JPH1061574A - 回転式圧縮機 - Google Patents

回転式圧縮機

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JPH1061574A
JPH1061574A JP22210496A JP22210496A JPH1061574A JP H1061574 A JPH1061574 A JP H1061574A JP 22210496 A JP22210496 A JP 22210496A JP 22210496 A JP22210496 A JP 22210496A JP H1061574 A JPH1061574 A JP H1061574A
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vane
groove
shaft
cylinder
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Takao Yoshimura
多佳雄 吉村
Tadashi Yanagisawa
正 柳澤
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Matsushita Refrigeration Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転式圧縮機において、摩耗防止による信頼
性向上と、騒音低減を目的とする。 【解決手段】 ピストン18外周面上とベーン19の外
周面上に溝18aと、溝19aを設け、この溝18aと
19a内にベーンの先端部で交差する連結手段20を収
納することにより、ベーンとピストンを常にすべり摺動
しない完全な転がり機構とすることにより、ベーンとピ
ストンの摩耗を防止し信頼性を向上させるとともに、騒
音の発生を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫、エアーコ
ンディショナ等に使用される回転式圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、回転式圧縮機は実開昭55−18
0989号に記載されたものが知られている。以下図面
を参照しながら上記従来の回転式圧縮機を説明する。
【0003】図12に、従来の回転式圧縮機の縦断面図
を示し、図12のXIII−XIII′線における断面図を図
13に示す。図14は前記従来の圧縮機のベーンとピス
トンの拡大図である。
【0004】1は密閉ケーシング、2は電動機部であ
り、シャフト3を介してシリンダ4、ピストン5、ベー
ン6、主軸受7、副軸受8により構成される機械部本体
9と連結している。シャフト3は主軸3a、副軸3b、
偏心部3cから構成される。4aはシリンダ4のベーン
スロットである。5aはピストン5の外周部5bに設け
た円弧状の凹部であり、ベーン6の円弧状をした先端部
6aと接触している。10はベーン背面とシリンダ4間
に設けられたスプリングである。
【0005】11a、11bはシリンダ4内で、ピスト
ン5、ベーン6、主軸受7、副軸受8により囲まれた吸
入室と圧縮機である。12はシャフト3と連結する給油
機構である。13は吸入管であり、副軸受8、シリンダ
4の吸入通路14を介して吸入室11aと連通してい
る。15は吐出孔であり吐出弁(図示せず)を介して密
閉ケーシング1内と連通している。16は吐出管であ
り、密閉ケーシング1内に開放している。17は冷媒が
一部溶解した冷凍機油である。
【0006】以上のように構成された回転式圧縮機につ
いて以下にその動作を説明する。冷却システム(図示せ
ず)からの冷媒ガスは、吸入管13、吸入通路14より
導かれシリンダ4内の吸入室11aに至る。吸入室11
aに至った冷媒ガスは、シャフト3の回転に伴い圧縮機
11b内で圧縮される。圧縮された冷媒ガスは、吐出孔
15と吐出弁を介して密閉ケーシング内に一旦吐出され
た後、吐出管から冷却システムに流出する。
【0007】また密閉ケーシング1の下部に溜められた
潤滑油17は、給油管12によってまずシャフト3に供
給され、主軸受7、副軸受8、ピストン5の内周面に供
給される。ピストン5の内周面に供給された潤滑油の一
部は、ピストン5の端面から吸入室11aや圧縮機11
bに供給される。
【0008】そしてこの吸入、圧縮、吐出行程におい
て、ベーン背面には密閉ケーシング1内の高圧圧力が作
用するために、ベーン6の先端部6aはピストン5の凹
部5aに常に圧接させる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の構
成では、安定運転時はベーン6の先端部6aとピストン
5の凹部5aの間で揺動運動を行うことになり、接触点
では転がりとすべりの両方が発生する複雑な摺動形態と
なる。一般的に揺動運動では一定速度の並進運動や回転
運動に比較して油膜形能力が低下することが知られてお
り、従って金属接触が発生する上にすべり摺動すること
によって摩耗発生の可能性があった。
【0010】さらに圧縮機の起動時のような過渡運転時
において、密閉ケーシング1内の圧力が十分に上昇して
いないときには、ベーン6の先端部6aが凹部5aから
外れることによって騒音が発生することがあった。また
このときピストン5が自転し、ベーン6とピストン5が
すべり摺動する場合があり、ピストン5の外周部が摩耗
する可能性があった。
【0011】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、ベーンとピストンを常にすべり摺動しない完全な
転がり摺動とすることにより、ベーンとピストンの摩耗
を防止し信頼性を向上させるとともに、騒音の発生を防
止するものである。
【0012】また、ベーンとピストンを完全な転がり摺
動とする場合にあ溝等を配設すると、上記従来の構成に
比較して冷媒ガスの漏れが増加し、圧縮機の効率が低下
する可能性があった。
【0013】本発明の他の目的は上記課題を解決するも
のであり、ベーンとピストンを常にすべり摺動しない完
全な転がり摺動とすることにより、ベーンとピストンの
摩耗を防止し信頼性を向上させるとともに騒音の発生を
防止するのに加えて、冷媒ガスの漏れを最小限に抑え
て、効率の良い冷却性能を得るものである。
【0014】また上記従来の構成では、安定時と過渡運
転時のベーンとピストン部の耐摩耗性を向上するため
に、ベーンやピストン全体を耐摩耗性材料としたり、ピ
ストン5は凹部5aだけでなく外周全面の加工を精度良
く行う必要があった。
【0015】本発明の他の目的は、ベーンとピストンを
常にすべり摺動しない完全な転がり摺動とするのに加え
て、ピストンとベーンの間に別材料を挟み込み、ベーン
とピストンのそれぞれが直接接触しないようにすること
によって、必要最小限の耐摩耗性材料の使用と加工精度
の確保により、耐摩耗性を向上し信頼性を向上させると
ともに、騒音の発生を抑えるものである。
【0016】また上記従来の構成では、ピストン5とベ
ーン6の接触摺動部へは、ピストン5の端面から吸入室
11a、圧縮機11bに侵入した潤滑油17の一部が供
給されるだけであり、揺動運動することによって油膜形
成能力が低い上に、潤滑油の供給油量が少ないためにベ
ーンやピストンが摩耗したり、常に同じ部位で摺動する
ことによりベーン先端部6aと凹部5a近傍だけが極端
に高温になり、冷媒や潤滑油の分解を促進する可能性が
あった。
【0017】本発明の他の目的は、ベーンとピストンを
常にすべり摺動しない完全な転がり摺動とするのに加え
て、ベーンとピストンの摺動部の近傍にピストン内周か
ら潤滑油を必要なときに必要な量だけ供給して、ベーン
とピストンの摩耗を防止しさらに局所的な温度上昇を防
止して信頼性を向上させるものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、ピストン外周面上で円周方向の全周にわた
って設けられる溝と、ベーンの外周面上で少なくとも先
端部ならびに側面部に設けられかつピストンの溝とシャ
フト方向高さが略同じ位置に設けられる溝と、ピストン
の溝と前記ベーンの溝内に収納され前記ベーンの先端部
で交差する連結手段とから構成されている。
【0019】これにより、ベーンとピストンを常にすべ
り摺動しない完全な転がり摺動とすることにより、ベー
ンとピストンの摩耗を防止し信頼性を向上させるととも
に、騒音の発生を防止することができる。
【0020】また、ピストン外周面上でベーンとの接触
点近傍に円周方向にわたって設けられる溝と、ベーンの
外周面上で少なくとも先端部に設けられかつピストンの
溝とシャフト方向高さが略同じ位置に設けられる溝と、
ピストンの溝とベーンの溝内に収納されベーンの先端部
で交差し、一端がピストンに他端がベーンに固定される
連結手段とから構成されている。
【0021】これにより、ベーンとピストンを常にすべ
り摺動しない完全な転がり摺動とすることにより、ベー
ンとピストンの摩耗を防止し信頼性を向上させるととも
に騒音の発生を防止するのに加えて、冷媒ガスの漏れを
最小限に抑えて効率の良い冷却性能を得ることができ
る。
【0022】また、少なくともピストンとベーンの接触
点近傍においてピストンの外周面上およびベーンの外周
面上のシャフト方向の略全域を囲みベーンの先端部で交
差する連結手段とから構成されている。
【0023】これにより、ベーンとピストンを常にすべ
り摺動しない完全な転がり摺動とするのに加えて、ピス
トンとベーンの間に別材料を挟み込み、ベーンとピスト
ンのそれぞれが直接接触しないようにすることによっ
て、必要最小限の耐摩耗性材料の使用と加工精度の確保
により、耐摩耗性を向上し騒音の発生を抑えることがで
きる。
【0024】また、ピストンとベーンの接触点近傍に設
けられ、ピストンの溝に一端が開口し、他端がピストン
の内周に開口するとともに連結手段によって開閉される
連通孔とから構成されている。
【0025】従ってこれにより、ベーンとピストンを常
にすべり摺動しない完全な転がり摺動とするのに加え
て、ベーンとピストンの摺動部の近傍にピストン内周か
ら潤滑油を必要なときに必要な量だけ供給して、ベーン
とピストンの摩耗を防止しさらに局所的な温度上昇を防
止して信頼性を向上させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、シリンダと、シリンダの端面に固定される主軸受及
び副軸受と、偏心部を有し主軸受と副軸受内で回転する
シャフトと、シャフトの偏心部に回転自在に挿入される
ピストンと、シリンダのベーンスロットを往復摺動する
ベーンと、ピストン外周面上で円周方向の全周にわたっ
て設けられる溝と、ベーンの外周面上で少なくとも先端
部ならびに側面部に設けられかつピストンの溝とシャフ
ト方向高さが略同じ位置に設けられる溝と、ピストンの
溝と前記ベーンの溝内に収納されベーンの先端部で交差
する連結手段とから構成したものであり、ベーンとピス
トンを常にすべり摺動しない完全な転がり摺動とするこ
とにより、ベーンとピストンの摩耗を防止し信頼性を向
上させるとともに、騒音の発生を防止することができ
る。
【0027】請求項2に記載の発明は、シリンダと、シ
リンダの端面に固定される主軸受及び副軸受と、偏心部
を有し主軸受と副軸受内で回転するシャフトと、シャフ
トの偏心部に回転自在に挿入されるピストンと、シリン
ダのベーンスロットを往復摺動するベーンと、ピストン
外周面上でベーンとの接触点近傍に円周方向にわたって
設けられる溝と、ベーンの外周面上で少なくとも先端部
に設けられかつピストンの溝とシャフト方向高さが略同
じ位置に設けられる溝と、ピストンの溝と前記ベーンの
溝内に収納されベーンの先端部で交差し、一端がピスト
ンに、他端がベーンに固定される連結手段とから構成し
たものであり、ベーンとピストンを常にすべり摺動しな
い完全な転がり摺動とすることにより、ベーンとピスト
ンの摩耗を防止し信頼性を向上させるとともに騒音の発
生を防止するのに加えて、冷媒ガスの漏れを最小限に抑
えて効率の良い冷却性能を得ることができる。
【0028】請求項3に記載の発明は、シリンダと、シ
リンダの端面に固定される主軸受及び副軸受と、偏心部
を有し主軸受と副軸受内で回転するシャフトと、シャフ
トの偏心部に回転自在に挿入されるピストンと、シリン
ダのベーンスロットを往復摺動するベーンと、少なくと
もピストンとベーンの接触点近傍においてピストンの外
周面上およびベーンの外周面上のシャフト方向の略全域
を囲みベーンの先端部で交差する連結手段とから構成し
たものであり、ベーンとピストンを常にすべり摺動しな
い完全な転がり摺動とするのに加えて、ピストンとベー
ンの間に別材料を挟み込み、ベーンとピストンのそれぞ
れが直接接触しないようにすることによって、必要最小
限の耐摩耗性材料の使用と加工精度の確保により、耐摩
耗性を向上し騒音の発生を抑えることができる。
【0029】請求項4に記載の発明は、前記ピストンと
前記ベーンの接触点近傍に設けられ、前記ピストンの溝
に一端が開口し、他端が前記ピストンの内周に開口する
とともに、前記連結手段によって開閉される連通孔とか
ら構成されたものであり、ベーンとピストンを常にすべ
り摺動しない完全な転がり摺動とするのに加えて、ベー
ンとピストンの摺動部の近傍にピストン内周から潤滑油
を必要なときに必要な量だけ供給して、ベーンとピスト
ンの摩耗を防止しさらに局所的な温度上昇を防止して信
頼性を向上させることができる。
【0030】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態1によるベーンとピストン部の接触状態を示す外観
図、図2は同じく連結手段と拡大図、図3は同じくベー
ンとピストンの運動状態の説明図である。
【0031】図1、図2において、18はピストン、1
9はベーンである。ピストン18とベーン19にはそれ
ぞれ軸方向高さが略同等の位置に、それぞれ全周にわた
って溝18aと溝19aが設けられている。20は溝1
8aと溝19a内に収納され、ベーンの先端部19bで
交差するようにピストン18とベーン19間に緊縛され
た連結手段としての環状の鋼線である。
【0032】以上のように構成された回転式圧縮機につ
いて、以下その動作を説明する。圧縮機が運転されシャ
フト3が回転するとピストン18は偏心部3cを中心と
して自転しようとし、さらにピストン18はシャフト3
の中心まわりに公転しようとする。
【0033】このときピストン18の自転に対しては、
鋼線20は鋼線20と溝18a、溝19a間の摩擦力に
よって自転運動を阻止するように作用する。
【0034】またピストン18の中心位置が変化する公
転運動に対して鋼線20は、図3(a)に示すように、
シャフト3がある回転角度にあるときにはピストン18
上のX点とベーン上のX′点が接触し、次にシャフト3
の回転が進むと図3(b)に示すようにピストン18上
のY点とベーン上のY′点が接触するというように、ピ
ストン18とベーン19の接触位置を変化させることに
よって公転運動に追従できるように作用する。
【0035】すなわち、鋼線20はピストン18の公転
運動に対して、鋼線20の長さが変化しない範囲内でそ
の動きに追従することになる。例えばベーン先端部19
b近傍で交差した鋼線20は、交差の一方が溝18aか
ら溝19aと収納される位置を変えるときは、もう一方
が溝19aから溝18aに収納される位置を変えること
によって、公転運動に追従する。従って鋼線20は、ピ
ストン18上のX点とY点間の円周距離が、ベーン19
上のX′点とY′点間の円周距離と同等となるように接
触点を変化させる作用を行い、その結果、ピストン18
とベーン19上の点は運転状態に拘わらず常に同じ点で
接触する完全な転がり状態となり、またベーン19がピ
ストン18から離れることもない。
【0036】従って、これまで発生していたようなベー
ン19とピストン18のすべり摺動がなくなり、完全な
転がり摺動とすることができ、またベーン19がピスト
ン18から離れるここともなくなるため、摩耗を防止し
信頼性を向上させるとともに、騒音の発生を防止するこ
とができる。
【0037】以上のように本発明の回転式圧縮機は、シ
リンダ4と、シリンダ4の端面に固定される主軸受7及
び副軸受8と、偏心部3cを有し主軸受7と副軸受8内
で回転するシャフト3と、シャフト3の偏心部3cに回
転自在に挿入されるピストン18と、シリンダ4のベー
ンスロット4aを往復摺動するベーン19と、ピストン
18外周面上で円周方向の全周にわたって設けられる溝
18aと、ベーン19の外周面上で少なくとも先端部な
らびに側面部に設けられかつピストン18の溝18aと
シャフト方向高さが略同じ位置に設けられる溝19a
と、ピストン18の溝18aと前記ベーン19の溝19
a内に収納されベーンの先端部で交差する連結手段20
とから構成したものであり、ベーン19とピストン18
を常にすべり摺動しない完全な転がり摺動とすることに
より、ベーン19とピストン18の摩耗を防止し信頼性
を向上させるとともに、騒音の発生を防止することがで
きる。
【0038】(実施の形態2)図4は本発明の実施の形
態2によるベーンとピストン部の接触状態を示す外観
図、図5は同じくベーンとピストン部の拡大図、図6は
同じくベーンとピストンの連結手段の拡大図である。
【0039】図4と図5において、21はピストン、2
2はベーンである。ピストン21とベーン22にはそれ
ぞれ軸方向高さが略同等の位置でかつベーンの先端22
cの近傍に溝21aと溝22aが設けられている。この
ピストン21の溝21aには両端に深さの深い係止部2
1b、21cが設けられている。同様にベーン22の溝
22aにも係止部22bが設けられている。また23
a、23bは溝21aと溝22a内に収納され、ベーン
の先端部22cで交差するようにピストン21とベーン
22間に設けられた連結手段としての鋼線である。鋼線
23a、23bは、それぞれの一端は係止部21b、2
1cに、また他端が係止部22bに係止されている。
【0040】以上のように構成された回転式圧縮機につ
いて、以下その動作を説明する。圧縮機が運転されシャ
フト3が回転するとピストン21は偏心部3cを中心と
して自転しようとし、さらにピストン21はシャフト3
の中心まわりに公転しようとする。
【0041】このときピストン21の自転に対しては鋼
線23a、23bは、それぞれの鋼線23a、23bと
溝21a、溝22a間の摩擦力によって自転運動を阻止
するように作用する。
【0042】またピストン21の中心位置が変化する公
転運動に対して鋼線23a、23bは(実施の形態1)
と同様にピストン21とベーン22上の点は運転状態に
拘わらず常に同じ点で接触する完全な転がり状態とな
り、またベーン22がピストン21から離れることもな
い。
【0043】さらにピストン21の溝21aは、ピスト
ン21とシリンダ4間の最小隙間部には設けられていな
い。従って最小隙間部に溝を設けることによって、圧縮
機11bから吸入室11aに圧縮中の冷媒が漏れること
は無い。
【0044】またベーン22の側面部の溝も、先端部近
傍にあるだけであり、ベーン22とベーンスロット4a
間の隙間を通って冷媒が漏れたり、また冷媒が侵入した
りすることが無い。
【0045】従って、これまで発生していたようなベー
ン22とピストン21のすべり摺動がなくなり完全な転
がり摺動とすることができ、またベーン22がピストン
21から離れることもなくなるため、摩耗を防止し信頼
性を向上させるとともに、騒音の発生を防止することが
できる。さらに、冷媒の漏れや侵入を防止でき良好な冷
却性能を維持できる。
【0046】以上のように本発明の回転式圧縮機は、シ
リンダ4と、シリンダ4の端面に固定される主軸受7及
び副軸受8と、偏心部3cを有し主軸受7と副軸受8内
で回転するシャフト3と、シャフト3の偏心部3cに回
転自在に挿入されるピストン21と、シリンダ4のベー
ンスロット4aを往復摺動するベーン22と、ピストン
21外周面上でベーン22との接触点近傍に円周方向に
わたって設けられる溝21aと、ベーン22の外周面上
で少なくとも先端部に設けられかつピストンの溝21a
とシャフト方向高さが略同じ位置に設けられる溝22a
と、ピストン21の溝21aと前記ベーン22の溝22
a内に収納されベーン22の先端部で交差し、一端がピ
ストンに21、他端がベーン22に固定される連結手段
23とから構成したものであり、ベーン22とピストン
21を常にすべり摺動しない完全な転がり摺動とするこ
とにより、ベーン22とピストン21の摩耗を防止し信
頼性を向上させるとともに騒音の発生を防止するのに加
えて、冷媒ガスの漏れを最小限に抑えて効率の良い冷却
性能を得ることができる。
【0047】(実施の形態3)図7は本発明の実施の形
態3によるベーンとピストン部の接触状態を示す外観
図、図8は連結手段の拡大図、図9は連結手段の展開図
である。
【0048】図7から図8において、24はピストン2
5はベーンである。26は、連結手段としての帯であ
る。帯26は、図9のような形状に形成されており、中
央部の厚幅部26aの長さLはピストン24の外周長さ
と略同等である。また両端26bと26cは、巻いた際
に26bと26cが干渉しない形状となっている。この
帯26は、ピストン24とベーン25を囲いベーンの先
端部25bで交差し、かつピストン24とベーン25間
を緊縛するようにベーン25の背面で固定されている。
またこの帯26は、転がり摺動に対して耐摩耗性の良好
な材料、例えば表面処理した鋼帯やエンジニアリングプ
ラスチック材料で形成されている。
【0049】以上のように構成Sれた回転式圧縮機につ
いて、以下その動作を説明する。圧縮機が運転されシャ
フト3が回転するとピストン24は偏心部3cを中心と
して自転しようとし、さらにピストン24はシャフト3
の中心まわりに公転しようとする。
【0050】このときピストン24の自転に対しては、
帯26とピストン24の外周面ならびにベーン25の外
周面の摩擦力によって自転運動を阻止するように作用す
る。
【0051】またピストン24の中心位置が変化する公
転運動に対して帯26は(実施の形態1)と同様にピス
トン24とベーン25上の点は運転状態に拘わらず常に
同じ点で接触する完全な転がり状態となり、またベーン
25がピストン24から離れることもない。
【0052】さらに、ピストン24とベーン25の先端
部25aは帯26を介して接触する。従って、転がり摺
動する上にピストン24とベーン25が耐摩耗性の良好
な材料で形成された帯26を介して接触することにな
る。
【0053】従って、これまで発生していたようなベー
ン25とピストン24のすべり摺動がなくなり、完全な
転がり摺動とすることができる上にピストン24とベー
ン25が耐摩耗性の良好な材料を介して接触することに
なり、またベーン25がピストン24から離れることも
なくなるため、摩耗を防止し信頼性を向上させるととも
に、騒音の発生を防止することができる。さらに、これ
までのように、耐摩耗性を確保するためにピストンやベ
ーンの全体を高価な耐摩耗性の良好な材料で形成する必
要がなくなり、また、ピストン外表面やベーン先端部の
加工精度を上げなくとも、帯状の連結手段の加工精度さ
え確保すればよく、必要最小限の耐摩耗性材料の使用と
加工精度の確保により、容易かつ安価に信頼性を向上さ
せることができる。
【0054】なお以上の説明では、連結手段としての帯
を一枚で形成したが、ベーンの先端近傍で交差するよう
に形成すれば分割して二枚以上で形成しても、またピス
トン全周、ベーン全周を囲わなくてもさらに連結手段を
どこで固定するかとは関係なく同様の効果が得られる。
また材料や断面形状にも関係なく同様の効果が得られ
る。
【0055】以上のように本発明の回転式圧縮機は、シ
リンダ4と、シリンダ4の端面に固定される主軸受7及
び副軸受8と、偏心部3cを有し主軸受7よ副軸受8内
で回転するシャフト3と、シャフト3の偏心部3cに回
転自在に挿入されるピストン24と、シリンダ4のベー
ンスロット4aを往復摺動するベーン25と、少なくと
もピストン24とベーン25の接触点近傍においてピス
トン24の外周面上およびベーン25の外周面上のシャ
フト方向の略全域を囲みベーンの先端部で交差する連結
手段26とから構成したものであり、ベーン25とピス
トン24を常にすべり摺動しない完全な転がり摺動とす
るのに加えて、ピストン24とベーン25の間に別材料
を挟み込み、ベーン25とピストン24のそれぞれが直
接接触しないようにすることによって、必要最小限の耐
摩耗性材料の使用と加工精度の確保により、耐摩耗性を
向上し騒音の発生を抑えることができる。
【0056】(実施の形態4)図10は本発明の実施の
形態4によるベーンとピストン部の拡大図、図11はベ
ーンとピストンが接触している状態での溝部での断面図
である。
【0057】図10と図11において、27はピスト
ン、28はベーンである。ピストン27とベーン28に
はそれぞれ軸方向高さが略同等の位置に溝27aと溝2
8aが設けられている。29は溝27aと溝28a内に
収納され、ベーンの先端部28bで交差するようにピス
トン27とベーン28間に緊縛された連結手段としての
環状の鋼線である。
【0058】また30は、ピストン27と前記ベーン2
8の接触点近傍位置にありピストンの溝27aに一端が
開口し、他端がピストン27の内周に開口するととも
に、鋼線29によって開閉される連通孔である。
【0059】以上のように構成された回転式圧縮機につ
いて、以下その動作を説明する。圧縮機が運転されシャ
フト3が回転するとピストン27は偏心部3cを中心と
して自転しようとし、さらにピストン27はシャフト3
の中心まわりに公転しようとする。
【0060】このときピストン27の自転に対しては鋼
線29は、鋼線29と溝27a、溝28a間の摩擦力に
よって自転運動を阻止するように作用する。
【0061】またピストン27の中心位置が変化Sる公
転運動に対して鋼線29は、(実施の形態1)と同様に
ピストン27とベーン28上の点は運転状態に拘わらず
常に同じ点で接触する完全な転がり状態となり、またベ
ーン28がピストン27から離れることもない。
【0062】ところでピストン27の公転運動に対し
て、鋼線29はその長さが変化しない範囲内でその動き
に追従することになる。従って、例えば図11(a)に
示すようにシャフトがある回転角度位置にあるときに
は、連通孔30は鋼線29によって溝27aへの開口端
を閉じられているが、シャフト3が回転して図11
(b)に示す位置に接触点が変化すると、図11(a)
で溝27aに接触していた鋼線29の一部が浮き上が
り、連通孔30が溝27aと連通する。そして連通孔3
0が開状態にあるときのみ、ピストン27内周の高圧圧
力状態にある潤滑油17は連通孔30を介してピストン
27とベーン28の接触点近傍に供給され、潤滑に寄与
することになる。
【0063】なお連通孔30が開口するシャフト回転角
度を調整することによって、潤滑油17を吸入室11a
側だけにも、圧縮機11b側だけにも供給できるし、そ
の両方にも供給できる。従って、潤滑と冷却性能の点か
ら必要な潤滑油を必要なときに適量を供給できることに
なり、ベーン28とピストン27を常にすべり摺動しな
い完全な転がり摺動とするのに加えて、ベーン28とピ
ストン27の摺動部の近傍にピストン27内周から抵当
な時期に適量を潤滑油の供給することができ、冷却性能
の低下が無く、ベーンとピストンの摩耗を防止しさらに
局所的な温度上昇を防止して信頼性を向上させることが
できる。
【0064】なお以上の説明では、連結手段としての一
本の鋼線で形成したが、連通孔を連結手段で開閉できれ
ばよく、連結手段の形状、材料に関係なく同様の効果が
得られる。
【0065】以上のように本発明の回転式圧縮機は、ピ
ストン27とベーン28の接触点近傍に設けられ、ピス
トン27の溝27aに一端が開口し、他端がピストン2
7の内周に開口するとともに、連結手段29によって開
閉される連通孔30とから構成されたものであり、ベー
ン28とピストン27を常にすべり摺動しない完全な転
がり摺動とするのに加えて、ベーン28とピストン27
の摺動部の近傍にピストン27内周から潤滑油を必要な
ときに必要な量だけ供給して、ベーン28とピストン2
7の摩耗を防止しさらに局所的な温度上昇を防止して信
頼性を向上させることができる。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明の回転式圧縮機に
よれは、ベーンとピストンを常にすべり摺動しない完全
な転がり摺動とすることにより、ベーンとピストンの摩
耗を防止し信頼性を向上させるとともに、騒音の発生を
防止することができる。
【0067】また、ベーンとピストンを常にすべり摺動
しない完全な転がり摺動とすることにより、ベーンとピ
ストンの摩耗を防止し信頼性を向上させるとともに騒音
の発生を防止するのに加えて、冷媒ガスの漏れを最小限
に抑えて効率の良い冷却性能を得ることができる。
【0068】また、ベーンとピストンを常にすべり摺動
しない完全な転がり摺動とするのに加えて、ピストンと
ベーンの間に別材料を挟み込み、ベーンとピストンのそ
れぞれが直接接触しないようにすることによって、必要
最小限の耐摩耗性材料の使用と加工精度の確保により、
耐摩耗性を向上し騒音の発生を抑えることができる。
【0069】またさらに、ベーンとピストンを常にすべ
り摺動しない完全な転がり摺動とするのに加えて、ベー
ンとピストンの摺動部の近傍にピストン内周から潤滑油
を必要なときに必要な量だけ供給して、ベーンとピスト
ンの摩耗を防止しさらに局所的な温度上昇を防止して信
頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による回転圧縮機のベー
ンとピストン部の接触状態を示す外観図
【図2】同実施の形態による回転式圧縮機の連結手段の
拡大図
【図3】同実施の形態による回転式圧縮機のベーンとピ
ストンの運動状態の説明図
【図4】本発明の実施の形態2による回転式圧縮機のベ
ーンとピストン部の接触状態を示す外観図
【図5】同実施の形態による回転式圧縮機のベーンとピ
ストンの拡大図
【図6】同実施の形態による回転式圧縮機の連結手段の
拡大図
【図7】本発明の実施の形態3による回転式圧縮機のベ
ーンとピストン部の接触状態を示す外観図
【図8】同実施の形態による回転式圧縮機の連結手段の
拡大図
【図9】同実施の形態による回転式圧縮機の連結手段の
展開図
【図10】本発明の実施の形態4による回転式圧縮機の
ベーンとピストン部の拡大図
【図11】同実施の形態による回転式圧縮機のベーンと
ピストンが接触している状態での溝部での断面図
【図12】従来の回転式圧縮機の縦断面図
【図13】従来の回転式圧縮機の図12のXIII−XII
I′線における断面図
【図14】従来の回転圧縮機のベーンとピストンの拡大
【符号の説明】
3 シャフト 3c シャフト偏心部 4 シリンダ 4a ベーンスロット 7 主軸受 8 副軸受 18、21、24、27 ピストン 18a、21a、27a ピストンの溝 19、22、25、28 ベーン 19a、22a、28a、 ベーンの溝 20、23a、23b、26、29 連結手段 30 連通孔

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダと、前記シリンダの端面に固定
    される主軸受及び副軸受と、偏心部を有し前記主軸受と
    副軸受内で回転するシャフトと、前記シャフトの偏心部
    に回転自在に挿入されるピストンと、前記シリンダのベ
    ーンスロットを往復摺動するベーンと、前記ピストン外
    周面上で円周方向の全周にわたって設けられる溝と、前
    記ベーンの外周面上で少なくとも先端部ならびに側面部
    に設けられかつ前記ピストンの溝とシャフト方向高さが
    略同じ位置に設けられる溝と、前記ピストンの溝と前記
    ベーンの溝内に収納され前記ベーンの先端部で交差する
    連結手段とからなる回転式圧縮機。
  2. 【請求項2】 シリンダと、前記シリンダの端面に固定
    される主軸受及び副軸受と、偏心部を有し前記主軸受と
    副軸受内で回転するシャフトと、前記シャフトの偏心部
    に回転自在に挿入されるピストンと、前記シリンダのベ
    ーンスロットを往復摺動するベーンと、前記ピストン外
    周面上で前記ベーンとの接触点近傍に円周方向にわたっ
    て設けられる溝と、前記ベーンの外周面上で少なくとも
    先端部に設けられかつ前記ピストンの溝とシャフト方向
    高さが略同じ位置に設けられる溝と、前記ピストンの溝
    と前記ベーンの溝内に収納され前記ベーンの先端部で交
    差し、一端が前記ピストンに、他端が前記ベーンに固定
    される連結手段とからなる回転式圧縮機。
  3. 【請求項3】 シリンダと、前記シリンダの端面に固定
    される主軸受及び副軸受と、偏心部を有し前記主軸受と
    副軸受内で回転するシャフトと、前記シャフトの偏心部
    に回転自在に挿入されるピストンと、前記シリンダのベ
    ーンスロットを往復摺動するベーンと、少なくとも前記
    ピストンと前記ベーンの接触点近傍において前記ピスト
    ンの外周面上および前記ベーンの外周面上のシャフト方
    向の略全域を囲みベーンの先端部で交差する連結手段と
    からなる回転式圧縮機。
  4. 【請求項4】 前記ピストンと前記ベーンの接触点近傍
    に設けられ、前記ピストンの溝に一端が開口し、他端が
    前記ピストンの内周に開口するとともに、前記連結手段
    によって開閉させる連通孔とからなる請求項1または請
    求項2記載の回転式圧縮機。
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