JPH1067681A - 癌ワクチン及びその製造法 - Google Patents

癌ワクチン及びその製造法

Info

Publication number
JPH1067681A
JPH1067681A JP22624396A JP22624396A JPH1067681A JP H1067681 A JPH1067681 A JP H1067681A JP 22624396 A JP22624396 A JP 22624396A JP 22624396 A JP22624396 A JP 22624396A JP H1067681 A JPH1067681 A JP H1067681A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cancer
cells
treatment
cancer vaccine
cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22624396A
Other languages
English (en)
Inventor
秀男 ▲吉▼田
Hideo Yoshida
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
YOSHIDA SEIBUTSU KENKYUSHO KK
Original Assignee
YOSHIDA SEIBUTSU KENKYUSHO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by YOSHIDA SEIBUTSU KENKYUSHO KK filed Critical YOSHIDA SEIBUTSU KENKYUSHO KK
Priority to JP22624396A priority Critical patent/JPH1067681A/ja
Publication of JPH1067681A publication Critical patent/JPH1067681A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】癌ワクチンの安全で簡単な製造方法を提供す
る。 【解決手段】形状を保持し、かつ、蛋白が熱処理又は抱
水クロラール処理により変性してなるRaji細胞及び
/又は癌特異的抗原を発現する癌細胞を有効成分とする
癌ワクチン及びその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、癌ワクチンおよび
その安全で簡単な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまでの腫瘍免疫療法では、O
432、IL−2などの免疫賦活療法や、患者の末梢リ
ンパ球から誘導したリンホカイン活性化キラー(LA
K)や腫瘍内浸潤リンパ球を移入する養子免疫療法、あ
るいは腫瘍マーカーに対するモノクローナル抗体を用い
たミサイル療法など、種々の方法が試みられてきたが、
一部の症例を除いて満足する治療効果は得られていな
い。
【0003】最近、癌の遺伝子治療も盛んに行われてい
る。特にサイトカインや接着因子遺伝子導入癌細胞を移
植して、癌に対する非特異的な免疫を誘導し、癌を治療
する癌ワクチン療法が注目を集めている。しかし、遺伝
子導入腫瘍細胞は、ヒト体内に治療用のワクチンとして
接種するので、腫瘍細胞の増殖性をなくしておかねばな
らない。同時に、腫瘍細胞の持つ抗原性もできる限り維
持されなければならない。そのために通常、ワクチン化
薬物処理よりも放射線処理を行っている。
【0004】例えば、X線照射を利用すれば、X線照射
器の管球の下に癌ワクチン細胞を含むフラスコを置き、
総放射線量1000〜3300Radで照射する。
【0005】マイトマイシンC処理法は、癌ワクチン細
胞(1〜3×107個細胞/ml)が試験管に浮遊させ
るようにする。具体的には、マイトマイシンCを細胞浮
遊液1ml当たり25〜50μgの比で添加して、37
℃、30〜60分間保温処理する。
【0006】しかし、X線照射による方法では、癌細胞
を死滅させるためには、X線が核(DNA)などの細胞
内の致死的な部分に照射される必要があり、癌ワクチン
細胞が100%死滅するかどうかが疑問である問題点が
ある。癌細胞の完全な死滅は、人体に接種するために必
須の条件である。一方、マイトマイシンC処理法では、
癌細胞を大量のマイトマイシンCで処理すると、死滅し
た癌細胞の細胞毒性が問題となり、マイトマイシンC濃
度が低いと毒性は低下するが、細胞が完全に死滅すると
は限らない問題がある。さらに、X線照射或いはマイト
マイシンC処理した癌細胞は細胞自体の構造は保持さ
れ、生体内で免疫系を賦活する作用は有しているが、生
体内に導入後短期間で分解されるため、癌ワクチンの持
続的な効果が得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、癌細胞が完
全に死滅した、長期間にわたり生体内で免疫賦活作用を
有する、安全な癌ワクチンおよびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
鑑み検討を重ねた結果、癌細胞をタンパク質が変性する
程度の条件下で加熱処理するか、あるいは抱水クロラー
ルで処理すると、タンパク質の変性により癌細胞は完全
に死滅するが、抗原性を失うことはなく、しかもタンパ
ク質が適度に変性しているため、放射線やマイトマイシ
ンCで処理した場合と異なり長期間生体内で残存し、持
続的な免疫賦活作用を有するため、癌ワクチンとして極
めて有用であることを見出した。
【0009】すなわち、本発明は下記の癌ワクチン及び
その製造方法を提供するものである。
【0010】項1. 形状を保持し、かつ、蛋白が熱処
理又は抱水クロラール処理により変性してなるRaji
細胞及び/又は癌特異的抗原を発現する癌細胞を有効成
分とする癌ワクチン。
【0011】項2. 癌特異的抗原がHS1及び/又は
B7である項1記載の癌ワクチン。
【0012】項3. Raji細胞及び/又は癌特異的
抗原を発現する癌細胞を熱処理又は抱水クロラール処理
し、その形状を実質的に保持しつつ蛋白を変性させるこ
とを特徴とする癌ワクチンの製造法。
【0013】項4. 癌特異的抗原がHS1及び/又は
B7である項3記載の癌ワクチンの製造法。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の癌ワクチンは、リンパ球
の腫瘍細胞障害活性を高める作用を有し、この作用に基
づき、例えば癌を外科的に手術した後に投与すれば癌の
再発を予防することができる。また、癌患者に投与すれ
ば、癌の成長の抑制または癌の縮小・治癒を図ることが
できる。従って、本発明の癌ワクチンは、「形状を保持
し、かつ、蛋白が熱処理又は抱水クロラール処理により
変性してなるRaji細胞及び/又は癌特異的抗原を発
現する癌細胞を有効成分とする癌の再発予防剤・癌の転
移抑制剤・癌治療剤などの概念を含むものであり、本発
明は、癌の再発予防剤、癌の転移抑制剤、抗癌剤を提供
するものでもある。
【0015】本発明において、熱処理又は抱水クロラー
ル処理に供される癌細胞としては、Raji細胞および
癌特異的抗原を発現する癌細胞が挙げられる。細胞表面
に発現される癌特異的抗原としては、ヒトの免疫系を賦
活する限りにおいて特に限定されないが、例えばHS
1、B7などが例示される。これらの癌特異的抗原は単
独で細胞表面に発現されていてもよく、2種以上が同時
に細胞表面に発現されていてもよい。癌ワクチン用途に
最も好ましい癌細胞は、Raji細胞である。
【0016】Raji細胞および癌特異的抗原を発現す
る癌細胞は、ヒト由来のものであれば特に限定されず、
HS1、B7などの癌特異的抗原を発現する公知の癌細
胞株などが広く利用可能である。
【0017】タンパク質の変性は、熱処理または抱水ク
ロラール処理により行うことができる。
【0018】熱処理は、タンパク質の変性により癌細胞
が死滅し、抗原性は保持し、かつ、生体内での分解・吸
収により除去されるまでの期間が長く、癌ワクチンとし
ての効果が長期間持続する条件であれば特に限定されな
いが、例えば10%FCS−RPMIのような培地中に
存在するRaji細胞を約50〜65℃、好ましくは6
0℃程度の温度下に10分間〜1時間程度処理すること
により行うことができる。処理温度が高くなりすぎる
と、蛋白がより高度に変性するため、細胞の形状が変形
し、抗原性が失われる傾向にあり、処理温度が低くなり
すぎると、蛋白の変性の程度が低下するため、処理時間
にもよるが、細胞が100%死滅しない場合や、細胞中
のタンパク質の変性の程度が低く、生体内で速やかに分
解除去され、癌ワクチンの持続時間が短くなる等の問題
がある。
【0019】抱水クロラールを用いた処理条件は、抗原
性は保持したまま癌細胞が死滅する限り特に限定されな
いが、例えば抱水クロラール溶液にRaji細胞または
癌特異的抗原(HS1、B7等)を発現する癌細胞を浸
漬し、室温程度の温度下に10分〜1時間程度固定すれ
ばよい。抱水クロラール溶液は、溶媒中に抱水クロラー
ルを15〜40重量%程度の濃度に溶解して調製する。
抱水クロラールを溶解する好適な溶媒は、水と、エタノ
ール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ルなどのアルコールの混合溶媒が挙げられ、好ましくは
水とエタノールの混合溶媒が挙げられる。
【0020】抱水クロラールの溶液量は、処理される癌
細胞の例えば30〜40倍量を用いて行うことができ
る。
【0021】本発明の癌ワクチンで用いる癌細胞(Ra
ji細胞及び/又は癌特異的抗原を発現する癌細胞)
は、熱処理又は抱水クロラール処理の一方のみを行って
もよく、熱処理と抱水クロラール処理の両方を順次行っ
たものであってもよい。
【0022】本発明の癌ワクチンは、血液、リンパ液中
に投与してもよく、癌細胞が存在する臓器、器官などに
注入してもよい。
【0023】本発明の癌ワクチンは、熱処理又は抱水ク
ロラール処理された前記癌細胞に、等張化剤、pH調整
剤などの各種添加剤を加えた水分散液として調製され
る。
【0024】本発明の癌ワクチンは、肝癌、腎癌、肺
癌、胃癌、膵臓癌、大腸癌、結腸癌、膀胱癌、食道癌、
皮膚癌、脳腫瘍、乳癌、子宮体癌、子宮頚癌、卵巣癌、
前立腺癌、悪性リンパ腫、白血病、骨髄腫等の各種の癌
に有効である。
【0025】本発明の癌ワクチンの投与量は、患者の年
齢、体重、性別、癌の種類及び進行度、症状等により異
なり、一概に決定できないが、現在行われている癌ワク
チン療法で注入されるのと同程度の量が患者に投与され
る。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、癌細胞が100%死滅
しているため安全で、しかも長期保存性に優れた癌ワク
チンが得られる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説
明する。
【0028】なお、以下において、熱処理後のRaji
細胞をRaji(H)細胞、抱水クロラール処理後のR
aji細胞をRaji(C)細胞と記載し、単にRaj
i細胞と記載した場合には、未処理のRaji細胞を意
味するものとする。
【0029】実施例1:熱による腫瘍細胞処理方法 例えば、以下の具体的な条件で処理すればよい。
【0030】10%FCS−RPMIで培養しているR
aji細胞を15ml遠心管に適当な量を取り、遠沈
(1500rpm)と血清を含まないRPMIでの再浮
遊を繰り返して3回洗浄し、トリパンブルーにて生細胞
数をカウントした。
【0031】次に、Raji細胞の生細胞濃度を1×1
7個/mlに調製して浮遊させる。遠心管を50〜6
5℃で20分間加熱処理した後、トリパンブルーにて生
細胞数をカウントした。このとき、細胞の形を光学顕微
鏡で確認した。該方法によれば、完全にRaji細胞が
死滅し、細胞の形態も異常を起こさないことを確認し
た。
【0032】実施例2:抱水クロラールを用いた腫瘍細
胞固定方法 Raji細胞を15ml遠心管に適当な量を取り、遠沈
(1500rpm)と血清を含まないRPMIでの再浮
遊を繰り返して3回洗浄し、トリパンブルーにて細胞数
をカウントした。次に、浮遊細胞液を1500rpm、
5分間遠心し、上清は捨てた。
【0033】25重量%抱水クロラールで室温下に10
〜20分間処理した後、固定された(死滅した)細胞は
1500rpm、5分間遠心し、上清を捨てた。抱水ク
ロラールで固定された細胞を、血清を含まないRPMI
で再浮遊する操作を3回繰り返して洗浄し、トリパンブ
ルーにて生細胞数をカウントした。このとき、細胞の形
を光学顕微鏡で確認した。該方法によれば、完全にRa
ji細胞が死滅し、細胞の形態も異常を起こさないこと
を確認した。
【0034】実施例3 (1)エフェクター細胞としての末梢血液リンパ球の分
離 1) ヘパリンを5〜20単位/ml含む採血した血液を
15ml遠心管に入れて1400rpm/400G、1
0分間遠心する。
【0035】2) リンパ球に富んだ細胞層をパスツール
ピペットで集めて遠心管に入れる。 3) 10ml程度になるように薄める。
【0036】4) パスツールピペットの両側を火炎消毒
して遠心管に立て、Ficoll-paque4mlを注射針にて入
れる。
【0037】5) 2000rpm/800G、15分間
遠心する。
【0038】6) リンパ球の層(中間層)をパスツール
ピペットで集めて遠心管に入れる。
【0039】7) 血清を含まないRPMIを加え、14
00rpmで5分ずつ計2回洗浄する。
【0040】8) 10%FCS−RPMIで1回洗浄
し、トリパンブルーにて染色し、細胞数をカウントす
る。
【0041】9) これによって分離された細胞は、80
〜90%のリンパ球と10〜20%の単球の混合物であ
る。従って、目的によっては単球の除去が必要になる。
単球はそのプラスチック付着性を利用して除去する。す
なわち、細胞浮遊液(2×106個/ml)をプラスチ
ックシャーレに入れ、37℃、60分間インキュベーシ
ョンする。その後、沈んだ細胞を静かに再浮遊させ、ピ
ペットで回収する。プラスチックシャーレ上に再度培養
液を加え、残りの浮遊細胞を回収し、最初に回収したも
のと合わせて遠心し、リンパ球を集める。
【0042】(2)リンパ球と腫瘍細胞の混合培養 培養は、96の平底ウエルを備えた培養プレート中で行
う。上記(1)で得たリンパ球0.1ml(すなわち2
×105個)と実施例1で得たRaji細胞0.1ml
(即ち、0.2〜1×105個)とをマイクロプレート
の各ウエルに分注し、各組合せにつき3個の培養を各ウ
エルで行う。プレートは縁に沿ってガス交換可能なプラ
スチック製の蓋でゆるく覆い、37℃、5%CO2、9
5%空気の培養基内に置く。7日間培養後、100μl
を除去し、100μlの新しいRaji細胞浮遊液を添
加する。
【0043】(3)リンパ球腫瘍細胞障害活性測定 1) 10%FCS−RPMIにてRaji細胞を1回洗
浄して、新しい10%FCS−RPMIにてRaji細
胞を浮遊させる。細胞をトリパンブルーで染色し、生細
胞数をカウントしておき、生細胞濃度を5×104個/
mlに調製して浮遊させる。
【0044】2) エフェクター細胞の入っている各ウエ
ルにRaji細胞浮遊液(5×104個/ml)を0.
1mlずつ加える(Raji細胞が5×103/ウエ
ル)。これによって、エフェクター/ターゲット比が4
0:1の希釈となる。
【0045】3) 対照群として、Raji細胞浮遊液を
3ウエルに0.1mlずつ入れて10%FCS−RPM
I0.1mlずつを加える。同時にエフェクター細胞を
0.1mlずつ入れて、10%FCS−RPMI0.1
mlずつを加える。
【0046】4) プレートに蓋をして、4時間、37℃
でインキュベーションする。
【0047】5) 各ウエルに10μl(5mg/ml)
MTT(3−〔4,5−ジメチルチアゾール−2−イ
ル〕−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド:チ
アゾリルブルー)ずつ加えて、さらに4時間、37℃で
インキュベートする。
【0048】6) プレートをインキュベーターから取り
出し、1400rpmで5分間遠心する。
【0049】7) 細胞が浮き上がらないように注意しな
がらピペットの先端をウエル側壁に固定し、上清をゆっ
くり吸引する。
【0050】8) イソプロパノール100μlずつ加え
て、MTTフォルマザンを溶解する。
【0051】9) プレートをマルチスキャンの上に載せ
て細胞内コハク酸デヒドロゲナーゼにより発色したMT
Tを540nmの波長で吸光度を測定する。
【0052】10) 測定された3つのウエルの吸光度の平
均値を取り、次式によって特異的腫瘍細胞活性を計算す
る: 特異的腫瘍細胞活性(%)=〔1−(実験群吸光度−リ
ンパ球吸光度)/腫瘍細胞吸光度〕×100 上記の特異的腫瘍細胞活性は、90〜95%という極め
て高い値を示し、本発明の癌ワクチンが、リンパ球の活
性化し、免疫系を賦活することにより癌の治癒、再発の
防止、転移の抑制などに効果を示すことが明らかになっ
た。
【0053】比較例 熱処理、抱水クロラール処理に代えて、ホルマリン、イ
ソプロパノール、アセトン、メタノール、エタノール、
グルタルアルデヒド、酢酸等で処理した癌細胞は、リン
パ球に対し強い細胞毒性を生じたり、細胞の形状まで変
化してしまうため、抗原性が大幅に低下し、癌ワクチン
として十分な特異的腫瘍細胞活性が得られないことが明
らかになった。
【0054】結果 最近、サイトカインや接着分子、例えば皮膚細胞を遺伝
子導入癌細胞を移植して癌に対する免疫を誘導し、癌を
治療するために癌ワクチン療法が注目を集めている。し
かし、それらの生癌細胞はヒトの体内に移植してはいけ
ないから、腫瘍細胞の増殖を停止するために癌ワクチン
として用いる細胞は必要に応じて放射線照射或いは細胞
分裂阻害剤であるマイトマイシンCで処理などを行う。
この方法は、癌ワクチン細胞は100%殺せるかどうか
がわからないこと、及び長期保存性が疑問であるなどの
問題が残っている。
【0055】本発明者は、上記の従来の癌ワクチンの製
造方法の欠点を克服するために、熱及び抱水クロラール
によりRaji細胞を固定する方法で癌ワクチンを調製
した。50〜65℃、20分間にRaji細胞は全て
(100%)殺される。これは、トリパンブルーにて生
細胞をカウントすることにより確認した。細胞の形態は
変化していなかったことも光学顕微鏡で確認した。これ
らの固定した細胞は、1週間保存しても、形態に変化は
なかった。また、該処理方法は簡単なので、特殊な装置
が不要である。熱で固定された細胞は有害薬剤を使用し
ていないので、将来人体に注射すれば、副作用は低いと
考えられる。かつ、腫瘍細胞は100%殺されているた
め、癌が増殖する心配はない。
【0056】抱水クロラールで固定したRaji細胞
は、10分間の処理でも100%殺すことができる。こ
のことは、トリパンブルー染色により、生細胞数をカウ
ントすることで確認した。
【0057】細胞の形態は変化していないことも確認し
た。この固定化された細胞は、1ヶ月以上変化しなかっ
た。従って、該方法で製造されたワクチンは、1ヶ月程
度保存することができる。従って、体内に持続的に免疫
力を高めることができることが示される。
【0058】これは通常使用されている免疫剤、例えば
インターロイキン−2の有効血中濃度の持続時間が1〜
2時間程度に比べて大変な利点がある。
【0059】Raji細胞(Burtt's lymphocyte)は、
このRaji細胞表面上にB7分子及びICAM−1
(細胞間接着分子−1)が強く(100%)発現される
ため好ましい。。B7分子及びICAM−1といった第
二シグナル(costimulatory signal)は、T細胞及びNK
細胞(ナチュラルキラー)の活性化に重要な役割を果た
している。免疫応答が成立するのは、第二シグナルの有
無によって決定される。一般にこの様な第二シグナル
は、単球や樹状細胞、活性化B細胞といった一部の免疫
後の細胞に限定されている。癌細胞がB7やICAM−
1といった補助刺激(co-stimulatory)がなければリンパ
球によって活性化されないだけでなく、その後の刺激に
も反応し得ない不応答状態に陥ることが示されている。
癌細胞にB7やICAM−1遺伝子を導入して、癌細胞
に対する免疫応答を誘導できた。B7及びICAM−1
遺伝子が発現されているRaji細胞と、リンパ球を混
合培養すると、リンパ球の免疫力がかなり高くなること
も明らかになった。これはB7及びICAM−1といっ
た補助刺激の役割を果たしている。上述のように、この
7及びICAM−1を発現しているRaji細胞を固
定して100%死滅させ、B7及びICAM−1を利用
して体内に注入することにより、リンパ球の活性化の際
に第二シグナルを提供し、抗癌免疫力が増強されること
が示唆される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】形状を保持し、かつ、蛋白が熱処理又は抱
    水クロラール処理により変性してなるRaji細胞及び
    /又は癌特異的抗原を発現する癌細胞を有効成分とする
    癌ワクチン。
  2. 【請求項2】癌特異的抗原がHS1及び/又はB7であ
    る請求項1記載の癌ワクチン。
  3. 【請求項3】Raji細胞及び/又は癌特異的抗原を発
    現する癌細胞を熱処理又は抱水クロラール処理し、その
    形状を実質的に保持しつつ蛋白を変性させることを特徴
    とする癌ワクチンの製造法。
  4. 【請求項4】癌特異的抗原がHS1及び/又はB7であ
    る請求項3記載の癌ワクチンの製造法。
JP22624396A 1996-08-28 1996-08-28 癌ワクチン及びその製造法 Pending JPH1067681A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22624396A JPH1067681A (ja) 1996-08-28 1996-08-28 癌ワクチン及びその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22624396A JPH1067681A (ja) 1996-08-28 1996-08-28 癌ワクチン及びその製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1067681A true JPH1067681A (ja) 1998-03-10

Family

ID=16842145

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22624396A Pending JPH1067681A (ja) 1996-08-28 1996-08-28 癌ワクチン及びその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1067681A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040094635A (ko) * 2003-05-02 2004-11-10 주식회사 엠디바이오알파 항종양 활성의 유도를 위한 종양 백신의 제조방법 및그것을 함유하고 있는 약제 조성물
JP5653447B2 (ja) * 2010-10-12 2015-01-14 株式会社日立製作所 生体模擬ファントムおよび校正装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040094635A (ko) * 2003-05-02 2004-11-10 주식회사 엠디바이오알파 항종양 활성의 유도를 위한 종양 백신의 제조방법 및그것을 함유하고 있는 약제 조성물
WO2004096244A1 (en) * 2003-05-02 2004-11-11 Md Bioalpha Co. Ltd. Method of preparing tumor vaccine for the inducement of anti-tumor activity and a pharmaceutical composition containing the same
JP5653447B2 (ja) * 2010-10-12 2015-01-14 株式会社日立製作所 生体模擬ファントムおよび校正装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6586243B2 (en) Directed maturation of CD34 negative stem cells to programmable antigen presenting cells
US5820872A (en) Methods and compositions for improving the effectiveness of X-irradiation therapy for the treatment of an internal solid tumor
US6607722B2 (en) Methods for inducing the differentiation of monocytes into functional dendritic cells
RU2348418C2 (ru) Введение дендритных клеток, подвергнутых частичному созреванию in vitro, для лечения опухолей
CN110846281B (zh) 一种基于外泌体的抗肿瘤疫苗
EA023106B1 (ru) Способ получения частично зрелых дендритных клеток, обладающих повышенной экспрессией интерлейкина il-12
JP2006510667A5 (ja)
US20100303868A1 (en) Ex vivo, fast and efficient process to obtain activated antigen-presenting cells that are useful for therapies against cancer and immune system-related diseases
Liu et al. Synthetic MUC1 breast cancer vaccine containing a Toll‑like receptor 7 agonist exerts antitumor effects
EA015510B1 (ru) Способ увеличения количества мононуклеарных клеток у субъекта, страдающего раком, и используемая для этого фармацевтическая комбинация
JP2002514408A (ja) 新規アポトーシス小体、それを含有する単球由来細胞、それらの調製方法、及びワクチンとしてのそれらの使用
Zhang et al. Enhancement of innate and adaptive anti-tumor immunity by serum obtained from vascular photodynamic therapy-cured BALB/c mouse
US6977073B1 (en) Method for stimulating an immune response
JP2000508628A (ja) 対象体内で免疫応答を誘導する方法
RU2333767C2 (ru) Вакцинные композиции, способы их применения для профилактики и лечения меланомы и генетические конструкции для получения действующих компонентов композиции
KR20090047289A (ko) 엑소좀 및 이를 함유한 암 백신 조성물
KR20210002205A (ko) 면역세포 배양액 함유 조성물의 제조방법 및 기능성 화장품 조성물
US7109031B2 (en) Methods for inducing the differentiation of monocytes into functional dendritic cells and immunotherapeutic compositions including such dendritic cells
JPH1067681A (ja) 癌ワクチン及びその製造法
CN115612670A (zh) 一种微波制备肿瘤细胞微颗粒的方法
AU2016286112B2 (en) Optimally activated dendritic cells that induce an improved or increased anti-tumor immune response
JP2004505058A (ja) 悪性腫瘍の免疫治療のための薬剤
KR100954315B1 (ko) 종양성장 억제능을 갖는 광역동성 치료 매개 자가 유래수지상 세포
KR20040094635A (ko) 항종양 활성의 유도를 위한 종양 백신의 제조방법 및그것을 함유하고 있는 약제 조성물
EP1523991B1 (en) Anti-cancer vaccine

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070509

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070912