JP2007303852A - プローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡による測定方法 - Google Patents

プローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡による測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高抵抗材料表面の電子状態密度を正確に測定することができ、あるいは電子状態密度の局所的な測定をすることができ、その分布を可視化することが可能となるプローブ顕微鏡およびその測定方法を提供する。
【解決手段】試料表面電位を測定するプローブ顕微鏡をつぎのように構成する。すなわち、導電性プローブを試料表面に接触させ、該接触状態で電圧を印加して試料表面に帯電を誘起する接触帯電機構(回路(C))と、
前記接触帯電機構による試料表面の電位を、導電性プローブを試料表面に非接触状態とさせて計測する電位測定機構(回路(K))と、
を有し、前記接触帯電機構による帯電の誘起と前記電位測定機構による表面電位の計測とを、前記接触時の印加電圧を段階的に変化させつつ時系列に切り換え、印加電圧と表面電位との相関を測定する構成とする。
【選択図】 図6

Description

本発明は、プローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡による測定方法に関する。
特に、高抵抗材料表面の電子状態密度の計測が可能なプローブ顕微鏡および該プローブ顕微鏡による測定方法に関するものである。
近年、シリコンに代表されるような電子デバイスの構造は、著しい高性能化、微細化を実現し、その大きさはナノスケールオーダーのサイズに到達するまでに発達してきている。
また、デバイスの構成材料も無機物だけでなく有機材料や高分子材料が組み込まれるようになってきている。
このように、デバイスがナノスケールの大きさになると、所定の機能を発揮している部分での電子的な特性をナノスケールオーダーで局所的に評価する手法が必要になってくる。
高分子材料など高抵抗材料の電子状態密度を計測する方法として、金属との接触帯電を利用する方法が報告されている(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照)。
これは、Ni、Pb、Au、In、Sn、Ptなど数種類の金属を高分子フィルムに接触させて表面電位の変化を測定し、そこから高分子の電子状態密度を推測する方法である。
また、従来において、試料表面の電子状態を測定する方法として、X線光電子分光(XPS)や紫外線光電子分光(UPS)と逆光電子分光(IPES)を組み合わせた評価方法が知られている。
例えば、有機化合物や金属錯体、高分子など、主に(蒸着)薄膜やその表面・界面の電子構造を測定する場合には、価電子状態は紫外光電子分光法、空状態は逆光電子分光法を使って観測している。
これら測定の組み合わせにより、電子物性の発現を支配するエネルギーギャップの上下の電子構造を直接的に捉えることができる。
また、試料のナノスケールオーダーでの局所的な電子状態を測定する手法としては、走査トンネル顕微鏡(STM)もしくは走査トンネル分光法(STS)を用いた測定手法が知られている。
STMは探針と試料間に流れるトンネル電流を一定にするように探針の高さを制御することで試料の形状や高さの情報を得るものであり、STSは探針に印加する電圧とトンネル電流値の変化から物質の物理的な性質を求めることが可能である。
また、STMとともに走査プローブ顕微鏡に分類される手法で、探針と試料の間に働く分子間力を一定にするように探針の高さを制御することで、試料の形状や高さの情報を得る原子間力顕微鏡(AFM)が知られている。
AFMで検出に用いられる分子間力は、ファンデルワールス力である。これは、探針と試料に誘起された電気双極子間に作用する力で、物質の構造に依存して大きく変化することが少なく、したがって、これにより物質の表面形状等を好適に測定することができる。
また、導電性のカンチレバーを使用して、コンタクトモード原子間力顕微鏡(AFM)による測定を行いながら、電流及び電圧を測定するという測定手法も知られている。
一方、分子間力としての力は、ファンデルワールス力やクーロン力だけではなく、その他に、電荷移動力がある。
電荷移動力とは、電子供与体から電子受容体へ電子が部分的に移動することにより生じる分子間の結合力である。
電荷移動力は、物質によって電荷移動を起こすものと起こさないものとの差が著しい。
このため、試料の電荷移動力を正確に測定することでさまざまな物質表面の物性を識別することができると期待されている。
このようなことから、金属と絶縁体の混合表面上でも電子状態を測定する手法として、例えば、特許文献1のように、コンタクトモードAFMのフォースカーブによって電荷移動力を測定する手法が提案されている。
また、特許文献2のように、半導体表面の絶縁膜の特性をプローブ顕微鏡で評価する方法も提案されている。
この方法は、微小領域における絶縁破壊特性を測定することができる半導体表面薄膜の評価方法であり、導電性プローブと半導体表面の薄膜とを接触させた後、接触帯電量の経時変化を原子間力顕微鏡で測定するものである。
また、非接触型原子間力顕微鏡を用い、試料の表面電位を測定するケルビンプローブフォース顕微鏡が知られている。
このケルビンプローブフォース顕微鏡は、プローブの仕事関数と試料の仕事関数の差によって生じる接触電位差を非接触型原子間力顕微鏡で検出するようにしたものである。
これによると、プローブと試料との間に、直流成分と交流成分(角周波数ω)を重畳した電圧を印加した際、プローブに働く静電力のω成分の振幅がゼロとなるように、印加電圧の直流成分をフィードバック制御することで接触電位差を検出することができる。
つまり、このようなフィードバック制御を行いながら、プローブと試料間の面内の相対的位置関係を走査することで、試料表面の2次元分布を得ることができる。
このようなケルビンプローブフォース顕微鏡の原理を用い、例えば、特許文献3では試料の表面形状と表面電位を測定する方法が提案されている。
この方法では、試料表面の凹凸を測定する場合には、探針を振動させるための交流信号と、試料表面の電位情報を測定するための交流電圧信号とを同時に作用させ、試料表面の電位情報測定時には前記電位情報を測定するための交流電圧信号だけを作用させる。
これにより、試料表面の電位情報測定時において不要となる周波数成分を抑制し、測定される試料表面の電位情報のS/Nの向上が図られている。
J.Appl.Phys.48(1977)4256 J.Vac.Sci.Tecnol.3(1985)732 特開2000−28625号公報 特開平7−66250号公報 特開2000−329680号公報
上記したように、高分子材料や有機デバイスなど高抵抗材料表面を対象にその電子状態密度を測定する方法は、従来において種々提案されている。
しかしながら、実用化され、あるいは汎用化されているものは少なく、また、極限られた材料にしか適用できなかったり、測定が煩雑で非常に時間がかかったりする方法が多い。
例えば、非特許文献1および非特許文献2の方法では、仕事関数の異なる複数の金属材料を準備する必要があり、測定も煩雑で、データのエネルギー分解能も一定にはならない。
また、上記したX線光電子分光(XPS)や紫外線光電子分光(UPS)と逆光電子分光(IPES)を組み合わせた評価方法では、試料を高真空環境下で測定しなければならず、また、試料自体のダメージやチャージアップなどの影響が生じ易い。特に、チャージアップはスペクトル形状のなまりやピークのシフトが生じ、データの信頼性が著しく損なわれてしまう。
このような現象に対しては励起光の強度を低くしたりするなどの対策が必要となる。しかしこのような対策をとっても、有機物の場合、測定が可能なのは数十nm程度の膜厚までである。
そのため、金属上に極薄膜を成膜するなど、実試料ではなくモデル試料を作製して評価することも少なくない。
また、上記した走査トンネル顕微鏡(STM)もしくは走査トンネル分光法(STS)を用いた測定方法では、探針と試料の間を流れるトンネル電流をフィードバックさせる必要があるため、導電性を有する試料しか測定できない。
従って試料は、金属、グラファイト、抵抗値が数Ω以下の半導体、もしくは金属上の極薄膜等に制限される。
しかも、デバイス構造自体には金属や絶縁物が混在するため、既存のSTM/STSでは、このような測定試料の局所的な電子状態を測定することは困難である。
また、上記した原子間力顕微鏡(AFM)により試料の形状や高さの情報を得る方法では、物質の表面形状等の測定には好適であるが、構造の異なる物質を区別したり局所的な電子状態を測定するためには、特別な機能を探針に持たせる必要がある。
また、導電性のカンチレバーを使用して、コンタクトモード原子間力顕微鏡(AFM)による測定を行いながら、電流及び電圧を測定するという測定方法では、探針と試料は常に接触している。
そのため、試料の電子状態の測定はできず、探針と測定試料間の接合特性を含めた系全体の輸送現象の評価となる。
さらに、コンタクトモードAFMによる測定では、カーボンナノチューブやDNAなどの基板と密着性の弱い物質を、測定中に探針で押しのけてしまうことから、測定する対象が制約される。
また、上記した特許文献1の測定方法では、測定点毎に、各々フォースカーブを解析することによって評価する必要がある。
このため、測定を行うのに非常に時間がかかり、試料をある一点で固定してナノスケールオーダーで電子状態を測定したり、その測定結果を画像化したりすることは困難である。
また、上記した特許文献2の評価方法では、半導体における注入電荷の散逸過程を計測しているだけで高抵抗材料の電子状態を計測することはできない。
また、上記した特許文献3のケルビンプローブ顕微鏡を用いた測定方法は、試料表面の電位情報の検出に際し、測定電位情報のS/Nの向上を図るものであり、高抵抗材料表面の電子状態密度を正確に測定することへの考慮がなされているものではない。
特に、デバイスの極細化に伴い、局所的な部位の情報やその分布を正確に計測する方法が求められているが、これらへの対処について考慮されているものではない。
本発明は、上記課題に鑑み、高抵抗材料表面の電子状態密度を正確に測定することが可能となるプローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡による測定方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、電子状態密度を局所的に測定することができ、その分布を可視化することが可能となるプローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡による測定方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記課題を達成するために、以下のように構成したプローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡による測定方法を提供するものである。
本発明は、導電性プローブを備えたプローブ顕微鏡であって、
前記導電性プローブを試料表面に接触させ、前記導電性プローブと試料との間に電圧を印加して前記試料表面に帯電を誘起する接触帯電機構と、
前記導電性プローブを前記試料表面に非接触状態で近接させて試料の表面電位を計測する電位測定機構とを備え、
前記接触帯電機構による試料表面の帯電と前記電位測定機構による表面電位の計測とを、前記接触時の印加電圧を段階的に変化させつつ時系列に切り換え、前記接触時の印加電圧と前記表面電位との相関を測定することを特徴とする。
また、本発明は、プローブ顕微鏡による試料表面電位の測定方法であって、
導電性プローブを試料表面に接触させて前記導電性プローブと試料との間に電圧を印加し、前記試料表面に帯電を誘起する工程と、
前記導電性プローブを試料表面に近接させて前記試料の表面電位を計測する工程と、を有し、
前記接触時の印加電圧を段階的に変化させつつ、前記試料表面に帯電を誘起する工程と前記試料の表面電位を計測する工程とを時系列に切り換えて、前記接触時の印加電圧と前記表面電位との相関を測定することを特徴とする。
本発明によれば、高抵抗材料表面の電子状態密度を正確に測定することが可能となる。
また、本発明によれば、従来測定がが困難であった高抵抗材料表面の電子状態密度の局所計測を行うことが可能となる。
また、本発明によれば、走査機構を構成することによって、電子状態密度の局所的な分布を可視化することが可能となる。
上記構成により、本発明の課題を達成することができるが、それは本発明者が鋭意検討を行った結果、つぎのような高抵抗材料表面の電子状態密度の正確な測定を可能とする新規な構成を見出したことに基づくものである。
すなわち、本発明は、導電性プローブを試料と接触させた状態で電圧を印加することで試料表面に帯電を誘起させ、これに起因する表面電位を非接触のケルビンプローブフォース顕微鏡で測定するプローブ顕微鏡を構成したものである。
より具体的には、前記接触帯電機構による帯電の誘起と、前記電位測定機構による表面電位の計測とを、切り換え機構を介して時系列に繰り返し切り換えて、前記印加電圧と表面電位の相関を測定可能に構成する。
これにより、試料の局所的位置における電子状態密度を正確に測定するようにしたものである。
本発明では、上記構成により、ナノメートルスケールで高抵抗材料表面の電子状態の測定やその画像化が可能となるが、本発明の実施の形態においては、上記したプローブ顕微鏡に用いられる導電性プローブを、より具体的につぎのように構成することができる。
すなわち、上記帯電を誘起し、またこれに起因する試料表面の電位を測定するためのプローブをつぎのように構成することができる。
このプローブは、弾性体であるカンチレバーと、その自由端である先端部に配置された探針で構成することができる。
その際、この探針の先端曲率半径rを、15nm≦r≦100μmとし、かつこの探針表面とカンチレバー表面とを導電性材料により被覆された構成とすることができる。
ここで、上記探針の先端曲率半径rは、小さすぎると接触帯電量が小さくなり、また大きすぎると帯電領域が大きくなると伴に帯電測定の空間分解能が低下してしまうこととなる。このため、測定内容により適宜選択する必要があるが、50nm≦r≦20μmとするのが、より好ましい。
そこで、上記プローブを構成するに際し、上記半径を有する球状物体を、弾性体であるカンチレバーに接着剤を介して固定し、その後に導電性材料をコートする構成を採ることができる。
その際、導電性材料は金属及びその金属間化合物、酸化物半導体などから選択できるが、その安定性からAuやPtが望ましい。
また、分布測定を行う場合には、空間分解能を優先するため、市販の金属コートによる導電性プローブを使用するとよい。
また、本実施の形態によるプローブ顕微鏡においては、上記プローブと試料表面の間に交流と直流の電圧を任意に印加できるように構成することができる。
ここで、プローブと試料の間に印加する電圧は、帯電の誘起時には直流電圧を使用し、測定サイクル毎に印加電圧を掃引するように構成することができる。また、表面電位計測時には交流と直流を重畳させた電圧を印加し、プローブと試料の間に生じる静電気力が最小になるように直流電圧を変化させることで表面電位を計測するように構成することができる。
また、本実施の形態によるプローブ顕微鏡においては、上記プローブを任意の力で試料表面に接触させたり、任意の周波数で励振することができるようにした構成を採ることができる。
ここで、接触電位の誘起時には、任意の設定値で探針先端を試料表面に接触させる。その際、接触圧力はAFMのレーザーの変位検出機構により設定し、その力は測定環境により変わるが、1〜50nN程度の力が望ましい。
また、表面電位計測時には、プローブ背面に装着されている圧電素子によりプローブを上下方向に励振し、その周波数変化や振幅変化から探針−試料間距離や表面電位を計測するのに使用するように構成することができる。
また、本実施の形態によるプローブ顕微鏡においては、上記プローブを使用して周波数変位検出法による表面電位計測が行える機構、すなわちFM制御下でのケルビンプローブフォース顕微鏡による測定ができるように構成することができる。
その際、上記プローブを使用して、試料表面から一定の距離はなした状態でケルビンプローブフォース顕微鏡による測定ができるように構成してもよい。
ここで周波数変位検出法を使用する構成を採ることにより、探針−試料間距離を制御しつつ、非接触で電位を測定できるため、電荷散逸などの影響を受けず正確な値を得ることが可能となる。
一方、振幅変調検出法を使用する構成を採ることにより、接触帯電後のリフトアップ量を設定することで、試料から探針を離した状態で電位を測定することが可能となる。
この振幅変調検出法による場合には、探針−試料間の距離制御フィードバックは働いていないため、スキャナにドリフトがあると電位測定に誤差が生じる可能性があるが、測定回路が簡略化できるメリットがある。
以上の本実施の形態によるプローブ顕微鏡によれば、導電性プローブを試料に接触させた状態で電圧を印加することで試料表面に帯電を誘起させる。これに起因して生じる試料表面の電位を、非接触のケルビンプローブフォース顕微鏡で測定することが可能となる。
したがって、これにより印加電圧と表面電位の相関を求めることにより、試料の局所的位置における電子状態密度を正確に測定することが可能となる。
また、上記導電性プローブを走査することにより、表面電位の差から、局所的に試料表面での物質の違いを識別することも可能となる。
また、上記導電性プローブを走査することにより、上記測定を試料表面上の位置を変えながら連続的に測定し、その分布を像として表示することが可能となる。ここで、この測定では各位置毎にその電子状態密度(印加電圧と表面電位の関係)を測定するため、測定データは(位置情報)×(印加電圧)×(表面電位)となる。
したがって、その分布表示は任意の接触電圧における表面電位の分布を表示することになる。また、特定の位置を指示することにより、その位置の電子状態密度グラフ(接触電圧と表面電位の関係)を表示することもできる。
以下に、図を用いて本発明の実施の形態について、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施の形態によって何ら限定されるものではない。
図1は本実施の形態におけるプローブ顕微鏡の動作手順を説明する図である。
また、図2ば上記図1に示す本実施の形態のプローブ顕微鏡に用いられるプローブの構成例を示す図である。
まず、図2を用いて、本実施の形態のプローブ顕微鏡に用いられるプローブについて説明する。
図2において、1は弾性体であるカンチレバー、2は微粒子、3は接着剤、4は導電性コート膜である。
ここで、カンチレバー1は様々な硬さを選択できるが、ケルビンプローブフォース顕微鏡測定を行うことを考慮するとバネ定数1〜6N/m(共振周波数60〜100kHz)程度のものを使用することが望ましい。
弾性体であるカンチレバー1の自由端の探針2は、曲率半径rが、15nm≦r≦100μmの範囲のものを使用する。曲率半径rが小さすぎると接触帯電量が小さくなってしまい、大きすぎると帯電領域が大きくなると伴に帯電測定の空間分解能が低下してしまう。
このため、半径rが50nm≦r≦20μmの範囲の微粒子を探針として使用することが望ましい。
接着剤3はエポキシや木工用ボンドなどが使用できる。
プローブに電位を印加するための導電性コート膜4は、Au、Ag、Pt、Pd、Zn、Cr、W、Inなどの金属及びその金属間化合物、酸化物半導体などから選択できるが、その安定性からAuやPtが望ましい。
また、分布測定を行う場合には空間分解能を優先し、市販の先端曲率半径40〜50nm程度の金属コートによる導電性プローブを使用することができる。
つぎに、図1を用いて、本実施の形態におけるプローブ顕微鏡の動作手順を説明する。
図1において、5は試料である高抵抗材料、1は微粒子を固着後に導電性コートを施したカンチレバーを示す。
なお試料が高抵抗材料であるため、その表面の電位を安定させるために望ましくは試料表面にドーナッツ状の金属蒸着膜6を形成し、その内部で測定を行うことがより望ましい。
金属蒸着膜6は内径1mm以下、厚さ100nm程度が望ましい。
図1(a)は接触帯電の誘起を、(b)は帯電電位測定を示す。
測定に際し、まず任意の設定値でプローブ先端を試料表面に接触させる。接触圧力は測定環境により変わるが、1〜50nN程度の力が望ましい。
この時、プローブと試料の間に所定の直流電圧を印加し、電荷の移動を生じさせる。
この後にプローブを試料表面から離し、プローブはそのままでケルビンプローブフォース顕微鏡測定を行い、表面電位を計測する。
帯電の誘起に係わる直流電圧を順次変化させながら、表面電位の測定を繰り返すことで、この試料表面の電子状態密度を測定することができる。
図3は本実施の形態における走査プローブ顕微鏡の動作原理を説明する図である。
プローブと試料表面とが接触した際に、プローブのフェルミ面ポテンシャルに等しいエネルギーをもった電子は、試料の表面における電子状態密度に応じた量だけ移動する。プローブ表面材料のフェルミエネルギーが試料の空の電子状態より高ければ、プローブから試料に電子が移動する(図3(a))。
また、プローブ表面材料のフェルミエネルギーが試料のギャップ部位に位置すれば、電子の移動は起こらない(図3(b))。
また、プローブ表面材料のフェルミエネルギーが試料の満たされた電子状態より低ければ試料からプローブに電子が移動する(図3(c))。
試料は絶縁体なので、試料表面に移動した電荷(電子がプローブから試料に移動したときはマイナス、試料からプローブに移動したときはプラスの極性になる)は、その位置で局所的に堆積し、表面電位を変化させる。したがって、表面電位を測定することにより移動電荷量が求められる。電子の移動量は、プローブのフェルミ面ポテンシャルに等しいエネルギーをもつ電子の状態密度に比例する。状態密度が大きいときは移動量も大きく、状態密度が0のギャップ部位では電子移動がない。電子移動量を測定することにより、試料の電子状態密度を知ることができる。
そして、前記接触時の印加電圧と前記表面電位との相関を測定し、前記相関を、試料表面における電子のエネルギーと電子状態密度の相関とみなして、試料の電子状態密度を計測することができる。
つまり、プローブの電位を順次変化させ、接触により移動した電子の量を電位として計測することで、試料の電子状態密度を計測することができる。
図4は本実施の形態におけるプローブ顕微鏡の回路の動作信号を説明する図である。
まず周波数変位検出法を利用したケルビンプローブフォース顕微鏡による測定を使用する場合を説明する。
図4(b)に示すタイミングではプローブを励振しフィードバックコントロールを有効にすることでプローブと試料の距離を制御し、非接触の状態で電位を計測している。
測定が終了すると図4(a)に示すタイミングに移行し、プローブの励振を停止するとともにフィードバックコントロールを切り、Zコントロールを制御してプローブ先端を試料表面に所定の触圧で接触させ、かつ試料バイアスを印加する。なお、本測定においてはプローブは接地されている。
試料とプローブ間で放電を起こさないために、試料バイアスの印加は接触後に所定電圧まで変化させる。
その後、Zコントロールを制御してプローブ先端を試料表面から離してから図4(b)に示すタイミングに移行し、プローブの励振とフィードバックコントロールを再開し、図4(a)に示すタイミングで誘起した帯電による表面電位を計測する。
図4(a)に示すタイミングで印加する試料バイアスを順次変化させながら、その時々の表面電位を計測することで、試料表面の電子状態密度を測定することができる。
図5は本実施の形態におけるプローブ顕微鏡の回路の別の動作信号を説明する図である。
ここでは振幅変位検出法を利用した場合を説明する。
図5(b2)に示すタイミングではプローブを励振しフィードバックコントロールを有効にすることでプローブと試料の距離を制御し、その時のスキャナのZ位置を記憶する。
その後プローブの励振を停止するとともに図5(a)に示すタイミングに移行し、フィードバックコントロールを切り、Zコントロールを制御してプローブ先端を試料表面に所定の触圧で接触させ、かつ試料バイアスを印加する。
ここでも、試料とプローブ間で放電を起こさないために、試料バイアスの印加は接触後に所定電圧まで変化させる。
その後、図5(b1)に示すタイミングに移行するが、この際には先の図5(b2)に示すタイミングで記憶しておいたZ位置を参考に試料とプローブの距離が所定量になるようにリフトアップ量を決め、Zコントロールを制御する。
この状態でプローブの励振を再開して試料表面の電位を測定し、終了後に図5(b2)に示すタイミングへ移行して再度試料とプローブの位置関係を測定する。図5(a)に示すタイミングで印加する試料バイアスを順次変化させながら、その時々の表面電位を計測することで、試料表面の電子状態密度を測定することができる。
本方法では電位測定時に探針−試料間の距離制御フィードバックは働いていないため、Zスキャナにドリフトがあると電位測定値に誤差が生じる可能性があるが、図4の方法に比べて測定回路が簡略化できるメリットがある。
本実施の形態のプローブ顕微鏡に走査機能を持たせることで、上記の電子状態密度測定を試料表面内の位置を変えながら測定することで分布像を形成することもできる。
この場合、測定データの情報量は(位置情報)と(印加電圧)と(表面電位)の積となる。これはSTMを利用したCITS(Current Imaging Tunneling Spectroscopy)測定と同様である。
この際に得られる分布像としては、あるプローブ接触電位に対応した表面電位の分布が測定した印加電圧の数だけ得られる。
勿論、分布像の中の特定の位置を指示することにより、その位置の電子状態密度(印加電圧と表面電位の関係を示すグラフ)を表示することも可能である。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、周波数変位検出法を利用したケルビンプローブフォース顕微鏡による測定方法について説明する。
本実施例では、プローブ顕微鏡に用いるプローブをつぎのように形成した。
まず、カンチレバーとして、市販の原子間力顕微鏡用カンチレバーで探針の無い製品(NanoWorld AG製TL−FM、バネ定数3N/m、共振周波数75kHz)を用いた。
このカンチレバーに微量のエポキシ(Gatan社製 G−1 Epoxy)を使用して、探針用の直径10μmのPMMA粒子を固着した。
その後、上記粒子とカンチレバーの両面にAuをスパッタリング法により蒸着し、厚さ50nmの被覆膜を形成した。
このようにして、図2と同様の構成のプローブを形成した。
図6に、本実施例に用いるプローブ顕微鏡の制御回路の構成の模式図を示す。図6に示されるように、本実施例の走査プローブ顕微鏡の回路は、大きく分けて回路(C)、回路(K)、それ以外の一般的な制御回路による3つの部分から構成されている。
上記回路(C)は帯電操作を行う場合に使用する回路であり、エラーアンプ20、DC電源21によって構成されている。
また、回路(K)は電位測定時に使用する回路であり、発振器22、エラーアンプ23、累算器24、ロックインアンプ25によって構成されている。
また、上記回路(C)及び回路(K)以外の部分は、周波数変位検出法による原子間力顕微鏡の一般的な制御回路である。
この制御回路は、半導体レーザー8、光変位検出器9、プリアンプ10、移相器11、波形変換器12、減衰器13、圧電振動子14、FM復調器15、エラーアンプ16、フィルター17、Zピエゾドライバー18、PZTスキャナー19等で構成されている。
なお、各回路は測定のタイミングにより時系列に切り替える機構(不図示)が制御している。
半導体レーザー8から照射された波長670nmのレーザー光がカンチレバー1の背面に反射して光変位検出器9(4分割フォトダイオードを用いたPosition Sensitive Detector)で検出される。
そして、プリアンプ10、移相器11、波形変換器12、減衰器13を介してカンチレバー1背面に固定された圧電振動子14に信号が戻される。
この回路は正帰還発信ループによる自励発信回路を構成している。
波形変換器12の出力はFM復調器15に接続し、ここでカンチレバー1の振動周波数の減少を検出して、エラーアンプ16で設定値信号(Sf)と比較することで周波数シフトの減衰量を一定に保つようにフィードバックを働かせる。
つまり、このエラーアンプ16の出力をフィルター17、Zピエゾドライバー18を介して試料5を保持したPZTスキャナー19に送り、試料−探針間距離が設定値になるようにZピエゾを調整する。
このとき、試料を面内(X,Y)で走査するとフィルター17の出力信号から形状像を得ることができる。
本実施例の測定を行う場合には、まず、上記回路を動作させることで、試料−探針間距離を制御しながら試料表面を観察し、測定部位を決定する。
次に、面内(X,Y)走査を測定したい部位で停止し、Zピエゾへの印加電圧値を記憶させた後に、カンチレバーの励振を停止する(図4(b)に示すタイミング)。
この励振停止後に回路(C)に切替え、Zコントロールを調整して探針先端と試料表面を接触させる。
その際、まず光変位検出器9の出力をエラーアンプ20に入力し、設定値(Sc)との差をZピエゾドライバー18に出力する。
設定値Scの値により探針と試料の接触圧力を調整することができるが、カンチレバー1のバネ定数を考慮し、ここでは10nNの力に設定した。
接触後に試料バイアスをDC電源21から印加して(本測定においてはプローブを接地している)試料表面に帯電を誘起した(図4(a)に示すタイミング)。
次に、先に記憶したZピエゾへの印加電圧値に戻すことで探針先端と試料を離し、カンチレバーの励振とフィードバックコントロールを再開する(図4(b)に示すタイミング)。その際、DC電源21の出力を切り、回路(K)に切り替える。
回路(K)では発振器22の出力である交流成分(VACsin(ωt))とエラーアンプ23の出力である直流成分(VDC)を累算器24で合算し、試料5に印加する。
カンチレバー1の振動を検出した光変位検出器9の出力のうち、周波数ωの成分をロックインアンプ25で抽出してエラーアンプ23に入力する。
ケルビンプローブフォース顕微鏡の原理はこのω成分が0になるようにVDCを調節する方法であり、このVDC自体が試料表面の電位に相当する。
図5(a)に示すタイミングで印加する試料バイアスを順次変化させながら、その時々の表面電位を図5(b)に示すタイミングで計測することで、試料表面の電子状態密度を測定することができる。
例えば、Siウエハ上に成膜した島状ペンタセン薄膜を試料5とし、ドーナッツ状の金属蒸着膜6として内径0.5mm、厚さ100nmのAu薄膜を蒸着した。
上記条件で測定した結果を図8に示す。帯電電位を印加したバイアスで微分するとさらに分かりやすくなるが、V=0近傍に帯電電位が0の領域が確認でき、これがエネルギーギャップに対応していることが分かる。
[実施例2]
実施例2では、振幅変位検出法を利用したケルビンプローブフォース顕微鏡による測定方法について説明する。
本実施例では、プローブ顕微鏡に用いるプローブとして、実施例1と同じ構成の図2に示すプローブを使用した。
図7に、本実施例に用いる走査プローブ顕微鏡の制御回路の構成の模試式図を示す。
図7に示されるように、本実施例の走査プローブ顕微鏡の回路は、大きく分けて回路(C)、回路(K)、回路(A)それ以外の一般的な制御回路による4つの部分から構成されている。
上記回路(C)は帯電操作を行う場合に使用する回路であり、Zピエゾドライバー18、エラーアンプ20、DC電源21により構成されている。
また、回路(K)は電位測定時に使用する回路であり、発振器22、エラーアンプ23、累算器24、ロックインアンプ25により構成されている。
また、回路(A)は形状情報を得る際に使用する回路であり、フィルター17、RMS−DC変換器27、エラーアンプ28により構成されている。
また、上記回路(C)、回路(K)及び回路(A)以外の部分は、振幅変位検出法による原子間力顕微鏡の一般的な制御回路である。
この制御回路は、半導体レーザー8、光変位検出器9、圧電振動子14、PZTスキャナー19、発振器26により構成されている。
なお、各回路は測定のタイミングにより時系列に切り替える機構(不図示)が制御している。
半導体レーザー8から照射された波長670nmのレーザー光がカンチレバー1の背面に反射して光変位検出器9(4分割フォトダイオードを用いたPosition Sensitive Detector)で検出される。
そして、回路(A)におけるRMS−DC変換器27を介してエラーアンプ28に入力される。エラーアンプ28では設定値信号(Sa)と比較することで振動振幅の減衰量を一定に保つようにフィードバックを働かせる。
つまりこのエラーアンプ28の出力をフィルター17、Zピエゾドライバー18を介して試料5を保持したPZTスキャナー19に送り、試料−探針間距離が設定値になるようにZピエゾを調整する。
このとき試料を面内(X,Y)で走査するとフィルター17の出力信号から形状像を得ることができる。
本発明の実施例2の測定を行う場合には、上記回路を動作させることで試料−探針間距離を制御しながら試料表面を観察し、測定部位を決定する。
次に面内(X,Y)走査を測定したい部位で停止し、Zピエゾへの印加電圧値を記憶させた後にカンチレバーの励振を停止する(図5(b2)に示すタイミング)。
この励振停止後に回路(C)に切替えて、Zコントロールを調整して探針先端と試料表面を接触させる。
その際、まず光変位検出器9の出力をエラーアンプ20に入力し、設定値(Sc)との差をZピエゾドライバー18に出力する。設定値Scの値により探針と試料の接触圧力を調整することができるが、ここではカンチレバー1のバネ定数を考慮して10nNの力に設定した。
接触後に試料バイアスをDC電源21から印加して(本測定においてはプローブを接地している)試料表面に帯電を誘起した(図5(a)に示すタイミング)。
次に、先に記憶したZピエゾへの印加電圧値にオフセット分を加えた値をPZTスキャナー19に戻すことで探針先端と試料を離し、カンチレバーの励振を再開する(図5(b1)に示すタイミング)。オフセット量は試料−探針間距離が15nm程度離れる値が望ましい。
その際、DC電源21の出力を切り、回路(K)に切り替える。
回路(K)では発振器22の出力である交流成分(VACsin(ωt))とエラーアンプ23の出力である直流成分(VDC)を累算器24で合算し、試料5に印加する。
カンチレバー1の振動を検出した光変位検出器9の出力のうち、周波数ωの成分をロックインアンプ25で抽出してエラーアンプ23に入力する。
ケルビンプローブフォース顕微鏡の原理はこのω成分が0になるようにVDCを調節する方法であり、このVDC自体が試料表面の電位に相当する。
電位測定後にフィードバックコントロールを再開して、試料−探針間距離が設定値になるようにZピエゾを調整し、次の測定に移行する。
この時、図5(a)に示すタイミングで印加する試料バイアスを順次変化させながら、その時々の表面電位を図5(b1)に示すタイミングで計測することで、試料表面の電子状態密度を測定することができる。
本方法においても実施例1と同様のデータが測定できることを確認した。ただし、オフセット量を大きくし、試料−探針間距離を離し過ぎると測定精度が低下するため、適切なオフセット値を設定することが必要である。
[実施例3]
実施例3では、プローブ顕微鏡に走査機能を持たせ、電子状態密度の分布像を得るようにした走査プローブ顕微鏡について説明する。
本実施例の走査プローブ顕微鏡においては、実施例1と同様の制御回路を備えた構成とした。
これにより、走査プローブ顕微鏡の面内走査機能を利用し、実施例1で示した電子状態密度測定を試料表面内の位置を変えながら、順次測定することができる。本実施例の試料表面の各部位を測定するという点だけを捉えれば、試料表面の各部位でI−V測定を行うCITS(Current Imaging Tunneling Spectroscopy)測定と同様の考え方である。
しかしながら、本実施例の測定方法では、各位置における測定データとして、印加電圧と表面電位の関係を得るに際し、印加電圧に対応した表面電位の分布を、測定した印加した電圧の数だけ得ることが可能となる。
実施例1と同じSiウエハ上に成膜した島状ペンタセン薄膜試料を、本実施例の走査プローブ顕微鏡で測定することにより、プローブ接触電位を適宜選択することで、同じ電子状態であるペンタセン島部が、基板露出部と区別して識別することができた。
なお、本実施例の測定方法は、実施例2の回路を使用して測定することも可能である。
本発明の実施の形態におけるプローブ顕微鏡の動作手順を説明する図。 本発明の実施の形態におけるプローブ顕微鏡に用いられるプローブの構成例を示す図。 本発明の実施の形態におけるプローブ顕微鏡の動作原理を説明する図。 本発明の実施の形態におけるプローブ顕微鏡の回路の動作信号を説明する図。 本発明の実施の形態におけるプローブ顕微鏡の回路の別の動作信号を説明する図。 本発明の実施の形態における測定で使用するプローブ顕微鏡の制御回路の構成を示す模式図。 本発明の実施例2における測定で使用したプローブ顕微鏡の制御回路の構成を示す模式図。 本発明の実施例1における試料表面の電子状態密度を測定した結果における接触時の印加電圧と表面電位の相関関係を示す図。
符号の説明
1:カンチレバー
2:微粒子による探針
3:接着剤
4:導電性コート膜
5:試料
6:金属蒸着膜
7:試料ステージ
8:半導体レーザー
9:光変位検出器
10:プリアンプ
11:移相器
12:波形変換器
13:減衰器
14:圧電振動子
15:FM復調器
16:エラーアンプ
17:フィルター
18:Zピエゾドライバー
19:PZTスキャナー
20:エラーアンプ
21:DC電源
22:発振器
23:エラーアンプ
24:累算器
25:ロックインアンプ
26:発振器
27:RMS−DC変換器
28:エラーアンプ

Claims (12)

  1. 導電性プローブを備えたプローブ顕微鏡であって、
    前記導電性プローブを試料表面に接触させ、前記導電性プローブと試料との間に電圧を印加して前記試料表面に帯電を誘起する接触帯電機構と、
    前記導電性プローブを前記試料表面に非接触状態で近接させて試料の表面電位を計測する電位測定機構とを備え、
    前記接触帯電機構による試料表面の帯電と前記電位測定機構による表面電位の計測とを、前記接触時の印加電圧を段階的に変化させつつ時系列に切り換え、前記接触時の印加電圧と前記表面電位との相関を測定することを特徴とするプローブ顕微鏡。
  2. 前記導電性プローブが、弾性体と該弾性体に設けられた探針を備え、該探針が15nm以上100μm以下の先端曲率半径を有し、かつ該弾性体と該探針とが導電性部材により被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のプローブ顕微鏡。
  3. 前記弾性体が弾性を有するカンチレバーで構成され、前記探針が、前記カンチレバーの自由端に接着剤を介して固定された半径50nm以上20μm以下の球状物体で構成されていることを特徴とする請求項2に記載のプローブ顕微鏡。
  4. 前記接触帯電機構は、前記導電性プローブを前記試料表面に任意の圧力で接触させる手段と、前記導電性プローブと前記試料の間に電圧を印加する電圧印加手段とを有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプローブ顕微鏡。
  5. 前記電圧印加手段は、前記導電性プローブの前記試料表面との接触状態において直流電圧を印加し、前記切り換え機構による時系列での切り換えサイクル毎に印加電圧を掃引可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載のプローブ顕微鏡。
  6. 前記電位測定機構は、前記導電性プローブを前記試料表面に近接させ、前記導電性プローブと前記試料の間に交流電圧を重畳させた直流電圧を印加し、前記導電性プローブに働く力を最小にする直流電圧の値から該試料表面の電位を測定するケルビンプローブフォース顕微鏡で構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプローブ顕微鏡。
  7. 前記導電性プローブを制御するプローブ制御機構を有し、該プローブ制御機構は前記プローブの運動を検出する変位検出手段と、前記プローブの動きからプローブ先端と試料表面間の距離を制御する間隔制御手段とを有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のプローブ顕微鏡。
  8. 前記間隔制御手段が、周波数変位検出法を用いた制御システムにより構成されていることを特徴とする請求項7に記載のプローブ顕微鏡。
  9. 前記間隔制御手段が、振幅変位検出法を用いた制御システムにより構成されていることを特徴とする請求項7に記載のプローブ顕微鏡。
  10. 前記導電性プローブを試料表面で走査する機構を備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のプローブ顕微鏡。
  11. プローブ顕微鏡による試料表面電位の測定方法であって、
    導電性プローブを試料表面に接触させて前記導電性プローブと試料との間に電圧を印加し、前記試料表面に帯電を誘起する工程と、
    前記導電性プローブを試料表面に近接させて前記試料の表面電位を計測する工程と、
    を有し、
    前記接触時の印加電圧を段階的に変化させつつ、前記試料表面に帯電を誘起する工程と前記試料の表面電位を計測する工程とを時系列に切り換えて、前記接触時の印加電圧と前記表面電位との相関を測定することを特徴とする試料表面電位の測定方法。
  12. 前記相関を試料表面における電子のエネルギーと電子状態密度の相関とみなして電子状態密度を決定する工程をさらに有する請求項11に記載の試料表面電位の測定方法。
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