JP3273494B2 - 導波形多重量子井戸光変調器 - Google Patents

導波形多重量子井戸光変調器

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JP3273494B2 JP05144996A JP5144996A JP3273494B2 JP 3273494 B2 JP3273494 B2 JP 3273494B2 JP 05144996 A JP05144996 A JP 05144996A JP 5144996 A JP5144996 A JP 5144996A JP 3273494 B2 JP3273494 B2 JP 3273494B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導波形多重量子井
戸光変調器に関する。詳しくは、光導波路を構成する多
重量子井戸構造の吸収係数を外部電界で制御して、導波
光の強度を高速・低電力・低チャープに制御する光導波
路形変調器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、分子線エピタキシー(MBE)や
有機金属化学気相成長法(MOVPE)など化合物半導
体極薄膜作製技術の進展によって、半導体多重量子井戸
構造(MQW)や超格子構造が登場し、これまで用いら
れてきたバルク半導体に比べ著しいオプトエレクトロニ
クス素子の特性改良が可能となっている。
【0003】このうち、MQW構造に電界を印加してそ
の吸収係数や、屈折率を変化させる電界吸収効果、電界
屈折率効果はバルク半導体に比べ非常に顕著で、これを
用いて高速・低電圧駆動可能な光変調器が実現してい
る。この種の光変調器の速度は、素子容量で規定されて
いるため、例えば、40Gbit/sec以上というような高速で
動作させるには、光変調器の全長を短くしたり、ノンド
ープ層の厚さを厚くする必要があった。
【0004】ノンドープ層の厚さを厚くする方法は、動
作電圧が大きくなり、特に変調速度が高ければ高いほど
駆動回路に負担がかかり、最大でも2V程度で動作しな
ければ、新たに駆動用の高価な増幅器が必要となって、
実用的でなくなってしまうという問題があった。他方、
光変調器の全長を短くすることは、光変調器の取り扱い
上自ずから限界があり、例えば、光変調器の全長が10
0μm程度以下であると、共振器形成の為の劈開工程の
歩留りが落ち、反射防止膜のコートも精度や歩留りが下
がるという問題があった。
【0005】これを解決するため、図6(a)(b)に
示すように、必要な長さ部分を残して他をエッチングで
落とし、全長の短い光変調器を形成した後に、新たに別
の構成の導波路を結晶成長により再生長して導波部分を
長くする構造が提案された(井戸他、「導波路集積化M
QW−EA型光変調器」、1994年秋電子情報通信学
会C270及び1995年秋エレクトロニクスソサイエ
ティSC−2−10)。
【0006】しかしながら、この方法は、エッチング工
程が入り、結晶成長を何度も繰り返す必要があり、工程
が煩雑で再現性・安定性に欠け、実用的ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、全長
の短い光変調器を構成した後、新たに別の構成の導波路
を結晶成長により再成長して、導波部分を長くした構造
は、導波路部分の吸収端波長が変調器の動作する部分の
それより短くして、吸収による損失のないように異なっ
た組成の導波路を設けており、変調器として必要最低限
の長さ以上はエッチングで落とす必要があった。
【0008】従って、本発明の解決しようとする課題
は、エッチングや数回に渡る結晶成長をなくすこと、及
び導波路部分の吸収端波長が変調器の動作する部分それ
より短くして、損失を増加させないことである。つま
り、結晶成長を一回で済ませ、ノンドープ層の厚さを厚
くすることなく、低電圧で動作し簡便な作製方法によっ
て変調器の長さを短くして高速増加が可能で、かつ、全
長の長い光変調器を提供することにある。
【0009】一方、量子井戸層或いは障壁層の格子定数
を、これらの層をその上に成長させている基板結晶の格
子定数と不整合にさせ、量子井戸層内に応力を生じさせ
ることによって、軽い正孔と電子からなる励起子吸収と
重い正孔と電子とからなる励起子吸収が重なるようにし
て高効率化する試みがある(InGaAsP/InP系多重
量子井戸構造に関しては、M.Okamoto 他:米国電子学会
量子エレクトロニクス誌IEEE journal of Quantam Elec
tronics 27巻、1463〜1469、1991年に、InGaAs/In
AlAs系多重量子井戸構造に関しては、井戸他:電子通
信学会研究報告、信学技報ED93-61,OQE93-44(1993-0
7)、33〜38頁)。
【0010】即ち、量子井戸に応力を付加して軽い正孔
と電子からなる励起子吸収と重い正孔と電子からなる励
起子吸収を波長が一致するようにすれば、電界印加のさ
れていないときにTE、TM両偏光方向に対して吸収係
数の大きさが同じとなり、また、電界印加による吸収ピ
ークの長波長側へのシフトをTE,TM両偏光方向に対
してほぼ同一にする方法である。この方法によれば、比
較的低電界の印加で所望の変調ができる。しかし、歪み
の量に関しては、最適化されておらず、より一層の低電
圧化は未検討である。
【0011】更に、光強度変調器では、上記駆動電圧の
低減の他にも、そのチャープ特性(動作時の位相揺ら
ぎ)を低減することが求められている。従来のチャープ
特性改良は、変調器の吸収端波長を長くして使用波長と
の波長差(離調と呼ばれる)を減らしたり、DCバイア
スを深くしてチャープを減らしていたが、伝搬損は増加
してしまい、変調器の挿入損は大きくなって問題となっ
ていた。つまり、挿入損を増加することなく低チャープ
化が求められている。
【0012】本発明の目的は、上述した従来技術の問題
点を解消し、結晶成長を一回でノンドープ層の厚さを厚
くすることなく低電圧で動作し、簡便な作製方法によっ
て全長を短くして高速動作可能となる光変調器を提供す
るにある。更に、入射光の伝搬損を増加することなく、
かつ、大きな吸収係数変化が小さい電圧で得られる高性
能で低チャープ特性を有する光導波路形変調器を提供す
るにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成する本
発明は、基板上に、第一の導電形を有する半導体層、多
重量子井戸構造、第二の導電形を有する半導体層を順次
積層すると共に前記多重量子井戸構造の量子井戸層の厚
さをボーア半径より薄く、また、前記半導体層の屈折率
を前記量子井戸層と同等かそれより小さくした変調領域
を備える一方、該変調領域の前記多重量子井戸構造に垂
直に電圧を印加できる導波形多重量子井戸光変調器にお
いて、前記変調領域の前記多重量子井戸構造へ導波光を
導く導波路層として、前記多重量子井戸構造と同一構造
を前記基板上に形成する一方、前記導波路層に前記変調
領域とは独立して電流を注入することを特徴とする。
【0014】ここで、前記変調領域の長さを10μm以
上、80μm以下とし、かつ、全長を200μm以上とする
こと、或いは、前記量子井戸構造の格子定数と前記基板
結晶の格子定数とを不整合にして、前記量子井戸層内に
0.4〜0.5%の伸長歪みを生じさせることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】結晶成長を一回で行い、変調器部
と導波部を同一の構成とし、各々の電極を独立して変調
部には逆方向電界が印加されるようにし、導波部には順
バイアスを印加して電流が流れるようにし、ノンドープ
層の厚さを厚くすることなく低電圧で動作し、簡便な作
製方法によって変調器長を短くして高速動作が可能とな
るように、かつ、低チャープ特性を有するようにする。
通常、量子井戸層の厚さがボーア半径以内であると、室
温においても励起子吸収が存在し、高効率な変調器が作
製できるが、これに電流を注入してやると、図4に示す
ように、電子により励起子は解離し、励起子吸収に伴う
吸収はなくなり、その波長域では透明となる。
【0016】従って、同一の導波路構成でも印加電圧の
向きによって一方は変調領域として働き、他方は透明な
導波領域として働くので、必要最小限の長さで変調器を
構成し、他の部分は導波路として用いれば、光変調器と
しての全長は200μm程度以上にできるので、劈開や反
射防止膜の付着等の素子作製工程は簡便となり、歩留り
も向上し実用的となる。
【0017】量子井戸層の格子定数がこれらの層をその
上に成長させている基板結晶の格子定数と整合して量子
井戸層内に応力を生じない状態では、入射光の偏光方向
がTE偏光の場合には、軽い正孔と電子からなる励起子
吸収と重い正孔と電子からなる励起子吸収が両方観測さ
れるのに対し、図5に示すように、入射光の偏光方向が
TM偏光場合には、軽い正孔と電子からなる励起子吸収
しか観測されない。
【0018】従って、量子井戸内に応力が加わるように
して、図3に示すように、軽い正孔と電子からなる励起
子吸収と重い正孔と電子からなる励起子吸収が重なるよ
うにし、電界印加による吸収係数の変化を大きくなるよ
うに、かつ、チャーピングが低下するように量子井戸と
構造を設計、製作すれば、上記目的を達成することがで
きる。更に、量子井戸構造において、これを構成してい
る量子井戸層の格子定数がこの層をその上に成長させて
いる基板結晶の格子定数と不整合にして、量子井戸層内
に伸長応力を生じさせると、その吸収端の波長は応力の
ない場合に比べ短波長となるため、同じ吸収端波長にす
るためには量子井戸の厚さを厚くする必要がある。
【0019】このため、吸収端の波長を長波長側に、例
えば、石英系光ファイバの超低損失な伝送特性を持つ波
長1.55μmで動作するように、波長1.49μm付近にする
ことができる。このとき、量子閉じ込めシュタルク効果
(quantum confined Stark effect:QCSE)に基づく
吸収端波長のシフトは量子井戸の厚さの4乗に近似的に
比例するので、井戸層厚は厚い方が大きな吸収係数変化
が得られるが、一方、振動子強度そのものは井戸が厚く
なると弱くなるため、ある厚さ以上になるとかえって吸
収係数変化は減少してしまう。つまり、井戸の深さには
最適の厚さがある。本願発明では、井戸の深さは12nm〜
20nmに選んでいる。
【0020】また、量子井戸層内の伸長応力の大きさ
は、吸収端波長一定のもとで大きければ大きいほど井戸
層の厚さは厚くできるが、上記の理由から自ずと限界が
ある。更に、伸長歪みの大きさとチャープ特性の間には
一定の関係があり、伸長歪みの大きさが0.4%〜0.5%の
間にあるとチャーピングが比較的小さいことが本願発明
者の計算の結果判明している。
【0021】また、本願発明者の実験によれば、図8に
示すように、入射光の波長と変調器の吸収端の波長差が
50nm以下であれば、変調器のチャーピングパラメータα
は零バイアスのもとで0.5以下となり、低いバイアス印
加によって負号となることが確認されたが、このとき伝
搬損は、100μmの試料長に対して6〜8dBほど大きく
なっており、試料を短くすれば問題がないことが判明し
た。
【0022】〔作用〕本発明は、必要な長さ部分を残し
て、他をエッチングで落とし、全長の短い光変調器を構
成した後、新たに別の構成の導波路を結晶成長により再
成長して、導波部分を長くする従来技術に比較し、エッ
チングや数回にわたる結晶成長がなく、バイアス条件に
よって導波路部分の吸収端波長が変調器の動作する部分
のそれより短くすることができるので、結晶成長は1回
で済む。ノンドープ層の厚さを厚くすることなく、低電
圧で動作し、簡便な作製方法によって全長を短くでき高
速動作が可能となる。変調領域は短いので、離調を小さ
くでき、挿入損・チャーピングの低減が可能で高速動作
できる。
【0023】通常の格子整合系と異なり、量子井戸層内
に応力が加わるようにして、かつ、量子井戸の厚さを最
適化して軽い正孔と電子とからなる励起子吸収と重い正
孔と電子からなる励起子吸収を合わせ電界により吸収係
数変化を大きくできる。このとき、量子井戸層に伸長応
力を発生させると、その吸収端は波長の応力のない場合
に比べ短波長になるため、量子井戸の厚さを厚くして同
じ吸収端波長にする。前述のように、量子井戸の厚さは
厚いほどQCSEに基づく吸収端波長シフトは大きくな
るが、振動子強度は逆に減少するので量子井戸の厚さに
最適な値がある。ここでは、波長1.55μmで電界吸収形
強度変調器として動作するように井戸層厚を12〜20nmと
し、井戸層内に0.40〜0.50%の伸長歪みを、5nmの障壁
層に0.5%の圧縮歪みを導入した。
【0024】また、これを用いて大きな吸収係数変化を
持つ、高性能光導波路形変調器を提供することができ
た。即ち、図9に示すように、電界吸収形強度変調器と
して通常の応力のない場合に比べ約半分の電力で同じ消
光比を得ることができた。これは、同じ消光比、同じ電
圧に対して、光変調器の全長が半分で済むことを意味す
るので、光変調器の速度を律速している素子容量も半分
になり、速度は倍になる。測定系の制限から3dB帯域は4
0GHz以上あるとして確認できなかった。更に、挿入損・
チャーピング低減が可能となり、従来技術に比べ格段の
性能向上が図れた。
【0025】
【実施例】以下、本発明について、図面に示す実施例を
参照して詳細に説明する。
【0026】〔実施例1〕本発明の第1の実施例を図1
に示す。本実施例は、上述した大きな吸収係数変化を利
用した光変調器に関する。図中、1はn−InP基板、
2はn−InAlAsクラッド層、3はノンドープIn1-x
GaxAs/In1-yAlyAs多重量子井戸構造、4はp−I
nAlAsクラッド層、5はp−InGaAs層、6はN側電
極、7はP側電極、8,9は導波路部分の電極、10は
反射防止膜を各々示す。
【0027】多重量子井戸構造3は、InGaAsとInA
lAsを量子井戸層、障壁層とする多重量子井戸構造で、
分子線エピタキシャル成長法や有機金属気相成長法等の
結晶成長法で作製した。
【0028】通常、InP基板1に格子整合するIn1-x
GaxAsやIn1-yAlyAsなどの混晶条件は、x=0.47,y=
0.48 であるが、xやyの値を変えることで、格子不整
を生じ応力が発生する。応力の大きさ、向きも井戸層、
障壁層の上記組成や層厚を変えることでクラックの発生
しない範囲で自由に変えられる。例えば、y=0.48と障壁
層をInP基板に整合させた場合、x>0.47では引張り応
力が発生するが、x<0.47では圧縮応力が発生する。
【0029】多重量子井戸構造3の厚さを12mmと通常の
InP基板1に整合させた場合の厚さ7.5mmに比べ大幅に
増大でき、QCSEの高効率が可能となった。即ち、波
長1.55μmで電界吸収形強度変調器として動作させた光
変調器では、井戸層厚を12〜20nmとし、井戸層内に0.40
〜0.50%の伸長歪みを、厚さ5nmの障壁層に0.5%の圧縮
歪みを導入した。
【0030】その特性は、図8,9に示すように、電極
8,9の順方向にバイアスを加えた電流を注入すると、
導波路部分では注入されたキャリアによって励起子は消
滅し、吸収係数は減少するので変調器を導波した光は殆
ど吸収されることなく導波路部分を導波する。本光変調
器は、変調器部分は10μm以上、80μm以下と非常に短
いに係わらず全導波路部分の長さを200μm以上として
あるため試料長を長くでき、光変調器の取り扱いは容易
で劈開や反射防止膜10のコートも容易かつ高歩留りで
作製できる。
【0031】また、変調器部分の長さが短いので離調を
小さくしても伝搬損の増加は大きくなく、チャーピング
も小さくできる。障壁層に井戸層と逆向きの圧縮応力を
加えてあるので、井戸層厚は12nm〜20nm、ノンドープI
n1-xGaxAs/In1-yAlyAs多重量子井戸構造は0.13μ
mと比較的厚いにも係わらず、応力は弾性の範囲内であ
って転移やクラックが発生することはなかった。
【0032】〔実施例2〕本発明の第2の実施例を図2
に示す。本実施例は、上述した大きな吸収係数変化を利
用した光変調器に関する。図中、11はn−InP基
板、12はn−InPクラッド層、13はノンドープIn
GaAsP/InGaAsP多重量子井戸構造、14はp−
InPクラッド層、15はp−InGaAs層、16はN側
電極、17はP側電極、18,19は導波路部分の電極
を示す。
【0033】多重量子井戸構造13は、InGaAsPと
InGaAsPの応力の補償された多重量子井戸構造にな
っている。
【0034】前述した実施例と同様に、InP基板1に
格子整合するIn1-xGaxAs1-yyIn1-uGauAs1-vv
などの混晶の組成条件、xやy、u,vの値を変えるこ
とで、格子不整を生じ応力が発生する。応力の大きさ、
向きもクラックの発生しない範囲で自由に変えられる。
井戸層には図1と同様に伸長歪みが0.5%加えられてい
る。
【0035】
【発明の効果】以上、実施例に基づいて具体的に説明し
たように、本発明によれば、結晶成長を一回で行い、変
調部と導波部を同一の構成とし、各々の電極を独立にし
て変調部には逆方向電界が印加されるようにし、導波部
には順バイアスを印加して電流が流れるようにしてある
ので、ノンドープ層の厚さを厚くすることなく低電圧で
動作し、簡便な作製方法によって高歩留りで、全長の短
い光変調器が得られ、かつ、低損失で低チャープ特性を
有する変調器が得られる。
【0036】また、多重量子井戸構造での量子井戸層内
に引張り応力が加わるようにして、軽い正孔と電子から
なる励起子吸収と重い正孔と電子からなる励起子吸収が
重なるようにしているため、従来に比べ厚い井戸層を用
いることができ、図9に示すように、小さい電界印加で
大きな吸収係数変化が得られ、高速・高効率な光変調器
が得られる。
【0037】図8に、本願発明にかかる光強度変調器の
チャーピングパラメータαの印加電圧依存性を示す。同
図では、立軸はチャーピングパラメータα、横軸は逆方
向電圧、パラメータは変調器の吸収端波長と入射光との
離調波長を示す。同図に示すように、零バイアスのもと
でチャーピングパラメータαは小さな値を示し。印加電
圧の増加とともに減少し、負の値となる。チャーピング
パラメータαが負であると光ファイバ伝送距離は増大す
る一方、従来の光変調器で問題となっていたチャーピン
グ低下に伴う損失増加は小さく、飛躍的に伝送距離・変
調速度積は増大する。
【0038】上記実施例では、InP基板を用いたInG
aAs, InAlAs,InGaAsP混晶について述べたが、
GaAs基板を用いたInGaAs, InAlAs,InGaAs
P,AlGaAs混晶系についても同様な効果が生じるこ
とは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る光変調器を示す斜
視図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る光変調器を示す斜
視図である。
【図3】本発明に基づく多重量子井戸構造の電界印加に
よる吸収係数変化を示すグラフである。
【図4】本発明に基づく多重量子井戸構造の順方向バイ
アス印加による電流注入に伴う吸収係数変化を示すグラ
フである。
【図5】従来の応力の加えられていない多重量子井戸構
造の電界印加による吸収係数変化を示すグラフである。
【図6】従来の結晶成長を多数回実施した集積化光変調
器の構造図及びその導波路集積化変調器の作製プロセス
の説明図である。
【図7】In1-xGaxAs/In0.53l0.47As量子井戸にお
いて重い正孔と電子から励起子吸収の吸収端波長を1.49
μmに固定したときの井戸層の伸長歪み量と井戸層厚の
関係を示したグラフである。
【図8】本発明に基づく多重量子井戸構造の電界印加に
よるチャーピングパラメータαの離調をパラメータとし
た印加電圧依存性を示すグラフである。
【図9】本発明に基づく多重量子井戸構造の量子井戸に
引張り応力を付加した時及び従来の多重量子井戸構造の
電界印加による消光比の電圧依存性を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 n−InP基板 2 n−InAlAsクラッド層 3 ノンドープIn1-xGaxAs/In1-yAlyAs多重量子
井戸構造 4 p−InAlAsクラッド層 5 p−InGaAs層 6 N側電極 7 P側電極 8,9 導波路部分の電極 10 反射防止膜 11 n−InP基板 12 n−InPクラッド層 13 ノンドープInGaAsP/InGaAsP多重量子井
戸構造 14 p−InPクラッド層 15 p−InGaAs層 16 N側電極 17 P側電極 18,19は導波路部分の電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−230066(JP,A) 特開 平5−150198(JP,A) 特開 平2−74918(JP,A) 特開 平3−55514(JP,A) 特表 平8−506431(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/00 - 1/125 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、第一の導電形を有する半導体
    層、多重量子井戸構造、第二の導電形を有する半導体層
    を順次積層すると共に前記多重量子井戸構造の量子井戸
    層の厚さをボーア半径より薄く、また、前記半導体層の
    屈折率を前記量子井戸層と同等かそれより小さくした変
    調領域を備える一方、該変調領域の前記多重量子井戸構
    造に垂直に電圧を印加できる導波形多重量子井戸光変調
    器において、前記変調領域の前記多重量子井戸構造へ導
    波光を導く導波路層として、前記多重量子井戸構造と同
    一構造を前記基板上に形成する一方、前記導波路層に前
    記変調領域とは独立して電流を注入することを特徴とす
    る導波形多重量子井戸光変調器。
  2. 【請求項2】 前記変調領域の長さを10μm以上、80μ
    m以下とし、かつ、全長を200μm以上とすることを特
    徴とする請求項1記載の導波形多重量子井戸光変調器。
  3. 【請求項3】 前記量子井戸構造の格子定数と前記基板
    結晶の格子定数とを不整合にして、前記量子井戸層内に
    0.4〜0.5%の伸長歪みを生じさせることを特徴とする請
    求項1又は2記載の導波形多重量子井戸光変調器。
JP05144996A 1996-03-08 1996-03-08 導波形多重量子井戸光変調器 Expired - Fee Related JP3273494B2 (ja)

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