JPH1072546A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物Info
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- JPH1072546A JPH1072546A JP16850997A JP16850997A JPH1072546A JP H1072546 A JPH1072546 A JP H1072546A JP 16850997 A JP16850997 A JP 16850997A JP 16850997 A JP16850997 A JP 16850997A JP H1072546 A JPH1072546 A JP H1072546A
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Abstract
が改善された熱可塑性樹脂組成物を得る。 【解決手段】 熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリブチ
レンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂
と、(B)ABS樹脂などのゴム変性スチレン系樹脂
と、(C)(c-1)オレフィン系重合体フラグメントおよ
び(c-2)ビニル系重合体フラグメントで構成されたオ
レフィン系共重合体と、(D)少なくとも一つの分岐鎖
を有するC16-30脂肪酸及び/又はアルコールから得ら
れる分岐状エステルとで構成されている。この熱可塑性
樹脂組成物は、(E)無機充填剤、(F)難燃剤、(G)
無機系難燃助剤などを含有してもよい。前記熱可塑性樹
脂組成物は、摺動部材などの成形品を得る上で有用であ
る。
Description
ベルに維持したまま、摺動特性、摩擦・摩耗特性を改善
できる熱可塑性樹脂組成物およびその成形品に関する。
ば、ポリアルキレンテレフタレート樹脂など)は機械的
性質、電気的性質、その他の物理的・化学的特性に優
れ、かつ加工性が良好であるため、エンジニアリングプ
ラスチックとして自動車、電気・電子部品などの広汎な
用途に使用されている。このような結晶性熱可塑性ポリ
エステル樹脂は、単独でも種々の成形品に利用可能であ
るが、利用分野によっては、その性質、特に機械的性質
を改善するため、種々の強化剤や添加剤を添加して成形
に供されている。そして、高い機械的強度、剛性が要求
される分野においては、ガラス繊維、カーボン繊維など
に代表される繊維状強化剤が用いられている。また、高
い寸法安定性および平面性を付与するため、スチレン−
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)
などの非晶性ポリマーをポリエステル樹脂に添加するこ
とも行われている。
性は、次第に高度化しつつあり、その一例として、摺動
特性の一層の向上が望まれている。特に前記繊維強化剤
を含む組成物、非晶性ポリマーを含む組成物は、優れた
機械特性・寸法安定性を示すものの、金属又は樹脂と摺
動した場合、自材および相手材(相手材が樹脂の場合)
のいずれもが摩耗し、かつ軋み音が発生し、摺動特性を
低下させる。特にポリエステルにABS樹脂などの非晶
性ポリマーを添加すると、得られた成形品は、ポリエス
テル単独の成形品に比べて、樹脂との摩耗性が悪く、自
材の摩耗が大きくなり、摩耗粉が飛散する。
来、摺動部位にグリースを塗布することが多いが、長期
間の使用でグリース切れを起こし、性能が低下する場合
もある。例えば、高い精度が要求される記録情報媒体
(例えば、コンパクトディスク(CD)−リードオンリ
ーメモリ(ROM)などの高精度な機器)では、CDに
グリースが付着し、読みとりエラーを発生することがあ
り、摺動性の改善は重要な課題である。摺動特性の改善
には、従来、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)
パウダーや黒鉛などの摺動改良剤を配合した組成物が提
案されている。これらの組成物は、摩擦係数に若干の改
善が認められるものの、摩耗特性は改善されず、むしろ
悪化する傾向にある。また、低摩擦係数を達成するため
には、摺動改良剤の多量の添加が必要となり、機械的強
度、靭性などの機械的性質が低下する問題があり、更に
改良が切望されている。
耗特性を改善するとともに、摺動音の発生を抑制するた
め、ポリブチレンテレフタレート又はポリエチレンテレ
フタレートと、ABS樹脂などのグラフト共重合体と、
無機充填剤とを含む樹脂組成物で成形された摺動部品が
開示されている。特開平7−150022号公報には、
結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂と、オレフィン系重合
体フラグメント及びビニル系重合体フラグメントで構成
されたオレフィン系共重合体と、炭素数12以上の脂肪
酸から得られる脂肪酸エステルとを含む、摺動性良好な
ポリエステル樹脂組成物が開示されている。しかし、こ
れらの樹脂組成物でも、機械特性を高いレベルに維持し
つつ、摩擦・摩耗特性を大幅に改善することが困難な場
合がある。
は、高い機械特性を維持しつつ、摩擦・摩耗特性が改善
された熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた成形品を
提供することにある。本発明の他の目的は、連続往復摺
動時の摩擦係数が低く、自材および相手材の摩耗を抑制
でき、安定した摺動特性を有する熱可塑性樹脂組成物お
よび成形品を提供することにある。
強度および高い寸法安定性などを維持しつつ、摺動性を
改善するため鋭意検討の結果、ポリエステル樹脂/非晶
性ポリマーブレンド系に、特定のポリオレフィン系共重
合体と特定の分岐状エステルとを組合わせて添加するこ
とにより、初期摺動トルクを改善できるとともに、摩擦
係数および摩耗特性を大幅に改善できることを見いだ
し、本発明に到達した。すなわち、本発明の熱可塑性樹
脂組成物は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、(B)
ゴム変性スチレン系樹脂と、(C)(c-1)オレフィン系
重合体フラグメントおよび(c-2)少なくとも一種のビ
ニル系重合体フラグメントで構成されたオレフィン系共
重合体と、(D)少なくとも一つの分岐鎖を有する脂肪
酸及び/又は少なくとも一つの分岐鎖を有するアルコー
ルから得られる分岐状エステルとで構成されている。こ
の熱可塑性樹脂組成物は、(E)無機充填剤、(F)難燃
剤、(G)無機系難燃助剤などを含有してもよい。前記
熱可塑性樹脂組成物は、摺動部材などの成形品を得る上
で有用である。
成する成分について詳しく説明する。 [(A)熱可塑性ポリエステル樹脂]熱可塑性ポリエス
テル樹脂(A)はジカルボン酸成分とジヒドロキシ成分
との重縮合、オキシカルボン酸成分の重縮合、又はこれ
ら三成分の重縮合などにより得ることができ、ホモポリ
エステル、コポリエステルのいずれであってもよい。
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸など)、
ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボ
ン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエタ
ンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸又はその誘導
体、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボ
ン酸又はその誘導体、アジピン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸などの脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体などが
例示できる。前記誘導体は、エステル形成可能な誘導
体、例えば、ジメチルエステルなどの低級アルキルエス
テル、酸無水物、酸クロライドなどの酸ハライドであっ
てもよい。これらのジカルボン酸成分は単独で又は二種
以上組合わせて使用できる。好ましいジカルボン酸成分
は、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香
族ジカルボン酸である。
シ成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブ
タンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオ
ールなどの脂肪族アルキレンジオール、シクロヘキサン
ジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジ
オール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシフ
ェニル、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニル
エーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン(ビスフェノールA)、ビスフェノールAに対し
てアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイドなどのC2-4 アルキレンオキサイド)が
付加した付加体(ジエトキシ化ビスフェノールAなど)
などの芳香族ジオール、ポリオキシアルキレングリコー
ル(例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキ
シプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテル
グリコールなど)などが例示できる。これらのジヒドロ
キシ成分はエステル形成可能な誘導体、例えば、アルキ
ル基、アルコキシ基又はハロゲン置換体などであっても
よい。これらのジヒドロキシ成分は単独で又は二種以上
組合わせて使用できる。好ましいジヒドロキシ成分とし
ては、アルキレンジオール(特にC2-4 アルキレンジオ
ール)、脂環族ジオールを用いる場合が多い。
安息香酸、オキシナフトエ酸、ジフェニレンオキシカル
ボン酸などのオキシカルボン酸、およびこれらの誘導体
が例示でき、誘導体には、前記ジカルボン酸成分および
ジヒドロキシ成分に対応する誘導体が含まれる。これら
の化合物も一種又は二種以上使用できる。さらに、前記
成分の他に、多官能性モノマー、例えば、トリメリット
酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン
酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトールなどの多価アルコールを少量併用してもよ
い。このような多官能性モノマーの使用により生成する
分岐又は架橋構造を有するポリエステルも使用できる。
より生成する結晶性熱可塑性ポリエステルは、単独で又
は二種以上組み合わせて、熱可塑性樹脂組成物において
基体樹脂として使用される。前記ポリエステル樹脂は、
非結晶性であってもよいが結晶性であるのが好ましい。
好ましいポリエステル樹脂は、ポリアルキレンアリーレ
ート単位(例えば、ポリアルキレンテレフタレート単位
やポリアルキレンナフタレート単位)を少なくとも60
重量%以上含有する結晶性ポリエステル樹脂で構成され
ている。すなわち、ポリエステル樹脂は、(i)ポリア
ルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアルキレ
ンナフタレート(ポリエチレンナフタレート、ポリブチ
レンナフタレートなど)、(ii)ポリアルキレンテレフ
タレート単位又はポリアルキレンナフタレート単位を6
0重量%以上(例えば、60〜98重量%程度)含有す
る共重合体、(iii)ポリアルキレンテレフタレート又
はポリアルキレンナフタレートを主成分(例えば、60
〜95重量%)とするポリエステル系樹脂組成物で構成
できる。特に、ポリブチレンテレフタレート、又はポリ
ブチレンテレフタレート単位を有するコポリエステル
(例えば、60〜98重量%のポリブチレンテレフタレ
ート単位を有するポリアルキレンテレフタレートやポリ
アルキレンナフタレートなどのコポリエステル)や、ポ
リブチレンテレフタレートを含むポリエステル系樹脂組
成物(例えば、60〜95重量%のポリブチレンテレフ
タレートを含むポリアルキレンテレフタレート組成物や
ポリアルキレンナフタレート組成物などのポリエステル
系樹脂組成物)が好ましい。
性スチレン系樹脂(B)は、ゴム成分に、少なくとも芳
香族ビニル単量体(特に芳香族ビニル単量体およびシア
ン化ビニル単量体)がグラフト重合したグラフト共重合
体であり、非結晶性のゴム状重合体である場合が多い。
ゴム成分としては、共役ジエン系ゴム(ポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−プ
ロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体
など)、エチレン−プロピレンゴム(EPDMゴム)、
アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化
ポリエチレンなどのハロゲン化ポリオレフィンなどが例
示でき、水素添加物であってもよい。これらのゴム成分
は単独で又は二種以上組合わせて使用できる。好ましい
ゴム成分としては、共役ジエン系ゴムを用いる場合が多
い。なお、共役ジエン系ゴムなどのゴム成分において、
ゲル含有量は何ら制限されない。また、ゴム成分は、乳
化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合などの方法で製
造できる。
チレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、t−ブ
チルスチレン、ジメチルスチレン(ビニルトルエン)、
クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、
ジブロモスチレンなどが挙げられる。これらの芳香族ビ
ニル単量体は、単独で又は二種以上組合わせて使用でき
る。好ましい芳香族ビニル単量体には、スチレン、α−
メチルスチレンなどが含まれる。
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどで例示でき
る。これらのシアン化ビニル単量体も単独で又は二種以
上使用できる。好ましいシアン化ビニル単量体はアクリ
ロニトリルである。
ニル単量体は、他の共重合性単量体と併用してもよい。
共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸
エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、
(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘ
キシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリ
ル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C
1-18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ルなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、グ
リシジル(メタ)アクリレートなど]、カルボキシル基
含有単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸
などの不飽和モノカルボン酸、無水マレイン酸、マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸などの脂肪族不飽和ジカル
ボン酸、マレイン酸モノエステル(マレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マ
レイン酸モノ2−エチルヘキシルなどのマレイン酸モノ
C1-10アルキルエステル)やこれらに対応するフマル酸
モノエステルなどの不飽和ジカルボン酸モノエステルな
ど]、マレイミド系単量体[例えば、マレイミド、N−
メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなど]が挙
げられる。これらの共重合性単量体は単独で又は二種以
上組合わせて使用できる。好ましい共重合性単量体に
は、(メタ)アクリル酸エステル(特にメチルメタクリ
レート)、マレイミド系単量体(特にN−フェニルマレ
イミド)、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などが
含まれる。
単量体および共重合性単量体の割合は、少なくとも芳香
族ビニル単量体(特に芳香族ビニル単量体およびシアン
化ビニル単量体)を含む限り特に制限されず、例えば、
芳香族ビニル単量体/シアン化ビニル単量体=10/9
0〜90/10(重量%)、好ましくは20/80〜8
0/20(重量%)、特に30/70〜70/30(重
量%)程度である。また、芳香族ビニル系単量体と共重
合性単量体との割合は、例えば、芳香族ビニル系単量体
/共重合性単量体=10/90〜100/0(重量
%)、特に30/70〜70/30(重量%)程度であ
る。
との割合は特に制限はないが、ゴム成分/単量体=10
/90〜75/25(重量%)、好ましくは10/90
〜50/50(重量%)、特に10/90〜40/60
(重量%)程度である。ゴム成分の含有量が10重量%
未満では樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、75重量%を
越えると成形品にフローマークなどが生成しやすく外観
を損ないやすいだけでなく、(A)成分との親和性も低
下しやすくなる。これらのゴム変性スチレン系樹脂(グ
ラフト重合体)(B)は単独で又は二種以上を混合して
使用できる。好ましいグラフト重合体としては、例え
ば、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体
(ABS樹脂)、スチレン−アクリロニトリル−エチレ
ン共重合体、スチレン系ブロックコポリマー(例えば、
スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)共重合体、
スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)共重合体、
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体な
ど)、スチレン−アクリロニトリル−エチレン−プロピ
レン−エチリデンノルボルネン共重合体(AES)、お
よびこれらの水添物などが挙げられる。特に好ましいグ
ラフト重合体には、スチレン−アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体(ABS樹脂)、スチレン−アクリロニ
トリル−エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネ
ン共重合体(AES)およびこれらの水添物が含まれ
る。
重合体(B)との割合は、広い範囲で選択でき、例え
ば、(A)成分/(B)成分=95/5〜30/70重
量%、好ましくは90/10〜40/60重量%程度で
ある。
特色は、(C)オレフィン系共重合体と(D)分岐状エ
ステルとで構成された摺動性改善剤を、前記(A)成分
及び(B)成分で構成されたポリエステル系樹脂組成物
に添加する点にある。(C)オレフィン系共重合体は、
(c-1)オレフィン系重合体と、(c-2)少なくとも一種
のビニル系重合体とが、分岐又は架橋構造的に化学結合
したグラフト又はブロック共重合体である。(C)成分
の主鎖部分は(c-1)オレフィン系重合体で構成される
場合が多く、(c-1)オレフィン系重合体としては、ポ
リエチレン(低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレ
ン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高
密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン、ポリブテンな
どのポリα−オレフィンの単独重合体、ポリブタジエン
の水添物、およびこれらを主成分とする共重合体が挙げ
られる。前記共重合体としては、例えば、エチレン−プ
ロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エ
チレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体などが挙げられる。これらのオレフィン系重合体のう
ち、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン−プロ
ピレン共重合体が好ましい。
ル系単量体、例えば、アクリル系単量体((メタ)アク
リル酸エステル,(メタ)アクリロニトリルなど)、ビ
ニルエステル系単量体(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ルなど)、スチレン系単量体(スチレン、α−メチルス
チレンなど)などから選択された少くとも一種の単量体
の単独又は共重合体として構成される。好ましい単量体
にはアクリル系単量体およびスチレン系単量体から選択
された少くとも一種が含まれる。ビニル系重合体(c-
2)としては、例えば、アクリル系ポリマー(例えば、
ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポ
リメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリア
クリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル−アクリ
ル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸
ブチル共重合体などの(メタ)アクリル酸C1-18アルキ
ルエステルの単独又は共重合体)、芳香族ビニル重合体
(ポリスチレンなど)、ポリアクリロニトリル、アクリ
ロニトリル−芳香族ビニル共重合体(例えば、アクリロ
ニトリル−スチレン共重合体など)、(メタ)アクリル
酸エステル−スチレン共重合体(例えば、メタクリル酸
メチル−スチレン共重合体、アクリル酸エチル−スチレ
ン共重合体、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体な
ど)などが挙げられる。好ましいビニル系重合体(c-
2)には、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例えば、
ポリメタクリル酸メチル)、スチレン含有重合体(例え
ば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリスチレ
ンなど)が含まれる。
徴は、互いに性質の異なる前記(c-1)オレフィン系重
合体と(c-2)ビニル系重合体とが、少なくとも一点で
化学結合した連鎖,分岐又は架橋構造を有するグラフト
又はブロック共重合体である点にあり、グラフト又はブ
ロック構造を有することにより、単に(c-1)オレフィ
ン系重合体又は(c-2)ビニル系重合体の単独配合では
得られない顕著な効果が得られる。
び(c-2)ビニル系重合体セグメントを備えたグラフト
又はブロック共重合体の調製法は特に限定されないが、
例えば、慣用のラジカル反応を利用して容易に調製でき
る。例えば、(c-1)オレフィン系重合体と(c-2)ビニ
ル系重合体にラジカル触媒を加えて溶融混練する方法、
(c-1)オレフィン系重合体および(c-2)ビニル系重合
体のいずれか一方に、ラジカル触媒(過酸化物など)に
よりフリーラジカルを生成させ、フリーラジカルを有す
る重合体成分を他の重合体成分と溶融混練する方法など
により調製できる。
成する(c-1)オレフィン系重合体と(c-2)ビニル系重
合体との割合は、例えば、(c-1)/(c-2)=95/5
〜40/60(重量%)、好ましくは=90/10〜4
0/60(重量%)程度である。前記(c-1)オレフィ
ン系重合体の割合が、95重量%を越えると、ポリエス
テル樹脂との相溶性や親和性が低下し、分離が顕著にな
り、剥離、摩耗特性が低下しやすくなり、40重量%未
満であると、ポリエステル樹脂の改質効果が低下し、摩
擦係数がさほど改善されない。なお、上記グラフト又は
ブロック共重合体(C)は、市場から入手することも可
能であり、例えば、日本油脂(株)から商品名「モディ
パーA1400」、「A1200」、「A1100」な
どとして市販されている。
用量は、例えば、ポリエステル樹脂(A)およびゴム変
性スチレン系樹脂(B)の総量100重量部に対して、
0.1〜40重量部(例えば、1〜40重量部)、好ま
しくは1.5〜30重量部、さらに好ましくは2〜20
重量部程度である。(C)成分の割合が少な過ぎると摺
動特性がさほど改善されず、多すぎると表面剥離が発生
し、成形品の外観を低下させる。
(D)は、少なくとも一つの分岐鎖を有するアルコール
及び/又は脂肪酸から誘導される脂肪酸エステルであ
る。分岐状エステルを構成する分岐鎖脂肪酸としては、
イソ酸やアンテイソ酸などが代表例として挙げられる
が、この限りではなく、いずれの分岐脂肪酸もエステル
の構成成分として使用できる。分岐脂肪酸としては、高
級脂肪酸、例えば、炭素数16以上(例えば、炭素数1
6〜30、好ましくは16〜22程度)の飽和又は不飽
和脂肪酸が好ましく、具体的には、イソパルミチン酸、
イソステアリン酸、イソベヘン酸などが挙げられる。好
ましい分岐脂肪酸には飽和高級脂肪酸が含まれる。分岐
鎖を有するアルコールとしては、高級アルコール、例え
ば、炭素数16以上(例えば、炭素数16〜30、好ま
しくは16〜22程度)の飽和又は不飽和アルコールが
好ましく、具体的にはイソトリデシルアルコール、ヘキ
シルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、
イソステアリルアルコールなどが挙げられる。好ましい
分岐アルコールには飽和高級アルコールが含まれる。
分岐状エステルを構成するアルコールとしては、前記分
岐鎖を有するアルコールの他、ミリスチルアルコール、
セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルア
ルコールなどの直鎖脂肪族アルコール(好ましくは炭素
数14〜30程度の直鎖飽和高級アルコール、特に炭素
数14〜22程度の直鎖飽和高級アルコール)、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコ
ール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロ
パン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトー
ル、ソルビタンなどの多価アルコールなどが例示でき
る。これらのアルコールは単独で又は二種以上組み合わ
せて使用できる。
せて分岐状エステルを構成する脂肪酸としては、前記分
岐鎖を有する脂肪酸の他、例えば、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モン
タン酸などの直鎖脂肪酸(好ましくは炭素数14〜30
程度の直鎖飽和高級脂肪酸、特に炭素数14〜22程度
の直鎖飽和高級脂肪酸)、クエン酸、コハク酸、アジピ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族多価カル
ボン酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香
族多価カルボン酸などが例示できる。これらの脂肪酸も
単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
などの加工性などの点から、分岐状エステルとしては、
(1)分岐飽和脂肪酸から誘導されるエステル、(2)分
岐飽和アルコールから誘導されるエステル、(3)分岐
飽和脂肪酸と分岐飽和アルコールとから誘導されるエス
テル、および(4)分岐飽和脂肪酸と多価アルコールと
から誘導されるエステル[ (好ましくはドデシルステ
アリン酸またはイソステアリン酸と、エチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、
グリセリン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリ
スリトールの群から選ばれる一種以上の多価アルコール
とのエステル、特に部分エステル(分子中に未反応OH
基を1個以上有するエステル)]が好ましい。分岐状エ
ステルオイルの配合により、高い摺動特性が付与される
が、分岐状エステルは融点40℃未満のエステルオイ
ル、特に融点25℃以下の液状エステルオイルであるの
が好ましい。分岐状エステル(D)の使用量は、例え
ば、(A)成分及び(B)成分で構成される樹脂組成
物、すなわち(A)成分及び(B)成分の合計量100
重量部に対して、0.1〜15重量部(例えば、0.1
〜10重量部)、好ましくは0.5〜10重量部、さら
に好ましくは1〜10重量部程度である。分岐状エステ
ル(D)の配合量が0.1重量部より少ないと摺動特性
の改善効果が十分ではなく、15重量部を越えると、摩
耗特性および表面外観が損なわれる。オレフィン系共重
合体(C)と分岐状エステル(D)との割合は特に限定
されないが、摩擦摩耗特性、成形品表面状態から、
(D)成分/(C)成分=1〜30重量%、好ましくは
5〜25重量%の範囲が好ましい。(C)成分および
(D)成分の双方を、(A)成分および(B)成分に組
み合わせて配合することにより、得られたポリエステル
組成物は高い寸法安定性を有し、かつ優れた摩擦摩耗特
性を有する。特に電機・電子セット部品であるシャーシ
部品として、トレイ材料や軸受け材およびギヤ・カム材
などのように、樹脂や金属材料に対する摩擦摩耗性に非
常に優れた効果を発揮する。(A)成分および(B)成
分に、(C)成分または(D)成分のいずれか一方の成
分を単独で添加しても、ある程度の効果を発現するもの
の、十分な効果を発現するためには多量の添加が必要と
なる。そのために、強度の低下、表面状態の悪化および
成形性の低下などの問題が発生しやすい。なお、前記エ
ステル(特にエステルオイル)を配合すると、滲出の容
易さから、摺動特性を長期間持続できないだけでなく、
押し出し成形や成形加工時の高温度環境でエステルオイ
ル自体が揮発・飛散し、有効に利用できない。本発明で
は、オレフィン系共重合体(C)と分岐状エステル
(D)を組み合わせて同時に配合することにより、前記
課題が解決される。更に前記オレフィン系共重合体
(C)の使用により、分岐状エステル(D)によるポリ
オレフィン成分の剥離や、摩耗性の低下がなく、高い摩
耗特性を有するポリエステル樹脂組成物が得られる。
ス繊維などの(E)無機充填剤を添加することにより、
優れた摩擦摩耗性を有し、高強度・耐熱性のポリエステ
ル樹脂組成物を得ることが可能である。さらに(F)成
分として難燃剤、(G)成分として難燃助剤を配合せし
めることにより、摺動性のみならず、難燃性にも優れる
ポリエステル樹脂組成物が得られる。
機械的強度、剛性および耐熱性、電気的性質などの性能
に優れた成形品を得るために有用である。無機充填剤
(E)としては、目的に応じて種々の形態、例えば、繊
維状、粉粒状、板状の充填剤を使用できるが、高い機械
的強度、剛性を得るには、繊維状の充填剤が好ましい。
繊維状充填剤としては、例えば、ガラス繊維、アスベス
ト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ
繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、窒化ホ
ウ素繊維、さらに金属繊維(ステンレス、アルミニウ
ム、チタン、銅、真鍮などの金属の繊維状物)などの無
機質繊維が挙げられる。代表的な繊維状充填剤はガラス
繊維又はカーボン繊維である。なお、高融点有機質繊維
(例えば、脂肪族又は芳香族ポリアミド、芳香族ポリエ
ステル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリルなどのアク
リル樹脂など)も使用することができる。
石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドガラスファ
イバー、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリ
ン、タルク、クレー、硅藻土、ウォラストナイトなどの
硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなど
の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど
の金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの
金属の硫酸塩、炭化硅素などの各種金属粉末が挙げられ
る。板状充填剤としては、例えば、マイカ、ガラスフレ
ーク、各種の金属箔などが挙げられる。これらの中で非
繊維状無機充填剤としては、ガラスフレーク、マイカ
粉、タルク、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバーな
どが好ましい。
併用することができる。繊維状充填剤、特にガラス繊維
と粉粒状及び/又は板状充填剤との併用は、特に機械的
強度と寸法精度、電気的性質などを兼備する成形品を得
る上で好ましい組み合わせである。
は、必要ならば収束剤又は表面処理剤、例えば、エポキ
シ系化合物、アクリル系化合物、イソシアネート系化合
物、シラン系化合物、チタネート系化合物などの官能性
化合物を使用するのが望ましい。充填剤はこれらの化合
物で予め表面処理又は収束処理を施して用いてもよく、
材料調製の際同時に添加してもよい。
が、極端に多量に添加した場合、成形品表面に充填剤が
浮きだし、摩耗性を悪化させる。充填剤(E)の使用量
は、例えば、(A)成分および(B)成分の合計量10
0重量部に対して、0〜100重量部(例えば、10〜
100重量部)、好ましくは10〜80重量部、さらに
好ましくは10〜50重量部程度である。
耗性を低下させない限り、一般に熱可塑性ポリエステル
樹脂の難燃剤として用いられる化合物であれば何れも使
用できる。好ましい難燃剤(F)には有機ハロゲン化合
物、例えば、ハロゲン化フェニル、ハロゲン化ジフェニ
ルエーテル、ハロゲン化芳香族ビスイミド化合物、ハロ
ゲン化芳香族エポキシ化合物、ビスフェノールAの低分
子量有機ハロゲン化合物、ハロゲン化ポリカーボネー
ト、ハロゲン化ポリスチレンなどが含まれる。有機ハロ
ゲン化合物におけるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、
ヨウ素のいずれであってもよいが、一般に臭素である。
このような難燃剤は単独で又は二種以上組み合わせて使
用できる。
(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対
して、0.5〜25重量部、好ましくは1〜20重量部
(例えば、2〜20重量部)程度である。難燃剤を過剰
に添加すると機械的、物理的性質、熱安定性などの他、
樹脂成形品の外観が損なわれやすく、過小の場合には難
燃性を改善することが困難である。
燃助剤としては、目的とする摩擦摩耗性を低下させない
限り、一般に熱可塑性ポリエステルの無機系難燃助剤と
して用いられる公知の化合物であれば何れも用いること
が可能である。好ましい(G)無機系難燃助剤には、例
えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化ア
ンチモン、ハロゲン化アンチモン、アンチモン酸ソー
ダ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化
錫、酸化ジルコニウム、メタホウ酸酸亜鉛、ホウ酸バリ
ウム、酸化モリブデンなどが挙げられる。これらの
(G)無機系難燃助剤は単独で又は二種以上組み合わせ
て使用できる。
えば、(A)成分および(B)成分の合計量100重量
部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは1〜10
重量部程度である。無機系難燃助剤(G)の添加量が
0.1重量部未満では、組成物の難燃性がさほど改善さ
れず、20重量部を越えると組成物の強度が低下しやす
い。なお、成形品の用途によっては、UL規格94の難
燃区分の「V−0」を要望される場合がある。その場
合、アスベストやフッ素樹脂(例えば、ポリテトラフル
オロエチレン)などを難燃剤と併用すると好適である。
添加剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤
などの安定剤、帯電防止剤、滑剤、染料や顔料などの着
色剤、潤滑剤、可塑剤など)を添加できる。特に酸化防
止剤の添加により、得られた成形品はより高い熱安定
性、特に長期熱安定性および機械物性を示す。
ル系、アミン系、チオエーテル系等の化合物が使用でき
る。ヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、
1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]、トリエチレングリコールビス[3−(3−t
−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート]などが例示できる。アミン系化合物として
は、例えば、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−
フェニレンジアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェ
ニレンジアミン、4,4−ビス−(4−α,α−ジメチ
ルベンジル)ジフェニルアミン、ジフェニルアミンとア
セトンとの縮合反応物、N−フェニルナフチルアミン、
N,N′−ジ−β−ナフチルフェニレンジアミンなどが
例示できる。チオエーテル系化合物としては、例えば、
ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジ
プロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、
ラウリルステアリルチオジプロピオネート、テトラキス
[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メ
タン、ジアルキル(C12〜C18)−3,3−チオジプロ
ピオネートなどが挙げられる。好ましい酸化防止剤に
は、ヒンダードフェノール系化合物、例えば、ペンタエ
リスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリ
エチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]な
どが含まれる。なお、押出し成形などの成形工程での原
料成分のフィード安定性を向上させるためには、滑剤
(潤滑剤)の添加が有利である。
ば、乾式混合、溶融押出しや溶融混練などの溶融混合な
ど)により調製できる。組成物は、粉末状、粒状、ペレ
ット又はフレーク状であってもよい。本発明の成形品
は、慣用の方法(例えば、押出し成形、射出成形など)
で容易に調製される。例えば、各成分を混合した後、1
軸又は2軸の押出機により練込押出してペレットを調製
し、このペレットを用いて成形する方法、一旦組成の異
なるペレットを調製し、そのペレットを所定量混合して
成形に供し成形後に所定の組成割合の成形品を得る方
法、成形機に各成分の1又は2以上を直接仕込む方法な
どのいずれであってもよい。また、樹脂成分の一部を細
かい粉体として他の成分と混合して添加すると、これら
の成分を均一配合できるので好ましい。
動性を有するため、オーディオ・ビジュアル(AV)/
オフィスオートメーション(OA)機器[ビデオテープ
レコーダー、ビデオカメラ、ビデオディスクプレーヤ
ー、コンパクトディスク(CD)プレーヤー、CD−R
OMを備えたワードプロセッサやパーソナルコンビュー
タ、複写機、プリンターなど]の成形部品(例えば、レ
バー、ギア、軸受、シャーシなどの高寸法安定性、摺動
性の要求される機械部品)を得る上で極めて有用であ
る。さらに無機充填剤及び/又は難燃剤を含むポリエス
テル樹脂組成物は、優れた難燃性、高い機械的性質、耐
熱性、優れた摺動性を有するため、高速下での高い摺動
性などが要求される成形部品(例えば、高速化したCD
−ROMやDVDなどのコンピューター内蔵型のシャー
シ部品など)に極めて有用である。
フィン共重合体と特定の分岐状エステルオイルとを含む
ポリエステル/グラフト共重合体ブレンド組成物で構成
されているため、成形品の高い機械特性を維持しつつ、
摩擦・摩耗性を大幅に向上できる。また、高い寸法安定
性を有し、連続往復摺動時の摩擦係数が低く、自材およ
び相手材の摩耗を抑制でき、安定した摺動特性を有する
成形品を得ることができる。
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。 実施例1〜22 (A)成分[ポリブチレンテレフタレート樹脂(PB
T)またはテレフタル酸成分の12モル%をイソフタル
酸で置換した酸変性ポリブチレンテレフタレート(酸変
性PBT)]、(B)成分(ABS樹脂またはAES樹
脂)、下記の(C)オレフィン系共重合体成分、(D)
分岐鎖状エステル成分、場合により(E)無機充填剤,
(F)難燃剤および(G)難燃助剤を、表に示す割合で
混合した後、二軸押出し機により溶融混練し、ペレット
状の組成物を調製した。ついでこのペレットを用いて射
出成形により試験片を作製し、この試験片の特性を評価
した。結果を表に示す。
分及び(D)成分の少くとも一方の成分を添加しない組
成物、(C)成分に代えてポリエチレンを用いた組成
物、(D′)成分として潤滑剤(PTFE)を用いた組
成物、(D)成分以外の他の脂肪酸エステルを(B)成
分と併用した組成物などについて、実施例1と同様にし
て調製した試験片の特性を評価した。結果を表に示す。
1),(c-2)の内容は次の通りであり、これらの成分を
表中では略号で表示した。 (C)成分(括弧内の数値は重量%を示す) PE−g−PMMA:PE(50)とPMMA(50)
とのグラフト共重合体 PE−g−AN/S:PE(50)とAN/S(50)
とのグラフト共重合体 PE−g−PS :PE(50)とPS(50)との
グラフト共重合体 PP−g−AN/S:PP(70)とAN/S(30)
とのグラフト共重合体 (c-1)成分 PE:低密度ポリエチレン PP:ポリプロピレン (c-2)成分 PMMA:ポリメタクリル酸メチル AN/S:アクリロニトリル−スチレン共重合体 PS :ポリスチレン なお、評価項目および評価方法は下記の通りである。 (1)成形品の表面状態 下記成形条件にて評価用試験片(100mm×15mm
×3mm)を成形し、その表面剥離状態を下記の5段階
で評価した。
50℃,中央部240℃,ホッパー下部230℃ 射出圧力 75MPa 射出速度 1.2m/分 金型温度 70℃ [評価基準] 5:表面剥離がない 4:表面に極僅かな剥離がある 3:表面の剥離が少しある 2:表面のかなりの部分が剥離する 1:表面が全体に亘り著しく剥離する (2)摺動特性 簡易式往復摺動試験機を使用し、下記条件にて摩擦摩耗
試験を行い、動摩擦係数、比摩耗量を測定した。 「試験条件」 荷重Load=4N、速度V=5cm/秒、ストロークL=
5cm、 摺動回数30000回 「試験方法」移動する試験片(プレート材,厚み約3m
m)の長手方向の端面(端面幅約3mm)上にピン材
(φ10mm)を接触させ、ピン材から試験片の幅方向
に荷重を作用させて試験片を長手方向に所定のストロー
クで往復動させ、上記試験を行った。ピン材としてAB
S樹脂(ダイセル化学(株)製、商品名セビアン),A
BS樹脂/ポリカーボネート(PC)樹脂(ダイセル化
学(株)製、商品名ノバロイS)または鋼(S55C)
を使用した。
4(UL94)の方法に準じ5本の試験片(厚み:0.
8mm)を用いて難燃性および樹脂の燃焼時の滴下特性
について試験し、燃焼レベルを判断した。
Claims (17)
- 【請求項1】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂と、
(B)ゴム変性スチレン系樹脂と、(C)(c-1)オレフ
ィン系重合体フラグメントおよび(c-2)少なくとも一
種のビニル系重合体フラグメントで構成されたオレフィ
ン系共重合体と、(D)少なくとも一つの分岐鎖を有す
る脂肪酸及び/又は少なくとも一つの分岐鎖を有するア
ルコールから得られる分岐状エステルとで構成された熱
可塑性樹脂組成物。 - 【請求項2】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポ
リアルキレンアリーレート単位を少くとも60重量%以
上含有する結晶性ポリエステル樹脂で構成されている請
求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項3】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポ
リアルキレンテレフタレート単位又はポリアルキレンナ
フタレート単位を少くとも60重量%以上含有する結晶
性ポリエステル樹脂で構成されている請求項1又は2記
載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項4】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、
ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート単位を60重量%以上含有する共重合体、又は
ポリブチレンテレフタレートを主成分とするポリエステ
ル系樹脂組成物である請求項1〜3のいずれかの項に記
載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項5】 (B)ゴム変性スチレン系樹脂が、ゴム
成分に、少なくとも芳香族ビニル単量体およびシアン化
ビニル単量体がグラフト重合した重合体である請求項1
〜4のいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項6】 (C)オレフィン系共重合体が、(c-1)
ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン−プロピ
レン共重合体から選択される少なくとも一種のオレフィ
ン系重合体フラグメントと(c-2)アクリル系単量体、
スチレン系単量体から選択された少くとも一種の単量体
の単独又は共重合体フラグメントとで構成されているグ
ラフト又はブロック共重合体である請求項1〜5のいず
れかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項7】 (D)分岐状エステルを構成する脂肪酸
及び/又はアルコールの炭素数が16〜30である請求
項1〜6のいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項8】 (D)分岐状エステルが、少なくとも一
つの分岐鎖を有する高級脂肪酸と多価アルコールとのエ
ステルオイルである請求項1〜7のいずれかの項に記載
の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項9】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂30〜
95重量%と(B)ゴム変性スチレン系樹脂70〜5重
量%とで構成された樹脂組成物100重量部に対して、
(C)オレフィン系共重合体0.5〜40重量部、およ
び(D)分岐状エステル0.1〜15重量部を含む請求
項1〜8のいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項10】 さらに、(E)無機充填剤を含む請求
項1〜9のいずれかの項に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項11】 (E)無機充填剤が、繊維状無機充填
剤又は板状無機充填剤である請求項10記載の熱可塑性
樹脂組成物。 - 【請求項12】 (E)無機充填剤が、ガラス繊維,ガ
ラスフレーク,マイカおよびタルクから選ばれた少くと
も一種である請求項10記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項13】 (E)無機充填剤の割合が、(A)成分
及び(B)成分で構成される樹脂組成物100重量部に
対して、10〜100重量部である請求項10記載の熱
可塑性樹脂組成物。 - 【請求項14】 さらに、(F)難燃剤および(G)無機
系難燃助剤を含む請求項1〜13のいずれかの項に記載
の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項15】 (A)成分及び(B)成分で構成される
樹脂組成物100重量部に対して、(F)難燃剤0.5
〜35重量部および(G)無機系難燃助剤0.1〜20
重量部を含む請求項14記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 【請求項16】 請求項1〜15のいずれかの項に記載
の熱可塑性樹脂組成物で形成された成形品。 - 【請求項17】 成形品が、摺動部材である請求項16
記載の成形品。
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1997
- 1997-06-25 JP JP16850997A patent/JP3316164B2/ja not_active Expired - Fee Related
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