JPH1062732A - 半導体量子井戸光変調器 - Google Patents

半導体量子井戸光変調器

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JPH1062732A
JPH1062732A JP22204396A JP22204396A JPH1062732A JP H1062732 A JPH1062732 A JP H1062732A JP 22204396 A JP22204396 A JP 22204396A JP 22204396 A JP22204396 A JP 22204396A JP H1062732 A JPH1062732 A JP H1062732A
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JP
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quantum well
semiconductor
multiple quantum
optical modulator
modulator
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JP22204396A
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English (en)
Inventor
Koichi Wakita
紘一 脇田
Takayuki Yamanaka
孝之 山中
Susumu Kondo
進 近藤
Etsuo Noguchi
悦男 野口
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高速動作・高入力下での飽和のない素子を提
供する。更に、入射光の伝搬損を増加せず、且つ、吸収
係数変化が小さい電圧で得られる高性能で低チャープ特
性を有する光導波路形変調器を提供する。 【解決手段】 第一と第二のバンドギャップ(Eg1,E
g2:Eg1>Eg2)をそれぞれ持つ第一と第二の半導体か
らなり、その厚さがボーア半径より薄い多重異種構造か
ら構成されるいわゆる多重量子井戸(MQW)半導体素
子において、上記多重量子井戸層3の両側を第一の半導
体と同等かそれより小さい屈折率を持つ第三の半導体
2,4で挟んだ、いわゆる導波構造を形成し、この導波
構造を上記各層に平行な面内で挟んで互いに一方を他方
とその導電形が異なるように不純物を添加して外部から
上記多重量子井戸層に垂直に電圧を印加できるようにし
た導波形多重量子井戸構造光変調器とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体量子井戸光
変調器に関する。詳しくは、光導波路を構成する多重量
子井戸層の吸収係数を外部電界で制御して、光導波路を
通過する光の強度を、高速・低電圧・低チャープに制御
する光導波路形変調器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光ファイバ伝送の伝送速度及び中
継器間隔は年々上昇しているけれども、伝送速度が数Gb
it/sを越えると、これまで用いられてきた半導体レーザ
での直接変調法によっては伝送距離が光ファイバの分散
で制限される問題が生じている。
【0003】例えば、図5に、半導体レーザのチャープ
(発振波長のゆらぎ)特性を示す線幅拡大係数αを横軸
に、10Gbit/sの伝送速度で通常の光ファイバを伝送した
ときペナルティ1dBまで許容した場合の光パルスの届く
距離Lを縦軸に示す。同図に示すように、α=-0.8程度
の値をとるとき通常の光ファイバでの伝送距離は最大と
なるが、半導体レーザではαは2〜3の値である。
【0004】これを克服するため、LiNbO3や半導体
等を用いた外部変調器が研究されている。このうちLi
NbO3を用いた外部変調器は、チャープ特性を印加電圧
で望ましい値に制御でき、一部実用化されているもの
の、動作電圧は大きく、専用の駆動用の高価な増幅器が
必要である。
【0005】他方、半導体を用いた吸収形変調器では、
駆動電圧は低く、直接変換法に比べチャープ特性は小さ
いものの上記のα=-0.8に比べて大きく、これを減らす
ためにバイアス電圧を深くして損失を増加させた状態で
使用しているのが現状である(例えば、K.Yamada他、Ph
otonics Technology Letters,7巻,10号,1157〜1158
頁)。
【0006】一方、分子線エピタキシー(MBE)や有
機金属化学気相成長法(MOVPE)など化合物半導体
極薄膜作製技術の進展によって半導体多重量子井戸(M
QW)や超格子構造が登場し、これまで用いられてきた
バルク半導体に比べ著しいオプトエレクトロニクス素子
の特性改良が可能となっている。このうちMQW構造に
電解を印加してその吸収係数を変化させる電解吸収効果
はバルク半導体に比べ非常に顕著で、これを用いて高速
・低電圧駆動可能な光変調器が実現している。
【0007】しかし、チャープ特性は十分とは言えず、
上記のバルク半導体変調器と同様バイアス電圧を深くし
て損失を増加させた状態で使用しているが現状である。
最近、MQW構造に引張り応力を導入して、チャープ特
性を改良する試みがある(例えば、山中他、第43回応
用物理学関係連合講演会予稿集27p-D-18)。
【0008】このうち、長距離・大容量光ファイバ伝送
において重要な1.55μmで動作するMQW構造にはIn
GaAsP/InGaAsP系とInGaAs/InAlAs系とが
あり、前者は半導体レーザに長く用いられていることか
ら、変調器にも研究されているが、図6に示すように量
子井戸層と障壁層に用いるInGaAsP/InGaAsPの
組み合わせでは、ヘテロ界面において質量の大きな正孔
に対する障壁の高さが質量の小さい電子のそれよりも高
く、電子の量子閉じ込めは弱く、量子サイズ効果は小さ
く、かつ、光吸収に伴って生成される電子・正孔対が印
加電界によって各々P及びN電極に掃引されるとき、正
孔がヘテロ界面にパイルアップして吸収飽和が生じ易い
という欠点がある。
【0009】これを防ぐため4元組成のInGaAsP/I
nGaAsPを用いてエネルギー差を減らす方法が試みら
れているが(図6(b))、電子の閉じ込めが弱く、量
子サイズ効果は小さいという問題がある。他方、InGa
As/InAlAs系ではヘテロ界面において質量の大きな
正孔に対する障壁の高さが質量の小さい電子のそれより
も低く、電子の量子閉じ込めは強く、量子サイズ効果は
大きく、正孔がパイルアップして吸収飽和を生じること
は少ないものの、逆に電子による吸収飽和が懸念され
る。
【0010】また、本発明者らの詳細な理論計算によれ
ば、図7に示すように、上記チャープ特性を改良するに
は電子の量子閉じ込めを弱くした方が良いことが判明し
た。図7は、InGaAs/InGaAsP系とInGaAs/In
AlAs系MQW変調器のチャープ特性を決めるαパラメ
ータを比較したもので、InGaAs/InGaAsP系の方
がInGaAs/InAlAs系に比べてチャープ特性は良い
ことを示している。即ち、InGaAs/InGaAsP系と
InGaAs/InAlAs系の中間の構造が吸収型変調器と
して最適であることを示している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記高速・低電圧駆動
可能な、且つ、高入力下でも飽和することなく、チャー
プ特性が良好な光変調器を実現することである。従来採
用されていた構造で量子サイズ効果は大きく、従って高
速・低電圧駆動を実現したが、チャープ特性は十分とは
いえず、上記のバルク半導体変調器と同様バイアス電圧
を深くして損失を増大させた状態で使用している。更
に、電子の閉じ込めは強すぎて光吸収に伴って発生する
電子がヘテロ界面に抜けにくいことが問題となってい
る。
【0012】一方、量子井戸層或いは障壁層の格子定数
を、これらの層の上に成長させている基板結晶の格子定
数と不整合にさせ量子井戸層内に応力を生じさせること
によって、軽い正孔と電子からなる励起子吸収と思い正
孔と電子からなる励起子吸収が重なるようにして効率化
する試みがある(InGaAsP/InP系多重量子井戸構
造に関しては、M.Okamoto 他:米国電子学会量子エレク
トロニクス誌IEEE Journal of Quantum Electronics 27
巻、1463-1469、1991年に、InGaAs/InAlAs系多重
量子井戸構造に関しては、井戸他:電子報通信学会研究
報告、信学技報ED93-61,OQE93-44(1993-07)、33-38
頁)。
【0013】即ち、図4に示すように、量子井戸に応力
を付加して軽い正孔と電子からなる励起子吸収e-lhと重
い正孔と電子からなる励起子吸収e-hhを波長が一致する
ようにすれば、電界が印加されていないときには、T
E,TM両偏光方向に対して吸収係数の大きさが同じと
なり、また、電界印加による吸収ピークの長波長側への
シフトをTE,TM両偏光方向に対してほぼ同一にする
方法である。
【0014】この方法によれば、比較的低電界の印加で
所望の変調ができるが、しかし、歪の添加に対して上記
ヘテロ界面において質量の大きな正孔に対する障壁の高
さがより一層高くなり、正孔がパイルアップして吸収飽
和を生じることが一層起こり易くなってしまう。更に、
光強度変調器では、上記チャープ特性(動作時の位相揺
らぎ)を低減することが求められている。
【0015】従来でのチャープ特性改良は、変調器の吸
収端波長を長くして使用波長との波長差(離調と呼ばれ
る)を減らしたり、DCバイアスを深くしてチャープを
減らしていたが、伝搬損は増加してしまい、変調器の挿
入損は大きくなって、問題となっていた。即ち、挿入損
を増加することなく、低チャープ化が求められている。
【0016】本発明は、従来技術での問題点を解消し、
高速動作・高入力下での飽和のない素子を提供すること
にある。更に、入射光の伝搬損を増加することもなく、
且つ、大きな吸収係数変化が小さい電圧で得られる高性
能で低チャープ特性を有する光導波路形変調器を提供す
ることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】低電圧で動作し、且つ、
低損失で低チャープ特性を有するように、また、高入力
で吸収飽和のない光導波路形変調器を提供するため、以
下の手段を用いる。
【0018】通常、量子井戸層の厚さがボーア半径以内
であると、室温においても励起吸収が存在し、高効率な
変調器が作製できる。量子井戸層の格子定数がこれらの
層をその上に成長させている基板結晶の格子定数に整合
して量子井戸層内に応力を生じない状態では、入射光の
偏光方向がTE偏光の場合には、図4に示すように、軽
い正孔と電子からなる励起子吸収と重い正孔と電子から
なる励起子吸収が両方観測されるのに対し、入射光の偏
光方向がTM偏光の場合には、軽い正孔と電子からなる
励起子吸収しか観測されない。
【0019】上記目的は、図3に示すように、量子井戸
内に応力が加わるようにして、軽い正孔と電子とからな
る励起子吸収e-lhと重い正孔と電子からなる励起子吸収
e-hhとが重なるようにし、また、電界印加による吸収係
数の変化を大きくなるようにし、且つ、チャーピングが
低下するように量子井戸構造を設計、製作すれば、達成
することができる。更に、多重量子井戸構造においてこ
れを形成している量子井戸層の格子定数がこの層をその
上に成長させている基板結晶の格子定数と不整合にし
て、量子井戸層内に伸張応力を生じさせると、その吸収
端の波長は応力のない場合に比べ短波長となるため、同
じ吸収端波長にするには量子井戸の厚さを厚くする必要
がある。
【0020】このため、吸収端の波長を長波長側に、例
えば、石英系光ファイバの超低損失な伝送特性を持つ波
長1.55μmで動作するように波長1.49μm付近にするこ
とができる。このとき、量子閉じ込めシュタルク効果
(quantum confined stark effect :QCSE)に基づ
く吸収端波長のシフトは、量子井戸の厚さの4乗に近似
的に比例するので、井戸層厚は厚い法が大きな吸収係数
変化が得られるが、一方、振動子強度そのものは井戸が
厚くなると弱くなるため、ある厚さ以上になるとかえっ
て吸収係数変化は減少してしまう。つまり、井戸の厚さ
には最適の厚さがあるのである。本願発明においては、
井戸の厚さは12nmから20nmに選んでいる。
【0021】また、量子井戸層内の伸張応力の大きさ
は、吸収端波長一定のもとで大きければ大きいほど井戸
層の厚さは厚くできるが、上記の理由で自ずから限界が
ある。更に、伸張歪の大きさとチャープ特性の間には一
定の関係があり、伸張歪の大きさが0.4%から0.5%の間
にあるとチャーピングは比較的小さいことが本発明者等
の計算結果から判明している。
【0022】また、本発明者らの実験によれば、図8に
示すように入射光の波長と変調器の吸収端の波長差Δλ
が50nm以下であれば変調器のチャーピングパラメータα
は、零バイアスのもとで0.5以下となり、低いバイアス
印加によって負号となることが確認されたが、このとき
伝搬損は100μmの試料長に対して6〜8dBほど大きく
なっており、試料を短くすれば問題のないことが判明し
た。図8は、本発明に基づく光強度変調器のチャーピン
グパラメータαの印加電圧依存性を示すもので、縦軸は
チャーピングパラメータα、横軸は逆方向電圧、パラメ
ータは変調器の吸収端波長と入射光との離調波長を示
す。零バイアスのもとで、チャーピングパラメータは小
さな値を示し、印加電圧の増加と共に減少し、負の値と
なる。チャーピングパラメータαが負であると、光ファ
イバ伝送距離は増大する一方、従来の素子で問題となっ
ていたチャーピング低下に伴う損失増加は小さく、飛躍
的に伝送距離・変調速度積は増大する。
【0023】このとき、多重量子井戸構造光変調器を構
成する多重量子井戸(MQW)半導体素子の量子井戸半
導体のバンドギャップと障壁層の半導体のバンドギャッ
プの伝導帯におけるエネルギー差ΔECが0.2eVより大
きく、0.5eVより小さくすれば、高入力下でも吸収飽和
のないことが実験により確認されている。エネルギー差
をこのような範囲内とするには、障壁層の組成を4元I
nGaAlAsにして井戸層InGaAsと障壁層とのエネル
ギー差を減らしてやればよい。通常、InP基板に格子
整合するInGaAs井戸層、InAlAs障壁層との間には
0.5eVの伝導帯におけるエネルギー差ΔECがあり、他
方、InP基板に格子整合するInP障壁層とInGaAs
井戸層の間には0.2eVの伝導帯におけるエネルギー差Δ
Cがあり、障壁層を4元InGaAlAsにすれば上記の
構造は可能となる。
【0024】〔作用〕量子井戸構造に量子サイズ効果の
大きなInGaAs/InGaAlAs系を用いているので、電
界印加による吸収係数は大きく、素子長は短くでき、高
速動作が可能となる。素子長が短いので離調を小さくで
き、挿入損・チャーピングの低減が可能で、高速動作で
きる。通常の格子整合系と違い、量子井戸内に応力が加
わるようにして、且つ、量子井戸の厚さを最適化して軽
い正孔と電子からなる励起子吸収と重い正孔と電子から
なる励起子吸収を合わせ電界による吸収係数変化を大き
くできる。また、適当に電子の閉じ込めを弱くしてある
ので低チャープ特性が期待できる。
【0025】量子井戸層内に伸張応力を生じさせると、
その吸収端の波長は応力のない場合に比べ短波長になる
ため、量子井戸の厚さを厚くして同じ吸収端波長とす
る。このとき、前述したように量子井戸の深さは深いほ
どQCSEに基づく吸収端波長シフトと大きくなるが、
振動子強度は逆に減少するので量子井戸の厚さには最適
な値がある。ここでは、波長1.55μmで電界吸収形強度
変調器として動作するように、井戸層厚を12〜20nmと
し、井戸層内に0.40〜0.50%の伸張歪を、5nmの障壁層
に0.5%の圧縮歪を導入した。また、これを用いて大き
な吸収係数変化を持つ、高性能光導波路形変調器を提供
することができた。
【0026】即ち、図9に示すように、電界吸収形強度
変調器として通常の応力のない場合に比べ約半分の電圧
で同じ消光比を得ることができた。これは同じ消光比、
同じ電圧に対して試料の長さが半分で済むことを意味す
るので、素子の速度を律速している素子容量も半分とな
り、速度は倍となる。測定系の制限から、3dB帯域は40
GHzあるとしか確認できなかった。更に、歪の添加に対
してヘテロ界面において質量の大きな正孔に対する障壁
の高さは高くなるのを4元障壁層を用いて低くしている
ので正孔のパイルアップを防止でき吸収飽和を生じるこ
とがなくなった。また、適当に電子の閉じ込めを弱くし
てあるので、チャーピングの低減が可能となり、従来素
子に比べ格段の性能向上が図れた。
【0027】
【実施例】
〔実施例1〕図1は、上述したような大きな吸収係数変
化を利用した本発明の光変調器の一実施例を示す。図
中、1はn−InP基板、2はn−InAlAsクラッド
層、3はノンドープIn1-xGaxAs/In1-y-zGazAly
s多重量子井戸層、4はp−InAlAsクラッド層、5は
p−InGaAs層、6はN側電極、7はP側電極、8は
反射防止膜、9はポリイミドである。量子井戸層3は、
InGaAsとInGaAlAsを量子井戸層、障壁層とする
多重量子井戸構造で分子線エピタキシャル成長法や有機
金属気相成長法などの結晶成長法で作製した。
【0028】通常、n−InP基板1に格子整合するIn
1-xGaxAsやIn1-y-zGazAlyAsなどの混晶条件はx=
0.47,y=0.48であるが、xやyの値を変えることで格子
不整を生じ応力が発生する。応力の大きさ、向きも井戸
層、障壁層の上記組成や膜厚を変えることでクラックの
発生しない範囲で自由に変えられる。例えば、y=0.48と
障壁層をInP基板に整合させた場合、x>0.47では引張
り応力が発生するが、x<0.47では圧縮応力が発生す
る。井戸層の厚さを12nmと通常のInP基板に整合させ
た場合の厚さ7.5nmに比べ大幅に増大でき、QCSEの
高効率が可能となった。
【0029】即ち、波長1.55μmで電界吸収形強度変調
器として動作させた素子では、井戸層厚を12〜20nmと
し、井戸層内に0.40〜0.50%の伸張歪を、厚さ5nmの障
壁層に0.5%の圧縮歪を導入した。その特性を図8,9
に示す。変調器部分の長さが短いので離調を小さくして
も伝搬損の増加は大きくなく、チャーピングも小さくで
きる。また、障壁層に井戸層と逆向きの圧縮応力を加え
てあるので、井戸層厚は12〜20nm、ノンドープIn1-x
axAs/In1-y-zGazAlyAs多重量子井戸層は0.13μm
と比較的厚いにも係わらず、応力は弾性の範囲内であっ
て転移やクラックの発生することはなかった。
【0030】〔実施例2〕図2は、上述したような大き
な吸収係数変化を利用した本発明の光変調器の他の実施
例を示す。図中、11はn−InP基板、12はn−In
Pクラッド層、13はアンドープInGaAs/InGaAl
As多重量子井戸層、14はp−InPクラッド層、15
はp−InGaAs層、16はN側電極、17はP側電
極、18は反射防止膜、19はポリイミドである。多重
量子井戸層13は、InGaAsとInGaAlAsの応力の
補償された多重量子井戸構造になっている。
【0031】前述した実施例と同様に、n−InP基板
1に格子整合するIn1-xGaxAs1-yyやIn1-u-vGau
AlvAsなどの混晶の組成条件やx,y,u,vの値を変えるこ
とで格子不整を生じ応力が発生する。応力の大きさ、向
きも井戸層、障壁層の上記組成や膜厚を変えることでク
ラックの発生しない範囲で自由に変えられる。井戸層に
は図1と同様に伸張歪が0.5%加えられている。
【0032】
【発明の効果】以上、実施例に基づいて具体的に説明し
たように、本発明によれば、低電圧で動作し、高速動作
が可能となり、且つ、低電圧で低チャープ特性を有する
変調器が得られる。また、多重量子井戸構造での量子井
戸層内に引張り応力が加わるようにして、軽い正孔と電
子からなる励起子吸収と重い正孔と電子からなる励起子
吸収が重なるようにしているため、従来に比べ厚い井戸
層を用いることができ、小さい電界印加で大きな吸収係
数変化が得られ、高速・高効率な光変調器が得られる。
尚、上記実施例では、InP基板を用いたInGaAs,In
AlAs混晶について述べたが、InP基板を用いたInG
aAsPや、GaAs基板を用いたInGaAs,InAlAs,I
nGaAsP,AlGaAs混晶系についても同様な効果があ
ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す説明図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す説明図である。
【図3】本発明に基づく多重量子井戸構造の電界印加に
よる吸収係数変化を示すグラフである。
【図4】従来の応力の加えられていない多重量子井戸構
造の電界印加による吸収係数変化を示すグラフである。
【図5】通常ファイバを変調速度10Gbits/sで伝送した
ときペナルティ1dBの条件でどれくらい伝送できるかを
チャーピングパラメータαを用いて評価した計算結果を
示すグラフである。
【図6】長波長帯で動作する多重量子井戸構造のち、I
nGaAs/InP,InGaAsP/InGaAsP,InGaAs/
InAlAsのエネルギーバンドを示す説明図である。
【図7】InP基板に格子整合するIn0.53Ga0.47As/
In0.52Al0.48As(b)とInGaAs/InGaAsP
(a)量子井戸において井戸層厚をパラメータとしたと
きのチャーピングパラメータαの印加電圧依存性を示す
グラフである。
【図8】本発明に基づく量子井戸構造の電界印加による
チャーピングパラメータαの離調をパラメータとしたと
き印加電圧依存性を示すグラフである。
【図9】本発明に基づく多重量子井戸構造の量子井戸に
引張り応力を付加したとき及び従来の多重量子井戸構造
の電界印加による消光比の電界依存性を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 n−InP基板 2 n−InAlAsクラッド層 3 ノンドープIn1-xGaxAs/In1-y-zGazAlyAs多
重量子井戸層 4 p−InAlAsクラッド層 5 p−InGaAs層 6 N側電極 7 P側電極 8 反射防止膜 9 ポリイミド 11 n−InP基板 12 n−InPクラッド層 13 アンドープInGaAs/InGaAlAs多重量子井戸
層 14 p−InPクラッド層 15 p−InGaAs層 16 N側電極 17 P側電極 18 反射防止膜 19 ポリイミド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 悦男 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一と第二のバンドギャップ(Eg1,E
    g2:Eg1>Eg2)をそれぞれ持つ第一と第二の半導体か
    らなり、その厚さがボーア半径より薄い多重異種構造か
    ら構成されるいわゆる多重量子井戸(MQW)半導体素
    子において、上記多重量子井戸層の両側を第一の半導体
    と同等かそれより小さい屈折率を持つ第三の半導体で挟
    んだ、いわゆる導波構造を形成し、この導波構造を上記
    各層に平行な面内で挟んで互いに一方を他方とその導電
    形が異なるように不純物を添加して外部から上記多重量
    子井戸層に垂直に電圧を印加できるようにした導波形多
    重量子井戸構造光変調器において、その導波形多重量子
    井戸構造光変調器を構成する多重量子井戸(MQW)半
    導体素子の上記第一の半導体のバンドギャップと上記第
    二の半導体のバンドギャップの伝導帯におけるエネルギ
    ー差ΔECが0.2eVより大きく0.5eVより小さいことを
    特徴とする半導体量子井戸光変調器。
  2. 【請求項2】 前記多重量子井戸構造を構成する第一の
    半導体はInGaAlAsであり、第二の半導体はInGaA
    lAs又はInGaAsであることを特徴とする請求項1記
    載の半導体量子井戸光変調器。
  3. 【請求項3】 前記第一の半導体の格子定数は、これら
    の層をその上に成長させている基板結晶の格子定数と不
    整合であり量子井戸層内に伸張応力を生じさせ、この伸
    張歪は0.3〜0.5%であることを特徴とする請求項2記
    載の半導体量子井戸光変調器。
JP22204396A 1996-08-23 1996-08-23 半導体量子井戸光変調器 Pending JPH1062732A (ja)

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JP22204396A Pending JPH1062732A (ja) 1996-08-23 1996-08-23 半導体量子井戸光変調器

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001033287A1 (fr) * 1999-10-28 2001-05-10 Center For Advanced Science And Technology Incubation, Ltd. Modulateur optique a electro-absorption et son procede de fabrication
JP2001281609A (ja) * 2000-03-30 2001-10-10 Mitsubishi Electric Corp 光変調器及び光変調器付半導体レーザ装置、並びに光通信装置
KR100500097B1 (ko) * 2002-03-01 2005-07-11 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 광변조기

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