JPH09110472A - スパッタ法による膜及びその形成法 - Google Patents

スパッタ法による膜及びその形成法

Info

Publication number
JPH09110472A
JPH09110472A JP27598795A JP27598795A JPH09110472A JP H09110472 A JPH09110472 A JP H09110472A JP 27598795 A JP27598795 A JP 27598795A JP 27598795 A JP27598795 A JP 27598795A JP H09110472 A JPH09110472 A JP H09110472A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
gas
sputtering method
thin film
sputtering
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27598795A
Other languages
English (en)
Inventor
Takamitsu Fujii
隆満 藤井
Takao Tomioka
孝夫 冨岡
Toyo Otsuki
東洋 大槻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Glass Co Ltd filed Critical Central Glass Co Ltd
Priority to JP27598795A priority Critical patent/JPH09110472A/ja
Publication of JPH09110472A publication Critical patent/JPH09110472A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/22Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with other inorganic material
    • C03C17/23Oxides
    • C03C17/245Oxides by deposition from the vapour phase
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2218/00Methods for coating glass
    • C03C2218/10Deposition methods
    • C03C2218/15Deposition methods from the vapour phase
    • C03C2218/154Deposition methods from the vapour phase by sputtering

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Geochemistry & Mineralogy (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパッタ法において、耐湿性をより向上した
膜を高い成膜レ−トで得るとともに、建築用や自動車用
の窓材等として適用できるガラスを得る。 【解決手段】 ガラス基板上に、少なくとも下地膜を保
護するためにスパッタ法によって形成する保護膜におい
て、少なくともアルゴンガスを含む酸素ガスまたは/お
よび窒素ガスの混合ガス雰囲気内でスパッタし形成した
保護膜でなることを特徴とするスパッタ法による膜。及
びその形成法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタ法によっ
て成膜した酸化物薄膜、窒化物薄膜あるいは酸窒素物薄
膜における耐湿性の向上、ならびにこれらの薄膜の成膜
時における成膜速度(成膜レ−ト)のアップによる生産
性の向上をもたらしめるスパッタ法による膜及び該膜の
形成法に関する。
【0002】本発明は建築用ガラスはもちろん自動車用
ガラスとしても少なくとも単板ガラス、合せガラス、複
層ガラス等で使用できる等有用なスパッタ法による膜及
び該膜の形成法を提供するものである。
【0003】
【従来の技術】近年、建築用ガラスにおける着色、断熱
や紫外線遮断および電波透過等の機能付与はもちろん、
車輌用ガラスにおいても車内に通入する太陽輻射エネル
ギーを遮蔽し、車内の温度上昇、冷房負荷を低減させる
目的から熱線遮蔽ガラス、さらに人的物的両面や環境に
優しくするため紫外線遮蔽を付加したものが車輌用に採
用されている。
【0004】特に該建築用ガラスもちろん最近は車輌用
ガラスにおいて、室内からの熱線を反射せしめ室内の温
度低下を防止することができ、かつ太陽熱の熱線遮断効
果もあるLow-E(Low-Emissivity) 膜を表面に形成したガ
ラス、すなわちLow-E ガラスが使用されてきている。
【0005】該Low-E 膜としては、例えばZnO /Ag/Zn
O 等の3層膜あるいはこれら膜成分を含む多層膜が挙げ
られる。該膜構成においては、耐擦傷性、耐摩耗性ある
いは耐薬品性、耐湿性等の耐久性に劣るものであり、単
板ガラスはもちろん合せガラスにおいても使用時等にお
いて白色斑点や白濁等の欠陥を生じるような現象が見ら
れることがあり、保管や取扱いにおいても不便なことが
多いものであった。
【0006】そこで、それを改善しようとするものとし
ては次のようなもの等が知られている。例えば実開昭62
-37052号公報には、ガラス板上に、ZnO 、TiO2、Ta
2O5 、SnO2、ITO およびこれらの混合物等の金属酸化物
からなる第1層と、熱線反射機能を有するAg、Au、Cu、
Pd、Rd等の貴金属からなる第2層と、酸素のバリヤ−す
なわち貴金属のマイグレ−ション現象をおさえ、かつ自
身熱線反射性をもつ厚み20〜50Å程度のAl、Ti、Ni、Z
n、Crおよびこれらの合金等の金属からなる第3層と、
第1層と同様の金属酸化物からなる第4層とをスパッタ
リングによって順次積層形成した熱線反射ガラスにおい
て、金属酸化物からなる第1層および第4層のうち少な
くとも一方を金属と酸素との化学量論比において酸化が
不充分な金属酸化物によって構成した熱線反射ガラスが
記載されている。
【0007】また、例えば特開昭62-41740公報には、ガ
ラス板の表面に金属酸化物からなる第1層を直流スパッ
タリングによって形成し、この第1層の表面に無酸化雰
囲気において直流スパッタリングを施すことで貴金属か
らなる第2層を形成し、さらに第2層の表面に金属酸化
物をタ−ゲットとし、無酸化雰囲気若しくは酸素分圧が
低い雰囲気において直流スパッタリングを施すことで金
属酸化物からなる第3層を形成するようにした熱線反射
ガラスの製造方法が記載されている。
【0008】また、例えば特開平5-229052号公報には、
熱線遮断膜が記載されており、基体上に酸化物膜、金属
膜、酸化物膜と交互に積層された(2n+1)層(n≧1) から
なる熱線遮断膜において、基体からみて、基体から最も
離れたAgを主成分とする等の金属膜(A) の反対側に形成
された酸化物膜(B) は、Si、Ti、Cr、B 、Mg、Sn、Gaの
うち少なくとも1種をZnとの総量に対し、1〜10原子%
ド−プした酸化亜鉛膜を少なくとも1層含むものが開示
されている。また前記酸化亜鉛膜は、酸化亜鉛の結晶系
が六方晶であり、CuKa線を用いたX線回折法による六方
晶酸化亜鉛の(002 )回折線の回折角2θ(重心位置)
の値が33.88 °以上35.00 °以下の膜であることが開示
されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述したような、例え
ば実開昭62-37052号公報に記載の熱線反射ガラスでは、
特にAg薄膜層上にAgの酸化を防ぐためのバリヤ−層とし
ての金属層を設けて無反射効果を有する保護膜層をカバ
−することがマイグレ−ションを防ぐために不可欠であ
り、このバリヤ−層としての金属層は、保護膜の成膜時
に酸化してしまわないようにしようとするものであり、
第4層目の金属酸化物についてアルゴンガス80体積%、
酸素ガス20体積%の雰囲気で直流スパッタリングを行う
ことが開示されているが、スパッタ法におけるアルゴン
ガスの作用効果についての記載あるいはそれを示唆する
記載もなく、例えば成膜レ−トや耐湿性の向上について
は全く記載のないものである。
【0010】また、例えば特開昭62-41740号公報に記載
の熱線反射ガラスの製造方法では、金属酸化物をタ−ゲ
ットとして用いて、アルゴンおよび酸素を低酸素雰囲
気、すなわち酸素の混合割合の限度が 20vol%、好まし
くは10vol %以下としたとし、Ag層のマイグレ−ション
は防止できたとしても、Agよりイオン化傾向の大きいZn
についての記載がなく、またスパッタ法におけるアルゴ
ンガスの作用効果についての記載あるいはそれを示唆す
る記載もなく、例えば成膜レ−トの向上については全く
記載がなく、また耐湿性が充分あるものとは言い難いも
のである。
【0011】また、例えば特開平5-229052号公報に記載
の熱線遮断膜では、Agを主成分とする等の金属膜(A) の
保護膜として酸化物膜(B) は、Si、Ti、Cr、B 、Mg、S
n、Gaのうち少なくとも1種をZnとの総量に対し、1〜1
0原子%ド−プした酸化亜鉛膜を少なくとも1層含む薄
膜層を被覆積層するものであって、ド−プしたことによ
って酸化亜鉛の膜結晶的状態を変え性能を高め、下地膜
層であるAgを主成分とする等の金属膜(A) の耐湿性を高
めるようにするというものであり、これだけにより必ず
しも成膜レ−トまで充分に向上するものではなく、内部
応力の低下度合も充分とは言えず、生産性やコストに必
ずしも充分満足できるものとは言い難いものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来のこのよ
うな課題に鑑みてなしたものであり、スパッタリング法
による成膜を、酸素ガスあるいは窒素ガスに少なくとも
アルゴンガスを含ませた混合ガス雰囲気中において行う
ことにより、成膜レ−トを高めて高効率を実現できるな
かで、得られた酸化物薄膜、窒化物薄膜あるいは酸窒化
物薄膜がより理論的理想な薄膜となり、下地層に影響を
与えることなく、例えば耐湿性等積層薄膜全体の膜質を
より安定で確実に向上することができる等、例えばLow-
E 膜等の機能性薄膜をより安心して建築用窓材はもちろ
ん自動車用窓材にも充分適用でき、最近のニーズに最適
なものとなる有用なスパッタ法による膜及びその成膜法
を提供するものである。
【0013】すなわち、本発明は、ガラス基板上に、少
なくとも下地膜を保護するためにスパッタ法によって形
成する保護膜において、少なくともアルゴンガスを含む
酸素ガスまたは/および窒素ガスの混合ガス雰囲気内で
スパッタし形成した保護膜でなることを特徴とするスパ
ッタ法による膜。
【0014】ならびに、前記スパッタ法が、直流または
高周波スパッタリング方式であることを特徴とする上述
したスパッタ法による膜。また、前記混合ガス中の酸素
ガスとアルゴンガスの割合が、酸素ガス:アルゴンガス
が9:1から1:9であることを特徴とする上述したス
パッタ法による膜。
【0015】さらに、前記下地膜が金属膜であることを
特徴とする上述したスパッタ法による膜。さらにまた、
前記下地膜が、銀、金、銅、亜鉛、チタンの各薄膜であ
ることを特徴とする上述したスパッタ法による膜。
【0016】さらにまた、前記保護膜が、酸化物薄膜、
窒化物薄膜もしくは酸窒化物薄膜であることを特徴とす
る上述したスパッタ法による膜。さらにまた、前記保護
膜が、酸化亜鉛薄膜、窒化亜鉛薄膜もしくは酸窒化亜鉛
薄膜であることを特徴とする上述したスパッタ法による
膜。
【0017】ならびに、ガラス基板上に少なくとも下地
膜を保護するためにスパッタ法によって形成する保護膜
の形成法において、少なくともアルゴンガスを含む酸素
ガスまたは/および窒素ガスの混合ガス雰囲気内でスパ
ッタし保護膜を形成するようにしたことを特徴とするス
パッタ法による膜の形成法。
【0018】また、前記スパッタ法が、直流または高周
波スパッタリング方式であることを特徴とする上述した
スパッタ法による膜の形成法。さらに、前記混合ガス中
の酸素ガスとアルゴンガスの割合が、酸素ガス:アルゴ
ンガスが9:1から1:9であることを特徴とする上述
したスパッタ法による膜の形成法。
【0019】さらにまた、前記混合ガスにおけるアルゴ
ンガスの混合割合を、スパッタするための印加電力によ
ってバランスを持たしめるよう調整することを特徴とす
る上述したスパッタ法による膜の形成法をそれぞれ提供
するものである
【0020】
【発明の実施の形態】ここで、前記したように、ガラス
基板上に、少なくとも下地膜を保護するためにスパッタ
法によって形成する保護膜において、少なくともアルゴ
ンガスを含む酸素ガスまたは/および窒素ガスの混合ガ
ス雰囲気内でスパッタし形成した保護膜でなるスパッタ
法による膜を実施するにあたっては次のようにする。
【0021】先ず、前記ガラス基板としては、自動車用
ならびに建築用ガラスに通常用いられているソーダライ
ムシリケートガラスからなる普通板ガラス、所謂フロー
ト板ガラスなどであり、クリアはじめグリ−ン系、ブロ
ンズ系、ブル−系またはグレ−系等各種着色ガラス、各
種機能性ガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、合
せガラスのほか複層ガラス等、さらに平板あるいは曲げ
板等各種板ガラス製品として使用できることは言うまで
もない。また板厚としては例えば約1.0mm 程度以上約12
mm程度以下であり、建築用としては約2.0mm 程度以上約
10mm程度以下が好ましく、自動車用としては約1.5mm 程
度以上約6.0mm 程度以下が好ましく、より好ましくは約
2.0mm 程度以上約4.0mm 程度以下のガラスであるが、特
に限定するものではない。
【0022】次に、前記スパッタ法としては、例えばDC
マグネトロンスパッタリング装置でのDCマグネトロン反
応スパッタであり、該装置の真空槽内にある例えばZnの
タ−ゲットに対向して洗浄乾燥した前記ガラス基板が搬
送できるようセットし、続いて前記槽内を真空ポンプで
例えば約5×10-6Torr程度までに脱気した後、該真空槽
内に酸素(O2)ガスとアルゴン(Ar)ガス〔但し、Arガスと
O2ガスの混合ガスのガス流量比はArガス:O2ガスの値が
1:9から9:1の範囲の割合である。〕、あるいは窒
素(N2)ガスとアルゴン(Ar)ガス〔但し、ArガスとN2ガス
の混合ガスのガス流量比はArガス量:N2ガス量の値が
1:9から9:1の範囲の割合である。〕、またはこれ
らの複合した混合ガス〔但し、Arガスと(O2 ガス+N2
ス)の複合した混合ガスのガス流量比はArガス量:(O2
+N2)ガス量の値が1:9から9:1の範囲の割合であ
る。〕を導入し、真空度を例えば約2×10-3Torr程度に
保持し、前記タ−ゲットに例えば約0.5 〜40kw程度の電
力を印加し、前記混合ガスによるDCマグネトロン反応ス
パッタの中を、必要な膜厚に応じたスピ−ドで前記ガラ
ス基板を搬送することによって必要な厚さの酸化物薄
膜、窒化物薄膜もしくは酸窒化物薄膜を、例えば銀、
金、銅、亜鉛、チタン等の各薄膜の上層または/および
下層に順次2層以上成膜する。
【0023】さらに例えば、Znを含む成膜としては、酸
化物薄膜、窒化物薄膜もしくは酸窒化物薄膜の他に、Zn
O-SnOx、ZnO-SiOx等の複合酸化物薄膜にも本発明が採用
できうるものである。
【0024】また、前記したように混合ガス中の酸素ガ
スとアルゴンガスの割合が、酸素ガス:アルゴンガスが
9:1から1:9であることとしたのは、O2ガスの濃度
が高すぎると成膜速度が遅く、結晶の歪が大きいものと
なり、逆にArガスの濃度が高すぎると例えばZnO のよう
な酸化物薄膜等にならず、Znのような金属薄膜となるな
どめざす高い成膜速度でかつ向上した耐湿性等の薄膜を
うることができないからである。より好ましくは酸素ガ
ス:アルゴンガスが8.5 :1.5 から1.5 :8.5である。
【0025】また、前記したように混合ガスにおけるア
ルゴンガスの混合割合を、スパッタするための印加電力
によってバランスを持たしめるよう調整することとした
のは、例えば印加電力が約0.5 〜5kw程度であればArガ
スの濃度としては20〜85%程度の混合割合で、また例え
ば印加電力が約5〜50kw程度であればArガスの濃度とし
ては15〜70%程度の混合割合でそれぞれ成膜バランスを
持たしめることができるためである。
【0026】さらに、例えば前記Arガスの割合や濃度の
範囲内であって、同一のArガスの割合や濃度例えば50%
Arガスと50%O2ガスの混合ガスにおいては、印加電力が
低から高になれば成膜レ−トは低から高になる。またさ
らに印加電力が同じでArガスの割合や濃度を低から高に
すれば、成膜レ−トが低から高になり、薄膜の内部応力
が強から弱になる。またさらに成膜レ−トを一定にすれ
ば、Arガスの割合、濃度が低から高にすることにより、
印加電力が高から低となって消費電力が多から少となり
省エネルギ−となる。
【0027】またさらに、例えばZnO 薄膜の内部応力値
(σ)については、一般に、σ=(E/2ν)×〔(d
0 −d)/d0 〕で表される。 E;ZnO のヤング率、ν;ZnO のポアソン比、d0 ;Zn
O (002) のバルクの格子定数値=2.602Å、d;X線によ
り測定したZnO (002) の格子定数値(Å)。
【0028】この式より、ZnO 薄膜のd値がd0 値に近
づくほど内部応力が少ないと考えられるものである。ま
た、ZnO 薄膜の結晶性については、X線回折におけるZn
O (002) の半値幅(FWHM)で評価でき、半値幅が大のと
き結晶性が悪く、半値幅が小のとき結晶性が良いものと
なる。
【0029】前述したとおり、本発明のスパッタ法によ
る膜及びその形成法は、前記真空槽内の雰囲気ガスとし
てArガスが少なくとも含まれる混合ガスを用いて適宜ス
パッタリングすることにより、成膜レ−トを高め高効率
の生産ができることとなり、しかも成膜した薄膜自体に
おける内部応力の低減、あるいは結晶性の向上をもたら
しめることとなって、可視光透過率や色調等が充分簡単
な調整でできうる範囲内程度の極僅かな変化が場合によ
ってはあるものの、耐湿性が格段に向上し優れたものと
なり、他の各種物性も同等か向上する傾向を示すものと
することができた。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではな
い。
【0031】実施例1 洗浄、乾燥された厚さ5mmのフロ−トガラス基板を、DC
マグネトロンスパッタリング装置の真空槽内にセットし
てあるZnとTiのタ−ゲットに対向して上方を往復できる
ようセットし、次に前記槽内を真空ポンプで約5×10-6
Torrまでに脱気した後、該真空槽内にO2ガスを導入して
真空度を約2×10-3Torrに保持し、前記Znのタ−ゲット
に約0.6kw の電力を印加し、前記O2ガスによるDCマグネ
トロン反応スパッタの中を、前記Znのタ−ゲット上方に
おいてスピ−ド約85mm/min で前記ガラス基板を搬送す
ることによって約30nm厚さのZnO 薄膜を第1層として成
膜した。成膜が完了した後、Znタ−ゲットへの印加を停
止した。
【0032】次いで、該真空槽内にArガスを導入して真
空度を約2×10-3Torrに保持し、Agのタ−ゲットに約0.
15kwの電力を印加し、前記ArガスによるDCマグネトロン
反応スパッタの中を、前記Agのタ−ゲット上方において
スピ−ド約470mm /min で前記ガラス基板を搬送するこ
とによって前記ZnO 薄膜上に約10nm厚さのAg薄膜を第2
層として成膜した。成膜が完了した後、Agタ−ゲットへ
の印加を停止した。
【0033】続いて、同様にArガスで真空度約2×10-3
Torrの中、Tiのタ−ゲットに約0.5kw の電力を印加し、
前記ArガスによるDCマグネトロン反応スパッタの中を、
前記Tiのタ−ゲット上方においてスピ−ド約845mm /mi
n で前記ガラス基板を搬送することによって前記Ag薄膜
上に約3nm厚さのTi薄膜を第3層として成膜した。成膜
が完了した後、Tiタ−ゲットへの印加を停止した。
【0034】次に、該真空槽内にO2ガスとArガス〔但
し、ArガスとO2ガスのガス流量比はAr/(O2+Ar)の値
が0.5 である。〕を導入して真空度を約2×10-3Torrに
保持し、前記Znのタ−ゲットに約0.6kw の電力を印加
し、前記混合ガスによるDCマグネトロン反応スパッタの
中を、前記Znのタ−ゲット上方においてスピ−ド約85mm
/min で前記ガラス基板を搬送することによって約50nm
厚さのZnO 薄膜を第4層として成膜した。成膜が完了し
た後、Znタ−ゲットへの印加を停止した。
【0035】なお、膜厚を触針式膜厚測定機(DekTak30
30;Sloan 社製)で測定した。得られた4層でなる積層
薄膜付きガラス基板について、下記のような各項を評価
した。 〔光学特性〕:分光光度計(U 4000型、日立製作所製)
で波長340 〜1800nmの間の透過率を測定し、JIS Z 8722
及びJIS R 3106又はJIS Z 8701によって可視光透過率Tv
(%)(380〜780nm)、日射透過率Ts(%)(340〜1800n
m) 、ISO 9050によって紫外線透過率Tuv(%)(282.5〜3
77.5nm)、刺激純度Tuv(%)、色調等を求めた。 〔くもり度〕:ヘイズ値HをJIS K6714 に準拠して行い
求めた。建築用としては3%以下、自動車用としては1
%以下を合格とした。 〔耐湿性〕: 30±3 ℃、相対湿度90±5 %の雰囲気内
に静置し、目視で評価した。
【0036】0.1mm 径以上の欠陥の数を数え、100cm2
面積中に0.1 〜0.5mm径の欠陥が10個以下を合格とし、1
0個を超えると不合格とし、また0.5mm 径を超えるもの
が1個でもあれば不合格とした。
【0037】その結果、第4層のZnO 薄膜の成膜レ−ト
は第1層のZnO 薄膜の成膜レ−トに対し約1.7 倍程度と
生産性が高まった。また前記耐湿性も約3倍前後(2〜
4倍程度)の向上となった。
【0038】また、分光透過率曲線によると可視光透過
率Tvが約70%、放射率が約0.07程度等、日射透過率Ts
(%)、紫外線透過率Tuv (%)、刺激純度Pe(%)、
D65 光源2°による積層薄膜の透過色ならびにガラス面
側と膜面側の反射色等については、Low-E ガラスとして
充分なものであった。
【0039】実施例2 洗浄、乾燥された厚さ3.5mm のフロ−トガラス基板を、
DCマグネトロンスパッタリング装置の真空槽内にセット
してあるZnとTiのタ−ゲットに対向して上方を往復でき
るようセットし、次に前記槽内を真空ポンプで約5×10
-6Torrまでに脱気した後、該真空槽内にO2ガスを導入し
て真空度を約2×10-3Torrに保持し、前記Znのタ−ゲッ
トに約40kwの電力を印加し、前記O2ガスによるDCマグネ
トロン反応スパッタの中を、前記Znのタ−ゲット上方に
おいてスピ−ド約500mm /min で前記ガラス基板を搬送
することによって約30nm厚さのZnO 薄膜を第1層として
成膜した。成膜が完了した後、Znタ−ゲットへの印加を
停止した。
【0040】次いで、該真空槽内にArガスを導入して真
空度を約2×10-3Torrに保持し、Agのタ−ゲットに約45
kwの電力を印加し、前記ArガスによるDCマグネトロン反
応スパッタの中を、前記Agのタ−ゲット上方においてス
ピ−ド約3800mm/min で前記ガラス基板を搬送すること
によって前記ZnO 薄膜上に約13.5nm厚さのAg薄膜を第2
層として成膜した。成膜が完了した後、Agタ−ゲットへ
の印加を停止した。
【0041】続いて、同様にArガスで真空度約2×10-3
Torrの中、Znのタ−ゲットに約25kwの電力を印加し、前
記ArガスによるDCマグネトロン反応スパッタの中を、前
記Znのタ−ゲット上方においてスピ−ド約3800mm/min
で前記ガラス基板を搬送することによって前記Ag薄膜上
に約2.7nm 厚さのZn薄膜を第3層として成膜した。成膜
が完了した後、Znタ−ゲットへの印加を停止した。
【0042】次に、該真空槽内にO2ガスとArガス〔但
し、ArガスとO2ガスのガス流量比はAr/(O2+Ar)の値
が0.5 である。〕を導入して真空度を約2×10-3Torrに
保持し、前記Znのタ−ゲットに約20kwの電力を印加し、
前記混合ガスによるDCマグネトロン反応スパッタの中
を、前記Znのタ−ゲット上方においてスピ−ド約250mm
/min で前記ガラス基板を搬送することによって約45nm
厚さのZnO 薄膜を第4層として成膜した。成膜が完了し
た後、Znタ−ゲットへの印加を停止した。
【0043】なお、膜厚は実施例1と同様に測定した。
得られた4層でなる積層薄膜付きガラス基板について、
実施例1と同様に評価した。
【0044】その結果、第4層のZnO 薄膜の成膜レ−ト
は第1層のZnO 薄膜の成膜レ−トに対し約1.5 倍程度と
生産性が高まった。また前記耐湿性も約3倍前後(2〜
4倍程度)の向上となった。なお、dの値は2.611 でσ
=-0.56×1010dyn /cm2 であり、よりバルクに近いもの
であった。
【0045】また、分光透過率曲線によると可視光透過
率Tvが約78%、放射率が約0.06%程度等、日射透過率Ts
(%)、紫外線透過率Tuv (%)、刺激純度Pe(%)、
D65光源2°による積層薄膜の透過色ならびにガラス面
側と膜面側の反射色等については、Low-E ガラスとして
充分なものであった。
【0046】なおまた、実施例1、2とも、第1層のZn
O 薄膜を第4層のZnO 薄膜と同様にして行うと全体の成
膜レ−トがさらに高まるとともに、前記耐湿性もさらに
向上する傾向を示した。
【0047】実施例3 実施例1と2の第4層目ののZnO 薄膜のみについて、同
様にしてスパッタ成膜条件のうち、ガラス基板の搬送速
度を100mm /min でA)印加電力0.55kwとB)印加電力0.60
kwに対し、混合ガスにおけるO2ガスとArガスのガス流量
比を1)O2ガスのみ(O2ガス100 %)、2)25%Arガス+75
%O2ガス、3)50%Arガス+50%O2ガス、4)75%Arガス+
25%O2ガスで行った。
【0048】その結果、その成膜レ−トが、A)で1)を1
として2)1.15倍、3)1.41倍、4)1.77倍となり、またB)で
1)を1として2)1.37倍、3)1.79倍、4)2.42倍となった。
いずれも、Arガスを混合ガスに含むことによるスパッタ
法において成膜レ−トが格段に高まることが明らかであ
った。
【0049】また、前記A)で1)の条件で成膜した際のZn
O 薄膜は前記dの値が2.657 Åとなり、σ=-3.5 ×1010
dyn /cm2 で半値幅が0.532 °であり、さらにまた前記
A)で3)の条件で成膜した際のZnO 薄膜は前記dの値が2.
627Å となり、σ=-1.6 ×10 10dyn /cm2 で半値幅が0.
315 °であり、明らかに内部応力も減少し結晶性も向上
し、前記耐湿性試験で1〜2日程度までしか合格しなか
ったものが9日程度まで合格するようになり、より耐湿
性も向上した。
【0050】比較例1 実施例1と同様にし、第4層目のZnO 薄膜のみについ
て、実施例1と同様のスパッタ成膜条件のうち、混合ガ
スを92%Arガス+ 8%O2ガスに変えスパッタ成膜した。
【0051】その結果、第4層目の薄膜はZnの金属膜と
なって完全なZnO 薄膜を得ることができなかった。比較例2 実施例1と同様にし、第4層目のZnO 薄膜のみについ
て、実施例2と同様のスパッタ成膜条件のうち、混合ガ
スを5%Arガス+95%O2ガスに変えスパッタ成膜した。
【0052】その結果、前記dの値が2.641 Åで、σ=-
2.5 ×1010dyn /cm2 で半値幅が0.515 °であり、強い
内部応力をもち、耐湿性試験で2日程度までの合格であ
り、めざす所期のスパッタ法による膜とは到底言えるよ
うなものではなかった。
【0053】
【発明の効果】以上前述したように、本発明によれば、
成膜レ−トを高めより効率化できて生産性を向上するこ
とができ、しかも成膜された積層膜の耐湿性を高めるこ
とができる等、特にAg薄膜などの金属膜やそれに類する
所謂強くないような薄膜をガ−ドする保護膜、ことにLo
w-E ガラス等機能性薄膜付きガラスとして建築用窓ガラ
スや自動車用窓ガラス等に有用であるスパッタ法による
膜及びその形成法をを安価にかつ容易に提供するもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 14/34 C23C 14/34 N

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板上に、少なくとも下地膜を保
    護するためにスパッタ法によって形成する保護膜におい
    て、少なくともアルゴンガスを含む酸素ガスまたは/お
    よび窒素ガスの混合ガス雰囲気内でスパッタし形成した
    保護膜でなることを特徴とするスパッタ法による膜。
  2. 【請求項2】 前記スパッタ法が、直流または高周波ス
    パッタリング方式であることを特徴とする請求項1記載
    のスパッタ法による膜。
  3. 【請求項3】 前記混合ガス中の酸素ガスとアルゴンガ
    スの割合が、酸素ガス:アルゴンガスが9:1から1:
    9であることを特徴とする請求項1乃至2記載のスパッ
    タ法による膜。
  4. 【請求項4】 前記下地膜が金属膜であることを特徴と
    する請求項1乃至3記載のスパッタ法による膜。
  5. 【請求項5】 前記下地膜が、銀、金、銅、亜鉛、チタ
    ンの各薄膜であることを特徴とする請求項1乃至4記載
    のスパッタ法による膜。
  6. 【請求項6】 前記保護膜が、酸化物薄膜、窒化物薄膜
    もしくは酸窒素物薄膜であることを特徴とする請求項1
    乃至5記載のスパッタ法による膜。
  7. 【請求項7】 前記保護膜が、酸化亜鉛薄膜、窒化亜鉛
    薄膜もしくは酸窒素亜鉛であることを特徴とする請求項
    1乃至6記載のスパッタ法による膜。
  8. 【請求項8】 ガラス基板上に少なくとも下地膜を保護
    するためにスパッタ法によって形成する保護膜の形成法
    において、少なくともアルゴンガスを含む酸素ガスまた
    は/および窒素ガスの混合ガス雰囲気内でスパッタし保
    護膜を形成するようにしたことを特徴とするスパッタ法
    による膜の形成法。
  9. 【請求項9】 前記スパッタ法が、直流または高周波ス
    パッタリング方式であることを特徴とする請求項8記載
    のスパッタ法による膜の形成法。
  10. 【請求項10】 前記混合ガス中の酸素ガスとアルゴンガ
    スの割合が、酸素ガス:アルゴンガスが9:1から1:
    9であることを特徴とする請求項8乃至9記載のスパッ
    タ法による膜の形成法。
  11. 【請求項11】 前記混合ガスにおけるアルゴンガスの混
    合割合を、スパッタするための印加電力によってバラン
    スを持たしめるよう調整することを特徴とする請求項8
    乃至10記載のスパッタ法による膜の形成法。
JP27598795A 1995-10-24 1995-10-24 スパッタ法による膜及びその形成法 Pending JPH09110472A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27598795A JPH09110472A (ja) 1995-10-24 1995-10-24 スパッタ法による膜及びその形成法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27598795A JPH09110472A (ja) 1995-10-24 1995-10-24 スパッタ法による膜及びその形成法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09110472A true JPH09110472A (ja) 1997-04-28

Family

ID=17563201

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27598795A Pending JPH09110472A (ja) 1995-10-24 1995-10-24 スパッタ法による膜及びその形成法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09110472A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180045500A (ko) * 2016-10-26 2018-05-04 (주)엘지하우시스 건축용 무반사 유리
CN111995258A (zh) * 2020-09-29 2020-11-27 咸宁南玻节能玻璃有限公司 一种中透低反可钢化双银low-e玻璃及制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180045500A (ko) * 2016-10-26 2018-05-04 (주)엘지하우시스 건축용 무반사 유리
CN111995258A (zh) * 2020-09-29 2020-11-27 咸宁南玻节能玻璃有限公司 一种中透低反可钢化双银low-e玻璃及制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10654749B2 (en) Solar control coatings providing increased absorption or tint
JP3515392B2 (ja) 金属被覆物品とその製法
US7226528B2 (en) Methods of making coated articles by sputtering silver in oxygen inclusive atmosphere
EP1235757B1 (en) Haze-resistant transparent film stacks
US7713587B2 (en) Method of coating a substrate with a coating composition having solar properties
EP3004015B1 (en) Low-emissivity glazing
US6451434B1 (en) Glass laminate, functional transparent article and method of its production
EP0622645A1 (en) Thin film coating and method of marking
EP3750855A1 (en) Solar control coatings with discontinuous metal layer
US20030186062A1 (en) Glazing panel
KR20080109899A (ko) 피복 판유리
EP1639221B1 (en) Coated article with niobium chromium inclusive barrier layers(s) and method of making same
CA2827832A1 (en) Barrier layers comprising ni and/or ti, coated articles including barrier layers, and methods of making the same
JPH08336923A (ja) 高透過率、低輻射率の耐熱性窓またはウィンドシールドおよびその製造方法
EP3348526A1 (en) Coated article with silicon nitride inclusive layer adjacent glass
EP1200855B1 (en) Heat-treatable dichroic mirrors
JP3392000B2 (ja) 断熱ガラス
JPH07178866A (ja) 熱線遮断膜とその製造方法
JPH09110472A (ja) スパッタ法による膜及びその形成法
JP2000229380A (ja) ガラス積層体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040325

A02 Decision of refusal

Effective date: 20040713

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02