JPH09174538A - 遠心力プレストレストコンクリート杭の製造方法 - Google Patents

遠心力プレストレストコンクリート杭の製造方法

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JPH09174538A
JPH09174538A JP33916695A JP33916695A JPH09174538A JP H09174538 A JPH09174538 A JP H09174538A JP 33916695 A JP33916695 A JP 33916695A JP 33916695 A JP33916695 A JP 33916695A JP H09174538 A JPH09174538 A JP H09174538A
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pile
steel
reinforcement
prestressed concrete
bar
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JP33916695A
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Shinichi Yamato
和 真 一 大
Masao Tanaka
中 昌 穂 田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のPC杭やPRC杭等は、曲げの性能と靱
性とが少ない問題があった。また、杭が曲げを受けたと
きには早期にひび割れを生じ、かつそのひび割れ巾も大
きくなる問題もあった。 【解決手段】特定鋼材組成の鋼材を通常の熱間圧延後、
自然空冷により得られた非調質鋼棒で降伏点強度60k
g/mm2 〜100kg/mm2 で破断伸びが8%〜1
5%の非調質鋼棒2を10本を軸筋として使用し、螺旋
筋3をスポット溶接し該溶接部を焼戻して溶接部の一様
伸びが6%〜12%の範囲にある鉄筋籠を製造し、かつ
該鉄筋籠の該軸筋に緊張力を与えながらコンクリート4
内に埋設し、その後養生することを特徴とする遠心力プ
レストレストコンクリート杭1の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木、建築構造物
の基礎杭として使用する既製コンクリートパイルに係
り、特に大きな曲げ性能と靱性とを得ることが出来ると
共に、杭が曲げを受けた時のひび割れを抑えることが出
来る遠心力プレストレストコンクリート杭の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の既製コンクリート杭としては、鉄
筋コンクリート杭(RC杭)やプレストレストコンクリ
ート杭(PC杭)が用いられてきた。このうちの前者の
RC杭は、曲げ性能を向上させるために鉄筋量を増す必
要があるが、鉄筋の強度には限度があるので多量の鉄筋
を杭内に配置する必要があった。しかし、遠心力で成型
するコンクリート杭にあっては、鉄筋間隔が密になると
コンクリート中の骨材が成型中移動できず、成型不良に
なることがあるので配置できる鉄筋量には限度があっ
た。
【0003】そのために、大きな曲げモーメントを有す
る杭は製造することができなかった。また、杭では鉄筋
量を多くしても曲げを受けたときに、コンクリートに曲
げ引張亀裂が生じる荷重はほぼ一定であり、コンクリー
トのひび割れを抑制することができなかった。このため
最近ではRC杭はほとんど製造されなくなって来てい
た。
【0004】前述のRC杭の大きな問題であるひび割れ
の問題を解決したのが、後者のPC杭である。このPC
杭はキルド鋼を熱間圧延し、その後でストレチング、引
抜き、熱処理等を施して製造したPC鋼棒(JISG3
109)使用し、このPC鋼棒を緊張させながらその周
りに遠心成形法でコンクリートを打設して製造した杭で
ある。従って、このPC杭はコンクリートに予め圧縮力
(プレストレス)が与えられているので、杭が曲げを受
けても引張り亀裂を生じ難くさせることができる特徴を
有している。
【0005】しかし、PC杭では曲げ性能を上げる目的
で配置するPC鋼棒の量を増すとプレストレスによりコ
ンクリートの引張は改善されるものの、コンクリートの
圧縮側は厳しくなり、やはり配置できるPC鋼棒の量に
も限度があった。さらにPC杭の最大の欠点は、PC鋼
棒の伸び能力が鉄筋に比較してかなり小さいためPC杭
の曲げ変形能力はRC杭に比較してかなり小さく、いわ
ゆる靱性のない脆い杭となっていた。
【0006】前記のように、RC杭あPC杭では大きな
曲げ性能を確保するのが難しいので、これらを曲げ性能
の面で改善したのがPRC杭である。これは一つの杭の
中に鉄筋とPC鋼棒を配置し、このうちPC鋼棒のみを
緊張してプレストレスト杭としたものである。従って、
PRC杭はRC杭の欠点であったひび割れの問題を解決
し、PC杭の欠点であった曲げ性能(曲げ強度)をPC
杭以上に高めることができた。
【0007】しかし、このPRC杭といえどもPC鋼棒
を使用しているので、PC杭の欠点である曲げ変形能力
(たわみ量)が小さいという問題は解決できなかった
し、杭内に鉄筋とPC鋼棒を配置し、PC鋼棒のみを緊
張するので製造行程は繁雑であり製造に手間のかかる杭
となっていた。
【0008】上述のRC杭の欠陥を改善するために、J
ISG3112の鋼棒を使用してその鋼棒の降伏点強度
の50%以下で緊張させてプレストレスト杭として製造
し、杭の靱性をRC杭よりも高めようとする試みが特開
昭62ー215718号公報(第1公知技術)にて提案
されている。しかしこの場合でも、PC杭並の曲げ強度
と靱性を持たす為には、4倍程度の鋼棒本数を使用する
必要がり、しかもその上に、ひび割れの発生を押さえる
ことが出来ないという欠点を有するものであった。
【0009】また、特開昭60ー36108号公報(第
2公知技術)には、RC杭を製造する場合のようにプレ
ストレスを与えることなく、PC鋼材を通常の鋼材の代
わりに使用した杭の製造方法が提案されているが、この
杭はRC杭よりも靱性は高くなるものの、ひび割れの発
生を防止できず、杭の曲げ試験の早い段階でひび割れを
生じ、それほどの靱性が期待できないという欠点があっ
た。
【0010】更に、特開昭62ー280418号公報
(第3公知技術)には高い一様伸びを有する高価なPC
鋼材を使用することが提案されているが、靱性を保持さ
せるためには、その明細書中に明記されているように、
通常のものよりも3倍以上も高い降伏点応力度(靱性
度)を有する横拘束筋を使用する必要がある。このよう
に高価な横拘束筋を使用しても、同一発明者の発明であ
る特開平5ー98638号公報(第4公知技術)の従来
技術の欄に明示されているように、杭の曲げ試験の際に
曲げ変形が特に一カ所に集中して、予想していた靱性が
達成できなかったと報告されている。
【0011】このように第3公知技術で提案された方法
は、高価な特殊PC鋼材と高価な特別な横拘束を使用し
ても、初期にひび割れが発生し、真に靱せいがある杭と
することが出来なかった。そして、前記した第4公知技
術では、縦筋として高い一様伸びを有し、しかも異形加
工した高価なPC鋼材を使用すると共に横拘束として高
い一様伸びを有する高価なものを使用する方法が開示さ
れている。
【0012】この第4公知技術に開示された方法では、
PC鋼棒として高い一様伸びを有する高価な材料を特殊
な加工を施した異形のものにする必要があり、しかも通
常のRC杭や通常のPC杭の製造の際に横拘束筋とし
て、螺旋状に巻いて使用される通常の鉄線を使用するこ
とは不可能であり、横拘束筋としても高価な材料を使用
する必要があり、製造に際し実際にはきわめて煩雑な手
間を要する上に、非常に高価な杭となり、現実の杭とし
て製品化するには問題があるものであった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
PC杭、RC杭及びPRC杭、これ等の杭の問題点を改
善するために開発された前記第1公知技術、第2公知技
術、第3公知技術及び第4公知技術に於いても、夫々の
コンクリート杭が曲げを受けた時に、ひび割れが生ずる
問題、破壊時に大きな曲げ性能と靱性とを得ることが困
難である問題、及び特殊な異形加工したPC鋼材を使用
したり、高価な横拘束筋を使用しなければならず、製造
が極めて繁雑になると共にコスト高になる等の問題があ
った。
【0014】本発明に係る遠心力プレストレストコンク
リート杭の製造方法は、従来のこれ等の多くの問題点に
鑑み開発された全く新しい技術であって、特に所定の鋼
材組成を有する鋼材を通常の熱間圧延後、自然空冷によ
り得られた非調質鋼棒でかつ所定の降伏点強度と破断伸
びとを有する鋼棒を軸筋として使用し、これ等の軸筋に
螺旋筋をスポット溶接した鉄筋籠の前記軸筋に緊張力を
与えながらコンクリート内に埋設して製造することによ
って、大きな曲げ性能と靱性とを得ることが出来ると共
に、杭が曲げを受けた時のひび割れを抑えることが出来
る全く新しいプレストレストコンクリート杭の製造方法
を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る遠心力プレ
ストレストンクリート杭の製造方法は、前述の従来の多
くの問題点を根本的に改善した技術であって、その第1
発明の要旨は、
【0016】
【表2】
【0017】残部が鉄及び不可避的不純物よりなる鋼材
を通常の熱間圧延後、自然空冷により得られた非調質鋼
棒で降伏点強度60kg/mm2 〜100kg/mm2
で破断伸びが8%〜15%の鋼棒を軸筋として使用し、
これに螺旋筋をスポット溶接し、該溶接部を焼戻して溶
接部の一様伸びが6%〜12%の範囲にある鉄筋軸に緊
張力を与えコンクリート内に埋設し、その後養生するこ
とを特徴とする遠心力プレストレストコンクリート杭の
製造方法である。
【0018】本発明の第2発明の製造方法は、第1発明
で規定された非調質鋼棒が鋼の焼入性を示す理想臨界直
径Diが25インチ〜1.35インチの範囲にあること
を特徴とする遠心力プレストレストコンクリート杭の製
造方法である。
【0019】更に、本発明の第3発明の製造方法は、第
1発明もしくは第2発明で規定された非調質鋼棒が溶接
性を示す炭素当量値Cが0.55〜0.7の範囲にある
ことを特徴とする遠心力プレストレストコンクリート杭
の製造方法である。
【0020】本発明の製造方法に於いて使用される非調
質鋼棒は、上記した鋼材組成を有する鋼材を通常の熱間
圧延後に焼き入れや焼き戻しや、応力除去工程を経るこ
となく、熱間圧延後、自然空冷により得られた非調質鋼
棒(焼き入れや焼き戻しや応力除去工程等の調質工程を
経ない鋼棒)であり、下表に従来のRC用鋼棒やPC杭
に使用されているPC用鋼棒と比較して示すように、降
伏点強度60kg/mm2 〜100kg/mm2 で破断
伸びが80%〜15%のものであり、螺旋筋をスポット
溶接し該溶接部を焼戻して溶接部の一様伸びが6%〜1
2%の範囲にし得る非調質鋼棒である。
【0021】なお、本発明に使用する非調質鋼棒でも、
降伏点強度が強ければそれだけ強度の高い杭となるの
で、より好ましくは、降伏点強度が75kg/mm2
上のものであり、鋼材の製造し易さの点では85kg/
mm2 までがよく、従って、更に好ましい実用上の降伏
点強度は75kg/mm2 〜85kg/mm2 である。
本発明に使用される非調質鋼棒と、他のRC用鋼棒(J
IS3112)或いはPC用鋼棒との降伏点強度、引張
強度、一様伸び及び破断伸びについて夫々比較検討する
と、次表の通りである。
【0022】
【表3】
【0023】例えば、本発明に使用する非調質鋼棒は、
直径10φの棒鋼で強度110kg/mm2 、降伏点強
度87kg/mm2 、破断伸び12%の機械的性質を有
するものである。上記の表に示されるように、本発明に
使用する非調質鋼棒は、RC用鋼棒に比して降伏点強
度、引張強度で優れている。更に本発明に使用される非
調質鋼棒は、一様伸びと破断伸びはPC用鋼棒より優れ
た鋼棒になっている。
【0024】このように、本発明に使用する非調質鋼棒
は、RC用鋼棒よりも強度が強く、更にこの非調質鋼棒
は最大強度に達するまでの曲げ靱性がPC用鋼棒よりも
大きな鋼棒であることが明らかである。また、鋼棒の化
学的成分から本発明に使用する非調質鋼棒の一例と、前
記したRC用鋼棒やPC用鋼棒と比較すると下表のよう
になる。
【0025】
【表4】
【0026】このような化学組成が好ましいことは、化
学成分の異なる鋼種を比較して得られたものであり、上
記の範囲をどの成分も逸脱すると、目的とするものは得
られない。特に本発明で使用する非調質鋼棒と在来の鋼
棒と異なる点は、VとNbを複合添加する点であり、こ
れに基づき圧延後の冷却過程で、ベーナイトが生成する
ことなく所定の強度他の物性が得られるようになったこ
とである。
【0027】ここで、本発明に使用する非調質鋼棒と前
記したRC鋼棒やPC用原料鋼材と製造法の点から比較
すると次の通りである。即ち、RC用鋼棒は、一般的に
JIS3112鋼棒を製銑−製鋼工程で溶洗、脱硫、直
空脱ガス無酸化鋳造、電磁攪拌などの処理による清浄鋼
ビレットから線材ミルを経て、自然空冷ゾーン又はステ
ルモア制御冷却する熱間圧延によって得られる鋼棒であ
る。
【0028】PC鋼棒は、前記PC原料鋼材の化学的成
分の鋼材を前記熱間圧延により得られたPC鋼原料線材
を脱錆工程−伸線工程−異形加工−焼戻し工程−巻取工
程を経てPC鋼棒とするものである。このように原料線
材より、冷間二次加工により必要物性を得るもので脱
錆、伸線、焼入、焼戻しに多大のコストを要するもので
ある。
【0029】本発明の非調質鋼棒は、前記RC用鋼棒と
PC鋼棒を製作するのと同じく、熱間圧延のみで得られ
るものである。化学成分、特にC量と微量元素のNb、
Vの添加によって二次加工をすることなく得られた安価
な鋼棒であり、微量元素を添加するのでその分だけ若干
高価となるが、PC用鋼棒の約1/2のコストで製造す
ることが出来る。しかし、この様な鋼棒はC%が若干高
めにある点からスポット溶接が前記溶接部を焼戻さない
と表面近くに硬化層を生じ軸筋の伸びが低下し、応力集
中を生じ材料欠陥となり、靱性(衝撃)が低下する。こ
の欠点は、前記の様にスポット溶接し、焼戻しを行うと
硬化層が改善され靱性特性が大幅に向上し、実用に耐え
ることが判った。この鋼棒は異形鋼棒を使用するのがよ
り望ましい。このように異形鋼棒を使用することによっ
て、コンクリートの付着性を高め杭の靱性をより高める
ことが出来る。
【0030】本発明の製造方法では、炭素量0.40%
〜0.50%を含有する非調質鋼棒を使用し、これ等を
軸棒として軸筋材の周上に所要間隔に配置し、その外周
に螺旋筋を巻回し、可動電極のスポット溶接電極に30
00A〜3500Aの電流を2〜4サイクル通電させる
と共に、軸筋材に螺旋筋を一定圧で加圧してスポット溶
接し、その直後に焼戻し用電極に3250A〜4000
Aの電流を2〜4サイクル通電させて、前記スポット溶
接により軸筋材に生じた硬化層の焼戻しを行って鉄筋籠
を製造することが出来る。
【0031】次いで以上のように製作された鉄筋籠の軸
筋材に軸筋材の降伏点強度の75%〜85%の緊張力を
与え、緊張状態でコンクリートに埋設した後、コンクリ
ートを養生するコンクリート杭の製造方法である。従っ
て製造工程が簡単で、かつ製品中に埋設された鉄筋籠の
軸筋材の破断伸び、一様伸びが高く維持出来て、靱性に
優れた品質の製品を製造することが出来る。
【0032】本発明においては、RC杭の欠点であるひ
び割れを改善する目的で、軸筋として使用した非調質鋼
棒をPC杭と同様の方法で緊張し、コンクリートにプレ
ストレスを与えるものである。与えるプレストレスの量
は大きいほど杭体の剛性からみて望ましいが、与えすぎ
るとコンクリートの圧縮強度との関係があるから限度が
ある。また、配置する鉄筋の量に応じて付与できるプレ
ストレス量に限度がある。鉄筋の降伏点強度の75%〜
85%で緊張するのが望ましい。これ以上すると鋼材が
降伏点に近くなり、急激に伸びる可能性がある。
【0033】このように、上記したような非調質鋼棒を
軸筋として使用し、その降伏点強度以下の荷重で緊張し
てコンクリートにプレストレスを与えて、遠心力プレス
トレストコンクリート杭を製造するのである。その結
果、得られた杭に曲げ応力が加わった際のRC杭に見ら
れるようなひび割れが阻止され、RC杭よりも高い強度
を有しながら従来のPC杭よりも伸び能力が高く、大き
な曲げ靱性が得られるのである。
【0034】本発明に使用する非調質鋼棒の降伏点強度
は上述のように70kg/mm2 以上、好ましくはPC
鋼棒に近い80kg/mm2 以上である。それ故、本発
明において更に曲げ強度を高めようとすれば、鉄筋の量
と強度を増大させるのと同時にコンクリートの圧縮強度
を高めたほうがよい。鉄筋量を増すと曲げ引張側の強度
は増すが、曲げ圧縮側はコンクリートで保持されている
ので変わらない。従ってコンクリートの圧縮強度を鉄筋
量に応じて高めると、更に大きな曲げ性能が得られる。
【0035】本発明において、さらに曲げ強度を高めよ
うとすれば、鉄筋の量を増大させるのと同時にコンクリ
ートの圧縮強度を高めたほうがよい。鉄筋量を増すと曲
げ引張側の強度は増すが、曲げ圧縮側はコンクリートで
保持されているので変わらない。従って、コンクリート
の圧縮強度を鉄筋量に応じて高めると、更に大きな曲げ
性能が得られる。コンクリート杭の圧縮強度は従来80
0kg/cm2 程度のものが多く用いられているが、鉄
筋が多くなった場合には可能な範囲として1200kg
/cm2 位まで高めるほうが望ましい。
【0036】本発明に係る遠心力プレストレストコンク
リート杭の製造方法の第1発明は既に記述した通りであ
るが、更に好ましいのは、上記した鋼棒が鋼の焼入性を
示す理想臨界直径Diが1.25インチ〜1.35イン
チの範囲にあることを特徴とするプレストレストコンク
リート杭の製造方法である。
【0037】上記の理想臨界直径Diの範囲内である
と、ベーナイトの生成が更に少なくなり、それだけ大き
な曲げ靱性が得られるようになる。この鋼の焼入性を示
す理想臨界直径Diは、鋼棒の通例で次の式で計算され
る。
【0038】
【数1】
【0039】ここでDo は鋼棒を製造するときの冷却速
度と炭素量とにより求められる数値であり、他は下記の
ように定められる。
【0040】
【数2】
【0041】特に好ましいのは、上記したいずれかの鋼
棒が溶接性を示す炭素当量値Cが0.55〜0.7の範
囲にあることを特徴とするプレストレストコンクリート
杭の製造方法である。このように炭素当量値の範囲とす
ると、使用する鋼棒の溶接性が向上し、更に使用し易く
なる。
【0042】ここでは鋼棒の通例で次の式で計算され
る。
【0043】
【数3】
【0044】ここで、C、Mn、Si、Ni、Cr、M
o、Vはそれらの元素の含有量を示す。また、本願発明
の杭の製造方法では、横筋(螺旋筋)として従来の通常
の杭の製造に使用されていた普通鉄線を使用しても、得
られた杭は、充分な性能を発揮するとが出来る。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明に係る遠心力プレストレス
トコンクリート杭の製造方法によって製造したプレスト
レストコンクリート杭を図により示すと、図1に示す通
りである。即ち、図1に於いて、1は本発明の方法で製
造したプレストレストコンクリート杭である。このプレ
ストレストコンクリート杭1には外径が10mmの前述
のような特性を有する非調質鋼棒2が軸筋として10本
配筋されている。使用した該非調質鋼棒2の降伏点強度
は81kg/mm2 であり、最大引張強度は105kg
/mm2 であった。これ等の非調質鋼棒2にはプレスト
レスが40kg/cm2付与された。
【0046】前記プレストレストコンクリート杭1は、
その外径が400mm、コンクリート4の肉厚が65m
m、プレストレストコンクリート杭1の長さが6000
mm、更にコンクリート4の強度が850kg/cm2
で製造されている。プレストレストコンクリート杭1の
10本の非調質鋼棒2の周りには、JISA5335鉄
線よりなる螺旋筋3が溶接されて鉄筋籠を形成してい
る。また、プレストレストコンクリート杭1の両端に
は、端板5が設けられている。
【0047】前述のように、非調質鋼棒2に螺旋筋3を
溶接するに当たっては、溶接電流を3650Aで2サイ
クル、焼き戻し用電流3650Aで2サイクル通電した
プレストレストコンクリート杭Aを製造した。また、こ
のプレストレストコンクリート杭Aと比較するために溶
接電流を4000Aで2サイクル、焼き戻し用電流41
00Aで2サイクル通電したプレストレストコンクリー
ト杭Bを製造した。
【0048】これ等のプレストレストコンクリート杭A
と、プレストレストコンクリート杭Bとについて引張り
試験をした結果、プレストレストコンクリート杭Aとプ
レストレストコンクリート杭Bとも大差がなく、約10
5kg/mm2 であったが、破断時の伸びでは、プレス
トレストコンクリート杭Aでは10.5%であるのに対
し、プレストレストコンクリート杭Aでは6%であっ
た。
【0049】更に、プレストレストコンクリート杭A
と、プレストレストコンクリートBとの曲げ試験を実施
した処、図2に示すような結果が得られた。この曲げ試
験に当たっては、スパン5000mm、載荷点間400
0mmの2点載荷法により実施した。本発明者等は、前
記プレストレストコンクリート杭Aとプレストレストコ
ンクリートBとの他に、これ等のプレストレストコンク
リート杭A,Bと曲げ試験を比較するために、PHC杭
A種のPC杭Cも製造した。このPC杭Cに使用したP
C鋼棒は、降伏点強度130kg/mm2 、最大引張強
度145kg/mm2 、外径10.0mmのものを10
本使用した。
【0050】前述のような構成で製造したプレストレス
トコンクリート杭Aと、プレストレストコンクリート杭
Bと及びPC杭Cとについて曲げ試験を行った処、図2
に示す如く、PC杭Cは変位約30mmでPC鋼棒が破
断した。また、プレストレストコンクリート杭Bは変位
約70mmで非調質鋼棒2が破断した。これ等に対して
本発明の方法で製造したプレストレストコンクリート杭
Aは変位約120mmでも非調質鋼棒2が破断せず、最
終的にコンクリート4が圧縮破壊して終了した。
【0051】前述の図2の曲げ試験でも明らかな如く、
本発明に係る方法で製造したプレストレストコンリート
杭Aは、従来のPC杭に比較して極めて大きな曲げ変形
能力を有していることが明らかである。また、非調質鋼
棒2に溶接する螺旋筋3の溶接条件を改善することによ
り、プレストレストコンクリート杭Bの様に試験中で非
調質鋼棒3が引張破断することもなく、プレストレスト
コンクリート杭Aは更に大きな曲げ変形能力を有してい
ることが明らかである。
【0052】更に、比較のために、前記鋼棒の組成表中
に比較用の鋼棒として記載した鋼棒を幾種類か選択し、
前述の本発明の方法で用いた非調質鋼棒2の代わりにこ
れ等の鋼棒を使用してプレストレストコンクリート杭を
製造したが、いずれの場合にも、これ等の鋼棒の溶接時
の焼き戻しをどのような条件で試行しても、上手に行か
なかった。また、これ等の鋼棒を使用して製造したプレ
ストレストコンクリート杭の曲げ試験を実施した処、早
期に鋼棒が破断してしまい、杭としての前記本発明の方
法で製造したプレストレストコンクリート杭Aのような
性能を発揮することが出来ないことが判明した。
【0053】
【発明の効果】本発明に係る遠心力プレストレストコン
クリート杭の製造方法は、前述のような構成を有するの
で、次のような多大な効果を有している。
【0054】(1)本発明の製造方法で製造された遠心
力プレストレストコンクリート杭は、前述の従来のPC
杭等で達成出来なかった大きな曲げ性能と、大きな変形
能力(靱性)とを得ることが出来る。(2)また、前述
のRC杭の欠点であった曲げを受けたときの早期のひび
割れと、巾の大きなひび割れとを抑えることが出来る。
【0055】(3)本発明の製造方法に於いて、従来の
PC杭の降伏点強度よりも低い鋼材を使用した場合に
は、使用する鋼材量が従来のPC杭の場合よりも相対的
に多くなるので、初期の曲げ性能が同じPC杭に比べて
圧縮力や剪断力に対しても強くなる。
【0056】(4)高価なPC鋼棒を使用する必要がな
いので、安価に量産することが出来る。(5)本発明の
製造方法によると普通線を横筋として使用しても、製造
された杭は充分に上記した性能を発揮することが出来
る。(6)全体の製造方法が簡単であるので、大量に生
産することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造した杭の外観図および断面図
である。
【図2】本発明により製造した杭とPC杭の曲げ試験に
おける比較図である。
【符号の説明】
1 プレストレストコンクリート杭 2 高強度鉄筋 3 螺旋筋 4 コンクリート 5 端板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 E02D 5/30 E02D 5/30 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で 【表1】 残部が鉄及び不可避的不純物よりなる鋼材を通常の熱間
    圧延後、自然空冷により得られた非調質鋼棒で降伏点強
    度60kg/mm2 〜100kg/mm2 で破断伸びが
    8%〜15%の鋼棒を軸筋として使用し、これに螺旋筋
    をスポット溶接し、該溶接部を焼戻して溶接部の一様伸
    びが6%〜12%の範囲にある鉄筋軸に緊張力を与えコ
    ンクリート内に埋設し、その後養生することを特徴とす
    る遠心力プレストレストコンクリート杭の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1で規定された非調質鋼棒が鋼の焼
    入性を示す理想臨界直径Diが25インチ〜1.35イ
    ンチの範囲にあることを特徴とする遠心力プレストレス
    トコンクリート杭の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1もしくは請求項2で規定された非
    調質鋼棒が溶接性を示す炭素当量値Cが0.55〜0.
    7の範囲にあることを特徴とする遠心力プレストレスト
    コンクリート杭の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105039874A (zh) * 2015-08-13 2015-11-11 江鹏财 一种路桥用混凝土管桩
CN109852872A (zh) * 2019-03-11 2019-06-07 江苏利淮钢铁有限公司 一种汽车驱动系统球笼用钢及其生产方法

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