JPH107773A - 残留モノマーの回収方法 - Google Patents

残留モノマーの回収方法

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JPH107773A
JPH107773A JP16167996A JP16167996A JPH107773A JP H107773 A JPH107773 A JP H107773A JP 16167996 A JP16167996 A JP 16167996A JP 16167996 A JP16167996 A JP 16167996A JP H107773 A JPH107773 A JP H107773A
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JP
Japan
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lactic acid
lactide
weight
condenser
based polymer
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Application number
JP16167996A
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English (en)
Inventor
Akiyuki Imamura
彰志 今村
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 乳酸系ポリマーの脱揮工程において残留モノ
マーの析出による装置への付着が少なく、効率よく残留
モノマーが回収でき、且つ、得られた回収モノマーが十
分にリサイクル可能である、残留モノマーの回収方法。 【解決手段】 乳酸系ポリマー重合後の反応物を減圧度
300〜600トール(Torr)、温度150〜25
0℃の条件で脱揮により得られた含有溶媒量が5重量%
以下の脱揮残留物を更に減圧度0.01〜50トール
(Torr)で、製品としての乳酸系ポリマーSと残留
モノマー濃度が50重量%以上の揮発物(G1)を得
る。揮発物(G1)は70〜150℃に設定したコンデ
ンサー(C1)に通し、液状の残留モノマー(M1)と
揮発物(G2)を得、更に揮発物(G2)を、50℃以
下に設定したコンデンサー(C2)に通しコンデンサー
(C1)で回収しきれなかった残留モノマーを回収す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生分解性に優れる乳
酸系ポリマー中の残留モノマーの回収方法に関する。詳
しくは、乳酸系ポリマー重合後の反応物及び/又はペレ
ット等の乳酸系ポリマー中の残留モノマーや溶媒を効率
よく回収し、得られた回収モノマーが十分にリサイクル
可能である、残留モノマーの回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題等から、優れた生分解性
を有する乳酸系ポリマーを、広く汎用ポリマーとして活
用しようとする研究が盛んに行われ、製造方法に関する
多くの研究、特許出願がなされている。通常、乳酸系ポ
リマーは、乳酸もしくはラクタイドの重合体であるポリ
乳酸、乳酸或いはラクタイドと他のモノマーとの共重合
体、もしくは乳酸或いはラクタイドと他のポリマーとの
共重合体を重合して得られる。
【0003】乳酸系ポリマーの重合の際に、乳酸、乳酸
のオリゴマー、他の共重合モノマー、あるいは乳酸の環
状2量体であるラクタイドが未反応モノマーとして製品
ポリマー中に残留し、又は製造過程での加熱等によるバ
ックバイトの為に、これらが新たに生成されて、ポリマ
ー中に残留する。これらの残留モノマーは、製品ポリマ
ーの成形性、耐熱性、或いは分解性における性能を著し
く悪くする要因となりこれを除去及び回収することが重
要である。
【0004】しかし、ラクタイドはスチレンなどのモノ
マーと違い、常温で固体である為、空冷或いは水冷のコ
ンデンサーだけを用いた脱揮工程では、析出したラクタ
イドが配管やコンデンサーを閉塞させる為、脱揮工程の
連続運転は長時間はもちろんのこと短時間の運転も難し
い問題を有している。
【0005】特開平5−93050号公報には、ラクタ
イドの連続式重合方法の1つの工程として、未反応モノ
マーと希釈剤を脱揮してコンデンサーで凝縮する方法が
開示されている。しかしながら、コンデンサーの温度条
件及び配置、未反応モノマーと希釈剤の割合など具体的
条件は全く開示されていない。
【0006】仮に未反応モノマーに対する希釈剤の割合
が大きくなると、希釈剤が大量のキャリアガスとなる
為、記載されているような1.52Torr以下の高い
真空レベルを保つことが難しくなる。あるいはその高い
真空レベルを保てたとしても、大量のキャリアガスによ
りコンデンサーの凝縮効率が低下し、余分なコンデンサ
ーが必要となり、極めて効率及び経済性が悪くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、乳酸系ポリマーの脱揮工程において残留モ
ノマーの析出による装置への付着が少なく、効率よく残
留モノマーが回収でき、且つ、得られた回収モノマーが
十分にリサイクル可能である、残留モノマーの回収方法
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
べく、本発明者らは鋭意検討の結果、乳酸系ポリマー重
合後の脱揮工程において、揮発物である残留モノマーを
特定の温度、真空度のコンデンサーにて液状で回収し、
更に上記コンデンサーで回収できなかった残留モノマー
を更に低温のコンデンサーで回収することにより、残留
モノマーの析出による装置への付着が少なく、効率よく
モノマーが回収でき、且つ、得られた回収モノマーが十
分にリサイクル可能であることを見い出し、本発明を完
成させるに到った。
【0009】即ち、本発明は、 (a)乳酸系ポリマー重合後の反応物(P)を減圧度3
00〜600トール(Torr)、温度150〜250
℃の条件で脱揮することにより含有溶媒量が5重量%以
下である脱揮残留物(P1)を得る。 (b)脱揮残留物(P1)を更に減圧度0.01〜50
トール(Torr)、温度100〜250℃の条件で脱
揮することにより、製品としての乳酸系ポリマーSと残
留モノマー濃度が50重量%以上で、かつ溶媒濃度が5
0重量%未満の組成物である揮発物(G1)を得る。
【0010】(c)次いで、揮発物(G1)を70〜1
50℃に設定したコンデンサー(C1)に通し、液状の
残留モノマー(M1)と揮発物(G2)を得る。 (d)更に揮発物(G2)を、50℃以下に設定したコ
ンデンサー(C2)に通しコンデンサー(C1)で回収
しきれなかった残留モノマーを回収することを特徴とす
る残留モノマーの回収方法である。
【0011】また本発明は、 (a)含有溶媒量が5重量%以下の乳酸系ポリマー
(P’)を減圧度0.01〜50トール(Torr)、
温度100〜250℃の条件で脱揮することにより、製
品としての乳酸系ポリマーSと、残留モノマー濃度が5
0重量%以上で、かつ溶媒濃度が50重量%未満の組成
である揮発物(G1)とを得る。
【0012】(b)次いで、揮発物(G1)を70〜1
50℃に設定したコンデンサー(C1)に通し、液状の
残留モノマー(M1)と揮発物(G2)を得る。 (c)更に揮発物(G2)を、50℃以下に設定したコ
ンデンサー(C2)に通しコンデンサー(C1)で回収
しきれなかった残留モノマーを回収することを特徴とす
る残留モノマーの回収方法である。
【0013】また本発明の残留モノマーの回収方法は、
詳しくは、乳酸系ポリマー重合後の反応物(P)の脱揮
を液状降下式脱揮装置にて行い、得られた脱揮残留物
(P1)の脱揮を、特に液状降下式脱揮装置又はベント
式押出機にて行うことを特徴とする残留モノマーの回収
方法や、乳酸系ポリマー(P’)の脱揮を、特に液状降
下式脱揮装置又はベント式押出機にて行うことを特徴と
する残留モノマーの回収方法である。
【0014】更に本発明は、残留モノマーが特にラクタ
イドであることを特徴とする残留モノマーの回収方法で
あり、又、本発明においては、コンデンサー(C1)及
び/又はコンデンサー(C2)を直列に2個以上用いる
ことや、乳酸系ポリマー重合後の反応物(P)及び/又
は乳酸系ポリマー(P’)に含まれる溶媒が、特に芳香
族系溶媒であることを特徴とする残留モノマーの回収方
法を含むものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明を更に詳細に説明す
る。始めに、本発明における乳酸系ポリマーとは、ポリ
マー鎖中に乳酸ユニットを含んだもの全てを指す。具体
的に例を挙げれば、乳酸を溶剤の存在、非存在下に減
圧、脱水によって縮合して得られるポリ乳酸、及び他の
ヒドロキシカルボン酸と乳酸の共重合体、乳酸を環状二
量化した化合物であるラクタイドを開環重合したポリ乳
酸、
【0016】乳酸あるいはラクタイドとポリエステルを
共重合させた乳酸系共重合体、乳酸あるいはラクタイド
とポリエーテルポリオールを共重合させた乳酸系共重合
体、あるいは乳酸、ジオール及びジカルボン酸から重合
した乳酸系共重合体、ラクタイドとグリコライドと言っ
た環状エステルとの共重合体、あるいは多価カルボン
酸、多官能エポキシあるいは多官能イソシアネート等の
高分子量化剤を用いて上記の乳酸系ポリマーを高分子量
化したものなどが挙げられる。
【0017】本発明の残留モノマーの回収方法の概略を
図1に示す。本発明で言う乳酸系ポリマー重合後の反応
物(P)とは、重合率が80重量%以上、好ましくは9
0重量%以上の乳酸系ポリマーを含む乳酸系ポリマー重
合後の反応物である。その形状は、溶液もしくは溶融
物、ペレット等の固体でも構わない。例えば、乳酸系ポ
リマーと溶剤と残留モノマーを含む重合反応後の反応物
である。
【0018】また、脱揮残留物(P1)とは、乳酸系ポ
リマー重合後の反応物(P)から溶媒を脱揮して溶媒含
有量が5重量%以下である乳酸系ポリマーであり、残留
モノマーを10重量%程度含有するものであり、その形
状は、溶融物はもちろんペレット等の固体でも構わな
い。
【0019】本発明で言う乳酸系ポリマー(P’)と
は、重合率が80重量%以上、好ましくは90重量%以
上であって、且つ、溶媒含有量が5重量%以下である乳
酸系ポリマーであって、その形状は、溶融物、又はペレ
ット等の固体でも構わない。
【0020】揮発物(G1)とは、乳酸系ポリマー
(P’)あるいは脱揮残留物(P1)を脱揮する際に得
られる、残留モノマー及び溶媒を含む揮発物である。残
留モノマーの一部に、モノマー10量体以下からなるオ
リゴマーも含んでいる場合もあるが、その濃度は多くて
も残留モノマー中10重量%以下である。
【0021】また、揮発物(G1)の濃度は残留モノマ
ー濃度が50重量%以上で、且つ溶媒濃度が50重量%
未満のものであり、好ましくは残留モノマー濃度が80
重量%以上で、かつ溶媒濃度が20重量%未満、更に好
ましくは残留モノマー濃度が95重量%以上で、かつ溶
媒濃度が5重量%未満のものである。
【0022】製品(S)とは、乳酸系ポリマー(P’)
あるいは脱揮残留物(P1)を更に脱揮した、製品であ
る乳酸系ポリマーである。但し、該乳酸系ポリマーに含
まれる残留モノマー及び溶媒量は、残留モノマーが1重
量%以下で、且つ、溶媒が0.5重量%未満であり、好
ましくは残留モノマーが0.5重量%以下で、且つ、溶
媒が0.3重量%未満のものである。
【0023】ここで言う残留モノマーとは、乳酸もしく
はラクタイドの重合体であるポリ乳酸、乳酸或いはラク
タイドと他のモノマーとの共重合体、もしくは乳酸或い
はラクタイドと他のポリマーとの共重合体を重合した際
にポリマー中に残留する、乳酸、ラクタイド、乳酸のオ
リゴマー、あるいは、他の共重合成分のモノマー、更に
は加熱等によるバックバイトにより発生した、それらモ
ノマーを指し、これらの1種、又は2種以上が含まれ
る。
【0024】またここで言う溶媒とは、乳酸系ポリマー
重合後の反応物(P)中に含まれる溶媒を意味し、通
常、乳酸系ポリマーの重合反応に用いられる溶媒であれ
ば、特に制限はない。具体的には、シクロヘキサノン、
メチルエチルケトン、イソプロピルエーテル、芳香族系
溶媒であるベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシ
レン、ジフェニルエーテルが挙げられる。
【0025】その中でも溶解性、沸点の面から、芳香族
系溶媒が好ましく、特にトルエン、エチルベンゼン及び
キシレンが好ましい。反応物(P)を脱揮する際、一
部、モノマー10量体以下からなるオリゴマーが、随伴
して脱揮される場合もあるが、その濃度は微量でせいぜ
い溶媒中の5重量%以下である。
【0026】コンデンサー(C1)は、気化したモノマ
ーをその融点より少し高い温度で運転することにより、
モノマーを液状に凝縮、回収する為のものである。運転
条件は、70〜150℃であり、モノマーの主成分がラ
クタイドである場合は、95〜110℃で運転すること
が好ましい。
【0027】装置としては、コンデンサーとして使用さ
れているものであれば特に限定されないが、例えば、凝
縮させるものをチューブの内部に通すチューブシェル、
あるいは外部を通すUチューブシェル、Uチューブにフ
ィンを付けて接触面積を更に増やしたフィン付Uチュー
ブシェル、充填物を充填させたタワーパッキング型、そ
の充填物としては、ディソンパッキング、シングルター
ンヘリックス、ヘリパック、マクマホン、ラッシリン
グ、ガラスビーズ等が挙げられる。
【0028】あるいは、金網を何層にも重ね合わせたデ
ミスター型を用いることが出来る。また、液状で回収し
たモノマーは、そのままあるいは再生工程を経て原料槽
に戻すことができる。あるいは更に冷却された別の装置
に送って固体として取り出しても良い。
【0029】コンデンサー(C2)は、コンデンサー
(C1)で凝縮、回収しきれなかったモノマーを融点以
下の温度で運転することにより、モノマーを固体に凝縮
し、回収する為のものである。また、少量の溶媒も凝縮
回収される。運転条件は、50℃以下であり、温度が低
いほど好ましい。
【0030】装置としては、コンデンサーとして使用さ
れているものであれば特に限定されず、上述の(C1)
と同様のものが使用できる。減圧状態を維持して連続運
転する必要上、固体状になったモノマーにより装置及び
配管が短時間で詰まりにくい、Uチューブシェル、フィ
ン付Uチューブシェルが好ましい。また、固体で回収し
たモノマーは、再溶解させた後、そのまま、あるいは精
製工程を経て原料槽に戻すことができる。
【0031】本発明では、まず最初にコンデンサー(C
1)で可能な限り液状で残留モノマーを回収することに
より2段目のコンデンサー(C2)の負荷が少なくなる
為、コンデンサー(C2)が、捕捉された固体状の残留
モノマーで一杯になるまでの時間を大幅に伸ばすことが
出来る。無論、(C2)の下部のみをモノマーの融点以
上に加熱し、連続的に(C2)で捕捉されたモノマーを
液状で(C2)外に回収することもできる。
【0032】更に、コンデンサー(C1)により、脱揮
された残留モノマーの温度をモノマーの融点近くまで下
げることができる為、コンデンサー(C2)での凝縮エ
ネルギーが少なくて済み、残留モノマーを捕捉しやすく
なる。また、回収能力を高める為、コンデンサー(C
1)を1つではなく2個以上直列に並べても構わない。
同様に、コンデンサー(C2)を1つではなく2個以上
直列に並べることもできる。
【0033】また、長時間連続運転する為には、コンデ
ンサー(C2)を2系列以上のスイッチ式にすることも
好ましい。コンデンサー(C1)は脱揮された残留モノ
マーを常に液状で回収する為、モノマーがコンデンサー
内に溜まらず、敢えて2系列以上のスイッチ式にする必
要性は無い。
【0034】また本発明では、コンデンサー(C2)の
後にデミスター型トラップを更に配置することができ
る。これにより、コンデンサー(C2)後の配管がコン
デンサー(C2)で捕捉しきれなかった極微量の残留モ
ノマーで汚染することを防ぐだけでなく、真空ポンプに
流入することも防ぐことが出来る。その為、真空ポンプ
のメンテナンスを行う回数を大幅に減少させることがで
きる。
【0035】図1中の(1)は150〜250℃、30
0〜600Torrで運転される脱揮装置、(2)は1
00〜250℃、0.01〜50Torrで運転される
脱揮装置、(3)は70〜150℃に保温された配管、
(4)は50℃以下の配管を、(5)は真空ポンプ、
(C1)は70〜150℃で運転されるコンデンサーを
【0036】、(C2)は50℃以下で運転されるコン
デンサー、(C3)は0℃以下で運転されるコンデンサ
ー、(G1)及び(G2)は揮発物を、(S)は製品で
ある乳酸系ポリマーを、(M1)及び(M2)は回収モ
ノマーを、(P)は乳酸系ポリマー重合後の反応物を、
(P’)は溶媒含有量が5重量%以下の乳酸系ポリマー
を、(P1)は脱揮残留物を、(V1)及び(V2)は
50℃以下で運転される受器を、(Y)は溶媒を表わ
す。
【0037】図1において、溶剤(Y)は主として脱揮
装置(1)から、また製品である乳酸系ポリマー(S)
は脱揮装置2から系外に搬出される。またコンデンサー
(C1、C2)及び受器(V1)から回収された残留モ
ノマーは集められて、原料モノマーとしてリサイクルさ
れることを示す。
【0038】次に乳酸系ポリマーの重合装置の簡単な説
明を行う。重合装置としては、攪拌翼を備えた通常の重
合釜を用いたバッチ式製造も可能である。また、生産性
の向上を考えた連続生産方法も行うことが出来、その装
置としては、2槽以上の直列に連結した攪拌式反応器を
用いた連続重合装置いわゆるCSTR方式、静的混合装
置であるスタティック・ミキサーを重合槽として用いた
重合装置、2軸押出機を重合槽として用いる重合装置、
或いはこれらを2つ以上組み合わせた重合装置等があ
る。
【0039】次に脱揮槽置の簡単な説明を行う。溶融ポ
リマーを一本又は多数のストランド状にタンク内に押し
出す液状降下式脱揮装置(フラッシュ式脱揮装置)の場
合、溶融ポリマーを脱揮装置に送り込む前に熱交換器等
で加温しておくと、脱揮物の蒸発潜熱によるポリマーの
硬化を防ぐことができて好ましい。また、ポリマーを送
り込む際にギアーポンプ等を使用して、定量的に送るこ
とが好ましい。脱揮した後、脱揮されたポリマーをフラ
ッシュ・タンクの底部からギアポンプもしくはスクリュ
ーポンプにより抜き出す。
【0040】ベント式押出機型脱揮装置の場合、二軸押
し出し機がポリマーの推進力の面から好ましいが、単軸
の押し出し機でも可能である。このタイプの脱揮ではス
クリュー形状がベントの真空度、脱揮時間、脱揮効率に
重要な要因になる。このタイプでは脱揮時間のコントロ
ールを行い易いが、溶融ポリマーにせん断応力がかかり
易い為、短時間に脱揮することが好ましい。また、必要
に応じベント数を複数にし、真空度を加減することが好
ましい。
【0041】また高粘度型薄膜式脱揮装置を用いること
もできる。このタイプの脱揮ではスクリュー形状が脱揮
時間、脱揮効率に重要な要因になる。このタイプでは、
溶融ポリマーにせん断応力がかかり易いものの、表面積
を効率よく取ることによって、短時間に脱揮することが
可能である。
【0042】脱揮装置の使用方法としては、脱揮装置の
温度は乳酸系ポリマーの温度がそれ自身の融点以上の温
度になるようにしなければならないが、あまり温度が高
すぎると熱分解による分子量の減少あるいは着色を起こ
す為、160℃〜250℃であることが好ましい。減圧
度は高いほど良く、50Torr以下で運転することが
好ましく、乳酸系ポリマー中に残留するモノマーをより
少なくする為には5Torr以下であればより好まし
い。
【0043】減圧度は、第一段目の脱揮装置内では溶媒
を取り除くことが主な目的である為、減圧度300〜6
00Torrで脱揮を行なうことが望ましい。600T
orr以上では溶媒を脱揮することが困難である。ま
た、300Torr以下で運転すると残留モノマーまで
大量に脱揮される為、配管及び溶媒用コンデンサーが閉
塞する恐れがある。
【0044】また、1段目で脱揮する溶媒の量は多いほ
ど良く、乳酸系ポリマー中の溶媒量が5重量%以下とな
るまで脱揮されることが好ましい。そして、第二段目の
脱揮装置内で更に高い真空度、即ち、減圧度0.01〜
50Torrで脱揮を行い、残留モノマー及び残留した
溶媒を除去する。
【0045】特に、2段階の脱揮装置では溶融ポリマー
にせん断応力がかかるのを極力避ける為、液状降下式脱
揮装置を1段目に使用することが好ましい。2段階の並
べ方としては液状降下式脱揮装置を2つ並べた方法か、
1段目を液状降下式脱揮装置、2段目をベント付押出機
型脱揮装置を使用するのが好ましい。
【0046】本発明に使用するの乳酸系ポリマーの重合
後の反応物に、重合触媒の触媒失活剤を添加することが
好ましい。触媒失活剤は、乳酸系ポリマーを脱揮する際
のバックバイト反応によるモノマーの生成を抑制し、よ
り効率よく残留モノマーを減らし、あるいは成形加工時
の熱的安定性の向上、酸化防止に有効である。添加時期
としては、重合工程が終了した後に添加することが好ま
しく、脱揮装置の直前あるいは直後に添加剤の添加ライ
ンを設けることができる。
【0047】触媒失活剤としては、酸性化合物であるこ
とが好ましく、重合反応に用いる重合触媒により用いる
触媒失活剤は異なるが、一般には、1つ以上のリン酸又
はリン酸エステル類を有する化合物、又は、1つ以上の
カルボン酸を有する化合物、1つ以上の硫酸又は硫酸エ
ステル類を有する化合物、1つ以上の硝酸又は硝酸エス
テル類を有する化合物、及びこれらの混合物が挙げられ
る。
【0048】なかでも、ポリマー鎖の切断を抑え、効率
よく触媒と結合する為にはリン酸又はリン酸エステルを
有する化合物が好ましく、一般にはアルキルホスフェー
トと呼ばれる化合物とアルキルホスホネートと呼ばれる
化合物であり、モノアルキルホスホネート及びジアルキ
ルホスホネート又はこれらの混合物が特に好ましい。
【0049】より具体的な構造としては、炭素数1以上
20以下のアルキル鎖を1つもしくは2つを有するリン
酸エステル類とこれらの混合物が好ましい。更に具体的
に挙げれば、モノメチルホスフェート、ジメチルホスフ
ェート、モノエチルホスフェート、ジエチルホスフェー
ト、モノプロピルホスフェート、ジプロピルホスフェー
ト、モノイソプロピルホスフェート、ジイソプロピルホ
スフェート、
【0050】モノブチルホスフェート、ジブチルホスフ
ェート、モノペンチルホスフェート、ジペンチルホスフ
ェート、モノヘキシルホスフェート、ジヘキシルホスフ
ェート、モノオクチルホスフェート、ジオクチルホスフ
ェート、モノエチルヘキシルホスフェート、ジエチルヘ
キシルホスフェート、モノデシルホスフェート、ジデシ
ルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ジイソ
デシルホスフェート、
【0051】モノウンデシルホスフェート、ジウンデシ
ルホスフェート、モノドデシルホスフェート、ジドデシ
ルホスフェート、モノテトラデシルホスフェート、ジテ
トラデシルホスフェート、モノヘキサデシルホスフェー
ト、ジヘキサデシルホスフェート、モノオクタデシルホ
スフェート、ジオクタデシルホスフェート、モノフェニ
ルホスフェート、ジフェニルホスフェート、モノベンジ
ルホスフェート、
【0052】ジベンジルホスフェート、モノメチルメチ
ルホスホネート、モノエチルエチルホスホネート、モノ
プロピルプロピルホスホネート、モノイソプロピルイソ
プロピルホスホネート、モノブチルブチルホスホネー
ト、モノペンチルペンチルホスホネート、モノヘキシル
ヘキシルホスホネート、モノオクチルオクチルホスホネ
ート、モノエチルヘキシルエチルヘキシルホスホネー
ト、
【0053】モノデシルデシルホスホネート、モノイソ
デシルイソデシルホスホネート、モノウンデシルウンデ
シルホスホネート、モノドデシルドデシルホスホネー
ト、モノテトラデシルテトラデシルホスホネート、モノ
ヘキサデシルヘキサデシルホスホネート、モノオクタデ
シルオクタデシルホスホネート、モノフェニルフェニル
ホスホネート、モノベンジルベンジルホスホネート、ジ
メチルホスホネート、
【0054】ジエチルホスホネート、ジプロピルホスホ
ネート、ジイソプロピルホスホネート、ジブチルホスホ
ネート、ジペンチルホスホネート、ジヘキシルホスホネ
ート、ジオクチルホスホネート、ジエチルヘキシルホス
ホネート、ジデシルホスホネート、ジイソデシルホスホ
ネート、ジウンデシルホスホネート、ジドデシルホスホ
ネート、ジテトラデシルホスホネート、ジヘキサデシル
ホスホネート、
【0055】ジオクタデシルホスホネート、ジフェニル
ホスホネート、ジベンジルホスホネート、及びこれらの
混合物が使用できる。混合物については一般にアルキル
アシドホスフェートと称されるものもある。化合物中の
ジアルキル鎖については、2つのアルキル鎖が異なって
いてもよく、またこれらの混合物でも問題ない。
【0056】その添加量は失活剤の種類、触媒の種類、
失活反応条件によって大きく変化するが反応終了後のポ
リマー取り出し前に触媒重量の50%から400%を添
加することが好ましい。この他、重合後の粒状物に失活
剤を添加する、即ち、まぶす、塗る、混合した後脱揮す
る方法もある。粒状物、一般に言うペレットに失活剤を
混ぜて、乳酸系ポリマー中の残留モノマーを更に除去す
る為、上記までに述べたコンデンサーを有するベント付
押出機脱揮装置用いる方法である。
【0057】これら脱揮工程によって残留モノマー量を
減少することにより、得られた乳酸系ポリマーの保存安
定性を著しく増すことが出来る。また残留モノマーは、
乳酸系ポリマーをシート状にした場合、水分の付着等に
よる加水分解や熱による融着の原因となり好ましくな
い。また製品化したフィルム・シートから昇華により飛
散する為、包装商品の汚染を生じ好ましくない。この
為、本発明の乳酸系ポリマー中の残留モノマー量は、1
重量%以下にすることが望ましく、さらに好ましくは
0.3重量%以下にすることが好ましい。
【0058】
【実施例】以下に実施例及び比較例により、本発明をさ
らに具体的に説明するが、もとより本発明はこれらの実
施例に限定されるものではない。
【0059】なお、分子量測定はGPC測定装置(以下
GPCと略、カラム温度40℃、テトラヒドロフラン溶
媒)によりポリスチレン標準サンプルとの比較で測定し
た。残留モノマー量測定はヘッドスペースガスクロマト
グラフィー(以下HS−GCと略、カラム温度150
℃)により測定した。ラクタイドの組成分析は高速液体
クロマトグラフィー(以下HPLCと略、アセトニトリ
ルを溶媒にしてオクタデシルシランカラム使用)により
測定した。
【0060】〔実施例1〕脂肪族系ポリエステル(セバ
シン酸成分50モル%、プロピレングリコール成分50
モル%、数平均分子量25,400)3重量部にL−ラ
クタイド95重量部とD−ラクタイド2重量部、トルエ
ン20重量部からなる原料及び触媒であるオクタン酸錫
をそれぞれ10kg/時間及び3g/時間の供給量で、
重合反応装置に連続供給し、反応を行った。
【0061】反応終了時つまり脱揮直前での重合率は9
6.0重量%であった。更に、この反応系にモノエチル
ヘキシルホスフェートとジエチルヘキシルホスフェート
の混合物を0.01重量%添加した後、190℃、45
0Torrで操作された液状降下式脱揮槽でトルエンの
98%を脱揮後、更に185℃、1Torrで操作され
たリヤベントと3ベントの付いた35mm2軸押出機で
残留モノマー及び残留トルエンを脱揮して乳酸系ポリマ
ーのペレットを得た。
【0062】重合装置での平均反応時間は5時間であ
り、24時間稼働により、155kgの乳酸系ポリマー
を得た。得られた乳酸系ポリマーは、重量平均分子量は
221,000、残留ラクタイド量0.07重量%であ
った。
【0063】2軸押出機で脱揮された残留ラクタイドは
まず105℃で操作されたコンデンサー(C1)を通
し、ここで捕集したラクタイドは常温のモノマー受器
(V1)で回収し、捕集しきれなかったラクタイドは次
に20℃で操作されたコンデンサー(C2)を通すこと
により残りを捕集した。
【0064】24時間重合プラント稼働終了後の捕集し
たラクタイド量は、モノマー受器(V1)で1.44k
g、20℃で操作されたコンデンサーで4.62kgで
あった。また、真空ポンプ前についているデミスターに
は5gのラクタイドが付着していた。なお、回収ラクタ
イド、モノマーの組成は以下の通りであった。
【0065】受器(V1)での回収ラクタイドの分析結
果 L−ラクタイド:86.5% D−ラクタイド: 2.1% メソラクタイド: 9.1% 乳酸単量体: 2.2% 乳酸2量体: 0.3% その他: 0.8%
【0066】コンデンサー(C2)での回収ラクタイド
の分析結果 L−ラクタイド:89.3% D−ラクタイド: 2.0% メソラクタイド: 6.8% 乳酸単量体: 1.2% 乳酸2量体: 0.2% その他: 0.5% 得られた回収モノマー(ラクタイド)は、そのまま次回
の重合反応に使用可能であった。
【0067】〔実施例2〕脂肪族系ポリエステル(セバ
シン酸成分50モル%、エチレングリコール成分50モ
ル%、数平均分子量33,600)30重量部にL−ラ
クタイド68重量部とD−ラクタイド2重量部、エチル
ベンゼン20重量部からなる原料及び触媒であるオクタ
ン酸錫をそれぞれ2kg/時間及び0.8g/時間の供
給量で、1/2インチのスタティック・ミキサー(ノリ
タケ製ケニックス式スタティックミキサー)重合装置に
連続供給して反応を行った。
【0068】反応終了時、脱揮直前での重合率は97.
0重量%であった。更に、この反応系を185℃、45
0Torrで操作された液状降下式脱揮槽でエチルベン
ゼンの97%を脱揮後、ペレット化した。重合装置での
平均反応時間は5時間であり、24時間稼働により29
kgの乳酸系ポリマーを得た。得られた乳酸系ポリマー
は、重量平均分子量は91,000、残留ラクタイド量
2.65重量%であった。
【0069】得られた乳酸系ポリマーペレット25kg
にモノイソプロピルホスフェートとジイソプロピルホス
フェートの混合物を25g混ぜた後、3ベントの付いた
35mm2軸押出機を185℃、1Torrで操作して
残留モノマーを脱揮し、3時間で20kgの乳酸系ポリ
マーのペレットを得た。得られた乳酸系ポリマーは、重
量平均分子量83,000、残留ラクタイド量0.08
重量%であった。
【0070】2軸押出機で脱揮された残留ラクタイドは
まず95℃で操作されたコンデンサー(C1)を通し、
ここで捕集したラクタイドは常温のモノマー受器(V
1)で回収し、捕集しきれなかったラクタイドは次に3
0℃で操作されたコンデンサー(C2)を通すことによ
り捕集した。脱揮運転終了後の捕集したラクタイド量
は、モノマー受器(V1)で220g、20℃で操作さ
れたコンデンサー(C2)で280gであった。また、
真空ポンプ前についているデミスターにはラクタイドの
付着は無かった。なお、捕集したラクタイドの組成は以
下の通りであった。
【0071】受器(V1)での回収ラクタイドの分析結
果 L−ラクタイド:84.3% D−ラクタイド: 2.2% メソラクタイド: 8.1% 乳酸単量体: 2.2% 乳酸2量体: 1.5% その他: 1.7%
【0072】コンデンサー(C2)での回収ラクタイド
の分析結果 L−ラクタイド:89.7% D−ラクタイド: 2.0% メソラクタイド: 6.1% 乳酸単量体: 0.7% 乳酸2量体: 0.7% その他: 0.8% 得られた回収モノマー(ラクタイド)は、そのまま次回
の重合反応に使用可能であった。
【0073】〔実施例3〕L−ラクタイド80重量部と
D−ラクタイド5重量部と数平均分子量3,000のポ
リエチレングリコール15重量部、キシレン20重量部
からなる原料及び触媒であるオクタン酸錫をそれぞれ1
0kg/時間及び3g/時間の供給量で、連続重合装置
に連続供給し、反応を行った。重合リアクター通過まで
の平均反応時間は4時間であり、通過後の重合転化率は
97.3重量%であった。
【0074】更に、180℃、450Torrで操作さ
れた液状降下式脱揮槽でキシレンの98%を脱揮後、更
に185℃、10Torrで操作された液状降下式脱揮
槽で残留モノマーを脱揮して乳酸系ポリマーのペレット
を得た。重合プラントは24時間稼働させ、161kg
の乳酸系ポリマーを得た。得られた乳酸系ポリマーは重
量平均分子量33,000、残留ラクタイド量0.09
重量%であった。
【0075】2軸押出機で脱揮された残留ラクタイド
は、まず105℃で操作されたコンデンサー(C1)を
通し、ここで捕集したラクタイドは常温のモノマー受器
(V1)で回収し、捕集しきれなかったラクタイドは次
に20℃で操作されたコンデンサー(C2)を通すこと
により残りを捕集した。24時間重合プラント稼働後の
捕集したラクタイド量は、モノマー受器(V1)で0.
86kg、20℃で操作されたコンデンサー(C2)で
3.34kgであった。また、真空ポンプ前についてい
るデミスターにはラクタイドの付着は無かった。なお、
捕集したラクタイドの組成は以下の通りであった。
【0076】受器(V1)での回収ラクタイドの分析結
果 L−ラクタイド:88.1% D−ラクタイド: 5.4% メソラクタイド: 3.7% 乳酸単量体: 1.9% 乳酸2量体: 0.4% その他: 0.5%
【0077】コンデンサー(C2)での回収ラクタイド
の分析結果 L−ラクタイド:90.7% D−ラクタイド: 4.1% メソラクタイド: 3.5% 乳酸単量体: 1.0% 乳酸2量体: 0.3% その他: 0.4% 得られた回収モノマー(ラクタイド)は、そのまま次回
の重合反応に使用可能であった。
【0078】〔実施例4〕L−ラクタイド99重量部と
D−ラクタイド1重量部、トルエン20重量部からなる
原料及び触媒であるオクタン酸錫をそれぞれ10kg/
時間及び3g/時間の供給量で、連続重合装置に連続供
給し、反応を行った。重合リアクター通過までの平均反
応時間は4時間であり、通過後の重合転化率は95.7
重量%であった。
【0079】その後この反応物にモノエチルヘキシルホ
スフェートとジエチルヘキシルホスフェートの混合物を
0.01重量%添加した後、190℃、450Torr
で操作された液状降下式脱揮槽でトルエンの98%を脱
揮後、更に195℃、1Torr、スクリュー回転数3
00rpmで操作されたリヤベントと3ベントの付いた
35mm2軸押出機で残留モノマーを脱揮して乳酸系ポ
リマーのペレットを得た。重合プラントを12時間稼働
させた後、20℃で操作しているコンデンサーラインを
別のコンデンサーラインに切換え、更に12時間運転さ
せて148kgの乳酸系ポリマーを得た。
【0080】得られた乳酸系ポリマーは、重量平均分子
量は221,000、残留ラクタイド量は0.05重量
%であった。2軸押出機で脱揮された残留ラクタイドは
まず120℃で操作されたコンデンサー(C1)を通
し、ここで捕集したラクタイドは常温のモノマー受器
(V1)で回収し、捕集しきれなかったラクタイドは次
に20℃で操作されたコンデンサー(C2)を通すこと
により捕集した。
【0081】24時間重合プラント稼働後の捕集したラ
クタイド量は、モノマー受器(V1)で1.44kg、
20℃で操作されたコンデンサー(C2)で4.62k
gであった。また、真空ポンプ前についているデミスタ
ーには8gのラクタイドが付着していた。なお、捕集し
たラクタイドの組成は以下の通りであった。
【0082】受器(V1)での回収ラクタイドの分析結
果 L−ラクタイド:85.8% D−ラクタイド: 1.1% メソラクタイド: 9.5% 乳酸単量体: 2.0% 乳酸2量体: 0.7% その他: 0.9%
【0083】コンデンサー(C2)での回収ラクタイド
の分析結果 L−ラクタイド:87.6% D−ラクタイド: 0.9% メソラクタイド: 8.4% 乳酸単量体: 1.5% 乳酸2量体: 0.7% その他: 0.6% 得られた回収モノマー(ラクタイド)は、そのまま次回
の重合反応に使用可能であった。
【0084】〔実施例5〕グリコライド10重量部にL
−ラクタイド90重量部、トルエン20重量部からなる
原料及び触媒であるオクタン酸錫をそれぞれ10kg/
時間及び3g/時間の供給量で、連続重合装置に連続供
給し、反応を行った。重合リアクター通過までの平均反
応時間は4時間であり、通過後の重合率は96.3重量
%であった。その後この反応系にモノエチルヘキシルホ
スフェートとジエチルヘキシルホスフェートの混合物を
0.01重量%添加した後、190℃、450Torr
で操作された液状降下式脱揮槽でトルエンの98%を脱
揮後、更に1190℃、1Torrで操作された液状降
下式脱揮槽で残留モノマーを脱揮して乳酸系ポリマーの
ペレットを得た。
【0085】重合プラントをは24時間稼働させた後、
コンデンサーラインを別のコンデンサーラインに切換
し、更に24時間運転させ、320kgの乳酸系ポリマ
ーを得た。得られた乳酸系ポリマーは、重量平均分子量
241,000、残留ラクタイド量0.04重量%、残
留グリコライド量0.01重量%であった。
【0086】液状降下式脱揮槽で脱揮された残留モノマ
ーはまず100℃で操作された2基直列のコンデンサー
(C1、C1)を通し、ここで捕集したラクタイドは常
温のモノマー受器(V1、V1)で回収し、捕集しきれ
なかったラクタイドは次に20℃で操作されたコンデン
サー(C2、C2)を通すことにより捕集した。48時
間重合プラント稼働後でも2軸押出機の減圧度は1To
rr以下を保った。捕集したモノマー(ラクタイド及び
グリコライド)量は、モノマー受器(2基のV1)で計
2.40kg、20℃で操作されたコンデンサー(1基
目のC2)で計10.34kg、コンデンサー(2基目
のC2)で計0.03kgであった。なお、捕集したラ
クタイドの組成は以下の通りであった。
【0087】2基の受器(V1)での回収ラクタイドの
分析結果 L−ラクタイド:89.2% D−ラクタイド: 0.1% メソラクタイド: 7.5% 乳酸単量体: 1.2% 乳酸2量体: 1.4% その他: 0.6%
【0088】2基のコンデンサー(C2)での回収ラク
タイドの分析結果 L−ラクタイド:92.1% D−ラクタイド: 0.1% メソラクタイド: 7.5% 乳酸単量体: 0.2% 乳酸2量体: 0.1% その他: 0% 得られた回収モノマー(ラクタイド)は、そのまま次回
の重合反応に使用可能であった。
【0089】〔比較例1〕脂肪族系ポリエステル(セバ
シン酸成分50モル%、プロピレングリコール成分50
モル%、数平均分子量25,400)3重量部にL−ラ
クタイド95重量部とD−ラクタイド2重量部、トルエ
ン20重量部からなる原料及び触媒であるオクタン酸錫
をそれぞれ10kg/時間及び3g/時間の供給量で、
連続重合装置に連続供給し、反応を行った。重合リアク
ター通過までの平均反応時間は4時間であり、通過後の
重合率は96.0重量%であった。
【0090】その後この反応系にモノエチルヘキシルホ
スフェートとジエチルヘキシルホスフェートの混合物を
0.01重量%添加した後、190℃、450Torr
で操作された液状降下式脱揮槽でトルエンの98%を脱
揮後、更に185℃、1Torrで操作されたリヤベン
トと3ベントの付いた35mm2軸押出機で残留モノマ
ーを脱揮して乳酸系ポリマーのペレットを得た。
【0091】2軸押出機で脱揮された残留ラクタイドは
20℃で操作されたコンデンサーを通すことにより捕集
した。しかし、ペレット化開始後1時間で、2軸押出機
の減圧度は30Torrになり、その時得られた乳酸系
ポリマーの分子量及び残留ラクタイド量は、重量平均分
子量217,000、残留ラクタイド量0.80重量%
の乳酸系ポリマーであった。
【0092】更に、ペレット化開始後2時間で、2軸押
出機の減圧度は360Torrになり、その時、得られ
た乳酸系ポリマーは、重量平均分子量215,000、
残留ラクタイド量3.51重量%の乳酸系ポリマーであ
った。ペレット化開始後、3時間では、コンデンサーの
後の配管がラクタイドで閉塞し、2軸押出機の減圧度が
常圧になった為、運転を中止した。捕集したラクタイド
量は、20℃で操作されたコンデンサーには0.41k
gであった。なお、捕集したラクタイドの組成は以下の
通りであった。
【0093】 L−ラクタイド:72.4% D−ラクタイド: 2.1% メソラクタイド: 9.8% 乳酸単量体: 5.7% 乳酸2量体:10.1% その他: 2.1% 得られた回収モノマー(ラクタイド)は、純度が低く、
且つ酸度が高い為、そのままでは次の重合反応に使用で
きないものであった。
【0094】〔比較例2〕脂肪族系ポリエステル(セバ
シン酸成分50モル%、プロピレングリコール成分50
モル%、数平均分子量25,400)3重量部にL−ラ
クタイド95重量部とD−ラクタイド2重量部、トルエ
ン20重量部からなる原料及び触媒であるオクタン酸錫
をそれぞれ10kg/時間及び3g/時間の供給量で、
連続重合装置に連続供給し、反応を行った。重合リアク
ター通過までの平均反応時間は4時間であり、通過後の
重合率は96.0重量%であった。
【0095】その後この反応系にモノエチルヘキシルホ
スフェートとジエチルヘキシルホスフェートの混合物を
0.01重量%添加した後、190℃、450Torr
で操作された液状降下式脱揮槽でトルエンの98%を脱
揮後、更に185℃、1Torrで操作されたリヤベン
トと3ベントの付いた35mm2軸押出機で残留モノマ
ーを脱揮して乳酸系ポリマーのペレットを得た。
【0096】2軸押出機で脱揮された残留ラクタイドは
105℃で操作されたコンデンサーを通すことにより捕
集し、モノマー受器に回収した。しかし、ペレット化開
始後1時間で、2軸押出機の減圧度は100Torrに
なり、その時、得られた乳酸系ポリマーは、重量平均分
子量211,000、残留ラクタイド量2.70重量%
であった。
【0097】更に、ペレット化開始後2時間では、コン
デンサーの後の配管がラクタイドで閉塞を起こし、2軸
押出機の減圧度は常圧になった為、運転を中止した。捕
集したラクタイド量は、モノマー受器には0.13kg
であった。なお、捕集したラクタイドの組成は以下の通
りであった。
【0098】 L−ラクタイド:74.3% D−ラクタイド: 1.9% メソラクタイド: 8.2% 乳酸単量体: 4.9% 乳酸2量体: 8.7% その他: 2.0% 得られた回収モノマー(ラクタイド)は、純度が低く、
且つ酸度が高い為、そのままでは次の重合反応に使用で
きないものであった。C1及びC2の回収ミノマー量及
び製品ポリマー中の残留モノマー量を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
【発明の効果】本発明は、乳酸系ポリマーの脱揮工程に
おいて残留モノマーの析出による装置への付着が少な
く、効率よく残留モノマーが回収でき、且つ、得られた
回収モノマーが十分にリサイクル可能である、優れた残
留モノマーの回収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の残留モノマーの回収方法の1例を示
す図である。
【符号の説明】
1:脱揮装置(150〜250℃、300〜600To
rr) 2:脱揮装置(100〜250℃、0.01〜50To
rr) 3:配管(70〜150℃に保温) 4:配管(50℃以下) 5:真空ポンプ C1:コンデンサー(70〜150℃) C2:コンデンサー(50℃以下) C3:コンデンサー(0℃以下) G1、G2:揮発物 S:製品、乳酸系ポリマー M1、M2:回収モノマー P:乳酸系ポリマー重合後の反応物 P’:溶媒含有量が5重量%以下の乳酸系ポリマー P1:脱揮残留物 V1、V2:受器(50℃以下) Y:溶媒

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)乳酸系ポリマー重合後の反応物
    (P)を減圧度300〜600トール(Torr)、温
    度150〜250℃の条件で脱揮することにより含有溶
    媒量が5重量%以下である脱揮残留物(P1)を得る。 (b)脱揮残留物(P1)を更に減圧度0.01〜50
    トール(Torr)、温度100〜250℃の条件で脱
    揮することにより、製品としての乳酸系ポリマーSと残
    留モノマー濃度が50重量%以上で、かつ溶媒濃度が5
    0重量%未満の組成物である揮発物(G1)を得る。 (c)次いで、揮発物(G1)を70〜150℃に設定
    したコンデンサー(C1)に通し、液状の残留モノマー
    (M1)と揮発物(G2)を得る。 (d)更に揮発物(G2)を、50℃以下に設定したコ
    ンデンサー(C2)に通しコンデンサー(C1)で回収
    しきれなかった残留モノマーを回収することを特徴とす
    る残留モノマーの回収方法。
  2. 【請求項2】 (a)含有溶媒量が5重量%以下の乳酸
    系ポリマー(P’)を減圧度0.01〜50トール(T
    orr)、温度100〜250℃の条件で脱揮すること
    により、製品としての乳酸系ポリマーSと、残留モノマ
    ー濃度が50重量%以上で、かつ溶媒濃度が50重量%
    未満の組成である揮発物(G1)とを得る。 (b)次いで、揮発物(G1)を70〜150℃に設定
    したコンデンサー(C1)に通し、液状の残留モノマー
    (M1)と揮発物(G2)を得る。 (c)更に揮発物(G2)を、50℃以下に設定したコ
    ンデンサー(C2)に通しコンデンサー(C1)で回収
    しきれなかった残留モノマーを回収することを特徴とす
    る残留モノマーの回収方法。
  3. 【請求項3】 乳酸系ポリマー重合後の反応物(P)の
    脱揮を液状降下式脱揮装置にて行い、得られた脱揮残留
    物(P1)の脱揮を液状降下式脱揮装置又はベント式押
    出機にて行うことを特徴とする請求項1に記載の残留モ
    ノマーの回収方法。
  4. 【請求項4】 乳酸系ポリマー(P’)の脱揮を液状降
    下式脱揮装置又はベント式押出機にて行うことを特徴と
    する請求項2に記載の回収方法。
  5. 【請求項5】 残留モノマーがラクタイドであることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の残留モ
    ノマーの回収方法。
  6. 【請求項6】 コンデンサー(C1)及び/又はコンデ
    ンサー(C2)を直列に2個以上用いることを特徴とす
    る請求項5に記載の回収方法。
  7. 【請求項7】 乳酸系ポリマー重合後の反応物(P)及
    び/又は乳酸系ポリマー(P’)に含まれる溶媒が、芳
    香族系溶媒であることを特徴とする請求項1〜6のいず
    れか1つに記載の回収方法。
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