JPH1067797A - ペプチドの製造法 - Google Patents

ペプチドの製造法

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JPH1067797A
JPH1067797A JP9162573A JP16257397A JPH1067797A JP H1067797 A JPH1067797 A JP H1067797A JP 9162573 A JP9162573 A JP 9162573A JP 16257397 A JP16257397 A JP 16257397A JP H1067797 A JPH1067797 A JP H1067797A
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Chitoshi Hatanaka
千年 畑中
Yasuaki Abe
保明 阿部
Mitsuhisa Yamano
光久 山野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】LHRHアゴニスト作用を有するペプチドの工
業的規模での製造法を提供する。 【解決手段】一般式 5-oxo-Pro-R1-Trp-Ser-R2-R3-OH (II) 〔式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp-NH2-Pheを、R2
TyrまたはPheを、R3はそれぞれ置換基を有していても
よいGlyまたはα-D-アミノ酸残基をそれぞれ示す。〕で
表わされるペプチドまたはその塩と、一般式 H-R4-R5-Pro-R6 (III) 〔式中、R4はLeu,IleまたはNleを、R5は保護されたA
rgを、R6は式Gly-NH-R7(式中、R7は水素原子または
水酸基を有していてもよいアルキル基を示す)または式N
H-R8(式中、R8は水素原子、水酸基を有していてもよ
いアルキル基またはウレイド基(-NH-CO-NH2)をそれぞ
れ示す)で表わされる基を示す〕で表わされるペプチド
またはその塩とを反応させ、次いで、得られたペプチド
(I')を脱保護基反応に付すことを特徴とする一般式 5-oxo-Pro-R1-Trp-Ser-R2-R3-R4-Arg-Pro-R6 (I) 〔式中の記号は前記と同意義を示す〕で表わされるペプ
チドまたはその塩の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、視床下部から分泌
される性線刺激ホルモン放出ホルモン(LH−RH)の
アゴニストとしての作用等を有するペプチドまたはその
塩の製造法、該ペプチドを製造するための中間体ペプチ
ド、その製造法、その結晶および該結晶の製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】LH−RHのアゴニストであるペプチド
またはその塩の製造法としては、特開昭50−5937
0号公報(米国特許第4,008,209号公報に対応)
には、一般式: (Pyr)Glu−His−Trp−Ser−Tyr(ま
たはPhe)−X−Leu(またはIleまたはNle)
−Arg−Pro−NH−R 〔式中、アミノ酸は特に明記しないものはL体を示し、
XはD−Leu,D−NLe,D−NVa,D−Se
r,D−Abu,D−Phg,D−Pheまたはα−A
ibuを、Rは水酸基を有してもよいアルキル基を示
す〕で表されるペプチドの製造法として、下記の方法が
記載されている。
【0003】
【化1】 〔式中の記号は前記と同意義を示す〕。
【0004】また、特開昭51−6926号公報(米国
特許第3,997,516号公報に対応)には、グアニジ
ノ基を有するペプチドの製造において、グアニジノ基含
有原料化合物のグアニジノ基を低級アルコキシベンゼン
スルホニル基またはトリ低級アルキルベンゼンスルホニ
ル基で保護することを特徴とするペプチドの製造法が記
載されている。さらに、特開昭51−100030号
(米国特許第3,997,516号公報に対応)公報に
は、グアニジノ基を有するペプチドの製造において、グ
アニジノ基含有原料化合物のグアニジノ基を低級アルコ
キシ−またはトリ低級アルキルベンゼンスルフォニル基
で保護してペプチド縮合した後、該保護基をハロゲノス
ルホン酸または低級アルキルスルホン酸またはルイス酸
で脱離させることを特徴とするペプチドの分離・製造法
が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ペプチドの工業的規模
での大量生産においては、(1)原薬の品質、(2)製造コス
ト、(3)操作性、(4)作業者の安全、(5)環境の汚染防止
などの様々な要件を実用上満足できるものとすることが
不可欠であるため、実験室レベルのような小規模スケー
ルでの合成方法が必ずしも工業的製法として実用性があ
る方法とは限らないことが多い。従って、ペプチドの工
業的製法の構築には、このような様々の要件を満たすべ
く、ペプチド鎖の延長方法、フラグメント縮合点の選
択、フラグメント縮合時の異性化の抑制方法、α−位及
び側鎖官能基の保護基の選択と該保護基の最終的な脱離
方法、得られる目的ペプチドの分離・精製方法、各工程
間の一連の操作性等、非常に多くの検討課題がある。ま
た、一般にペプチドの合成過程においては、多種多様な
プロセス、種々の反応手段等が考えられるが、多くの場
合は、各製造工程の中間体が無晶形であるために、精製
が十分に行えなかったり、煩雑な分離・精製操作が必要
な場合が多く、品質および収率の点において再現性が得
られない等の問題が生じている。即ち、各製造工程の中
間体、とりわけ、各工程において鍵となる中間体につい
て、結晶性、安定性、溶解性などの物性の良し悪しが工
業的製造法として実用に足るか否かを左右する場合が多
い。
【0006】上記ペプチド(Pyr)Glu−His−T
rp−Ser−Tyr(またはPhe)−X−Leu(ま
たはIleまたはNle)−Arg−Pro−NH−R
の製造法において、特開昭50−59370号公報(米
国特許第4,008,209号公報に対応)に記載された
方法は、Argのグアニジノ基をニトロ基で保護してい
る関係上、α−アミノ基の保護に用いているZ基を還元
的に脱離することが困難となり、その結果、D基の脱離
をHBr/AcOHで行っている。この方法では必然的に
強催涙性のベンジルブロマイドが大量に副生する他、目
的のペプチドを分離するために大量のエーテル類を使用
しなければならない。また、本反応における目的化合物
は、通常、臭化水素酸塩として捕捉されるが、フラグメ
ント縮合において、異性化を抑制するためには臭化水素
をイオン交換樹脂等で除くことが必要となる。また、該
ペプチドの種々のクロマトグラフィーによる精製におい
ては、グラジエント溶出を行っているが、濃度勾配の再
現性に乏しいため、有効画分の特定が溶出画分ごとに必
要となり、一定した品質の目的化合物を安定して得るた
めの作業の標準化ができない等の問題があり、工業的製
法として実用的ではない。
【0007】さらに、米国特許第2,997,516号公
報には式 (Pyr)Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D
−Leu−Leu−Arg(MBS)−Pro−NH−C
25 〔式中、MBSは、p−メトキシベンゼンスルホニル基
を示す〕で表わされるペプチドが製造されるとして、反
応が図式されているが、ここには、単にペプチドの構造
式が羅列してあるだけであり、実際にどのような反応条
件で行なえるかについては、示されていない。従って、
LH−RHのアゴニストとしての作用等を有するペプチ
ドまたはその塩を、安全かつ簡便な操作で、高収率かつ
再現性の良い、工業的に有利な製造法の開発が望まれて
いる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の種
々の問題を解決すべく、鋭意検討した結果、加水分解時
のアミノ酸残基の異性化の抑制などによる鍵となる後述
のペプチド(IV)の製造法の確立と結晶化、後述のペプチ
ド(I')の大量処理可能な脱保護基操作方法の確立、後
述のペプチド(I)の工業的規模の分離・精製法の確立に
より、安全で高収率かつ再現性良く、ペプチド(I)を製
造できることを見いだし、この知見に基づきさらに鋭意
研究の結果、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明は、(1)一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OH (II) 〔式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2
−Pheを、R2はTyrまたはPheを、R3はそれぞ
れ置換基を有していてもよいGlyまたはα−D−アミ
ノ酸残基をそれぞれ示す。〕で表わされるペプチドまた
はその塩と、一般式 H−R4−R5−Pro−R6 (III) 〔式中、R4はLeu,IleまたはNleを、R5は保
護されたArgを、R6は式Gly−NH−R7(式中、
7は水素原子または水酸基を有していてもよいアルキ
ル基を示す)または式NH−R8(式中、R8は水素原
子、水酸基を有していてもよいアルキル基またはウレイ
ド基(−NH−CO−NH2)をそれぞれ示す)で表わ
される基を示す〕で表わされるペプチドまたはその塩と
を反応させ、一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−R4−R5−Pro−R6 (I') 〔式中の記号は前記と同意義を示す〕で表わされるペプ
チドまたはその塩を得、ついで、得られたペプチド(I')
を脱保護基反応に付すことを特徴とする一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−R4−Arg−Pro− R6 (I) 〔式中の記号は前記と同意義を示す〕で表わされるペプ
チドまたはその塩の製造法、
【0010】(2)R1がHisを、R2がTyrを、R
3がGly,D−Leu,D−Trp,C1-4アルキル基
で置換されていてもよいD−Val,D−Ser,C
1-4アルコキシ基、ナフチル基もしくは2−メチルイン
ドリルで置換されていてもよいD−AlaまたはC7-10
アラルキル基で置換されていてもよいD−Hisを、R
4がLeuを、R5がC1-6アルコキシベンゼンスルホニ
ル基、トリC1-6アルキルベンゼンスルホニル基および
ニトロ基から選ばれる基で保護されたArgを、R6
式NH−R8'(式中、R8'は水素原子または水酸基を有
していてもよいC1-3アルキル基をそれぞれ示す)で表
わされる基をそれぞれ示す上記(1)項記載の製造法、
(3)R1がHisを、R2がTyrを、R3がD−Le
uを、R4がLeuを、R5がC1-6アルコキシベンゼン
スルホニル基で保護されたArgを、R6は式NH−
8''(式中、R8''は水酸基を有していてもよいC1-3
アルキル基を示す)で表わされる基をそれぞれ示す上記
(1)項記載の製造法、(4)ペプチド(II)またはその
塩とペプチド(III)またはその塩とを、温度約0〜40
℃で、約30〜60時間反応させる上記(1)項記載の
製造法、(5)脱保護基反応において酸を用いる上記
(1)項記載の製造法、(6)酸がC1-6アルキルスル
ホン酸である上記(5)項記載の製造法、(7)酸をペ
プチド(I')に対して約5〜25重量倍用いる上記(5)
項記載の製造法、(8)上記(1)記載のペプチド
(I')の脱保護基反応を酸の存在下に行ない、得られる
ペプチド(I)を含有する反応液を塩基で中和し、分離し
た遊離体の油状物をカラムクロマトグラフィーで精製す
ることを特徴とするペプチド(I)の分離・精製法、
【0011】(9)一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OR9 (IV) 〔式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2
−Pheを、R2はTyrまたはPheを、R3はそれぞ
れ置換基を有していてもよいGlyまたはα−D−アミ
ノ酸残基を、R9は保護基をそれぞれ示す。〕で表わさ
れるペプチドまたはその塩、(10)R1がHisを、
2がTyrを、R3がGly,D−Leu,D−Tr
p,C1-4アルキル基で置換されていてもよいD−Va
l,D−Ser,C1-4アルコキシ基、ナフチル基もし
くは2−メチルインドリルで置換されていてもよいD−
AlaまたはC7-10アラルキル基で置換されていてもよ
いD−Hisを、R9がC1-6アルキル,C6-10アリール
またはC7-12アラルキルをそれぞれ示す上記(9)記載
のペプチドまたはその塩、(11)R1がHisを、R2
がTyrを、R3がD−Leuを、R9がC1-6アルキル
基をそれぞれ示す上記(9)記載のペプチドまたはその
塩、(12)一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OR9 (IV) 〔式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2
−Pheを、R2はTyrまたはPheを、R3はそれぞ
れ置換基を有していてもよいGlyまたはα−D−アミ
ノ酸残基を、R9は保護基をそれぞれ示す。〕で表わさ
れるペプチドまたはその塩を加水分解反応に付すことを
特徴とする一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OH (II) 〔式中の記号は前記と同意義〕で表わされるペプチドま
たはその塩の製造法、
【0012】(13)一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OH (II) 〔式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2
−Pheを、R2はTyrまたはPheを、R3はそれぞ
れ置換基を有していてもよいGlyまたはα−D−アミ
ノ酸残基をそれぞれ示す。〕で表わされるペプチドまた
はその塩の結晶、(14)一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OH (II) 〔式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2
−Pheを、R2はTyrまたはPheを、R3はそれぞ
れ置換基を有していてもよいGlyまたはα−D−アミ
ノ酸残基をそれぞれ示す。〕で表わされるペプチドまた
はその塩の溶液を熟成させることを特徴とするペプチド
(II)またはその塩の結晶の製造法、および、(15)ペ
プチド(II)またはその塩の濃度が約0.01〜0.05モ
ル/Lである溶液を約10〜70℃で約10〜70時間
熟成させる上記(14)項記載の結晶の製造法である。
【0013】
【発明の実施の形態】上記の式中および図の式中で用い
られる記号、略号等について、以下に示す。R1はHi
s,Tyr,Trpまたはp−NH2−Pheを表わす
が、なかでもHisが最も好ましい。R2はTyrまた
はPheを示すが、なかでも、Tyrが好ましい。R3
で表わされる置換基を有していてもよいGlyまたはα
−D−アミノ酸残基におけるα−D−アミノ酸として
は、例えば、D−Leu,D−Ile,D−Nle,D
−Val,D−Nva,D−Ser,D−Abu,D−
Phe,D−Phg,D−Thr,D−Met,D−A
la,D−Trpまたはα−Aibuが挙げられ、なか
でも、D−Leu,D−Val,D−Ser,D−Tr
p、D−Ala、D−Abuまたはα−Aibuが好ま
しく、特に、D−Leuが最も好ましい。R3で表わさ
れる置換基を有していてもよいGlyまたはα−D−ア
ミノ酸残基における置換基としては、例えば、モノC
1-4アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イ
ソプロピル、n−ブチル、t−ブチル等)、ジC1-4
ルキル(例、ジメチル、ジエチル等)、トリC1-4アル
キル(例、トリメチル、トリエチル等)、C1-4アルコ
キシ(例、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ
プロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ等)、C6-10
アリール(例、フェニル、ナフチル等)、C7-10アラル
キル基(例、ベンジル、フェネチル等)、インドリル、
メチルインドリル、ベンジル−イミダゾリルなどが挙げ
られる。特に、メチル,ジメチル,トリメチル,t−ブ
チル,t−ブトキシ,ナフチル(特に、2−ナフチル
等),インドリル−3−イル,2−メチルインドリルお
よびベンジルイミダゾール−2−イルが好ましく、なか
でも、トリメチル,t−ブチル,t−ブトキシ,2−ナ
フチル,インドール−3−イル,2−メチルインドリル
およびベンジルイミダゾール−2−イルが好ましい。
【0014】R3の好ましいものとしては、例えば、G
ly,D−Leu,D−Trp,C1-4アルキル基で置
換されていてもよいD−Val,D−Ser,C1-4
ルコキシ基、ナフチル基もしくは2−メチルインドリル
で置換されていてもよいD−AlaまたはC7-10アラル
キル基で置換されていてもよいD−Hisが挙げられ
る。R3としては、さらに、Gly、D−Leu、D−
Trp、3−メチル−D−Val、D−Ser、t−ブ
トキシ−D−Ala、2−ナフチル−D−Ala、2−
メチルインドリル−D−Ala、ベンジルイミダゾール
−2−イル−D−Ala(=Nim−ベンジル−D−Hi
s)が好ましい。
【0015】R4はLeu、IleまたはNleを表わ
すが、なかでも、Leuが好ましい。R5で表わされる
保護されたArgにおける保護基としては、例えば、ア
ルコキシベンゼンスルホニル基、トリアルキルベンゼン
スルホニル基等が挙げられる。該アルコキシベンゼンス
ルホニル基としては、C1-6アルコキシで置換されたベ
ンゼンスルホニル基が好ましく、例えば、p−メトキシ
ベンゼンスルホニル基、p−エトキシベンゼンスルホニ
ル基、p−イソプロポキシベンゼンスルホニル基などが
挙げられるが、特に好ましくはp−メトキシベンゼンス
ルホニル基である。該トリアルキルベンゼンスルホニル
基におけるアルキルとしては、同一または異なるC1-6
アルキルが好ましい。該C1-6アルキルとしては、例え
ば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチ
ル、n−ペンチル、t−ペンチルなどが挙げられる。ト
リアルキルはベンゼンスルホニル基におけるベンゼン環
の置換可能な任意の位置に位置していてよいが、スルホ
ニル基に対して2位、4位および6位に位置しているこ
とが特に好ましい。具体的には例えば、2,4,6−トリ
メチルベンゼンスルホニル基、2,4,6−トリエチルベ
ンゼンスルホニル基、2,4,6−トリプロピルベンゼン
スルホニル基、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンス
ルホニル基、2,4,6−トリ−t−ブチルベンゼンスル
ホニル基などが挙げられる。
【0016】R5で表わされる保護されたArgにおけ
る保護基の好ましいものとしては、C1-6アルコキシ−
ベンゼンスルホニル基が挙げられ、好ましく、なかで
も、p−メトキシベンゼンスルホニル基、p−エトキシ
ベンゼンスルホニル基、p−プロポキシベンゼンスルホ
ニル基、p−イソプロポキシベンゼンスルホニル基等が
好ましく、なかでも、p−メトキシベンゼンスルホニル
基が最も好ましい。基R6中の基R7およびR8で表わさ
れる水酸基を有していてもよいアルキル基におけるアル
キル基としては、C1-4アルキル基が挙げられ、これら
は置換可能な任意の位置に水酸基を有していてもよい。
該C1-4アルキル基としては、例えばメチル、エチル、
n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチ
ル、sec-ブチル、tert-ブチルが挙げられ、最も好まし
くはエチルである。該水酸基を有していてもよいアルキ
ル基の好ましいものとしては、例えば、ヒドロキシメチ
ル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシ−n−プロ
ピル、4−ヒドロキシ−n−ブチル等が挙げられ、なか
でも2−ヒドロキシエチルが最も好ましい。R9で表わ
される保護基としては、例えば、C1-6アルキル基
(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、
n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、
n−ヘキシル等)、C7-10アラルキル基(例、ベンジ
ル、フェネチル)等が挙げられる。R9で表わされる保
護基としては、C1-3アルキルが好ましく、特に、エチ
ルが好ましい。
【0017】本明細書において、アミノ酸およびペプチ
ドは、IUPAC−IUB Commission on Biological
Nomenclature による略記法および当該分野における慣
用名により表示し、アミノ酸に関して光学異性体があり
得る場合は、特に明記しなければL体を示すものとす
る。また、本明細書中、下記略語を用いる場合もある。 Gly:グリシン Ala:アラニン Val:バリン Leu:ロイシン Ile:イソロイシン Ser:セリン Thr:スレオニン Arg:アルギニン Phe:フェニールアラニン Tyr:チロシン His:ヒスチジン Trp:トリプトファン Pro:プロリン NLe:ノルロイシン NVa:ノルバリン Abu:2−アミノ酪酸 Phg:フェニルグリシン α−Aibu:α−アミノイソ酪酸 p−NH2−Phe:p−アミノフェニルアラニン
【0018】Z:ベンジルオキシカルボニル Pd:パラジウム Pd−C:パラジウム−炭素 Et:エチル AcOH:酢酸 HF:フッ化水素 HBr:臭化水素 DCHA:ジシクロヘキシルアミン DMF:ジメチルホルムアミド DMA:ジメチルアセトアミド THF:テトラヒドロフラン MSA:メタンスルフォン酸 MBS:p−メトキシベンゼンスルホニル DCC:N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド HONB:N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3
−ジカルボキシイミド HOSu:N−ヒドロキシスクシンイミド HOBt:1−ヒドロキシベンツトリアゾール EDA:エチル−3−(3−ジメチルアミノ)プロピル
カルボジイミド塩酸塩 NP:p−ニトロフェニル HPLC:高速液体クロマトグラフィー
【0019】以下に、本願のペプチド(I)またはその塩
の製造法について説明する。ペプチド(I)またはその塩
の製造には多くの合成経路が考えられ、また、個々の合
成経路においては、アミノ基及びカルボキシル基の保護
基、アミド結合の形成方法、該保護基の脱離方法、得ら
れるペプチドの分離・精製方法などに関して、極めて多
くの組み合わせが可能である。その中で、〔図1〕に示
す合成経路は、本願発明方法に係る製造法であり、ペプ
チド(I)を製造する好ましい方法である。本発明の製造
法において特徴とするところは、(1)8位のArgのグ
アニジノ基を保護基で保護し、(2)鍵中間体として2つ
のペプチド(〔図1〕中のペプチド(II)およびペプチド
(III))を合成し、(3)それらの縮合で得られる前駆体ペ
プチド(I')を脱保護基反応に付すことにより8位Ar
gのグアニジノ基の保護基を脱離し、目的とするペプチ
ド(I)またはその塩を得ることにある。本発明のペプチ
ドの塩としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、グ
リコール酸、焦性ブドウ酸、蓚酸、マロン酸、コハク
酸、マレイン酸、フマール酸、酒石酸、クエン酸、p−
トルエンスルフォン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスル
ホン酸などの有機酸や、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン
酸などの無機酸などとの塩が挙げられる。
【0020】1.ペプチド(a)の製造法:〔図1〕に
示される式Z−R2−R3−OR9で表されるペプチド
(a)は、例えば、「ペプチド合成の基礎と実験」泉屋信
夫他(丸善株式会社)、ザ・ペプチド(The Peptides)
Vol.1, 76−136頁,Ebehard Schroeder and Klau
s Luebke 著に記載された方法、あるいはこれと同様の
方法で製造することができる。
【0021】2.ペプチド(a)→ペプチド(b)の製
造法:〔図1〕に示される式Z−Ser−R2−R3−O
9で表されるペプチド(b)は、ペプチド(a)にZ−
Serを導入することにより製造される。まず、ペプチ
ド(a)を脱Z化反応に付す。脱Z化反応は、例えば、
Pd,Pd−C等の触媒を用いる接触還元あるいはHB
r/AcOH処理等の方法を用いることにより行うこと
ができる。該接触還元反応において用いられる溶媒とし
ては、アルコール類(例、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、
t−ブタノール等)、エーテル類(例、THF、ジオキ
サン等)、アミド類(例、、DMF,DMA等)が挙げ
られる。なかでも、DMF,DMAまたはTHFを用い
ると、次工程の縮合反応における濃縮等の操作を省略で
きるので、有利である。反応温度としては、約0〜50
℃、好ましくは約20〜40℃である。反応時間は、約
3〜15時間、好ましくは約5〜10時間である。本反
応は、常圧下において行うのが好ましい。また、還元時
に副生するジケトピペラジンを抑制するために、還元反
応の前に酸を添加し、ペプチド(a)の脱Z化されたペ
プチドをプロトネーション(protonation)反応に付すの
が好ましい。該プロトネーションを行うためには、反応
系に酸が添加される。該酸としては、無機酸、有機酸の
いずれでもよく、例えば、塩酸、硫酸、p−トルエンス
ルホン酸などが挙げられるが、とりわけp−トルエンス
ルホン酸が好ましい。酸の添加量としては、ペプチド
(a)の脱Z化されたペプチドに対して約0.8〜1.5
倍(mole/mole)、好ましくは約1.0〜1.1倍(mol
e/mole)である。HBr/AcOH処理は、通常、無
溶媒で、ペプチド(a)とHBrとを飽和した酢酸とを
混合することにより行われる。反応温度としては、約−
10〜30℃、好ましくは、約10〜20℃である。反
応時間は、約10分〜2時間、好ましくは、約30分〜
1時間である。反応生成物の分離は、例えば、反応液に
エーテル、酢酸エチル等を加えて、生じた沈殿をろ取
し、乾燥することにより行われる。
【0022】Z−Serの導入方法としては、活性エス
テル法を適用し(即ち、Z−Ser−OHを活性エステ
ル化し、これを反応に用いる)、反応温度を最適化する
ことにより分子内での脱水反応を抑制することにより有
利に行うことができる。該活性エステルとしては、ペプ
チド合成において通常用いられるものであればいずれで
もよく、例えば、活性エステル化剤(例、HONB、H
OSu、HOBt)とのエステルなどが挙げられるが、
とりわけHONBとのエステルが好ましい。Z−Ser
−OHを活性エステル化するには、Z−Ser−OHと
活性エステル化剤とを、溶媒〔例、エーテル類(例、ジ
エチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等)、アミド類(例、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド等)、アセトニトリ
ル、エステル酸(例、蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エ
チル等)〕に溶解し、温度約−5〜20℃、好ましくは
約0〜5℃で、約5〜15時間、好ましくは約7〜10
時間反応させることにより行なわれる。脱Z化ペプチド
(a)とZ−Ser−OHの活性エステルとの反応は、
それ自体が反応しない溶媒の中で行われる。該溶媒とし
ては、還元反応において用いられた溶媒を濃縮すること
なくそのまま用いることができるが、なかでも、アミド
類(例、DMF、DMA等)などが好ましい。反応時の
温度としては、低温が好ましく、約−10〜10℃、好
ましくは約−5〜5℃である。反応時間は約5〜20時
間、好ましくは約7〜12時間である。
【0023】3.ペプチド(b)→ペプチド(c)の製
造法:〔図1〕に示される式Z−Trp−Ser−R2
−R3−OR9で表されるペプチド(c)は、ペプチド
(b)を脱Z化して得られたペプチドとZ−Trp−O
Hとを縮合反応に付すことにより行われる。ペプチド
(b)の脱Z化は、Pd,Pd−C等の触媒を用いる接
触還元、あるいはHBr/AcOH処理等の方法を用い
ることができる。該Pd,Pd−C等の触媒を用いる接
触還元、および、HBr/AcOH処理は、上記のペプ
チド(a)→ペプチド(b)の製造法において記載した
方法と同様にして行うことができる。
【0024】ペプチド(b)を脱Z化して得られたペプ
チドにZ−Trpを導入するには、Z−Trp−OHを
活性エステル化剤(例、HONB、HOBt,HOSu
等)と縮合剤(例、DCC、EDA等)とで活性エステ
ル化物とし、これとペプチド(b)とを反応させること
により、有利に行うことができる。また、Z−Trp−
OHとペプチド(b)とを活性エステル化剤の存在下に
縮合剤を用いて縮合させることもできる。該活性エステ
ル化剤としては、とりわけ、HONBが好ましく、縮合
剤としては、とりわけ、DCCが好ましい。Z−Trp
−OHを活性エステル化するには、上記と同様の方法で
行うことができる。Z−Trp−OHの活性エステル化
物とペプチド(b)とを縮合剤の存在下におこなう反応
においては、反応温度としては、約0〜20℃、好まし
くは約5〜10℃である。反応時間は約5〜20時間、
好ましくは約7〜10時間である。
【0025】4.ペプチド(c)およびペプチド(d)
→ペプチド(e)の製造法:式Z−5−oxo−Pro
−R1−OHで表されるペプチド(d)は、畑中らの方
法〔武田研究所報、第35巻、第16頁(1976
年);バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リ
サーチ・コミュニケーションズ(Biochemical and Biop
hysical Research Communications)、第60巻、第1
345頁、(1974年)〕に記載の方法、あるいはこ
れらと同様の方法で製造することができる。ペプチド
(c)とペプチド(d)とを反応させて、式Z−5−o
xo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OR9
で表されるペプチド(e)を製造するには、ペプチド
(c)とペプチド(d)とを縮合反応に付すことにより
行うことができる。該縮合反応においては、R1残基特
にHis残基の異性化に留意しなけばならないが、その
方法としては、ペプチドのフラグメント縮合において、
異性化を抑制する方法であればいずれも適用することが
できる。該異性化を抑制する方法としては、通常、縮合
剤や、異性化を抑制する添加物が加えられる。該縮合剤
としては、DCC、EDAなどが挙げられる。該添加物
としては、HONB、HOSu、HOBt、HOSuな
どが挙げられる。該縮合剤と該添加物は、これらを自由
に組み合わせて用いてよく、その組み合わせとしては、
例えば、DCC−HONB、DCC−HOSu、DCC
−HOBt、EDA−HOSuなどが挙げられるが、と
りわけDCC−HONBの組み合わせが好ましい。異性
化を抑制するための大きな要因の一つとして反応温度が
あるが、反応温度は約0〜20℃、好ましくは約5〜1
5℃である。反応時間は、約30〜100時間、好まし
くは約50〜80時間である。用いられる溶媒として
は、例えば、アミド類(例、DMF、DMA),エーテ
ル類(2−メチルピロリドン、THF,ジオキサン等)
が挙げられる。
【0026】5.ペプチド(e)→ペプチド(IV)の製
造法:式Z−5−oxo−Pro−R1−Trp−Se
r−R2−R3−OR9で表されるペプチド(e)を脱Z
化することにより、ペプチド(IV)を製造することがで
きる。ペプチド(e)の脱Z化は、Pd,Pd−C等の
触媒を用いる接触還元、あるいはHBr/AcOH処理
等の公知の方法により行なうことができる。該Pd,P
d−C等の触媒を用いる接触還元においては、溶媒とし
て、アミド類(例、DMF、DMA),エーテル類(2
−メチルピロリドン、THF,ジオキサン等)、t−ブ
タノールなどがが用いられる。反応温度は、約0〜50
℃、好ましくは、約25〜40℃である。反応時間は、
約1〜10時間、好ましくは約3〜6時間である。HB
r/AcOH処理は、上記ペプチド(a)→ペプチド
(b)の製造において記載した方法と同様にして行うこ
とができる。
【0027】6.ペプチド(IV)→ペプチド(II)の製
造法 ペプチド(IV)を加水分解反応に付し、ついで、所望によ
り、反応液を中和することにより、ペプチド(II)を製
造することができる。該加水分解反応は、アルカリの存
在下で、水中において、低温で行うことが好ましい。必
要により、水とアルコールとの混液中で行うこともでき
る。該アルコール類としては、例えば、メタノール、エ
タノール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール
等があげられるが、水−アルコール類の混液中でのアル
コール類の混在量は、約1〜30%(V/V)、好ましくは
約1〜10%(V/V)である。アルコールの量的割合が多
くなる程、加水分解の反応速度が遅くなり、一方で、2
位R1および4位Serの異性化が有意に増加する(R1
がHisの場合)。これらの異性体はカラムクロマトグ
ラフィー等による精製においても効果的に除去すること
が困難であり、本発明の目的化合物〔ペプチド(I)〕の
品質を低下させる要因となる。
【0028】反応溶媒中には、前工程において用いられ
たDMF、THF等の溶媒が含まれていてもよいが、こ
れら溶媒の含量は反応速度を著しく低下させない程度、
即ち約1〜20%(V/V)、さらに好ましくは、約5〜
10%(V/V)が好ましい。該加水分解反応は、アルカ
リの存在下で行われる。該アルカリとしては、例えば、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウ
ム、水酸化バリウムなどが挙げられる。加水分解反応速
度並びに2位Hisおよび4位のSerの異性化は、用
いるアルカリの量および反応液中での濃度によって大き
な影響を受ける。そこで、アルカリの量は、ペプチド(I
V)の約2.5〜5倍mole/mole、好ましくは、約3〜4倍
mole/moleが用いられる。特に、反応液中での初期アル
カリ濃度としては、好ましくは約0.05〜0.3mole/l
iterで、さらに好ましくは約0.1〜0.2mole/literで
ある。該反応温度は、後処理、即ち、中和が完了するま
では約−10〜10℃、好ましくは、約−5℃〜5℃に
維持する。均一な反応温度を維持するために、反応液
を、攪拌することが好ましい。該反応は、通常約1.5
〜3時間で終了する。好ましくない異性化を最小限に抑
制するために、反応終了後直ちに低温下において中和処
理を行うことが望ましい。該中和処理の温度は、約−5
〜5℃、好ましくは約−2〜2℃である。該中和処理
は、反応液に酸(例、塩酸、硫酸など)を加えることに
より行われる。
【0029】ペプチド(II)は、次に示す方法により結晶
化することができる。すなわち、前述したペプチド(IV)
の加水分解液を中和する際に析出するゲル状物を、加熱
溶解し、ついで徐冷して、ペプチド(II)を晶出させる。
該加熱溶解は、約60〜80℃、このましくは、約65
〜75℃で撹拌下に行うのが好ましい。該徐冷の際には
種晶を加えることによって晶出が容易になる。該種晶の
添加時期は、種晶が溶解せず、加熱溶解液が再びゲル状
に変化しない温度範囲であればいつでもよいが、好まし
くは加熱溶解液が約35〜45℃の時点である。該徐冷
は、約1〜3時間を要して、約15〜30℃となるよう
にする。
【0030】晶出を完成させるために、さらに、熟成を
行うのが好ましい。物性的に優れたペプチド(II)の結
晶を収率よく得るためには、熟成時間として、通常約3
0〜150時間を必要とするが、好ましくは約60〜1
00時間である。熟成温度は約10〜35℃、好ましく
は約10〜30℃であるが、より好ましくは約15〜2
5℃である。熟成を開始する時点におけるペプチド(II)
の溶液の濃度を、約0.01〜0.05mole/liter、好ま
しくは約0.02〜0.04mole/literとすると、晶出に
好都合である。
【0031】熟成時においては、晶出時間の短縮、収率
の確保を図るために、ペプチド(II)含有液を断続的に攪
拌することが好ましい。該撹拌としては、例えば熟成の
全工程の時間の開始から2/3までは、5時間毎に1分
間約30〜35rpmで撹拌し、2/3の工程から最後
までは、0.5時間毎に1分間約30〜35rpmで撹
拌するのが好ましい。具体的には例えば、熟成時間が6
0時間の場合、晶出開始時より40時間までは5時間毎
に1分間33rpmで撹拌し、40時間後は0.5時間
毎に1分間33rpmで撹拌するのが好ましい。上記し
たペプチド(II)の結晶化法により、ペプチド(c)→
ペプチド(e)の縮合反応時及びペプチド(IV)→ペプチ
ド(II)の加水分解反応時に副生するHis異性体、ペ
プチド(IV)→ペプチド(II)の加水分解反応時に副生す
るSer異性体などの最終製品の品質を左右する混在物
の繁雑な除去操作、並びにペプチド(IV)の単離操作の省
略が可能となる。このようにして得られたペプチド(I
I)の結晶は、Li、Na、K、Ca、Baなどのアル
カリ金属との塩、トリエチルアミン、シクロヘキシルア
ミン、ジシクロヘキシルアミンなどとの塩として得られ
る。
【0032】7.ペプチド(III)の製造法:ペプチド
(III)またはその塩の製造は、例えば 藤野らの方法
〔M.Fujinoら:アーカイブス・オブ・バイオケミストリ
ー・アンド・バイオフィジックス(Archives of Bioche
mistry and Biophysics, 154, 488(1973);ケミカル・
アンド・ファーマシューティカル・ブレティン(Chemic
al and Pharmaceutical Bulletin, 23, 229 (1975)〕
に記載の方法またはそれと同様の方法によって製造する
ことができる。ペプチド(III)は塩酸、臭化水素酸、
硫酸、p−トルエンスルフォン酸、トリフルオロ酢酸、
メタンスルフォン酸などとの塩として、結晶化等の通常
の手段により分離・採取して、あるいは溶液状態のまま
次工程で用いることもできる。溶液状態のまま次工程で
用いる場合には、アミド結合形成反応に先立って、塩基
による中和あるいはイオン交換樹脂などによる塩基の除
去などが必要になる。
【0033】8.ペプチド(II)およびペプチド(III)→
(I')の製造法:ペプチド(II)とペプチド(III)とか
ら、縮合反応によって、ペプチド(I')を製造する方法
は、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。該反
応に悪影響を及ぼさない溶媒としては、例えば、DM
F、DMA、N−メチルピロリドン、ジクロルメタン、
ジクロロエタン、THF、ジオキサンなどが挙げられ、
これらの溶媒は、適宜混合して用いることもできる。該
溶媒としては、好ましくはジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミドである。ペプチド(III)の使用量
は、ペプチド(II)に対して約0.5ないし2モル当
量、好ましくは約1ないし1.5モル当量である。反応
温度は、通常約0〜40℃、好ましくは約5〜25℃で
ある。なお、反応温度がこれからはずれると、R3の異
性化(ラセミ化)が起こりやすくなり、不都合である。
反応時間は、通常約30〜60時間、好ましくは約40
〜50時間である。該縮合反応においては、R3残基の
異性化に留意しなけばならないが、その方法としては、
ペプチドのフラグメント縮合において、異性化を抑制す
る方法であればいずれも適用することができる。該異性
化を抑制する方法としては、通常、縮合剤や、異性化を
抑制する添加物が加えられる。該縮合剤としては、DC
C、EDAなどが挙げられる。該添加物としては、HO
NB、HOSu、HOBtなどが挙げられる。該縮合剤
と該添加物は、これらを自由に組み合わせて用いてよ
く、その組み合わせとしては、例えば、DCC−HON
B、DCC−HOSu、DCC−HOBt、EDA−H
OSuなどが挙げられるが、とりわけDCC−HONB
の組み合わせが好ましい。縮合剤は、ペプチド(II)に対
して、約1〜3倍(mole/mole)、好ましくは、約1〜
2倍(mole/mole)の量が用いられる。添加物は、ペプ
チド(II)に対し、約1〜4倍(mole/mole)、好ましく
は約1.5〜2.5倍(mole/mole)が用いられる。ま
た、ペプチド(II)の反応溶媒中での初期濃度は、約0.
05〜0.2mole/L、好ましくは、約0.08〜1.5mol
e/Lである。ペプチド(III)は、ペプチド(II)に対し、約
0.8〜2倍(mole/mole)、好ましくは約1〜1.3倍
(mole/mole)である。
【0034】9.ペプチド(I')→ペプチド(I)の製
造法:ペプチド(I')のArg残基の保護基を脱離し、
ペプチド(I)を得る脱保護反応は、例えば,ペプチド
(I')を、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中または無溶
媒下で、酸で処理することにより行われる。該反応に悪
影響を及ぼさない溶媒としては、例えば、ジクロルメタ
ン、ジクロルエタン、ジオキサン、トリフルオロ酢酸な
どが挙げられ、これらの溶媒は、適宜混合して用いるこ
ともできる。該脱保護反応において、用いられる酸とし
ては、例えば、C1-6アルキルスルホン酸(例、メタン
スルホン酸、エタンスルホン酸など)、ハロゲノスルホ
ン酸(例、クロルスルホン酸、フルオロスルホン酸、ブ
ロモスルホン酸)、ルイス酸(例、ボロン・トリス・ト
リフルオロアセテートなど)などが挙げられ、なかでも
1-6アルキルスルホン酸が好ましい。さらに好ましく
はC1-3アルキルスルホン酸であり、メタンスルホン酸
が特に好ましい。該脱保護反応において、処理に用いら
れる酸の使用量は、ペプチド(I')に対し、約5〜25
(W/W)倍、好ましくは約10〜20(W/W)倍である。
該脱保護反応における反応温度は、通常約0〜20℃、
好ましくは約5〜15℃である。反応時間は、通常約2
〜8時間、好ましくは約4〜6時間である。該脱保護反
応は、好ましくは、無溶媒下で、メタンスルホン酸を用
いて行われる。また、該脱保護反応の際、ラジカル捕捉
剤(ラジカルスカベンジャー)(例、フェノール、アニ
ソールなど)または酸化防止剤(例、チオグリコール酸
など)を適宜添加して用いてもよい。これらの使用量
は、上記反応生成物に対し、それぞれ約0.8〜2.0
(W/W)倍、約0.05〜2.0(W/W)倍である。
【0035】脱保護反応をC1-6アルキルスルホン酸を
用いて行う場合、反応液から該アルキルスルホン酸を除
去する方法としては、例えば反応液をエーテル類で洗浄
し、洗浄液に水を溶解し、溶解液をアニオン交換樹脂カ
ラムに付す方法が挙げられる。しかしながら、この方法
を工業的に用いる場合、C1-6アルキルスルホン酸のエ
ーテル類に対する溶解度が低いため、エーテル類の大量
使用が避けられず、危険性を伴うため、大量のアルキル
スルホン酸を水と混合する際及びイオン交換樹脂カラム
に付す際の急激な発熱による危険性、およびその発熱に
よる目的ペプチドの分解などの問題により、工業的方法
としては、設備的にも、操作性、安全性の観点からも実
用的ではない。従って、これらの問題がなく工業的に有
利な方法としては、例えば、塩基性水溶液を用いる直接
的な中和による、反応液から該アルキルスルホン酸を除
去する方法が挙げられる。しかし、大量の強酸を中和す
る本中和反応においては、大量処理が可能である一方、
当然激しい中和熱の発生が予想され、大量に発生する中
和液の処理という問題に加え、塩基性水溶液中での目的
ペプチドにおけるペプチド結合の開裂、アミノ酸残基の
異性化など目的化合物の品質に及ぼす悪影響が当初予想
され、ペプチド化合物の常識的な取扱いの範囲を越えた
ものであると考えられた。
【0036】しかしながら、本願発明者らは、本中和反
応における中和熱の吸収方法、操作方法等を鋭意検討、
反応条件の最適化を行った結果、予想外にも、品質的に
満足できる目的化合物が高収率で得られることを見出
し、本中和反応方法の工業的処理方法を確立するに至っ
た。即ち、本願発明における製造法においては、冷却さ
れた無機または有機塩基の水溶液に低温を維持しながら
反応液を滴下して、過剰の塩基をアルキルスルホン酸で
中和すれば、目的ペプチドにおける構成アミノ酸残基の
異性化を抑制しつつ、目的化合物を固体または油状物と
して分離回収できる。該無機塩基としては水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどが、また、該
有機塩基としてはピリジン、トリエチルアミンなどが用
いられるが、炭酸カリウムがとりわけ好ましい。塩基と
して炭酸塩を用いる場合は、炭酸ガス発生に伴う発泡が
著しいが、酢酸エチル、ベンゼン等の有機溶媒を適量混
在させてこれを防ぐことができる。無機又は有機塩基の
必要量は、アルキルスルホン酸を中和するのに十分な量
があれば目的を達成することが出来るが、好ましくはア
ルキルスルホン酸に対し、約1〜1.3倍当量を用い
る。
【0037】該中和反応時の液温は、アミノ酸残基の異
性化あるいはペプチド鎖の加水分解などを抑制するため
に、また、無機塩基または有機塩基の水溶液の氷結を防
ぐために、約−15℃〜15℃、好ましくは、約−5℃
〜5℃に維持することが好ましい。該中和反応後、目的
化合物は、通常、中和液から固体もしくは油状物として
分離するので、濾過あるいは分液など公知の方法で適宜
分離回収することができる。該中和反応後、分離回収さ
れた目的化合物は、所望により自体公知の方法により、
分離・精製操作を行うことができる。比較的少量の目的
化合物を精製する場合には、クロマトグラィーなどの手
段を用いればよく、大量の目的化合物を精製する場合に
は、その化合物特有のイオン的性質、極性などの溶液物
性、芳香族性、分子量などを利用して、例えばカラムク
ロマトグラフィー(例、液体カラムクロマトグラフィ
ー、好ましくは、高速液体カラムクロマトグラフィー)
を数種組み合わせる手段を用いればよい。分離・回収法
としては、上記の反応液において分離した遊離体の油状
物をカラムクロマトグラフィーで精製することが好まし
い。
【0038】工業的観点から好ましい分離・精製手段と
しては、例えばアンバーライトXAD−2(Rohm & H
ass CO,USA(ローム・アンド・ハース社;米国))、ダイ
ヤイオンHP−20(三菱化学;日本)などのハイポー
ラス樹脂、カルボキシメチルセルロース(CMC、CM
−23(ワットマン;米国))、アンバーライトCG−5
0(Rohm & Hass CO,USA(ローム・アンド・ハース
社;米国))などのイオン交換樹脂、セファデックスLH
−20(ファルマシアファインケミカルズ;スウェーデ
ン)などの分子篩樹脂を用いるカラムクロマトグラフィ
ーを適宜組み合わせる手段が挙げられる。該手段は、操
作的に単純で、安全性に優れ、収率・品質面で再現性が
得られ、経済的にも有利である。カラムクロマトグラフ
ィーの組み合わせとしては、例えば以下に詳述するダイ
ヤイオンHP−20(前述)(第1回目)→ CM−2
3(前述)→ ダイヤイオンHP−20(第2回目)→
セファデックスLH−20(前述)の順の組み合わせが
挙げられる。ペプチド含有水溶液は、一般に、濃縮時に
激しい発泡を伴うために、濃縮を必要とする場合には凍
結乾燥機などの特殊な装置や消泡剤の添加等が必要とな
る。上記カラムクロマトグラフィーの組み合わせは、各
カラムクロマトグラフィーで得られる有効画分の濃縮、
特にCM−23で得られる大量の有効画分水溶液の濃縮
操作の省略を可能にしたものであり、操作性、経済性の
観点から有利であるばかりでなく、濃縮に伴うペプチド
の分解を抑えて品質の向上にも寄与している。
【0039】ダイヤイオンHP−20(第1回目)カラ
ムクロマトグラフィーは、脱保護反応後の反応液から分
離した粗目的化合物を含む固体あるいは油状物中に混在
する無機物、保護基脱離時に添加するラジカルスキャベ
ンジャーおよびその反応生成物、必要に応じて用いられ
る酸化防止剤および少量混在する目的化合物の異性体な
どを除くのが主目的である。ダイヤイオンHP−20
(第1)カラムクロマトグラフィーにおいて、ダイヤイ
オンHP−20の量は目的化合物に対して20〜40倍
(V/W)、好ましくは25〜35倍が用いられる。目的
化合物及び夾雑物の溶出は通常、アセトン、メタノー
ル、エタノールの水溶液で行うが、エタノールを用いる
場合の具体的な精製法を例示する。先ず最初に、目的化
合物を含む水溶液をダイヤイオンHP−20のカラムに
付し、カラムを設定量の、pHを酢酸で5〜7に調節し
た酢酸ナトリウム水、酢酸アンモニウム水、10%エタ
ノール(V/V)で順次洗浄して類縁物質を溶出後、15
%エタノール(V/V)、35%エタノール(V/V)で目的
化合物を順次溶出し、予め設定した所望の画分を集め
る。CM−23カラムクロマトグラフィーは、目的化合
物とイオン的に異なる副生物の除去が主目的であるが、
CM−23の量は、通常、目的化合物に対して約35〜
60倍(V/W)、好ましくは約40〜55倍(V/W)が用
いられる。ダイヤイオンHP−20(第1回目)カラム
クロマトグラフィーで溶出された所望の画分からエタノ
ールを留去した溶液をCM−23のカラムに付し、水洗
後、目的化合物を0.015モル酢酸アンモニウム水、
0.03モル酢酸アンモニウム水で順次溶出し、予め設
定した所望の画分を集める。
【0040】ダイヤイオンHP−20(第2回目)カラ
ムクロマトグラフィーは、CM−23カラムクロマトグ
ラフィーの溶出に用いる酢酸アンモニウムの除去と大量
の溶出液の濃縮が主目的である。ダイヤイオンHP−2
0(第2)カラムへはCM−23カラムクロマトグラフ
ィーで得られた所望の画分(濃縮時に発泡を伴う大量の
水溶液)を濃縮操作の必要なく付すことができる。ダイ
ヤイオンHP−20(第2回目)カラムは pHを酢酸で
5〜7に調節した酢酸ナトリウム水、酢酸アンモニウム
水、水で順次洗浄する。ついで15%エタノール(V/
V)、35%エタノール(V/V)で目的化合物を順次溶出
し、予め設定した所望の画分を集める。ダイヤイオンH
P−20(第2)カラムの所望画分(CM−23カラム
の所望画分の約3分の1に濃縮されている)を減圧下に
濃縮し、濃縮液をセファデックスLH−20カラムに付
す。セファデックスLH−20カラムクロマトグラフィ
ーは、発熱性物質、無機物、その他の微量混在物の除去
を目的としている。セファデックスLH−20は目的化
合物の20〜60倍(V/W)、好ましくは30〜50倍
(V/W)が用いられる。LH−20カラムは0.005N
酢酸水で展開し、所望の画分を集める。所望画分は必要
に応じて、濃縮、活性炭処理、膜濾過を行ったのち凍結
乾燥することにより、目的化合物(酢酸塩)を得ること
ができる。
【0041】このようにして得られたペプチド(I)
は、LH−RHアゴニスト作用を有し、例えば、特開昭
50−59370号公報(米国特許第4,008,209
号公報に対応)等に記載の方法で使用することができ
る。
【0042】
【実施例】つぎに、参考例および実施例を挙げて、本発
明をより詳しく説明するが、本発明はこれらに限定され
るものではない。
【0043】参考例1.Z−Tyr−D−Leu−OE
tの製造: Z−Tyr−OH・DCHA 58.8gを酢酸エチル約
300ml、0〜10℃で1規定硫酸を用いて脱塩した。
有機層を分離し、無水芒硝で乾燥した。無水芒硝をろ去
し、ろ液にD−Leu−OEt 24.3g、トリエチル
アミン12.6g、DCC 26.8gを加え、約5℃で
約2時間、約10℃で5時間攪拌した。反応液に1規定
塩酸60mlを加えてろ過した。ろ液を分液し、有機層を
食塩水、重曹水で洗浄した後に酢酸エチルを留去した。
残渣にイソプロピルエーテルを加え、析出した結晶をろ
取し、酢酸エチル−イソプロピルエーテルから再結晶
し、乾燥し、標記ペプチドを得た。 収量:41.6g(77%)。 融点:116〜118℃。 比旋光度〔α〕D 25=−3.4°(c=1,DMF)。
【0044】参考例2.Z−Ser−Tyr−D−Le
u−OEtの製造: Z−Tyr−D−Leu−OEt 40.5g、p−トル
エンスルホン酸・1水和物16.9gをDMF約300m
lに溶解して、5%Pd−Cを約5gの存在下で20〜
35℃で水添し、反応終了後触媒をろ去した。別途、Z
−Ser−OH 23.3g、HONB 19.2gをDM
F 300mlに溶かし、DCC 22.1gを加えて、0
〜5℃で約7時間攪拌し、これに先の還元反応液を加え
た。混合液を約0℃に冷却し、トリエチルアミン9gを
滴下した後、−5〜5℃で約10時間攪拌、室温で一夜
放置した。析出結晶をろ去し、ろ液を減圧濃縮し、濃縮
残渣を酢酸エチルに溶解した。酢酸エチル溶液を1規定
塩酸、食塩水、重曹水で洗浄した後、無水芒硝で乾燥し
た。芒硝をろ去し、ろ液を減圧濃縮し、濃縮残渣にイソ
プロピルエーテルを加え、析出した結晶をろ取し、粗結
晶を酢酸エチルから再結晶し、乾燥し、標記ペプチドを
得た。 収量:37.6g(77%)。 融点:134〜136℃。 比旋光度〔α〕D 25=−4.8°(c=1,DMF)。
【0045】参考例3.Z−Trp−Ser−Tyr−
D−Leu−OEt(ZTSTLE)の製造: Z−Ser−Tyr−D−Leu−OEt 36.2gを
DMF 300mlに溶解して5%Pd−C約5gの存在
下で25〜35℃で水素添加し、反応終了後触媒をろ去
した。別途、Z−Trp−OH 21.4g、HONB
11.9g、をDMF約300mlに溶かし、DCC 1
3.7gを加え、5〜10℃で約7時間攪拌し、これに
先の還元反応液を加えた。混合液を10〜15℃約7時
間攪拌し、室温で一夜放置した。析出結晶をろ去し、ろ
液を減圧濃縮し、濃縮残渣を酢酸エチルに溶解した。酢
酸エチル溶液を1規定塩酸、食塩水、重曹水で洗浄した
後、無水芒硝で乾燥した。芒硝をろ去し、ろ液を減圧濃
縮し、濃縮残渣にイソプロピルエーテルを加え、析出し
た結晶をろ取し、粗結晶を酢酸エチル−イソプロピルエ
ーテルから再結晶し、乾燥し、標記ペプチドを得た。 収量:41.3g(85%)。 比旋光度〔α〕D 25=−10.0°(c=1,EtO
H)。
【0046】参考例4.Z−5−oxo−Pro−Hi
s−Trp−Ser−Tyr−D−Leu−OEtの製
造: Z−Trp−Ser−Tyr−D−Leu−OEt(Z
TSTLE)55.7gをDMF約350mlに溶解して
5%Pd−C(wet)約12gの存在下、約30℃で水添
し、反応終了後触媒をろ去した。ろ液にZ−5−oxo
−Pro−His−OH・1.5H2O 32.6gとHO
NB 27.4gを加えて溶解した。溶解液を2〜8℃に
冷却してDCC 20.5gを加え、約8℃で約60時間
攪拌した。反応液を約40℃で約2時間攪拌後、不溶物
をろ去し、ろ液を減圧濃縮した。濃縮液に酢酸エチル約
1Lを約60℃で加えた後、20〜25℃で攪拌した。
析出した結晶をろ取し、得られた粗結晶をDMF約23
0mlと酢酸エチル約530mlの混液中で懸濁攪拌した
後、ろ取した。得られた標記ペプチドの精結晶(ZPG
LE)は乾燥することなしに、次工程の還元反応に供し
た。
【0047】参考例5.5−oxo−Pro−His−
Trp−Ser−Tyr−D−Leu−OEtの製造: 参考例4で得られたZPGLEをDMF約900mlに溶
解し、5%Pd−C(wet)15gの存在下、約30℃で
水添し、反応終了後触媒をろ去した。標記ペプチドを含
有するろ液を約180mlまで濃縮して,次工程の加水分
解反応に供した。
【0048】参考例6.Z−Leu−ONPの製造: Z−Leu−OH 125gおよびp−ニトロフェノー
ル65.5gを酢酸エチル1.2Lに溶解し、0〜5℃で
DCC 107gの酢酸エチル溶液を滴下し、10〜2
5℃で攪拌した。反応終了後、析出結晶をろ去し、ろ液
を減圧濃縮した。濃縮残渣をエタノールに溶解し、晶出
した結晶をろ取し、真空乾燥し,標記ペプチドを得た。 収量:142g(78%)。 融点:92〜94℃。 比旋光度〔α〕D 25=−42.5°(c=1,CH3
H)。
【0049】参考例7.Z−Arg(MBS)−Pro−
NHC25の製造: Z−Arg(MBS)OH・DCHA 34.1gを酢酸エ
チル400mlに懸濁し、0〜10℃で1規定硫酸57ml
を加え、攪拌、分液し、有機層を芒硝水で洗浄し、減圧
濃縮した。一方、Z−Pro−NHC25 15.7gを
ジメチルアセトアミド30mlに溶解し、5%Pd−C
2.3gの存在下で水添し、反応終了後触媒をろ去し
た。ろ液でZ−Arg(MBS)OHを含んだ濃縮残渣、
HONB 9.4gを溶解した。これにDCC 12.8g
のジメチルアセトアミド溶液を滴下して、10〜20℃
で攪拌した。反応終了後析出した結晶をろ去し、ろ液を
減圧濃縮した。濃縮液を酢酸エチル450mlに溶解し、
1規定塩酸、食塩水、重曹水で洗浄した後、酢酸エチル
を減圧で留去した。濃縮残渣を酢酸エチルとエタノール
の混液で処理して粗結晶を得、これをエタノールから再
結晶し、真空乾燥し,標記ペプチドを得た。 収量:22.4g(72%)。 比旋光度〔α〕D 25=−33.0°(c=1,CH3
H)。
【0050】参考例8.Z−Leu−Arg(MBS)−
ProNHC25(ZLAP)の製造: Z−Arg(MBS)−ProNHC25 20.3g及び
p−トルエンスルホン酸・一水和物6.4gをDMF 1
60mlに溶解し、5%Pd−C 2.3gの存在下で水添
し、反応終了後触媒をろ去した。ろ液にトリエチルアミ
ン3.4gを冷却下に加え、これにZ−Leu−ONP
13.6gを加えて10〜15℃で攪拌した。反応終了
後減圧濃縮し、濃縮残渣を酢酸エチル120mlに溶解
し、希塩酸、重曹、水で順次洗浄した。酢酸エチルを留
去し、濃縮残渣をシリカゲルカラムに付し、カラムを酢
酸エチル−イソプロピルエーテルの混液(1:1)、酢
酸エチル−メタノールの混液(3:2)で順次展開し、
有効画分を集めて減圧濃縮した。濃縮残渣を酢酸エチル
に溶解し、イソプロピルエーテルを加えて、生じた沈殿
をろ取し、真空乾燥し、標記ペプチドを得た。 収量:22.2g(92%)。 比旋光度〔α〕D 25=−39.0°(c=1,CH3CH2
OH)。
【0051】実施例1.5−oxo−Pro−His−
Trp−Ser−Tyr−D−Leu−OH(PGLO
H)の製造: 参考例5で得られた濃縮液に、水酸化ナトリウム8.3
gを水1Lに溶解した液を−3〜0℃で滴下し、約0℃
で約2時間攪拌した。反応終了を確認後、1規定塩酸2
10mlを約0℃で滴下して中和し、結晶を析出させた。
析出した結晶を加熱溶解し、加熱下に活性炭1.5gを
加えて攪拌後、活性炭をろ去した。ろ液を徐冷し、15
〜25℃で35時間攪拌した。晶出結晶をろ取し、約6
0℃で真空乾燥し、標記ペプチドを得た。 収量:39.9g(59.2%、参考例3のZTSTLE
基準)。 比旋光度〔α〕D 25=−21.5°(c=0.5,DM
F)。 なお、本溶媒系での20℃での反応における1時間後の
2位Hisおよび4位Serにおける好ましくない異性
化は、それぞれ1.3%、4.8%であるのに対し、0℃
での反応ではそれぞれ0.2%, 0.44%であった。ま
た、本発明方法による結晶化法は、諸々の類縁物質を効
果的に除去するが、最も注目すべき類縁物質であるHi
s異性体及びSer異性体に焦点を当ててその除去効果
の一例を〔表1〕に示す。
【0052】
【表1】 *) ペプチド(c)→ペプチド(e)の縮合時に副生した
〔D−His2 〕 体も含む。
【0053】実施例2.5−oxo−Pro−His−
Trp−Ser−Tyr−D−Leu−OH(PGLO
H)の結晶の製造: 参考例5で得られた濃縮液に、水酸化ナトリウム8.3
gを水1Lに溶解した液を0〜3℃で滴下し、約0℃で
約2時間攪拌した。反応終了を確認後、1規定塩酸21
0mlを約0℃で滴下して中和し、結晶を析出させた。析
出した結晶を加熱溶解し、加熱下に活性炭1.5gを加
えて攪拌後、活性炭をろ去した。ろ液を徐冷し、18〜
22℃で80時間熟成した。晶出結晶をろ取し、約60
℃で真空乾燥し、標記ペプチドを得た。 収量:42.9g(63.6%、参考例3のZTSTLE
基準)。 比旋光度〔α〕D 25=−21.8°(c=0.5,DM
F)。
【0054】実施例3.5−oxo−Pro−His−
Trp−Ser−Tyr−D−Leu−Leu−Arg
(MBS)−ProNHC2H5 (MBSTAPと略する)
の製造: ZLAP 35.6gをDMF 350mlに溶解し、5%
Pd−C 7.3gの存在下で水添し、反応終了後触媒を
ろ去した。ろ液にPGLOH 36.9gとHONB 1
6.2gを加えて溶解し、4〜8℃でDCC 14gのD
MF溶液を滴下し、約8℃で15時間、約20℃で約3
0時間攪拌した。反応終了後析出した結晶をろ去し、ろ
液を減圧濃縮した。濃縮残渣をエタノール約200mlに
溶解し、これに酢酸エチル約2.3Lを加えて、生じた
結晶性固体をろ取した。粗体をエタノール約220mlに
溶解し、これに酢酸エチル約900mlを加え、生じた固
体をろ取し、ジクロルメタンで洗浄してMBSTAPの
湿体を得た。乾燥操作を省略して次工程の脱MBS反応
に供した。HPLCで定量し、MBSTAPが51.1
g(82%)得られていることを確認した。
【0055】実施例4.5−oxo−Pro−His−
Trp−Ser−Tyr−D−Leu−Leu−Arg
−ProNHC25・CH3 COOH(TAP−144
と略する) の製造: (1)脱MBS化:フェノール60gをメタンスルホン酸
800gに溶解し、冷却下に、実施例10で得られたM
BSTAPの湿体(MBSTAP 51.1g相当)を加
え、約10℃で5時間攪拌した。別途、水2Lに炭酸カ
リウム690gを溶解し、酢酸エチル約400mlを混ぜ
て、−2〜0℃に冷却したアルカリ液を調製した。アル
カリ液に脱MBS反応液を約0℃を保ちながら滴下し
た。滴下後分液し、上層(油状物と酢酸エチル層)に p
H4緩衝液(約0.1規定酢酸ナトリウム約3Lと酢酸
約58mlの混液)を加えて油状物を溶解、分液し、水層
を酢酸エチルで洗浄した。水層に20%(w/w)炭酸カ
リウム溶液を加えて pHを約6とし、析出した油状物
を取り除き、TAP−144を含有する水溶液を得た。
【0056】(2)粗TAP−144の精製:DAIAI
ON・HP−20(商品名)のカラム(約1.2L)
に、上記(1)項で得たTAP−144を含有する水溶液
を通液した。通液後、0.3M酢酸ナトリウム溶液(酢
酸で pH6.2に調節)約2.5L、0.025M酢酸ア
ンモニウム水約3L、10%エタノール4.3Lで順次
洗浄した。次に15%エタノール9.5L、35%エタ
ノール9.5Lを通液し、有効画分を集め、エタノール
を減圧留去した。(S1−TAP) ここで得られたS1−TAPをCM−23(商品名)の
カラム(約1.7L)に通液し、水2Lで洗浄後、0.0
15M酢酸アンモニウム水15L、次に0.03M酢酸
アンモニウム水15Lで目的化合物を溶出するカラムク
ロマトグラフィーを行い、有効画分を集めた(S2−T
AP)。S2−TAPをDAIAION・HP−20
(商品名)のカラム(約0.7L)に通液し、0.3M酢
酸ナトリウム溶液(酢酸で pH6.2に調節)約2.1
L、0.01M酢酸アンモニウム水3.2L、水0.7L
で順次洗浄した後、15%エタノール4.3L、35%
エタノール5.4Lで溶出するカラムクロマトグラフィ
ーを行い、有効画分を集めて約200mlに減圧濃縮し
た。濃縮液を SephadexLH−20(商品名)カラム
(約10L)に付し、0.005N酢酸水で展開し、有
効画分を集めた。有効画分を活性炭処理、限外ろ過、濃
縮、凍結乾燥を行ってTAP−144を31.8g(収
率:67.6%)得た。 含量:99.8%(HPLC,内標基準)。 旋光度〔α〕D 20=−39.0°(c=1,1%酢酸)。 吸光度:57(281nm)、55(289nm)。
【0057】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、i)加水分解
反応時の2位 His および4位 Ser の異性化を最小限に
抑制される、ii)ペプチド(II)が物性的に優れた結晶
として得られ、縮合時及び加水分解時に副生する異性体
の除去が可能である、iii)アルキルスルホン酸処理に
よるアルコキシベンゼンスルホニル基の脱離後の目的化
合物を工業的規模で分離できる、iv)目的化合物を工業
的規模で精製できる、v)ペプチド(b)を副生物の生成
を抑制しつつ収率よく得ることができる、vi)ペプチド
(e)およびペプチド(I')の乾燥操作およびペプチド(I
V)の単離操作を省略できるなど、多くの利点がある。従
って、LHRHのアゴニストとしての作用を有するペプ
チド(I)を工業的規模で有利に製造できる。
【0058】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴: 存在位置:1 他の特徴:Xaa = Z-Trp 存在位置:3 他の特徴:Xaa = Tyr または Phe 存在位置:4 他の特徴:Xaa = 置換基を有していてもよい Gly-OR (R
= 保護基)または置換基を有していてもよいα-D-アミ
ノ酸残基-OR (R = 保護基)
【0059】配列番号:2 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴: 存在位置:1 他の特徴:Xaa = Z-5-oxo-Pro 存在位置:2 他の特徴:Xaa = His, Tyr, Trp または p-NH2-Phe 存在位置:5 他の特徴:Xaa = Tyr または Phe 存在位置:6 他の特徴:Xaa = 置換基を有していてもよい Gly-OR (R
= 保護基)または置換基を有していてもよいα-D-アミ
ノ酸残基-OR (R = 保護基)
【0060】配列番号:3 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴: 存在位置:1 他の特徴:Xaa = 5-oxo-Pro 存在位置:2 他の特徴:Xaa = His, Tyr, Trp または p-NH2-Phe 存在位置:5 他の特徴:Xaa = Tyr または Phe 存在位置:6 他の特徴:Xaa = 置換基を有していてもよい Gly-OR (R
= 保護基)または置換基を有していてもよいα-D-アミ
ノ酸残基-OR (R = 保護基)
【0061】配列番号:4 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴: 存在位置:1 他の特徴:Xaa = 5-oxo-Pro 存在位置:2 他の特徴:Xaa = His, Tyr, Trp または p-NH2-Phe 存在位置:5 他の特徴:Xaa = Tyr または Phe 存在位置:6 他の特徴:Xaa = 置換基を有していてもよい Gly また
は置換基を有していてもよいα-D-アミノ酸残基
【0062】配列番号:5 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴: 存在位置:1 他の特徴:Xaa = 5-oxo-Pro 存在位置:2 他の特徴:Xaa = His, Tyr, Trp または p-NH2-Phe 存在位置:5 他の特徴:Xaa = Tyr または Phe 存在位置:6 他の特徴:Xaa = 置換基を有していてもよい Gly また
は置換基を有していてもよいα-D-アミノ酸残基 存在位置:7 他の特徴:Xaa = Leu, Ile または Nle 存在位置:8 他の特徴:Xaa = 保護された Arg 存在位置:9 他の特徴:Xaa = Pro-NHR (R = (1) Gly-NH-R'(式
中、R' は水素原子または水酸基を有していてもよいア
ルキル基を示す)または (2) NH-R''(式中、R''は水素
原子、水酸基を有していてもよいアルキル基またはウレ
イド基(-NH-CO-NH2)を示す))
【0063】配列番号:6 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴: 存在位置:1 他の特徴:Xaa = 5-oxo-Pro 存在位置:2 他の特徴:Xaa = His, Tyr, Trp または p-NH2-Phe 存在位置:5 他の特徴:Xaa = Tyr または Phe 存在位置:6 他の特徴:Xaa = 置換基を有していてもよい Gly また
は置換基を有していてもよいα-D-アミノ酸残基 存在位置:7 他の特徴:Xaa = Leu, Ile または Nle 存在位置:9 他の特徴:Xaa = Pro−NHR (R = (1) Gl
y-NH-R' (式中、R' は水素原子または水酸基を有してい
てもよいアルキル基を示す)または (2) NH-R''(式
中、R''は水素原子、水酸基を有していてもよいアルキ
ル基またはウレイド基(-NH-CO-NH2)を示す))
【0064】配列番号:7 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴: 存在位置:1 他の特徴:Xaa = Z-Trp 存在位置:4 他の特徴:Xaa = D-Leu-O-C2H5
【0065】配列番号:8 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴: 存在位置:1 他の特徴:Xaa = Z-5-oxo−Pro 存在位置:6 他の特徴:Xaa = D-Leu-O-C2H5
【0066】配列番号:9 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴: 存在位置:1 他の特徴:Xaa = 5-oxo−Pro 存在位置:6 他の特徴:Xaa = D-Leu-O-C2H5
【0067】配列番号:10 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴: 存在位置:1 他の特徴:Xaa = 5-oxo−Pro
【0068】配列番号:11 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴: 存在位置:1 他の特徴:Xaa = 5-oxo−Pro 存在位置:8 他の特徴:Xaa = p-メトキシベンゼンスルホニルで保護
された Arg 存在位置:9 他の特徴:Xaa = Pro-NH-C2H5
【0069】配列番号:12 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴: 存在位置:1 他の特徴:Xaa = 5-oxo−Pro 存在位置:9 他の特徴:Xaa = Pro−NH−C
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における好ましい製造法のフローチャー
トの例を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 38/00 AEF A61K 37/02 AEF C07K 105:00

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OH (II) 〔式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2
    −Pheを、R2はTyrまたはPheを、R3はそれぞ
    れ置換基を有していてもよいGlyまたはα−D−アミ
    ノ酸残基をそれぞれ示す。〕で表わされるペプチドまた
    はその塩と、一般式 H−R4−R5−Pro−R6 (III) 〔式中、R4はLeu,IleまたはNleを、R5は保
    護されたArgを、R6は式Gly−NH−R7(式中、
    7は水素原子または水酸基を有していてもよいアルキ
    ル基を示す)または式NH−R8(式中、R8は水素原
    子、水酸基を有していてもよいアルキル基またはウレイ
    ド基(−NH−CO−NH2)をそれぞれ示す)で表わ
    される基を示す〕で表わされるペプチドまたはその塩と
    を反応させ、一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−R4−R5−Pro−R6 (I') 〔式中の記号は前記と同意義を示す〕で表わされるペプ
    チドまたはその塩を得、ついで、得られたペプチド(I')
    を脱保護基反応に付すことを特徴とする一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−R4−Arg−Pro− R6 (I) 〔式中の記号は前記と同意義を示す〕で表わされるペプ
    チドまたはその塩の製造法。
  2. 【請求項2】R1がHisを、R2がTyrを、R3がG
    ly,D−Leu,D−Trp,C1-4アルキル基で置
    換されていてもよいD−Val,D−Ser,C1-4
    ルコキシ基、ナフチル基もしくは2−メチルインドリル
    で置換されていてもよいD−AlaまたはC7-10アラル
    キル基で置換されていてもよいD−Hisを、R4がL
    euを、R5がC1-6アルコキシベンゼンスルホニル基、
    トリC1-6アルキルベンゼンスルホニル基およびニトロ
    基から選ばれる基で保護されたArgを、R6は式NH
    −R8'(式中、R8'は水素原子または水酸基を有してい
    てもよいC1-3アルキル基をそれぞれ示す)で表わされ
    る基をそれぞれ示す請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】R1がHisを、R2がTyrを、R3がD
    −Leuを、R4がLeuを、R5がC1-6アルコキシベ
    ンゼンスルホニル基で保護されたArgを、R6は式N
    H−R8''(式中、R8''は水酸基を有していてもよいC
    1-3アルキル基を示す)で表わされる基をそれぞれ示す
    請求項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】ペプチド(II)またはその塩とペプチド(II
    I)またはその塩とを、温度約0〜40℃で、約30〜6
    0時間反応させる請求項1記載の製造法。
  5. 【請求項5】脱保護基反応において酸を用いる請求項1
    記載の製造法。
  6. 【請求項6】酸がC1-6アルキルスルホン酸である請求
    項5記載の製造法。
  7. 【請求項7】酸をペプチド(I')に対して約5〜25重量
    倍用いる請求項5記載の製造法。
  8. 【請求項8】請求項1記載のペプチド(I')の脱保護基
    反応を酸の存在下に行ない、得られるペプチド(I)を含
    有する反応液を塩基で中和し、分離した遊離体の油状物
    をカラムクロマトグラフィーで精製することを特徴とす
    るペプチド(I)の分離・精製法。
  9. 【請求項9】一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OR9 (IV) 〔式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2
    −Pheを、R2はTyrまたはPheを、R3はそれぞ
    れ置換基を有していてもよいGlyまたはα−D−アミ
    ノ酸残基を、R9は保護基をそれぞれ示す。〕で表わさ
    れるペプチドまたはその塩。
  10. 【請求項10】R1がHisを、R2がTyrを、R3
    Gly,D−Leu,D−Trp,C1-4アルキル基で
    置換されていてもよいD−Val,D−Ser,C1-4
    アルコキシ基、ナフチル基もしくは2−メチルインドリ
    ルで置換されていてもよいD−AlaまたはC7-10アラ
    ルキル基で置換されていてもよいD−Hisを、R9
    1-6アルキル,C6-10アリールまたはC7-12アラルキ
    ルをそれぞれ示す請求項9記載のペプチドまたはその
    塩。
  11. 【請求項11】R1がHisを、R2がTyrを、R3
    D−Leuを、R9がC1-6アルキル基をそれぞれ示す請
    求項9記載のペプチドまたはその塩。
  12. 【請求項12】一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OR9 (IV) 〔式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2
    −Pheを、R2はTyrまたはPheを、R3はそれぞ
    れ置換基を有していてもよいGlyまたはα−D−アミ
    ノ酸残基を、R9は保護基をそれぞれ示す。〕で表わさ
    れるペプチドまたはその塩を加水分解反応に付すことを
    特徴とする一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OH (II) 〔式中の記号は前記と同意義〕で表わされるペプチドま
    たはその塩の製造法。
  13. 【請求項13】一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OH (II) 〔式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2
    −Pheを、R2はTyrまたはPheを、R3はそれぞ
    れ置換基を有していてもよいGlyまたはα−D−アミ
    ノ酸残基をそれぞれ示す。〕で表わされるペプチドまた
    はその塩の結晶。
  14. 【請求項14】一般式 5−oxo−Pro−R1−Trp−Ser−R2−R3−OH (II) 〔式中、R1はHis,Tyr,Trpまたはp−NH2
    −Pheを、R2はTyrまたはPheを、R3はそれぞ
    れ置換基を有していてもよいGlyまたはα−D−アミ
    ノ酸残基をそれぞれ示す。〕で表わされるペプチドまた
    はその塩の溶液を熟成させることを特徴とするペプチド
    (II)またはその塩の結晶の製造法。
  15. 【請求項15】ペプチド(II)またはその塩の濃度が約
    0.01〜0.05モル/Lである溶液を約10〜70℃
    で約10〜70時間熟成させる請求項14記載の結晶の
    製造法。
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