JPH1076429A - ワイヤ放電加工装置及びその加工方法 - Google Patents

ワイヤ放電加工装置及びその加工方法

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JPH1076429A
JPH1076429A JP8234291A JP23429196A JPH1076429A JP H1076429 A JPH1076429 A JP H1076429A JP 8234291 A JP8234291 A JP 8234291A JP 23429196 A JP23429196 A JP 23429196A JP H1076429 A JPH1076429 A JP H1076429A
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machining
electric discharge
corner
control
gain
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JP8234291A
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Inventor
Hisashi Yamada
久 山田
Shigeaki Naka
成章 仲
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 短絡が発生したり形状誤差が大きくなること
なく、形状加工精度を向上させる。 【解決手段】 所定の軌跡データの移動指令をNCプロ
グラム解読部94で判定し、ワイヤ電極1と被加工物2
との間に形成される加工間隙の平均加工電圧を検出する
平均電圧検出回路10の検出値に基づいて、予め加工速
度に対応付けて設定された基準電圧との差をなくすよう
に相対移動速度を制御し、応答速度制御部98によって
コーナ検出部で次の軌跡データの移動指令がコーナ部で
あることを検出すると、その時点で制御ゲインを変更
し、更に、コーナ部の放電加工を開始する所定距離ΔL
手前で制御ゲインを高くして応答性をよくしたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放電加工装置及び
その加工方法の高精度化に関するもので、特に、コーナ
加工部分における加工精度を改善する放電加工装置及び
その加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は従来例及び本発明の実施の形態に
共通するワイヤ放電加工機の全体の構成を示す構成図で
ある。図4において、1はワイヤ電極、2は被加工物、
3は上下に配設されたワイヤ電極ガイド、4は被加工物
2を固定し、X軸方向及びY軸方向の二次元移動を行う
テーブル、5aはテーブル4のX軸方向の駆動を行うサ
ーボモータ、5bはテーブル4のY軸方向の駆動を行う
サーボモータ、6はサーボモータ5a及びサーボモータ
5bの駆動制御を行う軸駆動制御装置、7はワイヤ電極
1と被加工物2との間に電気条件に従って放電を発生さ
せる加工用電源回路、8は電気条件等を制御する加工用
電源制御回路、9はNCプログラムに基づき、加工中の
テーブル送り等の制御を行うNC装置、10は加工中の
極間、即ち、ワイヤ電極1と被加工物2との間の平均電
圧を検出する平均電圧検出回路、11はNCプログラム
が記憶されている記憶媒体である。
【0003】次に、ワイヤ放電加工機の従来動作につい
て説明する。ワイヤ電極1と被加工物2の間には、加工
用電源回路7から加工電流が供給され、両者の間に放電
を発生させ、それによって被加工物2の加工が進行す
る。その際、NC装置9に予め与えられた記憶媒体11
のNCプログラムに基づいて、NC装置9からの速度信
号により軸駆動制御装置6がサーボモータ5a及びサー
ボモータ5bを駆動し、被加工物2のX軸方向及び/ま
たはY軸方向への移動が行われ、加工が進行する。加工
中の移動速度は、一般に、極間平均電圧が所定の目標値
に一致するように、その相対的な移動速度制御が行われ
る。
【0004】図5は従来のワイヤ放電加工機の移動速度
制御を示すブロック図であり、また、図6は従来のワイ
ヤ放電加工機の移動速度制御におけるインコーナ部にお
ける形状誤差を示す説明図である。平均電圧検出回路1
0において、101はワイヤ電極1と被加工物2の間の
電圧、即ち、極間電圧を分圧して適当な電圧レンジに変
換して入力する加工電圧入力部、102はパルス状電圧
をフィルタ等によって平均化処理して入力電圧を平滑化
する平滑処理部、103は平滑処理されたアナログ信号
をデジタル信号に変換するA/D変換部である。平均電
圧検出回路10は、これら加工電圧入力部101、平滑
処理部102、A/D変換部103によって構成されて
いる。次に、NC装置9において、91は加工中の移動
速度を極間平均電圧Vgの所定の目標電圧値として置換
する基準電圧入力部、92は加工速度演算部であり、こ
の加工速度演算部92では基準電圧VとA/D変換部1
03の極間平均電圧Vgの差を誤差電圧Veとして、V
e=Vg−Vの式で計算し、この誤差電圧Veを「0」
とするように速度指令値を決定するフィードバック制御
を行う。93は加工速度演算部92で演算された速度指
令値をX軸方向及びY軸方向の速度に変換する加工速度
変換部であり、この演算結果によるX軸方向及びY軸方
向の速度に変換した加工速度を指令速度として軸駆動制
御装置6に出力される。
【0005】このように、ワイヤ電極1と被加工物2が
相対移動し、放電加工が行われるときに、極間距離が狭
くなると放電回数が多くなり平滑処理部102から出力
される極間平均電圧Vgは低下し、基準電圧入力部91
で設定される基準電圧Vとの誤差電圧Veが小さい値と
なり、加工速度演算部92で演算される速度指令値が低
下する。速度指令値が低下すると極間距離が広げられ、
放電回数が少なくなるから、逆に極間平均電圧Vgは上
昇し、速度指令値は大きくなる。したがって、極間平均
電圧Vgを検出し、速度指令値を制御することにより極
間距離が一定に保持される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような、極間平均
電圧Vgから速度指令値を演算する制御は、ワイヤ放電
加工機特有の制御であり、荒加工の後に移動軌跡のオフ
セット量を変更しながら仕上加工を行うセカンドカット
法を行う場合には、特に、仕上加工においては速度が急
激に変化しないような制御系が必要とされている。即
ち、仕上加工の加工エネルギーは微少であるため、加工
速度の僅かな変動が加工面あらさや加工精度に悪影響を
及ぼすことを回避するために、速度が急激に変化しない
ような制御系が必要とされている。このため、図6に示
すように、前段加工での取り残し部分A、取り過ぎが生
じやすいコーナ部分で、加工量に応じて速度が瞬時に変
更されないために、短絡の発生、精度不良が発生する要
因となっていた。このような問題を解決すべく、仕上げ
加工におけるコーナ部の精度向上のために、アウトコー
ナ部に到達する直前に、サーボゲインを高くする技術が
特開昭63−207514号公報及び特開昭63−20
7522号公報で開示されている。
【0007】しかしながら、一般のフィードバック制御
においては、加工速度偏差に対する比例ゲインは最適値
に設定されており、この比例ゲインの値を高くすること
は制御系を不安定にする要因となって望ましくない。即
ち、フィードバック制御の偏差に対する比例ゲインを最
適値から離れて高くすることは、制御系を不安定にする
要因を強制的に作ることになり、安定した制御ができ
ず、誤差を大きくすることになる。従来の放電加工装置
は、上記のように制御されるものであり、仕上加工にお
けるコーナ部分等、除去量の急激な変化に対して速度が
応答できない場合が多く、短絡が発生したり、形状誤差
が大きくなるという問題があった。
【0008】そこで、本発明は、特に、仕上げ加工にお
ける形状加工精度を向上できるワイヤ放電加工装置及び
その加工方法の提供を課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかるワイヤ
放電加工装置は、ワイヤ電極と被加工物との間に形成さ
れる加工間隙に電圧を印加するとともに、所定の軌跡デ
ータに基づいて前記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対
移動させながら放電加工を行うワイヤ放電加工装置にお
いて、前記所定の軌跡データの移動指令によってコーナ
部の位置を検出するコーナ検出部と、前記加工間隙の平
均加工電圧を検出する加工電圧検出部と、前記加工電圧
検出部の検出値に基づいて予め加工速度に対応付けて設
定された基準電圧との差をなくすように前記相対移動速
度を制御し、同時に、前記コーナ検出部で検出されたコ
ーナ部の放電加工を開始する所定距離手前で前記制御の
ゲインを高くして応答性をよくする応答速度制御部とを
具備するものである。
【0010】請求項2にかかるワイヤ放電加工装置は、
ワイヤ電極と被加工物との間に形成される加工間隙に電
圧を印加するとともに、所定の軌跡データに基づいて前
記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対移動させながら放
電加工を行うワイヤ放電加工装置において、前記所定の
軌跡データの移動指令によってコーナ部の位置を検出す
るコーナ検出部と、前記加工間隙の平均加工電圧を検出
する加工電圧検出部と、前記加工電圧検出部の検出値に
基づいて予め加工速度に対応付けて設定された基準電圧
との差をなくすように前記相対移動速度を制御し、同時
に、前記コーナ検出部で次の軌跡データの移動指令がコ
ーナ部であることを検出すると、その時点で前記制御の
ゲインを変更し、更に、前記コーナ検出部で検出された
コーナ部の放電加工を開始する所定距離手前で前記制御
のゲインを高くして応答性をよくする応答速度制御部と
を具備するものである。
【0011】請求項3にかかるワイヤ放電加工装置は、
前記制御のゲインは、ワイヤ電極の径、被加工物の材
質、厚み、コーナの円弧半径によって決定された複数の
値を具備するものである。
【0012】請求項4にかかるワイヤ放電加工装置は、
前記制御のゲインは、少なくとも積分要素の制御のゲイ
ンとしたものである。
【0013】請求項5にかかるワイヤ放電加工方法は、
ワイヤ電極と被加工物との間に形成される加工間隙に電
圧を印加するとともに、所定軌跡データに基づいて前記
ワイヤ電極と前記被加工物とを相対的に移動させながら
放電加工を行う速度制御するワイヤ放電加工方法におい
て、前記加工間隙の平均加工電圧を検出し、その検出値
に基づいて予め加工速度に対応付けて設定された基準電
圧との差をなくすように前記相対移動速度を制御し、同
時に、前記所定の軌跡データの移動指令によってコーナ
部の位置を検出し、その検出されたコーナ部の放電加工
を開始する所定距離手前で前記制御のゲインを高くして
応答性をよくするものである。
【0014】請求項6にかかるワイヤ放電加工方法は、
ワイヤ電極と被加工物との間に形成される加工間隙に電
圧を印加するとともに、所定軌跡データに基づいて前記
ワイヤ電極と前記被加工物とを相対的に移動させながら
放電加工を行う速度制御するワイヤ放電加工方法におい
て、前記加工間隙の平均加工電圧を検出し、その検出値
に基づいて予め加工速度に対応付けて設定された基準電
圧との差をなくすように前記相対移動速度を制御し、同
時に、次の軌跡データの移動指令がコーナ部であること
を検出すると、前記制御のゲインを変更し、更に、前記
所定の軌跡データの移動指令によってコーナ部の位置を
検出し、その検出されたコーナ部の放電加工を開始する
所定距離手前で前記制御のゲインを高くして応答性をよ
くするものである。
【0015】請求項7にかかるワイヤ放電加工方法は、
前記制御のゲインは、ワイヤ電極の径、被加工物の材
質、厚み、コーナの円弧半径によって決定された複数の
値を具備するものである。
【0016】請求項8にかかるワイヤ放電加工方法は、
前記制御のゲインは、少なくとも積分要素の制御のゲイ
ンとしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態のワイ
ヤ放電加工装置における移動速度制御を示すブロック図
であり、図2は本発明の実施の形態のワイヤ放電加工装
置におけるコーナ移動速度制御の説明図である。また、
図3は本発明の実施の形態のワイヤ放電加工装置におけ
るコーナ移動速度制御の積分ゲインを変更制御するフロ
ーチャートである。なお、図4は従来例及び本発明の実
施の形態に共通するワイヤ放電加工機の全体の構成を示
す構成図であり、説明においては図4を用いて説明する
が、図中、従来例と同一符号及び記号は従来例の構成部
分と同一または相当する構成部分を示すものである。図
1におけるNC装置9及び平均電圧検出回路10は、図
4に示したNC装置9及び平均電圧検出回路10の詳細
を示すものである。平均電圧検出回路10は、ワイヤ電
極1と被加工物2の間の電圧、即ち、極間電圧を分圧し
て適当な電圧レンジに変換して入力する加工電圧入力部
101、パルス状電圧をフィルタ等によって平均化処理
して入力電圧を平滑化する平滑処理部102、平滑処理
されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変
換部103によって構成されている。
【0018】次に、NC装置9において、91は加工中
の移動速度を極間平均電圧Vgの所定の目標電圧値とし
て、加工中の基準移動速度を基準電圧Vに置換する基準
電圧入力部、92は加工速度演算部であり、この加工速
度演算部92では基準電圧VとA/D変換部103の極
間平均電圧Vgの差を誤差電圧Ve=Vg−Vで計算
し、この誤差電圧Veを「0」とするように速度指令値
を決定するフィードバック制御を行うものである。93
は加工速度演算部92で演算された速度指令値をX軸方
向及びY軸方向の速度に変換する加工速度変換部であ
り、この演算結果によるX軸方向及びY軸方向の速度に
変換した加工速度は、軸駆動制御装置6に出力される。
また、94はNCプログラム解読部であり、記憶媒体1
1から逐次または数個または全てのNCプログラムを読
み込んでおき、移動指令、加工条件指令、その他の制御
指令を含んだNCプログラムから移動指令コードを解読
し、それを記憶するもので、通常、NCプログラムの移
動指令コードのうち、円弧指令コードはG02(右回
り)、G03(左回り)が使用されるので、移動指令が
G02またはG03であり、かつ、円弧半径が所定値以
下の場合にコーナと定義することができる。
【0019】即ち、NCプログラム解読部94によるコ
ーナ部であるかコーナ部でないかの判別は、一般に、N
Cプログラムの円弧指令コードはG02(右回り)、G
03(左回り)が使用されるので、移動指令が「G0
2」または「G03」であるか、円弧半径Rが所定値以
下であるかによって、ここで定義するコーナ部と判別す
ることができる。また、円弧指令コードのないシャープ
エッジコーナの場合には、円弧半径Rが「0」となる円
弧移動指令で置き換えれば同様な動作を行える。また、
直線を放電加工するときに初期設定される積分ゲインK
2 の変更した値の設定値K2H及びK2Lは、K2H>K2L≧
K2 となるようにワイヤ電極1の径、材料、物性値及び
被加工物2の板厚、材料、物性値等によって予め設定さ
れる。95は移動座標値を検出する現在位置検出部であ
り、移動中の座標値を所定のサンプル時間間隔で逐次出
力するものである。96はNCプログラム解読部94か
らの移動指令コードと移動中の現在位置検出部95の座
標値から制御のゲイン、即ち、制御ゲインを設定するゲ
イン設定部で、この制御ゲインは、ワイヤ電極1の径、
被加工物2の材質、厚み、コーナの円弧半径Rによって
決定された複数の値をメモリマップとして有している。
即ち、所定以上のコーナの円弧半径Rの場合を含む直線
を放電加工する場合、初期設定される被加工物2の材
質、厚み別の比例ゲインK1 、積分ゲインK2 、及び被
加工物2の材質、厚み、コーナの円弧半径R別の複数の
比例ゲイン、積分ゲインを有している。
【0020】ここで、NCプログラム解読部94、現在
位置検出部95、制御ゲイン設定部96における制御ゲ
インを変更するプロセスは、基準電圧入力部91、加工
速度演算部92、加工速度変換部93の加工速度を制御
するプロセスとは別に実行される。また、97は制御ゲ
イン変更部で、加工速度演算部92における制御ゲイン
を制御ゲイン設定部96の制御ゲイン設定値に基づいて
サンプル時間毎に変更可能である。なお、応答速度制御
部98は、現在位置検出部95及び制御ゲイン設定部9
6及び制御ゲイン変更部97、加工速度演算部92から
構成され、平均電圧検出回路10の出力検出値の極間平
均電圧Vgに基づいて予め加工速度に対応付けて設定さ
れた基準電圧Vとの誤差電圧Veをなくすように相対移
動速度を制御し、同時に、NCプログラム解読部94か
らなるコーナ検出部で次の軌跡データの移動指令がコー
ナ部であることを検出すると、その時点で制御ゲインを
変更し、更に、コーナ検出部で検出されたコーナ部の放
電加工を開始する所定距離ΔL手前で制御ゲインを高く
するものである。
【0021】次に、本実施の形態のワイヤ放電加工装置
における相対移動速度制御について説明する。まず、ワ
イヤ電極1と被加工物2が相対移動する場合の放電加工
速度は、従来と同様に、次のように決定される。ワイヤ
電極1と被加工物2が相対移動し、放電加工が行われる
とき、極間距離が狭くなると放電回数が多くなり、平滑
処理部102から出力される極間平均電圧Vgが低下
し、基準電圧入力部91で設定される基準電圧Vとの誤
差電圧Veが小さい値となり、加工速度演算部92で演
算される速度指令値Fが低下する。速度指令値Fが低下
すると極間距離が広げられ、放電回数が少なくなるか
ら、逆に、極間平均電圧Vgは上昇し、速度指令値は大
きくなる。したがって、極間平均電圧Vgを検出し、予
め加工速度に対応付けて設定された基準電圧Vとの差を
なくすように相対移動速度を制御することにより極間距
離が一定に保持される。
【0022】ここで、デジタル信号によるフィードバッ
ク制御に一般に採用されているPI制御(比例−積分制
御)を例にとると、速度指令値Fの演算式は次式とな
る。 F=K1 ・Ve+K2 ・ΣVe ただし、K1 は比例ゲイン、K2 は積分ゲインである。
また、Tsをサンプリング時間、Tiを積分時間とする
とき、 K2 =Ts/Ti である。ここで、速度指令値Fは比例項(K1 ・Ve)
と、積分項(K2 ・ΣVe)から成り立っている。サン
プリング時間Tsは、図1におけるA/D変換部103
のアナログ値のサンプリングタイミングに従う値であ
り、このフィードバック制御の応答は、比例ゲインK1
と積分ゲインK2 の設定値で決定される。この比例ゲイ
ンK1 は一般に制御系が安定する範囲内で最大の値にす
るのが望ましく、積分ゲインK2 は従来例で述べたよう
に、ワイヤ放電加工機においては可能な限り長くするこ
とが望ましい。
【0023】図3は前記NCプログラム解読部94、現
在位置検出部95、制御ゲイン設定部96、制御ゲイン
変更部97によって行うフィードバック制御の積分ゲイ
ンK2 を変更制御する動作を示すフローチャートであ
る。なお、本実施の形態では、PI制御(比例−積分制
御)において、積分要素の制御ゲインのみを変更する事
例で説明する。仕上げ加工形状においては、例えば、図
2に示すようなA−C間の直線移動指令(n)、C−D
間の円弧移動指令(n+1)、D−E間の直線移動指令
(n+2)が連続し、その円弧移動指令(n+1)がそ
の円弧半径Rの大きさからコーナ部である場合について
説明する。また、このプログラム制御は、NCプログラ
ムを実行するNC装置9のメインプログラム制御と並行
して処理される。まず、ステップS1でNCプログラム
解読部94によって記憶媒体11のNCプログラムか
ら、少なくとも、n番目及びn+1番目の移動指令が解
読され、そして、それが記憶される。図2に示す例で
は、A−C間の直線移動指令(n)、C−D間の円弧移
動指令(n+1)が解読されることになる。ステップS
2で直線移動指令を前提に、メモリマップのワイヤ電極
1の径、被加工物2の材質、厚みによって決定される積
分ゲインK2 を選択設定する。このとき必要に応じて、
比例ゲインK1 を選択設定することもできる。ステップ
S3で所定のサンプリング時間毎に現在位置情報の座標
値が読み込まれ、移動位置が照合される。次に、ステッ
プS4でn番目の移動指令がコーナ部であるか否かが判
定され、n番目の移動指令がコーナ部でないと判定され
ると、ステップS5でn+1番目の移動指令がコーナで
あるか否かが判定される。ステップS5でn+1番目の
移動指令がコーナでないと判定したとき、ステップS1
0でn番目の移動指令に基づく放電加工が、その移動指
令に基く終点位置になったか判定する。ステップS10
でn番目の移動指令に基づく放電加工が、その移動指令
に基く終点位置になったと判定するまで、ステップS3
乃至ステップS5、ステップS10を繰返し実行する。
【0024】しかし、図2に示す事例では、A−C間の
直線移動指令(n)の後、C−D間の円弧移動指令(n
+1)であるから、ステップS4でn番目の移動指令が
コーナでないことが判定され、ステップS5でn+1番
目の移動指令がコーナであると判定され、ステップS6
で終点までの残距離を計算して、この残距離が所定の距
離ΔLに等しいか判定し、ステップS6で終点までの残
距離が所定の距離ΔLに等しくないと判定したとき、更
に、ステップS7で終点までの残距離が所定の距離ΔL
より小さいか判定し、終点までの残距離が所定の距離Δ
Lより小さくないとき、ステップS9で積分項の積分ゲ
インK2 をK2 =K2Lとする。次に、ステップS10で
n番目の移動指令に基づく放電加工が、その移動指令に
基く終点位置になったと判定するまで、ステップS3乃
至ステップS7、ステップS9、ステップS10を繰返
し実行する。
【0025】しかし、n番目の移動指令に基づく放電加
工が、その移動指令に基く終点位置に近付き、ステップ
S6で終点までの残距離を計算して、この残距離が所定
の距離ΔLに等しいと判定したとき、ステップS8で積
分ゲインK2 =K2Hとし、ステップS10でn番目の移
動指令に基づく放電加工が、その移動指令に基く終点位
置になったと判定するまで、ステップS3乃至ステップ
S6、ステップS8、ステップS10を繰返し実行しよ
うとする。しかし、ステップS6で終点までの残距離を
計算して、この残距離が所定の距離ΔLに等しいと判定
する間は僅かであり、更に、n番目の移動指令に基づく
放電加工が、その移動指令に基く終点位置に近付くと、
ステップS6で終点までの残距離を計算して、この残距
離が所定の距離ΔLに等しくないと判定し、更に、ステ
ップS7で終点までの残距離が所定の距離ΔLより小さ
いと判定し、ステップS8で積分項の積分ゲインK2 を
K2 =K2Hとする。次に、ステップS10でn番目の移
動指令に基づく放電加工が、その移動指令に基く終点位
置になったと判定するまで、ステップS3乃至ステップ
S8、ステップS10を繰返し実行する。
【0026】ステップS10で終点までの残距離が
「0」となった場合、ステップS11でnをインクリメ
ントし、ステップS1からの処理を繰り返す。例えば、
図2に示す事例では、A−C間の直線移動指令の処理を
終了したことになるから、C−D間の円弧移動指令
(n)、D−E間の直線移動指令(n+1)となる。こ
こで、所定距離ΔLは、加工方向の変化に伴う加工取り
代の影響を受ける距離に設定する。発明者等の実験で
は、使用するワイヤ電極の直径dに対して略d/2から
5〜10dの範囲が最適であった。しかし、仕上げ加工
の前段加工の形状誤差が大きい場合には、所定距離ΔL
の設定を更に大きくした方がよい。そして、ステップS
6で終点までの残距離が所定の距離ΔLに等しくないと
判定し、更に、ステップS7で終点までの残距離が所定
の距離ΔLより小さいか判定し、終点までの残距離が所
定の距離ΔLより小さくないとき、ステップS9で積分
項の積分ゲインK2 をK2 =K2Lとしているが、本発明
を実施する場合には、被加工物2のコーナ部前の直線部
の距離長、物性条件、電気条件によっては、特に、被加
工物2の大きさによっては積分ゲインK2 の変更を省略
することもできる。
【0027】ところで、本実施の形態においては、放電
加工速度の制御を加工間隙の平均電圧に置換して制御し
ているが、本発明を実施する場合には、結果的に加工速
度を制御するものであれば放電電圧または放電電流等の
何れであってもよい。即ち、加工電流によって制御して
も同等な効果が得られることはいうまでもない。なお、
本実施の形態においては、放電加工速度のフィードバッ
ク制御をPI制御(比例−積分制御)を用いて説明した
が、例えば、PD制御(比例−微分制御)、PID制御
(比例−積分−微分制御)を選択することができる。特
に、PI制御では、目的の放電加工速度の偏差をなくす
ように制御でき、また、PD制御では制御系の応答に遅
れがある場合に出力を早く安定させることができる。そ
して、PID制御では、PI制御は目的の放電加工速度
の偏差をなくすように制御できるが、積分時間を短くす
ると振動を発生したりして動作が不安定になることか
ら、微分動作によって、偏差が生じた場合に早くしかも
安定した制御動作を行わせるものである。しかし、本実
施の形態のワイヤ放電加工装置では、PI制御の積分ゲ
インの変更によって目的の放電加工速度の偏差をなくす
ように制御でき、良好な結果がえられ、結論的には、P
I制御、PD制御、PID制御の何れの制御系を選択し
てもよい。また、比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲイン
についても何れを変更しても同様な効果が得られる。
【0028】また、積分ゲインK2 の変更した値の設定
値K2H及びK2Lは、K2H>K2Lとなるようにワイヤ電極
1の径、被加工物2の材質、厚み、コーナの円弧半径R
等によって予め2段階に設定されるものであるが、本発
明を実施する場合には、被加工物2のコーナ部前の直線
部の距離長、物性条件、電気条件によって、更に、多段
階に制御ゲインを変更することもできる。このときに
は、本実施の形態よりも、更に、滑かな制御が期待でき
るが、被加工物2の大きさによっては1段階に変化させ
れば十分な場合もある。
【0029】このように、本実施の形態のワイヤ放電加
工装置は、ワイヤ電極1と被加工物2との間に形成され
る加工間隙に電圧を印加するとともに、所定の軌跡デー
タに基づいてワイヤ電極1と被加工物2とを相対移動さ
せながら放電加工を行うワイヤ放電加工装置において、
所定の軌跡データの移動指令によって図2のC−D間の
コーナ部の位置を検出するNCプログラム解読部94か
らなるコーナ検出部と、加工間隙の平均加工電圧を検出
する平均電圧検出回路10からなる加工電圧検出部と、
加工電圧検出部の検出値に基づいて予め加工速度に対応
付けて設定された基準電圧との差をなくすように相対移
動速度を制御し、同時に、コーナ検出部で次の軌跡デー
タの移動指令が図2のC−D間に示すコーナ部であるこ
とを検出すると、図2のA−B間に示す直線領域の放電
加工中であっても、その時点で制御ゲインK2Lに変更
し、更に、コーナ検出部で検出された図2のC−D間に
示すコーナ部の放電加工を開始する所定距離ΔL手前で
制御ゲインK2Hに高くして応答性をよくする現在位置検
出部95及び制御ゲイン設定部96及び制御ゲイン変更
部97、加工速度演算部92からなる応答速度制御部9
8とを具備するものである。
【0030】また、本実施の形態のワイヤ放電加工装置
は、ワイヤ放電加工方法として捕えることもできる。即
ち、ワイヤ電極1と被加工物2との間に形成される加工
間隙に電圧を印加するとともに、所定の軌跡データに基
づいてワイヤ電極1と被加工物2とを相対移動させなが
ら放電加工を行うワイヤ放電加工方法において、加工間
隙の平均加工電圧を平均電圧検出回路10で検出し、そ
の検出値に基づいて予め加工速度に対応付けて設定され
た基準電圧Vとの差をなくすように相対移動速度を制御
し、同時に、次の軌跡データの移動指令が図2のC−D
間に示すコーナ部であることを検出すると、その時点で
制御ゲインK2Lに変更し、更に、コーナ検出部で検出さ
れた図2のC−D間に示すコーナ部の放電加工を開始す
る所定距離ΔL手前で制御ゲインK2Hに高くして応答性
をよくする実施の形態とすることができる。
【0031】したがって、図2のA−B間に示す直線部
においては低い制御ゲインK2Lで、コーナ部においては
高い制御ゲインK2Hとし、図2のA−B間に示す直線部
の仕上げで安定した仕上げを行うことができ、しかも、
到来する図2のC−D間に示すコーナ部を前提に放電加
工の制御ゲインK2Lを選択し、かつ、到来する図2のC
−D間に示すコーナ部の所定距離ΔL手前で制御ゲイン
K2Hに高くして応答性をよくしているから、制御ゲイン
の切替えをコーナ部の放電加工前に行うことにより、コ
ーナ部の最初から応答性の良い制御ができる。また、コ
ーナ部以外の放電加工においては、制御ゲインを低く設
定できるので放電加工によるうねり等の形状誤差や縦筋
等を防止でき、仕上加工精度を著しく向上する効果があ
る。また、コーナ部においては高い制御ゲインK2Hとす
ることにより、応答性を高くしているから、インコーナ
部においてインコーナ仕上げにおける取り残し(アンダ
ーカット)部分A(図6参照)、短絡等が防止でき、ま
た、アウトコーナにおいても、取りすぎ(オーバーカッ
ト)が防止できる効果がある。
【0032】ところで、本実施の形態のワイヤ放電加工
装置では、到来する図2のC−D間に示すコーナ部を前
提に放電加工の制御ゲインを変更するものであるが、図
2のA−B間に示す直線部においては通常の制御ゲイン
K2 とし、コーナ部においては高い制御ゲインK2Hとす
ることもできる。
【0033】即ち、上記実施の形態のワイヤ放電加工装
置は、ワイヤ電極1と被加工物2との間に形成される加
工間隙に電圧を印加するとともに、所定の軌跡データに
基づいてワイヤ電極1と被加工物2とを相対移動させな
がら放電加工を行うワイヤ放電加工装置において、所定
の軌跡データの移動指令によって図2のC−D間のコー
ナ部の位置を検出するNCプログラム解読部94からな
るコーナ検出部と、加工間隙の平均加工電圧を検出する
平均電圧検出回路10からなる加工電圧検出部と、加工
電圧検出部の検出値に基づいて予め加工速度に対応付け
て設定された基準電圧との差をなくすように相対移動速
度を制御し、同時に、コーナ検出部で検出されたコーナ
部の放電加工を開始する所定距離ΔL手前で制御ゲイン
を高くして応答性をよくする現在位置検出部95及び制
御ゲイン設定部96及び制御ゲイン変更部97、加工速
度演算部92からなる応答速度制御部98とを具備する
実施の形態とすることができる。
【0034】またこれは、ワイヤ電極1と被加工物2と
の間に形成される加工間隙に電圧を印加するとともに、
所定の軌跡データに基づいてワイヤ電極1と被加工物2
とを相対移動させながら放電加工を行うワイヤ放電加工
方法において、加工間隙の平均加工電圧を平均電圧検出
回路10で検出し、その検出値に基づいて予め加工速度
に対応付けて設定された基準電圧Vとの差をなくすよう
に相対移動速度を制御し、同時に、NCプログラム解読
部94で所定の軌跡データの移動指令によってコーナ部
の位置を検出し、その検出されたコーナ部の放電加工を
開始する所定距離手前で制御ゲインを高くして応答性を
よくした実施の形態とすることができる。したがって、
図2のC−D間に示すコーナ部の放電加工として制御ゲ
インK2Hを選択し、到来する図2のC−D間に示すコー
ナ部の所定距離ΔL手前で制御ゲインK2Hに高くして応
答性をよくしているから、制御ゲインの切替えをコーナ
部の放電加工前に行うことにより、コーナ部の最初から
応答性の良い制御ができる。また、コーナ部以外の放電
加工においては、制御ゲインを低く設定できるので放電
加工によるうねり等の形状誤差や縦筋等を防止でき、仕
上加工精度を著しく向上する効果がある。また、コーナ
部においては高い制御ゲインK2Hとすることにより、応
答性を高くしているから、インコーナ部においてインコ
ーナ仕上げにおける取り残し、短絡等が防止でき、ま
た、アウトコーナにおいても、取りすぎが防止できる効
果がある。
【0035】上記実施の形態のワイヤ放電加工装置は、
制御ゲインを被加工物の材質、厚み、コーナの円弧半径
によって決定された複数の値を有するものである。した
がって、ワイヤ電極1の径、被加工物2の材質、厚み、
コーナの円弧半径Rによって最適な制御ゲインを確保す
ることができ、コーナ部において取り残し、短絡、取り
すぎ等が防止でき、良好な仕上げを行う条件を自動選択
できる。勿論、ワイヤ電極1の径、材質、物性値等及び
被加工物2の材質、厚み、コーナの円弧半径Rとするこ
とができるが、少なくとも、ワイヤ電極1の径、被加工
物2の材質、厚み、コーナの円弧半径Rの要件によっ
て、制御ゲインを変更するメリットがあることを確認し
た。
【0036】上記実施の形態のワイヤ放電加工装置は、
制御ゲインを少なくとも比例要素、積分要素、微分要素
からなる伝達関数のうちの1つ以上の要素の制御ゲイン
としたものである。したがって比例ゲイン、積分ゲイ
ン、微分ゲインから1つ以上の選択によって、所望の特
性を得ることができる。
【0037】
【発明の効果】以上のように、請求項1のワイヤ放電加
工装置は、ワイヤ電極と被加工物との間に形成される加
工間隙に電圧を印加するとともに、所定の軌跡データに
基づいて前記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対移動さ
せながら放電加工を行うワイヤ放電加工装置において、
前記加工間隙の平均加工電圧を検出する前記加工電圧検
出部の検出値に基づいて、予め加工速度に対応付けて設
定された基準電圧との差をなくすように前記相対移動速
度を制御し、同時に、前記所定の軌跡データの移動指令
によってコーナ検出部で検出されたコーナ部の放電加工
を開始する所定距離手前で、前記制御ゲインを高くして
応答性をよくするものである。したがって、コーナ部に
おいては制御ゲインを高く、かつ、その高い制御ゲイン
をコーナ部を放電加工する最初から使用できるので、イ
ンコーナ部においてインコーナ仕上げにおける取り残
し、短絡等が防止でき、また、アウトコーナにおいて
も、取りすぎが防止できる。そして、コーナ部以外の放
電加工においては、制御ゲインを低く設定できるので放
電加工によるうねり等の形状誤差や縦筋等を防止でき、
仕上加工精度が著しく向上する効果がある。
【0038】請求項2のワイヤ放電加工装置は、ワイヤ
電極と被加工物との間に形成される加工間隙に電圧を印
加するとともに、所定の軌跡データに基づいて前記ワイ
ヤ電極と前記被加工物とを相対移動させながら放電加工
を行うワイヤ放電加工装置において、前記加工間隙の平
均加工電圧を検出する加工電圧検出部の検出値に基づい
て予め加工速度に対応付けて設定された基準電圧との差
をなくすように前記相対移動速度を制御し、同時に、前
記所定の軌跡データの移動指令によってコーナ検出部で
次の軌跡データの移動指令がコーナ部であることを検出
すると、その時点で前記制御ゲインを変更し、更に、前
記コーナ検出部で検出されたコーナ部の放電加工を開始
する所定距離手前で前記制御ゲインを高くして応答性を
よくするものである。したがって、直線部においては制
御ゲインを低く、コーナ部においては制御ゲインを高く
設定できるから、直線部の仕上げで安定した仕上げを行
うことができ、しかも、到来するコーナ部を前提に放電
加工の制御ゲインの選択ができ、かつ、その高い制御ゲ
インをコーナ部を放電加工する最初から使用できるの
で、インコーナ部においてインコーナ仕上げにおける取
り残し、短絡、取りすぎ等が防止できる。また、コーナ
部以外の放電加工においては、制御ゲインを低く設定で
きるので放電加工によるうねり等の形状誤差や縦筋等を
防止でき、仕上加工精度を著しく向上する効果がある。
【0039】請求項3のワイヤ放電加工装置は、請求項
1または請求項2に記載の制御ゲインを、被加工物の材
質、厚み、コーナの円弧半径によって決定された複数の
値から選択するものである。したがって、請求項1また
は請求項2に記載の効果に加えて、ワイヤ電極の径、被
加工物の材質、厚み、コーナの円弧半径によって最適な
制御ゲインを確保することができ、コーナ部において取
り残し、短絡、取りすぎ等が防止でき、良好な仕上げを
行う条件を自動選択できる。
【0040】請求項4のワイヤ放電加工装置は、請求項
1乃至請求項3の何れか1つに記載の制御ゲインは、少
なくとも積分要素の制御ゲインとしたものである。した
がって、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効
果に加えて、所望の特性を得易くすることができる。
【0041】請求項5のワイヤ放電加工方法は、ワイヤ
電極と被加工物との間に形成される加工間隙に電圧を印
加するとともに、所定軌跡データに基づいて前記ワイヤ
電極と前記被加工物とを相対的に移動させながら放電加
工を行う速度制御するワイヤ放電加工方法において、前
記加工間隙の平均加工電圧を検出し、その検出値に基づ
いて予め加工速度に対応付けて設定された基準電圧との
差をなくすように前記相対移動速度を制御し、同時に、
前記所定の軌跡データの移動指令によってコーナ部の位
置を検出し、その検出されたコーナ部の放電加工を開始
する所定距離手前で前記制御ゲインを高くして応答性を
よくしたものである。したがって、コーナ部においては
制御ゲインを高く、かつ、その高い制御ゲインをコーナ
部を放電加工する最初から使用できるので、コーナ部に
おいて取り残し、短絡、取りすぎ等が防止できる。ま
た、コーナ部以外の放電加工においては、制御ゲインを
低く設定できるので放電加工によるうねり等の形状誤差
や縦筋等を防止でき、仕上加工精度が著しく向上する効
果がある。
【0042】請求項6のワイヤ放電加工方法は、ワイヤ
電極と被加工物との間に形成される加工間隙に電圧を印
加するとともに、所定軌跡データに基づいて前記ワイヤ
電極と前記被加工物とを相対的に移動させながら放電加
工を行う速度制御するワイヤ放電加工方法において、前
記加工間隙の平均加工電圧を検出し、その検出値に基づ
いて予め加工速度に対応付けて設定された基準電圧との
差をなくすように前記相対移動速度を制御し、同時に、
次の軌跡データの移動指令がコーナ部であることを検出
すると、前記制御ゲインを変更し、更に、前記所定の軌
跡データの移動指令によってコーナ部の位置を検出し、
その検出されたコーナ部の放電加工を開始する所定距離
手前で前記制御ゲインを高くして応答性をよくしたもの
である。したがって、直線部においては制御ゲインを低
く、コーナ部においては制御ゲインを高く設定できるか
ら、直線部の仕上げで安定した仕上げを行うことがで
き、しかも、到来するコーナ部を前提に放電加工の制御
ゲインの選択ができ、かつ、その高い制御ゲインをコー
ナ部を放電加工する最初から使用できるので、インコー
ナ部においてインコーナ仕上げにおける取り残し、短
絡、取りすぎ等が防止できる。また、コーナ部以外の放
電加工においては、制御ゲインを低く設定できるので放
電加工によるうねり等の形状誤差や縦筋等を防止でき、
仕上加工精度を著しく向上する効果がある。
【0043】請求項7のワイヤ放電加工方法は、請求項
5または請求項6に記載の前記制御ゲインをワイヤ電極
の径、被加工物の材質、厚み、コーナの円弧半径によっ
て決定された複数の値から選択するものである。したが
って、請求項5または請求項6に記載の効果に加えて、
被加工物の材質、厚み、コーナの円弧半径によって最適
な制御ゲインを確保することができ、コーナ部において
取り残し、短絡、取りすぎ等が防止でき、良好な仕上げ
を行う条件を自動選択できる。
【0044】請求項8のワイヤ放電加工方法は、請求項
5乃至請求項7の何れか1つに記載の前記制御ゲイン
を、少なくとも積分要素の制御ゲインとしたものであ
る。したがって、請求項5乃至請求項7の何れか1つに
記載の効果に加えて、所望の特性を得易くすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施の形態のワイヤ放電加工
装置における移動速度制御を示すブロック図である。
【図2】 図2は本発明の実施の形態のワイヤ放電加工
装置におけるコーナ移動速度制御の説明図である。
【図3】 図3は本発明の実施の形態のワイヤ放電加工
装置におけるコーナ移動速度制御の積分ゲインを変更制
御するフローチャートである。
【図4】 図4は従来例及び本発明の実施の形態に共通
するワイヤ放電加工機の全体の構成を示す構成図であ
る。
【図5】 図5は従来のワイヤ放電加工機の移動速度制
御を示すブロック図である。
【図6】 図6は従来のワイヤ放電加工機の移動速度制
御におけるインコーナ部における形状誤差を示す説明図
である。
【符号の説明】
1 ワイヤ電極、2 被加工物、7 加工用電源回路、
9 NC装置、10平均電圧検出回路、92 加工速度
演算部、94 NCプログラム解読部、96制御ゲイン
設定部、97 制御ゲイン変更部。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイヤ電極と被加工物との間に形成され
    る加工間隙に電圧を印加するとともに、所定の軌跡デー
    タに基づいて前記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対移
    動させながら放電加工を行うワイヤ放電加工装置におい
    て、 前記所定の軌跡データの移動指令によってコーナ部の位
    置を検出するコーナ検出部と、 前記加工間隙の平均加工電圧を検出する加工電圧検出部
    と、 前記加工電圧検出部の検出値に基づいて予め加工速度に
    対応付けて設定された基準電圧との差をなくすように前
    記相対移動速度を制御し、同時に、前記コーナ検出部で
    検出されたコーナ部の放電加工を開始する所定距離手前
    で前記制御のゲインを高くする応答速度制御部とを具備
    することを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  2. 【請求項2】 ワイヤ電極と被加工物との間に形成され
    る加工間隙に電圧を印加するとともに、所定の軌跡デー
    タに基づいて前記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対移
    動させながら放電加工を行うワイヤ放電加工装置におい
    て、 前記所定の軌跡データの移動指令によってコーナ部の位
    置を検出するコーナ検出部と、 前記加工間隙の平均加工電圧を検出する加工電圧検出部
    と、 前記加工電圧検出部の検出値に基づいて予め加工速度に
    対応付けて設定された基準電圧との差をなくすように前
    記相対移動速度を制御し、同時に、前記コーナ検出部で
    次の軌跡データの移動指令がコーナ部であることを検出
    すると、その時点で前記制御のゲインを変更し、更に、
    前記コーナ検出部で検出されたコーナ部の放電加工を開
    始する所定距離手前で前記制御のゲインを高くする応答
    速度制御部とを具備することを特徴とするワイヤ放電加
    工装置。
  3. 【請求項3】 前記制御のゲインは、ワイヤ電極の径、
    被加工物の材質、厚み、コーナの円弧半径によって決定
    された複数の値を具備することを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2に記載のワイヤ放電加工装置。
  4. 【請求項4】 前記制御のゲインは、少なくとも積分要
    素の制御ゲインとしたことを特徴とする請求項1乃至請
    求項3の何れか1つに記載のワイヤ放電加工装置。
  5. 【請求項5】 ワイヤ電極と被加工物との間に形成され
    る加工間隙に電圧を印加するとともに、所定軌跡データ
    に基づいて前記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対的に
    移動させながら放電加工を行う速度制御するワイヤ放電
    加工方法において、 前記加工間隙の平均加工電圧を検出し、その検出値に基
    づいて予め加工速度に対応付けて設定された基準電圧と
    の差をなくすように前記相対移動速度を制御し、同時
    に、前記所定の軌跡データの移動指令によってコーナ部
    の位置を検出し、その検出されたコーナ部の放電加工を
    開始する所定距離手前で前記制御のゲインを高くするこ
    とを特徴としたワイヤ放電加工方法。
  6. 【請求項6】 ワイヤ電極と被加工物との間に形成され
    る加工間隙に電圧を印加するとともに、所定軌跡データ
    に基づいて前記ワイヤ電極と前記被加工物とを相対的に
    移動させながら放電加工を行う速度制御するワイヤ放電
    加工方法において、 前記加工間隙の平均加工電圧を検出し、その検出値に基
    づいて予め加工速度に対応付けて設定された基準電圧と
    の差をなくすように前記相対移動速度を制御し、同時
    に、次の軌跡データの移動指令がコーナ部であることを
    検出すると、前記制御のゲインを変更し、更に、前記所
    定の軌跡データの移動指令によってコーナ部の位置を検
    出し、その検出されたコーナ部の放電加工を開始する所
    定距離手前で前記制御のゲインを高くすることを特徴と
    したワイヤ放電加工方法。
  7. 【請求項7】 前記制御のゲインは、被加工物の材質、
    厚み、コーナの円弧半径によって決定された複数の値を
    具備することを特徴とする請求項5または請求項6に記
    載のワイヤ放電加工装置。
  8. 【請求項8】 前記制御のゲインは、少なくとも積分要
    素の制御ゲインとしたことを特徴とする請求項5乃至請
    求項7の何れか1つに記載のワイヤ放電加工装置。
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