JPH1062423A - 黄色ブドウ球菌感染の検査方法 - Google Patents

黄色ブドウ球菌感染の検査方法

Info

Publication number
JPH1062423A
JPH1062423A JP18085897A JP18085897A JPH1062423A JP H1062423 A JPH1062423 A JP H1062423A JP 18085897 A JP18085897 A JP 18085897A JP 18085897 A JP18085897 A JP 18085897A JP H1062423 A JPH1062423 A JP H1062423A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tsst
blood
staphylococcus aureus
antibody
exotoxin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18085897A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Miwa
敬史 三和
Hideo Igarashi
英夫 五十嵐
Mayumi Fukuyama
真弓 福山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Metropolitan Government
Toray Industries Inc
Original Assignee
Tokyo Metropolitan Government
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Metropolitan Government, Toray Industries Inc filed Critical Tokyo Metropolitan Government
Priority to JP18085897A priority Critical patent/JPH1062423A/ja
Publication of JPH1062423A publication Critical patent/JPH1062423A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間でかつ正確にその測定結果が得られ
て、その結果を利用しうるものであり、かつ外部からの
微量の汚染さえもない高感度の黄色ブドウ球菌感染の検
査方法を提供する。 【解決手段】 黄色ブドウ球菌外毒素を用いて、検体中
の黄色ブドウ球菌外毒素に対する抗体を酵素免疫学的方
法により検出および/または定量することからなる黄色
ブドウ球菌感染の検査方法、並びにその検査方法に用い
る黄色ブドウ球菌感染の検査用キット。 【効果】 従来法、例えば血液培養法と異なり短時間で
かつ正確にその測定結果が得られて、その結果を利用し
うるものであり、かつ測定されるべき血液検体が多量の
抗生物質剤を投与している患者由来のものといったこと
の影響も受けることのない、そして例えば遺伝子増幅法
と異なり外部からの微量の汚染さえもなく、高感度に黄
色ブドウ球菌感染を検査できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、黄色ブドウ球菌感
染の有無を、血液中に放出された黄色ブドウ球菌の産生
する外毒素を患者血液中より直接検出および/または定
量することにより検査する手段、さらに血液中に放出さ
れた黄色ブドウ球菌の産生する外毒素に対する抗体を患
者血液中より直接検出および/または定量することによ
り黄色ブドウ球菌感染の有無を判定する手段を提供する
ものである。さらに詳しくは、黄色ブドウ球菌外毒素に
対する抗体を用いたまたは黄色ブドウ球菌外毒素を用い
た免疫学的測定、特には酵素免疫学的測定方法、並びに
その方法のための試薬キットに関する。
【0002】
【従来の技術】黄色ブドウ球菌感染症は発熱、嘔吐、血
圧低下、高度の下痢、多臓器障害等の症状を呈し、重症
化すれば死に至る病気である。近年になって、多くの抗
生物質剤に耐性を示すメチシリン耐性の黄色ブドウ球菌
が登場し、黄色ブドウ球菌感染症はより深刻な問題とな
っている。感染症の重症化を防ぐためには、感染の有無
の迅速な判定と、感染患者の重症度の正確な判定が必要
である。
【0003】現在、黄色ブドウ球菌を含む細菌の感染の
有無は血液培養法(坂崎利一編集、細菌・真菌・原虫用
培地マニュアル、日水製薬)を用いている。しかし、血
液培養法では培養時間が長く感染の有無を判定するまで
に1〜2日間要するという欠点を有し、細菌の感染が確
認された時点では既に患者の容態が悪化しており、判定
結果が意味をなさないことが多い。また、多量の抗生物
質剤を投与している患者では血液を希釈してからその培
養を行う必要があり、微量の微生物が血液中に存在して
いても検出されえない可能性がある。迅速かつ高感度に
細菌感染を検出する方法として、遺伝子増幅法(加藤郁
之進、蛋白質・核酸・酵素、Vol.35、p.295
7(1990)を用いた血液中の細菌遺伝子の検出を用
いる方法が試みられている。しかし、この方法において
も常在菌の一つである黄色ブドウ球菌の場合外部からの
微量の細菌遺伝子の混入により、非感染者においても陽
性判定される恐れが多く、この遺伝子増幅法は常在菌で
ある黄色ブドウ球菌による感染症の判定には問題があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来法、例えば血液培
養法と異なり短時間でかつ正確にその測定結果が得られ
て、その結果を臨床などに利用しうるものであり、かつ
測定されるべき血液検体が多量の抗生物質剤を投与して
いる患者由来のものといったことの影響も受けることが
ない、そして例えば遺伝子増幅法と異なり外部からの微
量の汚染さえもない高感度の黄色ブドウ球菌感染の検査
方法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はトキシックショ
ックシンドロームトキシン−1を用いて、検体中のトキ
シックショックシンドロームトキシン−1に対する抗体
を酵素免疫学的方法により検出および/または定量する
ことを特徴とする黄色ブドウ球菌感染の検査方法に関す
る。また本発明はその検査方法に用いる黄色ブドウ球菌
感染の検査用キットに関する。
【0006】本発明は、血液、尿、喀痰、髄液、胸水、
腹水、膿等の体液成分からなる検体中の黄色ブドウ球菌
外毒素に対する抗体を免疫学的測定法により、検出およ
び/または定量し、黄色ブドウ球菌感染の有無を迅速に
かつ高感度に判定するものであり、また黄色ブドウ球菌
感染者の重症度を判定する免疫学的測定法を提供してい
る。
【0007】本発明で利用する黄色ブドウ球菌外毒素
は、外毒素産生菌の培養上清より精製される天然型外毒
素または組換えDNA技術によって製造される遺伝子組
換え型外毒素あるいはそれらと実質的に同等の活性を持
つもののいずれもが使用できる。特に、黄色ブドウ球菌
外毒素に対する抗体を免疫学的測定法により、検出ある
いは定量するために利用する黄色ブドウ球菌外毒素とし
ては、この様にして得られる黄色ブドウ球菌外毒素を、
イオン交換クロマトグラフィー、クロマトフォーカシン
グ、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィーなど
あるいはそれらを組合わせて高度に精製して、抗黄色ブ
ドウ球菌外毒素抗体以外の抗体との反応性を低下せしめ
たものが挙げられる。こうして得られた黄色ブドウ球菌
外毒素を用いることにより、人血清あるいは血漿を用い
た場合においても抗黄色ブドウ球菌外毒素抗体の抗体価
を精確でかつ高い感度で検知しうるものが得られる。
【0008】本発明で利用する黄色ブドウ球菌外毒素に
対する抗体は、黄色ブドウ球菌外毒素により動物を免疫
して得られる抗血清から精製されるポリクローナル抗体
あるいは黄色ブドウ球菌外毒素により免疫された動物か
ら取り出した抗体産生細胞をミエローマ細胞等の増殖細
胞と融合せしめ、得られた融合細胞から産生されるモノ
クローナル抗体のいずれもが使用できる。この様にして
得られる各種抗体のうち、抗原に対する親和性が高く、
血漿による妨害の影響の少ないものを選択することによ
り、人血清あるいは血漿を用いた場合においても黄色ブ
ドウ球菌外毒素を高い感度で検知しうるものが得られ
る。
【0009】(1)ポリクローナル抗体 黄色ブドウ球菌外毒素に対するポリクローナル抗体は、
人以外の動物、例えばウサギ、ヤギ、ヒツジなどの種々
の動物に抗原となる黄色ブドウ球菌外毒素を感作して得
られる抗血清を材料として塩析、イオン交換クロマトグ
ラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾
過など種々の手段で精製することにより得ることが出来
る。抗原で動物を感作するにあたっては、一定の期間を
置いて複数回感作することをしてもよい。
【0010】免疫に用いることが出来る抗原としては、
黄色ブドウ球菌由来天然型黄色ブドウ球菌外毒素および
組換えDNA技術によって製造された遺伝子組換え型黄
色ブドウ球菌外毒素のいずれもが使用できる。
【0011】(2)モノクローナル抗体 黄色ブドウ球菌外毒素に対するモノクローナル抗体は、
常法に従い抗原として黄色ブドウ球菌外毒素を用いて作
製することが出来る。例えば、マウス等の適当な動物を
黄色ブドウ球菌外毒素で免疫した後、その動物の脾臓細
胞をミエローマ細胞と融合することで得られるハイブリ
ドーマの中から黄色ブドウ球菌外毒素に特異的に結合す
る抗体を産生するクローンをELISA等の手法を用い
て選択する。次に、得られたハイブリドーマを培養し、
その培養上清またはハイブリドーマをマウス等の適当な
動物に接種して得られる腹水を材料として、モノクロー
ナル抗体を種々の手段で精製することにより得ることが
出来る。
【0012】本発明で利用する免疫学的測定方法として
は、サンドイッチ法、競合法等種々の公知の測定原理を
用いることができ、例えば酵素免疫分析法(EIA)、
放射能標識免疫分析法(RIA)、あるいは蛍光免疫分
析法(FIA)等の方法が挙げられる。ここで標識物質
としては、酵素が感度の点で好ましく用いられる。標識
物質を結合せしめるにあたっては、種々の公知の方法を
適用することができ、例えばグルタルアルデヒド、コハ
ク酸イミドエステル誘導体、反応性トリアジン等を結合
剤として利用したものが挙げられる。また、固相担体へ
の抗体あるいは外毒素の固定化にあたっては、同様の種
々の公知の方法を適用することができ、物理的吸着によ
る方法、あるいは例えばグルタルアルデヒド、コハク酸
イミドエステル誘導体、反応性トリアジン等を結合剤と
して利用したものが挙げられる。
【0013】本発明に従った検体中の黄色ブドウ球菌外
毒素または抗黄色ブドウ球菌外毒素抗体を免疫学的方法
により検出する方法においては、感染後抗体価が上昇す
るまでには時間を要するため、感染の有無を感染初期に
判定する場合は黄色ブドウ球菌の外毒素の検出がより好
ましく、一方局所感染や微量の毒素しか血液中に遊離し
ない場合は毒素に対する抗体の検出が感染の判定にはよ
り好ましい。さらに、患者の重症度を判定する場合に
は、感染した細菌量や細菌の毒素産生量と対応する血液
中の毒素量の定量と、患者側の毒素に対する抵抗力を反
映する1因子である抗毒素抗体価を同時に測定すること
が好ましい。また、本発明では検体は血液などの体液を
そのまま用いることもできるし、PBSなどの希釈液に
より1〜10,000倍、より好ましくは1〜100倍
に希釈して用いることもできる。また、細菌毒素の定量
により細菌感染や患者の重症度を判定する際には、毒素
の定量感度としては10ng/ml以下、より好ましく
は1ng/ml以下の毒素濃度が定量可能であることが
必要である。
【0014】本発明に従った免疫学的測定方法として、
サンドイッチ法を用いた場合、固相化された抗体あるい
は外毒素に検体中の黄色ブドウ球菌外毒素または抗黄色
ブドウ球菌外毒素抗体を結合させ、更に標識抗体を反応
させることにより、固相上に3〜4分子のサンドイッチ
複合体を形成させる。最後に、酵素基質を加え固相上の
酵素活性を測定することにより、検体中の黄色ブドウ球
菌外毒素濃度を定量する。固相担体としては、マイクロ
プレート、ビーズ、チューブ等が使用可能である。
【0015】競合法を用いた場合には、固相化された抗
体あるいは外毒素に検体中の黄色ブドウ球菌外毒素また
は抗黄色ブドウ球菌外毒素抗体を結合させる際に、標識
した黄色ブドウ球菌外毒素あるいは標識した抗黄色ブド
ウ球菌外毒素抗体を競合的に結合させる。最後に、酵素
基質を加え固相上の酵素活性を測定することにより、検
体中の黄色ブドウ球菌外毒素あるいは抗黄色ブドウ球菌
外毒素抗体濃度を定量する。固相担体としては、マイク
ロプレート、ビーズ、チューブ等が使用可能である。
【0016】凝集法を用いた場合には、ラテックス、ビ
ーズ等のマイクロビーズ上に固相化された抗体あるいは
外毒素に検体中の黄色ブドウ球菌外毒素または抗黄色ブ
ドウ球菌外毒素抗体を結合させ、マイクロビーズの凝集
反応の程度により、検体中の黄色ブドウ球菌外毒素ある
いは抗黄色ブドウ球菌外毒素抗体の濃度を定量する。上
記免疫学的測定方法の中でも、感度の点で特にサンドイ
ッチ法が好ましく用いられる。
【0017】また、マイクロプレートやマイクロビーズ
などの適当な担体に固相化した抗体または毒素、標識し
た抗体または毒素や毒素、酵素基質および標準物質とな
る既知濃度の黄色ブドウ球菌外毒素または抗黄色ブドウ
球菌外毒素抗体等を適宜組み合わせて、感染の判定に用
いるキットが構成される。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。
【0019】実施例1 (1)抗黄色ブドウ球菌外毒素モノクローナル抗体の作
製 黄色ブドウ球菌外毒素の一つであるトキシックショック
シンドロームトキシン−1(以下TSST−1と略す)
に対するモノクローナル抗体の作製法を以下に示す。
【0020】黄色ブドウ球菌培養上清2000mlより
ジエチルアミノエチル−トヨパ−ルを用いたイオン交換
クロマトグラフおよびポリバッファー交換体PBE94
を用いたクロマトフォーカスカラムで精製したTSST
−1、5μgをフロイント完全アジュバントと共に雌B
ALB/cマウスの腹腔内に注射し、さらに、2週間
後、フロイント不完全アジュバントを腹腔内注射し、さ
らに、30日後に上記精製TSST−1、50μgをフ
ロイント不完全アジュバントと共に腹腔内注射すること
により免疫した。その後、常法により免疫したマウスの
脾細胞をミエローマ細胞とポリエチレングリコ−ルを用
いて融合させた。
【0021】このようにして作製したハイブリドマーよ
り抗TSST−1抗体産生細胞を限界希釈法(安東民衛
編集、単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエン
ティフィック)とTSST−1を用いたELISAによ
り2回スクリーニングし、モノクローナルなクローンと
した。このクローンの培養上清よりプロティンGカラム
を用いてモノクローナル抗体を精製した。
【0022】(2)抗黄色ブドウ球菌外毒素ポリクロー
ナル抗体の作製 (1)で用いた精製TSST−1を用いて抗TSST−
1ポリクローナル抗体を以下の方法に従って作製した。
【0023】ニュージーランド白色兎を精製TSST−
1・フロイント完全アジュバント混合物で免役した。免
疫量(精製TSST−1量)および免疫の間隔は、1回
目25μg、1週間後50μg、2週間後100μg、
3週間後100μg、5週間後100μgで行い、7週
間後に心臓から採血を行った。抗体の精製は、抗血清中
よりTSST−1固定化カラム(本カラムは上記(1)
で得られた精製TSST−1を常法に従ってシアノゲン
ブロマイド活性化セルロースビーズに固定化して得られ
る担体)を用いたアフィニティーカラムにより行った。
【0024】(3)酵素免疫法(競合法)による人血漿
中の黄色ブドウ球菌外毒素の定量 酵素免疫法(競合法)による人血漿中のTSST−1の
濃度の定量法について下記に示す。
【0025】96穴マイクロプレートの各ウェルに0.
7μg/mlのウサギ抗TSST−1ポリクローナル抗
体を含むPBS溶液100μlを入れ、4℃で1晩放置
し抗体の固相化を行った。0.5%BSA/PBS溶液
でブロッキングを行い、その後各ウェルを洗浄液(0.
05%Tween20を含むPBS)で洗浄し、適当量
のTSST−1およびビオチン標識したTSST−1
(100pg/ml)を含む反応緩衝液(0.5%BS
A、0.05%Tween20、33%ヒト血漿)10
0μlを入れ、25℃で1時間反応を行った。洗浄後さ
らに0.6μg/mlアビジン化HRP、0.5%BS
A、0.05%Tween20を含むPBSを100μ
lを入れ、25℃15分間反応を行った。洗浄後、基質
液(0.2mg/mlTMB、0.006%過酸化水素
を含む0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5)
100μlを用い発色反応を、25℃30分間行った。
上記反応は全て振盪して行った。最後に、100μlの
1N硫酸を添加し反応を停止し、発色を450nm(対
照波長595nm)の吸光度で測定した。この方法に従
って測定を行い、得られた標準曲線および最低検出感度
の算出結果を図1に示す。標準曲線は、0.1〜1ng
/mlの範囲で良好な直線性を示し、良好な結果であっ
た。
【0026】なお、上記で用いたビオチン標識したTS
ST−1は、実施例1で示した方法により得た精製TS
ST−1にスルホスクシンイミジル−6−(ビオチンア
ミド)を反応させて、ビオチンを結合させることにより
得られた。他の黄色ブドウ球菌外毒素に付いても、抗体
を該当する外毒素に対する抗体に置き換えることによ
り、同様の測定系で検出定量することが可能である。
【0027】実施例 2 酵素免疫法(サンドイッチ法)による人血漿中の黄色ブ
ドウ球菌外毒素の定量 酵素免疫法(サンドイッチ法)による人血漿中の黄色ブ
ドウ球菌外毒素の一つであるTSST−1の濃度の定量
法に付いて下記に示す。
【0028】96穴マイクロプレートの各ウェルに0.
7μg/mlの実施例1で用いたウサギ抗TSST−1
ポリクローナル抗体を含むPBS溶液100μlを入
れ、4℃で1晩放置し抗体の固相化を行った。0.5%
BSA/PBS溶液でブロッキングを行い、その後各ウ
ェルを洗浄液(0.05%Tween20を含むPB
S)で洗浄し、適当量のTSST−1を含む反応緩衝液
(0.5%BSA、0.05%Tween20、33%
ヒト血漿)100μlを入れ、25℃で1時間反応を行
った。各ウェルを洗浄後、0.1μg/mlの実施例1
で用いたビオチン標識モノクローナル抗体液を100μ
lを入れ、25℃で1時間反応を行い、洗浄後さらに
0.6μg/mlアビジン化HRP、0.5%BSA、
0.05%Tween20を含むPBSを100μlを
入れ、25℃15分間反応を行った。洗浄後、基質液
(0.2mg/mlTMB、0.006%過酸化水素を
含む0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5)1
00μlを用い発色反応を、25℃30分間行った。上
記反応は全て振盪して行った。最後に、100μlの1
N硫酸を添加し反応を停止し、発色を450nm(対照
波長595nm)の吸光度で測定した。
【0029】この方法に従って測定を行い、得られた標
準曲線および最低検出感度の算出結果を図2に示す。標
準曲線は、0−1000pg/mlの範囲で良好な直線
性を示し、また、バックグラウンドレベル(0pg/m
lでの発色)も0.027と低く良好な結果であった。
0pg/mlの吸光度の平均値+2SDより算出した最
低検出感度は血漿の有無に関わらず、15pg/mlと
なった。他の黄色ブドウ球菌外毒素に付いても、抗体を
該当する外毒素に対する抗体に置き換えることにより、
同様の測定系で検出定量することが可能である。
【0030】実施例3 黄色ブドウ球菌感染患者血液中の外毒素濃度と血液培養
結果との対応 臨床症状より黄色ブドウ球菌感染を疑われた患者および
健常者の血清中の実施例2に示した方法を用いて測定し
たTSST−1の濃度と常法による血液培養の結果を図
3に示した。図3は縦軸には実施例2の方法により測定
したTSST−1の濃度を、横軸には健常者あるいは患
者の血液培養による黄色ブドウ球菌の陽陰性を示した。
血液培養において黄色ブドウ球菌陽性の患者における血
液中のTSST−1の濃度は健常者と比較して明らかに
高値を示し、TSST−1の濃度と細菌感染の相関が示
された。さらに、症状的には黄色ブドウ球菌感染が疑わ
れた症例において、血液培養は陰性でも、血液中のTS
ST−1の濃度は健常値よりも高く、抗生剤等の影響に
より血液培養では確認されなかった黄色ブドウ球菌の感
染が毒素検出により可能になったことが示された。
【0031】実施例4 抗黄色ブドウ球菌外毒素抗体の血液濃度と血液培養結果
との対応 酵素免疫法による人血漿中の黄色ブドウ球菌外毒素の一
つであるTSST−1対する抗体の濃度の定量法に付い
て下記に示す。
【0032】96穴マイクロプレートの各ウェルに0.
5μg/mlの実施例1で精製したTSST−1を含む
PBS溶液100μlを入れ、4℃で1晩放置し抗原の
固相化を行った。0.5%BSA/PBS溶液でブロッ
キングを行い、その後各ウェルを洗浄液(0.05%T
ween20を含むPBS)で洗浄し、適当量の患者血
漿を100倍、希釈液(0.05%Tween20、P
BS)で希釈した溶液100μlを入れ、25℃で1時
間反応を行った。各ウェルを洗浄後、0.1μg/ml
のビオチン標識抗ヒトイムノグロブリン抗体液を100
μlを入れ、25℃で1時間反応を行い、洗浄後さらに
0.6μg/mlアビジン化HRP、0.5%BSAお
よび0.05%Tween20を含むPBS100μl
を入れ、25℃15分間反応を行った。洗浄後、基質液
(0.2mg/mlTMB、0.006%過酸化水素を
含む0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液pH5.5)1
00μlを用い発色反応を、25℃30分間行った。上
記反応は全て振盪して行った。最後に、100μlの1
N硫酸を添加し反応を停止し、発色を450nm(対照
波長595nm)の吸光度で測定した。
【0033】この方法に従って測定を行い、得られた吸
光度をそのまま血液中のTSST−1の力価として試料
溶液中の濃度を算出する。この方法に従って測定を行
い、血液中の抗TSST−1抗体の力価を求めた。また
同時に、検体に対して従来法である血液培養(坂崎利一
編集、細菌・真菌・原虫用培地マニュアル、日水製薬)
を行い、その結果を比較して図4に示した。図4は縦軸
には検体中の抗TSST−1抗体価を、横軸には健常者
あるいは患者の血液培養による黄色ブドウ球菌の陽陰性
を示した。黄色ブドウ球菌感染者においては明らかに抗
TSST−1抗体価が非感染者に比較して高値を示して
おり、外毒素に対する抗体価が細菌感染と相関している
ことが示される。
【0034】実施例5 黄色ブドウ球菌外毒素の濃度と患者の転帰との対応 実施例2の方法に従って測定したTSST−1濃度と黄
色ブドウ球菌感染患者の転帰の関係を図5に示した。回
復した患者に比較して、死亡した患者では血液中のTS
ST−1濃度が明らかに高値を示していることが示さ
れ、血液中のTSST−1濃度と患者の重症度の間の相
関が示された。
【0035】
【発明の効果】本発明により、黄色ブドウ球菌感染症に
おいて、患者血液中の黄色ブドウ球菌外毒素を1ng/
ml以下の濃度において検出または/および定量するこ
とにより、血液培養法よりも迅速に、DNA増幅法を利
用した診断法よりも外来汚染の影響が少なく、かつ感染
菌の産生毒素型も同時に測定できるところの黄色ブドウ
球菌感染の判定が可能になり、同時に、黄色ブドウ球菌
感染症患者の重症度の判定の1手段を提供できるように
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】競合法による黄色ブドウ球菌外毒素TSST−
1定量ELISAの評価 TSST−1濃度0.1〜1ng/mlの範囲でELI
SAの発色とTSST−1濃度間には良好な相関が得ら
れた。
【図2】サンドイッチ法による黄色ブドウ球菌外毒素T
SST−1定量ELISAの評価 TSST−1濃度0〜1ng/mlの範囲でELISA
の発色とTSST−1濃度間には良好な相関が見られ、
最低検出感度は15.5pg/mlと算出された。
【図3】血液中のTSST−1濃度と血液培養結果との
比較 縦軸には実施例4の方法により測定したTSST−1の
濃度を、横軸には健常者あるいは患者の血液培養による
黄色ブドウ球菌の陽陰性を示した。
【図4】血液中の抗TSST−1抗体価と血液培養結果
との比較 縦軸には検体中の抗TSST−1抗体価を、横軸には健
常者あるいは患者の血液培養による黄色ブドウ球菌の陽
陰性を示した。
【図5】TSST−1濃度と患者の転帰との関係 縦軸に抗TSST−1抗体濃度を横軸にTSST−1濃
度を示した。また○は死亡例、●は転帰が良好な例であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福山 真弓 神奈川県鎌倉市手広1111番地 東レ株式会 社基礎研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トキシックショックシンドロームトキシ
    ン−1を用いて、検体中のトキシックショックシンドロ
    ームトキシン−1に対する抗体を酵素免疫学的方法によ
    り検出および/または定量することを特徴とする黄色ブ
    ドウ球菌感染の検査方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の検査方法に用いる黄色ブ
    ドウ球菌感染の検査用キット。
JP18085897A 1997-07-07 1997-07-07 黄色ブドウ球菌感染の検査方法 Pending JPH1062423A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18085897A JPH1062423A (ja) 1997-07-07 1997-07-07 黄色ブドウ球菌感染の検査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18085897A JPH1062423A (ja) 1997-07-07 1997-07-07 黄色ブドウ球菌感染の検査方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27910092A Division JPH0688824A (ja) 1992-09-07 1992-09-07 黄色ブドウ球菌感染の検査方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1062423A true JPH1062423A (ja) 1998-03-06

Family

ID=16090594

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18085897A Pending JPH1062423A (ja) 1997-07-07 1997-07-07 黄色ブドウ球菌感染の検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1062423A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006275566A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Toray Ind Inc アトピー性皮膚炎に対する免疫抑制剤の治療の有効性及びアトピー性皮膚炎の重症度の判定方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006275566A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Toray Ind Inc アトピー性皮膚炎に対する免疫抑制剤の治療の有効性及びアトピー性皮膚炎の重症度の判定方法
JP4524217B2 (ja) * 2005-03-28 2010-08-11 東レ株式会社 アトピー性皮膚炎に対する免疫抑制剤の治療の有効性及びアトピー性皮膚炎の重症度の判定方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7531301B2 (en) Systems and methods for identifying organ transplant risk
US8426142B2 (en) IgA nephropathy testing method and test kit
CN112679605B (zh) 针对新型冠状病毒核衣壳蛋白的抗体或其抗原结合片段及其应用
JP5818916B2 (ja) 尿路感染症の診断方法
KR100730529B1 (ko) Hcv 코어 항원의 검출 또는 정량 방법 및 이에사용하기 위한 검출 또는 정량용 시약
JP2009222712A (ja) メチシリン耐性ブドウ球菌の検出法、検出用試薬及び検出用キット
US11320427B2 (en) Tandemly repeated antibody-binding protein and its applications
JP4438455B2 (ja) 遊離ヒトイムノグロブリン軽鎖の測定法及びキット
JP4554356B2 (ja) サンドイッチアッセイおよびキット
JPH0688824A (ja) 黄色ブドウ球菌感染の検査方法
US20110143382A1 (en) IgA Nephropathy Testing Method And Test Kit
JPH1062423A (ja) 黄色ブドウ球菌感染の検査方法
JP3638731B2 (ja) 多剤耐性ブドウ球菌抗原の抽出方法
EP0291479A1 (en) Immunoassay method for the diagnosis of chlamydia infection
WO2022054753A1 (ja) 敗血症原因細菌の免疫学的分析キット
US20180246121A1 (en) Immunological test method and immunological test kit
WO2017187656A1 (ja) 抗医薬品抗体の測定方法
WO2022054754A1 (ja) 敗血症原因細菌の免疫学的分析方法及び該方法に用いるモノクローナル抗体
JP4850267B2 (ja) カゼインホスホペプチド(cpp)の免疫学的測定法
JP5788303B2 (ja) IgG抗体を含有する動物腹水のスクリーニング方法
US20230116883A1 (en) ANTI-ACINETOBACTER BAUMANNII POLYCLONAL ANTIBODY (AB-pAb), AND USES THEREOF
JPH09211000A (ja) 黄色ブドウ球菌の検出方法
JPWO2019039557A1 (ja) ジカウイルスを検出する方法及びキット
JP2020012797A (ja) ジカウイルス抗原および抗ジカウイルス抗体を検出するための方法およびキット
JPH10332692A (ja) ヒトmcp−3の免疫学的測定法