JPH1077366A - 脱酸素性樹脂組成物 - Google Patents

脱酸素性樹脂組成物

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JPH1077366A
JPH1077366A JP16263097A JP16263097A JPH1077366A JP H1077366 A JPH1077366 A JP H1077366A JP 16263097 A JP16263097 A JP 16263097A JP 16263097 A JP16263097 A JP 16263097A JP H1077366 A JPH1077366 A JP H1077366A
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良二 大滝
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の小袋入り脱酸素剤と同等の酸素吸収性
能を有する脱酸素性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 熱可塑性エラストマー又はエチレンプロ
ピレン共重合体を含み、曲げ弾性率が600MPa以下
で酸素透過係数が130cc・mm/m2 ・atm・d
ay(23℃、50%RH)以上である熱可塑性樹脂混
合物に脱酸素剤組成物を分散して成ることを特徴とする
脱酸素性樹脂組成物。この脱酸素性樹脂組成物は、例え
ばシート状あるいはフィルム状にして用いることによ
り、優れた酸素吸収性能が発揮される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素吸収性能に優
れる脱酸素性樹脂組成物に関する。この脱酸素性樹脂組
成物は、柔軟性を有すると共に酸素透過性の高い熱可塑
性樹脂に脱酸素剤組成物を分散してなるものであり、脱
酸素剤組成物を小袋に収納した脱酸素剤(以下、小袋入
り脱酸素剤ということがある)と同等の酸素吸収速度を
有し、また従来の脱酸素剤樹脂組成物に比べて高い酸素
吸収量を有する。
【0002】
【従来の技術】従来、食品、医薬品等の被保存物を収納
する包装体内の酸素を除去し、被保存物の酸化劣化、変
色、カビ・好気性菌繁殖等による変質、虫害等を防止す
る技術として、ガスバリア性袋内に被保存物と共に脱酸
素剤を密封する方法が広く行われている。この方法に
は、通常、粉末又は粒状の脱酸素剤組成物を通気性を備
えた小袋に充填した脱酸素剤が用いられる。しかし、小
袋入り脱酸素剤が被保存物中に混在すると、誤って被保
存物と共に調理されたり、食されたりする恐れがあり、
また、使用者に異物感や抵抗感を与えることにもなる。
更には、取り扱いを誤って小袋を破り、こぼれ出た脱酸
素剤組成物が被保存物を汚染する恐れもある。このた
め、上記の様な問題の無い脱酸素包装技術として、近
年、包装体自体に脱酸素性能を付与することが考えられ
ている。
【0003】この様な例として、例えば、特公昭62−
1824号公報、特開昭57−146651号公報、特
開平4−45152号公報、特開平4−90848号公
報、特開平7−309323等に開示されているよう
に、脱酸素剤組成物を樹脂中に分散させた層を含む多層
構造のフィルムやシート等が存在する。更に特公平4−
60826号公報には、ガスバリア性熱可塑性樹脂内に
市販の脱酸素剤組成物を含んだ包装容器が開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記の酸素吸収性能を
付与した多層包装体には、脱酸素剤組成物が樹脂中に分
散された脱酸素性樹脂組成物が中間層として使用されて
いる。しかしながら、この脱酸素性樹脂組成物は脱酸素
剤組成物が樹脂中に分散しているため、樹脂を透過して
くる酸素を脱酸素剤組成物が吸収することになる。この
ため、従来例の脱酸素性樹脂組成物は、小袋入り脱酸素
剤に比べて、酸素吸収速度が著しく小さく、更に著しく
低い酸素吸収量しか発揮できないという問題があった。
【0005】本発明は、上述した問題点を解決課題とす
るものであり、従来の小袋入り脱酸素剤と同等の性能を
有し、酸素を積極的に効率良く吸収する機能を備えた脱
酸素性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の従
来技術の問題点に鑑み、脱酸素剤組成物が分散された脱
酸素性樹脂組成物の脱酸素性能の改良について鋭意研究
を重ねた。その結果、熱可塑性エラストマーやエチレン
プロピレン共重合体を含み柔軟性と高い酸素透過係数を
持った熱可塑性樹脂混合物に脱酸素剤組成物を分散した
脱酸素性樹脂組成物が、従来の脱酸素性樹脂組成物と比
較して著しく酸素吸収速度が速く、また、数倍の最大酸
素吸収量を有することを見い出した。
【0007】すなわち、本発明は、熱可塑性エラストマ
ー又はエチレンプロピレン共重合体を含み、曲げ弾性率
が600MPa以下で酸素透過係数が130cc・mm
/m2 ・atm・day(23℃、50%RH)以上で
ある熱可塑性樹脂混合物に脱酸素剤組成物を分散して成
ることを特徴とする脱酸素性樹脂組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。本発明の脱酸素性樹脂組成物は柔軟性を持ち、且
つ酸素透過性の高い熱可塑性樹脂混合物に脱酸素剤組成
物を分散して成るものであり、優れた酸素吸収性能を有
する。脱酸素性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂混合
物は、熱可塑性エラストマー又はエチレンプロピレン共
重合体を含有する。この熱可塑性樹脂混合物は、曲げ弾
性率が600MPa以下で、かつ酸素透過係数が130
cc・mm/m2 ・atm・day(23℃、50%R
H)以上とすることが必要であり、曲げ弾性率が500
MPa以下、酸素透過係数が140cc・mm/m2 ・
atm・day以上(23℃、50%RH)であればよ
り好ましい。このような物性を有する熱可塑性樹脂混合
物中に脱酸素剤組成物を配合することで、小袋入り脱酸
素剤と同等の実用的な酸素吸収速度を発揮すると共に、
従来の脱酸素性樹脂組成物に比べて高い酸素吸収能を発
揮することができる。尚、本発明で用いる熱可塑性樹脂
の曲げ弾性率は、JIS K7203で測定される曲げ
弾性率をいう。また、酸素透過係数は、該熱可塑性樹脂
混合物の厚さ100μmのフィルムからなる表面積40
0cm2 の袋を作製し、袋内を窒素ガスで置換した後、
23℃/50%RH下で4時間放置した後、袋内酸素濃
度をガスクロマトグラフィーにて分析して算出する。
【0009】本発明において用いられる熱可塑性エラス
トマーとは、各種のものがあるが、好ましくはスチレン
系エラストマー及びオレフィン系エラストマーである。
ここでスチレン系エラストマーとは、熱可塑性を発現す
るハードセグメントであるポリスチレンと、ゴム弾性を
発現するソフトセグメントであるポリブタジエン、ポリ
イソプレン、ポリオレフィン等、またはこれらを水添し
たエラストマーから成るものをいう。具体的には、旭化
成工業(株)製、商品名:タフプレン、タフテック、日
本合成ゴム(株)製、商品名:ダイナロン、三菱化学
(株)製、商品名:ラバロン等が挙げられる。オレフィ
ン系エラストマーとはポリプロピレンやポリエチレン等
の熱可塑性を発現するポリオレフィンとエチレンプロピ
レン系ゴム等のエラストマーをブレンドしたものや、部
分的に架橋させたもの、動的加硫により完全に架橋させ
たものをいう。具体的には、住友化学工業(株)製、商
品名:住友TPE、大日本プラスチックス(株)製、商
品名:大プラMK−レジン、三菱化学(株)製、商品
名:サーモラン等がある。エチレンプロピレン共重合体
は、非晶性もしくは低結晶性のエチレン−α−オレフィ
ン共重合体やプロピレン−α−オレフィン共重合体であ
り、ゴム弾性を有するものをいう。具体的には、三井石
油化学工業(株)製、商品名:タフマー等が挙げられ
る。本発明では、上記に示した熱可塑性エラストマー又
はエチレンプロピレン共重合体を単独又は2種以上を組
み合わせて使用することが出来る。しかし、使用時に脱
酸素性樹脂組成物から臭気が発生する場合があり、この
場合には、加工時の熱安定性の高い、不飽和結合が水添
された熱可塑性エラストマーや、エチレンプロピレン共
重合体が好ましく用いられる。
【0010】本発明で用いられる熱可塑性エラストマー
やエチレンプロピレン共重合体は、その硬度が95以下
であるものが好ましく、90以下であればより好まし
い。尚、熱可塑性エラストマー又はエチレンプロピレン
共重合体の硬度は、JIS K6301の方法で測定さ
れる硬度をいう。熱可塑性エラストマー又はエチレンプ
ロピレン共重合体の硬度が95より大きいと、ポリオレ
フィン等との混合樹脂において所望する曲げ弾性率や酸
素透過係数が得られない場合がある。
【0011】熱可塑性エラストマーやエチレンプロピレ
ン共重合体と混合される熱可塑性樹脂としては、ポリオ
レフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。
特にポリオレフィンが、上記熱可塑性エラストマー又は
エチレンプロピレン共重合体との相溶性の良さから好ま
しく用いられる。ポリオレフィンは、目的を達成するこ
とができるものであれば特に限定することなく使用する
ことができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンやその変性
物等が挙げられ、1種以上であっても良い。
【0012】熱可塑性樹脂混合物中の熱可塑性エラスト
マー又はエチレンプロピレン共重合体の含有量は、10
〜80重量%が好ましく、10〜70重量%が更に好ま
しい。含有量が10重量%より小さいと酸素吸収性能の
改善効果が不十分であり、80重量%より大きいと樹脂
混合物の押し出し性が悪化する場合が多く好ましくな
い。
【0013】熱可塑性樹脂混合物に分散される脱酸素剤
組成物としては、水分の供給を受けて脱酸素反応を生起
する、いわゆる、水分依存型の還元性物質を主剤とする
粒状脱酸素剤組成物が好ましく用いられる。上記粒状脱
酸素剤組成物として、脱酸素反応の主剤となる還元性物
質に粒状物を選び、粒状の主剤の表面に触媒、助剤等の
主剤以外の脱酸素剤組成物をコーティングしたもの、又
は主剤の還元性物質の他、全ての脱酸素剤組成物を混合
後造粒したものが好適に用いられる。
【0014】脱酸素剤組成物としては、鉄粉、アルミニ
ウム粉及び珪素粉等の金属粉、第1鉄塩及び亜2チオン
酸塩等の無機塩類、カテコール、グリセリン等の有機物
等の還元性物質を主剤とするものが挙げられる。特に金
属粉を主剤とする脱酸素剤組成物が好ましく、例えば、
特許第1088514号に開示される方法で製造するこ
とができる金属粉の表面にハロゲン化金属を付着させた
もの、または金属粉とハロゲン化金属、必要であればそ
の他の添加物をバインダーとして造粒したものが好適に
用いられる。
【0015】金属粉主剤の脱酸素剤組成物においては、
金属粉は鉄粉が好ましい。鉄粉は純度には特に制限は無
く、一部が既に酸化していても、他金属との合金であっ
ても良く、酸素吸収反応を起こすことができ、熱可塑性
樹脂混合物中に容易に分散可能なものであれば良い。好
適な例としては、還元鉄粉、噴霧鉄粉、電解鉄粉等に代
表される鉄粉や、鋳鉄製造時に飛び散った鉄粉(ダライ
粉)、鋳鉄、鋼材等の各種鉄製品の粉砕物や、研削品
等、微粒状或いは繊維状のものが好ましい。また、粒子
状の金属鉄は、平均粒径が50μm以下が好ましい。ま
た繊維状の金属鉄の場合にも、同様の理由から、その
径、長さはできるだけ小さい方が良い。
【0016】ハロゲン化金属は熱可塑性樹脂混合物中の
金属鉄の酸素吸収反応に触媒的に作用するものである。
ハロゲン化金属の金属としては、アルカリ金属、アルカ
リ土類金属、銅、亜鉛、アルミニウム、スズ、鉄、コバ
ルト、ニッケル等が挙げられる。特にリチウム、カリウ
ム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウ
ム、鉄が好ましい。ハロゲン化物としては、上記金属の
塩化物、臭化物、ヨウ化物が好ましく、特に塩化物が好
ましい。
【0017】ハロゲン化金属の割合は、金属鉄100重
量部あたり、0.1〜10重量部が好ましい。ハロゲン
化金属の実質的に全量が金属鉄に付着していて、熱可塑
性樹脂混合物中に遊離しているハロゲン化金属がほとん
ど無く、ハロゲン化金属が有効に作用する際には、0.
1〜5重量部で十分である。
【0018】ハロゲン化金属は熱可塑性樹脂混合物中で
金属鉄と容易に分離しない方法で添加することが望まし
い。ハロゲン化金属を金属鉄に付着させる方法として
は、例えば、ボールミル、スピードミル等を用いて粉砕
かつ混合し、金属鉄表面の凹部にハロゲン化金属微粒子
を埋め込む方法、バインダーを用いて金属鉄表面にハロ
ゲン化金属微粒子を付着させる方法、またはハロゲン化
金属水溶液と金属鉄とを混合乾燥して金属鉄表面にハロ
ゲン化鉄微粒子を付着させる方法が特に好ましい。
【0019】熱可塑性樹脂混合物中に分散させる粒状脱
酸素剤組成物の水分含量は、好ましくは0.2重量%以
下、より好ましくは0.1重量%以下である。また粒状
脱酸素剤組成物の大きさは、平均粒径で5〜200μm
が好ましく、5〜50μmがより好ましい。
【0020】本発明においては、熱可塑性樹脂混合物
に、脱酸素剤組成物の他にも、必要に応じて、有機染料
や無機染料、顔料等の着色剤、シラン系、チタネート系
等の分散剤、ポリアクリル酸系化合物等の吸水剤、クレ
ー、マイカ、シリカ、デンプン等の充填剤、ゼオライ
ト、活性炭、脱臭剤等を添加することもできる。
【0021】本発明の脱酸素性樹脂組成物における脱酸
素剤組成物の含有量は10〜70重量%が好ましく、2
0〜70重量%がより好ましい。脱酸素剤組成物の含有
量は、上記の量に満たないと酸素吸収性能が低下し、ま
た多くなると加工性が悪くなるので、これらを考慮して
上記の範囲内で適宜選ばれる。
【0022】上記の構成を有する脱酸素性樹脂組成物が
優れた酸素吸収性能を発揮できる理由は、明確ではない
が次のように推測される。脱酸素性樹脂組成物を構成す
る熱可塑性樹脂の酸素透過係数が高いほど、脱酸素剤組
成物の酸素吸収速度は速くなるが、曲げ弾性率が高くて
柔軟性に欠ける熱可塑性樹脂を用いた場合、脱酸素剤組
成物の酸素吸収反応に伴う脱酸素剤組成物表面の錆の成
長が曲げ弾性率が高い、いわゆる硬い樹脂によって阻害
され、酸素吸収反応が途中で停止するため、実質的に吸
収できる酸素量は脱酸素剤組成物の能力に比べて大きく
低下する。本発明では酸素透過係数が高く、かつ曲げ弾
性率が低くて柔軟性に富む熱可塑性エラストマー又はエ
チレンプロピレン共重合体を使用することで、酸素吸収
反応に伴う脱酸素剤組成物表面の錆の成長が阻害される
ことが大幅に低減される。このため、本発明における脱
酸素性樹脂組成物は実用的な酸素吸収速度に加えて、優
れた酸素吸収量を発揮できるようになったと考えられ
る。
【0023】本発明の脱酸素性樹脂組成物は、従来の小
袋入り脱酸素剤と同様に食品や飲料、医薬品等の物品と
共にガスバリア性を有する袋内に被保存物と共に収納す
ることで、袋内の酸素を吸収し、収納物の酸化劣化を防
ぎ、長期保存することが可能となる。本発明の脱酸素性
樹脂組成物は、シート状又はフィルム状に成形した後適
当な大きさに裁断して使用することが望ましい。また、
本発明では脱酸素剤組成物が樹脂中に分散しているた
め、従来の小袋入り脱酸素剤において問題であった、脱
酸素剤組成物がこぼれることは無い。尚、被保存物が樹
脂中の脱酸素剤組成物によって汚染されることが懸念さ
れる場合は、本発明の脱酸素性樹脂組成物を通気性の高
い小袋に収納して使用したり、蓋材や容器、袋等の内側
に貼り付け、更に通気性の高い隔離膜で覆った形態で使
用すれば良い。また、各種成形法により、本発明の脱酸
素性樹脂組成物からなる層の内側に酸素透過層を設けた
トレイ、カップ、ケース、ボトル、チューブ、トップフ
ィルム、袋等の多層体包装容器を形成することもでき
る。尚、本発明の脱酸素性樹脂組成物はこれらの使用例
に限定されることなく、物品の酸化劣化を防ぐための材
料として、様々な形態で使用することができる。
【0024】
【実施例】
(実施例1)50重量%径が35μmの鉄粉を加熱ジャ
ケット付き真空混合乾燥機中に入れ、130℃、10m
mHgの減圧下で加熱乾燥しつつ、鉄粉100重量部に
対し、塩化カルシウム:塩化ナトリウム:水=1:1:
5(重量部)の割合で混合した混合水溶液を噴霧し、塩
化カルシウム及び塩化ナトリウムを鉄粉表面に付着させ
た粒状の脱酸素剤組成物を得た。
【0025】次に、45mmφの同方向回転二軸押し出
し機にて、スチレン系エラストマーの一種であるグレー
ド名:ダイナロン1320P(水素添加スチレンブタジ
エン共重合体、日本合成ゴム(株)製、硬度39)を使
用して、ダイナロン1320P:ポリプロピレン:脱酸
素剤組成物=2:5:3の重量比で混合し、ブロワ付き
ネットベルトで冷却後ペレタイザーを経て、ペレット状
の脱酸素性樹脂組成物1を得た。尚、脱酸素性樹脂組成
物1に用いた熱可塑性樹脂混合物であるダイナロン13
20P:ポリプロピレン=2:5の曲げ試験片と単層フ
ィルム(厚み100μm)を別途に作製し、前述の方法
により、曲げ弾性率及び23℃、50%RHにおける酸
素透過係数を測定したところ、曲げ弾性率は220MP
a、酸素透過係数は200cc・mm/m2 ・atm・
dayであった。
【0026】次に、脱酸素性樹脂組成物1を使用して、
押し出し機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール及
びフィルム引き取り機からなるフィルム製造装置にて、
脱酸素性樹脂組成物1から成る厚さ150μmの脱酸素
性フィルム1を得た。得られた脱酸素性フィルム1を1
0cm×10cmの正方形に切断したものと、十分に水
を含ませた吸水性樹脂10gをアルミ箔積層フィルムか
ら成る三方をヒートシールした袋に入れ、空気100c
cを封入した後密閉した袋及び空気2000ccを封入
した後密閉した袋をそれぞれ調製した。これらの袋を2
3℃下にて保存し、空気量が100ccの袋では袋内の
酸素濃度の経日変化を、また空気2000ccの袋では
30日間保存した後のフィルムの酸素吸収量をガスクロ
マトグラフィーにて調査した。結果を表1に示す。
【0027】(実施例2)混合比率をダイナロン132
0P:ポリプロピレン:脱酸素剤組成物=5:2:3の
重量比に変更したこと以外は実施例1と同様にして脱酸
素性樹脂組成物2を得た。尚、脱酸素性樹脂組成物2に
用いた熱可塑性樹脂混合物であるダイナロン1320
P:ポリプロピレン=5:2の曲げ試験片と単層フィル
ム(厚み100μm)を別途に作製し、前述の方法によ
り、曲げ弾性率、及び23℃、50%RHにおける酸素
透過係数を測定したところ、曲げ弾性率は100MPa
以下、酸素透過係数は700cc・mm/m2 ・atm
・dayであった。
【0028】次に、脱酸素性樹脂組成物1の代わりに脱
酸素性樹脂組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同
様のフィルム成形を実施して脱酸素性フィルム2を得
た。実施例1と同様にして測定した酸素吸収の測定結果
を表1に示す。
【0029】(実施例3)実施例1で得られた脱酸素剤
組成物を用いて、オレフィン系エラストマーの一種であ
るグレード名:大プラMKレジンMK−1(大日本プラ
スチックス(株)製、硬度78)を使用して、大プラM
KレジンMK−1:ポリプロピレン:脱酸素剤組成物=
5:2:3の重量比を有する脱酸素性樹脂組成物3を得
た。尚、脱酸素性樹脂組成物3に用いた熱可塑性樹脂混
合物である大プラMKレジンMK−1:ポリプロピレン
=5:2の曲げ試験片と単層フィルム(厚み100μ
m)を別途に作製し、前述の方法により、曲げ弾性率、
及び23℃、50%RHにおける酸素透過係数を測定し
たところ、曲げ弾性率は300MPa、酸素透過係数は
400cc・mm/m2 ・atm・dayであった。
【0030】次に、脱酸素性樹脂組成物1の代わりに脱
酸素性樹脂組成物3を用いたこと以外は、実施例1と同
様のフィルム成形を実施して脱酸素性フィルム3を得
た。実施例1と同様にして測定した酸素吸収の測定結果
を表1に示す。
【0031】(実施例4)実施例1で得られた脱酸素剤
組成物を用いて、エチレンプロピレン共重合体の一種で
あるグレード名:タフマーP−0680(三井石油化学
工業(株)製、硬度63)を使用して、タフマーP−0
680:ポリプロピレン:脱酸素剤組成物=5:2:3
の重量比を有する脱酸素性樹脂組成物4を得た。尚、脱
酸素性樹脂組成物4に用いた熱可塑性樹脂混合物である
タフマーP−0680:ポリプロピレン=5:2の曲げ
試験片と単層フィルム(厚み100μm)を別途に作製
し、前述の方法により、曲げ弾性率、及び23℃、50
%RHにおける酸素透過係数を測定したところ、曲げ弾
性率は300MPa、酸素透過係数は450cc・mm
/m2 ・atm・dayであった。
【0032】次に、脱酸素性樹脂組成物1の代わりに脱
酸素性樹脂組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同
様のフィルム成形を実施して脱酸素性フィルム4を得
た。実施例1と同様にして測定した酸素吸収の測定結果
を表1に示す。
【0033】(比較例1)実施例1で得られた脱酸素剤
組成物を用いて、ポリプロピレン:脱酸素剤組成物=
7:3の重量比を有する脱酸素性樹脂組成物5を得た。
尚、脱酸素性樹脂組成物5に使用した樹脂であるポリプ
ロピレンの曲げ試験片と単層フィルム(厚み100μ
m)を別途に作製し、前述の方法により、曲げ弾性率、
及び23℃、50%RHにおける酸素透過係数を測定し
たところ、曲げ弾性率は1000MPa、酸素透過係数
は80cc・mm/m2 ・atm・dayであった。
【0034】次に、脱酸素性樹脂組成物1の代わりに脱
酸素性樹脂組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同
様のフィルム成形を実施して脱酸素性フィルム5を得
た。実施例1と同様にして測定した酸素吸収の測定結果
を表1に示す。
【0035】(比較例2)実施例1で得られた脱酸素剤
組成物を用いて、ダイナロン1320P:ポリプロピレ
ン:脱酸素剤組成物=5:65:30の重量比を有する
脱酸素性樹脂組成物6を得た。尚、脱酸素性樹脂組成物
6に使用した混合樹脂であるダイナロン1320P:ポ
リプロピレン=5:65の曲げ試験片と単層フィルム
(厚み100μm)を別途に作製し、前述の方法によ
り、曲げ弾性率、及び23℃、50%RHにおける酸素
透過係数を測定したところ、曲げ弾性率は700MP
a、酸素透過係数は110cc・mm/m2 ・atm・
dayであった。
【0036】次に、脱酸素性樹脂組成物1の代わりに脱
酸素性樹脂組成物6を用いたこと以外は、実施例1と同
様のフィルム成形を実施して脱酸素性フィルム6を得
た。実施例1と同様にして測定した酸素吸収の測定結果
を表1に示す。
【0037】(比較例3)実施例1で得られた脱酸素剤
組成物を用いて、グレード名:TPX DX845(ポ
リメチルペンテン、三井石油化学工業(株)製)を使用
して、TPX DX845:ポリプロピレン:脱酸素剤
組成物=5:2:3の重量比を有する脱酸素性樹脂組成
物7を得た。尚、脱酸素性樹脂組成物7に使用した混合
樹脂であるTPX DX845:ポリプロピレン=5:
2の曲げ試験片と単層フィルム(厚み100μm)を別
途に作製し、前述の方法により、曲げ弾性率、及び23
℃、50%RHにおける酸素透過係数を測定したとこ
ろ、曲げ弾性率は1200MPa、酸素透過係数は53
0cc・mm/m2 ・atm・dayであった。
【0038】次に、脱酸素性樹脂組成物1の代わりに脱
酸素性樹脂組成物7を用いたこと以外は、実施例1と同
様のフィルム成形を実施して脱酸素性フィルム7を得
た。実施例1と同様にして測定した酸素吸収の測定結果
を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示すように、曲げ弾性率が600M
Pa以下で酸素透過係数が130cc・mm/m2 ・a
tm・day(23℃、50%RH)以上である熱可塑
性樹脂混合物に脱酸素剤組成物を配合した実施例1〜4
は、従来例である比較例1に比べて優れた酸素吸収速度
を有し、かつ2〜3倍の酸素吸収能力があることがわか
る。スチレン系エラストマーであるダイナロン1320
Pの添加量が少ない比較例2では、曲げ弾性率、酸素透
過係数共に低いため、また、酸素透過性の高いポリメチ
ルペンテンであるTPX DX845とポリプロピレン
の混合樹脂を使用した比較例3では、酸素透過係数は高
いものの、曲げ弾性率が600MPaより高いため、実
施例1〜4と比較して十分な酸素吸収速度を有している
とは言えず、また酸素吸収量も大きく劣るものであっ
た。よって、上記実施例、及び比較例から、曲げ弾性率
が600MPa以下で酸素透過係数が130cc・mm
/m2 ・atm・day(23℃、50%RH)以上で
ある熱可塑性樹脂混合物に脱酸素剤組成物を配合したも
のが、小袋入り脱酸素剤と同等の酸素吸収速度を有し、
また従来例よりも高い酸素吸収量を発揮できることがわ
かる。
【0041】(実施例5)実施例1で得た脱酸素性フィ
ルム1を5cm×5cmの正方形に切断し、和紙に開孔
ポリエチレンフィルムをラミネートしたフィルムから成
る三方シール袋(内寸40mm×40mm)に入れ、ヒ
ートシールして密閉した。ポリ塩化ビニリデンコートナ
イロン(KON;厚さ15μm)/ポリエチレン(P
E;厚さ70μm)の構成から成るガスバリア性を有す
る三方シール袋(内寸;縦230mm×横170mm)
にこの脱酸素剤包装体と角切り餅200gを収納し、袋
内の空気量が100cc程度になるようにヒートシール
して密閉した。これを23℃下にて6ヶ月間保存し、袋
内の酸素濃度の経日変化と角切り餅の保存状態を調べ
た。袋内の酸素濃度は1日以内に0.1%以下にまで低
下し、6ヶ月間保存後の角切り餅は外観に異常がなく風
味も良好に保持されていた。
【0042】
【発明の効果】本発明の脱酸素性樹脂組成物は、誤食等
の問題がないシートやフィルム等の形状に容易に加工が
可能であり、小袋入り脱酸素剤と同等の酸素吸収速度を
有する上に、従来の脱酸素性樹脂組成物に比べて2〜3
倍の酸素吸収能力を有する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性エラストマー又はエチレンプロ
    ピレン共重合体を含み、曲げ弾性率が600MPa以下
    で酸素透過係数が130cc・mm/m2 ・atm・d
    ay(23℃、50%RH)以上である熱可塑性樹脂混
    合物に脱酸素剤組成物を分散して成ることを特徴とする
    脱酸素性樹脂組成物
  2. 【請求項2】 熱可塑性エラストマー又はエチレンプロ
    ピレン共重合体が硬度95以下のスチレン系エラストマ
    ー、オレフィン系エラストマー及びエチレンプロピレン
    共重合体のうち、少なくとも1種である請求項1記載の
    脱酸素性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂混合物が熱可塑性エラスト
    マー又はエチレンプロピレン共重合体を10〜80重量
    %含有する請求項1記載の脱酸素性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 脱酸素剤組成物が水分の供給を受けて酸
    素吸収反応を生起する還元性物質を主剤とする粒状脱酸
    素剤組成物である請求項1記載の脱酸素性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 脱酸素剤組成物の含有量が10〜70重
    量%である請求項1記載の脱酸素性樹脂組成物。
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