JPH107440A - 熱線遮蔽ガラス - Google Patents

熱線遮蔽ガラス

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JPH107440A
JPH107440A JP16480396A JP16480396A JPH107440A JP H107440 A JPH107440 A JP H107440A JP 16480396 A JP16480396 A JP 16480396A JP 16480396 A JP16480396 A JP 16480396A JP H107440 A JPH107440 A JP H107440A
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film
zno
layer
glass
moisture resistance
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JP16480396A
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Toyo Otsuki
東洋 大槻
Takao Tomioka
孝夫 冨岡
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Central Glass Co Ltd
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Central Glass Co Ltd
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
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    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少なくともZnO 膜を最外表層にもつ熱線遮蔽
膜における耐湿性および耐摩耗性をより向上した熱線遮
蔽ガラスを得る。 【解決手段】 ガラス基板の表面上に形成した積層膜の
うち、少なくとも下地膜層を保護する最外表層におい
て、ZnO 膜にBi2O3 を1〜30mol %含有せしめたZnO-Bi
2O3 系膜層で成る熱線遮蔽ガラス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐湿性が優れた熱線
遮蔽ガラスに関し、建築用はもちろん車輌用等の窓ガラ
スとして有用となる熱線遮蔽ガラスを提供するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より省エネルギーの観点から窓ガラ
スを通じて車内や室内に照射される太陽光の特定の波長
部分を遮断し、車内や室内の温度上昇を低減し、冷房機
器の負荷を低減させるため熱線遮蔽性の高い窓ガラスが
要求されている。
【0003】熱線、赤外線を遮断する方法として所謂ド
ルーデミラーと呼ばれる、透明基板上に酸化インジウム
と酸化錫の混合膜(ITO 膜)やアルミニウムを添加した
酸化亜鉛膜に代表される透明導電性膜を成膜して熱線を
遮断する方法が知られている。このタイプのガラスは熱
線を遮断するものの遮断する波長が1.5 μm以上であ
り、熱線遮断性能はあまり良くない。また各種の金属膜
を積層しドルーデミラー効果に光干渉効果を組み合わせ
て特定波長の光を反射または透過させることが知られて
いる。この熱線反射膜としては、例えば特公昭47-6315
号公報には銀膜を透明誘電体膜で挟んだ構成が、また特
開昭63-206333 号公報には窒化物を透明誘電体膜で挟ん
だ構成が開示されている。
【0004】また例えば、特公平5-70580 号公報には、
高透過率を有する赤外反射物品が記載されており、透明
基板上に基板側から順次透明酸化物の第1層、銀の第2
層、透明酸化物の第3層、銀の第4層、透明酸化物の第
5層から成る5層コ─ティングが設けられた赤外反射物
品において、該銀層の厚みが110 Å以下であり、可視光
線透過率が70%以上であるものが開示されている。また
具体的には例えば、基板/ZnO[400 Å(200〜600 Å)]/
Ag[100Å(60 〜110 Å)]/ZnO[800 Å(400〜1200Å)]/
Ag[100Å(60 〜110 Å)]/ZnO[400 Å(200〜600 Å)]を
挙げ、従来例として基板/ZnO(400 Å) /Ag(100Å) /
ZnO(400 Å) を挙げている。
【0005】また例えば、特開平5-229052号公報には、
熱線遮断膜が記載されており、基板上に酸化物膜、金属
膜、酸化物膜、と交互に積層された(2n+1)層(n
≧1)からなる熱線遮断膜において、基体から見て、基
体から最も離れた金属膜(A)の反対側に形成された酸
化物膜(B)は、Si、Ti、Cr、B 、Mg、Sn、Gaのうち少
なくとも1種をZnとの総量に対し、1〜10原子%ド−プ
した酸化亜鉛膜を少なくとも1層含むものが記載され、
また前記金属膜(A)はAgを主成分とするものであり、
前記酸化亜鉛膜は酸化亜鉛の結晶系が六方晶であり、Cu
K α線を用いたX線回折法による六方晶酸化亜鉛の(00
2)回折線の回折角2θ(重心位置)の値が33.88 °以上
35.00 °以下の膜であることが記載されている。
【0006】具体的には例えば、基板/Siド−プ(3.0原
子%)ZnO(450 Å) /Ag(100Å) /Siド−プZn(20 Å)
を形成後酸化雰囲気中でZnO を成膜し最終Siド−プ(3.0
原子%)ZnO(総膜厚450 Å) 等が開示されている。
【0007】さらに例えば、特開平7-330381号公報に
は、機能性物品が記載されており、透明基体上に、透明
酸化物層と金属層とが交互に積層され、最外層に透明酸
化物層が形成された機能性物品において、最上層の透明
酸化物層と最外層から数えて1番目の金属層との間に、
少なくとも1層の透明窒化物層が形成されたものが記載
され、また前記透明酸化物層は、亜鉛、インジウム、
錫、チタン、ビスマス、タンタル、アルミニウムおよび
ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の
金属の酸化物を主成分とすることが記載されている。具
体的には例えば、ガラス板/ZnO(40nm) /Ag(10nm)/Zn
(2nm) /SiN(10nm) /ZnO(40nm) が開示されている。
【0008】一方また、基板上にZnO を含むBi2O3 から
なる無定形の誘電体薄膜をスパッタリング被着させて形
成する誘電体薄膜の製造方法が特公昭56-19933号公報等
に記載され、さらにまたAg膜をBi2O3 膜でサンドイッチ
状にした熱線遮蔽膜等も知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述した例えば、特公
平5-70580 号公報に記載の高透過率を有する赤外反射物
品では、透明酸化物として例えばZnO の層と銀の層を交
互に銀層を挟むようにした膜構成を、単に従来の3層か
ら5層に変更しても、最外表層にZnO 膜を用いるかぎり
従来とかわることがない程度の耐久性であり、特に耐湿
性が劣り、これらの改善が望まれることに変わりないも
のである。
【0010】また例えば、特開平5-229052号公報に記載
の熱線遮断膜では、Si、Ti、Cr、B、Mg、Sn、Gaのうち
少なくとも1種をZnとの総量に対し、1〜10原子%ド−
プした酸化亜鉛膜を少なくとも1層含むようにして、酸
化亜鉛膜の低内部応力化により、膜破損をしにくくし、
湿気による劣化を抑えるというものであるが、例えばZn
O 膜のC軸配向そのものを変えているものではなく、内
部応力を必ずしも充分解消したものとは言い難く、充分
優れた耐湿性を有するものであるとは言い難いものであ
る。
【0011】さらに例えば、特開平7-330381号公報に記
載の機能性物品では、最上層の透明酸化物層と最外層か
ら数えて1番目の金属層との間に、少なくとも1層の透
明窒化物層を形成したとしても、透明窒化物層が単に金
属層のバリア層となっているだけであって、最上層の透
明酸化物層例えばZnO 膜自体の改善による耐湿性の向上
ではなく、従来より少なくとも1層を追加することが必
要であり、必ずしも生産性がよいものとは言い難いもの
である。
【0012】いずれにしても、例えばガラス/ZnO /Ag
/ZnO のようなスパッタ法による膜構成の熱線遮蔽膜に
おけるZnO 膜の結晶は通常C軸配向し、ガラス面にZnO
結晶の(002 )面が優先的に成長した構造をとり、その
際の(002 )面の面間隔がバルクのZnO 結晶より大き
く、ZnO 膜には強い内部応力が存在することとなり、湿
度の高い状態に置かれると、その内部応力の解消にとも
なって、Ag膜とZnO 膜の界面あるいはZnO 膜自体におい
て隆起やクラックが生じ、そこから水分が入り、Agが凝
集し、白色斑点や白濁等の欠陥が発現するようになるた
め、単板でのハンドリングや保管に特別な工夫が必要と
されてきた。
【0013】これに対し、上述した各公報等に記載され
てきているようなものでは、充分な改善でなかったりあ
るいは生産性が悪化したりするようなものであって、さ
らなる耐湿性、耐摩耗性等耐久性に優れるものが生産性
よく提供されるようになることが望まれていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
に鑑みてなしたものであり、ガラス基板の表面上に成膜
した積層膜の最外表層として用いたZnO 膜において、該
ZnO 膜に対し、Znよりイオン半径が大きいBiの酸化物で
あって、しかもZnO より優れた耐湿性を有する該Biの酸
化物を特定量含有せしめたZnO-Bi2O3 系膜とすることに
より、積層膜の最外表層にふさわしいバリア性と耐久性
等を発揮するものとすることで積層膜自体の耐湿性をよ
り高めるとともに、耐摩耗性をも強め、耐久性をより優
れるものとするよう、さらにZnO-Bi2O3 系膜を少なくと
も膜構成の一つとして備える熱線遮蔽ガラスを提供する
ものである。
【0015】すなわち、本発明は、ガラス基板の表面上
に形成した積層膜のうち、少なくとも下地膜層を保護す
る最外表層において、ZnO 膜にBi2O3 を1〜30mol %含
有せしめたZnO-Bi2O3 系膜層で成ることを特徴とする熱
線遮蔽ガラス。
【0016】また、前記最外表層としてBi2O3 を3〜25
mol %含有したZnO 膜を少なくとも1層含むことを特徴
とする上述した熱線遮蔽ガラス。さらに、前記下地膜層
が少なくとも金属膜層から成ることを特徴とする上述し
た熱線遮蔽ガラス。
【0017】さらにまた、前記下地膜層として金属膜
層、酸化物膜層、窒化物膜層あるいは窒素酸化物膜層の
うち、少なくとも2種以上選び、2層以上に積層成膜し
て成ることを特徴とする上述した熱線遮蔽ガラス。
【0018】さらに、前記金属膜層が銀もしくは銀を主
成分とする金属膜から成ることを特徴とする上述した熱
線遮蔽ガラス。さらにまた、前記積層膜、スパッタ法に
よって形成して成ることを特徴とする上述した熱線遮蔽
ガラスを提供するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】ここで、前記したように、ガラス
基板の表面上に形成した積層膜のうち、少なくとも下地
膜層を保護する最外表層において、ZnO 膜にBi2O3 を1
〜30mol %含有せしめたZnO-Bi2O3 系膜層で成る熱線遮
蔽ガラスとしたのは、該ZnO 膜に対し、Znよりイオン半
径が大きいBiの酸化物であって、しかもZnO より優れた
耐湿性を有する該Biの酸化物を特定量含有せしめたZnO-
Bi2O3 系膜とすることにより、積層膜の最外表層にふさ
わしいバリア性と耐久性等を発揮するものとすることで
積層膜自体の耐湿性をより高め、耐摩耗性をも強め、耐
久性をより優れるものとすることができるからである。
【0020】また、前記したZnO 膜にBi2O3 を1〜30mo
l %含有せしめることとしたのは、含有量が1mol %未
満では充分耐湿性が改善されないし、30mol %を超える
と耐湿性が次第に悪化し、白濁が生じ易くなり、所期の
めざす耐湿性、耐久性が得られないためである。ZnO 膜
へのBi2O3 の好ましい含有量は、3〜25mol %であり、
該範囲であれば例えば、耐湿性、耐久性が明らかに向上
し格段に優れたものとなるとともに、透過色調が黄色く
なり過ぎるようなことも生じることがないからである。
【0021】また、前記ZnO-Bi2O3 系膜におけるZnO の
結晶をX線回折(後述の実施例1の方法)すると、六方
晶系であり、ガラス面と平行にZnO 結晶の(102 )面が
優先的に成長した膜であり、ZnO 結晶の(002 )面と
(102 )面とのX線回折強度比(I002 /I102 )が0
〜0.1 である。これによってZnO 結晶の配向性そのもの
を変えて内部応力をも低減し、膜材料自体の耐湿性をよ
り向上させ、耐摩耗性をも強め、耐久性をより優れるも
のとすることができる。
【0022】また、前記ZnO-Bi2O3 系膜の膜厚として
は、特に限定されないが、熱線遮蔽膜全体の色調、可視
光透過率、耐湿性などの保護膜機能等を考慮すると、10
0nm 以下、好ましくは80nm以下、より好ましくは70〜20
nm程度である。
【0023】さらに、前記金属膜層としては、Ag、Au、
Cu、Cr、Al等の群から選ばれる少なくとも1種の金属か
らなる金属膜または合金膜であり、また他に例えばTi、
Zr、SUS 、Zn、Ta、NiCr等が挙げられる。ことに Low-E
(Low-Emissivity)膜でなる熱線遮蔽膜を被膜してなる
Low-Eガラスにおける金属膜層としては、銀もしくは銀
を主成分とする金属膜である。また該金属膜層の膜厚と
しては、約20nm程度以下、好ましくは約17nm〜1nm 程度
である。
【0024】本発明において好適に用いられる金属酸化
物膜、窒化物膜あるいは窒素酸化物膜としては、Zn、S
n、Ta、Al、Ga、In、Si、Ti、Zr、SUS 、In、Ce、Bi、S
b、Bのうち少なくとも1種を含むものから選択されるも
のである。またはその膜厚としては、約80nm程度以下、
好ましくは約50nm〜 5nm程度である。
【0025】本発明において好適に用いられる熱線遮断
膜としては、例えばガラス基板/ZnO-Bi2O3 系膜(20〜
50nm)/AgもしくはAgを主成分とする金属膜(5 〜17n
m)/Ti膜(1 〜5nm )/ZnO-Bi2O3 系膜(20〜70n
m)、またはガラス基板/ZnO-Bi2O 3 系膜(20〜50nm)
/AgもしくはAgを主成分とする金属膜(5 〜17nm)膜/
ZnO-Bi2O3 系膜(20〜50nm)/AgもしくはAgを主成分と
する金属膜(5 〜17nm)/Ti膜(1 〜5nm )/ZnO-Bi2O
3 系膜(20〜70nm)等、ガラス基板/ZnO-Bi2O3 系膜
(20〜50nm)/AgもしくはAgを主成分とする金属膜(5
〜17nm)/ZnO-Bi2O3 系膜(20〜70nm)の3層をベ−ス
とした所謂 Low-Eガラスにおける熱線遮断膜である。さ
らにまた紫外線遮蔽ガラス、あるいはこれらの複合膜等
における被覆膜としても用いられる。
【0026】この熱線遮断膜は、前記ZnO-Bi2O3 系膜を
最外表層膜とし、金属膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜
または金属窒素酸化物膜、あるいはこれらの組み合わせ
た積層膜であり、Zn、Ag等の金属ターゲット、Bi2O3
の焼結体タ−ゲットなどを用い、O2ガス、Arガス、N2
ス、O2ガス+Arガス、またはO2ガス+Arガス+N2ガス等
の単独または混合ガスの反応性スパッタリングにより形
成される。また、使用するガスの比率は必要とされる可
視光線透過率や日射透過率に合わせて調節できる。これ
らの熱線遮断膜はスパッタ法、蒸着法、イオンプレーテ
ィング法、化学気相法(CVD 法)などの真空成膜法、ま
たはゾルゲル法によって成膜できる。このうち大面積化
および生産性等の点でスパッタ法、イオンプレーティン
グ法が好ましい。
【0027】熱線遮断膜の光学特性の改良、耐摩耗性や
耐薬品性を改良する目的で、熱線遮断膜以外に各種膜を
目的によって適宜任意に選択し形成することができるこ
とは言うまでもない。
【0028】透明基板としては、ソーダライムガラス、
アルミノシリケートガラスなどの各種ガラス板(例えば
フロートガラス)、ブロンズ、グレー、ブルー、グリー
ン等の着色ガラス(例えばフロート着色ガラス)、また
はポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリカーボネ
イト(PC)のような透明樹脂基板より選ばれる。さらに
は場合によっては半透明状のものも採用しうる。
【0029】また、本発明の熱線遮蔽ガラスは単板で使
用できるものであるが、合せガラスあるいは複層ガラス
としても使用できることも言うまでもない。前述したと
おり、本発明の熱線遮蔽ガラスによれば、ガラス基板の
表面上に形成した積層膜のうち、少なくとも下地膜層を
保護する最外表層において、ZnO 膜にBi2O3 を1〜30mo
l %含有せしめたZnO-Bi2O3 系膜層で成る熱線遮蔽ガラ
スとすることにより、少なくとも最外表層に特定したZn
O-Bi2O3 系膜層を形成し含む積層膜となるので、自体が
耐湿性と耐摩耗性があるBi2O3 によってZnO 結晶の配向
性も変えることができて、内部応力をより低減できZnO
自体をも安定して劣化がなくなり、よりバリア性に優れ
るものとなり、熱線遮蔽膜である積層膜の耐湿性と耐摩
耗性を向上せしめて格段に優れる耐久性を発揮するもの
となり、例えばAgが凝集し、白色斑点や白濁等の欠陥を
発生し難くできる等、特にAg膜を構成膜とするLow-E ガ
ラスに有効であり、例えば単板でのハンドリングや保管
に特別な工夫が必要なくなり、取り扱いが容易でしかも
保管も簡単でより長くできるようになる。
【0030】また本発明の熱線遮蔽ガラスは、単板ガラ
スとしてはもちろん、合せガラス、複層ガラス、曲げガ
ラス等、建築用あるいは自動車用の窓ガラスとして有用
であり、船舶や航空機等の窓ガラス、さらには種々の機
能的分野における膜付きガラスに採用することができ
る。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではな
い。
【0032】実施例1 大きさ約300mm ×300mm で厚み約3mm のフロ−トガラス
(Fl-3)を、中性洗剤、水すすぎ、イソプロピルアルコ
ール等で洗浄、乾燥しガラス基板とした。
【0033】次に、DCマグネトロンスパッタリング装置
の真空槽内にセットしてある、Biチップを複数個上面に
置いたZnタ−ゲットとTiとAgのタ−ゲットに対向して上
方を往復できるようガラス基板をセットした。
【0034】次に、前記槽内を真空ポンプで約5×10-6
Torrまでに脱気した後、該真空槽内にO2ガスを導入して
真空度を約2×10-3Torrに保持し、前記Znタ−ゲットに
約0.6kW の電力を印加し、前記O2ガスによるDCマグネト
ロン反応スパッタの中を、前記Znタ−ゲット上方におい
てスピ−ド約90mm/min で前記ガラス基板を搬送するこ
とによって約30nm厚さのBi2O3 を3.7mol%含有したZnO
薄膜を第1層として成膜した。成膜終了後Znタ−ゲット
への印加を停止した。
【0035】次いで、前記ガラス基板を前記真空槽中に
おいたまま、前記槽内を真空ポンプで約5×10-6Torrま
でに脱気した後、該真空槽内にArガスを導入して真空度
を約2×10-3Torrに保持し、前記Agタ−ゲットに約0.1k
W の電力を印加し、前記AgガスによるDCマグネトロン反
応スパッタの中を、前記Agタ−ゲット上方においてスピ
−ド約470mm /min で前記ガラス基板を搬送することに
よって、前記ZnO 薄膜上に約10nm厚さのAg薄膜を第2層
として成膜した。成膜終了後Agタ−ゲットへの印加を停
止した。
【0036】続いて、同様にして該真空槽内にArガスを
導入して真空度を約2×10-3Torrに保持し、前記Tiタ−
ゲットに約0.5kW の電力を印加し、前記TiガスによるDC
マグネトロン反応スパッタの中を、前記Tiタ−ゲット上
方においてスピ−ド約850mm/min で前記ガラス基板を
搬送することにより、前記Ag薄膜上に約3nm厚さのTi薄
膜を第3層として成膜した。成膜終了後Agタ−ゲットへ
の印加を停止した。
【0037】さらに、第1層膜と同様にして、該真空槽
内にO2ガスを導入して真空度を約2×10-3Torrに保持
し、前記Znタ−ゲットに約0.6kW の電力を印加し、前記
O2ガスによるDCマグネトロン反応スパッタの中を、前記
Znタ−ゲット上方においてスピ−ド約90mm/min で前記
ガラス基板を搬送することにより、前記Ti薄膜上に約30
nm厚さのZnO 薄膜を第4層として成膜した。成膜終了後
Znタ−ゲットへの印加を停止した。
【0038】得られた4層でなる積層薄膜付きガラス基
板について、下記の評価をした。 〔X線回折〕 装置:(株)リガク製、RINT-1500 。
【0039】条件:電圧;40kV、電流;100mA の条件
で、 CuKα線を用いたX線回折により、各試料の格子面
反射を測定。 〔耐湿性試験〕 1)30℃で相対湿度90%の恒温恒湿槽内に放置し、100mm
×100mm 内に大きさ約0.1mm φ以上の白濁様の欠陥が約
10個程度発生した時点における日数によって評価した。
なお、その際の欠陥の確認は、蛍光白色板の光源を膜面
に照射し、反射率の差から目視で行った。
【0040】2)50℃で相対湿度95%の恒温恒湿槽内に放
置し、上記と同様に評価した。上記欠陥の数が5個未満
を○印、5〜20個を△印、20個を超えるかもしくは外観
が著しく変化した場合×印とした。 〔耐摩耗性〕 試験機:トラバ−ス式摩耗試験機による摺動耐久性によ
り耐摩耗性を評価した。
【0041】摩擦布:ブロ−ド布6枚重ね。 荷重 : 0.1kg/cm2 (JIS L 3102-1961-1206)。 ストロ−ク:100mm の往復摺動(摺動回数は往復の回
数)。
【0042】摺動速度:30往復/分。 測定: 摺動回数1000回と3500回のトラバ−ス後におけ
る、透過率の変化;△T(%)およびヘイズ値の変化;
△H(%)を測定。 〔光学特性〕 装置: 340 型自記分光光度計(日立製作所製、光源;
D65 2 °視野)。
【0043】測定: 可視光透過率(Tv:380〜780nm
)、可視光反射率(Rv:380〜780nm)ならびに日射透過
率(Ts:340〜1800nm)と日射反射率(Rs:340〜1800nm)
等について測定し、所定の波長毎の透過率、反射率の各
デ−タとJIS Z 8722、JIS R 3106によってそれぞれ求め
た。
【0044】その結果、表1に示すようになり、得られ
た積層薄膜付きガラス基板は、成膜したZnO-Bi2O3 薄膜
のX線回折において、ガラス面に六方晶系ZnO 結晶の
(102)面が優先的に成長しており、(002 )面の回折
線強度は表示できない程度と非常に弱く、C軸配向をし
ていなかった。
【0045】また、耐湿性試験1)では100mm ×100mm 内
に大きさ約0.1mm φの白濁様の欠陥が約10個程度発生し
た時点における日数が約10日間目であり、耐湿性が向上
していた。さらに耐湿性試験2)では4時間後で○印、24
時間後で△印であった。
【0046】また、トラバ−ス式摩耗試験による耐摩耗
性については摺動回数1000回における△Tが−0.3 %と
△Hが0.3 %、3500回における△Tが−0.4 %、△Hが
0.6%であり優れるものであった。
【0047】さらに、該積層薄膜付きガラス基板は、表
2に示すように、可視光透過率Tvが74.8%、日射透過率
Tsが52.5%、放射率が0.09であって、Low-E 性能を有す
る熱線遮蔽ガラスであり、優れた耐湿性ならびに耐摩耗
性等耐久性がある所期のめざす熱線遮蔽ガラスであっ
た。
【0048】実施例2 実施例1と同様の膜材料、成膜条件、膜構成と膜厚であ
る中で、第1層目と第4層目においてBiチップの複数個
を実施例1の約1.7 倍個置いたZnタ−ゲットによってBi
2O3 の含有量を5.8mol%に変えたZnO 薄膜を用い、4層
でなる積層薄膜付きガラス基板を得た。
【0049】得られた積層薄膜付きガラス基板について
実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す
ようになり実施例1と同様に、成膜したZnO-Bi2O3 薄膜
のX線回折パタ−ンでは、ガラス面に六方晶系ZnO 結晶
の(102 )面が優先的に成長し回折線強度が強く、(00
2 )面の回折線強度は表示できない程度と非常に弱く、
C軸配向は認められなかった。また、耐湿性試験1)では
日数が約11日目であり、耐湿性が向上していた。さらに
また耐湿性試験2)では4時間後で○印、24時間後で△印
であった。
【0050】また、トラバ−ス式摩耗試験による耐摩耗
性については摺動回数1000回における△Tが−0.2 %と
△Hが0.2 %、3500回における△Tが−0.3 %、△Hが
0.5%であり優れるものであった。
【0051】さらに、該積層薄膜付きガラス基板は、表
2に示すように、可視光透過率Tvが70.8%、日射透過率
Tsが50.9%、放射率が0.09であって、Low-E 性能を有す
る熱線遮蔽ガラスであり、優れた耐湿性ならびに耐摩耗
性等耐久性がある所期のめざす熱線遮蔽ガラスであっ
た。
【0052】実施例3 実施例1と同様の膜材料、成膜条件、膜構成と膜厚であ
る中で、第1層目と第4層目においてBiチップの複数個
を実施例1の約3.3 倍個置いたZnタ−ゲットと、ガラス
基板の搬送速度を75mm/min にすることによってBi2O3
の含有量を6.7mol%に変えたZnO 薄膜を用い、4層でな
る積層薄膜付きガラス基板を得た。
【0053】得られた積層薄膜付きガラス基板について
実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す
ようになり実施例1と同様に、成膜したZnO-Bi2O3 薄膜
のX線回折パタ−ンでは、ガラス面に六方晶系ZnO 結晶
の(102 )面が優先的に成長し回折線強度が強く、その
面間隔は2.038 Åであった。(002 )面の回折線は認め
られず、C軸配向は認められなかった。また、耐湿性試
験1)では日数が約22日目であり、耐湿性が優れるもので
あった。さらにまた耐湿性試験2)では4時間後で○印、
24時間後で△印であった。
【0054】また、トラバ−ス式摩耗試験による耐摩耗
性については摺動回数1000回における△Tが−0.1 %と
△Hが0%、3500回における△Tが−0.2 %、△Hが0.
4 %であり優れるものであった。
【0055】さらに、該積層薄膜付きガラス基板は、表
2に示すように、可視光透過率Tvが77.9%、日射透過率
Tsが56.9%、放射率が0.09であって、Low-E 性能を有す
る熱線遮蔽ガラスであり、格段に優れた耐湿性ならびに
耐摩耗性等耐久性がある所期のめざす熱線遮蔽ガラスで
あった。
【0056】実施例4 実施例1と同様の膜材料、成膜条件、膜構成と膜厚であ
る中で、第1層目と第4層目においてその成膜時の反応
性ガスを50%O2ガスと50%Arガスの混合ガスと、ガラス
基板の搬送速度を157mm /min にすることによってBi2O
3 の含有量を8.4mol%に変えたZnO 薄膜を用い、4層で
なる積層薄膜付きガラス基板を得た。
【0057】得られた積層薄膜付きガラス基板について
実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す
ようになり実施例1と同様に、成膜したZnO-Bi2O3 薄膜
のX線回折パタ−ンでは、ガラス面に六方晶系ZnO 結晶
の(102 )面が優先的に成長し回折線強度が強く、(00
2 )面の回折線は認められず、C軸配向は認められなか
った。また、耐湿性試験1)では日数が約16日目であり、
耐湿性が優れるものであった。さらにまた耐湿性試験2)
では4時間後で○印、24時間後で△印であった。
【0058】また、トラバ−ス式摩耗試験による耐摩耗
性については摺動回数1000回における△Tが−0.1 %と
△Hが0%、3500回における△Tが−0.2 %、△Hが0.
4 %であり優れるものであった。
【0059】さらに、該積層薄膜付きガラス基板は、表
2に示すように、可視光透過率Tvが76.5%、日射透過率
Tsが55.8%、放射率が0.09であって、Low-E 性能を有す
る熱線遮蔽ガラスであり、充分優れた耐湿性ならびに耐
摩耗性等耐久性がある所期のめざす熱線遮蔽ガラスであ
った。
【0060】実施例5 実施例1と同様の膜材料、成膜条件、膜構成と膜厚であ
る中で、第1層目と第4層目においてBiチップの複数個
を実施例1の約1.7 倍個置いたZnタ−ゲットと、その成
膜時の反応性ガスを50%O2ガスと50%Arガスの混合ガス
と、ガラス基板の搬送速度を170mm /min にすることに
よってBi2O3 の含有量を10.0mol %に変えたZnO 薄膜を
用い、4層でなる積層薄膜付きガラス基板を得た。
【0061】得られた積層薄膜付きガラス基板について
実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す
ようになり実施例1と同様に、成膜したZnO-Bi2O3 薄膜
のX線回折パタ−ンでは、ガラス面に六方晶系ZnO 結晶
の(102 )面が優先的に成長し回折線強度が強く、(00
2 )面の回折線は認められず、C軸配向は認められなか
った。また、耐湿性試験1)では日数が約20日目であり、
耐湿性が優れるものであった。さらにまた耐湿性試験2)
では4時間後で○印、24時間後で△印であった。
【0062】また、トラバ−ス式摩耗試験による耐摩耗
性については摺動回数1000回における△Tが−0.1 %と
△Hが0%、3500回における△Tが−0.2 %、△Hが0.
4 %であり優れるものであった。
【0063】さらに、該積層薄膜付きガラス基板は、表
2に示すように、可視光透過率Tvが74.4%、日射透過率
Tsが54.5%、放射率が0.08であって、Low-E 性能を有す
る熱線遮蔽ガラスであり、格段に優れた耐湿性ならびに
耐摩耗性等耐久性がある所期のめざす熱線遮蔽ガラスで
あった。
【0064】実施例6 実施例1と同様の膜材料、成膜条件、膜構成と膜厚であ
る中で、第1層目と第4層目においてBiチップの複数個
を実施例1の約3.3 倍個置いたZnタ−ゲットと、その成
膜時の反応性ガスを50%O2ガスと50%Arガスの混合ガス
と、ガラス基板の搬送速度を145mm /min にすることに
よってBi2O3 の含有量を13.0mol %に変えたZnO 薄膜を
用い、4層でなる積層薄膜付きガラス基板を得た。
【0065】得られた積層薄膜付きガラス基板について
実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す
ようになり実施例1と同様に、成膜したZnO-Bi2O3 薄膜
のX線回折パタ−ンでは、ガラス面に六方晶系ZnO 結晶
の(102 )面が優先的に成長し回折線強度が強く、(00
2 )面の回折線は認められず、C軸配向は認められなか
った。また、耐湿性試験1)では日数が約20日目であり、
耐湿性が優れるものであった。さらにまた耐湿性試験2)
では4時間後で○印、24時間後で△印であった。
【0066】また、トラバ−ス式摩耗試験による耐摩耗
性については摺動回数1000回における△Tが−0.1 %と
△Hが0%、3500回における△Tが−0.2 %、△Hが0.
4 %であり優れるものであった。
【0067】さらに、該積層薄膜付きガラス基板は、表
2に示すように、可視光透過率Tvが76.3%、日射透過率
Tsが53.3%、放射率が0.09であって、Low-E 性能を有す
る熱線遮蔽ガラスであり、格段に優れた耐湿性ならびに
耐摩耗性等耐久性がある所期のめざす有用な熱線遮蔽ガ
ラスであった。
【0068】実施例7 実施例1と同様の膜材料、成膜条件、膜構成と膜厚であ
る中で、第1層目と第4層目においてBiチップの複数個
を実施例1の約3.3 倍個置いたZnタ−ゲットと、その成
膜時の反応性ガスを50%O2ガスと50%Arガスの混合ガス
と、成膜時の印加電力を2.5kW とし、ガラス基板の搬送
速度を535mm /min にすることによってBi2O3 の含有量
を20.0mol %に変えたZnO 薄膜を用い、4層でなる積層
薄膜付きガラス基板を得た。
【0069】得られた積層薄膜付きガラス基板について
実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す
ようになり実施例1と同様に、成膜したZnO-Bi2O3 薄膜
のX線回折パタ−ンでは、ガラス面に六方晶系ZnO 結晶
の(102 )面が優先的に成長し回折線強度が強く、その
面間隔は2.039 Åであった。(002 )面の回折線は認め
られず、C軸配向は認められなかった。また、耐湿性試
験1)では日数が約30日間以上であり、耐湿性が格段に優
れるものであった。さらにまた耐湿性試験2)では4時間
後ではもちろん、24時間後でも○印であった。
【0070】また、トラバ−ス式摩耗試験による耐摩耗
性については摺動回数1000回における△Tが0%と△H
が0%、3500回における△Tが−0.3 %、△Hが0%で
あり充分優れるものであった。
【0071】さらに、該積層薄膜付きガラス基板は、表
2に示すように、可視光透過率Tvが71.1%、日射透過率
Tsが51.9%、放射率が0.09であって、Low-E 性能を有す
る熱線遮蔽ガラスであり、格段に優れた耐湿性ならびに
耐摩耗性等耐久性がある所期のめざす有用な熱線遮蔽ガ
ラスであった。
【0072】比較例1 実施例1と同様の膜材料、成膜条件、膜構成と膜厚であ
る中で、第1層目と第4層目においてBiチップを用い
ず、Znタ−ゲットのみとし、ガラス基板の搬送速度を85
mm/min にすることによってZnO 薄膜を用い、4層でな
る積層薄膜付きガラス基板を得た。
【0073】得られた積層薄膜付きガラス基板について
実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す
ようになり、成膜したZnO 薄膜のX線回折パタ−ンは、
ガラス面に六方晶系ZnO 結晶の(002 )面が優先的に成
長し回折線強度が強く、C軸配向膜であり、(002 )面
の面間隔は2.66ÅとZnO のバルク結晶に比べて大きく、
高い内部応力が存在するようなものであった。また、耐
湿性試験1)では日数が約3日間であり、耐湿性があるも
のとは言えないものであった。さらにまた耐湿性試験2)
では4時間後では△印で、24時間後でも×印であった。
【0074】また、トラバ−ス式摩耗試験による耐摩耗
性については摺動回数1000回における△Tが0.7 %と△
Hが1.4 %、3500回における△Tおよび△Hは測定不能
であり弱いものであった。
【0075】さらに、該積層薄膜付きガラス基板は、表
2に示すように、可視光透過率Tvが75.1%、日射透過率
Tsが53.3%、放射率が0.09であって、Low-E 性能を有す
る熱線遮蔽ガラスであるが、耐湿性ならびに耐摩耗性等
耐久性があるものとは言えず、所期のめざす熱線遮蔽ガ
ラスではなかった。
【0076】比較例2 実施例1と同様の膜材料、成膜条件、膜構成と膜厚であ
る中で、第1層目と第4層目においてBiチップを用い
ず、Znタ−ゲットのみとし、その成膜時の反応性ガスを
50%O2ガスと50%Arガスの混合ガスと、ガラス基板の搬
送速度を115mm /min にすることによってZnO 薄膜を用
い、4層でなる積層薄膜付きガラス基板を得た。
【0077】得られた積層薄膜付きガラス基板について
実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す
ようになり、成膜したZnO 薄膜のX線回折パタ−ンは、
ガラス面に六方晶系ZnO 結晶の(002 )面が優先的に成
長し回折線強度が強く、C軸配向膜であり、(002 )面
の面間隔は2.63Åで前記比較例1に比べてZnO のバルク
結晶の値(2.60Å)に近く、内部応力が緩和されている
ものであった。また、耐湿性試験1)では日数が約8日間
であり、改善はされているものの耐湿性があるものとは
言い難いものであった。さらにまた耐湿性試験2)では4
時間後では△〜○印であり、24時間後でも×〜△印であ
った。
【0078】また、トラバ−ス式摩耗試験による耐摩耗
性については摺動回数1000回における△Tが0.6 %と△
Hが1.0 %、3500回における△Tおよび△Hは測定不能
であり弱いものであった。
【0079】耐湿性ならびに耐摩耗性等耐久性があるよ
うなものと改善されているものの及ばないものであり、
所期のめざす熱線遮蔽ガラスではなかった。比較例3 実施例1と同様の膜材料、成膜条件、膜構成と膜厚であ
る中で、第1層目と第4層目の成膜においてタ−ゲット
の上のチップをZrとし、その数を実施例1の約2.3 倍個
置いたZnタ−ゲットと、ガラス基板の搬送速度を85mm/
min にすることによってZrO2の含有量を2.0mol%とした
ZnO 薄膜を用い、4層でなる積層薄膜付きガラス基板を
得た。
【0080】得られた積層薄膜付きガラス基板について
実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す
ようになり、成膜したZnO 薄膜のX線回折パタ−ンは、
六方晶系ZnO 結晶で、(002 )面の回折線に加えて、
(102 )面の回折線も観察され、その面間隔は2.036 Å
であった。また前記(002 )面の面間隔は2.62Åで前記
比較例2よりもZnO のバルク結晶の値に近く、内部応力
がより緩和されているものであった。しかし、耐湿性試
験1)では日数が約4日間であり、耐湿性があるものとは
言えないものであった。さらにまた耐湿性試験2)ならび
にトラバ−ス式摩耗試験による耐摩耗性とも比較例1に
近いものであった。
【0081】耐湿性ならびに耐摩耗性等耐久性があるも
のとは言えず、所期のめざす熱線遮蔽ガラスではなかっ
た。比較例4 実施例1と同様の膜材料、成膜条件、膜構成と膜厚であ
る中で、第1層目と第4層目の成膜においてタ−ゲット
の上のチップをZrとし、その数を実施例1の約2.3 倍個
置いたZnタ−ゲットと、その成膜時の反応性ガスを50%
O2ガスと50%Arガスの混合ガスと、成膜時の印加電力を
2.4kW とし、ガラス基板の搬送速度を480mm /min にす
ることによってZrO2の含有量を3.0mol%としたZnO 薄膜
を用い、4層でなる積層薄膜付きガラス基板を得た。
【0082】得られた積層薄膜付きガラス基板について
実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す
ようになり、成膜したZnO 薄膜のX線回折パタ−ンは、
六方晶系ZnO 結晶で、(002 )面の回折線に加えて、
(102 )面の回折線も観察され、その面間隔は2.039 Å
であった。また前記(002 )面の面間隔は2.62Åで前記
比較例2よりもZnO のバルク結晶の値に近く、内部応力
がより緩和されているものであった。しかし、耐湿性試
験1)では日数が約5日間であり、多少の改善傾向は見ら
れるものの耐湿性があるものとは言えないものであっ
た。さらにまた耐湿性試験2)ならびにトラバ−ス式摩耗
試験による耐摩耗性とも比較例1に近いものであった。
【0083】さらに、該積層薄膜付きガラス基板は、表
2に示すように、可視光透過率Tvが73.0%、日射透過率
Tsが52.0%、放射率が0.09であって、Low-E 性能を有す
る熱線遮蔽ガラスであるが、耐湿性ならびに耐摩耗性等
耐久性があるものとは言えず、所期のめざす熱線遮蔽ガ
ラスではなかった。
【0084】比較例5 実施例1と同様の膜材料、成膜条件、膜構成と膜厚であ
る中で、第1層目と第4層目の成膜においてタ−ゲット
の上のチップをZrとAlとし、その数をZrで実施例1の約
2.3 倍個、Alで約2.0 倍個それぞれ置いたZnタ−ゲット
と、その成膜時の反応性ガスを50%O2ガスと50%Arガス
の混合ガスと、成膜時の印加電力を2.4kW とし、ガラス
基板の搬送速度を400mm /min にすることによってZrO2
とAl2O3の含有量をそれぞれ3.0mol%づつ含むようにし
たZnO 薄膜を用い、4層でなる積層薄膜付きガラス基板
を得た。
【0085】得られた積層薄膜付きガラス基板について
実施例1と同様の評価を行った。その結果、表1に示す
ようになり、成膜したZnO 薄膜のX線回折パタ−ンは、
六方晶系ZnO 結晶で、(002 )面の回折線に加えて、
(102 )面の回折線も観察され、その面間隔は2.039 Å
であった。また前記(002 )面の面間隔は2.63Åで前記
比較例2と同等のZnO のバルク結晶の値で、比較例2と
同等に内部応力が緩和されているものであった。また、
耐湿性試験1)では日数が約7日間であり、比較例2と同
等の耐湿性であり、改善はされているものの耐湿性があ
るものとは言い難いものであった。さらにまた耐湿性試
験2)ならびにトラバ−ス式摩耗試験による耐摩耗性とも
比較例2に近いものであった。
【0086】さらに、該積層薄膜付きガラス基板は、表
2に示すように、可視光透過率Tvが70.5%、日射透過率
Tsが51.0%、放射率が0.09であって、Low-E 性能を有す
る熱線遮蔽ガラスであるが、耐湿性ならびに耐摩耗性等
耐久性があるようなものに改善されているものの到底及
ばないものであり、所期のめざす熱線遮蔽ガラスではな
かった。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、 カラス基板表面に形
成した積層膜における少なくとも最外表層において、Zn
O 膜にBi2O3 を1〜30mol %含有するZnO-Bi2O3 系膜層
で成る熱線遮蔽ガラスとしたことにより、耐湿性ならび
に耐摩耗性が格段に向上し、より耐久性に優れるものと
なり、取り扱い、保管、包装等を容易で簡便化でき、建
築用や自動車用の窓ガラス等有用である熱線遮蔽ガラス
をより生産性よく経済的に提供することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板の表面上に形成した積層膜の
    うち、少なくとも下地膜層を保護する最外表層におい
    て、ZnO 膜にBi2O3 を1〜30mol %含有せしめたZnO-Bi
    2O3 系膜層で成ることを特徴とする熱線遮蔽ガラス。
  2. 【請求項2】 前記最外表層としてBi2O3 を3〜25mol
    %含有したZnO 膜を少なくとも1層含むことを特徴とす
    る請求項1記載の熱線遮蔽ガラス。
  3. 【請求項3】 前記下地膜層が少なくとも金属膜層から
    成ることを特徴とする請求項1乃至2記載の熱線遮蔽ガ
    ラス。
  4. 【請求項4】 前記下地膜層として金属膜層、酸化物膜
    層、窒化物膜層あるいは窒素酸化物膜層のうち、少なく
    とも2種以上選び、2層以上に積層成膜して成ることを
    特徴とする請求項1乃至3記載の熱線遮蔽ガラス。
  5. 【請求項5】 前記金属膜層が銀もしくは銀を主成分と
    する金属膜から成ることを特徴とする請求項1乃至4記
    載の熱線遮蔽ガラス。
  6. 【請求項6】 前記積層膜をスパッタ法によって形成し
    て成ることを特徴とする請求項1乃至5記載の熱線遮蔽
    ガラス。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000191346A (ja) * 1998-12-25 2000-07-11 Central Glass Co Ltd 防眩性複層ガラス
JP2016504253A (ja) * 2012-11-19 2016-02-12 ガーディアン インダストリーズ コーポレイションGuardian Industries Corp. 追加金属を有するスズ酸化物含有層を含む低放射率コーティングを有する被覆製品
JP2017151409A (ja) * 2016-02-22 2017-08-31 株式会社タムロン 赤外線透過膜、光学膜、反射防止膜、光学部品、光学系及び撮像装置

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