JPH1075998A - 綿状創傷保護材 - Google Patents

綿状創傷保護材

Info

Publication number
JPH1075998A
JPH1075998A JP8235049A JP23504996A JPH1075998A JP H1075998 A JPH1075998 A JP H1075998A JP 8235049 A JP8235049 A JP 8235049A JP 23504996 A JP23504996 A JP 23504996A JP H1075998 A JPH1075998 A JP H1075998A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wound
chitin
cotton
fibers
crystal orientation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8235049A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaya Yoshimura
昌也 吉村
Ryoichi Tsuruya
良一 鶴谷
Nobuyuki Tanimoto
信行 谷本
Keiji Okada
圭史 岡田
Akihiko Hasegawa
明彦 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP8235049A priority Critical patent/JPH1075998A/ja
Publication of JPH1075998A publication Critical patent/JPH1075998A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 深い創、滲出液の多い創等に使用した場合
に、良好な治癒効果を有する創傷治癒保護材を提供す
る。 【解決手段】 結晶配向度が70%以上であるキチン繊維
よりなる綿状創傷保護材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、綿状創傷保護材に
関するものであり、さらに詳しくは、医学分野における
深い創傷、例えば、挫滅創、褥瘡、下腿潰瘍等の治療に
対して好適な創傷保護材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】キチンは、抗菌作用、止血作用、治癒促
進作用、吸着作用、植物の生育促進作用等様々な性質を
有することが解明され、幅広い分野で使用されている。
使用される材形も粉末、繊維、フィルム、膜、綿状等様
々であり、それぞれの用途によって使い分けられてい
る。特に生体の創傷に使用した場合に見られる治癒促進
効果を有効に引き出すため、従来から繊維やフィブリル
の形が提案されており、その不織布としての利用は、例
えば、特開昭61−240963号公報に開示されている。しか
し、これらは特定の目的に対しては有効であるが、他の
目的に対しては必ずしも十分ではない。また、創傷治癒
に対しても、その創傷の種類によっては必ずしも有効な
ものではなかった。
【0003】近年、一般的な創傷治癒の技術が著しく進
歩しており、特に、熱傷や外傷、植皮片をとった後の採
皮創等の比較的浅い傷に対しての治癒が進んでおり、こ
れらを治療する創傷被覆保護材として多くの商品が使用
されている。これら創傷被覆保護材は主に、合成高分子
からなる合成材料と、天然高分子からなる生体材料とに
分類することができる。合成材料としては、ポリウレタ
ンフィルム(商品名:オプサイト等)、ハイドロコロイ
ドドレッシング(商品名:デュオアクティブ等)、ポリ
ペプチドをコーティングしたナイロンファブリック(商
品名:バイオブレン)等が挙げられ、生体材料として
は、凍結乾燥豚皮(商品名:アロアスク)、コラーゲン
繊維シート(商品名:メイパック)、キチン繊維シート
(商品名:ベスキチンW)等が挙げられる。
【0004】また、深い創傷、例えば、挫滅創、褥瘡、
下腿潰瘍等の場合は、皮膚だけでなく、肉芽も大幅な欠
損を起こしているので、深い立体的な傷となり、滲出液
が多く、感染も起こりやすい。このような深い創傷に対
しては、上記のような比較的浅い創を治療するための創
傷被覆保護材では十分な治療効果が期待できない。例え
ば、合成材料のものを使用すると、創からの滲出液を除
去する作用がないので、滲出液が患部に貯留し、治癒が
益々遅れることになる。また、生体材料を使用すると、
滲出液は除去されるが、いずれも薄いシート状であるの
で、立体的な創面に十分密着しなかったり、滲出液によ
って融解することが多く、十分な保護効果を期待できな
い。深い傷に対する治療法としては、局方のガーゼに抗
菌剤を含んだ軟膏を塗布したものや、ヨードを含んだポ
リビニルピロリドン液を塗布したもので創を保護する
等、滲出液の除去と殺菌のみを目的とした治療が行われ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の治療法では、早
い時期の肉芽生成や表皮形成は期待できない。創傷治癒
の目的は創部をできるだけはやく治癒状態に移行させる
ことである。そのため、創傷被覆保護材としては、創面
に十分に密着して、創面を保護でき、滲出液を十分に吸
収するとともに創外に除去することができ、融解耐性が
あり、肉芽形成や表皮形成を促進することができるもの
が好ましい。すでに販売されているキチン不織布からな
るシートである「ベスキチンW」(ユニチカ社製)は、
多くの創傷の保護に好ましく使用され、特に肉芽形成や
表皮形成が良好であることを特徴としている。また、特
開平4-371161号公報にはキチンウェブ状物が開示されて
いる。これはキチン繊維またはフィブリルをウェブ状に
成形したもので、滲出液の排除効果に優れ、密着性がよ
く、肉芽形成、表皮形成に優れた被覆材であるが、キチ
ンウェブ状物はキチン自体の親水性が高いため、水分が
存在するところでは弾力が保ちにくいことや、クリンプ
がかかりにくいので乾燥状態でも長期間にわたって弾力
を保つことが困難であること、また、深く滲出液の多い
創に使用するには融解耐性等に問題があり、必ずしも好
ましいものではない。本発明は、深い創、滲出液の多い
創等に使用した場合に、良好な治癒効果を有する創傷治
癒保護材を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、このよう
な課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、湿式紡
糸により結晶配向度を調節したキチン繊維からなる綿状
の創傷保護材が、上記課題を解決することを見出し、本
発明に到達したものである。すなわち、本発明は、結晶
配向度が70%以上であるキチン繊維よりなる綿状創傷保
護材を要旨とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるキチンとは、甲殻類及び昆虫類等の外骨
格を塩酸処理並びにカ性ソーダ処理して灰分及び蛋白物
質を除去して得られるポリ−N−アセチル−D−グルコ
サミン及びその誘導体をいう。誘導体としては脱アセチ
ル化キチンおよびキトサン、さらにはキチンと酸類とで
形成された塩、例えば酢酸塩、塩酸塩、硝酸塩、りん酸
塩等や、グルコサミン残基の−OH基又は−CH2 OH
基がエステル化、エーテル化、カルボキシメチル化、ヒ
ドロキシメチル化、あるいはO−エチル化等に修飾され
たキチン誘導体も含まれる。
【0008】本発明で脱アセチル化キチンを使用する場
合、キチンの脱アセチル化は、キチンをアルカリ処理す
るという周知の方法により行うことができる。この際、
使用するアルカリ濃度、処理温度、処理時間等を適宜変
えることによって、脱アセチル化度を容易に調整するこ
とができる。
【0009】ここで、脱アセチル化度とは、以下に示す
方法で測定した値をいう。試料約2gを2N−塩酸水溶
液200ml 中に投入し、室温で30分間攪拌する。次に、ガ
ラスフィルターで濾過して塩酸水溶液を除去した後、20
0ml のメタノール中に投入して30分間攪拌する。このも
のを、さらにガラスフィルターで濾過し、フレッシュな
メタノール 200ml中に投入し30分間攪拌する。このメタ
ノールによる洗浄操作を4回繰り返したのち、風乾及び
真空乾燥し、次に、その約 0.2gを精秤し、100ml を三
角フラスコに取り、イオン交換水40mlを加えて30分間攪
拌する。次に、この溶液をフェノールフタレインを指示
薬として 0.1N−カ性ソーダ水溶液で中和滴定する。脱
アセチル化度(A)は次式によって求められる。
【0010】
【数1】
【0011】ただし、aは試料の重量(g)、fは 0.1
N−カ性ソーダ水溶液の力価、bは0.1N−カ性ソーダ
水溶液の滴定量(ml)である。
【0012】キチン溶液を調整する際の溶剤としては、
例えば、天然物から精製したままのキチン及び、脱アセ
チル化度の比較的低いキチンについては、ハロゲン化炭
化水素とトリクロル酢酸の混合物、Nメチルピロリドン
またはジメチルアセトアミドと塩化リチウムとの混合物
が好ましく使用され、脱アセチル化度の高いキチン及び
キトサンに対しては、酢酸等の酸溶液が好ましく用いら
れる。また、凝固液としては、水、メタノール、エタノ
ール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチル
エチルケトン等のケトン類等が好適に用いられるが、廃
液処理の点から水が好ましい。
【0013】キチン繊維を製造するには、湿式紡糸法を
採用すればよい。湿式紡糸法としては、キチンを溶剤に
溶かしてキチンドープを作製し、得られたキチンドープ
をステンレスネット等で濾過して未溶解分や異物を除去
した後、ギヤーポンプ等で輸送、計量し、ノズルから凝
固液中に吐出して凝固させればよい。凝固した糸条は、
例えば、回転ローラ等で2〜50m/min 程度の一定速度で
引き取り、ワインダー等によって捲き取り、さらに、洗
浄を行って、糸条中に含まれる溶剤を十分除去した後、
乾燥させればよい。
【0014】本発明に用いるキチン繊維の太さは、好ま
しくは0.6 〜5.0 d程度のもの、さらに好ましくは0.8
〜3.0 d程度のものである。キチン繊維の長さとしては
0.5〜20cmが好ましく、さらに好ましくは3.0 〜8.0 cm
である。
【0015】本発明の綿状創傷保護材を構成するキチン
繊維の結晶配向度は、弾力性やキチン繊維が滲出液を吸
収した際の融解耐性と密接な関わりがある。結晶配向度
が高いものは弾力性も高く、かつ融解耐性にも優れてい
るので、滲出液の多い創に適用した場合にも弾力性を維
持し、クッションの役割を果たすだけでなく、融解する
ことなく治癒期間中優れた保護効果を発揮することがで
きる。
【0016】本発明の綿状創傷保護材を構成するキチン
繊維の結晶配向度は70%以上であり、好ましくは85%以
上である。結晶配向度が70%未満ではキチン繊維の弾力
性が弱くなり、かつ滲出液を吸収した際、融解が起こり
やすくなる。
【0017】ここで、結晶配向度とは、以下に示す方法
で測定した値をいう。X線解析装置を用いてブラッグ角
(2θ)における試料の半価幅(α)を求める。結晶配
向度(A)は次式により求められる。
【0018】A(%)=[(180 −α)/180 ]×100
【0019】X線解析装置としては、例えば、MXP-3
(マックサイエンス製)等を用いることができる。
【0020】キチンを溶解する溶媒の種類、キチン溶液
の濃度、凝固液の種類及び温度、ノズルからの吐出速
度、ローラーの引き取り速度等を適宜変えることにより
種々の結晶配向度のキチン繊維を製造することが可能で
ある。
【0021】例えば、溶剤としてジメチルアセトアミド
と塩化リチウムとの混合溶液、キチン溶液の濃度を約10
重量%、凝固液として水、凝固液の温度を70〜80℃、吐
出速度を約10g/min、ローラーの引き取り速度を約10m/
min にすることによって、結晶配向度約90%のキチン繊
維を得ることができる。また上記条件のうち、吐出速度
を約25g/min、ローラの引き取り速度を約20m/min とす
ることによって、結晶配向度約98%のキチン繊維を得る
ことができる。
【0022】得られた繊維は物理的に交絡させることに
より、綿状創傷保護材とすることができる。例えば、キ
チン繊維を一定の長さにカットした後、カード機等の解
繊機にかけることにより、綿状とすることができる。ま
た、絡みを固定するために、さらに、ニードルパンチ機
で処理したり、ウォータージェット機にて交絡させる等
の公知の方法で加工してもよい。これらの加工の前に捲
縮機で加工すると、良質な綿状物を作製することができ
る。
【0023】また、柔軟剤としては、例えば、特殊アニ
オン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活
性剤、高級アルコール系アニオン界面活性剤、特殊カチ
オン界面活性剤、特殊弱カチオン界面活性剤、特殊非イ
オン界面活性剤、シリコン系油剤、ポリアミン系両性活
性剤等を使用してもよい。
【0024】綿状創傷保護材の厚みは、目的に応じて適
宜決めればよく、特に限定するものではないが、好まし
くは目付けが10〜350 g/m2 のもの、さらに好ましくは
50〜150 g/m2 のものである。目付けが10g/m2 未満で
あれば、結晶配向度の高いキチン繊維を用いても弾力性
の点で好ましくない場合がある。
【0025】本発明の綿状創傷保護材は、滲出液の排除
効果に優れ、密着性がよく、扱いやすいので、挫滅創、
褥瘡、下腿潰瘍、皮膚潰瘍等の比較的深い傷の治療に使
用することができる。また、弾力性に優れているため創
面への刺激を最小限に押さえることができる。さらに、
本発明の綿状創傷保護材は立体構造を維持できることか
ら、適度な滲出液を保持し創面の湿潤状態を維持するこ
とにより、治癒を促進することも可能である。また、本
発明の綿状創傷保護材は、滲出液の多い場合でも、優れ
た融解耐性を示し、治療終了まで保護材としての役割を
十分に果たすことができ、肉芽形成、表皮形成等キチン
の特性を活かして、良好な治療効果を上げることができ
るものである。
【0026】
【実施例】次に、本発明を実施例によって、さらに具体
的に説明する。なお、結晶配向度はX線解析装置MXP-3
(マックサイエンス製)を用いて測定した。
【0027】実施例1、比較例1 キチンの粉末を 100メッシュに粉砕し、1N−HClに
て4℃で1時間処理し、さらに3%NaOH水溶液中で
3時間、90℃で加熱処理し、再度キチンの粉末中に含ま
れるカルシウム分及びタンパク質を除去した後、水洗を
繰り返し乾燥した。得られたキチンを、塩化リチウム8
重量%のジメチルアセトアミド溶液に、8重量%となる
ように溶解し、透明なキチンドープを得た。得られたキ
チンドープは、1480メッシュの金網で濾過し、放置脱泡
のうえ、タンクに入れ加圧下でギヤポンプにて輸送し、
口径0.04mm、1000ホールのノズルより吐出量12.0g/min
の割合で、70℃の水中に押し出して凝固し、11m/min の
速度でローラーに引き取り、湿式紡糸を行った。得られ
た糸条を水で十分に洗浄した後、乾燥して、単糸0.8 d
の繊維を得た。得られたキチン繊維の結晶配向度を測定
したところ90%であった。上記のようにして得られたキ
チン繊維を50mmにカットした。得られた短繊維は白色ワ
セリンを主成分とした柔軟剤に浸漬した後、十分に乾燥
させることにより、柔軟剤を付与し、その40gをカード
機(大和機工株式会社製、SC-360)にて解繊し、直径80
cmの太鼓に巻取った。得られた綿状キチンの目付けは8
8.4g/m2 であった。これを10cm×10cmの大きさにカッ
トして、滅菌袋に詰め、滅菌後、綿状創傷保護材とした
(実施例1)。
【0028】実施例1において、放置脱泡後得られたキ
チンドープを、窒素ガスを用いて爆気させた30℃の水中
に流し込み、キチンのフィブリルを作成した。得られた
キチンフィブリルの結晶配向度を測定したところ48%で
あった。このフィブリル40gを用いて、実施例1と同様
の方法で綿状キチンを得た。得られた綿状キチンの目付
けは90.2g/m2 であった。これを実施例1と同様に10cm
×10cmの大きさにカットして、滅菌袋に詰め、滅菌後、
綿状創傷保護材とした(比較例1)。
【0029】〔弾力性の測定〕上記方法により得られた
結晶配向度の異なるキチン繊維からなるキチンの綿状創
傷保護材の弾力性を測定した。弾力性の測定は平坦なテ
ーブルの上に実施例1及び比較例1の綿状創傷保護材を
置き、上から平坦な板(重量 200g)をおいて30分間放
置した。鉄板を取り除いた後、1分後に厚みを測定し、
実験前後の厚みの回復度を弾力性とした。結果を表1に
示した。比較例1の綿状創傷保護材では約半分の厚みし
か回復しなかったのに対して、実施例1の綿状創傷保護
材では完全に厚みが回復し、弾力性に優れていることが
示された。
【0030】
【表1】
【0031】〔曲げ剛性の測定〕次に、実施例1及び比
較例1の綿状創傷保護材の曲げ剛性と折れが発生した場
合の曲げ剛性を測定し、比較した。曲げ剛性は綿状創傷
保護材の使用感を表す指標のひとつであり、値が大きい
方が使用感がよい。曲げ剛性の測定方法は、KES-F2純曲
げ試験機にて測定した。KES システムでは、曲率K=0.
5 と1.5 (cm-1)の間の傾斜を曲げ剛性とするが、曲率
Kが1.5 以下で、折れが発生する場合は、K=0から折
れるまでの間の傾斜で表した。結果を表2に示した。実
施例1の綿状創傷保護材は比較例1の綿状創傷保護材に
比べ、縦、横両方向共に高い値を示したことから、実施
例1の綿状創傷保護材の方が使用感がよいことがわかっ
た。
【0032】
【表2】
【0033】〔吸水倍率試験〕実施例1の綿状創傷保護
材及び比較例1の綿状創傷保護材を用い、吸水倍率試験
を行った。まず、綿状創傷保護材を水に十分浸漬した
後、ゆっくり持ち上げ3分間水切りを行った。その後、
重量を測定し、以下の計算式からそれぞれの吸水倍率を
測定した。結果を表3に示した。
【0034】
【数2】
【0035】実施例1の綿状創傷保護材は比較例1の綿
状創傷保護材に比べ高い吸水倍率を示した。これは、実
施例1の綿状創傷保護材を構成する繊維の結晶配向度が
高く、その立体構造を保ちやすいため、構造自体が高い
吸水倍率を示したものである。
【0036】
【表3】
【0037】〔皮膚全層欠損創の治療〕兎の背部に皮膚
全層欠損創を2カ所作製し、片方に実施例1の綿状創傷
保護材、もう片方に比較例1の綿状創傷保護材を用い
て、以下の方法により治療を行った。欠損創に十分な綿
状創傷保護材を充填し、その上をガーゼで覆い、スキン
テープで固定した。綿状創傷保護材は交換せず、治療完
了まで使用するものとし、創の状態は毎日観察した。比
較例1の綿状創傷保護材で治療した場合、創面の肉芽の
形成は良好であったが、使用直後から滲出液により弾性
を失い、十分な滲出液排除効果を示さなかった。また治
療開始後1週間目には綿状創傷保護材は融解し、保護材
の貼り直しを必要とした。実施例1の綿状創傷保護材
は、非常によく滲出液を吸収排除し、創面を常に乾燥状
態に導くことができた。治療開始後1週間目程度から明
かな肉芽の生成を観察し、3週目で完全に創の閉鎖を見
た。また、実施例1の綿状創傷保護材は、治療期間中融
解することなく、十分な保護効果を発揮し、重ね貼りや
貼り直しを必要としなかった。このように実施例1の綿
状創傷保護材は比較例1の綿状創傷保護材に較べ予想以
上の治癒効果を示した。
【0038】実施例2 キチン粉末(三栄工業株式会社製)をジメチルアセトア
ミドと塩化リチウムからなる溶媒に溶解し、キチン濃度
7重量%の溶液を得た。得られた溶液は1480メッシュの
ステンレスネットで濾過し、放置脱泡のうえ、タンクに
入れ加圧下でギヤポンプに輸送し、1000ホールのノズル
(直径0.04mm)から80℃の熱水中に25g/minの割合で吐
出して、20m/min の速度で回転ローラーに引き取り、湿
式紡糸を行った。得られた糸条を水で洗浄後、乾燥する
ことにより 0.8単糸デニールの繊維を得た。得られたキ
チン繊維の結晶配向度を実施例1と同様の方法により測
定したところ98.3%であった。
【0039】このキチン繊維を50mmにカットして、短繊
維を得た。得られた短繊維は、白色ワセリンを主成分と
した柔軟剤に浸漬し、十分に乾燥させることにより、柔
軟剤を付与し、その 160gをカード機(大和機工株式会
社製、SC-360)にて解繊し、直径80cmの太鼓に巻取っ
た。得られた綿状キチンの目付けは91.6g/m2 であっ
た。これを10cm×10cmの大きさにカットして、滅菌袋に
詰め、滅菌後、綿状創傷保護材とした。
【0040】上記方法により得られた綿状創傷保護材を
褥瘡の治療用に使用した。患者は61歳、男性の大転子部
褥瘡である。潰瘍の大きさは78.96cm2と非常に大きく、
患者は寝たきり老人のため痩せており、大転子部全体に
及ぶものであった。潰瘍の深さも骨膜まで達し、深ぼれ
のある創で、治療開始時には緑膿菌感染をおこしてい
た。滲出液が多かったが、実施例2の綿状創傷保護材は
滲出液をよく吸収し、十分な排除効果を示した。治療開
始直後から肉芽形成は良好であり、創の著しい閉鎖がみ
られ、治療開始後 190日で治癒した。治療期間中、綿状
創傷保護材は適宜交換されたが、交換回数は最小限でよ
く、融解等は認められなかった。また、弾力性により創
は十分に保護され、治癒期間が大きく短縮された。
【0041】
【発明の効果】本発明の綿状創傷保護材は、深い創、滲
出液の多い創等に使用した場合に、良好な治癒効果を有
する。また、本発明の綿状創傷保護材は、キチンの持つ
特性を利用して肉芽形成、表皮形成を促進すると共に、
結晶配向度の高いキチン繊維を使用することにより、こ
れまでには得られなかった優れた弾力性及びそれに伴う
水分保持能力による治癒促進、また融解に対する耐性を
示すものである。本発明の綿状創傷保護材は、医療分野
における深い傷、例えば、熱傷、採皮創、植皮創等の皮
膚欠損傷の創傷被覆保護材として使用した場合、患部へ
の密着性、滲出液による融解耐性、滲出液の排除効果に
優れているだけでなく、使用に際して患部を傷つけるこ
となく、治癒状態も良好であり、特に深い傷、例えば、
褥瘡等の保護材としての優れた効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 圭史 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 長谷川 明彦 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶配向度が70%以上であるキチン繊維
    よりなる綿状創傷保護材。
JP8235049A 1996-09-05 1996-09-05 綿状創傷保護材 Pending JPH1075998A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8235049A JPH1075998A (ja) 1996-09-05 1996-09-05 綿状創傷保護材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8235049A JPH1075998A (ja) 1996-09-05 1996-09-05 綿状創傷保護材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1075998A true JPH1075998A (ja) 1998-03-24

Family

ID=16980336

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8235049A Pending JPH1075998A (ja) 1996-09-05 1996-09-05 綿状創傷保護材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1075998A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1101488C (zh) * 2000-03-14 2003-02-12 青岛即发集团股份有限公司 一种纺织材料
JP2004526705A (ja) * 2001-02-12 2004-09-02 マリン ポリマー テクノロジーズ,インコーポレーテッド 血管構造及び/または機能のモジュレーションのための組成物及び方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5626049A (en) * 1979-08-06 1981-03-13 Mitsubishi Rayon Co Chitine or chitine derivative nonwoven fabric and method
JPH02307915A (ja) * 1989-05-18 1990-12-21 Unitika Ltd 抗菌性繊維製品
JPH04178329A (ja) * 1990-11-09 1992-06-25 Unitika Ltd 抗菌性材料及び抗菌性創傷被覆保護材
JPH04371161A (ja) * 1991-06-19 1992-12-24 Unitika Ltd キチン又はキトサンの綿状物
JPH07102458A (ja) * 1993-09-30 1995-04-18 Unitika Ltd キチンウェブ状物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5626049A (en) * 1979-08-06 1981-03-13 Mitsubishi Rayon Co Chitine or chitine derivative nonwoven fabric and method
JPH02307915A (ja) * 1989-05-18 1990-12-21 Unitika Ltd 抗菌性繊維製品
JPH04178329A (ja) * 1990-11-09 1992-06-25 Unitika Ltd 抗菌性材料及び抗菌性創傷被覆保護材
JPH04371161A (ja) * 1991-06-19 1992-12-24 Unitika Ltd キチン又はキトサンの綿状物
JPH07102458A (ja) * 1993-09-30 1995-04-18 Unitika Ltd キチンウェブ状物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1101488C (zh) * 2000-03-14 2003-02-12 青岛即发集团股份有限公司 一种纺织材料
JP2004526705A (ja) * 2001-02-12 2004-09-02 マリン ポリマー テクノロジーズ,インコーポレーテッド 血管構造及び/または機能のモジュレーションのための組成物及び方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1221984B1 (en) Wound care device comprising chitosan
US6175053B1 (en) Wound dressing material containing silk fibroin and sericin as main component and method for preparing same
EP0199531B1 (en) Wound dressing
JP3200256B2 (ja) アルギン酸塩ゲル
HU186129B (en) Bsorptive wound ligament and process for the production thereof
JPH04235124A (ja) 高水和された自己支持フィルムの形態のゲル
CA3012973C (en) Carboxymethlated cellulose sheet for covering a wound
JP3046099B2 (ja) キチン又はキトサンの綿状物
JPH1075998A (ja) 綿状創傷保護材
JPH04178329A (ja) 抗菌性材料及び抗菌性創傷被覆保護材
JPH07102458A (ja) キチンウェブ状物
JPH10337302A (ja) 鼓膜欠損閉鎖促進材及びその製造方法
JPH09503142A (ja) アルギネート創傷ドレッシング
JPH0551401A (ja) 抗菌剤を含むキチン成形体
JPH0442019B2 (ja)
JP3723683B2 (ja) 生分解性成形体
JPH0442020B2 (ja)
JP2660255B2 (ja) アルギン酸系繊維、その製造方法及びその製品
JPS63211232A (ja) 止血剤
JP2002219143A (ja) 創傷被覆材
JP2003265591A (ja) 創傷被覆材およびその製造方法
JP2004010749A (ja) 生分解性組成物
JP2001254231A (ja) キチン繊維及びその製造方法
JP2580136B2 (ja) 創傷被覆保護材
JPH04285565A (ja) 歯周組織再生誘導材料

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040406

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050322

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050719