JPH1071029A - 移動棚の転倒防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常時の接近阻止部材の誤操作による駆動モ
ーターの焼損や接近阻止部材や棚本体の破損を防止する
とともに、地震発生時には、棚の転倒を防止し、棚間通
路を確保することができる安全性の高い移動棚の転倒防
止装置を提供すること。 【解決手段】 係合爪９と係合部７との係合が地震発生
時にのみ、自動的に行われ、接近状態の棚１、１同士が
連結されるため、棚１の設置床面が広くなり、棚１の転
倒が防止され、棚１、１間の通路Ｓが確実に確保され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、床面に敷設された
レール上に、複数個の移動棚を前後方向に走行移動可能
なように装架し、移動棚を走行移動させて棚間に通路を
形成するようにした移動棚装置に関し、特に地震の発生
時に棚の転倒を防止し、棚間通路を確保することができ
る移動棚の転倒防止装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、移動棚装置に関し、地震発生時に
棚の転倒の防止を目的としたものには、特公昭６３−７
７６５号や実公平１−１６４２５号がある。

【０００３】この内、前者の発明は、固定棚に設けた感
振装置が地震を感知すると、移動棚を自動的に収束させ
て、移動棚を固定させる停止機構を働かせるもので、そ
の停止機構は、実施例によれば移動棚の下方にロックピ
ンを突出させ、そのロックピンを床上のピン孔に係止す
るものである。また、後者の考案では、棚の前後部いず
れかから通路側に突出し隣の棚の接近を阻止する突出位
置と、棚の前後部いずれかに退避した退避位置とをとり
うる接近阻止部材を設け、その接近阻止部材を通路に入
った人が手動で突出位置となるように操作することで地
震発生時に棚の転倒を防止し、棚間通路を確保すること
ができるようにしたものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
発明は、移動棚を集束させることで、棚から通路への物
品の落下を防止して、物品と床面の損傷を目的としてお
り、移動棚が集束した位置でないと停止機構が働かない
ために、地震発生時に通路内に人が入っている場合に
は、棚の移動や転倒により棚間に人が挟まれる危険があ
る。また、後者の考案では、接近阻止部材の操作を、通
路に出入りする人が手動で行うために、人が通路に入っ
た状態で接近阻止部材を突出位置とすることを忘れる
と、地震発生時に棚の移動や転倒により棚間に人が挟ま
れる危険があり、また、人が通路から出た状態にもかか
わらず、戻し忘れ等により、接近阻止部材が突出位置の
ままで棚の走行操作が行われると、棚の走行が接近阻止
部材により強制的に阻止されるため、棚の駆動モーター
が焼損したり、接近阻止部材や棚本体を破損するといっ
た問題点があった。

【０００５】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、通常時の接近阻止部材の誤操作による
駆動モーターの焼損や接近阻止部材や棚本体の破損を防
止するとともに、地震発生時には、棚の転倒を防止し、
棚間通路を確保することができる安全性の高い移動棚の
転倒防止装置を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明の移動棚の転倒防止装置は、床面に敷設され
たレール上に、複数個の移動棚を前後方向に走行移動可
能なように装架し、移動棚を走行移動させて棚間に通路
を形成するようにした移動棚装置において、棚の所定箇
所に棚の前後いずれかから通路側に突出し、隣接の棚の
上部の係合部と係合する係合位置と、前記係合部との係
合が解除された解除位置とをとりうる係合爪を設けると
ともに、移動棚装置または移動棚装置の周囲の建築構造
体に、地震を感知する感振装置を設け、該感振装置から
の地震感知信号に基づいて、前記係合爪を前記解除位置
から前記係合位置へと自動的に移動させることで、隣接
の棚の上部同士を接続して棚の転倒を防止し、棚間通路
を確保することを特徴としている。この特徴によると、
係合爪と係合片との係合が地震発生時にのみ、自動的に
行われ、接近状態の棚同士が連結されるため、棚の設置
床面が広くなり、棚の転倒が防止され、棚間通路が確実
に確保される。

【０００７】本発明の移動棚の転倒防止装置は、係合爪
を棚の左右に設けるとともに、前記左右の係合爪を左右
方向の軸により連動させるのが好ましい。このようにす
ることで、隣接の棚の上部同士の左右を同時に係合する
ことができ、隣接の棚同士をより強固に接続することが
可能となる。また、いずれか一方の係合爪を移動させれ
ばよいので、コストを低減出来る。

【０００８】本発明の移動棚の転倒防止装置は、係合爪
と係合部とを棚の上部に設けられることが好ましい。こ
のようにすることで、係合爪や係合部が上面に存在し、
人目につかず見栄えがよい。

【０００９】本発明の移動棚の転倒防止装置は、棚本体
に、係合爪を回動自在に軸支するとともに、該係合爪の
解除位置と係合位置との間の回動を、棚本体に取付けら
れたソレノイドで行うようにすることが好ましい。この
ようにすることで、ソレノイドによる回動が行われるの
で係合作動が速く、確実な棚同士の連結が可能となる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明していくと、まず図１には本発明の適用
される移動棚１が示されており、これら移動棚１はそれ
ぞれ床面２に敷設されたレール３上に走行車輪（図示
略）を介して前後方向に移動可能に設けられている。本
実施形態における移動棚１は、それぞれ適宜駆動装置
（図示せず）が内蔵され、外部に設けられた適宜操作手
段４により所望の位置に移動操作出来るようになってお
り、前記移動棚１を走行させることで、所望の棚の前面
にのみ前記移動棚１の棚板５上に載置される物品等の出
し入れ作業用の通路Ｓを形成できるようになっている。

【００１１】各移動棚１の側板６の上部には、転倒防止
装置を構成する係合部７と、該係合部７と係合可能な係
合爪８を有する係合片９とがそれぞれ設けられている。
前記係合片９は、図１、２に示されるように、側板６上
部に直接固着される基板１１及び側板６を挿通する軸部
材１２に軸着されている。前記基板１１の開口には、カ
バー体１０が嵌装出来るようになっている。

【００１２】前記基板１１には、伸縮棒１３を有する電
磁ソレノイド１４が固着されており、前記伸縮棒１３の
先端には断面略コ字状の支持部材１５が取付けられてい
る。この伸縮棒１３の周面にはバネ１６が巻回されてお
り、前記伸縮棒１３及び支持部材１５が常時上方に付勢
されるようになっている。

【００１３】前記支持部材１５には、前記係合片９の前
後略中央を挿通する水平軸１７が垂設されており、前記
電磁ソレノイド１４の伸縮棒１３の伸縮移動により係合
爪８を係合部７に対して係脱させることができるように
なっている。

【００１４】係合片９を軸支する前述した軸部材１２
は、移動棚１の左右長手方向にわたって延設されてお
り、反対側の側板６’及び基板１１’を挿通し、その先
端に前記と同様の係合片９’が取付られている。よって
電磁ソレノイド１４の作動により２つの係合片９、９’
が連動するようになっている。尚、一方のカバー体１
０’内には、電磁ソレノイド１４は配設されておらず、
前記軸部材１２の回動により回動する係合片９’のみが
設けられている。

【００１５】前記電磁ソレノイド１４は、外部適宜位置
に設けられる感振装置１８に接続されている。この感振
装置１８は、地震を感知する適宜機能を有するもので、
地震を感知すると、地震感知信号を電磁ソレノイド１４
に送出し、伸縮棒１３を収縮させるようになっている。

【００１６】このように構成される本発明の実施形態と
しての移動棚の転倒防止装置にあっては、感振装置１８
により適宜大きさの地震が感知された時にのみ電磁ソレ
ノイド１４が作動して係合片８が係合位置に移動され、
各移動棚１の係合片９の係合爪８が隣接する他の移動棚
１の係合部７と係合されるようになっている。よって地
震発生時において、隣接する移動棚１の上部同士が連結
されて複数の移動棚１が安定するため、個々の移動棚
１、特にその時に通路Ｓに隣接する移動棚１の転倒が防
止できる。

【００１７】また、これら係合片９の係合爪８を係合部
７との係合が地震発生の時にのみ自動的に行われるよう
になっていることで、通常時における係合爪８と係合部
７とを係合したまま移動棚１を走行させるといった誤操
作を防止でき、これら誤操作に伴う物品の破損を回避で
きる。

【００１８】また、これら係合部７と係合爪８との係合
が移動棚１の左右側にて行われるようにすることで、よ
り確実な係合が保障されるとともに、移動棚１同士の連
結も強固になり、安定性が増す。さらに前記左右の係合
爪８の回動が軸部材１２により連動されるようにするこ
とで、製造コストを低減できる。

【００１９】図４は、本発明の他の実施形態が示されて
いる。このように係合片９を係合部７と移動棚１の上面
左右端に配設し、係合爪８と係合部７との係合が移動棚
１上部にて行われるようにしてもよい。また、このよう
にすることで、係合片９等が使用者から見えにくくなる
ため、外観が向上する。

【００２０】以上、本発明の実施の形態を図面を用いて
説明してきたが、本発明は、上記実施の態様に限定され
るものではなく、種々の実施形態を取り得る。

【００２１】例えば、係合片９の係合爪８及び係合部７
等の形状及び取付位置等は任意であり、本実施形態のも
のに限定されるものではない。また、係合方法も種々の
態様によりおこなわれてもよい。

【００２２】尚、本発明は移動棚が電動でなく、手動に
よる移動が可能なものにおいても適用される。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、次のような効果が得ら
れる。

【００２４】（ａ）請求項１の発明によれば、係合爪と
係合片との係合が地震発生時にのみ、自動的に行われ、
接近状態の棚同士が連結されるため、棚の設置床面が広
くなり、棚の転倒が防止され、棚間通路が確実に確保さ
れる。

【００２５】（ｂ）請求項２の発明によれば、隣接の棚
の上部同士の左右を同時に係合することができ、隣接の
棚同士をより強固に接続することが可能となる。また、
いずれか一方の係合爪を移動させればよいので、コスト
を低減出来る。

【００２６】（ｃ）請求項３の発明によれば、係合爪や
係合部が上面に存在し、人目につかず見栄えがよい。

【００２７】（ｄ）請求項４の発明によれば、ソレノイ
ドによる回動が行われるので係合作動が速く、確実な棚
同士の連結が可能となる。

【００２８】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の適用された移動棚装置を示す斜視図で
ある。

【図２】図１の要部拡大断面図である。

【図３】図１の要部破断正面図である。

【図４】本発明の他の実施の態様を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 移動棚 ２ 床面 ３ レール ４ 操作手段 ５ 棚板 ６ 側板 ７ 係合部 ８ 係合爪 ９ 係合片 １０ カバー体 １１ 基板 １２ 軸部材 １３ 伸縮棒 １４ 電磁ソレノイド １５ 支持部材 １６ バネ １７ 水平軸 １８ 感振装置 Ｓ 通路

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 床面に敷設されたレール上に、複数個の
   移動棚を前後方向に走行移動可能なように装架し、移動
   棚を走行移動させて棚間に通路を形成するようにした移
   動棚装置において、棚の所定箇所に棚の前後いずれかか
   ら通路側に突出し、隣接の棚の上部の係合部と係合する
   係合位置と、前記係合部との係合が解除された解除位置
   とをとりうる係合爪を設けるとともに、移動棚または移
   動棚装置の周囲の建築構造体に、地震を感知する感振装
   置を設け、該感振装置からの地震感知信号に基づいて、
   前記係合爪を前記解除位置から前記係合位置へと自動的
   に移動させることで、隣接の棚の上部同士を接続して棚
   の転倒を防止し、棚間通路を確保することを特徴とする
   移動棚の転倒防止装置。
2. 【請求項２】 係合爪を棚の左右に設けるとともに、前
   記左右の係合爪を左右方向の軸により連動させた請求項
   １に記載の移動棚の転倒防止装置。
3. 【請求項３】 係合爪と係合部とを棚の上部に設けた請
   求項１または２に記載の移動棚の転倒防止装置。
4. 【請求項４】 棚本体に、係合爪を回動自在に軸支する
   とともに、該係合爪の解除位置と係合位置との間の回動
   を、棚本体に取付けられたソレノイドで行う請求項１な
   いし３のいずれかに記載の移動棚の転倒防止装置。