JP2021050377A - スカンジウムの回収方法、並びにイオン交換処理方法 - Google Patents

スカンジウムの回収方法、並びにイオン交換処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】少なくとも、スカンジウム、ニッケル、及びクロムを含有する酸性溶液から、キレート樹脂を用いたイオン交換処理を経てスカンジウムを回収する方法において、キレート樹脂への不純物の吸着を抑制して、高純度なスカンジウムを回収する方法を提供する。【解決手段】本発明は、少なくとも、スカンジウム、ニッケル、及びクロムを含有する酸性溶液からスカンジウムを回収する方法において、キレート樹脂を充填したカラムに酸性溶液を通液することによりその酸性溶液中のスカンジウムをキレート樹脂に吸着させ、その後スカンジウム溶離液を得るイオン交換処理工程S2を含み、イオン交換処理工程S2では、酸性溶液をカラムに通液するに際し、そのカラム内での単位時間あたりの移動距離(線速度)を調整して通液する。【選択図】図1

Description

本発明は、スカンジウムの回収方法、並びにその回収方法に適用されるイオン交換処理方法に関する。
スカンジウム(Sc)は、高強度アルミ合金の添加剤や燃料電池の電極材料として極めて有用である。しかしながら、生産量が少なく、高価であるため、利用は限られていた。
ところで、ラテライト鉱やリモナイト鉱等に代表されるニッケル酸化鉱石には、微量のスカンジウムが含まれていることが知られている。しかしながら、ニッケル酸化鉱石はニッケル含有品位が低いことから、ニッケルを回収するにあたってコストを要するという問題があった。そのため、炉を用いて高温で熔解する乾式製錬に付し、鉄とニッケルの合金であるフェロニッケルを得てステンレスの原料に用いること以外には利用できなかった。
乾式製錬法を用いてニッケル酸化鉱石を処理した場合、スカンジウムはニッケルと分離されるものの、多くの不純物と共に化学的に安定した形態であるスラグに分配されてしまうため、スカンジウムを高純度で回収することは技術的に困難となる。そのため、ニッケル酸化鉱石に含まれるスカンジウムを工業的に回収研究はほとんどなされていなかった。
しかしながら、近年、ニッケル酸化鉱石を硫酸と共に加圧容器に装入し、240℃〜260℃程度の高温に加熱してニッケルを含有する浸出液と浸出残渣とに固液分離する高圧酸浸出(High Pressure Acid Leach:HPAL)プロセスが工業的に実用化された。
このHPALプロセスでは、浸出処理により得られた浸出液に中和剤を添加して不純物を分離し、次いで硫化剤を添加してニッケルをニッケル硫化物として回収する。そして、回収したニッケル硫化物を既存のニッケル製錬工程で処理することで、電気ニッケルや硫酸ニッケルのようなニッケル塩化合物を得ることができる。
このようなHPALプロセスを用いた場合、ニッケル酸化鉱石に含まれるスカンジウムは、ニッケルと共に浸出液に含まれる(例えば特許文献1を参照)。そして、得られた浸出液に対し、中和剤を添加して不純物を分離し、次いで硫化剤を添加して硫化処理を施すと、ニッケルはニッケル硫化物として回収される一方で、スカンジウムは硫化剤添加後の酸性溶液(硫化後液)に含まれるようになる。そのため、HPALプロセスを使用することで、ニッケルとスカンジウムとを効果的に分離することができる。
そして、例えば特許文献2に開示されるように、硫化剤添加後の酸性溶液を、イミノジ酢酸塩を官能基とするキレート樹脂に接触させてスカンジウムを吸着させ、さらに中和や溶媒抽出、さらにはシュウ酸化等の処理に付して不純物を分離し、最後に焙焼処理を施すことで、酸化スカンジウムの粉末を得ることができる。
ここで、特許文献2に開示の方法では、イミノジ酢酸を官能基とする、スカンジウム、アルミニウム、及びクロムが吸着されたキレート樹脂に、0.1N以下の硫酸を接触させることでキレート樹脂からアルミニウムを除去し、その後、そのキレート樹脂に1N以上3N未満の硫酸を接触させてスカンジウム溶離液を得て、最後に、3N以上の高濃度の硫酸を用いてクロムを溶離するという多段階の溶離処理を行っている。
しかしながら、特許文献2の方法を用いた場合でも、スカンジウムを濃縮しながら不純物を効率よく除去することは容易ではなかった。
特に、HPALプロセスにおける硫化剤添加後の酸性溶液に含有されるスカンジウムは、概して数十mg/L程度の低濃度である場合が多く、その酸性溶液中には、上述した不純物の方がはるかに高濃度で含有されることも珍しくない。
このような酸性溶液からスカンジウムを回収する場合、キレート樹脂への各元素の吸着の分配から、不純物がキレート樹脂に吸着する量も決して無視できなくなる。キレート樹脂に吸着する不純物が増加すると、スカンジウムの純度に影響を及ぼすとともに、そのキレート樹脂へのスカンジウムの吸着量も減少する。そのため、スカンジウムの実収率(回収率)にも影響することになり、好ましくない。
高純度なスカンジウム含有液を得るためには、例えば、キレート樹脂の吸着と溶離を2回以上繰り返したり、他の処理方法を組み合わせたりする等の処理が必要となる。しかしながら、手間やコストが増えてカンジウムの実収率(回収率)が低下する等の問題がある。特に、物量が多いニッケルや、キレート樹脂ヘの吸着性能がスカンジウムに類似するクロムの効果的な除去が課題となっていた。
特開2014−177391号公報 特開2016−108664号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、少なくとも、スカンジウム、ニッケル、及びクロムを含有する酸性溶液から、キレート樹脂を用いたイオン交換処理を経てスカンジウムを回収するにあたり、そのイオン交換処理において、キレート樹脂への不純物の吸着を抑制する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、少なくとも、スカンジウム、ニッケル、及びクロムを含有する酸性溶液をキレート樹脂に接触させることでスカンジウムを吸着させるイオン交換処理において、キレート樹脂を充填させたカラムに酸性溶液を通液させる際の線速度(カラム内での単位時間当たりの移動距離)を管理指標とし、その線速度を調整して通液することで、ニッケルやクロム等の成分のキレート樹脂への吸着を抑制し、スカンジウムの吸着量を増加させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、少なくとも、スカンジウム、ニッケル、及びクロムを含有する酸性溶液からスカンジウムを回収する方法において、キレート樹脂を充填したカラムに前記酸性溶液を通液することにより該酸性溶液中のスカンジウムを該キレート樹脂に吸着させ、その後スカンジウム溶離液を得るイオン交換処理工程を含み、前記イオン交換処理工程では、前記酸性溶液を前記カラムに通液するに際し、該カラム内での単位時間あたりの移動距離(線速度)を調整して通液する、スカンジウムの回収方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記酸性溶液は、ニッケル酸化鉱石を硫酸による浸出処理に付し、得られた浸出液に硫化剤を添加してニッケル硫化物を分離した後の溶液である、スカンジウムの回収方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記キレート樹脂が、イミノジ酢酸を官能基とする樹脂である、スカンジウムの回収方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記イオン交換処理工程は、前記酸性溶液を、前記キレート樹脂を充填したカラムに通液させることにより、該キレート樹脂にスカンジウムを吸着させる工程と、スカンジウムを吸着したキレート樹脂に0.3N未満の硫酸を接触させ、該キレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去する工程と、アルミニウムを除去したキレート樹脂に0.3N以上3N未満の硫酸を接触させ、該キレート樹脂に吸着したスカンジウムを溶離してスカンジウム溶離液を得る工程と、スカンジウムを溶離したキレート樹脂に3N以上の硫酸を接触させ、該キレート樹脂に吸着したクロムを除去する工程と、を有する、スカンジウムの回収方法である。
(5)本発明の第5の発明は、少なくとも、スカンジウム、ニッケル、及びクロムを含有する酸性溶液に対してキレート樹脂を用いたイオン交換処理を施し、スカンジウムを濃縮させた溶液を得るイオン交換処理方法であって、前記キレート樹脂を充填したカラムに前記酸性溶液を通液することにより該酸性溶液中のスカンジウムを該キレート樹脂に吸着させる工程を含み、前記酸性溶液を前記カラムに通液するに際し、該カラム内での単位時間あたりの移動距離(線速度)を調整して通液する、イオン交換処理方法である。
本発明によれば、少なくとも、スカンジウム、ニッケル、及びクロムを含有する酸性溶液から、キレート樹脂を用いたイオン交換処理を経てスカンジウムを回収するにあたり、キレート樹脂への不純物の吸着を抑制することができる。
そしてこれにより、キレート樹脂へのスカンジウムの吸着量を増加させることができ、高純度なスカンジウムを回収することができる。
スカンジウムの回収方法の流れの一例を示す工程図である。 実施例において、キレート樹脂を充填したカラムへ硫化後液を通液したときの線速度に対する、スカンジウム溶離液中のスカンジウム(Sc)に対するクロム(Cr)、ニッケル(Ni)の含有比率の測定結果を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、本明細書にて、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
本発明に係るスカンジウムの回収方法は、少なくとも、スカンジウム(Sc)、ニッケル(Ni)、及びクロム(Cr)を含有する酸性溶液からスカンジウムを回収する方法である。例えば、その酸性溶液としては、ニッケル酸化鉱石を硫酸による浸出処理に付し、得られた浸出液に硫化剤を添加してニッケル硫化物を分離した後の溶液が挙げられる。
具体的に、このスカンジウムの回収方法は、キレート樹脂を充填したカラムに酸性溶液を通液することによりその酸性溶液中のスカンジウムをキレート樹脂に吸着させ、その後スカンジウム溶離液を得るイオン交換処理工程を含む。そして、イオン交換処理工程では、酸性溶液をカラムに通液するに際し、そのカラム内での単位時間あたりの移動距離(線速度)を調整して通液することを特徴としている。
このように、本発明に係るスカンジウムの回収方法では、キレート樹脂を用いたイオン交換処理工程において、キレート樹脂を充填したカラムへの酸性溶液の通液を、カラム内の線速度を管理指標として調整して行うようにしている。これにより、酸性溶液に含まれるニッケルやクロムのキレート樹脂への吸着を抑制でき、その分だけキレート樹脂に対するスカンジウムの吸着量を増加させることができる。その結果、キレート樹脂から溶離させて得られるスカンジウム溶離液のスカンジウム濃度を高くすることができ、回収するスカンジウムの純度を向上させることができる。
図1は、スカンジウムの回収方法の流れの一例を示す工程図である。この例では、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスを経て得られる酸性溶液である硫化後液を用いて、その硫化後液からスカンジウムを回収する流れを示している。なお、硫化後液には、少なくとも、スカンジウム、ニッケル、及びクロムが含まれている。
図1に示すように、スカンジウムの回収方法は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスを実行してニッケル硫化物と硫化後液とを生成させる湿式製錬処理工程S1と、湿式製錬処理工程S1から得られた酸性溶液に対してイオン交換処理を施してスカンジウム溶離液を得るイオン交換処理工程S2と、スカンジウム溶離液からスカンジウムを回収するスカンジウム回収工程S3と、を有する。また、スカンジウム溶離液をキレート樹脂に再吸着させるための再吸着処理工程S4を有するようにすることもできる。
(1)湿式製錬処理工程
スカンジウム回収の処理対象となるスカンジウムを含有する酸性溶液としては、上述したように、ニッケル酸化鉱石に対して硫酸により浸出して得られる硫酸酸性溶液等の、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬処理を経て得られる溶液を用いることができる。
具体的に、スカンジウムを含有する酸性溶液としては、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で硫酸により浸出して浸出液を得る浸出工程S11と、浸出液に中和剤を添加して不純物を含む中和澱物と中和後液とを得る中和工程S12と、中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得る硫化工程S13と、を有する湿式製錬処理工程S1により得られる硫化後液を用いることができる。以下では、湿式製錬処理工程S1の流れを簡単に説明する。
(浸出工程)
浸出工程S11は、例えば高温加圧容器(オートクレーブ)等を用いて、ニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加して240℃〜260℃の温度下で撹拌処理を施し、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを形成する工程である。なお、浸出工程S11における処理は、従来知られているHPALプロセスに従って行えばよい。
ニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が挙げられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8重量%〜2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、これらのニッケル酸化鉱石には、スカンジウムが含まれている。
浸出工程S11では、得られた浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを洗浄しながら、ニッケルやコバルト、スカンジウム等を含む浸出液と、ヘマタイトである浸出残渣とに固液分離する。固液分離処理では、例えば、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、凝集剤供給設備等から供給される凝集剤を用いて、シックナー等の固液分離設備を利用して行うことができる。
(中和工程)
中和工程S12は、得られた浸出液に中和剤を添加してpH調整し、不純物元素を含む中和澱物と中和後液とを得る工程である。中和工程S12における中和処理により、ニッケルやコバルト、スカンジウム等の有価金属は中和後液に含まれるようになり、鉄、アルミニウムをはじめとした不純物の大部分が中和澱物となる。
中和剤としては、従来公知のもの使用することができ、例えば、炭酸カルシウム、消石灰、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
(硫化工程)
硫化工程S13は、中和工程S12にて得られた中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得る工程である。硫化工程S13における硫化処理により、ニッケル、コバルト、亜鉛等は硫化物となり、スカンジウムは硫化後液に含まれることになる。
具体的に、硫化工程S13では、得られた中和後液に対して、硫化水素ガス、硫化ナトリウム、水素化硫化ナトリウム等の硫化剤を添加し、不純物成分の少ないニッケル及びコバルトを含む硫化物(以下では単に「ニッケル硫化物」ともいう)と、ニッケル濃度を低い水準で安定させ、スカンジウムを含有させた硫化後液とを生成させる。
硫化工程S13における硫化処理では、ニッケル硫化物を含むスラリーに対してシックナー等の沈降分離装置を用いた沈降分離処理を施し、ニッケル硫化物をシックナーの底部より分離回収する。一方で、水溶液成分であって、スカンジウムを含有する硫化後液についてはオーバーフローさせて回収する。
スカンジウムの回収方法では、以上のようなニッケル酸化鉱石の湿式製錬処理工程S1の各工程を経て得られる硫化後液を、スカンジウム回収処理の対象となる、少なくとも、スカンジウム、ニッケル、及びクロムを含有する酸性溶液として用いることができる。
(2)イオン交換処理工程
イオン交換処理工程S2は、湿式製錬処理工程S1を経て得られた硫化後液に対してキレート樹脂(イオン交換樹脂)を用いたイオン交換処理を施すことによって、スカンジウムを濃縮させたスカンジウム溶離液を得る工程である。
スカンジウムを含有する酸性溶液である硫化後液には、スカンジウムのほかに、例えば上述した硫化工程S13における硫化処理では硫化されずに溶液中に残留したニッケルやクロム等の不純物が含まれている。このことから、硫化後液からスカンジウムを回収するにあたり、予め、その硫化後液中に含まれる不純物を除去してスカンジウムを濃縮させることが好ましい。
イオン交換処理工程S2としては、例えば、硫化後液をキレート樹脂に接触させてスカンジウムを吸着させる吸着工程S21と、スカンジウムを吸着したキレート樹脂に所定の規定度の硫酸を接触させてアルミニウムを除去するアルミニウム除去工程S22と、キレート樹脂に所定の規定度の硫酸を接触させてスカンジウム溶離液を得るスカンジウム溶離工程S23と、キレート樹脂に所定の規定度の硫酸を接触させてキレート樹脂に吸着したクロムを除去するクロム除去工程S24と、を有するものを例示できる。
イオン交換処理に用いるキレート樹脂の種類としては、特に限定されない。例えばイミノジ酢酸を官能基とする樹脂を用いることができ、このようなキレート樹脂によれば、スカンジウムの吸着選択性を高めることができる。また、キレート樹脂はカラムに充填されており、酸性溶液をカラムに通液させることによって、酸性溶液中のスカンジウムをキレート樹脂に吸着させる。
このとき、本発明に係るスカンジウムの回収方法では、酸性溶液を、キレート樹脂を充填したカラムに通液させるに際して、カラム内の線速度を調整して行う。
(吸着工程)
吸着工程S21では、酸性溶液である硫化後液をカラムに充填させたキレート樹脂に接触させて、溶液中のスカンジウムをキレート樹脂に吸着させる。キレート樹脂としては、上述したように、例えばイミノジ酢酸を官能基とする樹脂を用いることができる。
ここで、本発明に係るスカンジウムの回収方法では、この吸着工程S21において、キレート樹脂にスカンジウムを吸着させるに際し、キレート樹脂を充填したカラム(イオン交換樹脂塔)に通液する硫化後液のカラム内での単位時間当たりの移動距離、すなわち線速度を所定の範囲に調整することを特徴としている。つまり、キレート樹脂を充填したカラムに硫化後液を通液させるに際して、カラム内の線速度を管理指標としてその線速度を調整して通液する。
これにより、硫化後液中に含まれるニッケルやクロムのキレート樹脂への吸着を抑制して、キレート樹脂に吸着するスカンジウムの量(吸着量)を増加させることができる。このように、キレート樹脂に吸着する不純物量を減少させ、一方でその分だけスカンジウム吸着を増加させることで、スカンジウムの高純度化を促進させることができる。そしてその結果、キレート樹脂から溶離させて得られるスカンジウム溶離液のスカンジウム濃度を高くすることができ、回収するスカンジウムの純度を向上させることができる。
ニッケル(Ni)やクロム(Cr)のキレート樹脂への吸着抑制の効果は、キレート樹脂から溶離させて得られるスカンジウム溶離液におけるスカンジウム(Sc)に対するクロムやニッケルの含有比率で評価することができる。具体的に、Ni/Sc比、又は、Cr/Sc比の値が大きいほど、スカンジウム溶離液中に含まれるニッケルやクロムの含有量が多くなり、好ましくないことを意味する。なお、工業的には、ニッケルやクロムのスカンジウムへの混在、すなわち、スカンジウム溶離液中のScに対するNiやCrの含有比率の百分率は、5%以下程度に抑制することが好ましい。
クロムの吸着を5%以下に抑制する場合、例えば、硫化後液を、キレート樹脂を充填したカラムに通液させるに際して、線速度が少なくとも8m/h以上となる比較的速めの流速で通液することが好ましい。一方で、ニッケルの吸着を5%以下に抑制する場合、一般的にニッケルの吸着はクロムほど少ないが、例えば線速度が12m/h以下の比較的遅めの流速で通液することが好ましい。なお、ニッケルの吸着抑制の点では、線速度8m/h以下の流速とすることで、ほぼ十分に混入を抑制できより好ましい。
硫化後液に含まれるクロムとニッケルとの両方の吸着を抑制しようとする場合、例えば線速度が10m/h〜12m/h程度となるように通液することにより、クロムとニッケルの両方の吸着を抑制しつつ、スカンジウムの吸着量を増加させることができる。
このように、スカンジウムに対するニッケルやクロム等の不純物の存在比率と、キレート樹脂を充填したカラムへの通液に際しての線速度と、の関係を検討し、その線速度を所定の範囲に調整して通液を行うことによって、不純物のキレート樹脂への吸着を抑制しながら、スカンジウム吸着比率を効果的に高めることができる。
(アルミニウム除去工程)
アルミニウム除去工程S22では、吸着工程S21でスカンジウムを吸着したキレート樹脂に0.3N未満の硫酸を接触させ、そのキレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去する。なお、硫酸によりキレート樹脂からアルミニウムを除去すると、アルミニウムを溶離させた溶液(アルミニウム溶離液)が回収される。
アルミニウムを除去するに際しては、キレート樹脂に接触させる硫酸のpHを1.0〜2.5の範囲に維持することが好ましく、1.5〜2.0の範囲に維持することがより好ましい。硫酸のpHが1.0未満であると、アルミニウムだけでなく、吸着させたスカンジウムもキレート樹脂から除去される可能性がある。一方で、硫酸のpHが2.5を超えると、アルミニウムが適切にキレート樹脂から除去されない可能性がある。そのため、硫酸濃度としては、0.3N未満とし、好ましくは0.1N〜0.2N程度とする。
(スカンジウム溶離工程)
スカンジウム溶離工程S23では、アルミニウムを除去したキレート樹脂に0.3N以上3.0N未満の硫酸を接触させ、キレート樹脂からスカンジウムを溶離し、スカンジウム溶離液を得る。
スカンジウム溶離液を得るに際しては、溶離液(溶離させるための溶液)に用いる硫酸の規定度を0.3N以上3.0N未満の範囲に維持することが好ましく、0.5N以上2.0N未満の範囲に維持することがより好ましい。規定度が3.0N以上であると、スカンジウムだけでなく、キレート樹脂に吸着した不純物のクロムまでも溶離してスカンジウム溶離液に含まれてしまうことがある。一方で、規定度が0.3N未満であると、スカンジウムが適切にキレート樹脂から溶離されないため、好ましくない。
なお、このスカンジウム溶離工程S23から得られたスカンジウム溶離液を繰り返し用い、すなわち、得られたスカンジウム溶離液をキレート樹脂に再度接触させてスカンジウム溶離工程S23を繰り返し行うようにしてもよい(スカンジウム溶離液の精製)。これにより、スカンジウム溶離液に含まれるスカンジウムの濃度を高めることができる。
(クロム除去工程)
クロム除去工程S24では、スカンジウム溶離工程S23を経てスカンジウムを溶離させたキレート樹脂に3.0N以上の硫酸を接触させ、キレート樹脂に吸着した不純物であるクロムを除去する。なお、硫酸によりキレート樹脂からクロムを除去すると、クロムを溶離させた溶液(クロム溶離液)が回収される。
クロムを除去するに際しては、硫酸の規定度を3.0N以上とすることが好ましい。硫酸の規定度が3.0Nを下回ると、クロムが適切にキレート樹脂から除去されない可能性がある。
(鉄除去工程)
また、図示していないが、上述したアルミニウム除去工程S22に先立ち、不純物である鉄を除去する鉄除去工程を設けるようにしてもよい。硫化後液には、その原料のニッケル酸化鉱石に由来して鉄が含まれることがある。このようなとき、不純物を低減してスカンジウム溶離液中のスカンジウム濃度を高める観点から、鉄除去工程を設けて、キレート樹脂に吸着した鉄を除去することが好ましい。
具体的に、鉄除去工程は、アルミニウム除去工程S22の前工程として設けるようにし、アルミニウム除去工程S22で使用する硫酸の規定度よりも小さい規定度の硫酸をキレート樹脂に接触させて、キレート樹脂に吸着した鉄を除去する。鉄を除去するに際して、硫酸のpHとしては1.0〜3.0の範囲に維持することが好ましい。硫酸のpHが1.0未満であると、鉄だけでなく、スカンジウムもキレート樹脂から除去される可能性があり、一方で硫酸のpHが3.0を超えると、鉄が適切にキレート樹脂から除去されない可能性がある。
(3)スカンジウム回収工程
スカンジウム回収工程S3は、イオン交換処理工程S2を経て得られたスカンジウム溶離液からスカンジウムを回収する工程である。例えば、スカンジウムは、酸化スカンジウムの形態として回収することができる。
スカンジウム回収工程S3における処理方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、スカンジウム溶離液にアルカリを添加して中和処理を施すことにより水酸化スカンジウムの沈澱物として回収する方法や、スカンジウム溶離液にシュウ酸を添加してシュウ酸塩の沈澱物として回収する方法(シュウ酸塩化処理)を用いることができる。中でも、シュウ酸塩化処理を用いた方法によれば、より効果的に不純物を分離することができる。
具体的に、シュウ酸塩化処理を用いた回収方法では、スカンジウム溶離液にシュウ酸を加えることによりシュウ酸スカンジウムの沈澱物を生成させ、その後、シュウ酸スカンジウムを乾燥し、焙焼することにより酸化スカンジウムとして回収する。なお、シュウ酸塩化処理では、シュウ酸溶液を収容した反応槽に抽出残液を添加することでシュウ酸スカンジウムの沈澱物を生成させてもよい。
焙焼処理は、例えばシュウ酸塩化処理により得られたシュウ酸スカンジウムの沈澱物を水で洗浄し、乾燥させた後に、焙焼する処理である。この焙焼処理を経ることで、スカンジウムを極めて高純度な酸化スカンジウムとして回収することができる。焙焼処理条件は、特に限定されないが、例えば管状炉に入れて約900℃で2時間程度加熱すればよい。
なお、図示していないが、スカンジウム回収工程S3に先立ち、イオン交換処理工程S2を経て得られたスカンジウム溶離液に対して溶媒抽出処理を施すようにしてもよい(溶媒抽出工程)。このようにして溶媒抽出処理を施すことにより、例えば抽出剤を含む有機溶媒に、スカンジウム溶離液に含まれる不純物を選択的に抽出し、スカンジウム溶離液を精製することができ、スカンジウムを濃縮させた溶液(抽出残液)を得ることができる。
(4)再吸着処理工程
また、必須の態様ではないが、イオン交換処理工程S2を経て得られたスカンジウム溶離液をキレート樹脂に再吸着させるための再吸着処理を行うようにしてもよい(再吸着処理工程S4)。
具体的に、キレート樹脂を再吸着させるためのスカンジウム溶離液に対する処理としては、例えば、スカンジウム溶離液に中和剤を添加してpHを2.0以上4.0以下の範囲、好ましくはpH3.0を中心とした2.7〜3.3の範囲に調整し、次いで、還元剤を添加し、次いで、硫酸を添加してpHを1.0以上2.5以下の範囲、好ましくはpH2.0を中心とした1.7〜2.3の範囲に調整する処理を行う。このようにしてpHを調整した後の溶液(pH調整後液)を用いて、イオン交換処理工程S2(吸着工程S21、アルミニウム除去工程S22、スカンジウム溶離工程S23)での処理を再び行う。
このようにして、得られたスカンジウム溶離液に対して再吸着処理を行い、処理後の溶液(pH調整後液)をイオン交換処理工程S2に繰り返してキレート樹脂に再吸着させることで、回収されるスカンジウムの品位をより一層に高めることができる。また、スカンジウム溶離液からスカンジウムを分離する際の薬剤コストや設備規模を縮減できる。
ここで、中和剤としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、還元剤についても、従来公知のものを用いることができ、例えば、硫化水素ガス、硫化ナトリウム等の硫化剤や、二酸化硫黄ガス、ヒドラジン、金属鉄等が挙げられる。
還元剤の添加は、酸化還元電位(ORP)が銀/塩化銀電極を参照電極とする値で200mVを越えて300mV以下となる範囲に維持するように行うことが好ましい。例えば還元剤として硫化剤を使用した場合、酸化還元電位が200mV以下であると、添加された硫化剤に由来する硫黄分が微細な固体として析出し、硫化後の濾過処理において濾布を目詰まりさせて固液分離を悪化させ生産性低下の原因となることがある。また、キレート樹脂に再通液する際に、カラム内で目詰まりや液流れの偏りを生じ、均一な通液が行えない等の原因となることがある。一方、全ての還元剤において、酸化還元電位が300mVを超えると、残留する鉄イオン等がキレート樹脂に吸着して、スカンジウムの吸着を阻害する等の問題が生じる可能性がある。
また、スカンジウム溶離液のキレート樹脂への再吸着を行うにあたり、そのキレート樹脂としては、既に使用したものを再使用してもよいし、新たなキレート樹脂を使用してもよい。不純物のコンタミを防止する観点から、クロム除去工程S24を経て回収されたキレート樹脂を再使用するか、あるいは新たなキレート樹脂を使用することが好ましい。特に、クロム除去工程S24を経て回収されたキレート樹脂を再使用することによれば、不純物のコンタミを防止できるだけでなく、キレート樹脂の使用量を抑えることができる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(湿式製錬処理工程)
ニッケル酸化鉱石を適当な粒度に破砕したスラリー(鉱石スラリー)を、濃硫酸と共に高圧反応容器(オートクレーブ)に装入し、245℃に維持しながら1時間かけてスカンジウムやニッケル等の有価金属を浸出したスラリー(浸出スラリー)を生成させた(浸出工程)。そして、得られた浸出スラリーを反応容器から取り出して冷却し、シックナーを用いて有価金属を含有する浸出液と浸出残渣とに固液分離した。
続いて、浸出工程で得られた浸出液に炭酸カルシウムを添加してpHを1〜4の範囲に調整し、中和澱物と中和後液とを得た(中和工程)。スカンジウムやニッケル等の有価金属は中和後液に含まれ、アルミニウムをはじめとした不純物の大部分は中和澱物に含まれ除去された。
続いて、中和工程で得られた中和後液に硫化水素ガスを吹き込み、ニッケルやコバルト、亜鉛を硫化物として回収し、硫化後液と分離した(硫化工程)。なお、下記表1に、硫化工程を経て得られた硫化後液の組成を示す。
Figure 2021050377
(イオン交換処理工程)
次に、湿式製錬処理工程における硫化工程を経て回収された硫化後液を吸着始液として用い、硫化後液をイオン吸着樹脂に接触させてスカンジウムを吸着させる処理を行った。
イオン吸着樹脂として、イミノジ酢酸を官能基とするキレート樹脂(三菱化学株式会社製,ダイヤイオンCR11)を用いた。このキレート樹脂550mlを内径25.4mm、長さ1500mmのガラス製の円筒形をしたカラムに充填した。
そして、キレート樹脂を充填したカラムに、吸着始液である硫化後液(表1に示す組成)を通液して吸着処理を行った(吸着工程)。なお、吸着時の温度は30℃に維持した。また、キレート樹脂に吸着させたスカンジウムを、所定濃度の硫酸溶液をキレート樹脂に接触させることで溶離させて、スカンジウム溶離液を得た(溶離工程)。
ここで、下記表2に、キレート樹脂への吸着条件及びキレート樹脂からの溶離条件を示す。なお、「BV(Bed Volume)」は、キレート樹脂を充填したカラム内の樹脂体積に対する硫化後液の通液量を示す。例えばBV30とは、充填したキレート樹脂550mlの30倍の量の液を通液したことを示す。また、「LV」は、1時間当たりに液がカラム内を移動する距離、すなわち線速度を示す。例えばLV8とは、内径25.4mm(断面積5.07cm)のカラム内を1時間あたりに8mの長さ(距離)を移動する流速であることを示す。
Figure 2021050377
キレート樹脂からスカンジウムを溶離させて得られたスカンジウム溶離液について、ICPを用いてクロム、ニッケル、及びスカンジウムの含有量を分析した。その分析結果から、通液時の線速度によるニッケル、クロム、スカンジウムの吸着への影響を確認した。
図2は、キレート樹脂を充填したカラムへ硫化後液を通液したときの線速度に対する、溶離を経て得られたスカンジウム溶離液中のスカンジウム(Sc)に対するクロム(Cr)、ニッケル(Ni)の含有比率の測定結果を示す図である。
図2に示されるように、吸着時における硫化後液の線速度が大きくなるほど、得られるスカンジウム溶離液中のCr/Sc比は小さくなることがわかる。つまり、スカンジウムの量が相対的に増加していることから、スカンジウム精製効果が高くなったことを示している。また、図2のグラフから、スカンジウムに対するクロムの割合を5%以下に抑制することを基準にみると、8m/h以上の線速度で通液することがクロムの吸着を抑制しつつスカンジウムの吸着量を増加させ、スカンジウムを高純度化するのに望ましいことがわかる。
さらに、図2のグラフから、吸着時における硫化後液の線速度が小さいほど、得られるスカンジウム溶離液中のNi/Sc比は小さい値を示している。つまり、スカンジウム溶離液中のスカンジウムの精製効果が高いことがわかる。Ni/Sc比は3%(=0.03)以下で頭打ちになるため、8m/h以下の線速度で通液することがニッケルの吸着を抑制しつつスカンジウムの吸着量を増加させ、スカンジウムを高純度化するのに望ましいことがわかる。
このように、少なくとも、スカンジウム、ニッケル、及びクロムを含有する酸性溶液である硫化後液を、キレート樹脂を充填したカラムに通液させてイオン交換処理を行うに際して、硫化後液のカラム内の線速度を管理指標として、その線速度を調整して通液することで、ニッケルやクロムのキレート樹脂への吸着を抑制し、その分だけキレート樹脂へのスカンジウムの吸着量を増加させることができる。そしてその結果、キレート樹脂から溶離するスカンジウム濃度を高く維持でき、スカンジウムの高純度化と生産性の向上を果たすことができる。

Claims (5)

  1. 少なくとも、スカンジウム、ニッケル、及びクロムを含有する酸性溶液からスカンジウムを回収する方法において、
    キレート樹脂を充填したカラムに前記酸性溶液を通液することにより該酸性溶液中のスカンジウムを該キレート樹脂に吸着させ、その後スカンジウム溶離液を得るイオン交換処理工程を含み、
    前記イオン交換処理工程では、
    前記酸性溶液を前記カラムに通液するに際し、該カラム内での単位時間あたりの移動距離(線速度)を調整して通液する、
    スカンジウムの回収方法。
  2. 前記酸性溶液は、ニッケル酸化鉱石を硫酸による浸出処理に付し、得られた浸出液に硫化剤を添加してニッケル硫化物を分離した後の溶液である、
    請求項1に記載のスカンジウムの回収方法。
  3. 前記キレート樹脂が、イミノジ酢酸を官能基とする樹脂である、
    請求項1又は2に記載のスカンジウムの回収方法。
  4. 前記イオン交換処理工程は、
    前記酸性溶液を、前記キレート樹脂を充填したカラムに通液させることにより、該キレート樹脂にスカンジウムを吸着させる工程と、
    スカンジウムを吸着したキレート樹脂に0.3N未満の硫酸を接触させ、該キレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去する工程と、
    アルミニウムを除去したキレート樹脂に0.3N以上3N未満の硫酸を接触させ、該キレート樹脂に吸着したスカンジウムを溶離してスカンジウム溶離液を得る工程と、
    スカンジウムを溶離したキレート樹脂に3N以上の硫酸を接触させ、該キレート樹脂に吸着したクロムを除去する工程と、を有する、
    請求項1乃至3のいずれかに記載のスカンジウムの回収方法。
  5. 少なくとも、スカンジウム、ニッケル、及びクロムを含有する酸性溶液に対してキレート樹脂を用いたイオン交換処理を施し、スカンジウムを濃縮させた溶液を得るイオン交換処理方法であって、
    前記キレート樹脂を充填したカラムに前記酸性溶液を通液することにより該酸性溶液中のスカンジウムを該キレート樹脂に吸着させる工程を含み、
    前記酸性溶液を前記カラムに通液するに際し、該カラム内での単位時間あたりの移動距離(線速度)を調整して通液する、
    イオン交換処理方法。
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