JP3871159B2 - 偽造防止磁気カード基材用白色ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気カード基材用白色ポリエステルフィルムに関し、更に詳しく偽造防止機能を有する磁気カード基材用白色ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルムは良好な隠蔽性、白色性、機械強度、寸法安定性などの特性から、磁気カードやフィルム積層により構成されるICカードなどに使用されている。最近では公衆電話用、鉄道運賃用、高速道路料金用、その他種々の目的のプリペイドカードとして磁気カードが大量に用いられており、加えて1枚当たりの金額も高額化してきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
プリペイドカード使用の拡大と高額化の一方で、カードの変造、偽造もまた増加して社会問題化しつつある。磁気カードの変造、偽造対策としては、磁気記録内容の暗号化などソフトウエア面での対応が進められているが、記録の書き換えが可能という磁気記録の本来の特性からソフトウエアのみによる変造、偽造対策には限界があると考えられるようになった。そこで、磁気記録カード中に書き換え困難な偽造防止信号を記録する方法が提案されており、例えば特開平6−262890号、特開平6−278391号、特開平7−329464号公報に示されているように、磁気的なランダムパターンを印刷し、その読みとり情報によって真偽を照合する方法、カード基材に磁性ファイバーを分散させる方法、磁性ファイバーを分散させた基材を積層する方法などが提案されている。
【0004】
これらの偽造防止方法に共通するのは、変造、偽造の困難性を上げるために単純な磁気記録の書き換えができないことと、記録データ量を増すために、記録信号が微細で読み取りも寸法的に高精度で行われる点である。従って、磁気カードについては読み取り誤差を低減するため寸法安定性が重要になるが、磁気カードの材料であるポリエステルフィルムは熱的に寸法変化するため、カード製造時に規格外れとなるカードが多数発生し、更には流通段階や個人の使用時に寸法変化が生じて読み取り不良になるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、かかる従来技術の問題点を解決し、書き換え困難な信号記録、特に規則的な偽造防止信号パターンを有する信号記録を利用する変造、偽造防止方法を採用するに際し、より信頼性の高い磁気記録カードを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の偽造防止磁気カード基材用白色ポリエステルフィルムは、熱収縮率(150℃、30分間)がフィルム長手方向に0.7〜0.9(%)、幅方向に0.0〜0.1(%)の範囲にあり、熱膨張係数が10×10-6〜20×10-6(1/℃)の範囲でかつその異方性が10×10-6(1/℃)以下であり、光学濃度が0.3以上、厚さが100〜400μmであることを特徴とする、規則的な偽造防止信号パターンを有する偽造防止磁気カード基材用白色ポリエステルフィルムからなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、その望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明の偽造防止磁気カードとは、書き換え困難な偽造防止信号を有する磁気カードをいう。書き換え困難な偽造防止信号としては、カード基材の内部に繊維状、針状、粒状等の磁性材料が混合されたもの、磁気カードの磁性層以外に磁性粒子を分散させた塗料を塗布積層しもの、磁性層中に繊維状、針状、粒状等の磁性材料を不均一に存在させたもの、磁気記録塗料をランダムあるいは一定の規則性を持った微細なパターンに印刷したもの、繊維状、針状、粒状の磁性材料を含む基材を貼合せ等の方法で積層したものなどを指す。これらの偽造防止信号が磁気カードの内層に積層された場合には、カードを破壊しないと内容を変更することができず、また表層に隠蔽性の高い白色フィルムなどが積層されていると外部から観察することも困難である。書き換え困難な偽造防止信号からはカード固有の出力波形が得られ、その出力波形からカードの真偽を判定する、あるいはその出力波形をカードが保持するID情報に基づいたID信号と照合することによって真偽を確認することができる。
【0008】
本発明の白色ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、主な酸成分、グリコール成分おのおのを芳香族ジカルボン酸、脂肪族グリコールとする実質的に線状のポリエステルである。芳香族ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸などを用いることができる。脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの炭素数2〜10のポリメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコールなどを用いることができる。これらのポリエステルのうち、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、あるいは全ジカルボン酸成分、全グリコール成分おのおの80モル%以上がテレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸、エチレングリコールである共重合ポリエステルが好ましい。また、酸成分、グリコール成分おのおの20モル%未満で共重合できる成分は上記以外に、酸成分としては例えばアジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などがあり、グリコール成分としてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ハイドロキノンなどの芳香族ジオールなどがある。上記ポリエステルは各種方法で製造でき、固有粘度(25℃、o−クロロフェノール中の溶液として測定)は0.5〜1のものが好ましい。
【0009】
本発明の白色ポリエステルフィルムとしては、白色無機粒子をポリエステル樹脂中に含有したものや、比較的粒径の大きな粒子あるいはポリエステルと非相溶なオレフィン樹脂、スチレン樹脂などをポリエステル樹脂中に添加し、二軸延伸製膜中にフィルム内にボイドを形成させて白化させたフィルムなどを用いることができる。白色無機粒子としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、チタン酸バリウムなどを使用でき、平均粒径0.1〜2μmでポリエステル中に1〜20重量%を含有するフィルムが隠蔽性、白色度の点から好適である。白色無機粒子としては、二酸化チタン、特にアナターゼ型二酸化チタンが白色度の点などから好ましい。また粒子表面をアルミナ処理、シリコーン処理などを施し樹脂中での分散性を高めたものも好ましく使用される。
【0010】
本発明の白色ポリエステルフィルムは、150℃、30分間の熱収縮率がフィルム長手方向に0.7〜0.9%の範囲にある。フィルム幅方向には0.0〜0.1%の範囲にある。磁気カードは大量に発行する必要性から通常、磁気記録層や表面保護層の塗布などの工程はフィルムロールと同じロール状で行われる。従ってフィルム基材は、フィルム長手方向について一定の張力が掛かった状態でコーター等を走行するのに対し、幅方向には張力が掛からない状態で加工される。従って、フィルム長手方向は150℃、30分間の熱収縮率で0.0%に近づきすぎるとフィルムのたるみ等が生じて加工しにくく、また大きすぎる場合も加熱時の収縮応力が大きくなり皺の発生などを起こすため好ましくない。一方、幅方向については、150℃、30分間の熱収縮率で0.0%近辺であればフィルムの加工工程で十分な寸法安定性が得られ、フィルムのしわ、コーティング時の塗布すじ発生などの問題が回避できるため好ましい。特に、偽造防止のための書き換え困難な信号が規則的なパターンを有する場合にはより重要で、フィルム加工工程で不規則なフィルム寸法変化により偽造防止信号の出力が変化することは、磁気カードの信頼性が低下することを意味する。
【0011】
本発明の白色ポリエステルフィルムは、熱膨張係数が10×10-6〜20×10-6(1/℃)の範囲にあり、熱膨張係数の異方性は10×10-6(1/℃)以下である。熱膨張係数が小さすぎる場合は磁気カード読み取り機との熱膨張の差が偽造防止信号の変化につながるために好ましくなく、大きすぎる場合には磁気記録層の塗布、他の基材との積層、貼り合わせなどにおいてカールが生じるため好ましくない。また、熱膨張係数の異方性が大きい場合には磁気カードに捻れ状のカールが発生するため好ましくない。
【0012】
本発明の白色ポリエステルフィルムには、二酸化チタン粒子等の白色無機粒子の他に大粒径の無機粒子を添加することが好ましい。無機粒子の平均粒径としては好ましくは2〜10μm、より好ましくは3〜8μm、添加量は好ましくは0.1〜0.5重量%、より好ましくは0.2〜0.45重量%である。このように、二酸化チタンと比較して大粒径の無機粒子を微量添加することにより、易接着樹脂層を厚く積層した場合でも、フィルム加工中の表面削れなど表面欠点の発生による印刷品位の劣化、コーティング欠点の発生を抑制することが可能となった。無機粒子としては炭酸カルシウム、コロイダルシリカ、凝集シリカ、アルミナ、有機粒子などの単分散粒子あるいは凝集粒子を用いることができる。
【0013】
本発明の白色ポリエステルフィルムには更に蛍光増白剤を0.005〜0.05重量%添加してもよい。白色無機粒子を比較的少量添加することによる白色度の低下を補い、良好な印刷品位を得るために蛍光増白剤の添加は効果的で、特に蛍光の中心波長400〜500nmの蛍光増白剤が好ましい。
【0014】
本発明の白色ポリエステルフィルムの厚さは100〜400μmである。100μm未満では十分な白色度、隠蔽度が得られず、またフィルムの製膜上も破れが多いなど生産性において劣るため好ましくない。400μmを越える場合にも生産性、取り扱い性に支障が生じるために好ましくない。
【0015】
本発明の白色ポリエステルフィルムの光学濃度は0.3以上であり、好ましくは0.5以上である。光学濃度0.3未満では白色ポリエステルフィルム表面に印刷する上で、例えば反対面に磁気記録層を設ける磁気カードなどにおいて磁気記録層の色が透けることによって白さが低下するため好ましくない。印刷という面からは光学濃度が大きく隠蔽性が高い方が好ましいが、そうすると白色無機粒子の添加量を増加せざるを得なくなり、フィルム表面の光沢度が低下し、製膜する際に破れ易くなったり、打ち抜き工程で支障が生じるため、光学濃度としては実用上十分な2以下であることが好ましい。
【0016】
本発明の白色ポリエステルフィルムの白色度は50%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。表面には文字、図柄等の印刷を行なうことができ、白色度が低いと美麗な印刷が困難になるため好ましくない。また、白色度を更に高めるには、白色無機粒子の添加量を増やし特定の粒子を選定する必要が生じて製膜性および経済性で不利になるため、白色度としては99%以下であることが好ましい。
【0017】
本発明の白色ポリエステルフィルムでは、少なくとも片面に易接着樹脂層が好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.3〜1μm積層される。0.1μm未満ではインク等の密着性、帯電防止性を十分に発揮しにくく、1μm以上では易接着層の凝集破壊によって密着性がかえって低下することなどが生じるため好ましくない。易接着樹脂としては、水溶性あるいは水分散性のポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂などが用いられる。
【0018】
本発明の白色ポリエステルフィルムの表面比抵抗は108 〜1010Ωであることが好ましい。このような表面抵抗値が実現された場合、フィルム加工中の取り扱い性が良好になるだけでなく、易接着樹脂層の上に印刷や表面コートを施した後の加工品としても帯電防止性能が向上し、例えば磁気カードに加工した場合にはカード同士が静電気で貼り付くようなトラブルを防止することが可能となる。表面比抵抗を低下させるには、上記の易接着樹脂に帯電防止樹脂を添加する方法が容易である。帯電防止樹脂としては、スルホン化ポリスチレンなどが好適に用いられる。
【0019】
本発明の白色ポリエステルフィルムは、上記ポリエステルより下記の方法によって製造することができる。すなわち、押出機により溶融されたポリエステルはシート状に口金から押し出され、冷却ドラム上で冷却固化され、次いで逐次延伸または同時二軸延伸を経て、熱固定のあと二軸配向フィルムとして巻き取られる。これらの製造工程のなかで、フィルムの物性は、縦横方向の延伸倍率および延伸温度、熱固定温度、さらには縦横方向にリラックス操作などの条件を適宜選択することから調整される。
【0020】
本発明の白色ポリエステルフィルムの表面には樹脂塗布層が積層される。積層方法としては、水性塗剤を調製しフィルム製膜工程内で塗布する方法、共押出する方法、有機溶剤系の塗剤を調製して製膜工程とは別途オフラインで塗工する方法などがあるが水性塗剤による方法が好ましい。水性塗剤の塗布は、ポリエステルフィルムの配向、結晶化が完了する以前に行なことが必要で、例えば逐次二軸延伸製膜工程では縦延伸後のフィルムに塗布し、横延伸、熱固定を経る間に易接着層とフィルム本体との密着向上を得る方法が一般的である。塗布方式としては、グラビアコート法、リバースコート法、スプレーコート法、メイヤバーコート法などが用いられ、塗布前のフィルム表面にコロナ処理等を施し、濡れ性を向上させてから塗工を行うのが塗布欠点の防止と密着性の点で効果がある。
【0021】
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
本発明の特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)光学濃度
マクベス光学濃度計(TD−504)により測定した。
【0022】
(2)白色度
積分球式カラーメーターにより測定する。光源は「標準光C」(JIS−Z−8720)を用いる。
ハンター法により白色度W(%)を、W=100−[(100−L)2 +a2 +b2 ]1/2 により計算する。
【0023】
(3)光沢度
光源としてJIS−Z−8720に規定された「標準光C」を用い、60度鏡面光沢法により測定を行う。鏡面光沢度の基準面は、屈折率1.567のガラス表面を光沢度100%とし、次式により光沢度(Gs)を算出する。
光沢度 Gs(60度)=(A/B)×基準面の光沢度
A:試料の反射光束、B:基準面の反射光束
【0024】
(4)表面比抵抗
JIS−C−2151に規定される測定条件で、次式により算出した。
表面比抵抗=(主電極円周長/電極間距離)×抵抗値
【0025】
(5)易接着樹脂層の厚さ
易接着樹脂層を積層した白色ポリエステルフィルムの厚さ方向の断面写真を走査電子顕微鏡で観察し、樹脂層の厚さを測定した。厚さはフィルム幅方向に10点サンプリングした平均値とした。
【0026】
(6)熱収縮率
熱風オーブンで試料を150℃、30分間熱処理を行い、その熱処理前後の寸法差から熱収縮率を測定した。寸法測定には分解能1μmの読み取り機を備えた万能投影機等が利用できる。
熱収縮率=(処理前長−処理後長)/処理前長×100 (%)
【0027】
(7)熱膨張係数
超音波音速測定器(SST)によってフィルム面内各方向の音速(即ちヤング率)を求めてポリマ配向分布を求め、音速の最大方向(長軸)と最小方向(短軸)について熱膨張係数を測定し、その差を異方性とする。熱機械分析装置(TMA)により20℃から40℃の温度変化を試料に与え、25℃〜35℃の間の寸法変化を温度変化で除して熱膨張係数を求めた。
【0028】
【実施例】
次に実施例に基づき、本発明の実施態様を説明する。
実施例1
常法により重合したポリエチレンテレフタレート(重合触媒:酢酸マグネシウム0.10重量%、三酸化アンチモン0.03重量%、リン化合物としてジメチルフェニルホスホネート0.35重量%使用)を用い、平均粒径0.3μmのアナターゼ型二酸化チタンを7重量%、平均粒径4.5μmの凝集シリカ(二酸化珪素)を0.25重量%、蛍光増白剤を0.01重量%含有するように調製した原料ペレットを、160℃で7時間真空乾燥(5Torr)した後、押出機に供給して280℃で溶融した。次に、口金からシート状に押し出して表面温度30℃の回転する金属ドラム上にキャストして冷却固化し未延伸フィルムとした。次に連続的にこの未延伸フィルムを85℃で長手方向に3.1倍延伸し、得られた一軸延伸フィルムの両面にコロナ放電処理を施し、フィルム両面に帯電防止易接着性塗剤を塗布した。続いてステンタを用いて塗剤を乾燥させつつ125℃で幅方向に3.4倍延伸し、さらに定長下220℃で10秒間熱固定を行ない、150℃で幅方向に3%弛緩処理し、厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、150℃、30分間の熱収縮率が長手方向、幅方向にそれぞれ0.9%、0.1%、熱膨張係数が長軸方向、短軸方向にそれぞれ12×10-6(1/℃)、19×10-6(1/℃)、その異方性が7×10-6(1/℃)、光学濃度が1.1、白色度が90%、光沢度が60%であった。
【0029】
このフィルムの片面に、保持力90Oeのマグネタイト100部、アクリル樹脂100部、溶剤(キシレン/シクロヘキサノン=1/2)100部からなるの磁性インクを使用し、スクリーン印刷で厚さ3μmの2次元バーコード状の規則的なパターンの偽造防止信号層を形成した。次にこの層の上に、保持力1500Oeのバリウムフェライト100部、酢酸ビニル樹脂50部、イソシアネート3部、カーブンブラック3部、溶剤(トルエン/メチルエチルケトン=1/2)から成る塗料を塗布し厚さ10μmの磁気記録層を形成した。次に塗布済みシートを打ち抜いて磁気カードを作成し、偽造防止信号層を飽和に達するまで磁化させ、カード長手方向に磁気ヘッドを接触させつつ移動させたところ、一定パターンの出力波形が得られた。
【0030】
実施例2
アナターゼ型二酸化チタンの含有量を5%、平均粒径1.5μmの合成炭酸カルシウムを0.45重量%、含有するように原料調製し、実施例1と同様の二軸延伸製膜法および易接着層塗布により厚さ188μmの白色ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、150℃、30分間の熱収縮率が長手方向に幅方向にそれぞれ0.7%、0.0%、熱膨張係数が長軸方向、短軸方向にそれぞれ10×10-6(1/℃)、20×10-6(1/℃)、その異方性が10×10-6(1/℃)、光学濃度が0.96、白色度が90%、光沢度が71%であった。
【0031】
このフィルムに実施例1と同様に偽造防止信号層と磁気記録層の積層を行なって磁気カードを作成した。但し、偽造防止信号層にはランダムなパターンを形成した。次に塗布済みシートを打ち抜いて磁気カードを作成し磁化を行い、カード長手方向に磁気ヘッドを接触させつつ移動させたところ、ランダムな出力波形が得られた。
【0032】
比較例1
縦延伸倍率を3.5倍に、熱固定温度を180℃にし、横方向の弛緩処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして白色ポリエステルフィルムを作成した。得られたフィルムは、150℃、30分の熱収縮率が長手方向、幅方向にそれぞれ1.6%、0.7%、熱膨張係数が長軸方向、短軸方向にそれぞれ7×10-6(1/℃)、19×10-6(1/℃)、その異方性が12×10-6(1/℃)、光学濃度が1.09、白色度が92%、光沢度が62%であった。
【0033】
このフィルムに実施例1と同様な偽造防止信号層と磁気記録層の形成を行なって磁気カードを作成した。次に塗布済みシートを打ち抜いて磁気カードを作成し磁化を行い、カード長手方向に磁気ヘッドを接触させつつ移動させたところ、実施例1とは異なる出力信号が得られた。また磁気カードは若干捻れた状態で、カード読み取り機の出力も再現性がなかった。
【0034】
比較例2
縦延伸倍率を2.6倍に、横延伸倍率を2.7倍に、熱固定温度を238℃にしたこと以外は実施例2と同様にして白色ポリエステルフィルムを作成した。得られたフィルムは、150℃、30分の熱収縮率が長手方向、幅方向にそれぞれ0.5%、−0.1%、熱膨張係数が長軸方向、短軸方向にそれぞれ11×10-6(1/℃)、26×10-6(1/℃)、その異方性が15×10-6(1/℃)、光学濃度が0.94、白色度が91%、光沢度が68%であった。
【0035】
このフィルムに実施例2と同様な偽造防止信号層と磁気記録層の形成を行なって磁気カードを作成した。次に塗布済みシートを打ち抜いて磁気カードを作成し磁化を行い、カード長手方向に磁気ヘッドを接触させつつ移動させたところ、ランダムな出力波形が得られた。カードは水平板上で2mm角が浮き上がるほどカールし出力波形は、読み取りの都度変化した。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、書き換え困難な信号記録を利用する変造、偽造防止方法を採用するに際し、極めて信頼性の高い磁気カードを提供することができる。
Claims (3)
- 熱収縮率(150℃、30分間)がフィルム長手方向に0.7〜0.9(%)、幅方向に0.0〜0.1(%)の範囲にあり、熱膨張係数が10×10-6〜20×10-6(1/℃)の範囲でかつその異方性が10×10-6(1/℃)以下であり、光学濃度が0.3以上、厚さが100〜400μmであることを特徴とする、規則的な偽造防止信号パターンを有する偽造防止磁気カード基材用白色ポリエステルフィルム。
- 白色度が50%以上である、請求項1の偽造防止磁気カード基材用白色ポリエステルフィルム。
- 請求項1または2記載の偽造防止磁気カード基材用白色ポリエステルフィルムを用いた磁気カード。
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