JPH1076370A - 高強度pcパイルの製造方法 - Google Patents

高強度pcパイルの製造方法

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JPH1076370A
JPH1076370A JP25087796A JP25087796A JPH1076370A JP H1076370 A JPH1076370 A JP H1076370A JP 25087796 A JP25087796 A JP 25087796A JP 25087796 A JP25087796 A JP 25087796A JP H1076370 A JPH1076370 A JP H1076370A
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pile
uniform elongation
steel rod
rolled steel
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JP25087796A
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Eiji Yamashita
英治 山下
Hajime Nitta
一 新田
Shigeru Mizoguchi
茂 溝口
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Neturen Co Ltd
Original Assignee
Neturen Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 土木、建築用として用いられる高強度プレス
トレストコンクリートくいであって、曲げ破壊に至るま
での変形能力を大にして、耐震性の構造物に適用して優
れた特性を発揮するものを低コストで提供する。 【解決手段】 Si;2.6〜4.0%のほか、C、M
n、Alを適量含有し、さらに必要に応じてMo、T
i、B、Ni、Cr、Cuを含有する熱間圧延鋼棒を、
冷間加工後焼入れ焼戻しして、オートクレーブ養生の条
件におけるリラクセーション値を9%以下としかつ一様
伸びを3.5%以上とした鋼棒を軸筋として、らせん筋
との交点を通電サイクルの後に焼鈍のための通電サイク
ルを実施しつつスポット溶接してかご編製し、コンクリ
ートを打ち込んだ後オートクレーブ養生する高強度PC
パイルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は土木、建築用として用い
られる高強度プレストレストコンクリートくい、すなわ
ち高強度PCパイルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プレストレストコンクリートくい(以
下、PCパイルという)にはコンクリートの圧縮強度8
00kgf/cm2 以上のコンクリートを遠心力で成形
した高強度PCパイルがある。高強度PCパイルは工場
生産品としてプレテンション方式で製造されている。こ
れの製造方法はPC鋼棒を軸筋として使用し、この軸筋
にらせん鉄筋をスポット溶接して、鉄筋かごを編製し、
これの軸筋を緊張状態でコンクリートを打ち込むもので
ある。このときコンクリートの強度発現を促進して高強
度コンクリートとしての必要強度を発生させ、また生産
能率を上げるため、高温高圧蒸気養生、すなわちオート
クレーブ養生が一般に行なわれている。
【0003】ところで、高強度PCパイルはJIS A
5337に規格が示されているが、打ち込み中の破損が
少なく、大きな軸力に耐えることができるという点から
基礎くいやさらには曲げモーメントも受ける柱材等とし
ても使用されている。この場合地震に対する構造物のエ
ネルギー吸収能力を高め構造物の耐震性を向上させるた
め、構造部材の塑性変形能力を大きくして曲げ靱性を大
きくすることが注目されるようになってきた。高強度P
Cパイルの曲げ破壊耐力を増大させるということだけな
らより大きなプレストレスを与えれば目的を達すること
ができる。しかしながら塑性変形能力についてはプレス
トレスの増大は逆に不利になる。したがって高強度でか
つ曲げ靱性も大きいという相反する特性を充たす高強度
PCパイルの開発が望まれている。
【0004】特開昭62−280418号公報には、プ
レストレストコンクリートくい体として、PC鋼材であ
る縦筋群の外周に接して、または縦筋群の外側に外周と
接しない状態で円環状またはスパイラル状の横拘束筋を
配置し、このさいPC鋼材は一様伸びが少なくとも3%
以上のものを使用することにより、曲げ破壊に至るまで
の変形能力を増大することを要旨とする技術が示されて
いる。らせん筋などの横拘束筋をPCパイルにおいて用
いること自体は周知のことであるが、上記技術において
は横拘束筋として降伏点80〜100kgf/mm2
いった高強度のものを用いると共にピッチをできるだけ
密にすることにより曲げ破壊に至るまでの変形能力を増
大できると説明されている。一方、この技術においては
横拘束筋自体はPC鋼棒である縦筋群とは機械的に結合
されず、縦筋群の外周に単に接するか、さらに外側に設
けPCパイルの表面近傍に設けた例も説明されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭62−28
0418号の技術においては、従来品のPC鋼棒の一様
伸びが1.5〜2%程度であるところ、3%以上の高一
様伸びのものを使用するとしているが、具体的にはいか
なる手段でこのような材料を得ることができるかについ
ては一切示されていない。またらせん筋などの横拘束筋
としても高降伏応力の特別な材料を用いるとなるとこれ
についても検討が必要となるが、やはり具体的には示さ
れていない。さらにらせん筋のピッチをできるだけ密に
する必要があるということはコスト上不利になるという
問題がある。本発明は上記のような問題から曲げ破壊に
至るまでの変形能力を大にして、耐震性の構造物に適用
して優れた特性を発揮する高強度PCパイルをできるで
だけ低コストで製造するための具体的手段を提供するも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、重量%で、C;0.2〜0.5%、
Si;2.6〜4.0%、Mn;0.3〜1.2%、A
l;0.005〜0.1%を含有し残部Feおよび不可
避不純物からなる熱間圧延鋼棒を、冷間加工後焼入れ焼
戻しして、180℃でのオートクレーブ養生の条件にお
けるリラクセーション値を9%以下としかつ一様伸びを
3.5%以上とした鋼棒を軸筋として、これにらせん筋
を巻き付けて軸筋とらせん筋との交点をスポット溶接し
てかご編製し、前記スポット溶接において溶接のための
通電サイクルの後に焼鈍のための通電サイクルを実施す
ることによりスポット溶接部においても軸筋の一様伸び
を3.5%以上に維持し、前記のようにして作製した鉄
筋かごの軸筋を緊張して遠心力を与えつつコンクリート
を打ち込んだ後オートクレーブ養生することを特徴とす
る高強度PCパイルの製造方法である。また上記の熱間
圧延鋼棒は必要に応じてさらに、Mo;0.1〜0.5
%、Ti;0.01〜0.05%、B;0.0003〜
0.005%、Ni;1.5%以下、Cr;1.0以下
%、Cu;0.5%以下の1種以上を含有するものであ
ることも特徴とする。
【0007】
【作用】本発明の高強度PCパイルにおいては軸筋とし
てJIS G3109のPC鋼棒の規格における142
0N/mm2 以上の引張強度を有するほか、さらにリラ
クセーション値と一様伸びの条件を満たすものを使用す
る。このような軸筋は所定の成分の熱間圧延鋼棒を冷間
加工後焼入れ焼戻しを行なって所定の強度のほか、リラ
クセーション値と一様伸びの条件を満たすようにする。
すなわちリラクセーション値としては180℃における
オートクレーブ養生の条件で9%以下、好ましくは8%
以下とする。180℃はオートクレーブを使用した高温
高圧蒸気養生の標準的な温度条件であり、高強度コンク
リートとしての強度を発現させ、高能率にパイルを生産
するためには高温で養生することが好ましいからであ
る。
【0008】また軸筋の一様伸びを3.5%以上、好ま
しくは4.0%以上とする。これは軸筋の一様伸びが高
強度PCパイルの曲げ破壊靱性の向上に重要な役割を果
たしているからである。すなわち曲げ破壊時のPCパイ
ルの塑性変形能力を向上させることが、建築物の耐震性
向上のため必要であり、このためには一様伸びは3.5
%以上、好ましくは4.0%以上必要である。破断伸び
についてはPC鋼棒の規格値で5%以上と定められてい
るが、一様伸びについては全く定めがない。ただ一般の
1420N/mm2 以上の引張強度を有するPC鋼棒で
は2〜3%であるのに対し、本発明においては3.5%
以上のものを使用する。
【0009】一様伸びは引張試験を行なったとき最大応
力に達するまでに生じた伸びである。すなわち図1にP
C鋼棒の引張りにおける応力−歪曲線を示すように塑性
歪により加工硬化を生じて応力は材料が伸びるにしたが
って増大していくが、やがてB点で最大応力に達し、そ
れ以降は材料の一部分がくびれて応力が低下しやがてC
点で破断する。なおA点における応力は降伏応力(0.
2%耐力)である。一様伸びは物理的にはくびれが生ず
る前の伸びと定義され、応力−歪曲線の最大応力に達す
るまでの伸びが該当する。最大応力近傍においてかなり
の伸びがあるが、このグラフの水平部分ではすでに部分
的なくびれが始まっており、したがってその前の伸びを
求める必要がある。この水平部分における伸びは破断伸
びには寄与するが、一様伸びが大きくなければPCパイ
ルの曲げ破壊時の塑性変形能力向上が望めない。
【0010】しかしながら応力−歪曲線がどの位置から
最大応力点の水平部分に移行したのか正確に求めるのは
困難であり、JIS規格などにも測定方法の定めがない
ので以下の方法で求めることとし、本発明における値は
すべてこれによっている。すなわち供試材の直径dに応
じて2dずつマークをつけて破断に至るまで引張試験を
行なった後、破断部から5d以上離れたところで10d
を標点距離として伸びを測定し、これを一様伸びとし
た。なお本発明においては後に述べるように溶接部にお
いても軸筋の一様伸びを確保することが重要であるの
で、溶接部を含めた引張試験も行なって一様伸びを求め
ている。
【0011】ところで、PCパイルに使用されるPC鋼
棒はJIS G3109に機械的性質等が規定されてい
るが、成分、製造工程についてはほとんど自由に任され
ている。成分については不純物としてのP、S、Cuの
上限があるのみで他の元素については規定がない。また
製造工程については熱間圧延した鋼棒をストレッチン
グ、引抜きなどの強度冷間加工をして加工硬化により所
定の機械的性質を得る方法と、冷間加工後焼入れ焼戻し
をして所定の材質にする方法がある。焼入れ焼戻しによ
る方法は優れた機械的性質の材料を得ることができ、溶
接性の点でも優れた材料を得ることができるため高級品
に多く用いられている。本発明においては軸筋の成分を
以下のように規定し、上記のようなことから焼入れ焼戻
し工程により製造する。
【0012】すなわち鋼材成分として、重量で、C;
0.2〜0.5%、Si;2.6〜4.0%、Mn;
0.3〜1.2%、Al;0.005〜0.1%を含有
し、残部Feおよび不可避不純物とする。これらのうち
で、Cは焼入れ性を高め必要な強度を維持するのに必要
であり、このためには0.2%以上が必要である。一方
0.5%を超えるとスポット溶接性が低下するので0.
5%以下とする。
【0013】Siは材料の強度を向上させると共に高温
リラクセーション値を低減するのに重要な作用をし、ま
た一様伸びを大きくするのに顕著な効果がある。Siの
高温リラクセーションに対する効果はすでに知られてい
ることであり、鋼中の含有量2%程度までは発表されて
いる。本発明者らはさらにSi量の多い範囲で実験した
ところ、図2のSi量とリラクセーション値との関係を
示すグラフのように常温ないし蒸気養生の条件ではSi
量2%程度で効果は飽和するが、さらに高温のオートク
レーブ養生条件ではSi量の増加とともに、リラクセー
ション値は低下することが判明した。
【0014】さらにSiは一様伸びの向上に効果がある
ことが判明した。すなわち図3はPC鋼棒におけるSi
量と一様伸びとの関係についての実験データをまとめた
グラフである。このようにSi量が増加すると共に一様
伸びが向上する。使用に当たって問題になるのはPC鋼
棒そのものの一様伸びだけでなくスポット溶接後の一様
伸びも確保する必要があるが、後に説明するようにスポ
ット溶接完了後、溶接部分を焼鈍すればPC鋼棒そのも
のの一様伸びに近い値にすることができる。なお破断伸
びにはSi量は影響しないことが判明した。
【0015】これらの結果から本発明においては、Si
量は2.6%以上必要であって、3.0%以上にするの
が好ましい。一方4.0%を超えると衝撃値の低下など
脆くなるので上限は4.0%とする。上記のような高い
範囲のSi量は構造用の鋼材においては例がないもので
あるが、本発明はSiの顕著な効果に着目してこのよう
にしたものである。
【0016】Mnは焼入れ性を高め強度を向上させるの
に必要である。0.3%未満ではその効果が少なく1.
2%を超える量は強度上不要であり、延性も劣化するの
で0.3から1.2%の範囲とする。
【0017】Alは脱酸剤として必要であり、これを添
加することによりSiより優先的に酸素と結合して前記
のSiの効果を向上させる。このためにはAlは0.0
05%以上必要である。一方多くてもその効果は飽和し
不経済であるので0.1%以下とする。また上記のほか
必要に応じて以下の元素を添加する。
【0018】Moは焼入れ性を高めるとともに、強度、
靱性を向上する。またSiとあいまってリラクセーショ
ン特性の改善に効果がある。これらの効果は0.1%未
満では小さく0.5%を超えると効果が飽和して不経済
であるため、0.1%以上0.5%以下の添加量が好ま
しい。
【0019】Bは焼入れ性を向上する効果があるが、
0.0003%未満ではその効果が少なく、0.005
%を超えるとかえって焼入れ性を低下させるので0.0
003%以上0.0050%以下が好ましい。
【0020】Tiは組織を微細化して靱性を向上する効
果があり、また鋼中のNを固定してBによる焼入れ性向
上の効果を増大させる。0.01%未満ではその効果は
少なく、0.05%を超えると材料の清浄度を害し好ま
しくない。
【0021】さらに必要に応じてNi;1.5%以下、
Cr;1.0%以下、Cu;0.5%以下の1種以上を
含有してもよい。これらの元素は靱性を向上させつつ強
度を確保することができ、応力腐食割れに対する抵抗力
を向上する作用も有する。これらの元素はそれぞれ上記
の量を超えて添加しても効果が飽和して経済的でない。
したがって上限をそれぞれ上記の量とする。
【0022】本発明においては上記のような成分の熱間
圧延鋼棒を所定の形状、寸法に引抜いて焼入れ焼戻しを
行なう。焼入れ温度は本発明の材料はSiの含有量が多
くオーステナイト領域が狭まっているので、Si量に応
じ1000〜1200℃の比較的高温が適当である。一
方、焼戻し温度は所定の引張強さ1420N/mm2
上になるような温度にする。加熱方法は高周波加熱が材
質上また作業能率上適当であり、焼入れは水冷で行な
う。また焼戻し加熱後も組織を微細化して機械的性質を
向上させるため水冷するのが好ましい。なお、焼戻し温
度に加熱した状態で繰り返し曲げなどの加工歪を与えて
高温リラクセーション特性を改善する方法が知られてい
るが、本発明の材料においてはそのような手段を講じな
くてもSi添加の効果により十分に高温リラクセーショ
ンを低くすることができる。したがってこのような工程
を省略して費用を節減できる。
【0023】本発明においてはこのようなPC鋼棒の軸
筋を複数本、たとえば10本円筒面を形成するように並
べ、らせん鉄筋を巻き付けてスポット溶接を行なう。こ
のとき先にも述べたようにスポット溶接部においても軸
筋の一様伸びを3.5%以上確保することが必要であ
る。このようにスポット溶接部を含めた軸筋の一様伸び
を確保しつつスポット溶接をすることにより、PCパイ
ルの曲げ破壊特性を改善し、塑性変形能力を向上させう
ることが実験により判明した。またらせん筋の材質は軟
鋼線材(JIS規格SWRM)などが使用可能である。
【0024】スポット溶接は軸筋およびらせん筋の太さ
に応じたとえば2000ないし5000A位で2〜3サ
イクルの通電時間で行なうが、本発明におけるPC鋼棒
は溶接部が硬化して靱性が低下するので溶接後再度通電
を行なって加熱して焼鈍する。すなわち図4はPC鋼棒
のSi量とスポット溶接後の一様伸びとの関係を示すグ
ラフであるが、スポット溶接後そのままの状態では一様
伸びはSi量の増加と共に逆に小さくなる。本発明に用
いるPC鋼棒は一様伸びを大きくするため等の目的で特
にSi量を高くするが、これの対策として上記のように
スポット溶接後再度通電を行なって溶接部分を焼鈍す
る。溶接電流、通電サイクル数ともスポット溶接の条件
とほぼ同じでよい。たとえば、2000ないし5000
A位で2〜3サイクル程度行なえばよい。このようにス
ポット溶接後の再通電を適当な条件で行なうことによ
り、図4にも示すようにスポット溶接部においても素材
のPC鋼棒の一様伸びと同等の、すなわち3.5%以上
の値を得ることができる。
【0025】このようにして軸筋にらせん筋を溶接して
製作した鉄筋かごは軸筋を緊張してコンクリートを型枠
内に投入して遠心成型し、常圧蒸気養生などで所定の強
度とした後脱型して、さらにオートクレーブ内等で養生
してコンクリート圧縮強度が7.85kN/cm2 以上
の高強度コンクリートにする。
【0026】
【実施例】表1に示す各成分の鋼材について直径10m
mの丸棒に圧延し、これをらせん状の溝を有する直径
9.2mmの鋼棒に引き抜いた。これを高周波加熱して
水冷により焼入れを行なった。焼入れはSi;0.21
%の番号16では900℃、Si;4.25%の番号1
5では1090℃と、この間主としてSi量による変態
温度の上昇に応じて変えた。次いで高周波加熱による焼
戻しを行なった。焼戻温度に加熱後は原則として歪付加
のための加工は行なわず水冷したが、一部の材料につい
ては焼戻温度において繰り返し曲げによる歪を加えた後
に水冷した。焼戻温度は引張強さが1420N/mm2
以上になるような温度としたが360℃から560℃の
範囲にあり、Si量が多いものは高温になる。
【0027】
【表1】
【0028】表2および表3にこれらの材料の機械的性
質として降伏応力、引張強さ、一様伸び、破断伸びを示
す。これらは5本の試験片の平均値である。また繰り返
し曲げ回数と5mm×5mm×55mmの試験片による
衝撃値もあわせて示すが、これらは3本の試験片の平均
値である。さらに常温、常圧蒸気養生条件、オートクレ
ーブ養生条件におけるリラクセーション値をそれぞれ示
す。常温における値は160時間の試験を行い、これか
ら1000時間における値を推定したものである。高温
でのリラクセーション値は990N/mm2 の応力(規
格引張強さの70%)を付加し、4時間で所定の温度に
昇温し、5時間保持した後炉内冷却し、23時間後の荷
重変化量を測定し、初期荷重との比を求めた。上記所定
の温度は常圧蒸気養生条件にあっては80℃、オートク
レーブ養生条件にあっては180℃である。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】表2および表3の結果をみると本発明に適
用すべき材料にあっては一様伸びは目標とする3.5%
以上にいずれもなっており、多くのものは特に好ましい
範囲である4.0%以上になっている。またオートクレ
ーブ養生条件におけるリラクセーション値は本発明に適
用すべき材料にあってはいずれも目標とする9%以下と
なっており、多くのものは特に好ましい範囲である8%
以下になっている。また番号2A、3A、4Aの焼戻温
度で繰返し曲げの歪付加を行なったものは、同じ材料で
歪付加を行なわない番号2、3、4とそれぞれ比較して
オートクレーブ条件におけるリラクセーション値は向上
するが、一方、一様伸びについては劣化傾向にある。し
たがって必要なリラクセーション値を確保できればわざ
わざ歪付加を行なわない方が好ましいことがわかる。
【0032】一方、比較例の番号14と16はSi量が
それぞれ1.50%と0.21%と低いため一様伸び、
リラクセーション値とも要求値を満足しない。また番号
15はSi量が4.25%と高過ぎるため衝撃値、繰返
し曲げ回数が低く、靱性の点で好ましくないことがわか
る。
【0033】また上記の異形鋼棒の一部について直径6
00mm厚さ90mm長さ8mのPCパイルを実際に製
作して曲げ試験を行なった。図5の鉄筋かごの(a)正
面図、(b)側面図に示すように軸筋1として直径9.
2mmの上記鋼棒12本を用い、らせん鉄筋2として直
径6mmのSWRM8材を用いて60mmのピッチで巻
き付けてスポット溶接した。溶接条件は4000A、2
サイクルであって、溶接を行なった後4200A、2サ
イクルの通電を行なって焼鈍した。この溶接後に試験材
の一部を切り離して軸筋のPC鋼棒の引張り試験を行
い、一様伸びを測定した。溶接のまま焼鈍を行なわない
状態と本発明の方法である通電による焼鈍を行なった状
態についての値を表4に示す。
【0034】このようにして製作した鉄筋かごの軸筋に
990N/mm2 の緊張力を加えつつコンクリートを遠
心力により打ち込みパイルにした。これを常圧蒸気養生
後オートクレーブ養生を行なった。このPCパイルにつ
いて図6に示すような方法で曲げ試験を行なった。すな
わちPCパイル3をスパン7.2mの支持部4、5で支
持し、その中央部において1mの間隔の載荷点6、7に
荷重を加える静曲げ試験である。また曲げ試験は軸力な
しのものと圧縮力130tの軸力を加えたものとを行な
った。この試験によるPCパイルの破壊曲げモーメント
と破壊時変位量について同じく表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】スポット溶接部の一様伸びについては、本
発明に適用すべき材料の番号3、5および7を使用した
場合には溶接のままでは不十分なものの再通電により焼
鈍すれば良好な値になっている。一方比較例の材料であ
る14および16では溶接部の一様伸びが低くまた再通
電の効果自体もあまりない。またPCパイルの曲げ試験
においては、破壊時の変位量が本発明のものは材料およ
び溶接部の一様伸びが大きいことにより比較例よりはる
かに大きく、靱性が優れていることがわかる。また破壊
曲げモーメントも本発明のものは材料のレラクセーショ
ン値が低いことによりプレストレスの低下が小さく比較
例より大きくなっている。
【0037】
【発明の効果】本発明の高強度PCパイルは軸筋のPC
鋼棒について従来の材料には見られなかったようなSi
量の高いものとすることにより、オートクレーブ条件に
おけるレラクセーション値を低くしつつ一様伸び大きく
し、これとらせん筋とのスポット溶接条件を考慮するこ
とにより上記良好な一様伸びを鉄筋かごに編成した後も
維持するようにしたものである。本発明の高強度PCパ
イルを構造物に用いることにより、地震のときにおける
PCパイルの変形量が従来のPCパイルより大きくても
破壊に至らず、構造物の安全性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PC鋼棒のSi量と一様伸びとの関係を示すグ
ラフ
【図2】PC鋼棒のSi量とスポット溶接後の一様伸び
との関係を示すグラフ
【図3】PC鋼棒の応力−歪曲線を示すグラフ
【図4】PC鋼棒のSi量とリラクセーション値との関
係を示すグラフ
【図5】実施例における鉄筋かごの(a)正面図、
(b)側面図
【図6】PCパイルの曲げ試験方法を示す図

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C;0.2〜0.5%、S
    i;2.6〜4.0%、Mn;0.3〜1.2%、A
    l;0.005〜0.1%を含有し残部Feおよび不可
    避不純物からなる熱間圧延鋼棒を、冷間加工後焼入れ焼
    戻しして、180℃でのオートクレーブ養生の条件にお
    けるリラクセーション値を9%以下としかつ一様伸びを
    3.5%以上とした鋼棒を軸筋として、これにらせん筋
    を巻き付けて軸筋とらせん筋との交点をスポット溶接し
    てかご編製し、前記スポット溶接において溶接のための
    通電サイクルの後に焼鈍のための通電サイクルを実施す
    ることによりスポット溶接部においても軸筋の一様伸び
    を3.5%以上に維持し、前記のようにして作製した鉄
    筋かごの軸筋を緊張して遠心力を与えつつコンクリート
    を打ち込んだ後オートクレーブ養生することを特徴とす
    る高強度PCパイルの製造方法。
  2. 【請求項2】 熱間圧延鋼棒はさらにMo;0.1〜
    0.5%を含有するものであることを特徴とする請求項
    1記載の高強度PCパイルの製造方法。
  3. 【請求項3】 熱間圧延鋼棒はさらにTi;0.01〜
    0.05%、B;0.0003〜0.005%の一方ま
    たは両方を含有するものであることを特徴とする請求項
    1または2記載の高強度PCパイルの製造方法。
  4. 【請求項4】 熱間圧延鋼棒はさらにNi;1.5%以
    下、Cr;1.0%以下、Cu;0.5%以下の1種以
    上を含有するものであることを特徴とする請求項1、2
    または3記載の高強度PCパイルの製造方法。
JP25087796A 1996-09-03 1996-09-03 高強度pcパイルの製造方法 Pending JPH1076370A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011137320A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Toyo Asano Foundation Co Ltd Sc杭及びその製造方法

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JP2011137320A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Toyo Asano Foundation Co Ltd Sc杭及びその製造方法

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