JP2002031592A - 表面局在相互作用分光法 - Google Patents

表面局在相互作用分光法

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JP2002031592A
JP2002031592A JP2000217532A JP2000217532A JP2002031592A JP 2002031592 A JP2002031592 A JP 2002031592A JP 2000217532 A JP2000217532 A JP 2000217532A JP 2000217532 A JP2000217532 A JP 2000217532A JP 2002031592 A JP2002031592 A JP 2002031592A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料表面に存在する1つ1つの原子または分
子に局在する化学結合に関する電子のエネルギを測定す
る。 【解決手段】 原子間力顕微鏡3を準備し、探針6が先
端に形成されたカンチレバー4を基体4aに、取付けて
カンチレバー組合せ体8を構成し、振動部材7を駆動し
てカンチレバー4の固有振動数で発振し、振動周波数の
固有振動数からの周波数変化Δfに対応する電圧を周波
数変化検出器19によって検出する。この電圧は、探針
6と試料1との間に働く化学結合力による引力に関係す
る。探針6と試料1との間の距離を、約1nm以下に一
定に保ったままの状態で、探針と試料との間に、電源回
路26によって直流電圧Vを連続的に変化して印加す
る。探針6と試料1との間に作用する引力のピーク31
に対応する印加電圧V1を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料表面上の1つ
1つの原子または分子に局在する化学結合に関係する電
子状態を調べる表面局在相互作用分光法に関する。
【0002】
【従来の技術】表面の電子状態を調べる典型的な先行技
術は、紫外線光電子分光(UPS)、X線光電子分光
(XPS)、低速電子エネルギ損失分光(LEEL
S)、走査トンネル分光(STS)などである。UP
S,XPSは紫外線、またはX線を試料に照射し、試料
中の価電子帯の電子が励起され、真空中に出てきた電子
のエネルギ分布から元の電子状態を調べる方法である。
LEELSは試料に低速電子(数十から2000eV程
度)を照射し、電子遷移等でエネルギを失って出てくる
非弾性散乱電子のエネルギ分布から元の電子状態を調べ
る方法である。これらは試料に入射させる紫外線、X
線、低速電子線とも、概ね1μmφ程度までしか絞るこ
とができない。すなわち得られる情報はその入射領域の
平均的情報であり、高い空間分解能測定はできない。一
方、STSは鋭利な金属探針を試料から約1nm以下ま
で近づけ、探針と試料間に電圧を印加してトンネル電流
を測定して、試料表面の電子の状態密度を知ることがで
きる。STSは上記の他の表面の電子状態を調べる手法
と異なり、空間分解能は原子1個のレベルであり、本発
明の表面局在相互作用分光法に最も近い先行技術であ
る。しかしながら、STSではフェルミ準位付近のどの
レベルに電子がどのぐらいあるかは判るが、どの電子状
態が化学反応に寄与するかは判らない。
【0003】微小構造形成の先行技術は電子線を用いた
マイクロファブリケイト技術である。この先行技術では
線幅は露光光源である電子線の波長に制限され、形成で
きる構造の線幅はサブミクロンレベルが限界となる。
【0004】それよりも微小な構造を作るための先行技
術として、走査型トンネル顕微鏡(STM)や原子間力
顕微鏡(AFM)などの走査型プローブ顕微鏡(SP
M)を用いた加工技術が開発されてきている。例とし
て、(1)金の探針と金の平面試料間に電圧パルスを掛
けて金試料上の任意の位置に10〜20nmの金の突起
または穴を形成する(H.J.Mamln,P.H.Guethner,D.Ruga
r,Phys.Rev.Lett.65,2418(1990)、Y.Hasegawa,Ph.Avour
is,Science258,1763(1992))、(2)極低温中でニッケ
ル基板上に吸着しているキセノン原子や、銅基板上の一
酸化炭素分子をSTM探針で動かし、任意の位置に移動
させる(D.M.Eigler,E.K.Schweizer,Nature344,524(199
0)、G.Meyer,B.Neu,K.Rieder,Appl.Phys.A60,343(199
5))、(3)AFM探針で機械的に削る(Y.Klm,C.M.Li
eber,Science257,375(1992))などがある。(1),
(3)の方法では加工する大きさは数十nmオーダであ
り、それ以上に細かな制御は困難である。また、(2)
の方法は極低温中でのみ、可能な状態であり、常温で使
用するデバイスへの応用は期待できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、原子
レベルの空間分解能で化学結合に起因する表面の電子状
態を測定できる表面局在相互作用分光法および走査型表
面局在相互作用分光器を提供することである。
【0006】本発明の他の目的は、試料の表面の原子ま
たは分子を同定するための新規な方法を提供することで
ある。
【0007】本発明のさらに他の目的は、従来無い機能
を発現する可能性のある極微デバイスを組立てるため、
試料表面上で希望する原子または分子を同定し、選択的
にその原子または分子だけを正確に引き抜くことができ
るようにした原子または分子の引き抜き方法を提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、探針と試料表
面との間の距離を、約1nm以下に近接した状態で、探
針と試料との間に直流電圧を変化しつつ印加し、探針と
試料との間に作用する引力を、印加電圧に対応して検出
することを特徴とする表面局在相互作用分光法である。
【0009】本発明に従えば、探針と試料表面との間の
距離を約1nm以下に近接した状態を保ち、この状態
で、直流電圧を連続的にまたは段階的に、たとえば増大
または減少してプラス方向、マイナス方向の両極性と
も、変化しながら印加し、この印加電圧に対応して探針
と試料との間に作用する引力を検出する。探針は、先鋭
化して形成される。印加電圧の変化に伴い、探針と試料
との材料の種類や表面構造などに依存した印加電圧で、
引力のピーク値が得られることが、本件発明者の実験に
よって確認された。
【0010】このような印加電圧に依存する引力のピー
ク値が得られる理由について、本件発明者は次のように
考察した。探針表面の電子エネルギ準位と、試料表面の
電子エネルギ準位とは、両者間に与えられる印加電圧に
よって相対的に変化する。探針表面の電子エネルギ準位
と試料表面の電子エネルギ準位とが一致したとき、探針
と試料との間に化学結合力による大きな引力が生じる。
すなわち、このような大きな引力のピーク値が得られる
印加電圧は、探針表面の原子または分子の電子エネルギ
準位と、試料表面の原子または分子の電子エネルギ準位
とが一致する値であり、このとき大きな化学結合力が生
じる。
【0011】表面の電子エネルギ準位が相互に異なる2
つの物体は、どんなに近づいても、電子の結合性軌道を
造ることはないが、電子エネルギ準位を、印加電圧によ
って、合せることによって、表面電子の波動関数がオー
バラップし、結合性軌道、反結合性軌道を造り、化学結
合する。このとき、両物体間、すなわち探針および試料
間には、強い化学結合力が生じる。複数種類の各試料表
面に存在する原子または分子はどれも、探針との間で引
力が生じ、同じ試料面内であっても、印加電圧を変える
ことによって、特定の種類の原子または分子だけが、探
針と強い相互作用力である化学結合力を生じる。
【0012】印加電圧が、探針と試料表面との原子また
は分子の電子エネルギ準位が一致しない値であるとき、
これらの探針と試料との間の原子または分子の相互間の
化学結合力は生じない。
【0013】ファンデルワールス力と静電引力はエネル
ギ準位が一致していても一致していなくても働いてい
る。そして、ファンデルワールス力と静電引力は長距離
力であり、化学結合力は短距離力である。また、印加電
圧に対して、ファンデルワールス力はほとんど変化しな
いと考えられ、静電引力は印加電圧に対して2次関数的
に変化し、たとえば後述の図4の放物線34が静電引力
の変化を示す。化学結合力は、或る電圧でピーク状の変
化をするので、ファンデルワールス力や静電引力と見分
けが付く。力の大きさは、探針と試料との間の距離によ
って化学結合力が大きい場合もあるが、ファンデルワー
ルス力や静電引力と同レベルである可能性もある。探針
と試料との間に作用する引力は、前述のファンデルワー
ルス力と静電引力と化学結合力との和であり、探針と試
料との間の距離が非常に近い範囲、すなわち約1nm以
下の範囲では、前述の印加電圧を変化させたとき、或る
電圧で引力のピーク値が得られ、このようなピーク値
は、化学結合力に起因して得られ、印加電圧に依存しな
いファンデルワールス力および印加電圧に対して2次関
数的に変化する静電引力とは、見分けがつくことにな
る。
【0014】探針と試料との電子エネルギ準位が大きく
ずれてしまうと、探針と試料とを、どんなに近づけて
も、化学結合力は働かない。探針と試料とを一定の距離
に保ち、印加電圧を掃引しながら、探針と試料との間の
相互作用力を測定すれば、探針先端部とその直下の試料
の原子または分子の表面に局在した電子エネルギ準位が
一致したときのみ、強い化学結合力が測定される。した
がって試料の表面には、探針先端の電子エネルギ準位に
対して印加電圧分だけ異なる表面の電子エネルギ準位が
あることが判る。
【0015】また本発明は、微小なカンチレバーの先端
に探針が形成され、探針とそれに対向する試料との間に
働く引力を測定するため前記カンチレバーの撓みを検出
する力検出機構を持つ装置を準備し、この装置を用い
て、探針と試料との間の距離を、予め定める距離に設定
し、この予め定める距離を設定した後に、その予め定め
る距離を保った状態とし、探針と試料との間に、直流電
圧を変化しつつ印加し、探針と試料間に働く引力を検出
することを特徴とする。
【0016】本発明に従えば、微小なカンチレバーの先
端に形成された探針と試料表面との間の距離を、予め定
める距離、たとえば約1nm以下に近接した状態を保っ
たままで、直流電圧を変化しつつ、力検出機構によっ
て、探針と試料表面との間に作用する化学結合力である
引力に対応したカンチレバーの撓みを、検出する。こう
して探針と試料との間に作用する引力のピーク値と印加
電圧との関係を知ることができる。本発明の実施の他の
形態では、カンチレバーの撓みをたとえばピエゾ抵抗膜
などによって検出するようにしてもよい。
【0017】また本発明は、前記装置は、原子間力顕微
鏡であり、この原子間力顕微鏡は、試料に対向して配置
される探針が形成された微小なカンチレバーと、カンチ
レバーの撓みを検出する機構と、カンチレバーに振動を
与えるように配置させた振動部材と、カンチレバーの共
振周波数で振動するように、振動部材を駆動する振動制
御手段と、探針に力が作用したとき、カンチレバーの共
振周波数の変化Δfを検出してその周波数変化Δfを電
圧に変換する手段と、カンチレバーの共振周波数の変化
Δfに対応した電圧が予め定める値に保たれるように、
探針と試料との間の距離を制御する手段とを含み、この
原子間力顕微鏡を用いて、探針と試料表面との間の距離
を、予め定める距離に設定し、この予め定める距離を設
定した後に、前記予め定める距離を保った状態とし、探
針と試料との間に、直流電圧を変化しつつ印加し、探針
と試料との間に働く引力に従って変化するカンチレバー
の振動周波数の固有振動数からの周波数変化Δfを検出
することを特徴とする。
【0018】本発明に従えば、原子間力顕微鏡(AF
M)が用いられる。この原子間力顕微鏡では、探針6が
形成された微小なカンチレバー4を、振動制御手段13
からの発振駆動信号を振動部材7に与えることによっ
て、カンチレバー4の共振周波数で振動して、機械的発
振回路5を構成する。
【0019】探針6が先端に形成されるカンチレバー4
の振動周波数は、探針と試料との間に相互作用力が作用
することによって、固有振動数からのわずかな周波数変
化Δfを生じる。周波数変化検出器によって、この周波
数変化Δfに対応した電圧を求める。この周波数変化Δ
fが予め定める一定の値に保たれるように、したがって
電圧が予め定める設定値に保たれるように、探針と試料
との間の距離を、距離制御手段17,22,63によっ
て制御する。電圧の予め定める設定値を変化することに
よって、探針と試料との間の距離を希望する値、たとえ
ば約1nm以下の値に調整することができる。カンチレ
バーは、ほぼ固有振動数で振動しており、探針の試料表
面に対向する探針が、その振動中に、試料表面に最も近
接したとき、前記距離約1nm以下になるように、前記
予め定める距離が設定される。
【0020】原子間力顕微鏡を用いて、このように前記
周波数変化Δfが予め定める設定値に保たれるように、
したがって電圧が予め定める設定値に保たれるように負
帰還制御が継続して行われるので、探針と試料との間の
距離を希望する値に一定に保った状態とすることができ
る。
【0021】探針と試料との間の距離を、前述のよう
に、約1nm以下に設定したままの状態で、探針と試料
との間に直流電圧を連続的にまたは段階的に、たとえば
増大または減少してプラス方向、マイナス方向の両極性
とも変化しながら印加する。これによって、探針と試料
との間に働く引力に従って変化する前記周波数変化Δf
を印加電圧に対応して検出することができる。こうして
印加電圧を変えたとき、引力が極大になる印加電圧を調
べることによって、試料の電子エネルギ準位の状態が判
る。このように引力が極大になる印加電圧を知ることが
でき、本発明では引力の絶対値を測定する必要がなく、
つまり引力が極大になる印加電圧では、周波数変化Δf
も極大になるので、この周波数変化Δfと印加電圧との
関係から、引力と印加電圧との関係を知ることができ
る。
【0022】本発明は、微弱な引力を測定することがで
きる手法で、引力を測定しながら、印加電圧を変えたと
き、極大の引力が得られる印加電圧を調べることが重要
である。
【0023】本発明の実施の他の形態では、カンチレバ
ーを振動させる方式も、振動させない方式も、カンチレ
バーの撓みを電気信号に変換して検出する構成は、同一
である。カンチレバーの撓み検出のための構成は、本発
明の実施の一形態では、ピエゾ抵抗型自己検出方式を採
用してもよいが、そのほか、光てこ方式、光干渉方式、
容量測定方式などであってもよい。
【0024】また本発明は、予め定める基準となる第1
試料を用いて、探針とその探針に対向する第1試料との
間の前記印加電圧に対応する前記引力のピーク値が得ら
れる第1の印加電圧を検出した第1検出結果と、同定す
べき原子または分子を含む第2試料と、第1検出結果を
得たときに用いられる同一の探針とを用いて、前記探針
とその探針に対向する第2試料との間の印加電圧に対応
する前記引力のピーク値が得られる第2の印加電圧を検
出した第2検出結果とを得、第1検出結果と第2検出結
果とを比較して第2試料の原子または分子を同定するこ
とを特徴とする原子または分子の同定方法である。
【0025】本発明に従えば、表面の元素および結合状
態が既知である第1試料を用いて、引力のピーク値が得
られる第1の印加電圧を検出して第1検出結果とする。
表面の元素の種類および結合状態などを調べて原子また
は分子を同定すべき第2試料を用いて、引力のピーク値
に対応する第2の印加電圧を検出して第2検出結果とす
る。第1試料に関する探針の表面の電子のエネルギに対
する第1検出結果と、同じ探針を用いたときにおける第
2試料に関して、その探針の表面の電子のエネルギに対
する第2検出結果とを比較する。
【0026】第1および第2試料に関して、同一の探針
を用いて、前述のように第1および第2の印加電圧が検
出されるので、探針の表面の電子のエネルギ準位を基準
にして、第1および第2試料の表面の電子のエネルギ準
位がそれぞれ検出される。したがって、真空準位を基準
とした絶対準位ではないが、第1および第2検出結果の
比較は可能である。
【0027】真空準位に対して既知の表面の電子エネル
ギを持った第1試料を測定すれば、逆に探針の表面の電
子のエネルギ準位が真空準位に対して校正でき、第2試
料についても、真空準位からのエネルギ準位が特定され
る。こうして同一探針に対する第1および第2試料に関
する引力のピーク値が得られる第1および第2の印加電
圧が同一であるとき、第2試料の各ピーク値に対応する
原子または分子は、第1試料の各ピーク値に対応する原
子または分子と同一であるものとして同定することがで
きる。
【0028】探針および試料の表面の電子エネルギ準位
は、その元素および結合状態に依存し、たとえば元素の
各原子の原子種がたとえ同一であっても、表面における
原子の結合状態などによって異なり、これらの電子エネ
ルギ準位が異なることによって、引力のピーク値が得ら
れる印加電圧が異なることになる。同一の探針を用いて
第1および第2試料に関して引力のピーク値に対応する
印加電圧を検出するとき、前述のように、同一探針に対
する第1および第2印加電圧を比較することによって、
第1試料の既知の原子または分子に対応する第2試料の
原子または分子を同定することができる。
【0029】本発明の表面局在相互作用分光法および同
定方法は、試料表面に存在する1つ1つの原子または分
子に局在する電子のエネルギを測定するものであり、し
たがって第1および第2試料は、全く別の試料であって
もよいが、同一試料表面上の別の検出領域の原子や分子
であってもよく、本発明はこのような構成も含む。
【0030】また本発明は、探針と試料表面との間の距
離を、約1nm以下に近接した状態で、探針と試料との
間に、直流電圧を変化しつつ印加し、探針と試料との間
に作用する引力を、印加電圧に対応して検出し、引力の
ピーク値が得られる印加電圧を保ったままで、探針と試
料とを、一旦、さらに近接し、その後に、離間変位する
ことを特徴とする原子または分子の引き抜き方法であ
る。
【0031】本発明に従えば、探針と試料との間に作用
する引力のピーク値が得られるように、印加電圧を保
ち、この状態では、探針および試料の電子エネルギ準位
が一致しており、探針表面の原子または分子と試料表面
の原子または分子との間の化学結合力が大きくなってい
る。このような原子は、探針と試料表面との間の距離L
11(後述の図10(1)を参照)を、約1nm以下に
近接した状態で得られ、これによって原子または分子の
同定を行うことができる。
【0032】こうして引力のピーク値が得られる印加電
圧を保ったままで、探針と試料との間の距離を、一旦、
さらに近接し、たとえばその距離L12(図10(2)
参照)をたとえば約0.2〜0.3nm程度とする。こ
れによって探針と試料との原子または分子間の化学結合
力がほぼ最大となる。こうしてほぼ最大の化学結合力が
生じている状態で、図10(3)のように探針と試料と
を相互に離間するように変位することによって、試料表
面の原子または分子を、探針表面に付着して、試料表面
から引き抜くことができる。
【0033】試料表面の電子エネルギ準位は、試料表面
上の各原子の原子種、結合状態、さらには試料内での原
子の結合状態によっても異なるので、探針によって引き
抜こうとする試料表面上の原子の直上で、探針の表面の
電子エネルギ準位と、引き抜こうとする原子の電子エネ
ルギ準位とを、印加電圧によって合せると、その引き抜
こうとする原子と探針との間にのみ、強い引力が働き、
試料表面の引き抜こうとする原子の周辺に存在する原子
には、弱い引力しか働かない。こうして印加電圧によっ
て試料表面の引き抜こうとする原子と探針との間にの
み、大きな化学結合力を生じさせることができる。引き
抜こうする目標の原子と探針との間の距離が、化学結合
力が最大になる距離L12よりも長い距離L11である
とき、目標の原子の同定のみを行うことができ、化学結
合力が最大となる距離L12まで、探針と試料とを近づ
けることによって、目標の原子を引き抜くことができ
る。原子に代えて、分子に関しても同様である。このよ
うにして探針と試料とを、一旦、近接することによっ
て、探針との間でほぼ最大の化学結合力を生じた試料表
面の原子または分子だけを、選択的に引き抜くことが可
能である。本発明の試料表面からの原子または分子の引
き抜き方法によれば、従来から存在しない新規な機能を
発現する極微デバイスを組立てることが容易に可能であ
る。
【0034】また本発明は、微小なカンチレバーの先端
に探針が形成され、探針とそれに対向する試料との間に
働く力を測定するため前記カンチレバーの撓みを検出す
る力検出機構を持つ装置を準備し、この装置を用いて、
探針と試料との間の距離を、予め定める距離に設定し、
この予め定める距離を設定した後に、その予め定める距
離を保った状態とし、探針と試料との間に、直流電圧を
変化しつつ印加し、探針と試料間に働く引力を検出する
ことを特徴とする。
【0035】本発明に従えば、試料表面の原子または分
子を、選択的に引き抜くことができるようになる。探針
が先端に形成されたカンチレバーの撓みを検出する力検
出機構によって、探針と試料との間に作用する引力を、
直流電圧の変化に伴い、検出することができる。カンチ
レバーは、振動される構成としてカンチレバーに作用す
る力をカンチレバーの共振周波数の変化Δfに対応させ
て引力のピーク値を検出するようにしてもよいが、振動
されない構成によって力を検出するようにしてもよい。
【0036】また本発明は、微小なカンチレバーの先端
に探針が形成され、探針とそれに対向する試料との間に
働く引力を測定するため前記カンチレバーの撓みを検出
する力検出機構を持つ装置と、試料面内で探針を試料と
相対的に移動して走査する走査手段18と、力検出機構
の出力に応答し、探針と試料との間の距離を、約1nm
以下の予め定める距離に制御する手段17,22,63
と、試料と探針との間に直流電圧を変化しつつ印加する
手段26と、走査手段18によって探針が試料と相対的
に移動された試料面の各位置で、探針と試料との間の距
離を、前記予め定める距離に保った状態で、前記電圧印
加手段26によって印加電圧を変化させたときにおける
力検出機構によって検出される探針と試料との間に働く
力のピーク31を求める手段67とを含むことを特徴と
する走査型表面局在相互作用分光器である。
【0037】また本発明は、試料面の前記各位置で力の
ピーク値が得られる印加電圧に対応して相互に異なる予
め定める表示状態を選択する表示状態選択手段と、2次
元表示面を有し、試料面の前記各位置に対応する表示面
の表示位置を、表示状態選択手段によって選択された表
示状態で表示する表示手段とを含むことを特徴とする。
【0038】また本発明は、表示状態選択手段は、試料
面の単一の前記位置で力の複数のピーク値が得られたと
き、複数のピーク値のうち、最大のピーク値が得られる
印加電圧に対応して表示状態を選択することを特徴とす
る。
【0039】また本発明は、表示状態選択手段は、力の
ピーク値が得られない試料面の前記位置もまた、予め定
める表示状態を選択し、表示手段は、力のピーク値が得
られない試料面の前記位置に対応する表示面の表示位置
を、表示状態選択手段によって選択された表示状態で表
示することを特徴とする。。
【0040】本発明に従えば、探針が形成されたカンチ
レバーと、カンチレバーの撓みを検出する力検出機構と
を有する装置を用い、探針と試料との間の距離を約1n
m以下の予め定める距離に設定し、試料と探針との間に
直流電圧を変化しつつ印加することができるので、探針
と試料との間に働く力のピーク値を求めることができ
る。このピーク値は、前述のように探針表面の電子エネ
ルギ準位と試料表面の原子または分子の電子エネルギ準
位とが一致したときに生じるので、これによって極微小
な表面局在相互作用分光を容易に、かつ高精度に行うこ
とが可能である。
【0041】また本発明に従えば、試料表面である1点
で相互作用分光を行い、力のピーク値に対応する印加電
圧を求め、得られた印加電圧値をメモリにストアしてセ
ーブし、試料面内で探針を移動させ、また相互作用分光
を行い、その印加電圧値をセーブし、それを繰返し、セ
ーブした各印加電圧に対応して予め定める表示状態、た
とえば色を選択し、選択した色で表示を行う。たとえ
ば、試料面内で、−1Vでピークを持った点を赤、−
0.5Vを青、ピークがなかった点は黒などとマッピン
グを行う。この場合、検出されたピークは1つであれば
その値、ピークが2つ以上ある場合は最大ピークとなる
印加電圧値を採用する。
【0042】本発明の実施の他の形態では、印加電圧に
対応して色を変化させる代りに単一色の階調を変化させ
るようにしてもよい。階調は、たとえば256であって
もよく、1024であってもよい。
【0043】本発明によれば、上述のように色を選択
し、または色の階調を変化するなどの表示状態を得られ
た印加電圧に対応して変化することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
ある表面局在相互作用分光装置の構成を示すブロック図
である。この装置は、試料1の表面2における電子エネ
ルギ準位を調べる相互作用分光と、電子エネルギ準位に
基づく試料1の表面2における原子または分子の同定
と、試料1の表面2における原子または分子の引き抜き
とを行うことができる。このために、本発明の実施の一
形態では、原子間力顕微鏡(AFM)3が準備される。
【0045】この原子間力顕微鏡3は、機械的発振回路
5を含み、機械的発信回路5はカンチレバー4を含む。
カンチレバーは4は、板バネ構造からなり、先端部にピ
ラミッド状の探針6が形成される。探針6は、試料1の
表面2に近接して、かつ対向して配置される。カンチレ
バー4の基端部は基体4aに取付けられ、基体4aの上
部には振動部材7が取付けられる。探針6、カンチレバ
ー4および基体4aは、カンチレバー組合せ体8を構成
する。このカンチレバー組合せ体8は、たとえば圧電素
子である振動部材7によって探針6が試料表面2に近接
離反する方向に、振動される。カンチレバー組合せ体8
は、カンチレバー4の固有振動数で発振して振動する。
カンチレバー4の表面には、ピエゾ抵抗膜が被覆されて
いる。カンチレバー4が撓むとき、ピエゾ抵抗膜はカン
チレバー4とともに変形し、その抵抗値を変化させる。
したがって、ピエゾ抵抗膜の抵抗値を測定すれば、その
変化からカンチレバー4の撓み量を検出することができ
る。カンチレバー4の撓み量は、カンチレバー撓み検出
機構9によって検出される。このカンチレバー撓み検出
機構9の出力は、振動制御手段13に与えられ、この振
動制御手段13の出力は、振動部材7に与えられ、こう
して正帰還ループの動作が行われ、発振動作が継続され
る。ピエゾ抵抗膜の抵抗値の変化は、たとえばブリッジ
などによって検出することができる。
【0046】探針6の少なくとも表面は、導電性材料か
ら成る。この探針6は、その全体が、シリコン、ガリウ
ムヒ素などの半導体から成ってもよく、または金属製で
あってもよい。さらにこの探針6は、窒化シリコンなど
の絶縁体の表面2に、導電性薄膜が形成されて、構成さ
れてもよい。探針6は、ボロンドープシリコンから成っ
てもよい。試料1と探針6などは、超高真空の雰囲気内
に配置され、その試料表面2の観察を正確に行うことが
できる。振動制御手段13からの振動駆動信号は、ライ
ン14を経て振動部材7に与えられ、これによって探針
6の振動振幅A0が、たとえば10nmp-pになり、カ
ンチレバー4の固有振動数に等しい周波数の振動が継続
される。試料1は、たとえばSi(111)結晶の7×
7単位胞の再構成表面構造を有してもよい。
【0047】試料1が取付けられた変位駆動手段17
は、変位制御手段22からの信号に応答し、試料1を探
針6に近接離反変位する図1の上下のz方向に変位し、
またxy走査手段18の出力に応答して、その試料1
を、図1の紙面に垂直なxy平面内でx方向およびy方
向に変位することができる。
【0048】試料1の表面2と探針6との間の距離L1
を、予め定める値に保つようにするために、カンチレバ
ー撓み検出機構9の出力は、周波数変化検出器19に与
えられる。周波数変化検出器19は、カンチレバー4の
実際の振動周波数と固有振動数との差、すなわちカンチ
レバー4の振動周波数の変化Δfを検出するとともに、
振動周波数の変化Δfを電圧に変換して、それを表す出
力を導出する。変位制御手段22には、周波数変化検出
器19の電圧と、距離設定手段63によって設定された
Z方向の予め定める距離L1を表す信号が与えられる。
変位制御手段22の出力は、変位駆動手段17に与えら
れる。こうして変位駆動手段17は、変位制御手段22
から与えられる信号に応答し、z方向に、距離L1が、
距離設定手段63で設定された予め定める値となるよう
に、試料1をz方向に駆動制御する。変位駆動手段1
7、変位制御手段22および距離設定手段63は、距離
制御手段を構成する。
【0049】周波数変化検出器19から変位制御手段2
2に与えられる電圧は、距離L1、したがって探針6と
試料表面2との間の引力に関係する。周波数変化検出器
19と変位制御手段22と距離設定手段63とは、距離
L1を距離設定手段63で設定した予め定める値に保つ
ための負帰還ループ64を構成する。負帰還ループ64
を作動した状態で、距離L1を、たとえば1nm以下
に、距離設定手段63によって設定した状態で、xy走
査手段18によって試料1を走査し、周波数変化検出器
19の出力によって、その試料1の表面2のトポグラフ
像を、原子尺度の空間分解能で、非接触で観察すること
ができる。
【0050】原子間力顕微鏡3は、マイクロコンピュー
タなどによって実現される処理回路67を含む。処理回
路67は、メモリ69を有し、XY走査手段18に制御
信号を出力するとともに、周波数変化検出器19の出力
に応答し、カンチレバー4の振動周波数の変化Δfに対
応する電圧を求める。
【0051】図2は、カンチレバー4付近の簡略化した
断面図である。振動部材7によって振動されるカンチレ
バー4の固有振動数は、たとえば240kHzであり、
カンチレバー4のばね定数は、たとえば20N/mであ
り、カンチレバー4の長さは、たとえば100〜200
μmである。周波数の変化Δfは、たとえば100〜1
50Hzであってもよい。
【0052】探針6と試料1との間には、電源回路26
から、直流電圧が印加される。電源回路26は、直流電
圧が連続的に可変でありしかもその極性もまた可変であ
る直流電源27と、この直流電源27の出力電圧を遮断
することができるスイッチ28とを含む。直流電源27
の極性は、試料1の表面2と探針6との間に化学結合力
による引力が作用するように定められる。この直流電源
27の電圧は、たとえば1〜10Vであってもよい。電
源回路26は、処理回路67によって制御される。
【0053】図3は、図1に示される原子間力顕微鏡3
を用いて試料表面2の原子または分子を同定する表面局
在相互作用分光法の手順を示すフローチャートである。
ステップa1では、変位駆動手段17によるz方向の距
離制御の負帰還ループ64を形成した状態とする。ステ
ップa2では、距離設定手段63を操作し、試料表面2
と探針6との間の距離L1を、約1nm以下の予め定め
る値に近接した状態とする。この状態で、距離L1は、
距離設定手段63によって設定した値に保たれる。これ
らのステップa1〜a2では、電源回路26のスイッチ
28は導通しており、印加電圧は一定値に設定されたま
まである。
【0054】次のステップa3では、直流電源27の出
力電圧Vを連続的に変化する。ステップa4では、この
印加電圧Vを変化したときにおけるカンチレバー4の周
波数変化Δfを検出する。すなわち、試料表面2と探針
6との間の引力に従って変化するカンチレバー4の周波
数変化Δfを印加電圧に対応して検出する。したがっ
て、周波数変化Δfのピークに対応する印加電圧を、換
言すれば引力が極大になる印加電圧を検出することがで
きる。
【0055】図4は、試料1と探針6との間の印加電圧
Vと、それに対応する引力との関係を示すグラフであ
る。印加電圧Vが零とは探針6と試料1とが同電位であ
ることを意味する。本件発明者によれば、この印加電圧
を変化することによって、印加電圧V1において、引力
のピーク31が得られる。引力のピークの個数は、1個
の場合が多いけれども、ピークが存在しない場合もあ
る。また、まれに複数の場合もある。引力のピーク31
が存在する滑らかに弯曲した曲線34は、試料表面2と
探針6との間に主として作用する静電引力を示す。
【0056】図5は、試料表面2と探針6との間の距離
L1と、それに対応する試料1と探針6との間に相互に
作用する引力および斥力との関係を示す図である。試料
1と探針6との間には、化学結合力とファンデルワール
ス力と静電引力との合力が働いている。この合力は、距
離L1が小さい領域で引力のピークを示す。本発明で
は、このような化学結合力が大きい距離L1の範囲内
で、印加電圧Vを変化し、図4に示される引力のピーク
31が得られる印加電圧V1を測定する。
【0057】図6は、図4および図5のグラフを組合せ
ることによって、印加電圧Vと距離L1と、それらに対
応する試料表面2と探針6との間に相互に作用する引力
および斥力との関係を3次元で示すグラフである。距離
L1が前述のように約1nm以下の範囲では、化学結合
力によって、印加電圧に起因した引力のピーク31が得
られる。これに対して距離L1が、約1nmを超える範
囲、たとえば距離L1が10nmでは、化学結合力がほ
とんど零であり、印加電圧Vを変化しても、引力のピー
ク値は得られない。
【0058】図7は、本件発明者による化学結合力を説
明するための電子エネルギ準位を示す図である。図7
(1)は、図2に示される電源回路26を省略し、試料
1と探針6とを導線で接続したときにおけるエネルギ準
位を示す。試料表面2の電子エネルギ準位41と、探針
6の表面の電子エネルギ準位42とは、それらの材料お
よび形状などによって、異なっている。この状態では、
電子エネルギ準位41,42は大きく異なるので、相互
に作用する化学結合力は生じない。参照符EFは、フェ
ルミ準位を示し、エネルギ準位の上から下に伝導帯43
と、禁止帯44と、充満帯45とが存在する。図中にお
ける白抜きの表面電子エネルギ準位は、空の電子エネル
ギ準位であることを示しており、図中の黒く塗りつぶし
た電子エネルギ準位は、充満した電子エネルギ準位であ
ることを示している。
【0059】図7(2)に示されるように、電源回路2
6の直流電源27による印加電圧を変化し、前述の図4
に示される印加電圧、たとえばV1が試料1と探針6と
の間に印加されるとき、試料1の表面2の充満した電子
エネルギ準位41と探針6の表面の空の電子エネルギ準
位42とが一致し、相互の化学結合力のピーク31が得
られる。このときトンネル電流が流れる。
【0060】電源回路26による印加電圧を、図7
(2)の状態に比べて、さらに上昇すると、図7(3)
に示されるように、試料1の表面2の電子エネルギ準位
41と探針6の表面の電子エネルギ準位42とは、一致
しなくなり、化学結合力が生じなくなる。こうして試料
1の表面2と探針6の表面とにおける電子エネルギ準位
が、印加電圧によって一致することによって、引力のピ
ークが得られる。この引力のピークが得られる印加電圧
V1は、探針6が同一であれば同一の値が得られる。前
述の図4において、探針6が同一であって、複数の試料
1が同一の材料から成るとき、引力のピーク31が得ら
れるときにおける印加電圧V1は、各試料1毎の原子ま
たは分子が同一であり、その結合状態も同じであれば、
同一の値が得られる。このような現象を利用して、試料
1の表面2の原子または分子を同定することができる。
【0061】図8は、試料1の表面2の原子または分子
を同定するための手段を説明するためのフローチャート
である。ステップb1では、第1試料1を用いて、前述
と同様にして印加電圧V1に対応する引力のピーク31
を検出して第1検出結果を得る。この第1試料1は、予
め定める基準となる試料であって、既知の元素からな
り、原子の結合状態も既知である。
【0062】次にステップb2では、表面の原子または
分子を同定すべき第2試料を用いて、前述のステップb
1において用いた探針6と同一探針を用い、印加電圧V
1に対応する引力のピーク31を検出して第2検出結果
を得る。第1および第2検出結果はメモリ69にストア
される。
【0063】ステップb3では、原子または分子の同定
が行われる。これは第1および第2検出結果によって得
られた印加電圧V1をそれぞれ比較し、両者がそれぞれ
同一のとき、第1試料1の表面2の原子または分子と第
2試料の原子または分子とが同一であることが同定され
る。こうして第1および第2試料における引力のピーク
31が得られる印加電圧V1を用いて、第2試料の原子
または分子を、第1試料の原子または分子と同一である
ものと同定することが可能になる。本発明の表面局在相
互作用分光法および同定方法は、試料表面に存在する1
つ1つの原子または分子に局在する電子のエネルギを測
定するものである。したがって、第1および第2試料は
このように全く別の試料であってもよいが、同一試料表
面上の別の領域の原子や分子であってもよい。
【0064】図9は、本発明の実施の他の形態における
試料1の表面2から希望する種類の原子または分子を引
き抜く本発明の実施の他の形態の手順を示すフローチャ
ートである。この引き抜きのために、図1〜図7に関連
して前述した本発明の実施の一形態が、そのまま実行さ
れる。
【0065】図10は、図9に示される試料1の表面2
から原子または分子が原子または分子を選択的に引き抜
く動作を簡略化して示す断面図である。図9のステップ
c1では、図10(1)に示されるように試料1の表面
2と探針6との間の距離L11が、前述の実施例に関連
して述べたように約1nm以下に近接された状態で、電
源回路26によって印加電圧が変化され、引力のピーク
31が検出される。このようなステップc1の動作は、
前述の図3によって達成される。図10(1)では、探
針6の表面2に最も近接した原子が、参照符51で示さ
れており、この原子51に対向する試料1の表面2の原
子は、参照符53で示される。これらの原子51,53
の引力が、距離L11の保持状態で、ピーク値が得られ
るように、印加電圧が与えられたままとなっている。た
とえば原子51,53間の引力が、図4のピーク31の
ように得られるときにおける印加電圧V1が保たれた状
態とする。
【0066】そこで次にステップc2に移り、変位駆動
手段17によって試料1をz方向に上昇し、図10
(1)に示される原子51,53間の距離L11を、一
旦、さらに短い距離L12に近接する。このような短い
距離L12に近接することによって、図10(2)に示
されるように、探針6の原子51に、試料1の表面2の
原子53が大きな化学結合力で付着する。距離L12
は、たとえば約0.2〜0.3nmであり、図10
(1)の距離L11は、約1nm以下であって、L11
>L12である。このように探針6の原子51が、試料
1の原子53およびその付近の他の原子54〜57など
とともに化学結合力を生じている状態で、この原子51
がその直下に存在する原子53に、さらに距離L12に
近接されることによって、原子51は、その直下に存在
する原子53との引力が、周辺のその他の原子54〜5
7との引力よりも充分に大きくなり、原子53のみがそ
の化学結合力によって図10(2)に示されるように原
子51に付着する。
【0067】そこでステップc3では、変位駆動手段1
7によって試料1をz方向に下降し、図10(3)に示
されるように、探針6と試料1の表面2との間の距離を
増大し、探針6を試料1の表面2から離間変位する。こ
うして原子51に原子53が化学結合力で付着した状態
で、表面2から原子53を引き抜くことができるように
なる。
【0068】再び図1を参照して、処理手段67には、
表示状態選択手段が備えられ、この処理手段67には表
示手段75が接続される。表示状態選択手段は、試料面
2の前記各位置で、力のピーク値が得られる印加電圧に
対応して相互に異なる予め定める表示状態、本実施の形
態では色を選択する。試料面の単一の前記位置で力の複
数のピーク値が得られるとき、複数のピーク値のうち、
最大のピーク値が得られる印加電圧に対応して色を選択
する。この表示状態選択手段は、力のピーク値が得られ
ない試料面の前記位置においてもまた、予め定める色を
選択する。
【0069】表示手段75は、2次元表示画面を有し、
試料面の前記各位置に対応する表示画面の表示位置を、
表示状態選択手段によって選択された色で表示する。こ
の表示手段75はまた、力のピーク値が得られない試料
面の前記位置に対応する表示画面の表示位置を、表示状
態選択手段によって選択された色で表示する。処理手段
67はメモリ69に、試料面2のXY座標位置と、力の
ピーク値が得られる印加電圧と、その印加電圧をレベル
弁別して選択された色を表すデータをストアするととも
に、複数の力のピーク値が得られたとき、その最大のピ
ーク値が得られる印加電圧とその電圧に対応した色のデ
ータをストアするとともに、力のピーク値が得られない
データもまたストアされる。これによって、試料表面の
原子または分子の分布状態を表示画面から容易に知るこ
とができる。
【0070】本発明の実施の他の形態では、表示状態と
して印加電圧に対応して色を変化させる代りに単一色の
階調を変化させるようにしてもよい。単一色の階調の変
化は、たとえばグレースケールの256階調のグラデー
ションで表示手段に表示される。この場合、電圧範囲が
−10〜10Vであれば、0.078V毎にグラデーシ
ョンの色合いが変化する。階調は1024であってもよ
く、それ以上の細かい階調であってもよい。
【0071】図11は、本発明の実施のさらに他の形態
の断面図である。この実施の形態は、前述の実施の形態
に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。特に
この実施の形態では、カンチレバー4は、振動されてお
らず、このカンチレバー4の撓み変形量は、前述の実施
の形態と同様にカンチレバー撓み検出機構70によって
ピエゾ抵抗膜の抵抗値に基づいて検出される。探針6に
対向する表面2を有する試料1は、図1の上下のz方向
に、変位駆動手段17によって変位され、この変位量
は、変位制御手段59によって調整して設定することが
できる。本発明では、このようにカンチレバー4が振動
されない構成を有する装置を用いてもまた、試料1の表
面2と探針6との間に相互に作用する引力を、カンチレ
バー4の撓み変位量によって検出することができる。こ
れによって本発明の表面局在相互作用分光法および同定
方法を実施することができ、また試料1の表面2からの
原子または分子の引き抜き動作を行うことができる。本
実施の形態のその他の構成は前述の実施の形態と同一で
ある。
【0072】上述の実施の各形態では、探針6のz方向
の位置が一定であって、試料1が変位駆動手段17によ
ってz方向に変位するように構成されているけれども、
本発明の実施の他の形態では、試料1が固定位置に設け
られ、探針6がz方向に変位するように構成されてもよ
く、さらに試料1と探針6との両者がz方向に変位され
るように構成されてもよい。
【0073】
【発明の効果】請求項1の本発明によれば、原子尺度の
空間分解能で、探針と試料表面との間の相互作用力であ
る化学結合力を、直流電圧の印加によって制御すること
ができるようになり、これによって試料表面に存在する
1つ1つの原子または分子に局在する化学結合に関係す
る電子のエネルギを高精度で測定することができるよう
になる。
【0074】請求項2の本発明によれば、カンチレバー
の先端に形成された探針と、それに対向する試料との間
に働く引力を、直流電圧を変化して印加しながら、力検
出機構によって検出し、こうして試料表面に存在する1
つ1つの原子または分子に局在する化学結合に関係する
電子のエネルギを測定することができるようになる。
【0075】請求項3の本発明によれば、原子間力顕微
鏡を用いて、探針と試料表面との間の距離を、約1nm
以下の予め定める距離に設定し、そこで、この距離を保
ったままで、探針と試料表面との間に直流電圧を変化し
つつ印加し、探針と試料表面との間の引力に従って変化
するカンチレバーの周波数変化Δfを検出するので、カ
ンチレバーの周波数変化Δfが極大になる印加電圧、す
なわち引力が極大になる印加電圧を高精度で検出するこ
とができる。
【0076】請求項4の本発明によれば、探針の表面の
電子のエネルギに対する引力のピーク値が得られる第1
の印加電圧を検出した第1検出結果と、それと同じ探針
を用いたときにおけるその探針に対する第2試料の引力
のピーク値が得られる第2の印加電圧を検出した第2検
出結果とを比較することによって、第2試料の表面の原
子または分子の同定を行うことができる。第1試料と第
2試料というのは、全く別の試料であってもよいが、同
一試料表面上の別の検出領域の原子や分子であってもよ
い。
【0077】請求項5の本発明によれば、探針と試料と
の間に印加する印加電圧を変化して、化学結合力による
引力のピーク値が得られた状態で、探針と試料とを、一
旦、さらに近接し、これによってほぼ最大の化学結合力
が作用する状態とし、その後に、探針と試料とを、相互
に遠去かるように離間変位し、こうして試料表面の特定
の原子または分子を、探針に付着して引き抜くことがで
きるようになる。これによって従来無い機能を発現する
可能性のある極微デバイスを容易に組立てることができ
るようになる。
【0078】請求項6の本発明によれば、試料表面の原
子または分子の引き抜きのために、カンチレバーの先端
に形成された探針と、それに対向する試料との間に働く
引力を、直流電圧の変化に対応して検出し、原子または
分子の引き抜き作業を行い、従来無い機能を発現する可
能性のある極微デバイスを組み立てることが容易に可能
になる。
【0079】請求項7の本発明によれば、極微小な表面
局在相互作用分光を容易に、かつ高精度に行うことがで
きる。
【0080】請求項8の本発明によれば、試料表面の電
子のエネルギー準位を前記印加電圧に対応した表示状
態、たとえば色で、表示手段の表示画面に表示し、これ
によって試料表面の原子または分子の分布の状態を知る
ことが容易である。
【0081】請求項9の本発明によれば、試料面の同一
位置で、印加電圧を変化したとき、力のピーク値が複
数、得られたとき、それらのピーク値のうち、最大のピ
ーク値が得られる印加電圧に対応して表示状態、たとえ
ば色を選択し、化学結合力が最大である試料面の状態を
知ることができる。
【0082】請求項10の本発明によれば、たとえば印
加電圧が測定範囲から大きくずれているとき、力のピー
ク値が得られる印加電圧を測定することができず、この
ような情報が、表示画面に表示状態、たとえば色によっ
て表示され、原子または分子の状態を把握することが容
易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である表面局在相互作用
分光装置の構成を示すブロック図である。
【図2】カンチレバー4付近の簡略化した断面図であ
る。
【図3】図1に示される原子間力顕微鏡3を用いて試料
表面2の原子または分子を同定する表面局在相互作用分
光法の手順を示すフローチャートである。
【図4】試料1と探針6との間の印加電圧と、それに対
応する引力との関係を示すグラフである。
【図5】試料表面2と探針6との間の距離L1と、それ
に対応する試料1と探針6との間に相互に作用する引力
および斥力との関係を示す図である。
【図6】図4および図5のグラフを組合せることによっ
て、印加電圧Vと距離L1と、それらに対応する試料表
面2と探針6との間に相互に作用する引力および斥力と
の関係を示すグラフである。
【図7】本件発明者による化学結合力を説明するための
電子エネルギ準位を示す図である。
【図8】試料1の表面2の原子または分子を同定するた
めの動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施の他の形態における試料1の表面
2から希望する種類の原子または分子を引き抜く本発明
の実施の他の形態の手順を示すフローチャートである。
【図10】図9に示される試料1の表面2から原子また
は分子が原子または分子を選択的に引き抜く動作を簡略
化して示す断面図である。
【図11】本発明の実施のさらに他の形態の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 試料 2 表面 3 原子間力顕微鏡 4 カンチレバー 6 探針 7 振動部材 9,70 カンチレバー撓み検出機構 13 振動制御手段 17 変位駆動手段 19 周波数変化検出器 22,59 変位制御手段 28 スイッチ 26 電源回路 27 直流電源 63 距離設定手段 67 処理回路 69 メモリ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 探針と試料表面との間の距離を、約1n
    m以下に近接した状態で、 探針と試料との間に直流電圧を変化しつつ印加し、 探針と試料との間に作用する引力を、印加電圧に対応し
    て検出することを特徴とする表面局在相互作用分光法。
  2. 【請求項2】 微小なカンチレバーの先端に探針が形成
    され、探針とそれに対向する試料との間に働く引力を測
    定するため前記カンチレバーの撓みを検出する力検出機
    構を持つ装置を準備し、 この装置を用いて、探針と試料との間の距離を、予め定
    める距離に設定し、 この予め定める距離を設定した後に、その予め定める距
    離を保った状態とし、 探針と試料との間に、直流電圧を変化しつつ印加し、 探針と試料間に働く引力を検出することを特徴とする請
    求項1記載の表面局在相互作用分光法。
  3. 【請求項3】 前記装置は、原子間力顕微鏡であり、 この原子間力顕微鏡は、 試料に対向して配置される探針が形成された微小なカン
    チレバーと、 カンチレバーの撓みを検出する機構と、 カンチレバーに振動を与えるように配置させた振動部材
    と、 カンチレバーの共振周波数で振動するように、振動部材
    を駆動する振動制御手段と、 探針に力が作用したとき、カンチレバーの共振周波数の
    変化Δfを検出してその周波数変化Δfを電圧に変換す
    る手段と、 カンチレバーの共振周波数の変化Δfに対応した電圧が
    予め定める値に保たれるように、探針と試料との間の距
    離を制御する手段とを含み、 この原子間力顕微鏡を用いて、探針と試料表面との間の
    距離を、予め定める距離に設定し、 この予め定める距離を設定した後に、前記予め定める距
    離を保った状態とし、 探針と試料との間に、直流電圧を変化しつつ印加し、探
    針と試料との間に働く引力に従って変化するカンチレバ
    ーの振動周波数の固有振動数からの周波数変化Δfを検
    出することを特徴とする請求項2記載の表面局在相互作
    用分光法。
  4. 【請求項4】 予め定める基準となる第1試料を用い
    て、探針とその探針に対向する第1試料との間の前記印
    加電圧に対応する前記引力のピーク値が得られる第1の
    印加電圧を検出した第1検出結果と、 同定すべき原子または分子を含む第2試料と、第1検出
    結果を得たときに用いられる同一の探針とを用いて、前
    記探針とその探針に対向する第2試料との間の印加電圧
    に対応する前記引力のピーク値が得られる第2の印加電
    圧を検出した第2検出結果とを得、 第1検出結果と第2検出結果とを比較して第2試料の原
    子または分子を同定することを特徴とする原子または分
    子の同定方法。
  5. 【請求項5】 探針と試料表面との間の距離を、約1n
    m以下に近接した状態で、 探針と試料との間に、直流電圧を変化しつつ印加し、 探針と試料との間に作用する引力を、印加電圧に対応し
    て検出し、 引力のピーク値が得られる印加電圧を保ったままで、探
    針と試料とを、一旦、さらに近接し、その後に、離間変
    位することを特徴とする原子または分子の引き抜き方
    法。
  6. 【請求項6】 微小なカンチレバーの先端に探針が形成
    され、探針とそれに対向する試料との間に働く力を測定
    するため前記カンチレバーの撓みを検出する力検出機構
    を持つ装置を準備し、 この装置を用いて、探針と試料との間の距離を、予め定
    める距離に設定し、 この予め定める距離を設定した後に、その予め定める距
    離を保った状態とし、探針と試料との間に、直流電圧を
    変化しつつ印加し、 探針と試料間に働く引力を検出することを特徴とする請
    求項5記載の原子または分子の引き抜き方法。
  7. 【請求項7】 微小なカンチレバーの先端に探針が形成
    され、探針とそれに対向する試料との間に働く引力を測
    定するため前記カンチレバーの撓みを検出する力検出機
    構を持つ装置と、 試料面内で探針を試料と相対的に移動して走査する走査
    手段18と、 力検出機構の出力に応答し、探針と試料との間の距離
    を、約1nm以下の予め定める距離に制御する手段1
    7,22,63と、 試料と探針との間に直流電圧を変化しつつ印加する手段
    26と、 走査手段18によって探針が試料と相対的に移動された
    試料面の各位置で、探針と試料との間の距離を、前記予
    め定める距離に保った状態で、前記電圧印加手段26に
    よって印加電圧を変化させたときにおける力検出機構に
    よって検出される探針と試料との間に働く力のピーク3
    1を求める手段67とを含むことを特徴とする走査型表
    面局在相互作用分光器。
  8. 【請求項8】 試料面の前記各位置で力のピーク値が得
    られる印加電圧に対応して相互に異なる予め定める表示
    状態を選択する表示状態選択手段と、 2次元表示面を有し、試料面の前記各位置に対応する表
    示面の表示位置を、表示状態選択手段によって選択され
    た表示状態で表示する表示手段とを含むことを特徴とす
    る請求項7記載の走査型表面局在相互作用分光器。
  9. 【請求項9】 表示状態選択手段は、 試料面の単一の前記位置で力の複数のピーク値が得られ
    たとき、複数のピーク値のうち、最大のピーク値が得ら
    れる印加電圧に対応して表示状態を選択することを特徴
    とする請求項8記載の走査型表面局在相互作用分光器。
  10. 【請求項10】 表示状態選択手段は、 力のピーク値が得られない試料面の前記位置もまた、予
    め定める表示状態を選択し、 表示手段は、力のピーク値が得られない試料面の前記位
    置に対応する表示面の表示位置を、表示状態選択手段に
    よって選択された表示状態で表示することを特徴とする
    請求項8または9記載の走査型表面局在相互作用分光
    器。
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