JPH107407A - 過酸化水素水の精製方法 - Google Patents

過酸化水素水の精製方法

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JPH107407A
JPH107407A JP15872296A JP15872296A JPH107407A JP H107407 A JPH107407 A JP H107407A JP 15872296 A JP15872296 A JP 15872296A JP 15872296 A JP15872296 A JP 15872296A JP H107407 A JPH107407 A JP H107407A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粗過酸化水素水を、きわめて純度の高い過酸
化水素水に簡便に、安全に精製する方法を提供する。 【解決方法】 粗過酸化水素水を、スルフォン酸基を有
するH型強酸性カチオン交換樹脂及びキレート剤を吸着
させた強塩基性アニオン交換樹脂に接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不純物、特に無機
不純物を含有する過酸化水素水を安全に精製し、きわめ
て高純度な過酸化水素水を安価に製造する方法に関す
る。本発明により精製された過酸化水素水は特に半導体
製造分野で使用するのに好適である。
【0002】
【従来の技術】近年、LSIの高集積化に伴い、シリコ
ンウエハ洗浄等に使用するいわゆる電子工業向けの過酸
化水素水に要求される品質は一層厳しくなってきてお
り、金属系不純物は、0.1ppb以下、酸根系不純物
は、数10ppbから100ppb以下であることが要
求されている。
【0003】過酸化水素水の精製方法としては、各種イ
オン交換樹脂を初めとした吸着剤を用いた処理が知られ
ているが、単独のイオン交換樹脂処理では、不純物の種
類によっては完全な除去が難しく、また使用する吸着剤
の種類によっては、過酸化水素水と反応してしまうため
低温での処理が必要であったり、吸着剤そのものから不
純物が溶出してしまうといった問題があることがわかっ
ている。
【0004】このため、複数の各種イオン交換樹脂を組
み合わせた精製方法も知られている。例えば、特開平7
−41307号公報には、キレート樹脂処理時のリン酸
根増加の影響を少なくするためにアニオン交換樹脂、カ
チオン交換樹脂の混合床で総リン酸を減じた後、キレー
ト樹脂で処理して過酸化水素水を精製する方法が記載さ
れているが、このようにアニオン交換樹脂、カチオン交
換樹脂だけでは金属類の除去が不十分であり、キレート
樹脂と組み合わせるなど処理操作も繁雑になり生産性も
低下してしまう。
【0005】
【発明が解決しよとする課題】本発明の目的は、比較的
簡便な方法によって、過酸化水素水から金属不純物及び
陰イオン類を同時に高い効率で除去する方法を提供する
ことにあり、特に、単独のイオン交換樹脂処理では完全
な除去が難しい、アルミニウム等の金属不純物を0.1
ppb以下までに除去可能であると同時に、硫酸根等も
100ppb以下に除去できる、安全で実用的な過酸化
水素精製技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は粗過酸化水素水
をスルフォン酸基を有するH型強酸性カチオン交換樹脂
及びキレート剤を吸着させた強塩基性アニオン交換樹脂
に接触させることを特徴とする過酸化水素水の精製方法
である。本発明によりアルミニウムをはじめとする金属
類不純物が0.1ppb以下、硝酸根、硫酸根、リン酸
根が100ppb以下のきわめて純度の高い過酸化水素
水を取得することができる。
【0007】本発明で使用するに適するキレート剤を吸
着させた強塩基性アニオン交換樹脂としては特開平1−
153509号公報に記載されたものを挙げることがで
きるが、特にエチレンジアミン四酢酸を付加させた強塩
基性アニオン交換樹脂が好ましい。この樹脂の特徴とし
ては、キレート効果によってアルミニウム等の金属イオ
ンを除去可能であると同時に、クロム酸イオン、硫酸根
等の陰イオンを除去する能力も優れているが、マグネシ
ウム、ナトリウム等の金属は、事実上除去不能であるこ
とがあげられる。
【0008】尚、一般的に強塩基性アニオン交換樹脂は
特開平7−172805号公報でも知られるように、O
H型では過酸化水素水を激しく分解させるため、官能基
を重炭酸型化したうえ、極低温で通液を行わなくては危
険であるが、本発明で使用するキレート剤を吸着させた
強塩基性アニオン交換樹脂は常温で過酸化水素水を通液
しても安全上、何らの問題も見られない。
【0009】本発明で使用するスルフォン酸基を有する
H型強酸性カチオン交換樹脂の特徴としては、すでに知
られているようにアルミニウム、マグネシウム、ナトリ
ウム等の金属イオンを除去可能であるが、クロムの除去
力はキレート剤を吸着させた強塩基性アニオン交換樹脂
よりも弱く、陰イオンも除去不能であり、精製処理条件
によっては硫酸根等の溶出を招くことがあることがあげ
られる。
【0010】本発明はこのように性質の異なる2種類の
樹脂を組合せて用いるものであり、具体的な処理方法と
しては、粗過酸化水素水を、スルフォン酸基を有するH
型強酸性カチオン交換樹脂に接触させた後、キレート剤
を吸着させた強塩基性アニオン交換樹脂に接触させる2
段処理、及びスルフォン酸基を有するH型強酸性カチオ
ン交換樹脂とキレート剤を吸着させた強塩基性アニオン
交換樹脂の混合床に接触させる1段処理が好ましく用い
られる。
【0011】本発明においては、重炭酸型アニオン交換
樹脂を用いた過酸化水素水の精製時にみられるような操
作温度に特に限定はなく、室温でも安全に処理できる
が、低温で過酸化水素と接触させることにより、樹脂の
劣化を抑制し樹脂の能力をより長時間維持できる。ま
た、本発明は精製効率の点からワンスルー方式によるカ
ラム流通法が好ましく、送液方法は上昇法よりも下降法
のほうが好ましい。
【0012】また、精製処理に供する過酸化水素の濃度
は1〜40%程度がよく、安定剤等は含まない方が好ま
しい。また、イオン交換樹脂と過酸化水素水の接触によ
る過酸化水素の濃度低下等見られず、安定した精製処理
が可能である。
【0013】
【実施例】次に実施例により本発明を説明する。なお、
金属含有量はICP−MS(Inductiverly
coupled plasma−Mass spec
trometry)法、陰イオンは陰イオンクロマトグ
ラフ分析法による。 実施例−1 不純物としてアルミニウム300ppb、マグネシウム
10ppb、ナトリウム、鉄、クロム1ppb、及び硫
酸根0.2ppmを含む35重量%の過酸化水素水10
0リットルをH型強酸性カチオン交換樹脂(ダウケミカ
ル製、商品名ダウエックスHCR−W2 H型)50m
lを充填した内径9mm、長さ80cmのカラムに線速
度12m/hの流速で通液し、次にキレート剤を吸着さ
せた強塩基性アニオン交換樹脂(オルガノ(株)製、商
品名アンバーライトIRA−900 EDTA型)50
mlを充填した内径9mm、長さ80cmのカラムに線
速度20m/hの流速で通液し、精製した。カラムの温
度は10℃に保った。精製後のアルミニウム、マグネシ
ウム、ナトリウム、鉄、クロムは、いずれも0.1pp
bであった。また、硫酸根は0.06ppmであった。
【0014】実施例−2 H型強酸性カチオン交換樹脂(ダウケミカル製、商品名
ダウエックスHCR−W2H型)とキレート剤を吸着さ
せた強塩基性アニオン交換樹脂(オルガノ(株)製、商
品名アンバーライトIRA−900 EDTA型)を混
合比20:80で均一に混合し、50mlを充填した内
径9mm、長さ80cmのカラムに、不純物としてアル
ミニウム400ppb、マグネシウム10ppb、ナト
リウム、鉄、クロム1ppb、及び硫酸根0.2ppm
を含む35重量%の過酸化水素水100リットルを線速
度12m/hの流速で通液し、精製した。カラムの温度
は25℃に保った。精製後のアルミニウム、マグネシウ
ム、ナトリウム、鉄、クロムは、いずれも0.1ppb
以下であった。また、硫酸根は0.05ppmであっ
た。また、温度による過酸化水素の分解、濃度の低下等
は見られなかった。
【0015】実施例−3 H型強酸性カチオン交換樹脂(ダウケミカル製、商品名
ダウエックスHCR−W2H型)とキレート剤を吸着さ
せた強塩基性アニオン交換樹脂(オルガノ(株)製、商
品名アンバーライトIRA−900 EDTA型)を混
合比20:80で均一に混合し、21リットルを充填し
た内径150mm、長さ120cmのカラムに、不純物
としてアルミニウム400ppb、マグネシウム10p
pb、ナトリウム、鉄、クロム1ppb、及び硫酸根
0.2ppmを含む35重量%の過酸化水素水40キロ
リットルを線速度15m/hの流速で通液し、精製し
た。カラムの温度は17℃〜20℃に保った。精製後の
アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄、クロム
は、いずれも0.1ppb以下であった。また、硫酸根
は0.05ppmであった。
【0016】比較例−1 H型強酸性カチオン交換樹脂(ダウケミカル製、商品名
ダウエックスHCR−W2H型)と官能基を重炭酸型に
した強塩基性アニオン交換樹脂(オルガノ(株)製、商
品名アンバーライトIRA−900 HCO3 型)を混
合比20:80で均一に混合し、50mlを充填した内
径9mm、長さ80cmのカラムに、不純物としてアル
ミニウム400ppb、マグネシウム10ppb、ナト
リウム、鉄、クロム1ppb、及び硫酸根0.2ppm
を含む35重量%の過酸化水素水100リットルを線速
度12m/hの流速で通液し、精製した。カラムの温度
は10℃に保った。精製後のマグネシウム、ナトリウ
ム、鉄、クロムは、いずれも0.1ppb以下であった
が、アルミニウムは2ppb程度残留した。また、硫酸
根は0.05ppmであった。
【0017】比較例−2 H型強酸性カチオン交換樹脂(ダウケミカル製、商品名
ダウエックスHCR−W2H型)と官能基を重炭酸型に
した強塩基性アニオン交換樹脂(オルガノ(株)製、商
品名アンバーライトIRA−900 HCO3 型)を混
合比80:20で均一に混合し、50mlを充填した内
径9mm、長さ80cmのカラムに、不純物としてアル
ミニウム400ppb、マグネシウム10ppb、ナト
リウム、鉄、クロム1ppb、及び硫酸根0.2ppm
を含む35重量%の過酸化水素水100リットルを線速
度12m/hの流速で通液し、精製した。カラムの温度
は10℃に保った。精製後のアルミニウム、マグネシウ
ム、ナトリウムはいずれも0.1ppb以下であった
が、鉄、クロムは、1ppb程度残留した。また、硫酸
根は0.05ppmであった。
【0018】比較例−3 H型強酸性カチオン交換樹脂(ダウケミカル製、商品名
ダウエックスHCR−W2H型)とアミノリン酸型キレ
ート樹脂(ローム&ハース(株)製、商品名デュオライ
トC−467 H型)を混合比20:80で均一に混合
し、50mlを充填した内径9mm、長さ80cmのカ
ラムに、不純物としてアルミニウム400ppb、マグ
ネシウム10ppb、ナトリウム、鉄、クロム1pp
b、及び硫酸根0.2ppmを含む35重量%の過酸化
水素水100リットルを線速度12m/hの流速で通液
し、精製した。カラムの温度は17℃に保った。精製後
のマグネシウム、ナトリウムはいずれも0.1ppb以
下であったが、アルミニウムが5ppb、及びクロムが
0.5ppb程度残留した。また、硫酸根は0.2pp
mであり除去不能であった。
【0019】比較例−4 H型強酸性カチオン交換樹脂(ダウケミカル製、商品名
ダウエックスHCR−W2H型)とアミノリン酸型キレ
ート樹脂(ローム&ハース(株)製、商品名デュオライ
トC−467 H型)を混合比80:20で均一に混合
し、50mlを充填した内径9mm、長さ80cmのカ
ラムに、不純物としてアルミニウム400ppb、マグ
ネシウム10ppb、ナトリウム、鉄、クロム1pp
b、及び硫酸根0.2ppmを含む35重量%の過酸化
水素水100リットルを線速度12m/hの流速で通液
し、精製した。カラムの温度は17℃に保った。精製後
のマグネシウム、ナトリウム、鉄はいずれも0.1pp
b以下であったが、アルミニウムが2ppb、及びクロ
ムが1ppb程度残留した。また、硫酸根は0.2pp
mであり除去不能であった。
【0020】以上の比較例のように、きわめて高純度の
過酸化水素水を精製する場合、本発明において使用して
いるキレート剤を吸着させた強塩基性アニオン交換樹脂
は、官能基を重炭酸型にした強塩基性アニオン交換樹脂
及びキレート樹脂では代用不可能であると考えられる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、不純物を高い効率で除
去することができ、特に重炭酸型アニオン交換樹脂やキ
レート樹脂とカチオン交換樹脂を使用した混合床では除
去しきれないアルミニウムを、0.1ppb以下という
きわめて低い濃度まで除去することができる。また、キ
レート樹脂とカチオン交換樹脂の混合床では除去不能な
硫酸根等アニオン類も効率よく除去可能であり、また、
過酸化水素水と樹脂の接触を低温で行わなくとも、安全
上何ら支障がなく処理できる。本発明により得られた高
純度の過酸化水素水溶液は、シリコンウエハーの洗浄等
に好適に使用しうるものである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗過酸化水素水を、スルフォン酸基を有
    するH型強酸性カチオン交換樹脂及びキレート剤を吸着
    させた強塩基性アニオン交換樹脂に接触させることを特
    徴とする過酸化水素水の精製方法。
  2. 【請求項2】 粗過酸化水素水を、スルフォン酸基を有
    するH型強酸性カチオン交換樹脂に接触させ、次いでキ
    レート剤を吸着させた強塩基性アニオン交換樹脂に接触
    させる請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 粗過酸化水素水を、スルフォン酸基を有
    するH型強酸性カチオン交換樹脂とキレート剤を吸着さ
    せた強塩基性アニオン交換樹脂の混合床に接触させる請
    求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 キレート剤が分子中にカルボキシル基ま
    たはホスフォン基からなる酸基を少なくとも3個有する
    キレート剤を吸着させた強塩基性アニオン交換樹脂であ
    る請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 キレート剤が中和滴定曲線において少な
    くとも1個の酸基の変曲点がpH8以上であり、残りの
    酸基の変曲点がpH8未満である請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 キレート剤が、ヒドロキシエチルエチレ
    ンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン
    四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテ
    トラミン六酢酸、ニトリロトリ(メチレンホスフォン
    酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスフォ
    ン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスフォン
    酸)及びジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスフ
    ォン酸)の各アルカリ金属塩からなる群より選ばれた化
    合物である請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 【請求項7】 カチオン交換樹脂がスチレン・ジビニル
    ベンゼン共重合体を母体としたスルフォン酸基を有する
    H型の強酸性カチオン交換樹脂である請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 アニオン交換樹脂がスチレン・ジビニル
    ベンゼン共重合体、アクリル系重合体、またはエポキシ
    アミン系重合体を母体とした第四級アンモニウム塩基を
    有するCl型の強塩基性アニオン交換樹脂である請求項
    1〜7のいずれか1項記載の方法。
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