JPH1077599A - 紙用塗工組成物 - Google Patents

紙用塗工組成物

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JPH1077599A
JPH1077599A JP23410796A JP23410796A JPH1077599A JP H1077599 A JPH1077599 A JP H1077599A JP 23410796 A JP23410796 A JP 23410796A JP 23410796 A JP23410796 A JP 23410796A JP H1077599 A JPH1077599 A JP H1077599A
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water
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mol
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JP23410796A
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English (en)
Inventor
Akira Kawamura
晃 河村
Akira Tanikawa
顕 谷河
Toshiyuki Hasegawa
俊之 長谷川
Sonoe Sato
園恵 佐藤
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙に対して高度のインキ受理性及び耐水性が
付与できるなど、塗工紙の高品質化を図ることができる
紙用塗工組成物を提供する。 【解決手段】 顔料(I) 及び水性バインダー(II)を含有
するとともに、脂肪族アミン(a) と、アルデヒド類、グ
リシジル化合物及びイソシアネート類から選ばれる化合
物(b) との反応生成物である架橋アミン化合物(A) を含
む樹脂成分(III)を含有する紙用塗工組成物。樹脂成分
(III) はさらに、少なくとも、アルキレンジアミン類及
びポリアルキレンポリアミン類から選ばれるポリアミン
(c) 、尿素類(d) 並びに、アルデヒド類、エピハロヒド
リン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類、グリシジル
化合物及びイソシアネート類から選ばれる架橋性化合物
(e)の三成分を反応させて得られる水溶性樹脂(B) を含
むこともできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料及び水性バイ
ンダーを含有する紙用塗工組成物に関するものであり、
さらに詳しくは、紙に対して優れた印刷適性及び印刷効
果を付与することができる紙用塗工組成物を提供しよう
とするものである。なお、本明細書で用いる「紙」とい
う語は広義の意味であって、狭義の意味でいう紙のほ
か、いわゆる板紙をも包含する。
【0002】
【従来の技術】顔料と水性バインダーを主体とした塗工
組成物を紙に塗布し、乾燥、カレンダー処理などの必要
な処理を施して得られる塗工紙は、その優れた印刷効果
などの特長から、商業印刷物や雑誌・書籍などに広く用
いられているが、品質要求の高度化、印刷の高速化など
に伴って、塗工紙の品質改良努力が今もなお続けられて
いる。とりわけ印刷の多くを占めるオフセット印刷にお
いては、湿し水の影響下でのインキ受理性、ウェットピ
ックなどの耐水性、及び輪転印刷での耐ブリスター性の
改良・向上が、業界の重要な課題となっている。
【0003】従来よりこうした課題に対して、メラミン
−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹
脂、特公昭 44-11667 号公報や特公昭 59-32597 号公報
に示されるようなポリアミドポリ尿素−ホルムアルデヒ
ド樹脂などを、耐水化剤や印刷適性向上剤として添加す
る手法が知られている。しかし、これら従来の耐水化剤
や印刷適性向上剤は、いずれも有効な長所を有する反
面、一部の特性において重大な欠点又は効果の不十分さ
が認められることから、実用上必ずしも満足しうるもの
ではない。
【0004】例えば、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂
や尿素−ホルムアルデヒド樹脂などのいわゆるアミノプ
ラスト樹脂は、作業時の、あるいは塗工紙からのホルム
アルデヒドの発生が多いのみならず、インキ受理性や耐
ブリスター性の改良効果がほとんど得られないことや、
塗工組成物のpHが高くなると耐水化効果も発揮されに
くくなることなどの問題がある。一方、ポリアミドポリ
尿素−ホルムアルデヒド樹脂は、耐水性の向上と同時に
インキ受理性及び耐ブリスター性の向上に有効ではある
が、それらの向上度合いは、近年の塗工紙品質の高度化
要求に対して必ずしも十分なものとはいいがたかった。
【0005】そこで、これらとは異なるタイプの紙塗工
用樹脂の開発が進められており、例えば、特開昭 61-19
5124号公報や特開昭 61-215794号公報には、アミンとエ
ピハロヒドリンの反応生成物であって、その10重量%
濃度の水溶液の粘度が10cP以下である樹脂の使用が開
示されている。しかし、その後の塗工紙品質に対する要
求の高度化に伴い、より一層の高品質化が望まれてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗工
紙品質に対する要求に応え、紙に対して高度のインキ受
理性及び耐水性が付与できるなど、塗工紙の高品質化を
図ることができる紙用塗工組成物を提供することにあ
る。
【0007】本発明者らは、かかる課題解決のために鋭
意研究を行った結果、特定の成分を反応させて得られる
化合物を、顔料及び水性バインダーとともに含有してな
る組成物が、紙に対して優れた性能を付与することを見
出し、さらには、この化合物を特定の水溶性樹脂と組み
合わせて用いれば、紙に対して一層優れた性能が付与さ
れることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、顔料
(I) 及び水性バインダー(II)を含有するとともに、脂肪
族アミン(a) と、アルデヒド類、グリシジル化合物及び
イソシアネート類から選ばれる化合物(b) との反応生成
物である架橋アミン化合物(A) を含む樹脂成分(III) を
含有する紙用塗工組成物を提供するものである。
【0009】架橋アミン化合物(A) は、それ単独で樹脂
成分(III) とし、上記顔料(I) 及び水性バインダー(II)
と組み合わせて紙の塗工に用いることができるほか、さ
らに他の樹脂成分と組み合わせて用いることもできる。
例えば、少なくとも、アルキレンジアミン類及びポリア
ルキレンポリアミン類から選ばれるポリアミン(c) 、尿
素類(d) 並びに、アルデヒド類、エピハロヒドリン類、
α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類、グリシジル化合物及
びイソシアネート類から選ばれる架橋性化合物(e) の三
成分を反応させて得られる水溶性樹脂(B) と組み合わ
せ、架橋アミン化合物(A) と水溶性樹脂(B) との混合物
又は反応物の形で用いることができる。
【0010】また、水溶性樹脂(B) は、上記ポリアミン
(c) 、尿素類(d) 及び架橋性化合物(e) に加えて、さら
に他の成分を反応させたものであってもよい。例えば、
二塩基性カルボン酸系化合物(f) や、活性水素を少なく
とも1個有する脂環式アミン及び脂環式エポキシ化合物
から選ばれる脂環式化合物(g) などを反応させることが
できる。
【0011】
【発明の実施の形態】紙用塗工組成物の成分となる顔料
(I) は、紙の塗工に従来から一般に用いられているもの
でよく、白色無機顔料及び白色有機顔料が使用できる。
白色無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、炭
酸カルシウム(重質又は軽質)、水酸化アルミニウム、
サチンホワイト、酸化チタンなどが挙げられる。また白
色有機顔料としては、例えば、ポリスチレン、メラミン
−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂
などが挙げられる。これらの顔料は、それぞれ単独で、
又は2種以上混合して用いることができる。
【0012】水性バインダー(II)も紙の塗工に従来から
一般に用いられているものでよく、水溶性のバインダー
や水乳化系のバインダーが使用できる。水溶性バインダ
ーとしては、例えば、酸化でんぷんやリン酸エステル化
でんぷんをはじめとする無変性の、又は変性されたでん
ぷん類、ポリビニルアルコール、カゼインやゼラチンを
はじめとする水溶性プロテイン、カルボキシメチルセル
ロースをはじめとする変性セルロース類などが挙げられ
る。また、水乳化系バインダーとしては、例えば、カル
ボキシル基含有スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン
−酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、メチル
メタクリレート樹脂などが挙げられる。これらの水性バ
インダーは、それぞれ単独で、又は2種以上混合して用
いることができる。
【0013】本発明で樹脂成分(III) として用いられる
架橋アミン化合物(A) は、脂肪族アミン(a) と、アルデ
ヒド類、グリシジル化合物及びイソシアネート類から選
ばれる化合物(b) とを反応させることにより得られる。
【0014】架橋アミン化合物(A) の製造に用いられる
脂肪族アミン(a) は、1級、2級又は3級のアミノ基が
脂肪族炭化水素基に結合する化合物であればよく、アミ
ノ基が結合する脂肪族炭化水素基以外に脂環式環や芳香
族環を含んでいてもよい。また、アミノ基が分子内に複
数あってもよい。具体的には、メチルアミン、エチルア
ミン、プロピルアミン、ブチルアミンのような、アルキ
ルの炭素数が1〜10のモノアルキルアミン、ジメチル
アミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチル
アミンのような、各アルキルの炭素数が1〜10のジア
ルキルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンの
ような、各アルキルの炭素数が1〜10のトリアルキル
アミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミン、ビス(アミノメチル)シクロヘ
キサン、キシリレンジアミンのようなポリアミンなどが
挙げられる。これらのなかでは、モノアルキルアミン、
ジアルキルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリ
アミンなどが工業的に有利である。これらの脂肪族アミ
ン(a) は、それぞれ単独で用いることも、また2種以上
組み合わせて用いることもできる。特に、ジブチルアミ
ンを単独で、又は他のアミンと組み合わせて用いた場合
に、優れた効果が発揮される。
【0015】脂肪族アミン(a) と反応させる化合物(b)
のうち、アルデヒド類は、分子中に-CHO 基を少なくと
も1個有する化合物であればよく、例えば、ホルムアル
デヒド、アセトアルデヒドやプロピオンアルデヒドのよ
うなアルキルアルデヒド類、グリオキザール、プロパン
ジアールやブタンジアールのようなアルキルジアルデヒ
ド類などが挙げられる。工業的には、ホルムアルデヒド
及びグリオキザールが有利である。
【0016】化合物(b) のうちのグリシジル化合物は、
分子内にグリシジル基を少なくとも2個有するものであ
る。その具体例としては、エチレングリコールジグリシ
ジルエーテルやプロピレングリコールジグリシジルエー
テルのようなアルキレングリコールジグリシジルエーテ
ル類、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルや
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルのよう
なポリオキシアルキレングリコールジグリシジルエーテ
ル類、レゾルシンジグリシジルエーテルやビスフェノー
ルAジグリシジルエーテルのような芳香族ジグリシジル
エーテル類、トリメチロールプロパンジ−又はトリ−グ
リシジルエーテル、ソルビトールジ−、トリ−、テトラ
−、ペンタ−又はヘキサ−グリシジルエーテル、ペンタ
エリスリトールジ−、トリ−又はテトラ−グリシジルエ
ーテルなどが挙げられる。
【0017】化合物(b) のうちのイソシアネート類も、
分子内にイソシアナト基を少なくとも2個有するもので
ある。その具体例としては、イソホロンジイソシアネー
ト、3−(2−イソシアナトシクロヘキシル)プロピル
イソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘ
キサン、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシ
アネート)、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソ
シアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネートのよ
うな脂環式イソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネ
ート、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル(リジ
ンジイソシアネートとも呼ばれる)のような脂肪族イソ
シアネート類、及び、トリレンジイソシアネート、トリ
フェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシア
ナトフェニル)チオフォスフェート、フェニレンジイソ
シアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ジフェニ
ルエーテルジイソシアネートのような芳香族イソシアネ
ート類が挙げられる。
【0018】これらの化合物(b) は、それぞれ単独で、
又は2種以上組み合わせて用いることができる。もちろ
ん、アルデヒド類、グリシジル化合物及びイソシアネー
ト類のうち、異なる種類に属するものを2種以上併用す
ることもできる。化合物(b)のなかでは特に、グリシジ
ル化合物又はイソシアネート類を用いた場合に、高い効
果が発揮される。化合物(b) は、脂肪族アミン(a) 1モ
ルに対して、一般的には0.1〜2モルの範囲で、好まし
くは0.2〜1.5モルの範囲で用いられる。脂肪族アミン
(a) 中のアミノ基の量を基準にすれば、その1級、2級
及び3級アミノ基の合計量に対して、化合物(b) を0.2
〜1.5モル倍の範囲で用いるのが好ましい。
【0019】脂肪族アミン(a) と、アルデヒド類、グリ
シジル化合物及びイソシアネート類から選ばれる化合物
(b) との反応により、本発明の紙用塗工組成物におい
て、樹脂成分(III) となる架橋アミン化合物(A) が得ら
れる。この反応は、通常30〜100℃程度、好ましく
は50〜90℃の温度で、1〜20時間程度行われる。
この反応は通常、水溶液中で行われ、無触媒でも進行す
るが、アンモニアや苛性ソーダのような塩基性触媒を存
在させてもよい。
【0020】この反応は、脂肪族アミン(a) 中のアミノ
基と化合物(b) 中の官能基との付加ないし縮合反応が主
体となる。そして、脂肪族アミン(a) と化合物(b) の使
用割合や化合物(b) の種類、さらには脂肪族アミン(a)
の種類などによって、反応生成物の構造は多岐にわた
り、またある程度の分子量分布を持った低重合体となる
ので、その構造は特定できないが、脂肪族アミン(a) を
仮に R1-NH2 と表して、以下に主な反応形態を例示す
る。
【0021】まず、化合物(b) がアルデヒド類である場
合、それを R2-CHO と表すと、次のような反応が進行す
る。 R1-NH2 + R2-CHO → R1-NHCH(OH)-R2 R1-NHCH(OH)-R2 + R1-NH2 → R1-NHCH(R2)NH-R1 + H2
O さらに、R1-NHCH(R2)NH-R1中の2級アミノ基にアルデヒ
ドが付加し、別のアミン分子を結合した構造にもなりう
る。また、脂肪族アミン(a) が複数のアミノ基を有する
場合や2種以上の脂肪族アミンを併用した場合は、反応
はさらに複雑になるが、いずれにしても、アミン分子が
複数個架橋した化合物が主体的に生成することになる。
【0022】化合物(b) がグリシジル化合物である場
合、それを Ep-R3-Ep (Ep はエポキシ基)と表すと、次
のような反応が進行する。 R1-NH2 + Ep-R3-Ep → R1-NH-CH2CH(OH)-R3-Ep R1-NH-CH2CH(OH)-R3-Ep+R1-NH2→R1-NH-CH2CH(OH)-R3-
CH(OH)CH2-NH-R1 さらに、R1-NH-CH2CH(OH)-R3-CH(OH)CH2-NH-R1中の2級
アミノ基にグリシジル化合物が付加し、別のアミン分子
を結合した構造にもなりうる。脂肪族アミン(a)が複数
のアミノ基を有する場合や2種以上の脂肪族アミンを併
用した場合、またグリシジル化合物がグリシジル基を3
個以上有する場合は、反応はさらに複雑になるが、いず
れにしても、アミン分子が複数個架橋した化合物が主体
的に生成することになる。
【0023】化合物(b) がイソシアネート類である場
合、それを OCN-R4-NCO と表すと、次のような反応が進
行する。 R1-NH2 + OCN-R4-NCO → R1-NHCONH-R4-NCO R1-NHCONH-R4-NCO + R1-NH2 → R1-NHCONH-R4-NHCONH-
R1 脂肪族アミン(a) が複数のアミノ基を有する場合や2種
以上の脂肪族アミンを併用した場合、またイソシアネー
ト類がイソシアナト基を3個以上有する場合は、反応は
さらに複雑になるが、いずれにしても、アミン分子が複
数個架橋した化合物が主体的に生成することになる。
【0024】脂肪族アミン(a) が2級アミノ基を有する
場合も、上記に準じて反応することになり、また脂肪族
アミン(a) が3級アミノ基を有する場合は、その3級ア
ミノ基が4級化して架橋することになる。化合物(b) が
グリシジル化合物である場合には、このような4級化が
起こりうる。
【0025】以上のように、架橋アミン化合物(A) は、
ある程度の分子量分布を持った低重合体となるが、その
分子量の目安として、その70重量%水溶液の25℃に
おける粘度が1〜1,000 cPとなるものが好ましい。
【0026】こうして得られる架橋アミン化合物(A)
は、それ単独で樹脂成分(III) とし、顔料(I) 及び水性
バインダー(II)と組み合わせて紙の塗工に用いることが
できるほか、他の樹脂成分、とりわけ、特定の水溶性樹
脂(B) との混合物又は反応物として用いることもでき
る。 ここで用いる水溶性樹脂(B) は、アルキレンジア
ミン及びポリアルキレンポリアミンから選ばれるポリア
ミン(c) 、尿素類(d) 並びに、アルデヒド類、エピハロ
ヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類、グリシ
ジル化合物及びイソシアネート類から選ばれる架橋性化
合物(e) の少なくとも三成分を反応させることにより、
得られる。
【0027】水溶性樹脂(B) の製造に用いるポリアミン
(c) は、1級アミノ基を2個有し、両者を、途中に2級
アミノ基が存在していてもよいアルキレンで結合した化
合物である。その具体例としては、エチレンジアミン、
1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミンのようなアルキレンジアミ
ン類及び、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラ
ミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキ
サミン、イミノビスプロピルアミン、3−アザヘキサン
−1,6−ジアミン、4,7−ジアザデカン−1,10
−ジアミンのようなポリアルキレンポリアミン類が挙げ
られる。これらのなかでは、ジエチレントリアミン及び
トリエチレンテトラミンが工業的に有利である。これら
のポリアミン(c) は、それぞれ単独で用いることも、ま
た2種以上組み合わせて用いることもできる。また所望
により、このポリアミン(c) とともに、モノアミン又は
アンモニアを少量併用することもできる。
【0028】尿素類(d) は通常、式 -NHC(=Q)NHR で示
される原子団を有する尿素及びその誘導体であり、ここ
にQは酸素又は硫黄を表し、Rは水素又は炭素数1〜4
程度のアルキルを表す。尿素類(d) の具体例としては、
例えば、尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、
ジメチル尿素などを挙げることができる。尿素類(d)
も、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いる
ことができる。工業的見地からは、尿素が好ましく用い
られる。尿素類(d) は、ポリアミン(c) 中の1級及び2
級アミノ基の合計量に対して、一般的には0.3〜1モル
倍の範囲で、好ましくは0.5〜1モル倍の範囲で用いら
れる。
【0029】架橋性化合物(e) は、アルデヒド類、エピ
ハロヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類、グ
リシジル化合物又はイソシアネート類である。架橋性化
合物(e) のうちのエピハロヒドリン類は、次の一般式で
示される。
【0030】
【0031】式中、Xはハロゲン原子を表し、wは1、
2又は3を表す。エピハロヒドリン類の好ましい例とし
ては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどが
挙げられる。
【0032】架橋性化合物(e) のうちのα,γ−ジハロ
−β−ヒドリン類は、次の一般式で示される。
【0033】
【0034】式中、Y及びZはハロゲン原子を表す。か
かるα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類としては、例え
ば、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどが挙げら
れる。
【0035】架橋性化合物(e) のうちのアルデヒド類、
グリシジル化合物及びイソシアネート類は、先に架橋ア
ミン化合物(A) の製造に用いる化合物(b) として説明し
たのと同様のものであることができる。水溶性樹脂(B)
の製造に用いる架橋性化合物(e) は、架橋アミン化合物
(A) の製造に用いた化合物(b) と同じであっても異なっ
ていてもよい。また、これらのアルデヒド類、エピハロ
ヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類、グリシ
ジル化合物及びイソシアネート類は、架橋性化合物(e)
として、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用
いることができる。もちろん、アルデヒド類、エピハロ
ヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類、グリシ
ジル化合物及びイソシアネート類のうちで、異なる種類
に属するものを2種以上併用することもできる。架橋性
化合物(e) は、ポリアミン(c) 1モルに対して、一般的
には0.1〜2モルの範囲で、好ましくは0.2〜1モルの
範囲で用いられる。
【0036】ポリアミン(c) 、尿素類(d) 及び架橋性化
合物(e) の少なくとも三成分を反応させることにより、
水溶性樹脂(B) が得られる。この水溶性樹脂(B) は、上
記の三成分に加えて、さらに他の成分を反応させたもの
であってもよい。例えば、二塩基性カルボン酸系化合物
(f) や、活性水素を少なくとも1個有する脂環式アミン
及び脂環式エポキシ化合物から選ばれる脂環式化合物
(g) を反応させることができる。
【0037】二塩基性カルボン酸系化合物(f) は、分子
内に2個のカルボキシル基を有するもの、又はそれから
誘導されるものであって、例えば、遊離酸、エステル
類、酸無水物などであることができる。二塩基性カルボ
ン酸系化合物(f) は、脂肪族、芳香族、脂環式のいずれ
であってもよい。
【0038】遊離の二塩基性カルボン酸としては、例え
ば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、
マレイン酸、フマール酸のような脂肪族ジカルボン酸、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のような芳香族
ジカルボン酸、及び、テトラハイドロフタル酸、ヘキサ
ハイドロフタル酸、シクロヘキサン−1,3−又は−
1,4−ジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、
3−又は4−メチルテトラハイドロフタル酸、3−又は
4−メチルヘキサハイドロフタル酸のような脂環式ジカ
ルボン酸が挙げられる。なお、脂環式基が不飽和結合を
有し、その不飽和結合の位置が明示されていない場合、
その不飽和結合の位置は任意であると理解されるべきで
あり、以下の説明においても同様である。
【0039】二塩基性カルボン酸系化合物(f) は、これ
ら遊離酸のほか、そのエステル類、酸無水物などであっ
てもよい。エステル類の例としては、上記遊離酸と低級
アルコールとのモノ−又はジ−エステル類、上記遊離酸
とグリコール類とのポリエステル類などが挙げられる。
また酸無水物の具体例としては、無水コハク酸、無水フ
タル酸、テトラハイドロ無水フタル酸、ヘキサハイドロ
無水フタル酸、3−又は4−メチルテトラハイドロ無水
フタル酸、3−又は4−メチルヘキサハイドロ無水フタ
ル酸などが挙げられる。
【0040】二塩基性カルボン酸とグリコール類との反
応生成物であるポリエステルも有利に使用されるが、な
かでも遊離カルボキシル基を有するものが好ましい。こ
こで用いるグリコール類としては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブタンジオールのようなア
ルキレングリコール類、シクロペンタンジオール、シク
ロヘキサンジオールのようなシクロアルキレングリコー
ル類、ブテンジオール、オクテンジオールのようなアル
ケニレングリコール類、ジエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリテトラメチレングリコールのよう
なポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエ
チレンオキシド付加物などを例示することができる。二
塩基性カルボン酸とグリコール類との反応にあたって、
カルボン酸過剰モル比で反応させれば、分子末端に遊離
カルボキシル基を有するポリエステルが得られる。
【0041】これらの二塩基性カルボン酸系化合物(f)
は、それぞれ単独で用いても、また2種以上組み合わせ
て用いてもよい。二塩基性カルボン酸系化合物(f) は、
ポリアミン(c) 1モルに対して、一般的には0.1〜1モ
ルの範囲で、好ましくは0.2〜0.8モルの範囲で用いら
れる。
【0042】脂環式化合物(g) のうち、活性水素を少な
くとも1個有する脂環式アミンは、通常、環炭素数が5
〜12程度の脂環式環、好ましくはシクロヘキサン環を
有するとともに、1級又は2級のアミノ基を少なくとも
1個有する化合物であり、ここでアミノ基は、脂環式環
に直接結合していてもよいし、またアルキレンのような
連結基を介して間接的に脂環式環と結合していてもよ
い。活性水素を少なくとも1個有する脂環式アミンの具
体例としては、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシ
ルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、1,3−
又は1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4′−ジア
ミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、
4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルビシクロヘキ
シル、イソホロンジアミン、1,3−、1,2−又は
1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−ア
ミノプロピルシクロヘキシルアミン、1,5−又は2,
6−ビス(アミノメチル)オクタハイドロ−4,7−メ
タノインデン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)プロパン、 ビス(4−アミノシクロヘキシル)メ
タン、4,4′−オキシビス(シクロヘキシルアミ
ン)、4,4′−スルホンビス(シクロヘキシルアミ
ン)、1,3,5−トリアミノシクロヘキサン、2,
4′−又は4,4′−ジアミノ−3,3′,5,5′−
テトラメチルジシクロヘキシルメタン、メンタンジアミ
ン、N−メチル−1,3−ジアミノシクロヘキサン、
N,N−ジメチル−1,3−ジアミノシクロヘキサン、
3−N−メチルアミノ−3,5,5−トリメチルシクロ
ヘキシルアミン、N,N−ジメチルビス(4−アミノシ
クロヘキシル)メタンなどが挙げられる。
【0043】脂環式化合物(g) のうち脂環式エポキシ化
合物は、通常、環炭素数が5〜12程度の脂環式環、好
ましくはシクロヘキサン環を有するとともに、さらにエ
ポキシ基を有する化合物であり、ここでエポキシ基は、
脂環式環内の隣接する炭素原子間で形成されていても、
また脂環式環の外に形成されていてもよい。脂環式環の
外にあるエポキシ基は、脂環式環に直接結合すること
も、また例えば、グリシジル基やグリシジルオキシ基、
グリシジルオキシカルボニル基のような形で、脂環式環
に間接的に結合することもできる。脂環式エポキシ化合
物の具体例としては、シクロヘキセンオキシド、ビニル
シクロヘキセンジオキシド、ビス(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘ
キシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボ
キシレート、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
−8,9−エポキシ−2,4−ジオキサスピロ〔5.
5〕ウンデカン、ジグリシジルヘキサハイドロフタレー
ト、2,2−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシ
ル)プロパンなどが挙げられる。
【0044】これらの脂環式化合物(g) を用いる場合
は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いる
ことができる。脂環式化合物(g) としてはもちろん、脂
環式アミンと脂環式エポキシ化合物を併用することもで
きる。脂環式化合物(g) は、ポリアミン(c) 1モルに対
して、一般には1モル以下、好ましくは0.5モル以下の
割合で用いられる。
【0045】水溶性樹脂(B) は、以上のようなポリアミ
ン(c) 、尿素類(d) 及び架橋性化合物(e) の三成分を反
応させることにより、あるいは任意にさらに他の成分、
例えば二塩基性カルボン酸系化合物(f) 及び/又は脂環
式化合物(g) を反応させることにより得られる。
【0046】好適な水溶性樹脂(B) は、例えば、ポリア
ミン(c) 、尿素類(d) 、架橋性化合物(e) 、及び所望な
ら脂環式化合物(g) を反応させることにより、得ること
ができる。各成分の反応順序は任意であり、特に制限さ
れないが、例えば、ポリアミン(c) と尿素類(d) とを脱
アンモニア反応させ、次いで架橋性化合物(e) を反応さ
せるという態様を採ることができる。所望により脂環式
化合物(g) を用いる場合は、上記のいずれかの段階で反
応させることができる。
【0047】ポリアミン(c) と尿素類(d) との脱アンモ
ニア反応においては、尿素類(d) を一括して仕込んで反
応させてもよいし、また尿素類(d) の一部を最初に仕込
んでポリアミン(c) と脱アンモニア反応させたあと、残
りの尿素類(d) を加えて再度脱アンモニア反応を行うと
いう、二段階の反応を採用することもできる。脱アンモ
ニア反応は、通常80〜180℃程度、好ましくは90
〜160℃の温度で、発生するアンモニアを系外に除去
しながら、1〜18時間程度行われる。
【0048】また、その後の架橋性化合物(e) との反応
において、架橋性化合物(e) としてアルデヒド類を用い
る場合は、酸性下で反応を行うか、又は一旦アルカリ性
下で反応させたあと、さらに酸性下で反応を行うのが好
ましい。架橋性化合物(e) としてエピハロヒドリン類又
はα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類を用いる場合、この
反応は通常、固形分濃度が10〜80重量%程度の水溶
液中、中性ないしアルカリ性、例えばpH7以上、好ま
しくはpH8〜12の範囲で、30〜90℃程度の温度
にて、1〜10時間程度行われる。架橋性化合物(e) と
してグリシジル化合物又はイソシアネート類を用いる場
合、この反応は通常、固形分濃度が10〜80重量%程
度の水溶液中、30〜100℃程度、好ましくは40〜
90℃の温度で、1〜10時間程度、好ましくは3〜8
時間程度行われる。架橋性化合物(e) を2種以上用いる
場合、これら2種以上の架橋性化合物(e) は、一緒に反
応させてもよいし、化合物毎に反応させてもよい。化合
物毎に反応させる場合は、それぞれの反応毎に上記の条
件を採用するのが好ましい。
【0049】脂環式化合物(g) を追加の反応成分とする
場合は、例えば、ポリアミン(c) と尿素類(d) との脱ア
ンモニア反応の際に、脂環式化合物(g) を存在させて反
応させることもできるし、ポリアミン(c) と尿素類(d)
との反応でポリアミノポリ尿素を生成させたあと、架橋
性化合物(e) との反応の前に脂環式化合物(g) を反応さ
せることもできるし、またポリアミノポリ尿素を架橋性
化合物(e) と反応させる段階で、脂環式化合物(g) を存
在させ、反応させることもできる。脂環式化合物(g) が
脂環式アミンである場合は、予めこの脂環式アミンを尿
素類(d) の部分量と脱アンモニア縮合させておき、これ
をさらにポリアミン(c) 及び尿素類(d)の残量と反応さ
せ、次いで架橋性化合物(e) と反応させることもでき
る。尿素類(d) と脂環式アミンとの脱アンモニア縮合反
応は、通常80〜180℃程度、好ましくは90〜16
0℃の温度で、発生するアンモニアを系外に除去しなが
ら、2〜18時間程度行われる。また、脂環式化合物
(g) が脂環式エポキシ化合物である場合は、予めこの脂
環式エポキシ化合物をポリアミン(c) と付加反応させ、
これを尿素類(d) と反応させたあと、架橋性化合物(e)
を反応させることもできる。ポリアミン(c) と脂環式エ
ポキシ化合物の付加反応は、通常30〜100℃程度、
好ましくは40〜90℃の温度で、1〜10時間程度行
われる。
【0050】別の好適な水溶性樹脂(B) は、 ポリアミ
ン(c) 、尿素類(d) 、架橋性化合物(e) 、二塩基性カル
ボン酸系化合物(f) 、及び所望なら脂環式化合物(g) を
反応させることにより、得ることができる。ここでも各
成分の反応の順序は任意であり、特に制限されるもので
はないが、例えば、ポリアミン(c) 、尿素類(d) 及び二
塩基性カルボン酸系化合物(f) を、任意の順序で脱アン
モニア反応及び脱水又は脱アルコール縮合反応に供し
て、ポリアミドポリ尿素を生成させ、その後、架橋性化
合物(e) を反応させるという態様を採ることができる。
所望により脂環式化合物(g) を用いる場合は、上記のい
ずれかの段階で反応させることができる。
【0051】この場合のポリアミン(c) 、尿素類(d) 及
び二塩基性カルボン酸系化合物(f)の反応においても、
尿素類(d) を一括して仕込んで反応させることができ、
また尿素類(d) の一部を最初に仕込んで脱アンモニア反
応を行い、後の段階で残りの尿素類(d) を加えて再度脱
アンモニア反応を行うという、二段階の反応を採用する
こともできる。例えば、ポリアミン(c) と二塩基性カル
ボン酸系化合物(f) を脱水又は脱アルコール縮合させて
ポリアミドを生成させ、次に尿素類(d) を加えて脱アン
モニア反応を行う方法、尿素類(d) の一部をポリアミン
(c) と脱アンモニア反応させたあと、二塩基性カルボン
酸系化合物(f) を脱水又は脱アルコール縮合させ、さら
に残りの尿素類(d) を加えて脱アンモニア反応を行う方
法、ポリアミン(c) 、尿素類(d) 及び二塩基性カルボン
酸系化合物(f) を同時に仕込んで脱アンモニア反応及び
脱水又は脱アルコール縮合を同時に行う方法、ポリアミ
ン(c) 及び二塩基性カルボン酸系化合物(f) に、尿素類
(d) の一部を加えて脱水又は脱アルコール縮合及び脱ア
ンモニア反応を行い、さらに残りの尿素類(d) を加えて
脱アンモニア反応を行う方法などが採用できる。
【0052】ここで、脱水又は脱アルコール縮合反応
は、通常120〜200℃程度、好ましくは130〜1
80℃の温度で、生成する水又はアルコールを系外に除
去しながら、2〜10時間程度行われる。ポリアミン
(c) 、尿素類(d) 及び二塩基性カルボン酸系化合物(f)
を同時に反応させる場合は、通常80〜200℃程度、
好ましくは90〜160℃の温度で、発生するアンモニ
ア及び水又はアルコールを系外に除去しながら、2〜1
8時間程度行われる。脱アンモニア反応を単独で行う場
合は、先に述べた条件に準じて行うことができる。 そ
の後の架橋性化合物(e) の反応は、先に述べたのと同様
に行うことができ、また、所望により脂環式化合物(g)
を用いる場合も、先に述べた方法に準じていずれかの段
階で行うことができる。
【0053】こうして得られる水溶性樹脂(B) は、架橋
アミン化合物(A) との混合物として又は反応物として、
本発明による紙用塗工組成物の成分とすることができ
る。水溶性樹脂(B) を架橋アミン化合物(A) と反応させ
る場合、この反応は通常、20〜100℃程度の温度
で、1〜10時間程度行われる。 この場合、水溶性樹
脂(B) を構成する架橋性化合物(e) は、架橋アミン化合
物(A) と反応する時点で水溶性樹脂(B) 中に組み込まれ
ていればよい。例えば、架橋アミン化合物(A) との反応
系に導入する前に、予め架橋性化合物(e) を構成成分と
する水溶性樹脂(B)を形成させておいてもよいし、また
例えば、架橋アミン化合物(A) との反応系内で、架橋性
化合物(e) を構成成分とする水溶性樹脂(B) を形成させ
てもよい。後者の場合には、架橋性化合物(e) を用いる
ことなく、又はその最終必要量の一部を用いて、少なく
ともポリアミン(c) 及び尿素類(d) を反応させたのち、
架橋アミン化合物(A) 及び残りの量の架橋性化合物(e)
を添加した系内でさらに反応を進行させて、水溶性樹脂
(B) を形成させるとともに、架橋アミン化合物(A) とも
反応させることができる。
【0054】本発明の紙用塗工組成物を調製するにあた
り、顔料(I) と水性バインダー(II)の組成割合は、用途
や目的に応じて決定され、当業界で一般に採用されてい
る組成と特に異なるところはない。両者の好ましい組成
割合は、顔料(I) 100重量部に対して、水性バインダ
ー(II)が1〜200重量部程度、より好ましくは5〜5
0重量部程度である。 架橋アミン化合物(A) を含む樹
脂成分(III) は、顔料(I) 100重量部に対し、固形分
として0.05〜5重量部程度、さらには0.1〜2重量部
程度配合するのが好ましい。架橋アミン化合物(A) に加
えて水溶性樹脂(B) を用いる場合、混合物とするときは
両者の合計固形分重量として、また反応物とするときは
その反応物の固形分重量として、それぞれ顔料(I) 10
0重量部に対し、0.05〜5重量部程度、さらには0.1
〜2重量部程度配合すればよい。ここで、水溶性樹脂
(B) を架橋アミン化合物(A) との混合物又は反応物とし
て用いるいずれの場合であっても、架橋アミン化合物
(A) と水溶性樹脂(B) の合計量を基準に、架橋アミン化
合物(A) の量を1〜90重量%程度の範囲、さらには3
〜80重量%程度の範囲とするのが好ましい。
【0055】紙用塗工組成物を調製するにあたり、顔料
(I) 、水性バインダー(II)並びに、樹脂成分(III) とし
ての架橋アミン化合物(A) 及び任意に用いられる水溶性
樹脂(B) の添加混合順序は任意であり、特に制限されな
いが、例えば、以下のような方法を採ることができる。
架橋アミン化合物(A) を樹脂成分(III) として単独で用
いる場合には、この架橋アミン化合物(A) を顔料(I) 及
び水性バインダー(II)に添加混合する方法、この架橋ア
ミン化合物(A) を予め顔料(I) 又は水性バインダー(II)
に添加混合しておき、これを残りの成分と配合する方法
などが採用できる。架橋アミン化合物(A) と水溶性樹脂
(B) の混合物を樹脂成分(III) とする場合は、両者を予
め混合したのち、これを顔料(I) 及び水性バインダー(I
I)に添加混合する方法、架橋アミン化合物(A) と水溶性
樹脂(B) を個々に、顔料(I) 及び水性バインダー(II)に
添加混合する方法、架橋アミン化合物(A) 及び水溶性樹
脂(B) の一方又は双方を、顔料(I) 又は水性バインダー
(II)に添加混合しておき、塗工組成物調製の段階で全成
分を混合する方法などが採用できる。また、架橋アミン
化合物(A) を水溶性樹脂(B) と反応させて樹脂成分(II
I) とする場合は、この反応物を顔料(I) 及び水性バイ
ンダー(II)に添加混合する方法、この反応物を予め顔料
(I) 又は水性バインダー(II)に添加混合しておき、これ
を残りの成分と配合する方法などが採用できる。
【0056】本発明の紙用塗工組成物には、その他の成
分として、例えば、分散剤、粘度・流動性調整剤、消泡
剤、防腐剤、潤滑剤、保水剤、また染料や有色顔料のよ
うな着色剤などを、必要に応じて配合することができ
る。
【0057】本発明の紙用塗工組成物は、従来より公知
の方法、例えばブレードコーター、エアーナイフコータ
ー、バーコーター、サイズプレスコーター、ゲートロー
ルコーター、キャストコーターなど、公知の各種コータ
ーを用いる方法により、紙基体に塗布される。その後必
要な乾燥を行い、さらに必要に応じてスーパーカレンダ
ーなどで平滑化処理を施すことにより、塗工紙を製造す
ることができる。
【0058】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらによって限定されるものでは
ない。例中、含有量又は使用量を表す%及び部は、特に
断らないかぎり重量基準である。また、粘度及びpH
は、25℃において測定した値である。まず、本発明に
従う架橋アミン化合物(A) を合成した例を示す。
【0059】合成例1:温度計、還流冷却器及び攪拌棒
を備えた四つ口フラスコに、ジエチレントリアミン10
3.2g(1モル)及び水89.0gを仕込み、内温を25
〜30℃に保って、エチレングリコールジグリシジルエ
ーテル104.5g(0.6モル)をゆっくりと滴下し、滴
下終了後、内温70℃で4時間反応させた。次に硫酸と
水でpH及び濃度の調整を行って、pH7、固形分濃度
70%、粘度630cPの架橋アミン化合物の水溶液を得
た。
【0060】合成例2:合成例1で用いたのと同様の容
器に、ブチルアミン73.1g(1モル)及び水91.1g
を仕込み、内温を50〜55℃に保って、エチレングリ
コールジグリシジルエーテル139.4g(0.8モル)を
ゆっくりと滴下した。次に内温80℃で5時間反応させ
たあと、水50.6gを加えた。さらに硫酸と水でpH及
び濃度の調整を行って、pH7、固形分濃度60%、粘
度380cPの架橋アミン化合物の水溶液を得た。
【0061】合成例3:合成例1で用いたのと同様の容
器に、 m−キシリレンジアミン163.4g(1.2モ
ル)、エチレンジアミン28.8g(0.48モル)及び水
222.3gを仕込み、内温を70〜75℃に保って、ヘ
キサメチレンジイソシアネート141.3g(0.84モ
ル)をゆっくりと滴下した。次に、内温80〜85℃で
8時間反応させたあと、硫酸と水でpH及び濃度の調整
を行って、pH7、固形分濃度60%、粘度460cPの
架橋アミン化合物の水溶液を得た。
【0062】合成例4:合成例1で用いたのと同様の容
器に、m−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン85.3
g(0.6モル)、エチレンジアミン24.0g(0.4モ
ル)及び水47.6gを仕込み、内温を50〜55℃に保
って、37%ホルマリン24.3g(0.3モル)及びレゾ
ルシンジグリシジルエーテル44.4g(0.2モル)をゆ
っくりと滴下した。次に内温70〜75℃で4時間反応
させたあと、硫酸と水でpH及び濃度の調整を行って、
pH7、固形分濃度70%、粘度550cPの架橋アミン
化合物の水溶液を得た。
【0063】合成例5:合成例1で用いたのと同様の容
器に、ジエチルアミン36.6g(0.5モル)、ジエチレ
ントリアミン51.6g(0.5モル)及び水133.0gを
仕込み、内温を70〜75℃に保って、レゾルシンジグ
リシジルエーテル222.2g(1モル)をゆっくりと滴
下した。次に内温70〜75℃で4時間反応させたあ
と、硫酸と水でpH及び濃度の調整を行って、pH7、
固形分濃度70%、粘度490cPの架橋アミン化合物の
水溶液を得た。
【0064】合成例6:合成例1で用いたのと同様の容
器に、ジブチルアミン129.2g(1モル)及び水6
6.1gを仕込み、内温を70〜75℃に保って、レゾル
シンジグリシジルエーテル333.4g(1.5モル)をゆ
っくりと滴下した。次に内温70〜75℃で1時間反応
させたあと、硫酸と水でpH及び濃度の調整を行って、
pH7、固形分濃度70%、粘度84cPの架橋アミン化
合物の水溶液を得た。
【0065】合成例7:合成例1で用いたのと同様の容
器に、ジブチルアミン103.4g(0.8モル)及び水1
16.0gを仕込み、内温を70〜75℃に保って、エチ
レングリコールジグリシジルエーテル167.2g(0.9
6g)をゆっくりと滴下した。次に内温70〜75℃で
1時間反応させたあと、内温を50℃に下げて、水5.0
g及びトリエチレンテトラミン11.7g(0.08モル)
を仕込み、内温を再び上昇させて70〜75℃でさらに
8時間反応させた。反応終了後、硫酸と水でpH及び濃
度の調整を行って、pH7、固形分濃度70%、粘度2
35cPの架橋アミン化合物の水溶液を得た。
【0066】次に、水溶性樹脂(B) を合成した例を示
す。
【0067】合成例8:温度計、還流冷却器及び攪拌棒
を備えた四つ口フラスコに、ジエチレントリアミン10
3.2g(1モル)及びアジピン酸43.8g(0.3モル)
を仕込み、内温140〜160℃で5時間加熱して、発
生する水を系外に除去しながら脱水アミド化反応を行っ
た。次に内温を80℃に下げて、尿素144.2g(2.4
モル)を仕込み、さらに不揮発分が80%となるように
水70.1gで希釈してから、内温90〜110で12時
間脱アンモニア反応を行った。その後、内温を80℃に
下げ、37%ホルマリン52.8g(0.65モル)及び水
65.6gを仕込んで、内温95〜105℃で1時間メチ
ロール化反応を行った。次に内温を30℃以下に下げ、
硫酸でpHを4.0に調整したあと、内温70℃で4時間
メチレン化反応を行って、濃度60%、pH6.8、粘度
350cPの水溶性樹脂の水溶液を得た。
【0068】合成例9:合成例8で用いたのと同様の容
器に、ジエチレントリアミン72.2g(0.7モル)、エ
チレンジアミン18.0g(0.3モル)及び尿素126.1
g(2.1モル)を仕込み、さらに不揮発分が80%とな
るように水54.1gで希釈してから、内温90〜110
℃で12時間脱アンモニア反応を行った。その後、内温
を70℃に下げ、水103.2gを仕込んでからエピクロ
ロヒドリン55.5g(0.6モル)をゆっくりと滴下し、
次に内温70℃で8時間反応させた。さらに、硫酸と水
でpH及び濃度を調整して、濃度60%、pH7.1、粘
度142.3 cP の水溶性樹脂の水溶液を得た。
【0069】合成例10:合成例8で用いたのと同様の
容器に、 ペンタエチレンヘキサミン185.9g(0.8
モル)、グルタル酸21.1g(0.16モル)及び尿素6
0.1g(1モル)を仕込み、内温140〜160℃で5
時間加熱して、発生する水及びアンモニアを系外に除去
しながら脱水アミド化反応及び脱アンモニア反応を同時
に行った。次に内温を80℃に下げて、尿素120.1g
(2モル)を仕込み、さらに不揮発分が80%となるよ
うに水86.8gで希釈してから、内温90〜110℃で
12時間脱アンモニア反応を行った。その後水215.8
gを仕込み、さらにレゾルシンジグリシジルエーテル1
06.6g(0.48モル)をゆっくりと滴下してから、内
温70〜80℃で8時間反応させた。 次に硫酸と水で
pH及び濃度を調整して、濃度60%、pH7.1、粘度
246.3 cP の水溶性樹脂の水溶液を得た。
【0070】合成例11:合成例8で用いたのと同様の
容器に、トリエチレンテトラミン146.2g(1モ
ル)、シクロヘキシルアミン29.8g(0.3モル)及び
尿素180.2g(3モル)を仕込み、さらに不揮発分が
80%となるように、水89.1gで希釈してから、内温
90〜110℃で12時間脱アンモニア反応を行った。
その後、内温を70℃に下げてから、水192.8g及び
ジグリシジルヘキサハイドロフタレート85.3g(0.3
モル)を仕込み、さらにエピクロロヒドリン32.4g
(0.35モル)をゆっくりと滴下し、引き続き内温70
℃で8時間反応させた。次に硫酸と水でpH及び濃度を
調整して、濃度60%、pH7.0、粘度201.7 cP の
水溶性樹脂の水溶液を得た。
【0071】合成例12:合成例8で用いたのと同様の
容器に、ジエチレントリアミン82.5g(0.8モル)及
び尿素72.1g(1.2モル)を仕込み、さらに不揮発分
が80%となるように水38.7gで希釈してから、内温
90〜110℃で12時間脱アンモニア反応を行った。
その後、内温を30℃に下げてから、28%アンモニア
水12.2g(0.2モル)及び水129.9gを仕込み、さ
らに、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル
36.0g(0.1モル)とエピクロロヒドリン92.5g
(1モル)の混合液をゆっくりと滴下した。次に内温8
0〜90℃で4時間反応させ、硫酸と水でpH及び濃度
を調整して、濃度60%、pH7.1、粘度291.3 cP
の水溶性樹脂の水溶液を得た。
【0072】次に、架橋アミン化合物(A) を水溶性樹脂
(B) と反応させた例を示す。
【0073】合成例13:温度計、還流冷却器及び攪拌
棒を備えた四つ口フラスコに、合成例1と同様にして合
成したpH調整前の約70%濃度の架橋アミン化合物の
水溶液15.0g、合成例9と同様にして合成したpH調
整前の約60%濃度の樹脂水溶液157.3g、エピクロ
ロヒドリン11.1g(0.12モル)及び水9.9gを仕込
み、70℃で2時間反応させた。最後に硫酸と水でpH
及び濃度を調整して、濃度60%、pH7.0、粘度23
2.4 cP の樹脂成分水溶液を得た。
【0074】合成例14:合成例13で用いたのと同様
の容器に、合成例1と同様にして合成したpH調整前の
約70%濃度の架橋アミン化合物の水溶液33.7g、合
成例9と同様にして合成したpH調整前の約60%濃度
の樹脂水溶液157.3g、エピクロロヒドリン11.1g
(0.12モル)及び水13.0gを仕込み、70℃で2時
間反応させた。 最後に硫酸と水でpH及び濃度を調整
して、濃度60%、pH7.0、粘度321.5 cP の樹脂
成分水溶液を得た。
【0075】合成例15:合成例13で用いたのと同様
の容器に、 合成例5と同様にして合成したpH調整前
の約70%濃度の架橋アミン化合物の水溶液37.8g、
合成例8で得た濃度60%の樹脂水溶液176.2g、
水4.43g及び37%ホルマリン4.87g(0.06モ
ル)を仕込み、95〜105℃で1時間メチロール化反
応を行った。次いで内温を30℃以下に下げ、硫酸でp
Hを4.0に調整したあと、内温70℃で4時間メチレン
化反応を行って、濃度60%、pH6.9、粘度410cP
の樹脂成分水溶液を得た。
【0076】合成例16:合成例13で用いたのと同様
の容器に、合成例6と同様にして合成したpH調整前の
約70%濃度の架橋アミン化合物の水溶液16.9g、合
成例12と同様にして合成したpH調整前の約60%濃
度の樹脂水溶液177.4g、及び水2.82gを仕込み、
内温70℃で8時間反応させた。最後に硫酸と水でpH
及び濃度を調整して、濃度60%、pH7.1、粘度33
3.5 cP の樹脂成分水溶液を得た。
【0077】合成例17:合成例13で用いたのと同様
の容器に、合成例6と同様にして合成したpH調整前の
約70%濃度の架橋アミン化合物の水溶液38.0g、合
成例12と同様にして合成したpH調整前の約60%濃
度の樹脂水溶液177.4g、及び水6.33gを仕込み、
内温70℃で8時間反応させた。最後に硫酸と水でpH
及び濃度を調整して、濃度60%、pH7.0、粘度35
1.9 cP の樹脂成分水溶液を得た。
【0078】次に、以上の合成例で得られた各化合物な
いし樹脂を用いて、紙用塗工組成物を調製し、評価した
例を示す。以下の例では、表1に示す組成のマスターカ
ラーを用いた。
【0079】
【表1】
【0080】(表1の脚注)*1 ウルトラホワイト90: 米国エンゲルハードミネ
ラルズ社製のクレー*2 カービタル90: 富士カオリン(株)製の炭酸カ
ルシウム*3 スミレーズレジン DS-10: 住友化学工業(株)製
のポリアクリル酸系顔料分散剤*4 SN−307: 住化エービーエス・ラテックス
(株)製のスチレン−ブタジエン系ラテックス*5 王子エースA: 王子ナショナル(株)製の酸化で
んぷん*6 配合比: 固形分重量による割合
【0081】実施例1〜7:表1に示したマスターカラ
ーへ、その中の顔料100部あたり、合成例1〜7で得
たそれぞれの架橋アミン化合物の水溶液を、その中の固
形分が0.5部の割合となるように添加した。それぞれの
組成物を、総固形分60%、pH約9となるように、各
々水と10%苛性ソーダ水溶液で調整して、塗工組成物
とした。得られたそれぞれの塗工組成物について、以下
の方法で物性値を測定し、その結果を表2に示した。
【0082】(1) pH:ガラス電極式水素イオン濃度計
〔東亜電波工業(株)製〕を用い、調製直後の塗工組成
物のpHを25℃にて測定した。
【0083】(2) 粘度:B型粘度計〔(株)東京計器
製、BL型〕を用い、60rpm 、25℃で、調製直後の
塗工組成物の粘度を測定した。
【0084】上で得られたそれぞれの塗工組成物を、米
坪量80g/m2の上質紙の片面に、ワイヤーロッドを用
いて塗工量が14g/m2となるように塗布した。塗布後
ただちに、120℃にて30秒間熱風乾燥し、次いで温
度20℃、相対湿度65%にて16時間調湿し、さらに
温度60℃、線圧60kg/cmの条件で2回スーパーカレ
ンダー処理を施して、塗工紙を得た。こうして得た塗工
紙を耐水性及びインキ受理性の試験に供し、試験結果を
表2に示した。なお、試験方法は以下のとおりである。
【0085】(3) 耐水性:ウェットピック法(WP法) RI試験機(明製作所製)を使用し、コート面を給水ロ
ールで湿潤させたあと印刷し、紙むけ状態を肉眼で観察
して判定した。判定基準は次のように行った。 耐水性 (劣)1〜5(優)
【0086】(4) インキ受理性 (4-1) A 法 RI試験機を使用して、塗工面を給水ロールで湿潤させ
たあと印刷し、インキの受理性を肉眼で観察して判定し
た。判定基準は次のように行った。 インキ受理性 (劣)1〜5(優)
【0087】(4-2) B 法 RI試験機を使用して、インキに水を練り込みながら印
刷し、インキ受理性を肉眼で観察して判定した。判定基
準は次のように行った。 インキ受理性 (劣)1〜5(優)
【0088】
【表2】
【0089】実施例8:合成例1で得た架橋アミン化合
物の70%水溶液と、合成例8で得た水溶性樹脂の60
%水溶液とを、固形分換算で架橋アミン化合物が10
%、水溶性樹脂が90%となるように混合し、さらに水
と硫酸でpH及び濃度の調整を行って、濃度60%、p
H7.0、粘度330cPの樹脂成分水溶液とした。この樹
脂成分水溶液を、表1に示した組成のマスターカラー
へ、その中の顔料100部あたり樹脂成分水溶液中の固
形分が0.5部の割合となるように添加した。
【0090】実施例9〜25:架橋アミン化合物及び水
溶性樹脂の種類及び量を、それぞれ表3及び表4に示す
ように変更した以外は、実施例8と同様にして、これら
の表に示す物性を有する樹脂成分水溶液を調製し、さら
に実施例8と同様の割合でマスターカラーへの添加を行
った。
【0091】以上の実施例8〜25で得られたそれぞれ
の組成物につき、実施例1〜7と同様の方法で総固形分
濃度及びpHの調整を行ったあと、それぞれの塗工組成
物を用いて塗工紙を作成し、同様の試験を行った。結果
を表3及び表4に示した。なお、表3及び表4中の架橋
アミン化合物の量は、この架橋アミン化合物と水溶性樹
脂の混合物である樹脂成分水溶液中の、総固形分に対す
る架橋アミン化合物の重量割合を表し、次式により算出
される値である。
【0092】
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】実施例26〜30:表1に示したマスター
カラーへ、その中の顔料100部あたり、合成例13〜
17で得たそれぞれの樹脂成分水溶液を、その中の固形
分が0.5部の割合となるように添加した。得られたそれ
ぞれの組成物につき、実施例1〜7と同様の方法で固形
分濃度及びpHの調整を行ったあと、それぞれの塗工組
成物を用いて塗工紙を作成し、同様の試験を行った。結
果を表5に示した。
【0096】
【表5】
【0097】比較合成例1:温度計、還流冷却器及び攪
拌棒を備えた四つ口フラスコに、50%ジメチルアミン
水溶液88.1g(ジメチルアミン1モル含有)及び水1
4.5gを仕込み、内温を25〜30℃に保って、エピク
ロロヒドリン92.5g(1モル)をゆっくりと滴下し、
その後、内温25〜30℃で10時間保温した。次に硫
酸と水でpH及び濃度の調整を行って、濃度70%、粘
度70cP、pH7.0の架橋アミン化合物の水溶液を得
た。
【0098】比較合成例2:比較合成例1で用いたのと
同様のフラスコに、ジエチレントリアミン41.3g
(0.4モル)、50%ジメチルアミン水溶液13.5g
(ジメチルアミン0.15モル含有)及び水96.8gを仕
込み、内温を70℃に保って、エピクロロヒドリン5
5.5g(0.6モル)をゆっくりと滴下し、その後、内温
70℃で4時間保温した。次に硫酸と水でpH及び濃度
の調整を行って、濃度50%、粘度425cP、pH7.0
の架橋アミン化合物の水溶液を得た。
【0099】比較合成例3:比較合成例1で用いたのと
同様のフラスコに、ジエチレントリアミン41.3g
(0.4モル)、50%ジメチルアミン水溶液13.5g
(ジメチルアミン0.15モル含有)及び水96.8gを仕
込み、内温を30℃に保って、エピクロロヒドリン5
5.5g(0.6モル)をゆっくりと滴下し、その後、内温
30℃で4時間保温した。次に、硫酸と水でpH及び濃
度の調整を行って、濃度50%、粘度98cP、pH7.0
の架橋アミン化合物の水溶液を得た。
【0100】比較例1〜4:表1に示したマスターカラ
ーへ、その中の顔料100部あたり、比較合成例1〜3
で得た架橋アミン化合物の水溶液をそれぞれ固形分が
0.5部の割合となるように添加して、比較例1〜3の組
成物を調製した。また比較例4では、表1に示したマス
ターカラーをそのまま用いた。それぞれの組成物につ
き、先の実施例と同様の方法で固形分濃度及びpHの調
整を行ったあと、それぞれの塗工組成物を用いて塗工紙
を作成し、同様の試験を行った。結果を表6に示した。
【0101】
【表6】
【0102】
【発明の効果】本発明により特定の架橋アミン化合物を
配合した紙用塗工組成物は、インキ受理性及び耐水性に
優れるなど、種々の改良された性能を示す塗工紙を与え
る。また、この架橋アミン化合物を特定の水溶性樹脂と
組み合わせ、混合物又は反応物として用いることによ
り、一層改良された性能を示す塗工紙が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 園恵 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住 友化学工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(I) 顔料、(II) 水性バインダー、並び
    に(III) 脂肪族アミン(a) と、アルデヒド類、分子内に
    グリシジル基を少なくとも2個有するグリシジル化合物
    及び分子内にイソシアナト基を少なくとも2個有するイ
    ソシアネート類から選ばれる化合物(b) との反応生成物
    である架橋アミン化合物(A) を含む樹脂成分を含有する
    ことを特徴とする紙用塗工組成物。
  2. 【請求項2】樹脂成分(III) がさらに、少なくとも、ア
    ルキレンジアミン類及びポリアルキレンポリアミン類か
    ら選ばれるポリアミン(c) 、尿素類(d) 並びに、アルデ
    ヒド類、エピハロヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒ
    ドリン類、グリシジル化合物及びイソシアネート類から
    選ばれる架橋性化合物(e) の三成分を反応させて得られ
    る水溶性樹脂(B) を含み、架橋アミン化合物(A) と水溶
    性樹脂(B) との混合物又は反応物である請求項1記載の
    組成物。
  3. 【請求項3】水溶性樹脂(B) が、ポリアミン(c) 、尿素
    類(d) 及び架橋性化合物(e) に加えて、二塩基性カルボ
    ン酸系化合物(f) を反応させて得られる請求項2記載の
    組成物。
  4. 【請求項4】二塩基性カルボン酸系化合物(f) が、遊離
    酸、エステル又は酸無水物である請求項3記載の組成
    物。
  5. 【請求項5】水溶性樹脂(B) が、ポリアミン(c) 、尿素
    類(d) 及び架橋性化合物(e) に加えて、活性水素を少な
    くとも1個有する脂環式アミン及び脂環式エポキシ化合
    物から選ばれる脂環式化合物(g) を反応させて得られる
    請求項2記載の組成物。
  6. 【請求項6】水溶性樹脂(B) が、ポリアミン(c) 、尿素
    類(d) 及び架橋性化合物(e) に加えて、二塩基性カルボ
    ン酸系化合物(f) 並びに、活性水素を少なくとも1個有
    する脂環式アミン及び脂環式エポキシ化合物から選ばれ
    る脂環式化合物(g) を反応させて得られる請求項2記載
    の組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6387506B1 (en) 1997-08-26 2002-05-14 Sumitomo Chemical Company, Limited Resin composition for paper-coating, coating composition for paper and coated paper
JP2006160896A (ja) * 2004-12-08 2006-06-22 Taoka Chem Co Ltd 紙塗工用樹脂組成物及び塗工組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6387506B1 (en) 1997-08-26 2002-05-14 Sumitomo Chemical Company, Limited Resin composition for paper-coating, coating composition for paper and coated paper
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