る。添加する量は
特に限定されないが無機粒子の場合5〜35重量%、好
ましくは8〜25重量%である。一方、非相溶性の樹脂
を添加する場合は、5〜35体積%、好ましくは8〜2
8体積%である。使用する無機粒子は特に限定されない
が、平均粒径0.1〜4μm、好ましくは0.3〜1.
5μmの無機粒子を挙げることが出来る。具体的には、
酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カル
シウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレー
など或いはこれらの混合物であり、更に、他の一般的無
機粒子例えばリン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、
ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ
化カルシウムその他と併用しても良い。また、ポリエス
テルと非相溶の樹脂としては、特に限定されないが、例
えば、ポリエチレンテレフタレートと混合するケースに
ついて言えば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリメチルペンテン、変成オレフィン樹脂、ポ
リスチレン、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、フェ
ノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネ
ートなどを挙げることが出来、当然のことながら上記無
機粒子と併用することが出来る。また必要に応じて種々
の増白剤を添加してもよいことは言うまでもない。
【0011】さらに、本発明の複合シートにおけるポリ
エステル系樹脂層は、少なくともその1層が微細空洞含
有熱可塑性ポリエステル樹脂によって構成されているこ
とが好ましい。ポリエステル系樹脂層が微細空洞を有す
ることにより、該樹脂層の柔軟性が向上し、感磁性繊維
の配設よって生じやすい凹凸が吸収され表面に現れにく
くなることにより特に効果的である。また、含有する微
細空洞がマトリックスとの界面において光散乱を起こす
ことにより不透明度が一段と向上し、前記無機粒子の添
加を減らすことが出来、特に有用である。更に、微細空
洞を含有せしめることにより、該樹脂層自体を軽量化で
きるため、取扱いが容易になると共に、原料コストダウ
ンや輸送コストダウンなど経済的効果も大きなものとな
る。
【0012】この様な、微細空洞含有熱可塑性ポリエス
テル樹脂層を得る方法としては、該熱可塑性ポリエステ
ル樹脂マトリックスに対し、前述の非相溶樹脂を添加混
練りし微粒子状に分散させたシートを少なくとも一軸方
向に延伸することにより、該非相溶樹脂微粒子の周囲に
空洞を発生させる方法など、既に開示されている公知の
方法を用いることが出来る。より具体的には、例えば、
熱可塑性樹脂マトリックスとしてのポリエステルに対し
非相溶樹脂としてポリオレフィン系樹脂や、ポリスチレ
ン系樹脂、ポリアリレート樹脂などを混合し延伸する方
法があり、特にポリプロピレンや、ポリスチレンは、空
洞が出来やすい点や密度が低い点、安価である点で特に
好ましい。このような熱可塑性ポリエステル樹脂混合物
は、例えば、各樹脂のチップを混合し押出し機内で溶融
混練りした後、押出しして固化することによって得られ
る方法や、予め混練り機によって両樹脂を混練りしたも
のを、更に押出し機より溶融押し出しして固化する方法
や、ポリエステルの重合工程においてポリエステルに非
相溶性の熱可塑性樹脂を添加し、攪拌分散して得たチッ
プを溶融押出しして固化する方法等によって得られる。
固化して得られたポリエステル樹脂層未延伸シ−トは通
常、無配向若しくは弱い配向状態のものである。また、
ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂はポリエステル
中に、球状若しくは楕円球状、若しくは糸状等様々な形
状で分散した形態を取って存在する。該樹脂混合物に
は、前述の無機粒子はもちろん、本発明の目的を阻害し
ないかぎり、耐光剤、蛍光剤、帯電防止剤など各種の添
加剤を併用しても良いことは言うまでもない。
【0013】こうして得た樹脂混合物は、更に速度差を
持ったロール間での延伸や、クリップに把持して拡げる
ことによる延伸や、空気圧によって拡げることによる延
伸やその組み合わせなどによって、少なくとも1軸に配
向処理する。このとき分散された該ポリエステルに非相
溶の熱可塑性樹脂とポリエステルとの界面で剥離が起こ
り、樹脂混合物に空洞が多数発生する。ポリエステルに
混合させる該ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂の
量は、目的とする空洞の量によって異なるが樹脂混合物
全体に対し、3〜39%が好ましく、特に8〜35重量
%が好ましい。3重量%未満では、空洞の生成量を多く
することに限界があり、目的の柔軟性や軽量性を得られ
ない。逆に40重量%以上ではポリエステル樹脂の持つ
耐熱性や強度、特に腰の強さが著しく損なわれ好ましく
ない。得られる空洞含有ポリエステル樹脂層の平均空洞
含有率は10体積%以上、50体積%以下であることが
好ましい。
【0014】さらに、本発明のポリエステル系樹脂を主
たる成分とするフィルム層は少なくとも一方の表面が易
接着処理がなされていることが好ましい。易接着処理の
方法としては、公知の方法を適用することができるが、
例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線(U
V)照射処理,放射線(EB)照射処理などの活性エネ
ルギー線照射による方法、火炎処理、更にPVD,CV
Dなどのベーパーデポジット法や、易接着性の樹脂など
を主剤とする組成物を該ポリエステル樹脂フィルム層表
面に塗布する方法等が挙げられる。なかでも、表面に塗
布層を設ける方法が、本発明の構成における感磁性繊維
よりなるシ−ト体および高分子接着剤層との接着性の観
点や、カード用基材として磁気記録媒体層や印刷インキ
層その他のコーティング剤との接着性の観点から、もっ
とも有効な方法の一つである。この様な塗布層を構成す
る組成物としては、ポリエステル系樹脂が好ましいが、
この他にも、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂およ
びこれらの混合物や共重合物などの通常のポリエステル
フィルムの接着性を向上させる手段ととして開示されて
いる化合物などが適用可能である。
【0015】また、塗布層を設ける手段としては、グラ
ビアコート、リバースコート、キスコートなどのロール
コート方式、バーコート方式、エアナイフ方式、ブレー
ドコート方式やコンマコート方式、カーテンコート方
式、スプレイ方式、ディップ方式など通常用いられてい
る方法を適用することができる。塗布する段階として
は、延伸配向処理を行う前のポリエステル樹脂組成物層
表面にあらかじめ塗布する方法、1軸方向に配向した該
樹脂組成物フィルム表面に塗布し、それを更に直角方向
に配向させる方法、2軸配向処理の終了した該樹脂組成
物フィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可
能であるが、特に1軸配向したフィルム表面に塗布した
後直角方向の延伸配向、結晶化を完了させる方法が接着
効果、経済性、クリーン度等の点でもっとも好ましい方
法である。
【0016】本発明の磁気録カード用基材は、2層のポ
リエステル系樹脂よりなるフィルム層間に、少なくとも
その1部が、感磁性繊維よりなるシート体を有している
ことが必要である。感磁性繊維は、例えば特開平7−1
97311に開示された、微粒の磁性粒子を繊維形成性
の有機高分子中に均一に分散させ、紡糸する方法等、公
知の方法によって得ることが出来る。本発明では、この
様な感磁性繊維よりなるシート体を用いる。シ−ト体
は、該感磁性繊維単独あるいは、他の合成または天然の
高分子繊維と複合した不織布、織布、編布によって得ら
れる。他の繊維との複合の方法は例えば混紡、混撚、混
繊、交織、交編などの方法が用い得る。中でも、感磁性
繊維の配設のランダム性、強度、取扱性等の観点から、
該感磁性繊維と他の熱融着性高分子繊維を混抄し加熱し
て得られた如き不織布状のシートが最も好ましく用い得
る。この様な感磁性繊維の内、本発明の目的にはその繊
維径が5μm以上、60μm以下、より好ましくは5μ
m以上、40μm以下であることが望ましい。繊維径が
5μm未満では、その単繊維強度が不十分となり安定し
たシート状態を維持するのが困難となる。また、60μ
mを超える場合には、複合基材層表面の凹凸が目立ちや
すくなるため、好ましくない。
【0017】該シ−ト体における感磁性繊維の必要量は
シ−ト1m2 当たり1〜30gでありより好ましくは3
〜20gである。1g未満の場合にはで感磁性繊維によ
る真偽情報の記録効果が不十分となり、本発明の目的の
効果を得ることが出来ない。また、30gを超える場合
には複合基材表面からの感知がし易くなると共に感磁性
繊維のランダム性が損なわれ易くなるため好ましくな
い。また該シ−ト体は、見掛け厚みが10μm以上、1
50μm未満、好ましくは10μm以上、100μm未
満、特に好ましくは20μ以上、100μm未満である
場合が望ましい。シート厚みが10μm未満の場合に
は、シ−ト体としての強度が十分でなく取扱が困難であ
るとともに、感磁性繊維の密度も不十分となりやすい。
また、シ−ト体厚みが150μm以上の場合には、複合
基材シートの総厚みが厚くなりすぎると共に該基材シー
ト表層からの感磁性繊維の配設位置が感知し易くなった
り、感磁性繊維の密度が必要以上に高くなりすぎるなど
不都合な結果を生じやすいので好ましくない。
【0018】本発明では、上記の感磁性繊維よりなるシ
−ト体を、2層のポリエステル系樹脂フィルム層間に接
合するために、高分子接着剤を用いて積層する。ここに
言う高分子接着剤とは、予め重合、重縮合反応等により
2次元あるいは2次元の長鎖高分子量化されたものは当
然のことながら、使用前の時点で低分子或いはオリゴマ
ー状であっても接着工程において反応温度、時間などに
より、2次元あるいは3次元の高分子化合物となる如き
接着剤であっても良い。これらの高分子接着剤として
は、基本的には、ポリエステル系樹脂フィルム層と感磁
性繊維を含むシ−ト体とを接合可能なものであれば任意
に選択し得るが、なかでも芳香族ポリエステルを一成分
として含有するポリエステル系またはポリエステルウレ
タン系樹脂からなる接着剤である場合が、優れた層間接
着力や強度を得られやすく好ましく用い得る。この様な
ポリエステル系またはポリエステルウレタン系接着剤の
例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン
ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類、コハク酸、
アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジ
カルボン酸類、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸な
どの不飽和脂肪族ジカルボン酸類、テトラヒドロフタル
酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン
酸などの脂環族ジカルボン酸類など二塩基酸類およびト
リメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの三
および四塩基酸類など多塩基酸と、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブタン
ジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、トリメチルペンタンジオール、シクロ
ヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサ
イド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサ
イド付加物、水素化ビスフェノールAのプロピレンオキ
サイド付加物、などの脂肪族および脂環族ジオール類や
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ポリテトラメチレングリコールその他の高分子ジオール
類、さらにはトリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのトリ
およびテトラオールなどの多価アルコール類またはこれ
以外の比較的高分子のジオールとしてε−カプロラクト
ンなどのラクトン類を開環重合して得られるラクトン系
ポリエステルジオール類との重縮合によって得られる単
独あるいは共重合ポリエステル系樹脂が、またこれらの
ポリエステル型ポリオールおよび、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール、ポリヘキサメチレングリコールのようなポ
リアルキレングリコール類などのポリアルキルエーテル
類やポリフェニレンオキサイドなどのポリアリールエー
テル類などのポリエーテル型ポリオール成分とポリイソ
シアネート類と反応させることによって得られるポリウ
レタン系樹脂が挙げられる。上記ポリイソシアネート類
としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ビフェニ
ルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、テトラメチレンジイソシアネート、ジメトキシ
ビフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシア
ネート、ジメチルビフェニレンジイソシアネート、ジフ
ェニレンジイソシアネート、ジイソシアネートジフェニ
ルエーテル、キシリレンジイソシアネート、ジイソシア
ネートメチルシクロヘキサン、ジイソシアネートジシク
ロヘキサン、ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、
イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート化
合物などがある。このうち、得られたウレタン系プレポ
リマーをさらにジオール類やジアミン類などによって鎖
延長したものがより有効に用い得る。鎖延長剤としての
ジオール類は先述のジオール類のうち、ブタンジオー
ル、ヘキサンジオール等が、ジアミン類としてはエチレ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が有効であり代
表的に用い得る。
【0019】これらのうちポリウレタン系接着剤におい
てはポリオール成分としてポリエステルポリオール成分
を含んでいることが必要である。ポリオール成分がポリ
エーテルポリオールのみから形成されたポリウレタンで
ある場合は本発明の層間接着剤としての物性や耐熱性な
どが不十分であり好ましくない。もちろん、ポリエステ
ルポリオールを含むポリエステルウレタンの共重合成分
として先に挙げたポリエーテルポリオールを含んでいる
ことは一向に差し支えない。また、ポリエステル系樹脂
接着剤においては、芳香族成分を含んでいることが必須
である。その含有量としては酸成分またはアルコール成
分のうちいずれかの30モル%以上が芳香族成分である
ことが望ましい。ポリエステル系樹脂接着剤が全て脂肪
族成分からなる場合には、本発明の層間接着剤としての
物性や耐熱性などが不十分であり好ましくない。さら
に、これら高分子接着剤成分はそのガラス転移温度が−
20℃から80℃の範囲であることが望ましく、−10
℃から60℃であることが特に望ましい。ガラス転移温
度が−20℃未満の場合には層間接着剤としての物性や
耐熱性が不十分となり、80℃を超える場合には接着剤
層がもろく層間接着力が得られにくい。
【0020】本発明の高分子接着剤層には上記の接着剤
に加えて架橋剤を併用することが望ましい。併用すべき
架橋剤としては、ブロックされた、またはフリーのイソ
シアネート基を有する多官能イソシアネート化合物、あ
るいはエポキシまたはグリシジル基を有する多官能エポ
キシ化合物、官能性アルキロール基を有する多官能メラ
ミン系化合物から選ばれた1種以上を用いることが望ま
しい。中でも、前述のポリエステル系樹脂またはポリエ
ステルウレタン系樹脂接着剤との組み合わせとしては、
多官能イソシアネート化合物である場合が好ましく、特
に、3官能以上のイソシアネートが好ましく用い得る。
この様な多官能イソシアネート化合物としては、メチル
ベンゾールトリイソシアネート、ビフェニルトリイソシ
アネート、ジフェニルメタントリイソシアネート、トリ
フェニルメタントリイソシアネート、グリセリンやトリ
メチロールプロパンなどの多価アルコールにジイソシア
ネート単量体を付加せしめたアダクト体によるポリイソ
シアネートなどを例示することが出来る。これら多官能
化合物の配合量は、ポリエステル系樹脂またはポリエス
テルウレタン系樹脂の求核性基例えば、−OH,−N
H,−COOHとの当量関係を考慮し、添加量を決定す
ることが好ましく、通常は重量比で70/30〜99.
9/0.1が好ましく、80/20〜99.5/0.5
の範囲が特に好ましく用いられる。
【0021】本発明の2層のポリエステル系樹脂フィル
ム、感磁性繊維を含むシ−ト体および上述の様な高分子
接着剤組成物よりなる複合シ−トの有効な構成は、ポリ
エステル系樹脂フィルム層の厚みと、中間に位置すべき
感磁性繊維含有シ−ト体と高分子接着剤組成物からなる
中間層の厚みとの相対的関係によって決定される。即
ち、感磁性繊維含有シート体および高分子接着剤組成物
からなる中間層の厚みT3 は、ポリエステル系樹脂フィ
ルム層のいずれかの厚みT1 およびT2 の薄い方の0.
1倍〜厚い方の1.5倍の範囲にあることが好ましい。
また、得られる積層複合シ−トの総厚みは1000μm
以下であることが望ましい。この場合、2層のポリエス
テル系樹脂フィルム層の厚みT1 、T2 はそれぞれ同一
であっても異なっていても特に限定はされないが、同一
である場合が、カールなど積層複合シ−ト特性の均一性
などの観点から好ましい。ここでは、T1 とT2 の関係
をT1 ≦T2 とすると、T3 がT1 の0.1倍未満であ
る場合には、感磁性繊維による真偽情報の記録効果が不
十分となり、本発明の目的の効果が得られにくいため好
ましくない。T3 がT2 の1.5倍を超える場合には複
合基材シートの総厚みが厚くなりすぎると共に該基材シ
ート表層からの感磁性繊維の配設位置が感知し易くなっ
たり、感磁性繊維の密度が必要以上に高くなりすぎるな
ど不都合な結果を生じやすく、また経済的な観点からも
好ましくない。また、複合基材シートの総厚みが100
0μmを超える場合には、経済的に不利であるばかりで
なく、カードとしたときのリーダー/ライターとの適合
性に問題が出たり、磁気塗工、印刷、打ち抜きなどカー
ドとしての加工適性に問題が生じやすいため好ましくな
い。
【0022】つぎに、上記の如き磁気記録カード用基材
としての複合シートを好適に得るための製造方法につい
て説明する。本発明の複合基材シ−ト製造するにあたっ
ての第一の特徴は、2層のポリエステル系樹脂フィルム
層間に位置すべき中間層を構成する、感磁性繊維を含む
シ−ト体と、必要により架橋剤を含む高分子接着剤組成
物の相対的な関係にある。ここにおいて、供給される該
高分子接着剤組成物の形態は有機溶剤系、または水系の
溶液または分散液状であることが望ましい。これらシ−
ト体を積層するためのラミネート法としては、この他に
高分子接着剤を溶融押し出しする方法や、粉状、粒状、
シート状、布状などのホットメルトタイプの高分子接着
剤を層間に供給しつつ加熱する方法なども考えられる
が、本発明者らが鋭意検討の結果、本発明における不織
布状などの多量の空隙を有する感磁性繊維を含むシ−ト
体の空隙を十分に埋め、良好な層間接着力を確保しつ
つ、繊維状磁性体による凹凸が複合基材シ−ト表層に現
れないようにするには、高分子接着剤組成物を溶液また
は分散液の状態で感磁性繊維を含むシ−ト体の厚みに対
し、特定の範囲で供給した場合がもっとも好適であるこ
とを見いだしたものである。即ち、複合基材シ−トの中
間層において、供給すべき該高分子接着剤組成物の溶液
または分散液の厚みを、感磁性繊維を含むシ−ト体の見
掛け厚みの0.6倍から5.0倍となるように供給した
後、乾燥、加圧を行い貼り合わせた場合が最も好適な結
果を得ることができる。この場合、高分子接着剤組成物
は有機溶剤の溶液である場合が乾燥性、生産性等の観点
からより好ましい。該高分子接着剤組成物溶液の濃度
は、高分子接着剤の種類、架橋剤のタイプ、感磁性繊維
を含むシ−ト体の厚み、目付などによって適宜選択する
ことが出来るが、通常は、10重量%以上80重量%以
下であり、20重量%から50重量%の間である場合が
もっとも好ましい。
【0023】さらに、該高分子接着剤組成物溶液を感磁
性繊維を含むシ−ト体およびポリエステル系樹脂フィル
ムの層間に供給する方法としては、該感磁性繊維含有シ
−ト体を高分子接着剤組成物溶液中に、連続的に浸漬し
た後、ギャップ調整された一対以上のロールあるいはバ
ー、ナイフ等の間で上記の所定厚みとなるようにスクイ
ーズする方法、または、グラビアコート、リバースコー
ト、キスコートなどのロールコート方式、バーコート方
式、エアナイフ方式、ブレードコート方式やファウンテ
ンノズルなどのダイコート方式、コンマコート方式、カ
ーテンコート方式、スプレイ方式、およびこれらの組合
せなどの各種のコーティング方式により、高分子接着剤
組成物溶液を感磁性繊維を含むシート体の面上に片面ま
たは両面より所定量の厚みになる如く塗布する方法など
が好ましく用い得る。中でも、より具体的には、外層と
なるべき2層のポリエステル系樹脂フィルム層のうちの
1層の前記易接着処理された面上に感磁性繊維含有シー
ト体を重ね合わせ、該シート体面上からダイコート方式
により高分子接着剤組成物溶液の供給を行った後、直ち
に該重ね合わせシートを一対のロール間に導き塗布供給
量の計量を行う方法が、厚みが薄く実用強度が十分とは
言えない不織布状感磁性繊維含有シートへの安定な塗
工、および繊維間空隙への十分な浸透、平滑な面の形
成、フィルム/シート界面の接着面積確保など種々の観
点からもっとも好ましい方法である。
【0024】所定量の高分子接着剤組成物溶液が供給さ
れた後は、直ちに溶媒の乾燥が行われ、中間層を有する
2層のポリエステル系樹脂フィルムが、2本のロール間
に導かれ加熱圧着され貼り合わされる。乾燥は、高分子
接着剤組成物の量、濃度、溶媒の種類、加工の速度、風
量など種々の条件によって設定されなければならない
が、有機溶剤系の場合、温度は通常40℃〜160℃、
好ましくは50℃〜120℃の範囲から選ばれる。2本
のロール間で貼り合わせを行うに際し、各ロールの表面
温度が30℃〜150℃の範囲にあり、且つ複合シート
表裏面の温度差が50℃以内となる温度条件の方法を採
用した場合において特に好ましい結果を得ることが出来
る。さらに貼り合わせ時の圧力は、温度にもよるが線圧
で10〜400kg/cmの範囲から選ばれる場合、表面の
平滑性など好ましい結果を得ることが出来る。また、得
られた貼り合わせ複合シートは、接着剤組成物が架橋剤
成分を含む場合、20℃〜100℃で0.5〜100時
間、好ましくは30℃〜60℃で10〜50時間のエー
ジング処理を行うことにより、安定した良好な接着力を
得ることが出来る。以上のように、本発明の製造法にお
いては複合シート基材の中間層の感磁性繊維と高分子接
着剤組成物溶液の厚みの相対関係、特定の塗布方法、貼
り合わせ条件を満足することにより、感磁性繊維の配設
によって生じることのあるカード表面の凹凸を無くし、
磁気ヘッドによる読み取りを確実にするとともに、該感
磁性繊維の配設パターンをポリエステル系樹脂層の表面
側から感知できない様にすることが可能となり偽造・改
ざんを確実に防止できる、磁気記録カード用として非常
に優れた基材の提供を可能とすることが出来る。本発明
の複合シートを基材に磁気記録可能な媒体層を形成する
事により好ましい磁気記録カードが得られる。磁気記録
カードの構成としては、複合シート基材の片側表層に磁
気記録媒体層を塗布法により形成し、他の表層側に印刷
層を設けた構成や、さらに、該磁気記録媒体層側に感熱
記録層や保護層などを設けた構成などが、挙げられる。
このような構成のカードは、ランダムに配設された感磁
性繊維の存在により、高精度で真偽判別が可能であると
ともに、カードの表からはその配設位置を知ることが不
可能であり偽造をすることが出来ないものである。
【0025】実施例 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発
明はもとより以下の実施例によって制限を受けるもので
はない。尚、本実施例における種々の特性は以下の如く
して評価した。 (1) 基材フィルムの不透明度 マクベス濃度計TR−972型を使用し、Gフィルター
下での透過濃度を測定した。 (2) 各層厚みの判定 複合シートの断面写真より各層厚みを判定した。
【0026】(3) 配設位置の判りやすさ (3)−1 表面凹凸 表面粗さ計サーフコム304B(東京精密社製)を用
い、うねりモードで表面の凹凸状態を測定し、得られた
値を次のランクにより層別した。
【0027】(4) 出力変動 下記組成の磁性塗料を作製し、グラビアコート法により
複合シ−ト表面に塗布して厚さ10μmの磁気記録層を
形成した。得られた磁気記録媒体の再生出力を測定しそ
の変動により以下のように判定した。 出力変動が大きい × 出力変動ややあり △ 出力変動すくない ○ (磁性塗料の組成) Co被着γ−Fe2 3 75部 塩ビ/酢ビ系共重合樹脂 10部 ウレタン変成ポリエステル樹脂 15部 メチルエチルケトン 75部 トルエン 75部 イソシアネート系硬化剤 3部
【0028】(5) 印刷鮮映性 複合シ−トの磁気記録層を形成したとは他の面に、紫外
線硬化インキ((株)TOKA製ベストキュアー161
藍及び黄)を印刷、照射エネルギー500mJで紫外線
照射処理を行い印刷サンプルとした。得られたサンプル
を目視により以下のように判定した。 印刷部が不鮮明 × 印刷部がやや不鮮明 △ 印刷部が鮮明で判りやすい ○
【0029】(6) 層間接着性 複合シートの接合界面の接着力を、引っ張り試験機テン
シロン(東洋ボールドウイン(株)製)を用いて、T剥
離法により評価し、結果を以下のように判定した。 感磁性繊維層とフィルム層界面で剥離 × 感磁性繊維層が一部凝集破壊(界面剥離が混在)△ 感磁性繊維層が完全に凝集破壊 ○
【0030】実施例1 固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂8
0重量%と、メルトフローインデックス5.5g/10
分のポリスチレン15重量%およびルチル型酸化チタン
5重量%よりなる樹脂組成物を285℃で溶融し、表面
温度40℃のドラム上に押し出しし、次いで得られた未
延伸シートを90℃で3.5倍縦方向に延伸した。得ら
れた一軸延伸フィルムの両面に、水分散性ポリエステル
系樹脂を主成分とする易接着性水性コート剤をロールコ
ート法により塗布し、引き続き乾燥しつつ120℃で
3.5倍横方向に延伸した後、230℃で4%緩和させ
ながら熱処理し、厚さ100μmの内部に約25体積%
の微細空洞を含有する表面に易接着処理された白色ポリ
エステルフィルムロールを得た。得られた不透明度1.
2の易接着性白色ポリエステルフィルムに、Fe−Ni
を含むアクリルニトリル系共重合体からなる平均繊維径
20μm、平均繊維長4mmの感磁性繊維を目付量とし
て10g/m2 含む厚さ40μmの不織布状シート体を
重ね合わせ、ラミネート装置に供給し、該不織布状シー
ト体面上からダイコート方式により、酸成分としてテレ
フタル酸を70モル%含有する共重合ポリエステル系樹
脂(ガラス転移温度10℃)100重量部、トリメチロ
ールプロパンとトルイレンジイソシアネートの付加反応
物よりなる3官能イソシアネート化合物2重量部および
トルエン、メチルエチルケトンの混合溶媒234重量部
よりなる、高分子接着剤組成物溶液の供給を行った後、
直ちに該重ね合わせシートを一対のロール間に導き、該
高分子接着剤組成物溶液の供給厚みが120μmとなる
ように塗布供給量の計量を行い、直ちに60℃で溶媒の
乾燥を行い、該塗布供給面上に前述の厚さ100μmの
易接着性白色ポリエステルフィルムをもう1層重ね合わ
せた後、中間層を有する2層のポリエステル系樹脂フィ
ルムを、2本のロール間に導き、加熱圧着し貼り合わせ
を行った。この場合、該不織布状シート体と高分子接着
剤組成物より成る中間層の乾燥厚みは50μmであり、
得られた複合シートの総厚みは250μmであった。加
熱圧着の際の2本のロールの表面温度はいずれも80
℃、ロール間の圧力は100kg/cmであった。得られた
複合シートは室温40℃下に24時間静置しエージング
処理を行い評価に供した。評価結果を表1に示す。
【0031】実施例2 微細空洞を含有する白色ポリエステルフィルムの厚みが
75μmとなるように調製し不透明度1.0の易接着性
白色ポリエステルフィルムとした以外は、実施例1と全
く同様にして厚さ200μmの複合シートを得た。得ら
れた複合シートの評価結果を表1に示す。
【0032】実施例3 高分子接着剤組成物中の3官能イソシアネート化合物の
添加を行わない以外は実施例2と全く同様にして厚さ2
00μmの複合シートを得た。得られた複合シートの評
価結果を表1に示す。
【0033】実施例4 平均繊維径30μmの感磁性繊維を目付け量として15
g/m2 含む厚さ45μmの不織布状シート体を用い、
該感磁性繊維含有シ−ト体を高分子接着剤組成物溶液中
に、連続的に浸漬した後、一対のロール間で高分子接着
剤組成物溶液の供給厚みが150μmとなるようにスク
イージングした後乾燥を行い、該不織布状シート体と高
分子接着剤組成物より成る中間層の乾燥厚みを70μm
とした後、2層の内部に微細空洞を含有する易接着性白
色ポリエステルフィルムの層間に誘導し、加熱圧着し
た。加熱圧着の際の2本のロールの一方の表面温度を1
00℃、他方の表面温度を70℃とした以外は、実施例
2と同様にして厚さ220μmの複合シートを得た。得
られた複合シートの評価結果を表1に示す。
【0034】実施例5 内部に微細空洞を含有する易接着処理された厚さ75μ
mの白色ポリエステルフィルムの代わりに、原料として
酸化チタンを16重量%含有し、ポリプロピレンを含有
しない固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート
樹脂を用いて得た厚さ75μm、不透明度1.1の2軸
延伸白色ポリエステルフィルムを用いた以外は実施例2
と全く同様にして厚さ220μmの複合シートを得た。
得られた複合シートの評価結果を表1に示す。
【0035】比較例1 微細空洞を含有する白色ポリエステルフィルムの厚みが
50μmとなるように調製し不透明度0.9の易接着性
白色ポリエステルフィルムとし、平均繊維径50μmの
感磁性繊維を含む厚さ70μmの不織布状シート体を用
い、高分子接着剤組成物溶液の供給厚みが200μmと
なるようにし、該不織布状シート体と高分子接着剤組成
物より成る中間層の乾燥厚みを100μmとした以外
は、実施例1と全く同様にして厚さ200μmの複合シ
ートを得た。得られた複合シートの評価結果を表1に示
す。
【0036】比較例2 内部に微細空洞を含有する易接着処理された厚さ100
μmの白色ポリエステルフィルムの代わりに、内部に微
細空洞を含有せず表面塗布処理されていない不透明度
0.05、厚さ100μmの通常の2軸延伸ポリエステ
ルフィルムを用いた以外は実施例1と全く同様にして厚
さ250μmの複合シートを得た。得られた複合シート
の評価結果を表1に示す。
【0037】比較例3 高分子接着剤組成物溶液の供給厚みが20μmとなるよ
うにし、該不織布状シート体と高分子接着剤組成物より
成る中間層の乾燥厚みを42μmとした以外は、実施例
2と全く同様にして厚さ192μmの複合シートを得
た。得られた複合シートの評価結果を表1に示す。
【0038】比較例4 高分子接着剤組成物溶液の代わりに、ガラス転移温度−
28℃、融点105℃のポリエステル系ホットメルト接
着剤を押出機およびTダイスを用いて、感磁性繊維を含
有する不織布状シート体上に40g/m2 となるように
押し出して供給を行い、中間層の厚み70μmとし、加
熱圧着の際の2本のロールの一方の表面温度を120
℃、他方の表面温度を100℃とした以外は、実施例2
と同様にして厚さ220μmの複合シートを得た。得ら
れた複合シートの評価結果を表1に示す。
【0039】比較例5 圧着の際の2本のロールの一方の表面温度を20℃、他
方の表面温度を20℃とした以外は、実施例4と同様に
して厚さ220μmの複合シートを得た。得られた複合
シートの評価結果を表1に示す。
【0040】比較例6 圧着の際の2本のロールの一方の表面温度を150℃、
他方の表面温度を20℃とした以外は、実施例4と同様
にして厚さ220μmの複合シートを得た。得られた複
合シートの評価結果を表1に示す。
【0041】以上、表1の結果から、本発明の範囲内の
実施例は、真偽判別情報として配設された感磁性繊維の
位置が、凹凸によってもあるいは目視や光学的方法によ
っても感知することが不可能であり、カード用として磁
気記録媒体層を形成した場合の再生出力変動もなく、ま
た、カードとしての印刷効果にも優れ、複合体としての
層間接着性も十分であることが明らかである。これに対
し、中間層の厚みが大きい比較例1は感磁性繊維の感知
がし易く、出力変動も大きいため好ましくない。比較例
2はポリエステルフィルムの不透明性が不十分のため配
設位置が感知でき印刷効果も得られない。また表面易接
着処理がないため層間の接着性も得られない。比較例3
は、中間層としての接着剤の供給量が不十分なことから
感磁性繊維の感知がし易く、出力変動も大きいため好ま
しくなく、層間の接着性も得られない。比較例4は接着
剤がホットメルトタイプであり高粘度のため感磁性繊維
不織布シート体への浸透が不十分であり全く好ましくな
い。比較例5は熱圧着時のロール表面温度が不十分であ
り、比較例6はロール表面温度差が大きく好ましい結果
が得られにくく、カールも大きいものであった。
【0042】
【発明の効果】本発明は、以上のように真偽判別手段と
して感磁性繊維を利用する技術をさらに改善し、特に、
内部でほとんど再現不能の状態に配列される感磁性繊維
によるカード表面の凹凸を無くして磁気ヘッドによる固
有情報の読み取りが確実に行えるようにすると共に、感
磁性繊維の配設位置や該繊維の配設パターンを外部から
感知不能とし、且つ安定した再生出力を得られるように
した、偽造・改ざんが不可能で高性能の磁気記録カード
用基材およびその製造方法の提供を可能にしたものであ
る。
【0043】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/84 G11B 5/84 Z (72)発明者 上坂 佐 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】同種または異なった(A)、(B)2層の
    ポリエステル系樹脂を主たる成分とするフィルム層間
    に、構成の一部または全部が、感磁性繊維よりなるシー
    ト体(C)を高分子接着剤(D)及び要すれば、架橋剤
    (E)とにより積層してなる複合シ−トであって(A)
    および(B)層の各々の厚みをT1 、T 2 (C)ならび
    に(D)および/または(E)とからなる中間層の厚み
    3 の関係が下式 0.1T1 <T3 <1.5T2 (但し T1 ≦T2 ) (1) を満足し該複合シートの総厚みTが1000μm以下で
    あることを特徴とする磁気記録カード用基材。
  2. 【請求項2】ポリエステル系樹脂を主たる成分とするフ
    ィルム層(A)および/または(B)が光学濃度で0.
    3以上の不透明度を有することを特徴とする請求項1に
    記載の磁気記録カード用基材。
  3. 【請求項3】ポリエステル系樹脂を主たる成分とするフ
    ィルム層(A)および/または(B)の少なくとも1層
    が微細空洞含有ポリエステルフィルムよりなることを特
    徴とする請求項1〜2に記載の磁気記録カード用基材。
  4. 【請求項4】ポリエステル系樹脂を主たる成分とするフ
    ィルム層(A)および/または(B)の少なくとも1層
    が、少なくとも一方の表面に易接着処理がなされた微細
    空洞含有ポリエステルフィルムよりなることを特徴とす
    る請求項1〜3に記載の磁気記録カード用基材。
  5. 【請求項5】感磁性繊維を含むシ−ト体(C)が、繊維
    径5〜60μmの感磁性繊維を1〜30g/m2 含有し
    且つ、見掛け厚みが10μm以上、150μm未満であ
    ることを特徴とする請求項1〜4に記載の磁気記録カー
    ド用基材。
  6. 【請求項6】高分子接着剤(D)が、芳香族ポリエステ
    ルを一成分として含有するポリエステル系またはポリエ
    ステルウレタン系樹脂からなることを特徴とする請求項
    1〜5に記載の磁気記録カード用基材。
  7. 【請求項7】架橋剤(E)が、ブロックされたまたは、
    フリーのイソシアネート基を有する多官能イソシアネー
    ト化合物あるいは、エポキシまたはグリシジル基を有す
    る多官能エポキシ化合物、官能性アルキロール基を有す
    る多官能メラミン系化合物から選ばれた1種以上である
    ことを特徴とする請求項1〜6に記載の磁気記録カード
    用基材。
  8. 【請求項8】同種または異なった(A),(B)2層の
    ポリエステル系樹脂を主成分とするフィルム層間に、構
    成の1部または全部が感磁性繊維よりなるシート体
    (C)を、高分子接着剤(D)及び要すれば、架橋剤
    (E)とにより積層してなる複合シ−トを製造するに当
    たり、高分子接着剤(D)または高分子接着剤(D)と
    架橋剤(E)を含む、接着剤溶液(S)の層間への供給
    厚みTS が、該感磁性繊維を含むシート体(C)の見掛
    け厚みTC に対し 0.6TC <TS <5.0TC (2) であることを満足する如く、供給した後、乾燥し
    (A),(B)層間での加圧、貼りあわせを行うことを
    特徴とする磁気記録カード基材用複合シ−トの製造法。
  9. 【請求項9】感磁性繊維シート体(C)を,接着剤
    (D)または(D)および(E)からなる溶液(S)中
    に浸漬し、引き上げた後、所定量の供給厚みとなる如く
    スクイーズし、乾燥と(A),(B)層間への供給、貼
    りあわせを行うことを特徴とする請求項8に記載の磁気
    記録カード基材用複合シ−トの製造法。
  10. 【請求項10】溶液(S)を感磁性繊維シ−ト体(C)
    面上に片面または両面より塗布法により所定量の厚みと
    なる如く供給した後、乾燥と(A),(B)層間への供
    給、貼りあわせを行うことを特徴とする請求項8〜9に
    記載の磁気記録カード基材用複合シ−トの製造法。
  11. 【請求項11】溶液(S)を感磁性繊維シ−ト体(C)
    に所定量の厚みとなる如く供給した後、乾燥と(A),
    (B)層間へ供給し、2本のロール間で貼りあわせを行
    うに際し、貼り合わせロール温度が30℃〜150℃で
    あり、且つ複合シ−ト表裏面の温度差△Tが50℃以内
    である如く貼りあわせを行うことを特徴とする請求項8
    〜10に記載の磁気記録カード基材用複合シ−トの製造
    法。
  12. 【請求項12】請求項8〜11に記載の方法で得られた
    貼り合わせ複合シ−トを20〜100℃で、0.5〜1
    00時間エージング処理を行うことを特徴とする磁気記
    録カード基材用複合シ−トの製造法。
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