JPH1065571A - スペクトル拡散無線通信装置 - Google Patents

スペクトル拡散無線通信装置

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JPH1065571A
JPH1065571A JP22003396A JP22003396A JPH1065571A JP H1065571 A JPH1065571 A JP H1065571A JP 22003396 A JP22003396 A JP 22003396A JP 22003396 A JP22003396 A JP 22003396A JP H1065571 A JPH1065571 A JP H1065571A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロック位相ずれが生じてもその影響が積分
ダンプフィルタの処理に悪影響を及ぼさないようにし
て、トーン干渉波等に対する受信品質を高く保持する。 【解決手段】 データ復調部10においてスペクトル逆
拡散用の乗算器12の前段にゲート回路11およびゲー
ト信号発生回路14を設け、ゲート信号発生回路14に
おいてPN符号の各チップ期間ごとにその両端部が1サ
ンプリングクロック分だけ“L”レベルとなり他の期間
が“H”レベルとなるゲート信号を発生する。そして、
このゲート信号により上記ゲート回路11をゲート制御
することで、受信信号中の位相ずれの影響を受ける部分
を除去し、このゲート処理後の受信信号を乗算器12で
PN符号によりスペクトル逆拡散したのち積分ダンプフ
ィルタ13に入力して積分加算処理するようにしたもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば自動車・
携帯電話システムやコードレス電話システム、無線LA
Nシステム等の無線通信システムで使用される無線通信
装置に係わり、特にスペクトラム拡散通信方式を使用し
て符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multip
le Access )通信を可能としたシステムで使用されるス
ペクトル拡散無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、移動通信システムで使用する通信
方式の一つとして、干渉や妨害に強いスペクトラム拡散
通信方式が注目されている。スペクトラム拡散通信方式
を使用した無線通信システムは、例えば送信側の装置に
おいて、ディジタル化された音声データや画像データに
対し先ず拡散符号を用いて広帯域のベースバンド信号に
変換する。拡散符号としては、疑似雑音符号(PNコー
ド;pseudorandom noise code )やGold符号が使用
される。次に、この変換された送信ベースバンド信号に
より無線搬送波をディジタル変調し、しかるのちこの被
変調波信号をバンドパスフィルタでフィルタリングした
のちアンテナから送信する。ディジタル変調方式には例
えばBPSKやQPSK変調方式が用いられる。
【0003】これに対し受信側の装置においては、受信
された無線周波信号を局部発振信号とミキシングしてベ
ースバンド帯の信号に周波数変換したのち、この受信ベ
ースバンド信号をローパスフィルタに通して不要波成分
を除去し、しかるのちディジタル信号に変換してデータ
復調部に入力する。そして、このデータ復調部におい
て、上記ディジタル受信信号に対し送信側の装置で使用
した拡散符号と同じ符号を用いて逆拡散を行なったの
ち、その出力信号を積分ダンプフィルタで受信データの
1シンボル長ごとに積分し、その積分出力を判定部で判
定することにより受信データを復元するように構成され
ている。
【0004】ところで、逆拡散後のディジタル受信信号
を上記積分ダンプフィルタでシンボル積分する方式に
は、拡散符号の1チップごとに受信信号レベルを1回サ
ンプリングしてこれを受信信号の1シンボル長に渡って
加算するものがある。この方式では、例えば受信信号の
シンボルレートを19.2KHz、拡散符号のチップレ
ートを1.23MHzとすると、64個の受信信号レベ
ルのサンプル値が相互に加算される。しかしこの方式
は、無線部に設けられている受信フィルタのカットオフ
特性が急峻でない場合に、トーン干渉波の影響を受けて
受信品質の劣化を生じ易い。
【0005】一方、積分ダンプフィルタの別の方式とし
て、拡散符号の1チップごとに例えばチップレートの4
〜8倍のサンプリング周期で受信信号レベルをサンプリ
ングし、これらのサンプリングデータを受信信号の1シ
ンボル長にわたって加算するものがある。この方式で
は、例えば受信信号のシンボルレートを19.2KH
z、拡散符号のチップレートを1.23MHz、サンプ
ルレートを9.84MHz(チップレートの8倍)とす
ると、64×8=512個の受信信号レベルのサンプル
値が相互に加算される。この方式は、先に述べた1チッ
プ1サンプルの方式に比べサンプルデータ数を多くでき
るため、上記トーン干渉波の影響を低減することが可能
である。
【0006】いま例えば図8に示すように、1,25M
Hzの帯域幅を有する無線周波数信号に900KHzの
トーン干渉波が加わり、無線部にこのトーン干渉波を除
去する受信フィルタが設けられていない場合には、トー
ン干渉波の周波数に対する受信S/Nの関係は図9に示
すようになる。この特性から明らかなように、1チップ
8サンプルの方式によるS/N特性(A)は、1チップ
1サンプルの方式によるS/N特性(B)に比べ、受信
S/Nが約9dB高くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この様
な1チップ複数サンプル方式を適用した積分ダンプフィ
ルタには、次のような解決すべき課題があった。すなわ
ち、クロック追尾部においてクロック位相ずれが生じ、
その影響により受信信号と受信拡散符号との間のタイミ
ングがずれると、このタイミングずれの期間における受
信信号のサンプリングデータが積分ダンプフィルタにノ
イズとして入力されて積分値に加算され、この結果受信
品質の劣化を生じる。
【0008】この発明は上記事情に着目してなされたも
ので、その目的とするところは、クロック位相ずれが生
じてもその影響が積分ダンプフィルタの処理に悪影響を
及ぼさないようにし、これによりトーン干渉波等に対す
る受信品質を高く保持し得るスペクトル拡散無線通信装
置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明は、スペクトル拡散された無線信号を受信し
てこの受信無線信号をベースバンド帯の信号に周波数変
換したのち拡散符号の符号レートの整数倍の周期でサン
プリングし、このサンプリングされた受信信号を拡散符
号によりスペクトル逆拡散したのち積分ダンプフィルタ
で積分してその積分出力を判定部でレベル判定すること
により情報データを再生するスペクトル拡散無線通信装
置において、上記積分ダンプフィルタの前段側にデータ
選択手段を設け、このデータ選択手段により、上記拡散
符号の1符号長期間ごとに、当該期間に対応する上記受
信信号の複数のサンプリングデータのうち、上記拡散符
号の1符号長期間中の所定の両端部分を除いた中央部分
のサンプルデータのみを選択し、この選択したサンプリ
ングデータを上記積分ダンプフィルタで積分処理させる
ようにしたものである。
【0010】データ選択手段としては、ゲート信号発生
手段と、受信信号ゲート手段とを備え、ゲート信号発生
手段により、拡散符号の1符号長期間のうち上記サンプ
リング周期に応じて定めた両端部分をもしくはこの両端
部分を除いた中央部分を表わすゲート信号を発生し、こ
のゲート信号発生手段により発生されたゲート信号を基
に、受信信号ゲート手段において上記受信信号をゲート
処理して、このゲート処理後の受信信号を上記積分ダン
プフィルタによる積分処理に供するようにするものが考
えられる。
【0011】また他のデータ選択手段としては、上記し
たゲート信号発生手段に加え、拡散符号ゲート手段とを
備え、ゲート信号発生手段により発生されたゲート信号
を基に、上記拡散符号ゲート手段において上記拡散符号
をゲート処理して、このゲート処理後の拡散符号を受信
信号のスペクトル逆拡散処理に供し、このスペクトル逆
拡散処理後の受信信号を積分ダンプフィルタによる積分
処理に供するようにするものが考えられる。
【0012】この結果本発明によれば、例えばクロック
追尾部のクロック位相がずれ、その影響により受信信号
と受信拡散符号との間のタイミングがずれたとしても、
このタイミングずれの期間における受信信号のサンプリ
ングデータはデータ選択手段により除去され、積分ダン
プフィルタには上記タイミングずれの影響のないサンプ
リングデータのみが入力されることになる。このため、
積分ダンプフィルタでは上記タイミングずれの影響を受
けずに受信サンプリングデータの積分処理を行なうこと
ができ、これにより情報データの判定を高精度に行なえ
るようになって受信品質を高く保持することが可能とな
る。
【0013】またデータ選択処理を、積分ダンプフィル
タの前段において受信信号もしくは拡散符号のゲート処
理により行なうようにしたことで、既存の積分ダンプフ
ィルタをそのまま使用することができ、これにより積分
ダンプフィルタ内においてゲート処理を行なう場合に比
べて回路構成もしくは積分処理を簡単化することが可能
となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)図1は、この発明の第1の実施形態
に係わるスペクトル拡散無線通信装置の受信系の構成を
示す回路ブロック図である。
【0015】同図おいて、アンテナ1で受信された無線
信号は、アナログ・フロントエンド2において低雑音増
幅されるとともにベースバンド帯に周波数変換されたの
ち、アナログ/ディジタル変換器(A/D)3で所定の
サンプリングレートでサンプリングされる。このときサ
ンプリングレートは例えばPN符号のチップレートの8
倍に設定される。上記A/D変換器3でサンプリングさ
れた受信信号は、フィンガ回路と呼ばれる3個のデータ
復調器4,5,6およびサーチ受信機7にそれぞれ入力
される。
【0016】データ復調器4,5,6は、上記サーチ受
信機7により捕捉されたPN同期情報に応じて、基地局
から送信された伝送データをスペクトラム拡散して復調
する。これらのデータ復調器4,5,6により復調され
た各シンボルデータは、同期情報とともにシンボル合成
器8に入力される。シンボル合成器8は、上記各データ
復調器4,5,6から出力された受信信号の積分出力を
合成してデータ成分を再生し、この再生データ成分をデ
ータ判定部9に供給する。データ判定部9は、上記再生
データ成分のレベル判定などを行なうことにより受信デ
ータを再生する。
【0017】なお、データ復調器4,5,6を3個設け
た理由は、マルチパス受信信号をパスダイバーシチ効果
を用いて高いSN比で受信するためと、通信中に接続先
の基地局を無線チャネルを切断せずに切り替える、いわ
ゆるソフトハンドオフを行なうためである。
【0018】サーチ受信機7は、基地局から放送されて
いるパイロット信号に対しPNサーチを行なうもので、
基本的に上記データ復調器4,5,6と同じ構成を有し
ている。このサーチ受信機7のPNサーチ動作により得
られる電力制御データは図示しないマイクロプロセッサ
へ通知される。マイクロプロセッサは、移動局の動作に
係わる通常の種々制御機能に加えてPNサーチ制御機能
を備え、上記電力制御データをもとにPNサーチ制御を
行なう。
【0019】ところで、上記データ復調器4,5,6
は、前記A/D変換器3のサンプリングクロックを基準
クロックとして独自クロックを生成し、この独自クロッ
クにより互いに独立して動作するもので、それぞれ次の
ように構成される。
【0020】図2はその構成を示す回路ブロック図であ
る。すなわち、データ復調器4,5,6はそれぞれ、デ
ータ復調部10と、初期捕捉部20と、クロック追尾部
30と、PN符号発生器40と、電圧制御発振器(VC
O)50とを備えている。
【0021】このうち先ず初期捕捉部20は、例えばス
ライディング相関法によりPN符号同期の初期捕捉動作
を行なうもので、受信信号の所定のシンボル分の積分値
を求めるごとにPN符号の発生位相を1/4〜1チップ
ずつずらしていき、所定レベル以上の受信電力レベルが
観測された時点で同期捕捉動作をクロック追尾部30に
移行させる。
【0022】すなわち、受信信号は乗算器21において
PN符号発生器40から発生されたPN符号と乗算され
て逆拡散されたのち、その出力信号の所定シンボル分が
積分ダンプフィルタ22で積分される。そして、その積
分値つまり上記受信信号とPN符号との相関出力は、自
乗器23で自乗されることで電力値に変換されたのちし
きい値比較部24に入力され、このしきい値比較部24
でしきい値と比較される。モード設定部25は、上記し
きい値比較部24においてしきい値以上の受信電力値が
検出されるまでの期間では、初期捕捉モードに設定して
切替スイッチ26を初期捕捉部20側に設定する。これ
に対し、しきい値以上の受信電力値が検出されると、モ
ードを初期捕捉モードからクロック追尾モードに移行さ
せ、切替スイッチ26をクロック追尾部30側に切り替
える。
【0023】クロック追尾部30は、PN符号発生器4
0からPN符号とは別に発生されるPN符号Early およ
びPN符号Lateを用いて、次のようにクロック追尾動作
を行なう。
【0024】すなわち、PN符号発生器40からは、初
期捕捉部20に供給しているPN符号に対し位相が1/
2チップ進んだPN符号Early と、位相が1/2チップ
遅れたPN符号Lateが出力される。図3はこれらのPN
符号の位相関係を示すものである。受信信号は乗算器3
1,32でそれぞれ上記PN符号Early およびPN符号
Lateと乗算されて逆拡散されたのち、その各出力信号の
所定シンボル分が積分ダンプフィルタ33,34でそれ
ぞれ積分される。そして、その各積分値つまり上記受信
信号と上記PN符号Early およびPN符号Lateとの相関
出力は、それぞれ自乗器35,36で自乗されることに
より電力値に変換されたのち加算器37で相互に加算さ
れる。そして、その加算出力信号はループフィルタ38
で平滑されたのち、クロック位相の可変指示信号として
上記切替スイッチ26を介して電圧制御発振器(VC
O)50に供給される。
【0025】図4は、上記初期捕捉部20およびクロッ
ク追尾部30において得られる信号波形の一例を示すも
ので、(a)はPN符号発生器40から発生されたPN
符号の位相が受信信号のPN符号の位相と一致している
ときに初期捕捉部20の自乗器23から出力されるPN
符号相関出力の電力値である。これに対し(b),
(c)は、それぞれPN符号Early およびPN符号Late
の位相が受信信号のPN符号の位相と一致しているとき
にクロック追尾部30の自乗器35,36から出力され
るPN符号相関出力の電力値であり、(d)はクロック
追尾部30の加算器37から出力される相関出力の電力
値である。
【0026】したがって、例えばいまクロック追尾部3
0の加算器37から出力された相関出力の電力値が図4
(d)のAの位置にあったとすれば、クロック追尾部3
0からVCO50へはクロック位相を遅らせるための指
示信号が供給される。このため、PN符号発生器40か
ら発生されるPN符号の位相は遅れ方向に変化し、これ
により上記加算器37の相関出力レベルはAの位置から
Bの位置へ移動する。これに対し、加算器37の相関出
力の電力値が図4(d)のCの位置にあった場合には、
クロック追尾部30からVCO50へはクロック位相を
進ませるための指示信号が供給される。このため、PN
符号発生器40から発生されるPN符号の位相は進み方
向に変化し、これにより上記加算器37の相関出力レベ
ルはCの位置からBの位置へ移動する。
【0027】Bの位置は、図4(a)から明らかなよう
に後述するデータ復調部10の積分ダンプフィルタ13
から出力される復調データ成分の出力レベルが最大とな
る位置であり、クロック追尾部30は加算器37の相関
出力レベルのピークがこのBの位置に近付くようにVC
O50を介してPN符号発生器40のPN符号発生位相
を制御する。
【0028】ところで、データ復調部10は、ゲート回
路11と、乗算器12と、積分ダンプフィルタ13と、
ゲート信号発生回路14とから構成される。ゲート信号
発生回路14は、PN符号発生器40から発生されたP
N符号と、A/D変換器3から出力されたサンプリング
クロックとを基に、ゲート信号を発生する。ゲート信号
は、PN符号の1チップ長ごとに、その両端部をそれぞ
れサンプリングクロックの1クロック長分だけ除いて、
残りの中央部分の期間のみ“H”レベルとなる信号であ
る。すなわち、サンプリングクロックのレートを先に述
べたようにPN符号のチップレートの8倍に設定してあ
る場合には、ゲート信号発生回路14からは、図5
(d)に示すようにPN符号の1チップ長ごとにその両
端部がそれぞれ1/8チップ長だけ“L”レベルとな
り、残りの中央部分が“H”レベルとなるゲート信号が
発生される。
【0029】ゲート回路11は例えばアンドゲートから
なり、上記ゲート信号が“L”レベルの期間に非導通状
態、“H”レベルの期間に導通状態となる。そして、こ
の“H”レベル期間に入力された受信信号を通過させ
る。乗算器12は、上記ゲート回路11を通過した受信
信号をPN符号発生器40から発生されたPN符号と乗
算してスペクトル逆拡散を行ない、その出力を積分ダン
プフィルタ13に入力する。積分ダンプフィルタ13
は、上記入力された逆拡散後のサンプリングデータを1
シンボル期間にわたって積分加算するもので、その積分
加算値をシンボル合成器8へ出力する。
【0030】次に、以上のように構成されたスペクトル
拡散無線通信装置におけるデータ復調部10の動作を説
明する。なお、ここでは、説明の簡単のため、伝送する
情報データをオール“1”とし、送信側の基地局がこの
情報データを“1”と“0”とが交互に表れているPN
符号によりスペクトル拡散処理して送信した場合を例に
とって説明する。このとき基地局から送信された送信信
号波形は、図5(a)に示すようになる。
【0031】上記送信信号がアンテナ1を介してアナロ
グ・フロントエンド2で受信されると、その受信信号は
A/D変換器3でPN符号のチップレートの8倍のサン
プリングレートでサンプリングされる。図5(b)はそ
のサンプリングされた受信信号(受信サンプリングデー
タ)を示すものである。一方、このときPN符号発生器
40からは、図5(c)に示すように上記受信信号に同
期してPN符号が発生される。
【0032】そうするとデータ復調部10では、ゲート
信号発生回路14において、上記PN符号と前記A/D
変換器3のサンプリングクロックとに基づいて、図5
(d)に示すように受信PN符号の各チップ期間ごとに
その両端部が1サンプリングクロック分だけ“L”レベ
ルとなり他の期間が“H”レベルとなるゲート信号が発
生され、ゲート回路11に与えられる。このため、ゲー
ト回路11では、上記ゲート信号に応じて、その“H”
レベルの期間のみ導通状態となり、この期間に入力され
た受信サンプリングデータが通過して乗算器12に入力
される。図5(e)はそのゲート後の受信を示すもので
ある。
【0033】乗算器12では、上記ゲート後の受信信号
がPN符号と乗算されてこれによりスペクトル逆拡散さ
れ、この逆拡散後の受信信号が積分ダンプフィルタ13
に入力される。積分ダンプフィルタ13では、上記入力
された受信信号(受信サンプリングデータ)が1シンボ
ル期間にわたって積分加算される。そして、その積分加
算値は復調データ成分としてシンボル合成器8に入力さ
れ、ここで他のデータ復調器から同様に出力された積分
加算値と合成されてデータ判定部9に供給され、レベル
判定される。
【0034】ところで、このような状態で、例えば無線
伝送路の変動の影響によりクロック追尾部30において
クロック位相ずれが発生し、これにしたがって受信信号
に対するPN符号の位相が例えば図5(f)または図5
(g)に示すように遅れ方向または進み方向にずれたと
する。そうすると、乗算器12で受信信号をPN符号と
乗算してスペクトル逆変換した際に、上記受信信号とP
N符号との位相ずれ区間(図5(f),(g)の斜線区
間)に受信サンプリングデータが存在すると、スペクト
ル逆変換後の受信信号の上記斜線区間に相当する期間に
ノイズが発生し、このノイズが積分ダンプフィルタ13
で積分加算され、受信品質劣化の原因になる。
【0035】しかしながらこの実施形態の構成では、先
に述べたようにゲート回路11において、受信信号中の
上記位相ずれの影響を受ける部分が予めゲーティングさ
れて除去され、残りの位相ずれの影響を受けない部分の
みが乗算器12でスペクトル逆拡散されたのち積分ダン
プフィルタ13に入力されて積分加算処理される。この
ため、たとえ上記のような受信信号とPN符号との位相
ずれが生じても、その影響を排除して受信品質を高く保
つことができる。
【0036】以上のようにこの実施形態では、データ復
調部10においてスペクトル逆拡散用の乗算器12の前
段にゲート回路11およびゲート信号発生回路14を設
け、ゲート信号発生回路14においてPN符号の各チッ
プ期間ごとにその両端部が1サンプリングクロック分だ
け“L”レベルとなり他の期間が“H”レベルとなるゲ
ート信号を発生する。そして、このゲート信号により上
記ゲート回路11をゲート制御することで、受信信号中
の位相ずれの影響を受ける部分を除去し、このゲート処
理後の受信信号を乗算器12でPN符号によりスペクト
ル逆拡散したのち積分ダンプフィルタ13に入力して積
分加算処理するようにしている。
【0037】したがって、クロック追尾部30のクロッ
ク位相ずれに伴い受信信号に対するPN符号の位相ずれ
が生じても、その影響を排除して受信品質を高く保つこ
とができる。また、この実施形態では、データ復調部1
0にゲート回路11およびゲート信号発生回路14を新
たに付加することでこの発明を実現したので、乗算器1
2や積分ダンプフィルタ13については既存のものをそ
のまま使用することができ、これにより比較的簡単な回
路構成で実現することができる。
【0038】(第2の実施形態)この発明の第2の実施
形態は、PN符号に対しゲート処理を施し、ゲート処理
されたPN符号を用いて受信信号をスペクトル拡散処理
し、その出力信号を積分ダンプフィルタに入力して積分
加算処理するようにしたものである。
【0039】図6は、この実施形態に係わるデータ復調
部100の構成を示す回路ブロック図である。なお、同
図において前記図2と同一部分には同一符号を付して詳
しい説明は省略する。
【0040】PN符号発生器40から発生されたPN符
号は、乗算器12に入力される前にゲート回路15に入
力される。このゲート回路15はアンドゲートからな
り、ゲート信号発生回路14から発生されたゲート信号
に応じて導通し、これにより上記PN符号をゲート制御
して上記乗算器12に入力する。ゲート信号は、前記実
施形態と同様にPN符号とA/D変換器3のサンプリン
グクロックとに基づいて生成されるもので、図7(d)
に示すように受信PN符号の各チップ期間ごとにその両
端部が1サンプリングクロック分だけ“L”レベルとな
り、他の期間が“H”レベルとなる信号である。
【0041】このような構成であるから、PN符号発生
器40から発生されたPN符号(図7(c))は、乗算
器12に入力される前に、ゲート回路15でゲート信号
(図7(d))に従ってゲート処理され、これにより受
信信号(図7(b))に対してPN符号の位相ずれの影
響を及ぼす部分が予め除去される。図7(e)はこのゲ
ート後のPN符号の信号波形を示すものである。このた
め、乗算器12でスペクトル逆拡散された後の受信信号
は、上記位相ずれによるノイズを含まないものとなり、
したがって積分ダンプフィルタ13においても上記ノイ
ズを含まない積分加算処理が行なわれることになる。
【0042】このため本実施形態においても、クロック
追尾部30のクロック位相ずれに伴い受信信号に対する
PN符号の位相ずれが生じても、その影響を排除して受
信品質の劣化がなく高S/Nの受信を行なうことが可能
となる。
【0043】なお、この発明は上記各実施形態に限定さ
れるものではない。例えば、上記各実施形態では、簡単
な回路構成で実現するためにスペクトル逆拡散用の乗算
器12の前段側にゲート回路11,15を設け、このゲ
ート回路11,15で受信信号またはPN符号をゲート
処理するように構成したが、ゲート信号を積分ダンプフ
ィルタ13に供給し、積分ダンプフィルタ13内におい
てゲート処理を含む積分加算処理を行なうように構成し
てもよい。
【0044】その他、ゲート回路およびゲート信号発生
回路の構成、ゲート回路の挿入位置、データ復調部、初
期捕捉部およびクロック追尾部の構成等についても、こ
の発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施でき
ることは勿論である。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したようにこの発明によれば、
積分ダンプフィルタの前段側にデータ選択手段を設け、
このデータ選択手段により、上記拡散符号の1符号長期
間ごとに、当該期間に対応する上記受信信号の複数のサ
ンプリングデータのうち、上記拡散符号の1符号長期間
中の所定の両端部分を除いた中央部分のサンプルデータ
のみを選択し、この選択したサンプリングデータを上記
積分ダンプフィルタで積分処理させるようにしたことに
よって、クロック位相ずれが生じてもその影響が積分ダ
ンプフィルタの処理に悪影響を及ぼさないようにするこ
とができ、これによりトーン干渉波等に対する受信品質
を高く保持し得るスペクトル拡散無線通信装置を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係わるスペクトル
拡散無線通信装置の受信系の構成を示す回路ブロック
図。
【図2】図1に示した装置のデータ復調器の構成を示す
回路ブロック図。
【図3】図2に示したPN符号発生器から発生される3
種類のPN符号の位相関係を示す図。
【図4】図2に示したデータ復調器によるクロック追尾
動作を説明するための信号波形図。
【図5】図2に示したデータ復調部の動作説明に使用す
る信号波形図。
【図6】この発明の第2の実施形態に係わるスペクトル
拡散無線通信装置のデータ復調部の構成を示す回路ブロ
ック図。
【図7】図6に示したデータ復調部の動作説明に使用す
る信号波形図。
【図8】無線送信波およびトーン干渉波のスペクトルを
示す図。
【図9】1チップ8サンプル方式および1チップ1サン
プル方式のS/N特性を示す図。
【符号の説明】
1…アンテナ 2…アナログ・フロントエンド 3…アナログ/ディジタル変換器(A/D) 4,5,6…データ復調器 7…サーチ受信機 8…シンボル合成器 9…データ判定部 10,100…データ復調部 11,15…ゲート回路 12…乗算器 13…積分ダンプフィルタ 14…ゲート信号発生回路 20…初期捕捉部 21…乗算器 22…積分ダンプフィルタ 23…自乗器 24…しきい値比較部 25…モード設定部 26…切替スイッチ 30…クロック追尾部 31,32…乗算器 33,34…積分ダンプフィルタ 35,36…自乗器 37…加算器 38…ループフィルタ 40…PN符号発生器 50…電圧制御発振器(VCO)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スペクトル拡散された無線信号を受信し
    てこの受信無線信号をベースバンド帯の信号に周波数変
    換したのち拡散符号の符号レートの整数倍の周期でサン
    プリングし、このサンプリングされた受信信号を拡散符
    号によりスペクトル逆拡散したのち積分ダンプフィルタ
    で積分してその積分出力を判定部でレベル判定すること
    により情報データを再生するスペクトル拡散無線通信装
    置において、 前記拡散符号の1符号長期間ごとに、当該期間に対応す
    る前記受信信号の複数のサンプリングデータのうち、前
    記1符号長期間中の所定の両端部分を除いた中央部分の
    サンプルデータのみを選択し、この選択したサンプリン
    グデータを前記積分ダンプフィルタで積分処理させるデ
    ータ選択手段を具備したことを特徴とするスペクトル拡
    散無線通信装置。
  2. 【請求項2】 データ選択手段は、 前記拡散符号の1符号長期間のうち前記サンプリング周
    期に応じて定めた両端部分もしくはこの両端部分を除い
    た中央部分を表わすゲート信号を発生するためのゲート
    信号発生手段と、 このゲート信号発生手段により発生されたゲート信号を
    基に前記受信信号をゲート処理して、このゲート処理後
    の受信信号を前記積分ダンプフィルタによる積分処理に
    供する受信信号ゲート手段とを備えたことを特徴とする
    請求項1記載のスペクトル拡散無線通信装置。
  3. 【請求項3】 データ選択手段は、 前記拡散符号の1符号長期間のうち前記サンプリング周
    期に応じて定めた両端部分もしくはこの両端部分を除い
    た中央部分を表わすゲート信号を発生するためのゲート
    信号発生手段と、 このゲート信号発生手段により発生されたゲート信号を
    基に前記拡散符号をゲート処理し、このゲート処理後の
    拡散符号を前記受信信号のスペクトル逆拡散処理に供す
    る拡散符号ゲート手段とを備えたことを特徴とする請求
    項1記載のスペクトル拡散無線通信装置。
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