JP2000028625A - 電荷移動力検出装置及び電荷移動力検出方法 - Google Patents

電荷移動力検出装置及び電荷移動力検出方法

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JP2000028625A
JP2000028625A JP11122801A JP12280199A JP2000028625A JP 2000028625 A JP2000028625 A JP 2000028625A JP 11122801 A JP11122801 A JP 11122801A JP 12280199 A JP12280199 A JP 12280199A JP 2000028625 A JP2000028625 A JP 2000028625A
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一則 穴澤
Tomoko Miyahara
知子 宮原
Tsutomu Manabe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性の有無に係わらず物質表面の電荷
移動力を正確に測定しうる電荷移動力検出装置及び方法
を提供し、その測定により、物質の識別、局所的なイオ
ン化エネルギー、電子親和力、仕事関数、界面の分極状
態、界面の反応性等の物理的および化学的性質の検出を
可能にする。 【解決手段】 試料12表面の電荷移動力により変位し
うる弾性体(板バネ)14の先端に配置された検出用探
針10と、検出用探針10に電位を供給する電位供給手
段18と、検出用探針の変位を検出する変位検出手段2
2、24とを備えた測定系と、試料12を該測定系より
実質的に絶縁しうるガラス板20と接地された金属板2
1とからなる試料保持部材と、を備え、検出用探針10
の先端が、Au、Ag、Pt等の金属及びその金属間化合物、
酸化物半導体、電子供与体となり得る有機化合物、電子
受容体となり得る有機化合物などから選ばれる易電荷移
動物質により被覆されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料表面と探針に
作用する分子間力、特に、電荷移動力を検出する電荷移
動力検出装置及びこれを用いた試料表面と探針間の電荷
移動力を検出する電荷移動力検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】試料と検出用探針との間のトンネル電流
や原子間力を検出することで試料の表面状態を測定する
装置が従来より広く検討されている。
【0003】例えば、探針と試料の間に働く分子間力を
一定にするように探針の高さを制御することで、試料の
形状や高さの情報を得るのが、原子間力顕微鏡である。
原子間力顕微鏡に用いていた分子間力は、ファンデルワ
ールス力である。これは、探針と試料に誘起された電気
双極子間に作用する力で、物質の構造に依存して大きく
変化することは少ない。従ってこの方法は物質の表面形
状等の測定には好適であるが、構造の異なる物質を区別
するには、特別な機能を探針に持たせる必要がある。
【0004】このような原子間力顕微鏡の原理を応用し
て構造の異なる分子の認識を実施した例として、抗原抗
体反応等の分子認識を行う化学物質を探針に被覆した報
告がある。これは、配位子と受容体にアビジンとビオチ
ンを用い、その特異的な親和力の強さから分子を認識す
るものである。また、水中において、探針の電位を変え
て極性官能基の認識を行った例もある。この場合、探針
の電位を変え、探針と試料の間に生じるクーロン力で差
から、カルボン酸、アミン化合物、アミド化合物の区別
を行っている。
【0005】また、探針と試料間に流れるトンネル電流
を一定にするように探針の高さを制御することで試料の
形状や高さの情報を得るのが、走査型トンネル顕微鏡で
ある。走査型トンネル顕微鏡では、探針に印加する電圧
とトンネル電流値の変化から物質の物理的な性質を求め
ることが可能である。
【0006】しかし、これらの例は、汎用性に薄く、測
定する物質が特定されている場合においてのみ有効な例
が殆どであり、特殊な物質以外に適用することは困難で
ある。探針の検知する力としてファンデルワールス力を
用いている限り、物質構造の差異を識別できる情報を得
ることは難しい。また、長距離力であるクーロン力を用
いると、顕微鏡としての空間分解能が低下することにな
る。一方、トンネル電流を用いる場合には、試料に流れ
る電流を検出する必要があるので、試料は、金属、グラ
ファイト、抵抗値が数Ω以下の半導体、もしくは金属上
の極薄膜等、導電性を有するものに制限される。
【0007】分子間力としての力は、ファンデルワール
ス力やクーロン力だけではなく、その他に、電荷移動力
がある。電荷移動力とは、電子供与体から電子受容体へ
電子が部分的に移動することにより生じる分子間の結合
力である。電荷移動力は、物質によって電荷移動を起こ
すものと起こさないものとの差が著しい。このため、試
料の電荷移動力を正確に測定することでさまざまな物質
表面の物性を識別することができると期待されている。
【0008】これまで、直接的に電荷移動力を測定する
方法はなく、電荷移動錯体の分光学的測定から間接的に
決定されているに過ぎない。この方法は煩雑であり、さ
らに、物質表面の局所的な電荷移動力やその分布を正し
く測定することは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は物質表面の局所的な電荷移動力を正確に測定しう
る装置及び方法を提供することにある。本発明のさらな
る目的は、導電性の有無に係わらず、その物質表面の電
荷移動力を正確に測定することにより、物質の識別、局
所的なイオン化エネルギー、電子親和力、仕事関数、界
面の分極状態、界面の反応性等の物理的および化学的性
質の検出を可能にすることである。
【0010】即ち、様々な固体物質表面における電荷移
動力を検出できるようになれば、たとえば、芳香族と脂
肪族では、芳香環の有無で電荷移動力に差が生まれるの
で、その区別が可能である。また、従来測定が困難であ
った局所的なイオン化エネルギー、電子親和力、仕事関
数、界面の分極状態、界面の反応性等の物理的および化
学的性質を検出することも可能になる。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決可能な
本発明は、探針と試料の間に電荷移動力を誘起させるた
めに、電荷移動を起こし易い物質を表面に被覆させた原
子間力顕微鏡の探針、探針に電位をかける機構、さら
に、探針と試料の間に電位差を保持させるための電気的
な絶縁機構を有することを特徴とする。
【0012】即ち、本発明の電荷移動力検出装置は、試
料表面の電荷移動力により変位しうるバネ定数を有する
板バネ、ゴムなどの弾性体の先端に配置された検出用探
針と、検出用探針に電位を供給する電位供給手段と、検
出用探針の変位を検出する変位検出手段と、を備えた測
定系と、試料を該測定系より実質的に絶縁しうる試料保
持部材と、からなり、該検出用探針の先端が、易電荷移
動物質により被覆されていることを特徴とする。
【0013】ここで、易電荷移動物質は、金属及びその
金属間化合物、酸化物半導体、電子供与体となり得る有
機化合物、電子受容体となり得る有機化合物からなる群
より選択される1種以上であることが好ましく、試料を
測定系より実質的に絶縁しうる試料保持部材は、電気抵
抗率が1010Ωcm〜1018Ωcmの、例えば、石英、サファイ
ア、アルカリガラス、ポリスチレン、ポリフッ化エチレ
ンからなる群より選択される材料よりなる、厚さ10nm〜
10mmの板状試料支持材を備えることが好ましい。
【0014】また、本発明の電荷移動力検出方法は、試
料表面の電荷移動力により変位しうる板バネ等の弾性体
の先端に配置され、先端を易電荷移動物質により被覆さ
れた検出用探針と、検出用探針に電位を供給する電位供
給手段と、検出用探針の変位を検出する変位検出手段
と、を備えた測定系を用いて、試料を該測定系より実質
的に絶縁しうる試料保持部材上に配置し、該検出用探針
に電位を付加させることにより、試料表面と探針との間
に電荷移動を誘起させ、該電荷移動力を、該検出用探針
の変位を検出することにより測定することを特徴とす
る。
【0015】本発明においては、試料と測定系が絶縁さ
れており、探針表面には易電荷移動物質層が形成されて
いることから、検出用探針に電位を付加させることで、
試料と探針との間に電荷移動が誘起され、その電荷移動
により生ずる力を探針の変位により正確に測定すること
ができるものである。
【0016】こうした本発明の電荷移動力検出装置は、
探針先端で感度良く電荷移動力を検出することで、探針
の高さ制御に電荷移動力を用いることが可能になる。し
たがって、電荷移動力の変化や空間分布を検出するの
に、特に適する。
【0017】また、電荷移動力により探針の高さを制御
しているので、抵抗値の高い試料の測定に適し、制御機
構が試料表面の静電気の影響も受けることも少ない。
【0018】しかし、帯電しやすい物質を測定する場合
や、測定雰囲気を変化させて測定する場合、特に、低湿
度下の測定や不活性ガス雰囲気、もしくは真空中での測
定において、試料表面が帯電し静電気の影響を受ける場
合、試料表面の測定部以外の領域を接地電位にある導電
物質で被覆し、試料表面における帯電の影響を低下させ
ることが好ましい。
【0019】さらに、本発明の電荷移動力検出装置は、
探針にかける電位を掃引し、探針に作用する引力の変化
を測定することで、イオン化エネルギー、電子親和力、
仕事関数、界面の分極状態、界面での反応性等の物理的
および化学的性質を検出することを特徴とする。
【0020】また、この電荷移動力検出機構を公知の原
子間力顕微鏡に付加させることにより、電荷移動力の空
間的な分布を求めることができる。
【0021】電荷移動力は、長距離力であるクーロン力
とは異なり近距離力なので、物質表面との相互作用が支
配的に寄与する。したがって、試料と探針間に働く電荷
移動力の検出により、固体表面や表面の電子構造に関す
る有益な情報が得られ、工業的に応用範囲の広い固体表
面や触媒の化学反応や電気化学反応を把握することも可
能になる。
【0022】さらに、電荷移動力検出装置の機構を公知
の原子間力顕微鏡に付加させた電荷移動力顕微鏡を用い
ることにより、局所的に物質の構造の同定をしたり、電
子親和力等の物理的および化学的性質を検出する技術を
提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を説明す
る。
【0024】本発明で用いられる試料表面の電荷移動力
により変位しうる弾性体の先端に配置された検出用探針
としては、公知の原子間力顕微鏡用の探針を適用するこ
とができる。原子間力顕微鏡用の探針は、周知のよう
に、単結晶ケイ素(もしくは窒化ケイ素や酸化ケイ素)
からなる基材と弾性体(例えば、金属製或いは樹脂製の
板バネ、ゴム等)および試料との分子間力を感知する先
端部から構成されている。探針は弾性体のバネ定数や先
端部の材質により、個々の使用方法に適した様々な種類
があるが、本発明には、いずれの探針でも用いることが
可能である。ただし、一般的に、検出する力が小さい場
合には、バネ定数の小さい探針を用いた方が有利であ
る。
【0025】次に、探針表面を易電荷移動物質、言い換
えれば、電荷移動を誘起させる物質により被覆する。本
発明おける易電荷移動物質とは、電位をかけると電荷移
動量が増加する物質を指し、金属及びその金属間化合
物、酸化物半導体、電子供与体となり得る有機化合物、
電子受容体となり得る有機化合物等が挙げられる。
【0026】易電荷移動物質として用いうる金属とは、
具体的には、仕事関数が2.3〜5.7eVの範囲にあ
る金属、例えば、Au、Ag、Pt、 Pd, Zn, Cr, W, Ir等か
ら選択される金属及びその金属間化合物、合金類が挙げ
られ、金属表面に酸化膜が形成されるとその易電荷移動
機能が低下することから、装置の耐久性の観点からは、
耐酸化性の金属、Au、Ag、Pt等が好ましい。
【0027】酸化物半導体としては、酸化チタン、酸化
錫等が挙げられる。
【0028】ここで、電子供与体となり得る有機化合物
とは、イオン化エネルギーが1.0〜9.5eVの範囲
にあるものを意味し、例えば、アントラセン、ナフタレ
ン、テトラセン、フラーレン等が挙げられる。
【0029】また、電子受容体となり得る有機化合物と
しては、電子親和力が0.1〜0.5eVの範囲にある
ものを意味し、例えば、TCNQ、TCNE、TCNB
等が挙げられる。
【0030】被覆の方法としては、易電荷移動物質にA
g, Au, Pt, Pd, Zn, Cr, W, Ir等の金属および、それ
らの合金などを用いる場合には、スパッタリング法や電
子ビーム蒸着法を用いる。また、探針の材質がSiや窒化
ケイ素の場合には、被覆材がはがれないように、まず、
Auを蒸着して後、目的の被覆金属を蒸着する。探針がや
酸化ケイ素の場合には、まず、Crを蒸着して後、目的の
被覆金属を蒸着する。また、探針先端部との電気的導通
を可能にするために、裏面にはAuやPt等の酸化されにく
い貴金属を蒸着する。
【0031】被覆材に、酸化物(たとえば、酸化チタ
ン、酸化スズ、ペロブスカイト型酸化物等)を被覆する
場合は、真空蒸着法、高周波スパッタリング法、レーザ
ーアブレーション法、もしくはゾルゲル法により、探針
表面に特定の酸化物を被覆する。
【0032】被覆材に有機物(たとえば、アントラセン
等の電子供与体やTCNQ等の電子受容体等)を用いる場合
には、被覆材を適当な溶剤で溶解させ、その溶解液に探
針を浸漬させた後、乾燥させるか、もしくは、真空蒸着
法により、探針表面に付着させる。この場合も、探針先
端部との電気的導通を可能にするために、裏面にはAuや
Pt等の酸化されにくい貴金属を蒸着する。
【0033】有機物を被覆する方法として、化学修飾法
を用いる場合には、まず、探針にAuを蒸着し、その後、
特定の有機分子(たとえば、アントラセン等)で末端を
修飾したアルカンチオールで探針表面を被覆する。
【0034】被覆膜厚は材料により異なるが、一般的に
は1nm〜10μm程度が好適である。
【0035】上記の工程で作製した探針を、圧電素子か
らなる走査部に固定する。このとき、探針の電位を変化
させることが可能になるように、探針と可変直流電源も
しくは信号発生器とを電気的に接続する。
【0036】試料は前記測定系と電気的に絶縁する機能
を有する試料保持部材を設けてそこに配置する。試料保
持部材に配置される試料を測定系より実質的に絶縁しう
る機能を有する材料としては、電気抵抗率が1010Ωcm〜
1018Ωcm、好ましくは、1015Ωcm〜1018Ωcmの、例え
ば、石英、サファイア、アルカリガラス、ポリスチレ
ン、テフロン(商品名、E・Iデュポン社製)などのポ
リフッ化エチレンからなる群より選択される材料よりな
ることが好ましく、測定の目的にもよるが、その厚みと
して10nm〜10mm、好ましくは1μm〜5mm、さらに好ま
しくは100μm〜5mm程度の板状試料支持材(絶縁
層)であることが好ましい。
【0037】図1は、本発明の電荷移動力測定装置の構
成の一態様を示す概略図である。電荷移動力測定装置1
6は、Auで被覆した探針10を先端に配置した板バネ1
4と、探針10に電位を印加する直流電源18と、探針
10の変位を検出するレーザーを用いた変位検出手段
と、試料12を支持する、絶縁性材料で形成された板2
0と接地された金属板21とからなる試料支持部材とを
備えている。変位検出手段は、図示されないレーザー照
射手段と、探針10において反射したレーザーを受光す
る光検出手段22と、増幅器23と、得られた光情報を
変位として解析し、記録する変位解析手段24とからな
る。
【0038】本発明の装置において好ましい他の態様と
しては、試料表面と測定系の電気抵抗が1GΩ以上で、探
針の印加電圧を−50V から+50V の範囲で掃引しても、
探針と測定系に流れる電流が、100pA 以下であること及
び、探針と試料および測定系から構成されるコンデンサ
ーの電荷蓄積における時定数が、1分以上のものである
ことである。
【0039】また、この試料保持部材について述べれ
ば、予め試料の導電性等が明らかな場合、例えば、試料
自体が実質的に絶縁性であり、試料の厚さが100 μm 以
上である場合には、試料下面に測定系の接地電位をもつ
電気抵抗の低い金属板を設置し、静電気の探針への影響
を軽減することが好ましく、試料自体の電気抵抗率が0
Ωcm以上、1010Ωcm未満である場合には、金属からな
る試料支持部材の上部に試料との絶縁を保持するための
前記絶縁層をもつことが好ましい。
【0040】探針の先端部の電位が特定のしきい値を越
えると、先端部と試料の間で電荷移動が容易になり、電
荷移動力が増大する。この電荷移動力を探針と試料との
引力として検出し、通常の原子間力顕微鏡と同様に、探
針の高さを制御する信号として用いれば、試料表面の電
荷移動力分布を測定することが可能になる。この場合、
探針を左右に走査させ、その検出した力の差分を測定し
た方が、電荷移動力の分布を得やすい。
【0041】図2はケイ素単結晶(100)を試料とし
た場合の探針と試料との距離と両者に掛かる引力との関
係を示したグラフである。この距離と引力との関係は、
探針が配置された弾性体のバネ定数等を考慮して得るこ
とができる。具体的には、図2に示すように、探針の先
端部の電位が特定のしきい値に達するまでのグラフの延
長線(図2中に破線で示す)と特定のしきい値に達した
時のグラフのピークとの差(図2中に↑印で示す)が電
荷移動力を表す。
【0042】試料の物性によっては、測定を液中で行う
ことがあるが、探針を液中で用いる場合には、フェニル
オクタン等の電気抵抗の高い液を用い、探針と試料間に
流れるファラデー電流を抑制することが好ましい。
【0043】また、特定位置に探針を固定し、探針先端
部の電位を走査させることにより、電荷移動力が変化す
る。電荷移動力と探針先端の電位の関係から、試料のイ
オン化エネルギー、電子親和力、仕事関数、禁制帯のエ
ネルギーギャップ等の測定ができる。
【0044】この電荷移動力検出装置における好ましい
測定条件について述べれば、試料表面と探針との間に作
用する電荷移動力を検出する場合、試料と測定系を実質
的に絶縁し、試料と測定系の電気抵抗が1GΩ以上で探針
の印加電圧を−50V から+50V の範囲で掃引しても、探
針と測定系に流れる電流が、100pA 以下であることが好
ましい。
【0045】さらに、探針と試料および測定系から構成
されるコンデンサーの電荷蓄積における時定数が、1分
以上のものであることがさらに好ましい。
【0046】また、測定する試料が絶縁性、例えば、そ
の電気抵抗率が1010Ωcm〜1018Ωcmであり、且つ、試料
の厚さが100 μm 以上である場合は、試料表面に生じた
電荷のリカバリーを効果的に防止して正確な電荷移動力
を測定するために、試料下面に測定系の接地電位をもつ
電気抵抗の低い金属板を配置し、静電気の探針への影響
を軽減することが好ましい。
【0047】さらに、帯電しやすい試料を測定する場
合、或いは、下記のように試料が帯電しやすい雰囲気下
で測定する場合には、試料表面において、接地電位をも
つ導電性の金等の金属薄膜により、測定部以外の領域を
被覆し、試料表面測定部の帯電を低下させることで、帯
電による静電気力に起因する検出信号のノイズや揺らぎ
を減少させることが好ましい。即ち、試料表面の探針接
触部近傍に、接地電位にある導電性の物質を配置し、試
料表面の短針接触部における帯電を低下させる手段を施
した装置である。ここで、導電性の物質とは、金、銀、
銅、白金、ステンレス等の金属、導電性塗料、酸化スズ
や酸化亜鉛等を含む酸化物導電物質等が挙げられる。導
電性の物質は、その物質の特性に応じて、塗布、蒸着等
公知の方法で、所定の膜厚で配置することができる。図
3は、試料表面の帯電を低減させるために、測定部以外
の領域を導電性の物質で被覆した電荷移動力測定装置の
構成の一態様を示す概略図である。具体的には、図3に
示すように、まず、接地電位を持つ金等の導電板21に
試料12を固定し、さらに、試料12表面に金等の金属
を蒸着し、導電性物質被膜(金属蒸着膜)26を形成す
る。蒸着に際し、金属蒸着膜26の厚さは約100nmで
あり、測定個所には導電物質が蒸着されないように、0.
5mm×0.5mm以下の大きさのガラス板で試料表面を部分的
にマスクし、試料表面に蒸着した導電物質被膜26は接
地電位にする。前記したように、例えば、(1)湿度が
60%以下の雰囲気下で測定を実施する場合、(2)不
活性ガス(例えば、窒素、6弗化イオウ、アルゴン、ヘ
リウム、等)雰囲気中で測定を実施する場合、(3)常
圧以下の真空状態雰囲気下で測定を実施する場合等に
は、試料表面において帯電が容易に起きるので、試料表
面の測定部近傍に接地電位をもつ導電体を配置する前記
の装置を用いることが、特に好ましい。
【0048】また、試料自体の電気抵抗率が0Ωcm以
上、1010Ωcm未満である場合は、金属からなる試料支持
部の上部に、試料との絶縁を保持するための絶縁層をも
つ試料支持部材を用いることが好ましい。
【0049】次に、本発明の電荷移動力検出方法とその
応用について述べる。本発明の電荷移動力検出方法は、
試料表面の電荷移動力により変位しうるバネ定数を有す
る板バネ等の弾性体の先端に配置され、先端を易電荷移
動物質により被覆されたた検出用探針と、検出用探針に
電位を供給する電位供給手段と、検出用探針の変位を検
出する変位検出手段と、を備えた測定系を用いて、試料
を該測定系より実質的に絶縁しうる試料保持部材上に配
置し、該検出用探針に電位を付加させることにより、試
料表面と探針との間に電荷移動を誘起させ、該電荷移動
力を、該検出用探針の変位を検出することにより測定す
るものである。図4(A)はこの探針の変位の状態を示
す概念図である。検出用探針10に電位を印加して探針
10と試料12表面の間に電荷(e‐)移動が生じると
探針10と試料との間に引力が働き、板バネ14が試料
12方向に引き寄せられ探針10が変位し、その変位
(ΔZ)を測定することで電荷移動力を検出するもので
ある。本態様では、試料12は、絶縁層であるガラス板
20と接地された金属板21とからなる試料保持部材上
に配置されている。
【0050】ここで、検出用探針に印加する電圧を連続
的に変化させ、試料と探針間に作用する電荷移動力を連
続的に測定することにより求められた、試料と探針間に
作用する電荷移動力と探針電位との関係において、負電
位領域において、電荷移動力が立ち上がるしきい値か
ら、試料の電子親和力を求めることができる。図4
(B)は金属試料における電子親和力検出の原理を示す
概念図である。
【0051】同様に、検出用探針に印加する電圧を連続
的に変化させ、試料と探針間に作用する電荷移動力を連
続的に測定することにより求められた、試料と探針間に
作用する電荷移動力と探針電位との関係において、正電
位領域において、電荷移動力が立ち上がるしきい値か
ら、試料のイオン化エネルギーを求めることができる。
図4(C)は金属試料におけるイオン化エネルギー検出
の原理を示す概念図である。
【0052】さらに、前記探針の印加電圧を連続的に変
化させることにより求められた、電荷移動力が立ち上が
る正電位領域と負電位領域のしきい値の差から、試料の
禁制帯幅を求めることができる。即ち、図4(B)、図
4(C)においてεbottomとεtopとの差(間隔)が試
料の禁制帯幅を示す。
【0053】このことから試料表面の電荷移動力を検出
することで、禁制帯幅の異なる半導体や絶縁体の区別が
可能になるという利点がある。
【0054】さらに、前記の方法により得られた、電荷
移動力が立ち上がるしきい値から、探針に被覆した材料
や試料材料の仕事関数を求めることができる。仕事関数
は金属表面から1個の電子を取り出すの必要な最小のエ
ネルギーであり、光電子放出法で測定した2つの異なる
物質の仕事関数の差と、本発明の方法で測定した仕事関
数の差はよく一致することから、しきい値の電位は、試
料の電子親和力に対応していることがわかり、この結果
より、電荷移動力の変化のしきい値の電位と、被覆金属
の仕事関数から、物質(試料材料)の仕事関数や、電子
親和力、イオン化エネルギーが求められることがわかっ
た。
【0055】また、この電荷移動力検出機構を公知の原
子間力顕微鏡に付加させ、探針による走査を可能にする
ことにより、所定の箇所での電荷移動力の測定における
のと同様に、電荷移動力の空間的な分布を求めることが
できる。
【0056】即ち、探針を走査することにより、電荷移
動力の差から、局所的に試料表面での物質の違いを識別
することができる。具体的には、前述の原理を適用し
て、電荷移動力の差から、局所的に金属、半導体、絶縁
体の種類の識別を行うことができる。
【0057】この方法によれば電荷移動力の分布が測定
できるようになり、従来原子間力顕微鏡によっては不可
能であった汎用性の高い分子認識や物質の化学構造の同
定が、その装置をわずかに改良した本発明の電荷移動力
測定装置により、局所的に可能となった。
【0058】また、試料の抵抗値が高くても、分子間の
電荷移動は起きるので、試料の抵抗値に制限されること
なく、種々の試料について、物性、化学構造等の検出を
行うことができる。さらに、静電的なクーロン力は、引
力であることも斥力であることもあり、非常に不安定で
あるが、電荷移動力は常に安定な引力なので、電気抵抗
の高い試料の表面でしばしば発生する静電気等の影響を
受けることが少ないという利点をも有するものである。
【0059】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるもので
はない。
【0060】(実施例1)市販の原子間力顕微鏡用探針
(セイコーインスツルメンツ(株)社製SI-DF40)にAu
をスパッタリング法で被覆した。被覆は室温で行い、被
覆厚は約100nm であった。この条件で作製した探針を、
試料支持部材を、該部材と測定系を実質的に絶縁しうる
ガラス製の厚み1mmの板と接地された金属板とからな
る板状試料保持部材に変えた他は、市販の原子間力顕微
鏡(デジタルインスツルメンツ社製DI-3000 )と同様の
装置に装着して、電荷移動力測定装置16を得た。
【0061】図1は、実施例1に用いる電荷移動力測定
装置16の構成を示す概略図である。電荷移動力測定装
置16は、Auで被覆した探針10を先端に配置した板バ
ネ14と、探針10に電位を印加する直流電源18と、
探針10の変位を検出するレーザーを用いた変位検出手
段と、試料12を支持する、絶縁性のガラス製板20と
接地された金属板21とからなる試料支持部材とを備え
ている。変位検出手段は、図示されないレーザー照射手
段と、探針10において反射したレーザーを受光する光
検出手段22と、増幅器23と、得られた光情報を変位
として解析し、記録する変位解析手段24とからなる。
【0062】試料支持部材にアントラセン単結晶とター
フェニル単結晶をそれぞれ配置して、試料表面の電荷移
動力を測定した。外部から直流電源(ヒューレットパッ
カード社製E3631A)によって、探針に電位を−5Vから+
6Vまで探針の電位を変化させて、探針と試料との間の電
荷移動力を含む引力を、探針10の変位を測定すること
により検出した。このとき、試料支持部材と測定系との
絶縁抵抗は、約2GΩ以上あった。
【0063】その結果を図6のグラフに示す。図6は、
電荷移動力(nN)と印加電圧(V)との関係を示すグ
ラフである。グラフに明らかなように、負の電圧を印加
した場合、電荷移動力の変化のしきい値が、アントラセ
ン単結晶の(001) 面では−1.7V、ターフェニル単結晶の
(001) 面では−2.0Vであった。この電荷移動力の差か
ら、アントラセンとターフェニルの区別が、本発明の電
荷移動力測定装置により可能になったことがわかる。
【0064】(実施例2)市販の原子間力顕微鏡用探針
(セイコーインスツルメンツ(株)社製SI-DF40)にAg
をスパッタリング法で被覆した。被覆は室温で行い、被
覆厚は約30nmであった。この条件で作製した探針を用い
たほかは、実施例1と同様にして、アントラセン単結晶
の表面を測定した。外部から直流電源(ヒューレットパ
ッカード社製E3631A)によって、探針に電位を−5Vから
+5Vまで探針の電位を変化させて、探針と試料との間の
電荷移動力による引力を測定した。その結果を図5のグ
ラフに併記した。負の電圧を印加した場合、Agを被覆し
た探針とアントラセン単結晶表面との間に生じる電荷移
動力の変化のしきい値が、−1.2Vであった。これを実施
例1において、探針にAuを被覆した場合のアントラセン
単結晶の値−1.7Vと比較するに、その差は0.5Vである。
【0065】一方、光電子放出法で測定したAuとAgの仕
事関数はそれぞれ、4.78eVと4.30eVであり、その差は0.
48eVであった。これらの対比により、電荷移動力変化の
しきい値の差とよく一致していることがわかった。すな
わち、しきい値の電位は、試料の電子親和力に対応して
いる。この結果より、電荷移動力の変化のしきい値の電
位と、被覆金属の仕事関数から、物質の仕事関数や、電
子親和力が求められることがわかった。
【0066】(実施例3)市販の原子間力顕微鏡用探針
(セイコーインスツルメンツ(株)社製SI-DF40)にAu
をスパッタリング法で被覆した。被覆は室温で行い、Au
の被覆厚は約80nmであった。この条件で作製した探針を
用いたほかは、実施例1と同様にして、試料としてケイ
素の単結晶基板(100) 面(表面をふっ酸処理したもの
と、していないもの)を用いて測定を行った。探針の電
位を−5Vから+5Vまで変化させたところ、図5に示すよ
うに、検出された電荷移動力の大きさは、0V と1.0Vに
しきい値をもち、電位の正負に対してほぼ対称な変動を
示した。この測定により得られた正負のしきい値間の電
位差はすでに知られているケイ素(Si)の禁制帯幅にほ
ぼ等しいものであった。このことから、本発明の電荷移
動力測定方法により、半導体の禁制帯幅が測定できるこ
とがわかった。
【0067】また、試料としてケイ素の単結晶基板に変
えて金属であるAu薄膜を用て同様に測定を行った場合の
結果を同様に図6に示したが、図6のグラフより明らか
なように、Au薄膜の場合、電位に対する電荷移動力の変
化の仕方が異なり、グラフの傾きが鋭く、ギャップが見
られない。この現象から、本発明の方法により、半導体
と金属が区別ができることがわかった。
【0068】(実施例4)図3は、実施例4に用いる電
荷移動力測定装置の構成を示す概略図である。電荷移動
力測定装置は、Auで被覆した探針10を先端に配置した
板バネ14と、探針10に電位を印加する直流電源18
と、探針10の変位を検出するレーザーを用いた変位検
出手段と、試料12を支持する接地された金属板21か
らなる試料支持部材とを備えている。変位検出手段は、
実施例1で用いた電荷移動力測定装置16と同じものを
使用した。
【0069】ベンゼン溶液から成長させたC60単結晶
(試料)12を金板21に金ペーストで固定し、表面に
金を蒸着し、金属蒸着膜26を形成した。このとき、試
料12表面にガラス板のマスクを置き、金の蒸着されて
いない約100μm×100μmの大きさの測定領域を設けた。
下地の金板21と金の蒸着膜26は接地電位にあり、測
定は、C60単結晶12表面が酸素と化学反応を起こさな
いように、窒素雰囲気(酸素濃度0.5%以下)で実施し
た。探針10は市販の原子間力顕微鏡用探針(セイコー
インスツルメンツ(株)社製SI-DF40)にAuをスパッタ
リング法で被覆したものを用いた。
【0070】図7(A)に示したように、探針電位を-15
Vから+15Vまで変化させたところ、探針電位による電荷
移動力変化の微分値は、図7(B)に示した、通常の光
電子分光スペクトル(PES)および逆光電子スペクトル
(IPES)とほぼ等しい構造を示し、しかも禁制帯幅が
3.8eVであることが求められた。C60のように、大気中の
酸素に侵されやすい試料でも、表面の帯電の影響を受け
ずに、電子構造や禁制帯幅を測定しうる高いSN比で電荷
移動力の変化が検出できるようになった。
【0071】これらの実施例に明らかなように、本発明
の装置と方法によれば、広範な材料の種々の物性を簡単
な装置で同定することが可能であった。
【0072】
【発明の効果】本発明の電荷移動力検出装置は、試料表
面の電荷移動力測定を行うのに、充分な感度を有し、ま
た、測定対象とできる固体試料の種類も有機結晶、金
属、半導体までの広い対象について測定できる。特に、
固体表面で電荷移動力を測定したことで、物質の種類の
区別や認識を簡単な構造の装置で実施でき、また、試料
表面のイオン化エネルギー、仕事関数、電子親和力、界
面の分極状態、界面の反応性等の物理的および化学的情
報も同時に得ることができるという優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1に用いる電荷移動力測定装置の構
成を示す概略図である。
【図2】 ケイ素単結晶(100) を試料とした場合の、
試料と探針との間の距離(nm)と両者の間に働く引力
(nN)との関係を示すグラフである。
【図3】 測定部以外の領域を導電性の物質で被覆し
た電荷移動力測定装置の構成の一態様を示す概略図であ
る。
【図4】 (A)はこの探針の変位の状態を示す概念
図であり、(B)は金属試料における電子親和力検出の
原理を示す概念図であり、(C)はイオン化エネルギー
検出の原理を示す概念図である。
【図5】 実施例1のアントラセン単結晶の(001) −
1.7V、ターフェニル単結晶、及び実施例2のアントラセ
ン単結晶の電荷移動力(nN)と印加電圧(V)との関
係を示すグラフである。
【図6】 実施例3のケイ素及び金属Auの電荷移動
力(nN)と印加電圧(V)との関係を示すグラフであ
る。
【図7】 (A)はC60の電荷移動力の微分値(nN/V)
と印加電圧(V)の関係を示すグラフであり、(B)はC
60の光電子分光スペクトル(PES)と逆光電子分光スペ
クトル(IPES)である。
【符号の説明】
10 検出用探針 12 試料 14 弾性体(板バネ) 16 電荷移動力測定装置 18 探針に電位を印加する電源 20 ガラス製板(試料支持部材を構成する絶縁性材
料) 21 試料支持部材を構成する接地された金属板(金
板) 22 光検出手段 24 変位解析手段 26 導電性物質被膜(金属蒸着膜)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 穴澤 一則 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 宮原 知子 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 真鍋 力 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料表面の電荷移動力により変位しうる
    弾性体の先端に配置された検出用探針と、検出用探針に
    電位を供給する電位供給手段と、検出用探針の変位を検
    出する変位検出手段と、を備えた測定系と、 試料を該測定系より実質的に絶縁しうる試料保持部材
    と、からなり、 該検出用探針の先端が、易電荷移動物質により被覆され
    ていることを特徴とする電荷移動力検出装置。
  2. 【請求項2】 前記易電荷移動物質が、金属及びその金
    属間化合物、酸化物半導体、電子供与体となり得る有機
    化合物、電子受容体となり得る有機化合物からなる群よ
    り選択される1種以上であることを特徴とする請求項1
    に記載の電荷移動力検出装置。
  3. 【請求項3】 前記試料を測定系より実質的に絶縁しう
    る試料保持部材が、電気抵抗率が1010Ωcm〜1018Ωcmの
    材料よりなる、厚さ10nm〜10mmの板状試料支持材を備え
    ることを特徴とする請求項1に記載の電荷移動力検出装
    置。
  4. 【請求項4】 前記電気抵抗率が1010Ωcm〜1018Ωcmの
    材料が、石英、サファイア、アルカリガラス、ポリスチ
    レン、ポリフッ化エチレンからなる群より選択される1
    種以上であることを特徴とする請求項3に記載の電荷移
    動力検出装置。
  5. 【請求項5】 前記試料表面と測定系の電気抵抗が1GΩ
    以上で、探針の印加電圧を−50V から+50V の範囲で掃
    引しても、探針と測定系に流れる電流が、100pA 以下で
    あることを特徴とする請求項1に記載の電荷移動力検出
    装置。
  6. 【請求項6】 前記探針と試料および測定系から構成さ
    れるコンデンサーの電荷蓄積における時定数が、1分以
    上のものであることを特徴とする請求項1に記載の電荷
    移動力検出装置。
  7. 【請求項7】 試料自体が実質的に絶縁性であり、試料
    の厚さが100 μm 以上である場合、試料下面に測定系の
    接地電位をもつ電気抵抗の低い金属板を設置し、静電気
    の探針への影響を軽減することを特徴とする請求項1に
    記載の電荷移動力検出装置。
  8. 【請求項8】 試料表面の探針接触部近傍に、接地電位
    にある導電性の物質を配置し、試料表面の短針接触部に
    おける帯電を低下させることを特徴とする請求項1に記
    載の電荷移動力検出装置。
  9. 【請求項9】 試料自体の電気抵抗率が0Ωcm以上、1
    10Ωcm未満である場合、金属からなる試料支持部材の
    上部に試料との絶縁を保持するための絶縁層をもつこと
    を特徴とする請求項1に記載の電荷移動力検出装置。
  10. 【請求項10】 試料表面の電荷移動力により変位しう
    る弾性体の先端に配置され、先端を易電荷移動物質によ
    り被覆された検出用探針と、検出用探針に電位を供給す
    る電位供給手段と、検出用探針の変位を検出する変位検
    出手段と、を備えた測定系を用いて、 試料を該測定系より実質的に絶縁しうる試料保持部材上
    に配置し、 該検出用探針に電位を付加させることにより、試料表面
    と探針との間に電荷移動を誘起させ、 該電荷移動力を、該検出用探針の変位を検出することに
    より測定することを特徴とする電荷移動力検出方法。
  11. 【請求項11】 検出用探針に印加する電圧を連続的に
    変化させることにより求められた、試料と探針間に作用
    する電荷移動力と、該探針電位との関係において、正電
    位領域において、電荷移動力が立ち上がるしきい値か
    ら、試料のイオン化エネルギーを求めることを特徴とす
    る請求項10に記載の電荷移動力検出方法。
  12. 【請求項12】 検出用探針に印加する電圧を連続的に
    変化させることにより求められた、試料と探針間に作用
    する電荷移動力と、該探針電位との関係において、負電
    位領域において、電荷移動力が立ち上がるしきい値か
    ら、試料の電子親和力を求めることを特徴とする請求項
    10に記載の電荷移動力検出方法。
  13. 【請求項13】 検出用探針に印加する電圧を連続的に
    変化させることにより求められた、試料と探針間に作用
    する電荷移動力と、該探針電位との関係において、電荷
    移動力が立ち上がる正電位領域と負電位領域のしきい値
    の差から、試料の禁制帯幅を求めることを特徴とする請
    求項10に記載の電荷移動力検出方法。
  14. 【請求項14】 検出用探針に印加する電圧を連続的に
    変化させることにより求められた、試料と探針間に作用
    する電荷移動力と、該探針電位との関係において、電荷
    移動力が立ち上がるしきい値から、探針に被覆した材料
    の仕事関数を求めることを特徴とする請求項10に記載
    の電荷移動力検出方法。
  15. 【請求項15】 検出用探針に印加する電圧を連続的に
    変化させることにより求められた、試料と探針間に作用
    する電荷移動力と、該探針電位との関係において、電荷
    移動力が立ち上がるしきい値から、試料材料の仕事関数
    を求めることを特徴とする請求項10に記載の電荷移動
    力検出方法。
  16. 【請求項16】 検出用探針を走査することにより、電
    荷移動力の差から、局所的に試料表面での物質の違いを
    識別することを特徴とする請求項10に記載の電荷移動
    力検出方法。
  17. 【請求項17】 検出用探針を走査することにより、電
    荷移動力の差から、局所的に金属、半導体、絶縁体の種
    類の識別を行うことを特徴とする請求項10に記載の電
    荷移動力検出方法。
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