JPH1073608A - 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップの元部材およびこれを用いた走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップの元部材およびこれを用いた走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ

Info

Publication number
JPH1073608A
JPH1073608A JP23078396A JP23078396A JPH1073608A JP H1073608 A JPH1073608 A JP H1073608A JP 23078396 A JP23078396 A JP 23078396A JP 23078396 A JP23078396 A JP 23078396A JP H1073608 A JPH1073608 A JP H1073608A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cantilever
adhesive
scanning probe
tip
probe microscope
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP23078396A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiro Matsuyama
克宏 松山
Akitoshi Toda
明敏 戸田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Optical Co Ltd filed Critical Olympus Optical Co Ltd
Priority to JP23078396A priority Critical patent/JPH1073608A/ja
Publication of JPH1073608A publication Critical patent/JPH1073608A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】球状の探針を所定の位置に高い精度で接着する
ことが容易な走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチッ
プの元部材を提供する。 【解決手段】走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチッ
プの元部材100は、支持部102から延びる短冊形状
のカンチレバー106を有し、その自由端部には円形の
開口部108が形成されている。元部材100は更に、
支持部102から延びる中抜きの三角形状のカンチレバ
ー110を有し、その自由端部には円形の開口部112
が形成されている。支持部102はガラス製、カンチレ
バー106と110は窒化シリコン膜よりなっている。
カンチレバー106と110の背面(図の上面)には金
コートが施されている。金コートは、高精度のカンチレ
バーの変位検出のために設けられており、カンチレバー
に照射される光学式変位センサのセンサ光を良好に反射
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡用カンチレバーチップの元部材およびこれを用いた
走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップに関する。
【0002】
【従来の技術】原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force
Microscope )は、ビニッヒ(Binnig)らにより発明さ
れた走査型トンネル顕微鏡(STM:Scanning Tunneli
ng Microscope )におけるサーボ技術を始めとする要素
技術を利用し、導電性の試料は勿論、STMでは測定で
きなかった絶縁性の試料をも原子オーダーの精度で観察
することのできる装置である。AFMの構造はSTMに
類似しており、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanni
ng Probe Microscope )の一つとして位置づけられる。
原子間力顕微鏡の一例は例えば特開昭62−13030
2号において提案されている。
【0003】AFMでは、カンチレバーの自由端に支持
された鋭い突起部分(探針部)が試料表面の近くに配置
される。カンチレバーは探針先端の原子とその最も近く
の試料表面の原子との間に働く相互作用力により変位
し、探針が試料表面にわたりラスター走査される間、カ
ンチレバーの変位は電気的あるいは光学的な手段により
検知され、これが一定に保たれるように探針と試料の間
隔が制御される。走査中の試料表面に対する探針の相対
的な三次元的な位置情報に基づいて試料表面の凹凸像が
得られる。
【0004】AFM用のカンチレバーは、「Thomas R.
Albrecht, Calvin F. Quate, "Atomic resolution Imag
ing of a nonconductor by Atomic force Microscopy",
J.Appl. Phys, 62 (1987) 2599」において、半導体I
C製造プロセスを応用して作製するSiO2 (二酸化シ
リコン)カンチレバーチップが提案されて以来、この半
導体IC製造プロセスを応用して作製するカンチレバー
チップが主流となっている。半導体IC製造プロセスを
応用する利点のひとつは、マイクロメータ(μm)の高
精度で非常に再現性良く作製できることであり、他の利
点はバッチプロセスで作製することによりコスト的に優
れていることである。
【0005】AFMの最も重要な用途は形状測定であ
り、生物試料を研究する分野では形状学的な解析手段と
して用いられている。従って、高い分解能で測定を行な
うため、カンチレバーはその自由端に鋭い探針(突起)
を備えている必要がある。例えば、「 T. Albrecht, S.
Akamine, T. E. Caverand, C. F. Quate, "Microfabri
cation of cantilever styli for the atomic force mi
croscope", J. Vac. Sci. Technol. A8 (4) 3386 1990
」で触れられているような、SiO2 膜の代わりに窒
化シリコン膜をカンチレバー構成材料として使用し、先
端に窒化シリコン製の探針を形成した窒化シリコン製の
カンチレバーチップが広く市場に出回っている。このカ
ンチレバーは、その寸法は長さ約50〜200μm、厚
さ約0.5〜1μm、その形状は中抜きの三角形や長方
形がある。
【0006】また、カンチレバーと探針が共に単結晶シ
リコンで形成されているカンチレバーチップが米国特許
第5,051,379号においてベイヤー(T. Bayer)
らにより提案されており、この様なタイプのカンチレバ
ーチップも購入することが可能である。
【0007】これまでに述べたカンチレバーはいずれも
半導体IC製造プロセスを応用してカンチレバーと探針
が一度に作製されるが、例えば特開平6−187905
号において松山により、カンチレバーと探針を別のプロ
セスで作製し、後に両者を接合して、探針付きのカンチ
レバーを作製する方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】AFMでは、測定に際
して、あらかじめ試料への探針の接触圧(探針圧)を設
定する必要がある。この設定を行なう時、探針を上方か
ら試料に近づけ、接触させ、引き離すという動作をさせ
たときのカンチレバー変位を測定する、いわゆるフォー
スカーブ測定と呼ばれる動作を行なう。この際のカンチ
レバーの変位は、試料と探針の間に働く力に影響され、
試料の種類や状態、さらには探針の材料や状態に応じ
て、異なった振る舞いをする。従って、フォースカーブ
を解析すれば、試料のある点と探針との間に働く相互作
用力を研究することができる。例えば、近年、生体試料
の形状を観察するためにSPMが広く使われるようにな
ってきているが、SPMを用いて、分子間力の測定や細
胞間に働く力や結合力を測定したいという要望も出てき
ている。
【0009】例えば、探針表面の親水性・疎水性は探針
と試料の間に働く力に影響を与える。このため、紫外線
照射や酸素プラズマ処理などの表面処裡方法を用いて、
探針の親水性・疎水性を制御したカンチレバーを作製
し、これを用いてSPM測定や前述の結合力の測定を行
なう試みがなされている。更に、生物試料を研究する人
にとってラテックス球は馴染みのある部材であり、表面
状態の制御に関する研究は古くから行なわれている。こ
の為、表面処理が容易なラテックス球を市販のカンチレ
バーの先端に接着剤などで取り付けてSPM測定に用い
る場合が増えている。
【0010】ラテックス球を市販のカンチレバーの先端
に接着剤により接着して作製するカンチレバーは、ラテ
ックス球を1個づつカンチレバーの探針に接着するた
め、カンチレバーの先端へのラテックス球の位置決め精
度が悪く、カンチレバーに対してラテックス球を常に同
じ位置に接着することが難しい。カンチレバー上のラテ
ックスス球の位置のばらつきは、試料からラテックス球
に作用する力の作用点を異ならせ、またカンチレバーの
バネ定数を異ならせる。結合力等の力は、カンチレバー
のバネ定数を元にして計算により求められるので、ラテ
ックス球の位置のばらつきはカンチレバーのバネ定数の
見積り誤差を増大させ、見積り誤差の増大は力の測定の
精度を低下させる。また、カンチレバーは消耗品であ
り、頻繁に交換して使用されるため、ラテックス球の位
置のばらつきは、カンチレバー交換の前後で測定データ
を異ならせ、データ間の相関を乏しくする。
【0011】また、ラテックス球針の位置がカンチレバ
ーの長手方向の軸の中央からずれている場合には、SP
M測定の時にカンチレバーがねじれる原因になり、正確
なSPM測定が行なえない。
【0012】加えて、その様なカンチレバーの作製では
カンチレバーの探針に接着剤を付けるため、ラテックス
球を接着剤上に置いた際に接着剤がカンチレバー上のラ
テックス球の試料側の面にまで回り込む場合があり、表
面処理されるはずのラテックス球の表面が表にでないカ
ンチレバーが作製されることが度々あり歩留まりが悪
い。
【0013】更に、市販のAFM装置の中には、光学顕
微鏡を組み合わせて、カンチレバーと試料間の位置関係
を光学顕微鏡を用いて確認できる装置が増えている。こ
の様な装置を用いれば、試料と探針の間に働く力を測定
するとき、試料上の測定点に探針をおおまかに位置合わ
せすることができる。ただし、落射型の光学顕微鏡はカ
ンチレバーの背面(探針のない側の面)から観察するた
め、一般に探針はカンチレバーに隠れており、光学顕微
鏡の分解能程度の高い精度で位置決めすることは難し
い。ラテックス球を接着したカンチレバーでは、前述し
たようにカンチレバー上のラテックス球の位置がばらつ
いているため、位置決めは更に難しい。
【0014】本発明の目的は、球状の探針を所定の位置
に高い精度で接着することが容易な走査型プローブ顕微
鏡用カンチレバーチップの元部材を提供することであ
る。また、本発明の他の目的は、バネ定数の見積り誤差
の少ない球状の探針を備えた走査型プローブ顕微鏡用カ
ンチレバーチップを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は走査型プローブ
顕微鏡用カンチレバーチップの元部材であり、所定の位
置に開口部が形成された弾性部材と、弾性部材を支持す
る支持部材とを備えている。この構成において、例え
ば、弾性部材は支持部材から延びるカンチレバー(片持
ち梁)であり、開口部はカンチレバーの自由端部に形成
されている。また、本発明は走査型プローブ顕微鏡用カ
ンチレバーチップであり、上記の元部材と、開口部に接
着された球状の探針とを備えている。
【0016】
【発明の実施の形態】
<第一実施形態>本実施形態は走査型プローブ顕微鏡用
カンチレバーチップの元部材である。 [構成] 図1に示されるように、元部材100は、支
持部102から延びる短冊形状のカンチレバー106を
有し、その自由端部には円形の開口部108が形成され
ている。元部材100は更に、支持部102から延びる
中抜きの三角形状のカンチレバー110を有し、その自
由端部には円形の開口部112が形成されている。
【0017】支持部102はガラス製、カンチレバー1
06と110は窒化シリコン膜よりなっている。カンチ
レバー106と110の背面(図の上面)には金コート
が施されている。金コートは、高精度のカンチレバーの
変位検出のために設けられており、カンチレバーに照射
される光学式変位センサのセンサ光を良好に反射する。
【0018】カンチレバー106は長さ100μm、幅
40μm、厚さ800nmであり、その自由端部に形成
された開口部108は直径3μmである。 [作製プロセス] 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバ
ーチップの元部材100の製造工程について、短冊形状
のカンチレバー106を例にとり、図2(A)〜図2
(D)を参照しながら説明する。
【0019】まず、図2(A)に示されるように、スタ
ートウェハーとしてシリコンウェハー120を用意す
る。次に、図2(B)に示されるように、シリコンウエ
ハー120の上面に膜厚800nmの窒化シリコン膜1
22をCVDにより形成し、アニーリングの後、窒化シ
リコン膜122をフォトリソグラフィとドライエッチン
グにより、図1に描かれるカンチレバー106と開口部
108の輪郭を定める形状にパターニングする。
【0020】続いて、図2(C)に示されるように、カ
ンチレバー形状パターンに合わせて加工したパイレック
スガラス204と、シリコンウェハー120上のパター
ニングされた窒化シリコン膜122とを陽極接合する。
【0021】その後、図2(D)に示されるように、シ
リコンウェハー120をKOHの40%水溶液でエッチ
ングした後、フッ酸によりカンチレバーに付着している
ゴミや酸化シリコン膜を除去し、最後に、カンチレバー
の背面(上面)に金属薄膜206を蒸着により形成す
る。金属薄膜206の材料は例えばクロムと金が選ばれ
る。
【0022】以上のプロセスにより、図1に示される自
由端に開口部を有する走査型プローブ顕微鏡用カンチレ
バーチップの元部材100が作製される。 [作用] この様に作製されるカンチレバーチップの元
部材100では、開口部108と112は高い加工精度
のフォトリソグラフィによってカンチレバー106と1
10の所定の位置に高い位置精度で形成される。この開
口部108と112にラテックス球が接着される。その
際、開口部108と112はラテックス球を接着するた
めの目印となるほか、それ自体がラテックス球を位置決
め機構として働く。従って、ラテックス球を所定の位置
に高い精度で接着することを容易にする走査型プローブ
顕微鏡用カンチレバーチップの元部材100が得られ
る。
【0023】[効果] 本実施形態の走査型プローブ顕
微鏡用カンチレバーチップの元部材100によれば、ラ
テックス球は再現性良く所定の位置に高い位置精度で接
着される。従って、ラテックス球の位置のばらつきの少
ない走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップを容易
に安定に得ることができる。この様な走査型プローブ顕
微鏡用カンチレバーチップは設計値通りのバネ定数を示
すので、基礎定数としてのバネ定数の見積り誤差が減
り、試料表面とラテックス球の間の吸着力などを正確に
測定できるようになる。
【0024】<第二実施形態>本実施形態は自由端にラ
テックス球を備える走査型プローブ顕微鏡用カンチレバ
ーチップである。
【0025】[構成] 図3に示されるように、走査型
プローブ顕微鏡用カンチレバーチップは、第一実施形態
で説明した元部材100と、そのカンチレバー106と
110の自由端に形成された開口部108と112の下
側に接着されたラテックス球130とで構成されてい
る。
【0026】[作製プロセス] 本実施形態の走査型プ
ローブ顕微鏡用カンチレバーチップの製造工程につい
て、短冊形状のカンチレバー106を例にとり、図4
(A)〜図4(C)を参照しながら説明する。
【0027】まず、第一実施形態で説明した元部材10
0を用意し、これを光学顕微鏡下に配置する。図4
(A)に示されるように、細い線材たとえば針金134
を用いてカンチレバー106の開口部108に接着剤1
32を付着させる。接着剤132の開口部108への付
着は、針金134を予め用意した接着剤に軽く接触させ
てその先端部に適量の接着剤132を吸い取り、この針
金134の先端をカンチレバー106の開口部108に
軽く触れさせて行なう。接着剤132は開口部108が
接着剤溜まりとなる粘度のものが選ばれ、このような接
着剤132であればカンチレバー106の背面側すなわ
ちラテックス球130を接着する面の反対側には拡がら
ない。
【0028】次に、図4(B)に示されるように、別の
針金136を用いて、カンチレバー106の開口部10
8に付着した接着剤132にラテックス球130を付着
させる。ラテックス球130の接着剤132への付着
は、針金136の先端部をラテックス球130に接触さ
せて、その先端部に静電気力によりラッテクス球130
を付着させ、針金136の先端部に付着したラテックス
球130を、カンチレバー106の開口部108に付着
した接着剤132に接触させて行なう。
【0029】接着剤132は例えば紫外線硬化性の接着
剤であり、カンチレバー106の背面側から紫外線を照
射して接着剤132を硬化させる。カンチレバー106
に付着している接着剤132は、開口部108の内側に
位置する部分だけが硬化し、開口部108の外側に位置
する部分は硬化しない。これは、金属薄膜によって紫外
線が遮断されるために、開口部108の外側に位置する
接着剤は紫外線を受けないためである。
【0030】この後、図4(C)に示されるように、有
機溶剤などにより硬化していない不要な接着剤を溶かし
去る。以上のプロセスにより、図3に示される自由端に
ラテックス球を備えた走査型プローブ顕微鏡用カンチレ
バーチップが作製される。
【0031】上述の説明では、接着剤132は、紫外線
硬化性の接着剤であったが、熱硬化性の接着剤を用いて
もよい。また、フォトリソグラフィーに用いるポジレジ
スト剤などを使用してもよい。その場合は、紫外線によ
る露光プロセスを挟んで、プリベーキングとポストベー
キングの両プロセスが入り、不要な接着剤を溶かし去る
工程ではフォトレジストの現像液が用いられる。
【0032】[作用] この様に作製されるカンチレバ
ーでは、高い加工精度のフォトリソグラフィによってカ
ンチレバー106と110の所定の位置に高い位置精度
で形成された開口部108と112にラテックス球13
0が接着されるので、ラテックス球130の位置のばら
つきが少ない。これは、接着剤132が紫外線硬化性で
あるか熱硬化性であるかに依存しない。
【0033】また、紫外線硬化性の接着剤132は、開
口部108をマスクとした紫外線照射により硬化され、
紫外線照射を受けなかった部分は後に除去されるので、
ラテックス球表面への不所望な接着剤の付着が防止され
る。
【0034】[効果] 本実施形態の走査型プローブ顕
微鏡用カンチレバーチップは、ラテックス球が所定の位
置に高い位置精度で接着されているので、設計値通りの
バネ定数を示す。従って、基礎定数としてのバネ定数の
見積り誤差が少なく、試料表面とラテックス球の間の吸
着力などを正確に測定できる。
【0035】また、不必要な接着剤は溶かし去られてい
るので、カンチレバーの背面の接着剤の盛り上がりは、
仮にあったとしても、最小限に抑えられている。これに
より、光学式変位センサーによるカンチレバー背面への
センサー光の照射位置をわずかにずらすだけで、接着剤
の部分を避けてセンサー光を照射することができ、正確
な測定を行なえる。
【0036】光学式変位センサーを用いたカンチレバー
の変位検出は、通常は探針近くのカンチレバー先端部に
センサー光を照射して行なわれる。しかし、カンチレバ
ーの先端部に存在する硬化した接着剤はセンサー光を散
乱し、変位測定のS/Nを悪くするので、センサー光は
接着剤を避けて照射することが望ましい。硬化した接着
剤がカンチレバー背面に大きく拡がっている場合、接着
剤を避けるために場合によっては、カンチレバーの中程
にセンサー光を照射しなければならない。これでは、カ
ンチレバーの実際の同一の変位に対して、カンチレバー
の中程にセンサー光を照射して得られる変位の値は、カ
ンチレバー先端部にセンサー光を照射して得られる変位
の値の半分程度であり、正確な測定を行なうことが難し
い。
【0037】しかし、本実施形態では、前述したように
カンチレバー背面の接着剤の拡がりが最小限に抑えられ
ているので、このような事態が最小限にくい止められ
る。つまり、接着剤を避けるために、センサー光の照射
位置をずらす量が最小で済み、接着剤の存在による測定
精度の劣化は実質的に避けられる。
【0038】さらに、接着作業中に接着剤がラテックス
球の測定試料側へ回り込んでも、ラテックス球の試料側
に回り込んだ接着剤は紫外線に当たらないので硬化せ
ず、後に有機溶剤で溶かし去られるので、ラテックス球
の表面は露出している。従って、ラテックス球の表面に
対して確実に表面処理を施すことができ、ラテックス球
を表面処理しているのか接着剤を表面処理しているのか
分からないといった事態は避けられる。
【0039】<第三実施形態>本実施形態は自由端に石
英ガラス球を備える走査型プローブ顕微鏡用カンチレバ
ーチップである。外観形状は第二実施形態(図3)と全
く同じである。
【0040】[作製プロセス] 本実施形態の走査型プ
ローブ顕微鏡用カンチレバーチップの製造工程につい
て、短冊形状のカンチレバー106を例にとり、図5
(A)と図5(B)を参照しながら説明する。
【0041】図5(A)に示されるように、第一実施形
態で説明した元部材100を用意し、これを光学顕微鏡
下に配置し、カンチレバー106の先端の開口部108
に紫外線硬化性の接着剤142を付け、これに石英ガラ
ス球140を載せ、紫外線を照射して、接着剤142を
硬化させる。
【0042】カンチレバー106の開口部108への接
着剤142の供給は第二実施形態と同様に針金等を用い
て行なう。接着剤142は、紫外線硬化性の接着剤であ
るが、フオトリソグラフィーに用いるポジのレジスト剤
でもよい。開口部108は第二実施形態と同様に接着剤
溜まりとして働く。接着剤142上への石英ガラス球1
40の配置は第二実施形態と同様に針金等を用いて行な
う。
【0043】紫外線の照射は、紫外線顕微鏡を使用し、
対物レンズ144により紫外線を石英ガラス球140に
集光して行なう。紫外線は石英ガラス球140を透過
し、カンチレバー106と石英ガラス球140の間の接
着剤142を硬化させる。石英ガラス球140はレンズ
として作用し、接着剤は石英ガラス球140のほぼ直径
程度の広さの部分が硬化する。
【0044】この後、有機溶剤等を用いて硬化していな
い不要な接着剤を溶かし去り、図5(B)に示される本
実施形態の走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ
を得る。
【0045】[作用] この様に作製されるカンチレバ
ーチップでは、高い加工精度のフォトリソグラフィによ
ってカンチレバー106と110の所定の位置に高い位
置精度で形成された開口部108と112に石英ガラス
球140が接着されるので、石英ガラス球140の位置
のばらつきが少ない。
【0046】また、紫外線に対する石英ガラス球140
のレンズ効果とカンチレバー背面の金属薄膜126の存
在とによって、カンチレバー背面に回り込んだ接着剤1
42は硬化されず、カンチレバー背面での接着剤142
の拡がりが最小限に抑えられる。
【0047】[効果] 本実施形態の走査型プローブ顕
微鏡用カンチレバーチップは、石英ガラス球が所定の位
置に高い位置精度で接着されているので、設計値通りの
バネ定数を示す。従って、基礎定数としてのバネ定数の
見積り誤差が少なく、試料表面と石英ガラス球の間の吸
着力などを正確に測定できる。
【0048】また、不必要な接着剤は溶かし去られてい
るので、カンチレバーの背面の接着剤の盛り上がりは、
仮にあったとしても、最小限に抑えられている。これに
より、光学式変位センサーによるカンチレバー背面への
センサー光の照射位置をわずかにずらすだけで、接着剤
の部分を避けてセンサー光を照射することができ、正確
な測定を行なえる。
【0049】光学式変位センサーを用いたカンチレバー
の変位検出は、通常は探針近くのカンチレバー先端部に
センサー光を照射して行なわれる。しかし、カンチレバ
ーの先端部に存在する硬化した接着剤はセンサー光を散
乱し、変位測定のS/Nを悪くするので、センサー光は
接着剤を避けて照射することが望ましい。硬化した接着
剤がカンチレバー背面に大きく拡がっている場合、接着
剤を避けるために場合によっては、カンチレバーの中程
にセンサー光を照射しなければならない。これでは、カ
ンチレバーの実際の同一の変位に対して、カンチレバー
の中程にセンサー光を照射して得られる変位の値は、カ
ンチレバー先端部にセンサー光を照射して得られる変位
の値の半分程度であり、正確な測定を行なうことが難し
い。
【0050】しかし、本実施形態では、前述したように
カンチレバー背面の接着剤の拡がりが最小限に抑えられ
ているので、このような事態が最小限にくい止められ
る。つまり、接着剤を避けるために、センサー光の照射
位置をずらす量が最小で済み、接着剤の存在による測定
精度の劣化は実質的に避けられる。
【0051】<第四実施形態>本実施形態は走査型プロ
ーブ顕微鏡用カンチレバーチップの元部材の複数のカン
チレバーに同時にラテックス球を接着する方法である。
第二実施形態と第三実施形態ではラテックス球あるいは
石英ガラス球はひとつずつカンチレバーに接着される
が、本実施形態では複数のカンチレバーにラテックス球
が同時に接着される。
【0052】[作製プロセス] 本実施形態の走査型プ
ローブ顕微鏡用カンチレバーチップの製造工程につい
て、図6(A)〜図6(D)および図7を参照しながら
説明する。
【0053】まず、第一実施形態で説明した元部材10
0を用意する。用意する元部材100は、ここでは、図
7に示されるように、複数の短冊形状のカンチレバー1
06を備えたものとする。
【0054】図6(A)に示されるように、シリコンウ
ェハー150を用意し、湿式エッチングを用いて開口1
52を形成する。図には、開口152はひとつしか図示
されていないが、実際にはシリコンウェハー150には
複数の開口152が形成される。この開口152は、図
7の元部材100の開口部108と同じピッチで形成さ
れる。開口152の形成には、元部材100のカンチレ
バー106の開口部108の形成に使用したマスクを利
用できる。
【0055】次に、図6(B)に示されるように、各開
口152にひとつずつラテックス球130を置き、シリ
コンウェハー150の上方に元部材100を、カンチレ
バー106の開口部108がラテックス球130に揃う
ように配置する。この状態が図7に描かれている。
【0056】続いて、元部材100のすべてのカンチレ
バー106の開口部108に上側から接着剤132を付
着させ、図6(C)に示されるように、元部材100を
降下させて、開口部108の接着剤132をラテックス
球130に接触させる。開口部108への接着剤132
の付着は、第二実施形態と同様に、針金等を用いて行な
う。接着剤132は例えば紫外線硬化性の接着剤であ
る。
【0057】次に、図6(D)に示されるように、紫外
線顕微鏡を使用し、対物レンズ144により紫外線を集
光し、接着剤132に紫外線を照射する。この後、有機
溶剤等を用いて硬化していない不要な接着剤を溶かし去
る。
【0058】[作用] この様に作製されるカンチレバ
ーでは、高い加工精度のフォトリソグラフィによってカ
ンチレバー106の所定の位置に高い位置精度で形成さ
れた開口部108にラテックス球130が接着されるの
で、ラテックス球130の位置のばらつきが少ない。
【0059】また、元部材100の複数のカンチレバー
106に複数のラテックス球が同時に接着されるので、
生産性が高い。 [効果] 本実施形態の走査型プローブ顕微鏡用カンチ
レバーチップは、ラテックス球が所定の位置に高い位置
精度で接着されているので、設計値通りのバネ定数を示
す。従って、基礎定数としてのバネ定数の見積り誤差が
少なく、試料表面とラテックス球の間の吸着力などを正
確に測定できる。
【0060】さらに、複数のカンチレバーの各々にラテ
ックス球が同時に接着されるので、低コストで大量のカ
ンチレバーチップを安定に作製できる。 <他の実施形態>本発明は、上述した実施形態に何等限
定されるものではなく、これ以外にも色々な実施が可能
である。
【0061】弾性部材は、カンチレバー(片持ち梁)に
限定されるものではなく、例えば両持ち梁状であっても
よい。探針は、ポリスチレン製のラテックス球や石英ガ
ラス球に限定されるものではなく、他のプラスチック材
よりなる球や金属球、他のガラス材よりなる球、セラミ
ックス球などであってもよい。
【0062】開口部の寸法は、実施形態で述べた数値に
限定されるものではなく、接着される球状の探針の大き
さに応じて変更される。また、開口部の形状は、円形に
限定されるものではなく、四角形や多角形であってもよ
い。
【0063】走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチッ
プは、探針と試料表面の間に働く力の測定に用いるもの
に限定されるものでない。例えば、ダイレクトティップ
モデュレーシヨン法と呼ばれる走査型プローブ顕微鏡法
に用いるものでもよい。この場合、球状の探針は、鉄や
ニッケル、その他の磁性を示す材料からなる。ダイレク
トティップモデュレーション法とは、探針位置あるいは
その裏側に磁性体を設け、その磁性体に外部から交流磁
場をかけて、カンチレバーさらには探針を振動させ、試
料表面に力を加えて、表面の硬さなどを測定する方法で
ある。この方法においても、高い精度の測定のために
は、カンチレバーのバネ定数の見積り誤差が少ないこと
が重要であり、本発明の適用は有効である。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、球状の探針を所定の位
置に高い精度で接着することが容易な走査型プローブ顕
微鏡用カンチレバーチップの元部材が提供される。ま
た、このため、バネ定数の見積り誤差の少ない球状の探
針を備えた走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ
が提供される。これにより、測定の精度が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態のカンチレバーチップの元部材の
斜視図である。
【図2】図1のカンチレバーチップの元部材の作製プロ
セスを説明するための図である。
【図3】第二実施形態のカンチレバーチップの斜視図で
ある。
【図4】図3のカンチレバーチップの作製プロセスを説
明するための図である。
【図5】第三実施形態のカンチレバーチップの作製プロ
セスを説明するための図である。
【図6】第四実施形態のカンチレバーチップの作製プロ
セスを説明するための図である。
【図7】図6の作製プロセスの途中の状況を示す斜視図
である。
【符号の説明】
100 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップの
元部材 102 支持部 106 短冊形状のカンチレバー 108 開口部 110 中抜きの三角形状のカンチレバー 112 開口部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の位置に開口部が形成された弾性部材
    と、 弾性部材を支持する支持部材とを備えている走査型プロ
    ーブ顕微鏡用カンチレバーチップの元部材。
  2. 【請求項2】請求項1において、弾性部材は支持部材か
    ら延びるカンチレバー(片持ち梁)であり、開口部はカ
    ンチレバーの自由端部に形成されている走査型プローブ
    顕微鏡用カンチレバーチップの元部材。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の元部材と、 開口部に接着された球状の探針とを備えている走査型プ
    ローブ顕微鏡用カンチレバーチップ。
JP23078396A 1996-08-30 1996-08-30 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップの元部材およびこれを用いた走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ Withdrawn JPH1073608A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23078396A JPH1073608A (ja) 1996-08-30 1996-08-30 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップの元部材およびこれを用いた走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23078396A JPH1073608A (ja) 1996-08-30 1996-08-30 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップの元部材およびこれを用いた走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1073608A true JPH1073608A (ja) 1998-03-17

Family

ID=16913206

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23078396A Withdrawn JPH1073608A (ja) 1996-08-30 1996-08-30 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップの元部材およびこれを用いた走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1073608A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7068377B2 (en) 2001-03-29 2006-06-27 Georgia-Tech Rsearch Corporation System and method for surface profiling a target object
US7116430B2 (en) 2002-03-29 2006-10-03 Georgia Technology Research Corporation Highly-sensitive displacement-measuring optical device
JP2007303852A (ja) * 2006-05-09 2007-11-22 Canon Inc プローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡による測定方法
US7440117B2 (en) 2002-03-29 2008-10-21 Georgia Tech Research Corp. Highly-sensitive displacement-measuring optical device
US7485847B2 (en) 2004-12-08 2009-02-03 Georgia Tech Research Corporation Displacement sensor employing discrete light pulse detection
US7518737B2 (en) 2002-03-29 2009-04-14 Georgia Tech Research Corp. Displacement-measuring optical device with orifice
US7823470B2 (en) * 2006-03-16 2010-11-02 Seiko Instruments Inc. Cantilever and cantilever manufacturing method

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7068377B2 (en) 2001-03-29 2006-06-27 Georgia-Tech Rsearch Corporation System and method for surface profiling a target object
US7116430B2 (en) 2002-03-29 2006-10-03 Georgia Technology Research Corporation Highly-sensitive displacement-measuring optical device
US7440117B2 (en) 2002-03-29 2008-10-21 Georgia Tech Research Corp. Highly-sensitive displacement-measuring optical device
US7518737B2 (en) 2002-03-29 2009-04-14 Georgia Tech Research Corp. Displacement-measuring optical device with orifice
US7485847B2 (en) 2004-12-08 2009-02-03 Georgia Tech Research Corporation Displacement sensor employing discrete light pulse detection
US7823470B2 (en) * 2006-03-16 2010-11-02 Seiko Instruments Inc. Cantilever and cantilever manufacturing method
JP2007303852A (ja) * 2006-05-09 2007-11-22 Canon Inc プローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡による測定方法
JP4696022B2 (ja) * 2006-05-09 2011-06-08 キヤノン株式会社 プローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡による測定方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3618896B2 (ja) 微小開口を有するプローブの作製法とそれによるプローブ、並びに該プローブを用いた走査型近接場光顕微鏡と走査型トンネル顕微鏡との複合装置、および該プローブを用いた記録再生装置
US7060977B1 (en) Nanolithographic calibration methods
JP2010534406A (ja) ナノ・インプリント・プロセスにおける基板のアラインメント・システム及び方法
JPH1166650A (ja) 微小開口を有する突起の製造方法と微小開口を有する突起、及びそれらによるプローブまたはマルチプローブ
JP2002190444A (ja) パターン露光装置、パターン作製方法、及びこれらを用いて作製したデバイス
US5729026A (en) Atomic force microscope system with angled cantilever having integral in-plane tip
Zhou et al. Generic scanned-probe microscope sensors by combined micromachining and electron-beam lithography
JPH1073608A (ja) 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップの元部材およびこれを用いた走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ
JPH01262403A (ja) プローブおよびその製造方法
US6415653B1 (en) Cantilever for use in a scanning probe microscope
US20010050342A1 (en) Scanning tip and process for its production and use, particularly for a scanning probe microscope
JPH1038916A (ja) プローブ装置及び微小領域に対する電気的接続方法
JP2599897B2 (ja) 微細加工方法
JPH10170530A (ja) Afmカンチレバー及びその製造方法
KR100797089B1 (ko) 미세 상호 작용력 측정장치 및 측정방법
JP7002672B2 (ja) 大きな半径のプローブ
CN110542768A (zh) 一种超低摩擦系数测量的微悬臂梁探针的加工方法
JPH11230974A (ja) プローブ及びその作製方法
JPH11271015A (ja) 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーチップ及びその製造方法
JP3834378B2 (ja) カンチレバーチップ
JP2002162332A (ja) 近接場光プローブの作製方法と近接場光プローブの作製装置、及び近接場光プローブ、近接場光学顕微鏡、近接場光微細加工装置、近接場光記録再生装置
Kawai et al. Adhesion and Cohesion Analysis of ArF/SOR Resist Patterns with Microtip of Atomic Force Microscope (AFM)
JP3814409B2 (ja) 光検出または照射用プローブの製造方法
JP2872703B2 (ja) 磁気検出素子とそれを用いた磁気力顕微鏡およびその類似装置
JPH11265056A (ja) エバネッセント光露光用マスク、その製造方法およびその製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20031104