JPH1077201A - 植物体コーティング剤およびコーティング方法 - Google Patents

植物体コーティング剤およびコーティング方法

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JPH1077201A
JPH1077201A JP23327496A JP23327496A JPH1077201A JP H1077201 A JPH1077201 A JP H1077201A JP 23327496 A JP23327496 A JP 23327496A JP 23327496 A JP23327496 A JP 23327496A JP H1077201 A JPH1077201 A JP H1077201A
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JP
Japan
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plant
sol
gel transition
coating
transition temperature
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JP23327496A
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Yasuhiro Obonai
康弘 小保内
Hiroshi Yoshioka
浩 吉岡
Yuichi Mori
森  有一
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M & M Kenkyusho Kk
Original Assignee
M & M Kenkyusho Kk
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物体に対する有用成分を植物体表面に持続
的に保持させることが可能な植物体コーティング剤ない
し植物体コーティング方法を提供する。 【解決手段】 その水溶液が0℃より高く40℃以下で
あるゾル−ゲル転移温度を有し、該ゾル−ゲル転移温度
より高い温度で実質的に水不溶性を示すハイドロゲル形
成性高分子と、水とを少なくとも含むコーティング液を
植物体に付着させ、ゾル−ゲル転移温度より高い温度で
ゲル化させるた後、ゾル−ゲル転移温度より高い温度
で、該ゲル化したコーティング液を植物体上で保持す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物体(例えば、
根、葉、茎、花、果実、種子等)への持続的コーティン
グが可能なコーティング剤に関する。
【0002】本発明の植物体コーティング剤は、例え
ば、植物体の傷、接ぎ木部位あるいは葉の気孔等からの
菌類、あるいは細菌やウィルス等の微生物の植物体への
感染の防止用に;切り花、鉢植え植物体等の水分蒸散の
抑制用に;受粉調節用に;植物体への活性を有する薬剤
(農薬等)の効果の長期間持続用に;あるいは、有用微
生物の植物体との共生の促進用等の種々の用途に好適に
使用可能である。
【0003】
【従来の技術】一般に、植物体の茎、葉等の表面には、
不飽和脂肪酸類の重合物たるクチン(cutin)で構成さ
れた脂肪酸含有物質から成るクチクラ(cuticle)層が
ある。このクチクラ層は、菌類、細菌やウイルス等の病
原微生物の感染から植物体を防御するのみならず、植物
体からの過度の水分の蒸散を抑制する機能を有する。
【0004】植物体表面が昆虫等の何らかの外的刺激に
起因して損傷を受けた場合に生ずる破損クチクラ層、接
ぎ木等の部位、あるいは生育期間中や植え替え時に破損
した根等から、病原微生物の植物体への感染がしばしば
生ずる。このような病原微生物の感染は、植物体の全身
ないし局所的に該植物体に害を与えて、該植物体に種々
の異常を引き起こすため、農業等の植物体育成の分野に
おいて大きな問題となっている。
【0005】従来より、植物体育成の分野においては、
病原微生物の感染から植物体を防御する目的で、殺菌
剤、殺虫剤、忌避剤等の農薬が用いられてきた。特に、
病原微生物が植物体に付着した後に、該植物体の傷口や
気孔等を経由して植物体内へ進入する場合には、この病
原微生物の繁殖拡大を防ぐために、農薬を植物体に対し
て散布する方法が行われてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、葉、茎
等の植物体表面に散布された薬剤は、降雨、灌水等で溶
出、流亡したり、蒸発、揮散することによってその効果
が長期間持続しないという問題を引き起こすのみなら
ず、流亡した薬剤が、却って土壌汚染の原因にもなると
いう問題があった。上記の薬剤を植物体表面に効果的に
付着、滞留させるために、界面活性剤を主成分とする各
種の展着剤(spreading agent)も開発されているが、
上記の問題を解決するには至っていない。
【0007】植物体の根の場合にも、移植の工程で生じ
る機械的な損傷のみならず、栽培期間中に起こる根の周
辺環境(例えば、水分量等)の大幅な変化に基づくスト
レスに起因して、根の耐病原菌感染力が低下し、該耐病
原菌感染力の低下に基づき植物体の根が感染する例がし
ばしば見られる。従来より、根や茎の基部からの感染を
防止する目的で、薬剤を土壌に混合する方法、あるいは
燻蒸剤を用いて土壌を燻蒸する方法が行われてきた。し
かしながら、これらの土壌混合ないし燻蒸は、大量の農
薬を必要とすること、環境破壊型農薬による汚染が避け
がたいこと、動植物体に有害であること、降雨等で薬剤
が溶出、流亡し易く長時間の効果が期待できないこと、
更には、土壌中の有用微生物をも殺傷してしまうため生
態系が崩れること、等のいくつかの大きな問題を有して
いた。
【0008】また従来においては、上記した病原微生物
の感染防止用の農薬のみならず、植物体の生長をコント
ロールする植物体生長調節物質も植物体表面に散布する
方法で用いられてきたが、このような植物体生長調節物
質の適用法においても、降雨、灌水等で該物質が溶出、
流亡したり、蒸発、揮散することによって、その効果が
長期間持続しないという大きな問題があった。
【0009】他方、近年において菌類や細菌類等の微生
物の植物体に対する効果が注目されている。このような
有用微生物としては、例えば、マメ科植物体等と共生関
係を構築して窒素固定を行う根粒菌、ほとんどの被子植
物体と共生関係を保ち、特に非力な土壌でリン酸吸収を
助長するVA菌根菌、ラン科等の種子の発芽に必須な菌
根菌等が挙げられる。
【0010】しかしながら、これらの有用微生物を単に
土壌中に混入した場合には、圧倒的に高濃度で存在する
土壌中の他の一般細菌の食料源となったり、該一般細菌
によって有用微生物が駆逐されたりし易く、植物体内ま
たはその周辺に有用微生物を定着させることは非常に困
難であったため、従来においては有用微生物ないし共生
菌の効果を有効に発揮させることができなっかた。
【0011】また、近年において、異なる遺伝形質を有
する植物体個体の交配に基づく雑種強勢を利用すること
によって、発芽能力、生長速度、収量、耐性等の点で優
れた植物体を作り出した雑種第一代種子の生産が盛んに
行われており、このような雑種第一代種子の生産は大き
な産業に発展しつつある。しかしながら、一代雑種種子
を作るためには、除雄、交配および自然交配防止処置等
の非常に煩雑な作業が必要であるのみならず、該交配に
おいては受精の確率が低いという問題があった。
【0012】本発明の目的は、上述した先行技術の欠点
を解消した植物体コーティング剤ないし植物体コーティ
ング方法を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、植物体に対する有用
成分を植物体表面に持続的に保持させることが可能な植
物体コーティング剤ないし植物体コーティング方法を提
供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、植物体表面の傷から
の病原微生物の感染を防止することが可能な植物体コー
ティング剤ないし植物体コーティング方法を提供するこ
とにある。
【0015】発明の更に他の目的は、切り花等の鮮度保
存あるいは鉢植え植物体等の過度の水分蒸散を抑制する
ことが可能な植物体コーティング剤ないし植物体コーテ
ィング方法を提供することにある。
【0016】本発明の更に他の目的は、植物体表面に直
接、散布された農薬類の効果を長期間に亘って維持する
ことが可能な植物体コーティング剤ないし植物体コーテ
ィング方法を提供することにある。
【0017】本発明の更に他の目的は、植物体の主とし
て根に有用微生物を共生させることが可能な植物体コー
ティング剤ないし植物体コーティング方法を提供するこ
とにある。
【0018】本発明の更に他の目的は、除雄、交配及び
自然交配防止処置等の受粉調節に好適に使用可能な植物
体コーティング剤ないし植物体コーティング方法を提供
することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、特定のゾル−ゲル転移温度より高い温度で実質的
に水不溶性を示し、且つ該ゾル−ゲル転移温度より低い
温度で水溶性を示すハイドロゲル形成性高分子を植物体
コーティング剤として使用することが、上記の問題点の
解決に極めて効果的なことを見出した。
【0020】本発明の植物体コーティング剤は上記の知
見に基づくものであり、より詳しくは、その水溶液が0
℃より高く40℃以下であるゾル−ゲル転移温度を有
し、且つ、該ゾル−ゲル転移温度より高い温度で実質的
に水不溶性を示すハイドロゲル形成性高分子を少なくと
も含む植物体コーティング剤であって;水の存在下、前
記ゾル−ゲル転移温度より低い温度で可逆的に液体状態
(ゾル状態)を示し、且つ、ゾル−ゲル転移温度より高
い温度でゲル状態を示すことを特徴とするものである。
【0021】本発明によれば、更に、その水溶液が0℃
より高く40℃以下であるゾル−ゲル転移温度を有し、
且つ、該ゾル−ゲル転移温度より高い温度で実質的に水
不溶性を示すハイドロゲル形成性高分子と;水とを少な
くとも含むコーティング液であって;該高分子をゾル−
ゲル転移の下限濃度より高い濃度で含有する植物体コー
ティング液を用い;該コーティング液を植物体の少なく
とも一部に付着させ、ゾル−ゲル転移温度より高い温度
でゲル化させる工程と、ゾル−ゲル転移温度より高い温
度で、該ゲル化したコーティング液を植物体上で保持す
る工程とを少なくとも含む植物体コーティング方法が提
供される。
【0022】本発明によれば、更に、その水溶液が0℃
より高く40℃以下であるゾル−ゲル転移温度を有し、
且つ、該ゾル−ゲル転移温度より高い温度で実質的に水
不溶性を示すハイドロゲル形成性高分子と;水とを少な
くとも含むコーティング液であって;該高分子をゾル−
ゲル転移の下限濃度より低い濃度で含有する植物体コー
ティング液を用い;該コーティング液を植物体の少なく
とも一部に付着させ、水分の蒸発により固化させる工程
と、該固化したコーティング液を植物体上で保持する工
程とを少なくとも有することを特徴とする植物体コーテ
ィング方法が提供される。
【0023】本発明の植物体コーティング剤の水溶液
(「水分散液」を包含する趣旨で用いる)は、ゾル−ゲ
ル転移温度より低い温度ではゾル状態(液体状態)であ
るため、植物体ないしはその一部(葉、茎、花、根、果
実等)の表面ないし凹部に、散布、塗布等により付着さ
せることが可能である。該植物体コーティング剤の水溶
液を植物体に付着させた後に、周辺温度が該ゾル−ゲル
転移温度より高い温度に上昇した場合、または周囲温度
を強制的に上昇させた場合には、通常は、該コーティン
グ剤水溶液は植物体表面で速やかにゲル化する。このよ
うにして植物体表面に生じたゲルは、ゾル−ゲル転移温
度より高い温度においては実質的に水不溶性の性質を保
持するため、該ゲルは降雨、灌水等の水との接触におい
ても溶解することなく、安定して植物体表面に滞留す
る。
【0024】従って、本発明のコーティング剤は、種々
の植物体への有用成分と組み合わせて、好適に使用可能
である。例えば、該コーティング剤を農薬と組み合わせ
て用いた場合には、植物体表面に散布、塗布等により付
着した農薬含有のコーティング剤は、ゾル−ゲル転移温
度より高い温度でゲル層を形成する。該ゲル層は、降
雨、灌水等による水との接触においても溶解せず、しか
も植物体表面に密着しているために、農薬の溶出、流
亡、蒸散、脱落等を効果的に防止するのみならず、該ゲ
ルを通しての農薬の除放化も可能となる。
【0025】また、本発明の植物体コーティング剤水溶
液を微生物(特に植物体にとっての有用微生物)と組み
合わせて用いた場合には、例えば、根の表面に散布、塗
布等により付着し微生物含有の植物体コーティング剤
は、ゾル−ゲル転移温度より高い温度で植物体表面にゲ
ル層を形成する。該ゲル層は降雨、灌水等による水との
接触においても溶解せず、しかも植物体表面に密着する
ために、微生物の脱落、流亡等が効果的に抑止される。
これに加えて、該ゲルの存在により、例えば、土壌中に
圧倒的な高濃度で存在する雑菌のゲル中への侵入が阻止
ないし抑制されるため、植物体の表面あるいは近辺に、
長期間活性を維持した状態で有用微生物を培養増殖させ
ることが可能となり、このように増殖した有用微生物の
側面からも根の生長を助長することが可能となる。
【0026】本発明のコーティング剤は、ゲル状となっ
ても水、栄養素および酸素等を自由に透過させることが
できるため、(元々ゲル中に存在する)微生物は該ゲル
中で生存および増殖が可能であるのみならず、ゲル中で
生存ないし増殖する有用微生物が産生する「植物体生長
に有効な物質」は、該ゲルを通して植物体に供給可能と
なる。
【0027】更に、本発明のゲル状のコーティング剤に
おいては、そのゾル−ゲル転移が可逆的であるため、ゲ
ル状態(微生物の生存にとって比較的厳しい環境)であ
っても、該ゲル内部の有用微生物がゆっくりとゲル内を
移動することが可能である。したがって、有用微生物そ
のものを共生菌として根の内部に侵入させる(厳しい環
境から好適な環境へ移動する)ことも可能となる。他
方、本発明者の知見によれば、ゲル外部で増殖した微生
物(病原性微生物を含む)のゲル内部への侵入(好適な
環境から厳しい環境への移動)は、かなり困難であるこ
とが見い出されている。この結果、本発明のコーティン
グ剤ゲル中に人為的に添加された微生物の生存ないし増
殖が可能な一方で、ゲル外部の微生物(例えば、病原性
微生物)のゲル内部への侵入を効果的に防止することが
可能となる。
【0028】加えて、本発明の植物体コーティング剤
は、受粉(特に、受精確率が低い雑種第一代種子の生産
ないし育種に関連した煩雑・複雑な受粉)の効率向上な
いし受粉制御工程の簡略化に好適に利用可能である。こ
の受粉に際しては、例えば、雌ずいの桂頭に父系植物体
の花粉を付けた後に、本発明の植物体コーティング剤水
溶液を該柱頭に塗布してゲル層を形成させることによっ
て、自家受粉および自然交配によるコンタミネーション
(すなわち、目的外の花粉の柱頭への接触)を効果的に
防止することが可能である。
【0029】また、受粉に際しては、父系植物体の花粉
をあらかじめ分散させた本発明のコーティング剤水溶液
を作製し、該コーティング剤水溶液を雌ずいの桂頭に塗
布して該柱頭にゲル層を形成させた場合には、自家およ
び自然受粉を阻止するのみならず、桂頭にコーティング
されたゲル内で上記の父系植物体の花粉を発芽させ、柱
頭に受精させることも可能となる。即ち、桂頭表面に形
成された本発明の植物体コーティング剤は目的外の交配
を効果的に防止するのみならず、桂頭の乾燥(花粉管の
伸びを阻害する)をも効果的に抑制することを可能とす
る。
【0030】本発明のコーティング剤を構成する高分子
のゾル−ゲル転移温度は0℃〜40℃の範囲であるた
め、植物体ないし微生物に対して何らの熱的損傷を与え
ることなく使用することが可能である。更に、本発明の
植物体コーティング剤は該ゾル−ゲル転移温度より高い
温度では水不溶性であるため、農薬類、微生物等の有用
成分を植物体表面に長期間滞留させることが可能であ
る。
【0031】更に、本発明の植物体コーティング剤は該
ゾル−ゲル転移温度より低い温度では親水性ないし水溶
性に変化するため、例えば、該コーティング剤が付着し
た植物体を冷水で洗浄することにより、該植物体や果実
の表面から該コーティング剤自体、あるいは該コーティ
ング剤中に含有される農薬類、微生物等を容易に除去す
ることができ、したがって、果実等の収穫物における薬
剤の残留性等の問題を容易に解決できる。
【0032】更に、本発明の植物体コーティング剤は
水、栄養素、酸素等をその中に含有可能なハイドロゲル
であるため、該ゲル中で有用微生物ないし花粉等の細胞
が生存および増殖することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、必要に応じて図面を参照し
つつ本発明を更に具体的に説明する。
【0034】(ゾル−ゲル転移温度)本発明に用いられ
る「ハイドロゲル形成性高分子」の「ゾル−ゲル転移温
度」の定義および測定は、文献(H. Yoshioka ら、Jour
nal of Macromolecular Science, A31(1), 113
(1994))に記載された定義および方法に基づく。即
ち、観測周波数1Hzにおける試料の動的弾性率を低温
側から高温側へ徐々に温度を変化(1℃/1分)させて
測定し、該試料の貯蔵弾性率(G´、弾性項)が損失弾
性率(G″、粘性項)を上回る点の温度をゾル−ゲル転
移温度とする。一般に、G″>G´の状態がゾルであ
り、G″<G´の状態がゲルであると定義される。この
ゾル−ゲル転移温度の測定に際しては、下記の測定条件
が好適に使用可能である。
【0035】<動的・損失弾性率の測定条件> 測定機器:商品名=ストレス制御式レオメーターCSL
500、Carri-Med社製 試料溶液(ないし分散液)の濃度(ただし「ハイドロゲ
ル形成性高分子」の濃度として):10(重量)% 試料溶液の量:約0.8 g 測定用セルの形状・寸法:アクリル製平行円盤(直径
4.0cm)、ギャップ600μm。
【0036】適用ストレス:線形領域内。
【0037】本発明の植物体コーティング剤を構成する
「ハイドロゲル形成性高分子」は、その水溶液または水
分散液が上記ゾル−ゲル転移温度より高い温度では流動
性の乏しいゲル状(ハイドロゲル)となり、一方、該温
度より低い温度ではゾル(ないし液状)となる特性を有
する。
【0038】上記ハイドロゲル形成性高分子の水溶液
は、0℃より高く、且つ40℃以下のゾル−ゲル転移温
度を有する。外気温度での降雨ないし灌水等で溶解せ
ず、農薬類、微生物等の有用成分を植物体表面に長期間
滞留させる点からは、該ゾル−ゲル転移温度は、25℃
以下(更には15℃以下)であることが好ましい。一
方、ゾル−ゲル転移を示す下限濃度(後述する)より高
い濃度でコーティングを行う場合には、該ゾル−ゲル転
移温度は、5℃以上(更には10℃以上)であることが
好ましい。
【0039】このように好適なハイドロゲル形成性高分
子は、植物体コーティング剤のゲル形成成分として使用
可能な(前述した一般的特性を有する)種々の高分子の
中から、上記したスクリーニング方法(ゾル−ゲル転移
温度測定法)に従って容易に選択することができる。
【0040】(ハイドロゲル形成性高分子)本発明の植
物体コーティング剤に使用可能なハイドロゲル形成性高
分子は、0℃より高く40℃以下のゾル−ゲル転移温度
を有する限り特に制限されない。速やかなゲル化および
水不溶性への変化が容易な点からは、該高分子は、その
水溶液が0℃以上40℃以下のLCST(下限臨界共溶
温度;Lower Critical Solution Temperature)を有す
る温度感応性高分子部分(ブロック)と、親水性高分子
部分とが結合されてなる高分子であることが好ましく、
該「LCSTを有する温度感応性高分子部分」が一分子
中に複数存在する高分子であることが更に好ましい。
【0041】本発明に用いられる「その水溶液がLCS
Tを有する温度感応性高分子」部分とは、水に対する溶
解度温度係数が負を示す高分子であり、低温にて生成す
る高分子と水分子との水素結合に依存する水和物(オキ
ソニウムヒドロキシド)が高温で分解し、脱水和により
高分子同士が凝集し沈澱する特徴を有する。
【0042】本発明において、LCSTとは、高分子の
水和と脱水和の転移温度をいう(例えば、ヘスキンズ
(M. Heskins)らの J. Macromol. Sci.-Chem., A2
(8), 1441(1968)参照)。該温度感応性高分
子部分は、LCSTより低い温度では親水性で水に可溶
性であるが、LCSTより高い温度では疎水性となって
水中で不溶性であって沈澱し、この変化は可逆的であ
る。本発明においては、前述した高分子が生体表面の温
度および「これより低い温度」に速やかに対応した可溶
性−不溶性の可逆的変化を与える点からは、上記温度感
応性高分子部分のLCSTは0℃以上40℃以下(更に
は5〜15℃)であることが好ましい。
【0043】上記LCSTを有する高分子である限り、
本発明においては上記温度感応性高分子として特に制限
なく使用することが可能である。本発明に好適に使用可
能な高分子としては、例えば、ポリN−置換アクリルア
ミド誘導体、ポリN−置換メタアクリルアミド誘導体、
これらの共重合体;ポリプロピレンオキサイド、プロピ
レンオキサイドと他のアルキレンオキサイドとの共重合
体;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール
部分酢化物、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられ
る。
【0044】本発明において好適な温度感応性高分子
を、以下にLCSTが低い順に列挙する。
【0045】ポリ−N−アクリロイルピペリジン;ポリ
−N−n−プロピルメタアクリルアミド;ポリ−N−イ
ソプロピルアクリルアミド;ポリ−N,N−ジエチルア
クリルアミド;ポリ−N−イソプロピルメタアクリルア
ミド;ポリ−N−シクロプロピルアクリルアミド;ポリ
−N−アクリロイルピロリジン;ポリ−N、N−エチル
メチルアクリルアミド;ポリ−N−シクロプロピルメタ
アクリルアミド;ポリ−N−エチルアクリルアミド;上
記の高分子は単独重合体(ホモポリマー)であってもよ
く、また上記重合体を構成する単量体と、他の単量体と
の共重合体であってもよい。このような共重合体を構成
する他の単量体としては、親水性単量体、疎水性単量体
のいずれを用いることもできる。
【0046】上記親水性単量体としては、N−ビニルピ
ロリドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアク
リルアミド、N−メチルアクリルアミド、ヒドロキシエ
チルアクリレート、ヒドロキシメチルメタアクリレー
ト、ヒドロキシメチルアクリレート、酸性基を有するア
クリル酸、メタアクリル酸及びそれらの塩、ビニルスル
ホン酸、スチレンスルホン酸等、並びに塩基性基を有す
るN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,
N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジ
メチルアミノプロピルアクリルアミド及びそれらの塩等
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】一方、上記疎水性単量体としては、エチル
アクリレート、メチルメタクリレート、ヒドリキシエチ
ルメタアクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジ
ルメタクリレート等のアクリレート誘導体およびメタク
リレート誘導体、N−n−ブチルメタアクリルアミド等
のN−置換アルキルメタアクリルアミド誘導体、塩化ビ
ニル、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル等が挙
げられるが、これに限定されるものではない。
【0048】一般的には、上記高分子に親水性単量体を
共重合することにより、LCSTを上昇させることが可
能となり、一方疎水性単量体を共重合することにより、
LCSTを下降させることが可能となる。従って、これ
らの共重合成分(親水性単量体および/又は疎水性単量
体)を選択することによっても、所望のLCSTを有す
る高分子を得ることができる。
【0049】一方、本発明において温度感応性高分子と
結合させる親水性高分子としては、例えば、メチルセル
ロース、デキストラン、ポリエチレンオキサイド、ポリ
ビニルアルコール、ポリN−ビニルピロリドン、ポリビ
ニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリル
アミド、ポリN−メチルアクリルアミド、ポリヒドロキ
シメチルアクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリ
ル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸
およびそれらの塩、ポリN,N−ジメチルアミノエチル
メタクリレート、ポリN,N−ジエチルアミノエチルメ
タクリレート、ポリN,N−ジメチルアミノプロピルア
クリルアミドおよびそれらの塩等が挙げられる。
【0050】本発明に用いられる「ハイドロゲル形成性
高分子」における、その水溶液がLCSTを有する高分
子部分(A)と親水性高分子部分(B)とを結合してな
る共重合体の「結合様式」は特に制限されないが、例え
ば、AとBのブロック共重合体、ないし主鎖Aに側鎖B
が結合したグラフト共重合体、または主鎖Bに側鎖Aが
結合したグラフト共重合体等の様式が好適に使用可能で
ある。
【0051】LCSTを有する高分子部分と、親水性高
分子部分とのブロック共重合体は、例えば予め両者に反
応活性な官能基(水酸基、カルボキシル基、アミノ基、
イソシアネート基等)を複数導入し、両者を化学反応に
より結合させることによって得ることが可能である。
【0052】また、一般にグラフト共重合体の合成法と
しては、1)重合体の連鎖移動反応を利用する方法、
2)幹重合体に遊離基に分裂し得る官能基を導入し、該
官能基から重合を開始する方法、3)幹重合体からイオ
ン重合を開始せしめる方法等が知られている。本発明に
使用すべきグラフト共重合体をこれらの方法によって得
ることもできるが、側鎖の重合度を制御するという観点
からは、LCSTを有する高分子部分中に1個の重合性
官能基を導入し、親水性高分子部分を与える単量体と共
重合させる;ないし、親水性高分子部分中に1個の重合
性官能基を導入し、LCSTを有する高分子部分を与え
る単量体と共重合させることで得ることが有利である。
【0053】(分子量)植物体細胞および微生物に対し
て為害作用を有する可能性がある物質(例えば、分子量
が10万より低い低分子量物質)に起因する障害をでき
る限り防止する点からは、本発明の植物体コーティング
剤を構成する「ハイドロゲル形成性高分子化合物」の分
子量は、大きい程有利である。より具体的には、本発明
においては、上記「ハイドロゲル形成性高分子化合物」
としては、その分子量が10万以上の分子を少なくとも
含むものが好ましく用いられる。本発明において「分子
量10万以上の高分子」とは、該高分子のゾル−ゲル転
移温度より低い温度において、その水溶液(濃度:約1
%)を分画分子量10万の限外濾過膜(アミコン社製、
商品名:H1P100−43)を用いて限外濾過した際
に、実質的に濾過されないものをいう。
【0054】ここに、「実質的に濾過されない」とは、
原液の容量を1/3まで限外濾過濃縮した際に、濾液中
に検出される該高分子の濃度が、原液中の該高分子の濃
度の1/10以下であることをいう。この「実質的に濾
過されない」ことは、例えば、原液と濾液中の高分子の
濃度比をUV測定等により確認することが可能である。
【0055】上記した限外濾過に際しては、下記の実験
条件が好適に使用可能である。
【0056】<限外濾過の確認測定条件> 高分子水溶液の原液量:約3000ml 限外濾過膜:アミコン社製、商品名:H1P100−4
3(ホローファイバー型)。
【0057】温度:「ハイドロゲル形成性高分子化合
物」水溶液のゾル−ゲル転移温度より低い(好ましく
は、5℃以上低い)温度。 限外濾過加圧:1kg/cm2 循環流速:5 L(リットル)/min. 本発明に用いる「ハイドロゲル形成性高分子」の水溶液
は、低温(ゾル−ゲル転移より低い温度)では流動性の
ある水溶液状態を呈し、高温(ゾル−ゲル転移より高い
温度)では、流動性を失ってハイドロゲル状態を呈する
という、熱可逆性ゾル−ゲル転移を示す。本発明者の知
見によれば、このような熱可逆性ゾル−ゲル転移のメカ
ニズムは、以下のように推定される。
【0058】すなわち、分子内に存在する温度感応性高
分子部分のLCSTより低い温度では、該温度感応性高
分子部分、親水性高分子部分ともに水溶性であるため、
該「ハイドロゲル形成性高分子」は完全に水に溶解可能
となる。しかしながら、この水溶液の温度を該LCST
より高い温度に昇温すると、該温度感応性高分子部分が
非水溶性(疎水性)となり、疎水相互作用によって、別
個の分子間で会合する。
【0059】他方、親水性高分子部分は該LCSTより
高い温度においても水溶性を保つため、このような親水
性高分子部分の存在が、上記「LCSTを有する高分子
部分」間の凝集が巨視的な相分離に至ることを防止し
て、安定なハイドロゲル形成に寄与する。
【0060】このようにして生成したハイドロゲルの温
度を、再び、分子内に存在する温度感応性高分子部分の
LCSTより低い温度に冷却すると、該温度感応性高分
子部分が水溶性となって疎水性会合による架橋点が解放
され、ハイドロゲル構造が消失する。このため、本発明
に用いる「ハイドロゲル形成性高分子」は再び、完全に
水に溶解可能となる。このように、このゾル−ゲル転移
は、分子内に存在する温度感応性高分子部分のLCST
における可逆的な親水性−疎水性の変化に基づくもので
あるため、温度変化に対応して完全な可逆性を有する。
【0061】LCSTを有する温度感応性高分子部分と
親水性高分子部分との組成、両高分子部分の疎水性度、
親水性度、及び/又はそれらの分子量を調整することに
よって上記高分子のゾル−ゲル転移温度、即ち、本発明
の植物体コーティング剤のゾル−ゲル転移温度が0℃以
上40℃以下となるように制御することができる。上記
においては、LCSTを有する高分子を用いる場合につ
いて説明したが、このLCSTを有しない場合において
も、本発明に用いるハイドロゲル形成性高分子は、物理
的な(可逆的な)二次結合力である疎水相互作用に基づ
いて可逆的にゾル−ゲル転移する。
【0062】また、本発明者の知見によれば、該高分子
水溶液に添加されるべき「他の成分」(例えば、農薬、
微生物、pH調製剤等)を含んでいても、該ゾル−ゲル
転移温度を0℃以上40℃以下となるように制御するこ
とが可能である。
【0063】更に上記したように、本発明の植物体コー
ティング剤のゲル状態は物理的な(可逆的な)二次結合
力である疎水相互作用に基づくため、架橋点の寿命は有
限である。すなわち、ゾル−ゲル転移温度より高い温度
におけるゲル状態であっても、該ゲルはわずかに流動性
を保持している。そのため、本発明のコーティング剤ゲ
ル状態であっても、ゲル内部の有用微生物がゆっくりと
移動することが可能であり、有用微生物そのものが共生
菌として根の内部に侵入することも可能となる。
【0064】(ゾル−ゲル転移の下限濃度)温度変化に
起因する上記ゾル−ゲル転移現象は、コーティング剤の
水溶液濃度にも依存する場合がある。即ち、該コーティ
ング剤にはゾル−ゲル転移を示す下限濃度があり、該下
限濃度より低い濃度では、たとえ上記したゾル−ゲル転
移温度より高い温度であっても該コーティング剤水溶液
はゲル化しない場合がある。
【0065】この下限濃度は、コーティング剤の分子
量、化学組成等にも依存するが、通常は2wt%〜15
wt%の範囲内にある。したがって、上記したように植
物体表面に散布ないし塗布した本発明の植物体コーティ
ング剤水溶液を温度変化のみでゲル化させる場合には、
該コーティング剤水溶液濃度を、少なくとも上記の下限
濃度以上の濃度とすべきである。
【0066】植物体表面にコーティング剤水溶液を散布
ないし塗布する場合には、該コーティング剤水溶液の粘
度がある程度低い方が、該塗布等を容易である点で好ま
しい。より実際的な方法としては、コーティング剤水溶
液の粘度を下げる為に該下限濃度より低いコーティング
剤水溶液を植物体表面に散布ないし塗布した場合には、
植物体表面で該コーティング剤水溶液の水分を自然に蒸
散させることにより、該コーティング剤濃度を下限濃度
以上にしてゲル化させることが挙げられる。下限濃度よ
り低いコーティング剤水溶液を散布ないし塗布する場合
は、該ゾル−ゲル転移温度より高い温度でもゲル化しな
いため、いずれの温度でも(ゾル−ゲル転移温度とは無
関係に)植物体に散布ないし塗布できる点で、より実際
的な方法である。
【0067】上記した2通りの方法等で散布ないし塗布
することによって植物体表面に形成された本発明のコー
ティング剤のゲル層は、該ゾル−ゲル転移温度より高い
温度では、降雨ないし灌水により該ゲルに供給される水
に溶解することなく長期間植物体表面に付着し、水分の
過度の蒸散を有効に抑制する。また、本発明のコーティ
ング剤が植物体表面の傷口ないし接ぎ木等の部位にコー
ティングされた場合には、ゲル外部の病原微生物のゲル
内部への進入が困難であるため、該コーティング剤下の
傷口への病原微生物進入が効果的に阻止され、したがっ
て植物体の感染が有効に防止される。
【0068】(水不溶性)本発明で用いるハイドロゲル
形成性の高分子は、そのゾル−ゲル転移温度より高い温
度(d℃)で実質的に水不溶性を示し、ゾル−ゲル転移
温度より低い温度(e℃)で可逆的に水可溶性を示す。
【0069】上記した温度(d℃)は、ゾル−ゲル転移
温度より1℃以上高い温度であることが好ましく、2℃
以上(特に5℃以上)高い温度であることが更に好まし
い。また、上記「実質的に水不溶性」は、上記温度(d
℃)において、水100mLに溶解する上記高分子の量
で、5.0g以下(更には0.5g以下、特に0.1g
以下)であることが好ましい。
【0070】一方、上記した温度(e℃)は、ゾル−ゲ
ル転移温度より1℃以上低い温度であることが好まし
く、2℃以上(特に5℃以上)低い温度であることが更
に好ましい。また、上記「水可溶性」とは、上記温度
(e℃)において、水100mLに溶解(ないし均一に
分散)する上記高分子の量が、0.5g以上(更には
1.0g以上)であることが好ましい。更に「可逆的に
水可溶性を示す」とは、上記ハイドロゲル形成性高分子
の水溶液が、一旦(ゾル−ゲル転移温度より高い温度に
おいて)ゲル化された後においても、ゾル−ゲル転移温
度より低い温度においては、上記した水可溶性を示すこ
とをいう。
【0071】(高分子濃度)本発明の植物体コーティン
グ剤(例えば、高分子水溶液の状態)におけるハイドロ
ゲル形成性高分子の好適な濃度は、前記したようにコー
ティング方法によっても異なる。
【0072】すなわち、温度変化のみで該高分子溶液を
ゲル化させる場合には、高分子濃度は実質的にゾル−ゲ
ル転移が生じる濃度範囲内であれば特に制限されない
が、植物体への適用容易性とゲル化の迅速性とのバラン
スの点からは、通常2wt%〜15wt%(更には5w
t%〜10wt%)の範囲であることが好ましい。
【0073】一方、ゾル−ゲル転移を示す下限濃度より
低い濃度で植物体表面に植物体コーティング剤水溶液を
散布ないし塗布し、該コーティング剤水溶液の水分を蒸
散させてゲル化させる場合には、ゾル−ゲル転移を示す
下限濃度より低い濃度であれば特に制限されないが、通
常0.01wt%〜2wt%(更には0.1wt%〜1
wt%)の範囲であることが好ましい。
【0074】(分散媒)本発明において、上述した「ハ
イドロゲル形成性高分子」とともにハイドロゲルを構成
する分散媒は、水ないし水性(aqueous)の液状媒体で
あることが好ましい。
【0075】ここに「水性の分散媒」は、溶液、分散液
(ディスパージョン、エマルション等)のいずれの形態
であってもよい。植物体表面に対する為害性の点から
は、水性媒体を水とともに構成する「他の液状媒体」
(下記アルコール等)は、10%以下(更には5%以
下)であることが好ましい。このような態様における
「他の液状媒体」としては、例えば、エタノール等の1
価アルコール、エチレングリコール等の2価アルコー
ル、グリセリン等の3価アルコールを始めとする1価な
いし多価アルコールが好適に使用可能である。
【0076】(他の成分)本発明の植物体コーティング
剤は、上述したハイドロゲル形成性高分子を少なくとも
含むものであるが、必要に応じて、他の成分をも含有し
ていてもよい。このような「他の成分」の種類ないし量
比は、ハイドロゲル形成性高分子のゾル−ゲル転移を実
質的に阻害しないものである限り特に制限されない。よ
り具体的には、該「他の成分」は生物、無生物のいずれ
であってもよく、また有機物、無機物のいずれであって
もよい。このような「他の成分」の例としては、例え
ば、農薬、pH調製剤、肥料、植物生長調節物質、有用
微生物、花粉などを挙げることができる。
【0077】以下、上記「他の成分」の典型的な例とし
て、農薬、微生物、および/又は花粉を用いた態様につ
いて説明する。
【0078】(農薬)本明細書において、「農薬」と
は、農作物を害する菌、線虫、ダニ、昆虫、ねずみ、そ
の他の動植物体またはウィルスの防除に用いられる薬
剤、農作物等の生理機能の増進または抑制に用いられる
植物体生長調整剤、発芽促進または抑制剤、その他の薬
剤を農薬と定義される(山下恭平ら共著“農薬の化学”
第1頁、(株)文永堂、1980)。このような農薬と
して、より具体的には例えば、殺菌剤、殺虫剤、誘引
剤、忌避剤、化学不妊剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺ソ
剤、除草剤、植物体生長調節物質および上記の薬剤の効
力の維持、増強ないし施用を容易にするために添加され
る補助剤等を挙げることができる。
【0079】上記の「植物体生長調節物質」としては、
例えば、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、ア
ブシジン酸、エチレン等の植物体ホルモンおよび植物体
ホルモンの働きを制御するホルモン型除草剤や非ホルモ
ン型除草剤および植物体矮化剤等が挙げられる。
【0080】本発明の植物体コーティング剤水溶液中に
農薬を含ませる態様においては、該コーティング剤水溶
液中の高分子の濃度が上記した「下限濃度」より高い場
合には、該ゾル−ゲル転移温度より低い温度で、農薬を
溶解、分散、懸濁等の方法によって該コーティング剤水
溶液中に含ませることが可能である。
【0081】また該コーティング剤水溶液の濃度が「下
限濃度」より低い場合には、いずれの温度においても、
農薬を溶解、分散、懸濁等の方法によって該コーティン
グ剤水溶液中に含ませることが可能である。
【0082】農薬を含有する植物体コーティング剤水溶
液は、上記した方法と同様の方法で植物体表面に散布な
いし塗布することにより、ゾル−ゲル転移温度以上の温
度で植物体表面にゲル層を形成させることができる。該
ゲル層は降雨ないし灌水等では溶解せず、且つ植物体表
面に密着するために、農薬の溶出、流亡、蒸散、脱落等
を効果的に防止するのみならず、該ゲルを通して農薬の
除放化が可能となる。
【0083】本発明のコーティング剤溶液への農薬の添
加量は、該農薬の機能を発揮することが可能な量である
限り特に制限されないが、該溶液1mL中に、0.00
1mg以上程度、更には0.01〜3mg程度であるこ
とが好ましい。
【0084】(微生物)本発明に好適に使用可能な微生
物としては、菌類(カビ、酵母等)と細菌類が主に挙げ
られる。また「有用微生物」とは、人間の生活や生産活
動に役立つ微生物であり、植物体に於いては、通常は、
植物体と共生関係を構築している微生物であって、それ
が植物体に対して有効な物質(例えば植物体生長調節物
質)を生産する、植物体の生長を阻害することなく植物
体内および/又は植物体周辺に繁殖することで他の病原
微生物の繁殖を抑制する、等の植物体にとって有用な機
能を発揮する微生物をいう。
【0085】有用微生物の例としては、マメ科植物体等
と共生関係を構築して窒素固定を行う根粒菌、ほとんど
の植物体と共生関係を保ち、特に非力な土壌でリン酸吸
収を助長する菌根菌、中でも、特にVA菌根菌、ラン科
等の種子の発芽に必須な菌根菌、共生関係を構築して養
水分の吸収を助ける内性菌根菌等が挙げられる。
【0086】本発明の植物体コーティング剤水溶液に微
生物(例えば、植物体にとっての有用微生物)を含有さ
せる態様においては、該コーティング剤水溶液中のコー
ティング剤の濃度が上記の「下限濃度」より高い濃度の
場合には、ゾル−ゲル転移温度より低い温度で微生物を
該水溶液中に分散させることができる。
【0087】他方、該コーティング剤濃度が上記の下限
濃度より低い場合には、いずれの温度でも微生物を該コ
ーティング剤水溶液中に分散させることが可能である。
微生物の活性を高めたり、増殖させる目的で、必要に応
じて、該コーティング剤水溶液に各種の栄養分を添加し
てもよい。
【0088】微生物を含む植物体コーティング剤水溶液
を上記した方法と同様の方法で植物体、例えば根の表面
に散布ないし塗布することができ、該ゾル−ゲル転移温
度より高い温度で植物体表面にゲル層を形成させること
ができる。該ゲル層は降雨ないし灌水等では溶解せず、
且つ植物体表面に密着するために、微生物の脱落、流亡
等が効果的に抑止されるののみならず、例えば土壌中に
圧倒的な高濃度で存在する雑菌のゲル中への侵入が阻止
されるため、植物体の表面ないし近辺に長期間、活性を
維持した状態で有用微生物を培養増殖させることが可能
であり、この微生物が根の生長を助長することが可能と
なる。
【0089】本発明のゲル状のコーティング剤は水、栄
養素および酸素等を自由に透過させることができ、微生
物はゲル中で生存および増殖が可能である一方、有用微
生物が産生する植物体生長に有効な物質はゲルを通して
植物体に供給される。更に本発明のゲル状のコーティン
グ剤はゾル−ゲル転移が可逆的なため、ゲル状態であっ
てもゲル内部の有用微生物がゆっくりと移動することが
可能であり、有用微生物そのものが共生菌として根の内
部に侵入することもできる。
【0090】本発明のコーティング剤溶液への微生物の
添加量は、該微生物が植物体に対して有用性を発揮する
ことが可能な量である限り特に制限されないが、該溶液
1mL中に、100個以上程度、更には1、000〜
1、000、000個程度であることが好ましい。
【0091】(花粉)本発明の植物体コーティング剤水
溶液に花粉を含有させる態様は、雑種第一代種子の生産
ないし育種に関連した工程であって、手間がかかり、し
かも複雑な受粉制御工程の簡略化において、特に好適に
利用可能である。
【0092】例えば、雌ずいの桂頭に父系植物体の花粉
を付けた後に、本発明の植物体コーティング剤水溶液を
塗布しゲル層を形成させることによって、自家受粉およ
び自然交配によるコンタミネーションを効果的に防止す
ることが可能である。また父系植物体の花粉をあらかじ
め分散させた本発明のコーティング剤水溶液を作製し該
コーティング剤水溶液を雌ずいの桂頭に塗布することに
より、ゲル層を形成させ、自家および自然受粉を阻止す
るのみならず、父系植物体の花粉を桂頭にコーティング
されたゲル内で培養し受精させることが可能である。即
ち、桂頭表面に形成された本発明の植物体コーティング
剤は目的以外の交配を効果的に防止するのみならず花粉
管の伸びを阻害する桂頭の乾燥をも効果的に抑制するこ
とが可能である。
【0093】本発明のコーティング剤溶液への花粉の添
加量は、受粉可能な量である限り特に制限されないが、
該溶液1mL中に、10個以上程度、更には100〜1
00、000個程度であることが好ましい。
【0094】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるも
のではない。
【0095】
【実施例】実施例1 (ハイドロゲル形成性高分子の合成)N−イソプロピル
アクリルアミド(イーストマンコダック社製)10.2
gと、N−アクリロキシスクシンイミド(国産化学
(株)製)1.71gとを反応容器内のクロロホルム4
00mLに溶解し、該反応容器内を窒素で置換した後、
N,N´−アゾビスイソブチロニトリル0.135gを
加えて、60℃で、6時間重合させた。反応終了後、反
応生成物をロータリーエバポレータを用いて減圧下で約
50mLまで濃縮し、次いで得られた残渣をジエチルエ
ーテル1000mL中に沈澱させた。得られた沈殿を濾
過により分離した後、約40℃で約24時間真空乾燥し
て、8.8gのポリ(N−イソプロピルアクリルアミド
−co−N−アクリロキシスクシンイミド)を得た。
【0096】上記により得たポリ(N−イソプロピルア
クリルアミド−co−N−アクリロキシスクシンイミ
ド)1.0gと、両末端アミノ化ポリエチレンオキシド
(分子量6,000、川研ファインケミカル(株)製)
0.5gとを、クロロホルム100mLに溶解し、室温
で終夜(約10時間)反応させた。次いで、イソプロピ
ルアミン0.1gを加え、25℃で終夜(約10時間)
放置した。
【0097】得られた反応生成物をロータリーエバポレ
ータを用いて減圧下で濃縮、約40℃で約24時間真空
乾燥した後、蒸留水1000mLに溶解し、分画分子量
10万のホローファイバー型限外濾過膜(アミコン社
製、商品名:H1P100−43)を用いて10℃で3
00mLまで濃縮した。該濃縮液に蒸留水700mLを
加えて希釈し、上記希釈操作を再度行った。
【0098】上記の希釈、限外濾過濃縮操作を更に5回
繰り返し、分子量10万より低いものを限外濾過により
除去した。この限外濾過により濾過されなかったもの
(限外濾過膜内に残留したもの)を回収して、凍結乾燥
して、約40℃で約10時間真空乾燥したところ、1.
3gの「ハイドロゲル形成性高分子 I」が得られた。
【0099】このようにして得た「ハイドロゲル形成性
高分子I」1gを、9gの蒸留水に室温で溶解して、濃
度10wt%の高分子水溶液を得た。得られた水溶液の
ゾル−ゲル転移温度を、Carri-Med社製のストレス制御
式レオメーターCSL500を用いて、上述した方法で
貯蔵弾性率(G´、弾性項)が損失弾性率(G″、粘性
項)を上回る点の温度として測定したところ、該ゾル−
ゲル転移温度は35℃であった。
【0100】実施例2 N−イソプロピルアクリルアミド 9.61gと、N−
アクリロキシスクシンイミド1.71gと、n−ブチル
メタクリレート1.45gとを、反応容器中でクロロホ
ルム400mLに溶解し、該反応容器中を窒素で置換し
た後、N,N´−アゾビスイソブチロニトリル0.13
5gを加えて、60℃で、6時間重合させた。得られた
反応生成物を減圧下で約50mLまで濃縮した後、ジエ
チルエーテル1000mL中にに沈澱させた。得られた
沈殿を濾過により分離した後、約40℃で約24時間真
空乾燥して、7.8gのポリ(N−イソプロピルアクリ
ルアミド−co−N−アクリロキシスクシンイミド−c
o−n−ブチルメタクリレート)を得た。
【0101】上記により得たポリ(N−イソプロピルア
クリルアミド−co−N−アクリロキシスクシンイミド
−co−n−ブチルメタクリレート)1.0gと、両末
端アミノ化ポリエチレンオキシド(分子量6,000、
川研ファインケミカル(株)製)0.5gとを、クロロ
ホルム100mLに溶解し、室温で終夜(約10時間)
反応させた後、イソプロピルアミン0.1gを加え、約
25℃で終夜(約10時間)放置した。得られた反応生
成物をロータリーエバポレータを用いて減圧下で濃縮、
約40℃で約24時間真空乾燥した後、蒸留水1000
mLに溶解し、分画分子量10万のホローファイバー型
限外濾過膜(アミコン社製、H1P100−43)を用
いて10℃で300mLまで濃縮した。該濃縮液に蒸留
水700mLを加えて希釈し、上記希釈操作を再度行っ
た。上記の希釈、限外濾過濃縮操作を更に5回繰り返
し、分子量10万より低いものを除去した。この限外濾
過により濾過されなかったもの(限外濾過膜内に残留し
たもの)を回収して凍結乾燥して、「ハイドロゲル形成
性高分子 II」1.3gを得た。
【0102】上記により得た「ハイドロゲル形成性高分
子II」1gを、9gの蒸留水に氷冷下で溶解した。この
水溶液のゾル−ゲル転移温度を実施例1と同様の方法で
測定したところ、該ゾル−ゲル転移温度は12℃であっ
た。
【0103】実施例3 両末端アミノ化ポリエチレンオサイド(分子量6,00
0、川研ファインケミカル(株)製)3gをクロロホル
ム100mLに溶解した後、ジイソシアン酸トリレン
(コロネートT65、日本ポリウレタン工業(株)製)
0.1gと、末端に1級アミノ基を有するトリアミノポ
リプロピレンオキサイド(平均分子量約3000、米国
ジェファーソンケミカル社製:ジェファーミンT−30
00)1gとを加え、室温で5分反応させた。次いで、
イソプロピルアミン1gを加え、室温で終夜(約10時
間)反応させた。溶媒を減圧下で留去して、「ハイドロ
ゲル形成性高分子 III」4.1gを得た。
【0104】上記により得た「ハイドロゲル形成性高分
子 III」1gを、9gの蒸留水に氷冷下で溶解した。こ
の水溶液のゾル−ゲル転移温度を実施例1と同様の方法
で測定したところ、該ゾル−ゲル転移温度は15℃であ
った。
【0105】実施例4 両末端アミノ化ポリエチレンオキサイド(分子量6,0
00、川研ファインケミカル(株)製)30gをクロロ
ホルム1000mLに溶解した後、ジイソシアン酸トリ
レン(コロネートT65、日本ポリウレタン工業(株)
製)1gと、末端に1級アミノ基を有するトリアミノポ
リプロピレンオキサイド(平均分子量約5000、米国
ジェファーソンケミカル社製:ジェファーミンT−50
00)17gとを加え、室温で5分反応させた。次い
で、イソプロピルアミン10gを加え、室温で終夜(約
10時間)反応させた。溶媒を減圧下で留去して、「ハ
イドロゲル形成性高分子 IV」48gを得た。
【0106】上記により得た「ハイドロゲル形成性高分
子 IV」1gを、9gの蒸留水に氷冷下で溶解した。こ
の水溶液のゾル−ゲル転移温度を実施例1と同様の方法
で測定したところ、該ゾル−ゲル転移温度は9℃であっ
た。
【0107】実施例5 片末端に1級アミノ基を有するポリプロピレンオキサイ
ド(平均分子量約2000、米国ジェファーソンケミカ
ル社製:ジェファーミンM−2005)20gを四塩化
炭素50mLに溶解した後、アクリル酸クロライド(国
産化学(株)製)0.91gと、トリエチルアミン1.
38mLとを加えて、室温で終夜(約10時間)反応さ
せた。反応により生成した固形分を濾過で分離した後、
濾液から溶媒を減圧下で留去して、片末端に重合性官能
基を導入したポリプロピレンオキサイドモノアクリルア
ミド体20gを得た。
【0108】上記により得たポリプロピレンオキサイド
モノアクリルアミド体10gと、アクリルアミド20g
とを反応容器内で蒸留水970mLに氷冷下で溶解し、
該反応容器内を窒素で置換した後、過硫酸アンモニウム
0.3gとテトラメチルエチレンジアミン200μLと
を加え、氷冷・窒素雰囲気下で終夜(約10時間)反応
させた。
【0109】得られた反応液を蒸留水で3Lに希釈し、
分画分子量10万のホローファイバー型限外濾過膜(ア
ミコン社製H1P100−43)を用いて10℃で1L
まで濃縮した。該濃縮液に蒸留水2Lを加えて希釈し、
上記希釈操作を再度行った。上記の希釈、限外濾過濃縮
操作を更に5回繰り返し、分子量10万より低いものを
除去した。この限外濾過により濾過されなかったもの
(限外濾過膜内に残留したもの)を回収し凍結乾燥し
て、ポリアクリルアミド主鎖にポリプロピレンオキサイ
ド側鎖を結合してなる、分子量10万以上の「ハイドロ
ゲル形成性高分子V」27gを得た。
【0110】上記により得た「ハイドロゲル形成性高分
子 V」1gを、9gの蒸留水に氷冷下で溶解した。こ
の水溶液のゾル−ゲル転移温度を実施例1と同様の方法
で測定したところ、該ゾル−ゲル転移温度は20℃であ
った。
【0111】実施例6 N−イソプロピルアクリルアミド37gと、n−ブチル
メタクリレート3gと、ポリエチレンオキサイドモノア
クリレート(分子量4,000、日本油脂(株)製:P
ME−4000)28gとを、ベンゼン340mLに溶
解した後、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.
8gを加え、60℃で6時間反応させた。得られた反応
生成物にクロロホルム600mLを加えて溶解し、該溶
液をエーテル20Lに滴下して沈澱させた。得られた沈
殿を濾過により回収し、該沈澱を約40℃で24時間真
空乾燥した後、蒸留水6Lに再び溶解し、分画分子量1
0万のホローファイバー型限外濾過膜(アミコン社製、
H1P100−43)を用いて10℃で2Lまで濃縮し
た。該濃縮液に蒸留水4Lを加えて希釈し、上記希釈操
作を再度行った。上記の希釈、限外濾過濃縮操作を更に
5回繰り返し、分子量10万より低いものを除去した。
この限外濾過により濾過されなかったもの(限外濾過膜
内に残留したもの)を回収して凍結乾燥し、分子量10
万以上の「ハイドロゲル形成性高分子 VI」60gを得
た。
【0112】上記により得た「ハイドロゲル形成性高分
子 VI」1gを、9gの蒸留水に氷冷下で溶解した。こ
の水溶液のゾル−ゲル転移温度を実施例1と同様の方法
で測定したところ、該ゾル−ゲル転移温度は25℃であ
った。
【0113】実施例7 三角フラスコ(柴田ハリオ硝子(株)製、容量500m
L)中に、ハイポネックス培地(商品名:ハイポネック
ス7−6−19、ハイポネックスジャパン(株)製、
3.5g/L、シュークロース20g/L、バナナ10
0g/L、寒天6g/Lを含有)を200mL分注し、
オートクレーブ滅菌(121℃、1.2Kg/cm2
、20分)した後、室温にて放置し固化させた。上記
滅菌後の培地に、約2cmに伸長した蘭の幼苗たるYT
57(Cym. LOVELY ANGEL "The Two Virgins")を上記
のフラスコ1個当たり25本の割合で移植し、培養室
(25℃、3000Lux、16時間の日長)内で、無
菌的に4カ月間培養した。得られたYT57の苗を培地
ごとフラスコから取り出し、流水下で苗の根に付着して
いる培養液を含む寒天を除去した後、最大葉長が14〜
15cmで新鮮重1.8gの苗を多数選定した。
【0114】一方、実施例2で作成した「ハイドロゲル
形成性高分子 II」10gを、8℃に冷却した100m
Lの粉末園芸用肥料溶液(商品名:ハイポネックス20
−20−20、ハイポネックスジャパン(株)製、0.
5g/L)に添加、撹拌溶解した。
【0115】次いで、選別したYT57の根部全体を上
記で得た高分子溶液中に2秒間浸漬した後、引き上げて
常温(25℃)に戻したところ、該溶液は完全にゲル化
し、根表面にコーティングされた。市販のグローウェル
MO2(有限会社 向山蘭園、ニュージーランド産バー
ク)とバポ(有限会社 向山蘭園 北欧産ピートモス)
を8:2(体積比)で混合したものを支持体として、上
記で得られた苗10本を黒ビニールポット(直径12c
mφ、兼弥商店)に植替え、温室内(温度:18〜30
℃)で通常の栽培(灌水の頻度:1度/2日)を行っ
た。
【0116】上記の栽培開始から50日後、容器から苗
を取り出し新鮮重を計測したところ、平均2.98g/
1本であった。外観上、根の生育は旺盛で、植出し(植
え替え)時の傷害、根先端部の枯死も殆どなく、茎葉部
も葉色が濃く苗全体の生長は順調であった。
【0117】比較例1 「ハイドロゲル形成性高分子 II」の根へのコーティン
グを行わなかった以外外は実施例7と同様にして、選別
したYT57の苗10本を、黒ビニールポット(直径1
2cmφ、兼弥商店)に植替え、温室内で通常の栽培を
行った。この植え替えの際の支持体としては、市販のグ
ローウェルMO2(有限会社 向山蘭園、ニュージーラ
ンド産バーク)とバポ(有限会社 向山蘭園 北欧産ピ
ートモス)を8:2(体積比)で混合したものを用い
た。
【0118】上記の栽培開始から50日後、容器から苗
を取り出し新鮮重を計測したところ、平均2.58g/
1本であった。外観上、根の先端や中途部分が褐変枯死
しているものが全ての根中で30%(30本/100
本)程度見受けられた。茎葉部は葉色が薄く苗全体の生
長は緩慢であった。
【0119】本発明者の知見によれば、本比較例のこの
ような根の渇変枯死の原因は、根への雑菌の侵入および
繁殖によるものと推定される。
【0120】実施例8 三角フラスコ(柴田ハリオ硝子(株)製、容量300m
L)中に、MS培地(Murashige&Skoog培地、BA(6
-Benzylaminopurine、和光純薬製)1mg/L、寒天1
0g/Lを含有)を80mL分注し、オートクレーブ滅
菌(121℃、1.2Kg/cm2 、20分)した後、
室温にて放置して固化させた。上記滅菌後の培地に、1
〜2cmに分枝伸長したリンゴの幼苗たる”フジ”を、
上記フラスコ1個当たり15本の割合で移植し、培養室
(25℃、2000Lux、12時間の日長)内で、無
菌的に2カ月間培養した。得られた苗をフラスコから取
り出し、流水下で苗に付着している培養液を含む寒天を
除去した。この時点で根の伸長しているフジ苗の個体は
全くなかった。
【0121】次に、実施例2で作成した「ハイドロゲル
形成性高分子 II」10gを、8℃に冷却したIBA
(β−インドール酪酸、和光純薬製)0.5mg/L溶
液100mLに添加し、撹拌して溶解した。該溶液中
に、上記で得たフジ苗の基部(先端から約10mm)を
約10秒間浸漬した後引き上げて、常温(25℃)に戻
したところ、該溶液は完全にゲル化し、フジ苗の基部に
コーティングされた。
【0122】滅菌済みのバーミキュライト(中国製、相
沢商店)を支持体として、上記で得た苗10本ずつ(合
計100本)を、薄いプラスティック容器(13×8×
5cm)に植替え、次いで同じプラスティック容器で蓋
をした後、該容器(蓋)の上部に線香の火で毎日1個の
穴をあけ、培養室(25℃、2000Lux、12時間
の日長)内で順化した。
【0123】順化開始から50日後に、上記容器から苗
を取り出して発根状況を調査したところ、発根が確認で
きた個体の割合は90%(100個体中90個体)に達
した。
【0124】比較例2 実施例8と同様にして得られたフジの苗の基部(先端か
ら約10mm)をIBA0.5mg/L溶液中に約10
秒間浸漬した後引き上げて、常温(25℃)で乾燥させ
た。該苗を10本ずつ100本、実施例8と同様に培養
室内で順化させた。
【0125】順化開始から50日後、容器から苗を取り
出して発根状況を調査したところ、発根が確認できた個
体の割合は70%(100個体中70個体)であった。
【0126】実施例9 山梨県塩山市の有限会社 向山蘭園の温室で10年以上
栽培されているDLA(DAINLEY "Lovely Ai")の根を
約3cmに切断し、次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩
素0.5%、Tween20 0.1%添加)に10分
間浸漬、振盪して表面を殺菌した。次いで、上記DLA
の根を安全かみそりを用いて縦に2分割し、実施例7で
用いたハイポネックス培地上に置床した。数日後、該ハ
イポネックス培地上には、カビやバクテリアのコロニー
が観察された。このようなコロニーの中で、不完全菌類
と思われる菌糸のみを形成するコロニーのみを選抜し、
継代を繰り返すことにより、菌株2系統を最終的に選抜
した。
【0127】次いで、実施例7で用いたハイポネックス
培地で3カ月培養したYT57のフラスコ中に、上記2
系統の菌糸を白金耳を用いてそれぞれ無菌的に接種し、
更に1ヶ月後根の横断面を顕微鏡下で観察したところ、
上記菌株2系統のいずれを用いた場合にも、YT57の
根の内部に菌糸が伸長していることが確認された。
【0128】一方、無菌的にバレイショ・ブドウ糖培地
で培養した上記菌株2系統それぞれ100mg程度を、
それぞれ実施例2で作成した「ハイドロゲル形成性高分
子 II」10gを8℃に冷却した100mLの粉末園芸
用肥料溶液(商品名:ハイポネックス20−20−2
0、ハイポネックスジャパン(株)製、0.5g/L)
に添加して、撹拌溶解した。このようにして得た溶液中
に、選別したYT57の根部全体を浸漬した後引き上げ
て、常温(25℃)に戻したところ、該溶液は完全にゲ
ル化し、菌糸と共にYT57の根表面にコーティングさ
れた。
【0129】市販のグローウェルMO2(有限会社 向
山蘭園、ニュージーランド産バーク)とバポ(有限会社
向山蘭園 北欧産ピートモス)を8:2(体積比)で
混合したものを支持体として、上記により得たYT57
の苗10本を黒ビニールポット(直径12cmφ、兼弥
商店)に植替え、温室内で通常の栽培を行った。
【0130】栽培開始から50日後、容器から苗を取り
出し外観を観察したところ、根の生育は旺盛で、茎葉部
も葉色が濃く苗全体の生長は順調であった。また、根の
横断面を顕微鏡(倍率:200倍)で観察したところ、
根周辺にコーティングしたゲル内部と根内部に該2系統
の菌糸がそれぞれ伸長しているのが確認された。
【0131】比較例3 「ハイドロゲル形成性高分子 II」を根に付着させなか
った以外は実施例7と同様の方法で、選別したYT57
の苗10本を黒ビニールポット(直径12cmφ、兼弥
商店)に植替え、温室内で通常の栽培を行った。この植
え替えの際の支持体としては、市販のグローウェルMO
2/バポを8:2(体積比)で混合したものを用いた。
【0132】栽培開始から50日後、容器から苗を取り
出し、外観を観察したところ、茎葉部は葉色が薄く苗全
体の生長は緩慢であった。また、根の横断面を顕微鏡
(倍率:200倍)で観察したが、菌糸は観察されなか
った。
【0133】比較例4 菌株を添加した「ハイドロゲル形成性高分子 II」を根
に付着させなかった以外は実施例7と同様の方法で、Y
T57の苗10本を選別し、無菌的にバレイショ・ブド
ウ糖培地中で培養した上記菌株2系統それぞれ100m
g程度をそれぞれ根に付着させた。市販のグローウェル
MO2/バポを8:2(体積比)で混合したものを支持
体として、上記のYT57の苗を黒ビニールポット(直
径12cmφ、兼弥商店)に植替え、温室内で通常の栽
培を行った。
【0134】栽培開始から50日後、容器から苗を取り
出し、外観を観察したところ、茎葉部は葉色が薄く苗全
体の生長は緩慢であった。また、根の横断面を顕微鏡
(倍率:200倍)で観察したが、菌糸は殆ど見られな
かった。
【0135】実施例10 実施例2で作成した「ハイドロゲル形成性高分子 II」
0.5gを、8℃に冷却した100mLの水道水に添加
し、撹拌した。該溶液を市販のスプレー容器(商品名:
ジョイスプレーA型、株式会社リッチェル製)に入れ、
実施例7で選定したYT57の茎葉部に噴霧(苗1本に
つき約5cc)した。該溶液は徐々に乾燥し、上記「ハ
イドロゲル形成性高分子 II」はYT57の茎葉部表面
にコーティングされた。
【0136】市販のグローウェルMO2(有限会社 向
山蘭園、ニュージーランド産バーク)とバポ(有限会社
向山蘭園 北欧産ピートモス)を8:2(体積比)で
混合したものを支持体として、上記により得たYT57
の苗を黒ビニールポット(直径12cmφ、兼弥商店)
に植替え、温室内で通常の栽培を行った。
【0137】栽培開始から1週間後、地上部の外観を観
察したところ、葉先の枯れは殆どなかった。
【0138】比較例5 「ハイドロゲル形成性高分子 II」の茎葉部への噴霧を
行わなかった以外は実施例10と同様の方法で、選別し
たYT57の苗を黒ビニールポット(直径12cmφ、
兼弥商店)に植替え、温室内で通常の栽培を行った。こ
の植え替えの際の支持体としては、市販のグローウェル
MO2(有限会社 向山蘭園、ニュージーランド産バー
ク)とバポ(有限会社 向山蘭園 北欧産ピートモス)
を8:2(体積比)で混合したものを用いた。
【0139】栽培開始から1週間後、地上部の外観を調
査したところ、葉先の枯れている個体が多数見られた。
本発明者の知見によれば、本比較例において葉先の枯れ
が観察されたのは、クチクラ層が未発達で葉の表面から
水分が蒸散し、乾燥したものと推定される。
【0140】実施例11 実施例2で作製した「ハイドロゲル形成性高分子 II」
5gを、8℃に冷却した50ccの水に添加し、攪拌溶
解した。
【0141】一方、パンジー ’ニュー クリスタル’
の雌ずいの柱頭に、パンジー ’マキシム’の花粉を人
工的に受粉(柱頭に付着)させた後、上記で得た高分子
水溶液を、ふでを用いて柱頭に塗布した(柱頭1本当た
り高分子水溶液が1mL程度)。
【0142】上記受粉から20日後に、同様の方法で交
配した10鞘を収穫して、実施例7で用いたバポ(ピー
トモス)上に播種し、温室で通常の栽培管理をしたとこ
ろ、発芽率が良く(70%)、生育が旺盛で、開花した
花も概ね均一であった。
【0143】比較例6 自然交雑したパンジー(’ニュー クリスタル’× 花
粉親不明)10鞘を収穫して、実施例11と同様に播種
したところ、発芽率は良かった(70%)ものの、生育
にばらつきがあり、花色、大きさ、形等もばらついてい
た。
【0144】本発明者の知見によれば、このように本比
較例において鞘の生育ないし花色、大きさ、形等がばら
ついたのは、自家受粉および自然交配によるコンタミネ
ーションによるものと推定される。
【0145】実施例12 実施例2で作成した「ハイドロゲル形成性高分子 II」
0.5gを8℃に冷却した100ccの水に添加攪拌し
た後、常温に戻し、事前に採取しておいたスモモ ’ビ
ューティー’の花粉を混合した。該花粉の濃度は、10
0個/1ccであった。
【0146】一方、露地で栽培したスモモ ’ソルダ
ム’が開花してから5日後に、前記花粉含有の高分子溶
液を、実施例10で用いたスプレーを用いて、花全体に
向けて噴霧した。1花当たりの噴霧量は約1ccであっ
た。
【0147】該噴霧から1ヶ月後に果実を形成したもの
は、20%(100花中20花)に達した。
【0148】比較例7 前記スモモ ’ソルダム’において、実施例12の人工
的な受粉作業(高分子溶液の噴霧)を行わなかった花の
果実形成率は、2%(100花中2花)と低かった。
【0149】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、その水
溶液が0℃より高く40℃以下であるゾル−ゲル転移温
度を有し、且つ、該ゾル−ゲル転移温度より高い温度で
実質的に水不溶性を示すハイドロゲル形成性高分子を少
なくとも含む植物体コーティング剤であって;水の存在
下、前記ゾル−ゲル転移温度より低い温度で可逆的に液
体状態(ゾル状態)を示し、且つ、ゾル−ゲル転移温度
より高い温度でゲル状態を示す植物体コーティング剤が
提供される。
【0150】本発明によれば、更に、その水溶液が0℃
より高く40℃以下であるゾル−ゲル転移温度を有し、
且つ、該ゾル−ゲル転移温度より高い温度で実質的に水
不溶性を示すハイドロゲル形成性高分子と;水とを少な
くとも含むコーティング液であって;該高分子をゾル−
ゲル転移の下限濃度より高い濃度で含有する植物体コー
ティング液を用い;該コーティング液を植物体の少なく
とも一部に付着させ、ゾル−ゲル転移温度より高い温度
でゲル化させる工程と、ゾル−ゲル転移温度より高い温
度で、該ゲル化したコーティング液を植物体上で保持す
る工程とを少なくとも含む植物体コーティング方法が提
供される。
【0151】本発明によれば、更に、その水溶液が0℃
より高く40℃以下であるゾル−ゲル転移温度を有し、
且つ、該ゾル−ゲル転移温度より高い温度で実質的に水
不溶性を示すハイドロゲル形成性高分子と;水とを少な
くとも含むコーティング液であって;該高分子をゾル−
ゲル転移の下限濃度より低い濃度で含有する植物体コー
ティング液を用い;該コーティング液を植物体の少なく
とも一部に付着させ、水分の蒸発により固化させる工程
と、該固化したコーティング液を植物体上で保持する工
程とを少なくとも有することを特徴とする植物体コーテ
ィング方法が提供される。
【0152】本発明の植物体コーティング剤の水溶液
は、ゾル−ゲル転移温度より低い温度ではゾル状態(液
体状態)であり、植物体ないしはその一部(葉、茎、
花、根、果実等)の表面に散布あるいは塗布することが
可能であり、しかも温度変化によって容易且つ迅速に植
物体表面でゲル化する。このゲルは温度がゾル−ゲル転
移温度より高い温度であれば実質的に水不溶性の性質を
保持するため、該ゲルは降雨あるいは灌水等で溶解する
ことなく、安定して植物体表面に滞留する。
【0153】したがって、本発明のコーティング剤を農
薬等の薬物、微生物、花粉等の植物体に対する有用成分
と組み合わせて用いることにより、降雨、灌水等による
該有用物成分の溶出、流亡、蒸散、脱落等が効果的に防
止されて有用成分の植物体表面での長期間の滞留が可能
となるるのみならず、該ゲルを通しての該有用成分の除
放化も可能となる。
【0154】他方、本発明の植物体コーティング剤はゾ
ル−ゲル転移温度より低い温度では速やかに水溶性に変
化するため、例えば、該コーティング剤が付着した植物
体を冷水で洗浄することにより、該植物体や果実の表面
から不要となったコーティング剤自体、あるいは農薬
類、微生物等の添加成分を容易に除去することができ、
したがって、果実等の収穫物における薬剤の残留性等の
問題を解決することが容易となる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その水溶液が0℃より高く40℃以下で
    あるゾル−ゲル転移温度を有し、且つ、該ゾル−ゲル転
    移温度より高い温度で実質的に水不溶性を示すハイドロ
    ゲル形成性高分子を少なくとも含む植物体コーティング
    剤であって;水の存在下、前記ゾル−ゲル転移温度より
    低い温度で可逆的に液体状態(ゾル状態)を示し、且
    つ、ゾル−ゲル転移温度より高い温度でゲル状態を示す
    ことを特徴とする植物体コーティング剤。
  2. 【請求項2】 前記高分子が、分子量が10万以上の分
    子を主成分として含む請求項1に記載の植物体コーティ
    ング剤。
  3. 【請求項3】 更に、水と、植物体への有用成分とを含
    む請求項1に記載の植物体コーティング剤。
  4. 【請求項4】 前記有用成分が、農薬、微生物、および
    花粉からなる群から選ばれる1以上の成分である請求項
    3に記載の植物体コーティング剤。
  5. 【請求項5】 その水溶液が0℃より高く40℃以下で
    あるゾル−ゲル転移温度を有し、且つ、該ゾル−ゲル転
    移温度より高い温度で実質的に水不溶性を示すハイドロ
    ゲル形成性高分子と;水とを少なくとも含むコーティン
    グ液であって;該高分子をゾル−ゲル転移の下限濃度よ
    り高い濃度で含有する植物体コーティング液を用い;該
    コーティング液を植物体の少なくとも一部に付着させ、
    ゾル−ゲル転移温度より高い温度でゲル化させる工程
    と、 ゾル−ゲル転移温度より高い温度で、該ゲル化したコー
    ティング液を植物体上で保持する工程とを少なくとも含
    むことを特徴とする植物体コーティング方法。
  6. 【請求項6】 その水溶液が0℃より高く40℃以下で
    あるゾル−ゲル転移温度を有し、且つ、該ゾル−ゲル転
    移温度より高い温度で実質的に水不溶性を示すハイドロ
    ゲル形成性高分子と;水とを少なくとも含むコーティン
    グ液であって;該高分子をゾル−ゲル転移の下限濃度よ
    り低い濃度で含有する植物体コーティング液を用い;該
    コーティング液を植物体の少なくとも一部に付着させ、
    水分の蒸発により固化させる工程と、 該固化したコーティング液を植物体上で保持する工程と
    を少なくとも有することを特徴とする植物体コーティン
    グ方法。
  7. 【請求項7】 前記植物体上に保持されたコーティング
    液に対して、前記ゾル−ゲル転移温度より低い温度の水
    を接触させて、植物体から該コーティング液を除去する
    工程を更に有する請求項5または6に記載の植物体コー
    ティング方法。
  8. 【請求項8】 植物体への有用成分を植物体に付着させ
    た後に、前記コーティング液を該植物体に付着させる請
    求項5または6に記載の植物体コーティング方法。
  9. 【請求項9】 植物体への有用成分を予め添加してなる
    コーティング液を、前記植物体に付着させる請求項5ま
    たは6に記載の植物体コーティング方法。
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