JPH1060164A - 塩素含有樹脂組成物 - Google Patents

塩素含有樹脂組成物

Info

Publication number
JPH1060164A
JPH1060164A JP8238399A JP23839996A JPH1060164A JP H1060164 A JPH1060164 A JP H1060164A JP 8238399 A JP8238399 A JP 8238399A JP 23839996 A JP23839996 A JP 23839996A JP H1060164 A JPH1060164 A JP H1060164A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zinc
soap
sodium
weight
fatty acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8238399A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Iokura
賢一 五百藏
Koichi Matsui
耕一 松井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP8238399A priority Critical patent/JPH1060164A/ja
Publication of JPH1060164A publication Critical patent/JPH1060164A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた帯電防止性を有するとともに、あわせて
優れた熱安定性及び加工性をも有する塩素含有樹脂組成
物を提供する。 【解決手段】塩素含有樹脂100重量部に対し、(a)
炭素数12〜22の脂肪酸の亜鉛石鹸と、(b)炭素数
8〜20のアルキル基を有するアルキルスルホン酸ナト
リウムを、(a)/(b)の比率が1/9〜5/5(重
量比)であり、(a)+(b)の合計量が0.4〜10
重量部となるよう配合してなることを特徴とする塩素含
有樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素含有樹脂組成
物に関する。さらに詳しくは、本発明は、優れた帯電防
止性を有し、かつ優れた加工性と熱安定性をも有する塩
素含有樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】塩素含有樹脂は、優れた機械的性質や電
気的性質、成型加工の容易さ、経済的な利点から、シー
ト、フィルム、パイプ、壁紙、床材等に幅広く使用され
ている。特に、電気絶縁性に優れていることから、電線
被覆材や電機部品に多く使用されている。しかし、塩素
含有樹脂は成型加工温度と分解温度が接近しているた
め、成型加工時に分解し、熱着色(熱安定性の低下)と
成型機への付着という問題を生じる。この問題を解決す
るために、安定剤が使用される。安定剤は、塩素含有樹
脂から発生する塩化水素を捕捉し、塩素含有樹脂と直接
反応することによって、熱安定性を向上させる作用があ
るほか、成型機と樹脂の界面で滑剤として作用して、成
型機への樹脂の付着防止作用を示す。これまで、可塑剤
を含まない系では、樹脂の熱安定性、加工性の良さから
鉛系の安定剤(ステアリン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等)、
さらに、透明性の良さから錫系の安定剤(ジブチル錫マ
レエート、ジブチル錫ラウレート等)が使用されてき
た。一方、可塑剤を含む系には、耐候性、印刷性の良さ
からカドミウム石鹸/バリウム石鹸系安定剤が使用され
てきた。しかし、近年の環境問題から、鉛系安定剤は錫
系あるいはカルシウム石鹸/亜鉛石鹸系安定剤に、カド
ミウム石鹸/バリウム石鹸系安定剤はバリウム石鹸/亜
鉛石鹸系安定剤やカルシウム石鹸/亜鉛石鹸系安定剤と
いうように、低毒化、無毒化へと移りつつある(「金属
せっけんの性質と応用」、(株)幸書房、1988年、1
32〜140頁)。このように、塩素含有樹脂は安定剤
を使用して、はじめて製品としての価値を見いだすこと
が可能である。しかし、電気絶縁性に優れているという
特徴は、反面、静電気が帯電しやすく、ゴミやほこりが
付着して製品価値を低下させたり、コンピュータ等OA
機器において誤動作を招く原因となりやすい。このよう
な問題を解決するために、安定剤と併用して帯電防止剤
が使用されている。使用方法によって、樹脂表面に塗布
する塗布型帯電防止剤と樹脂にあらかじめ練り込む練り
込み型帯電防止剤に大別される。塗布型帯電防止剤は、
安定剤が配合された成型品に帯電防止剤溶液を吹き付け
たり、塗布したり、帯電防止剤溶液に成型品を浸したり
する方法が用いられている。例えば、塗布型帯電防止剤
としてコリンエステル塩とアルカロールアミド等を併用
して塗布する方法が、特開平3−139591号公報に
開示されている。しかし、塗布型の帯電防止剤は、ほと
んどが水溶性あるいは溶媒可溶性の界面活性剤であるた
め、加工中にあるいは使用時に洗浄されることにより、
帯電防止性の持続効果が低下することが問題であった。
このため、持続効果を要求される用途では、一般的に練
り込み型の帯電防止剤を用いる方法が採用されている。
練り込み型帯電防止剤は、カチオン系、アニオン系、ノ
ニオン系帯電防止剤に大別される。これらの帯電防止剤
は、安定剤の配合された系に併用して使用される。しか
し、ノニオン系帯電防止剤は帯電防止性に劣り、カチオ
ン系帯電防止剤は帯電防止性には優れるが、帯電防止剤
固有の着色が激しいため、これらの問題が少ないアニオ
ン系帯電防止剤が好んで使用される。例えば、炭素数1
0〜12のアルキルスルホン酸ナトリウムを使用するこ
とにより、少量でより高い帯電防止性が得られることが
特開平5−222241号公報に開示され、アルキルス
ルホン酸ナトリウムとステアリン酸モノグリセリドとの
溶融混合物を塩化ビニル系樹脂に添加することにより、
印刷性、接着性等を損なうことなく優れた帯電防止性が
保持されたシートが得られることが特開平6−4922
4号公報に開示されている。このように、アニオン系帯
電防止剤は優れた帯電防止性を示すが、帯電防止性の効
果は樹脂に対する添加量に依存する。すなわち、樹脂に
対する添加量が増すに従い、帯電防止性が向上する一
方、樹脂の熱安定性は、帯電防止剤の添加量が増すに従
い低下し、激しい着色を呈するようになり、上記安定剤
の添加量を増してもその着色を消すことが困難であっ
た。このように、帯電防止性と樹脂の熱安定性が相反す
る挙動を示すため、従来は、帯電防止性を重要視する樹
脂成型品を開発するときは、樹脂の熱安定性を犠牲に
し、熱安定性を重要視する樹脂成型品を開発するとき
は、帯電防止性を犠牲にした製品設計を余儀なくされて
きた。このような現状の中で、樹脂の帯電防止性と熱安
定性双方の性能が向上することが要求されているが、こ
れまで満足する技術は開発されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた帯電
防止性を有するとともに、あわせて優れた熱安定性及び
加工性をも有する塩素含有樹脂組成物を提供することを
目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、塩素含有樹脂に
アルキルスルホン酸ナトリウムと亜鉛石鹸を添加するこ
とにより、熱安定性の低下を伴うことなく、優れた帯電
防止性を発揮させ得ることを見いだし、この知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
塩素含有樹脂100重量部に対し、(a)炭素数12〜
22の脂肪酸の亜鉛石鹸と、(b)炭素数8〜20のア
ルキル基を有するアルキルスルホン酸ナトリウムを、
(a)/(b)の比率が1/9〜5/5(重量比)であ
り、(a)+(b)の合計量が0.4〜10重量部とな
るよう配合してなることを特徴とする塩素含有樹脂組成
物を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明組成物においては、(a)
成分として、炭素数12〜22の脂肪酸、好ましくは炭
素数16〜20の脂肪酸の亜鉛石鹸を配合する。脂肪酸
の亜鉛石鹸としては、飽和脂肪酸の亜鉛石鹸及び不飽和
脂肪酸の亜鉛石鹸のいずれをも用いることができ、ま
た、直鎖構造の脂肪酸の亜鉛石鹸及び側鎖を有する脂肪
酸の亜鉛石鹸のいずれをも用いることができる。このよ
うな脂肪酸の亜鉛石鹸としては、例えば、ラウリン酸亜
鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン
酸亜鉛、イソステアリン酸亜鉛、アラキン酸亜鉛、ベヘ
ニン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、リノール酸亜鉛等を挙げ
ることができる。これらの中で、飽和脂肪酸の亜鉛石鹸
を特に好適に使用することができる。脂肪酸の炭素数が
12未満であると、十分な帯電防止性を得ることができ
ないおそれがある。脂肪酸の炭素数が22を超えると、
滑性過剰により加工性が低下し、樹脂組成物の物性が低
下するおそれがある。脂肪酸の亜鉛石鹸は、1種を単独
で使用することができ、2種以上を組み合わせて使用す
ることができる。本発明組成物に配合する亜鉛石鹸の製
造方法には特に制限はなく、例えば、脂肪酸と塩化亜
鉛、酸化亜鉛等を直接反応させる直接法、あるいは、脂
肪酸をナトリウム塩にしたのち、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等
と反応する複分解法等を挙げることができるが、これら
の中で、直接法により得られる亜鉛石鹸を好適に使用す
ることができる。また、亜鉛石鹸は、未反応脂肪酸が残
る酸性塩、反応が完結した中性塩、酸化亜鉛等を過剰に
用いて製造した塩基性塩のいずれをも使用することがで
きるが、これらの中で、中性塩を好適に使用することが
できる。
【0006】本発明組成物においては、(b)成分とし
て、炭素数8〜20のアルキル基、好ましくは炭素数1
0〜15のアルキル基を有するアルキルスルホン酸ナト
リウムを配合する。本発明組成物に配合するアルキルス
ルホン酸ナトリウムは、直鎖状のアルキル基を有するも
の、あるいは、分岐を有するアルキル基を有するものの
いずれをも使用することができる。また、本発明組成物
に配合するアルキルスルホン酸ナトリウムにおいて、ス
ルホン酸基が結合するアルキル基の炭素には特に制限は
なく、スルホン酸基が第1級炭素に結合したもの、スル
ホン酸基が第2級炭素に結合したもの、あるいは、アル
キル基が第3級炭素に結合したもののいずれをも使用す
ることができる。アルキル基の炭素数が8未満であって
も、炭素数が20を超えても、樹脂組成物に十分な帯電
防止性が付与されないおそれがある。アルキルスルホン
酸ナトリウムは、1種を単独で使用することができ、あ
るいは、アルキル基の炭素数が異なるもの、アルキル基
の構造が異なるもの、スルホン酸基の結合位置が異なる
もの等の2種以上を組み合わせて使用することができ
る。本発明組成物に配合するアルキルスルホン酸ナトリ
ウムの製造方法には特に制限はなく、例えば、飽和炭化
水素に、亜硫酸ガスと酸素の存在下又は亜硫酸ガスと塩
素の存在下に紫外線を照射したのち、加水分解によりス
ルホン化し、さらに水酸化ナトリウムで中和、精製する
ことにより得ることができる。また、アルキルスルホン
酸ナトリウムは、日鉱石油化学(株)のアトレーAS10
00、ヘキストインダストリー(株)のHOSTAPUR
SAS 93等の市販品があり、これらの市販品を使用
することが可能である。
【0007】本発明組成物において、(a)成分である
炭素数12〜22の脂肪酸の亜鉛石鹸と、(b)成分で
ある炭素数8〜20のアルキル基を有するアルキルスル
ホン酸ナトリウムの比率は1/9〜5/5(重量比)で
あり、好ましくは2/8〜4/6(重量比)である。
(a)/(b)の比率が1/9(重量比)未満であって
亜鉛石鹸が少ないと、樹脂組成物の熱安定性が低下する
おそれがある。(a)/(b)の比率が5/5(重量
比)を超えてて亜鉛石鹸が多いと、十分な帯電防止性が
得られないおそれがある。本発明組成物において、
(a)成分である炭素数12〜22の脂肪酸の亜鉛石鹸
と、(b)成分である炭素数8〜20のアルキル基を有
するアルキルスルホン酸ナトリウムを合計した配合量
は、塩素含有樹脂100重量部に対して0.4〜10重
量部であり、好ましくは1〜5重量部である。(a)+
(b)の合計量が塩素含有樹脂100重量部に対して
0.4重量部未満であると、熱安定性及び帯電防止性が
低下するおそれがある。(a)+(b)の合計量が塩素
含有樹脂100重量部に対して10重量部を超えると、
亜鉛石鹸とアルキルスルホン酸ナトリウムが十分に樹脂
と相溶せず、滑性過剰による加工性の低下及び物性低下
を起こすおそれがある。
【0008】本発明組成物においては、炭素数12〜2
2の脂肪酸の亜鉛石鹸及び炭素数8〜20のアルキル基
を有するアルキルスルホン酸ナトリウムに加えて、必要
に応じて、塩素含有樹脂組成物に用いられる可塑剤、安
定剤、滑剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、
帯電防止剤、発泡剤等の公知の添加剤を配合することが
できる。可塑剤としては、例えば、ジ−2−エチルヘキ
シルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジル
フタレート等のフタル酸エステル類、ジオクチルアジペ
ート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート等
の脂肪族二塩基酸エステル類、トリメリット酸エステル
類、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフ
ェート等のリン酸エステル類、ポリプロピレンアジペー
トオリゴマー等のポリエステル系可塑剤等を挙げること
ができる。安定剤としては、例えば、エポキシ化不飽和
油脂、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル、エポキシシク
ロヘキサン誘導体、エピクロルヒドリン誘導体、カルシ
ウム石鹸、バリウム石鹸、マグネシウム石鹸、ジアルキ
ル錫ラウレート、ジアルキル錫マレエート、トリアルキ
ルホスファイト、トリアリールホスファイト、アルキル
アリールホスファイト、トリアラルキルホスファイト、
ビスフェノールホスファイト、多価アルコールホスファ
イト、トリメチロールプロパン、ぺンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビ
トール、β−ジケトン、ハイドロタルサイト、水酸化カ
ルシウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸
アルミニウム、酸化マグネシウム等を挙げることができ
る。滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラ
フィン等のパラフィン類、カルナバワックス、ポリエチ
レンオキサイド、ポリエチレンワックス、ポリプロピレ
ンワックス等のワックス類、高級脂肪酸類、ブチルステ
アレート、オクチルステアレート等の脂肪酸エステル
類、カルシウム石鹸、バリウム石鹸等の金属石鹸類、メ
チレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミ
ド等のビス脂肪酸アミド類等を挙げることができる。
【0009】充填剤としては、例えば、シリカ、ケイ藻
土、アルミナ、酸化チタン、酸化アンチモン、バリウム
フェライト、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、
硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、
タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維、ガラスビーズ、
ベントナイト、カーボンブラック、グラファイト、炭素
繊維、鉄粉、銅粉、チタン酸カルシウム、ホウ酸カルシ
ウム等を挙げることができる。着色剤としては、例え
ば、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、フタロシア
ニンブルー等を挙げることができる。紫外線吸収剤とし
ては、例えば、p−t−ブチルフェニルサリシレート等
のサリシレート類、ベンゾエート類、ヒドロキシベンゾ
フェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキ
シベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−(2'−ヒ
ドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等
のベンゾトリアゾール類、エチル−2−シアノ−3,3
−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類等
を挙げることができる。難燃剤としては、例えば、三酸
化アンチモン、塩化パラフィン等を挙げることができ、
また、リン酸エステル系可塑剤が難燃剤としての効果を
有する。帯電防止剤としては、例えば、ポリエチレング
リコールアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル
等のノニオン系帯電防止性、ステアロアミドプロピルジ
メチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウム塩等のカチ
オン系帯電防止性等を挙げることができる。発泡剤とし
ては、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペン
タメチレンテトラミン、オキシビスベンゼンスルホニル
ヒドラジド等を挙げることができる。本発明の樹脂組成
物は、配合処方にしたがって各成分を正確に秤取したの
ち、ナウタミキサー、タンブラーミキサー等を用いてブ
レンドすることにより得ることができるが、さらに押出
機等を用いて溶融混合することにより、アルキルスルホ
ン酸ナトリウムの樹脂への分散が良好となるため、帯電
防止性、熱安定性、特に加工性に優れた樹脂組成物を得
ることができる。
【0010】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。第1表に、実施例及び比較例に
おいて使用した添加剤を示す。
【0011】
【表1】
【0012】また、塩素含有樹脂組成物は、以下の方法
にしたがって評価した。 1.加工性 ロール成型時のシートの状態を観察し、以下の基準によ
り評価した。 ○:艶のあるシートが取り出せる。 △:シートに枝垂れ状の編み目、あるいは穴が存在す
る。 ×:滑性過剰のためシートの形状が著しく不良となる。 2.熱安定性 作製したシートを4cm×6cmに切断し、ギヤオーブン
[(株)東洋精機製作所]中180℃で20分間加熱し、
外観より以下のごとく評価した。 ◎:全く変化なし。 ○:極めて薄く着色。 △:黄色く着色。 ×:赤みがかった着色。 ××:激しく着色。 3.帯電防止性 作製したシートを10cm×10cmに切断し、23℃、5
0%RHの条件にて76時間状態調節したのち、超絶縁
計[東亜電波工業(株)、SM−8210]を用いて、印
加電圧500V、印加時間30秒の条件で表面固有抵抗
を5点測定し、5点の平均値をシートの表面固有抵抗と
した。 実施例1 ポリ塩化ビニル[日本ゼオン(株)、ゼオン103EP]
100重量部、ポリメタクリル酸メチル系ポリマー[鐘
淵化学工業(株)、カネエースPA−30]2重量部、ポ
リエチレンワックス[三井石油化学工業(株)、ハイワッ
クス220MP]0.1重量部、パルミチン酸亜鉛3.6
重量部及びウンデシルスルホン酸ナトリウム[日鉱石油
化学(株)、アトレーAS1000]4.4重量部を配合
し、6×15インチのロール[(株)安田精機製作所]を
用いて、19.5×15.75rpm、180℃の条件で3
分間混練りして、厚さ0.5mmのシートを作製した。艶
のあるシートを取り出すことができた。熱安定性試験で
は、シートの色相には全く変化はなかった。また、帯電
防止性試験において、表面固有抵抗は、3日後1.5×
1010Ω、1カ月後1.3×1010Ωであった。 実施例2 亜鉛石鹸としてオレイン酸亜鉛0.4重量部及びアルキ
ルスルホン酸ナトリウムとしてペンタデシルスルホン酸
ナトリウム[ヘキストインダストリー(株)、HOSTA
PUR SAS 93]1.1重量部を配合した以外は、
実施例1と同じ操作を繰り返してシートを作製した。艶
のあるシートを取り出すことができた。熱安定性試験で
は、シートの色相には全く変化はなかった。また、帯電
防止性試験において、表面固有抵抗は、3日後8.4×
1010Ω、1カ月後9.0×1010Ωであった。 実施例3 亜鉛石鹸としてステアリン酸亜鉛1.0重量部及びアル
キルスルホン酸ナトリウムとしてウンデシルスルホン酸
ナトリウム[日鉱石油化学(株)、アトレーAS100
0]4.0重量部を配合した以外は、実施例1と同じ操
作を繰り返してシートを作製した。艶のあるシートを取
り出すことができた。熱安定性試験では、シートの色相
には全く変化はなかった。また、帯電防止性試験におい
て、表面固有抵抗は、3日後8.5×109Ω、1カ月後
7.6×109Ωであった。 実施例4 亜鉛石鹸としてラウリン酸亜鉛1.2重量部及びアルキ
ルスルホン酸ナトリウムとしてウンデシルスルホン酸ナ
トリウム[日鉱石油化学(株)、アトレーAS1000]
6.8重量部を配合した以外は、実施例1と同じ操作を
繰り返してシートを作製した。艶のあるシートを取り出
すことができた。熱安定性試験では、シートは極めて薄
く着色した。また、帯電防止性試験において、表面固有
抵抗は、3日後1.2×1011Ω、1カ月後1.5×10
11Ωであった。 実施例5 亜鉛石鹸としてベヘニン酸亜鉛0.6重量部及びアルキ
ルスルホン酸ナトリウムとしてペンタデシルスルホン酸
ナトリウム[ヘキストインダストリー(株)、HOSTA
PUR SAS 93]1.9重量部を配合した以外は、
実施例1と同じ操作を繰り返してシートを作製した。艶
のあるシートを取り出すことができた。熱安定性試験で
は、シートの色相には全く変化はなかった。また、帯電
防止性試験において、表面固有抵抗は、3日後3.7×
1010Ω、1カ月後2.1×1010Ωであった。 実施例6 亜鉛石鹸としてリノール酸亜鉛1.4重量部及びアルキ
ルスルホン酸ナトリウムとしてペンタデシルスルホン酸
ナトリウム[ヘキストインダストリー(株)、HOSTA
PUR SAS 93]2.6重量部を配合した以外は、
実施例1と同じ操作を繰り返してシートを作製した。艶
のあるシートを取り出すことができた。熱安定性試験で
は、シートの色相には全く変化はなかった。また、帯電
防止性試験において、表面固有抵抗は、3日後5.0×
1010Ω、1カ月後4.5×1010Ωであった。 比較例1 亜鉛石鹸として2−エチルヘキシル酸亜鉛0.6重量部
及びアルキルスルホン酸ナトリウムとしてウンデシルス
ルホン酸ナトリウム[日鉱石油化学(株)、アトレーAS
1000]0.9重量部を配合した以外は、実施例1と
同じ操作を繰り返してシートを作製した。艶のあるシー
トを取り出すことができた。熱安定性試験では、シート
の色相には全く変化はなかった。また、帯電防止性試験
において、表面固有抵抗は、3日後1.5×1013Ω、
1カ月後8.2×1013Ωであった。 比較例2〜19 第2表に記載した配合にしたがい、実施例1と同様にし
てシートを作製し、加工性、熱安定性及び帯電防止性を
評価した。結果を第3表に示す。
【0013】
【表2】
【0014】[注] 1)金属石鹸等:亜鉛石鹸、カルシウム石鹸、バリウム
石鹸、鉛系安定剤又は錫系安定剤。 2)界面活性剤:アルキルスルホン酸ナトリウム、カチ
オン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤。 (a):炭素数12〜22の脂肪酸の亜鉛石鹸。 (b):炭素数8〜20のアルキルスルホン酸ナトリウ
ム。
【0015】
【表3】
【0016】第3表の結果から、炭素数12〜22の脂
肪酸の亜鉛石鹸及び炭素数8〜20のアルキルスルホン
酸ナトリウムを、重量比が1.5/8.5〜4.5/5.5
の比率で、ポリ塩化ビニル100重量部に対し1.5〜
8.0重量部配合した実施例1〜6の塩化ビニル樹脂組
成物は、加工性が良好であり、熱安定性に優れ、高い帯
電防止性を有することが分かる。これに対して、脂肪酸
の炭素が少ない比較例1の組成物は、帯電防止性に劣
り、脂肪酸の炭素数が多すぎる比較例10の組成物は、
加工性が不良であり、熱安定性にもやや劣る。亜鉛石鹸
の比率が多すぎる比較例2の組成物は、帯電防止性に劣
り、亜鉛石鹸の比率が少なぎる比較例3の組成物は、加
工性、熱安定性ともに不良である。亜鉛石鹸を配合しな
い比較例4の組成物は、熱安定性が不良で、帯電防止性
もやや劣り、アルキルスルホン酸ナトリウムを配合しな
い比較例5の組成物は、熱安定性に劣り帯電防止性を全
く示さない。亜鉛石鹸とアルキルスルホン酸ナトリウム
の合計量が少なすぎる比較例6の組成物は、熱安定性に
劣り、帯電防止性をほとんど示さず、亜鉛石鹸とアルキ
ルスルホン酸ナトリウムの合計量が多すぎる比較例7の
組成物は、加工性が不良である。アルキルスルホン酸ナ
トリウムのアルキル基の炭素数が少ない比較例8の組成
物は、熱安定性にやや劣り、帯電防止性が不良であり、
アルキルスルホン酸ナトリウムのアルキル基の炭素数が
多すぎる比較例9の組成物は、加工性、熱安定性ともに
やや劣り、帯電防止性も不良である。また、金属石鹸も
界面活性剤も全く配合しない比較例11の組成物は、加
工性、熱安定性ともに不良であり、帯電防止性を全く示
さない。亜鉛石鹸の比率が多すぎる比較例14の組成物
は、他にバリウム石鹸も配合しているが、熱安定性に劣
り、帯電防止性にもやや劣る。亜鉛石鹸の代わりにカル
シウム石鹸を配合した比較例15の組成物及び鉛系安定
剤を配合した比較例16の組成物は、いずれも熱安定性
に劣る。亜鉛石鹸の代わりに錫系安定剤を配合した比較
例17の組成物は、加工性にやや劣り、熱安定性にも劣
る。亜鉛石鹸とアルキルスルホン酸ナトリウムの重量比
が0.6/9.4である比較例18の組成物は、カルシウ
ム石鹸も配合していて、金属石鹸とアルキルスルホン酸
ナトリウムの重量比は2.2/7.8となるが、熱安定性
が不良であり、本発明組成物においては、亜鉛石鹸とア
ルキルスルホン酸ナトリウムの比率が重要であって、他
の金属石鹸を加えても本発明の目的が達せられないこと
が分かる。アルキルスルホン酸ナトリウムを配合せず、
亜鉛石鹸とバリウム石鹸を配合した比較例19の組成物
は、帯電防止性を全く示さない。すなわち、アルキルス
ルホン酸ナトリウムに対して亜鉛石鹸の比率が小さくな
ると、樹脂組成物の熱安定性が低下し、比率が大きくな
ると、帯電防止性が低下する。また、亜鉛石鹸の脂肪酸
の炭素数又はアルキルスルホン酸ナトリウムのアルキル
基の炭素数が多くなる、あるいは、合計添加量が多くな
ると、得られるシートが編み目状であったり、シートの
形状が著しく不良となったりする。また、樹脂組成物の
熱安定性を向上させるための鉛系安定剤、錫系安定剤、
バリウム石鹸/亜鉛石鹸系安定剤にアルキルスルホン酸
ナトリウムを併用しても、安定剤の効果は著しく低下す
る。つまり、従来の安定剤の系に帯電防止剤を併用する
のみでは樹脂の熱安定性は低下するが、特定の亜鉛石鹸
と特定のアルキルスルホン酸ナトリウムを特定比率で併
用し、特定量を配合することにより、はじめて塩素含有
樹脂組成物の加工性、熱安定性及び帯電防止性を同時に
向上することが可能となる。
【0017】
【発明の効果】本発明の塩素含有樹脂組成物は、特定の
脂肪酸の亜鉛石鹸と特定のアルキル基を有するアルキル
スルホン酸ナトリウムを特定比率で特定量を配合してい
るので、優れた加工性、熱安定性及び帯電防止性を兼ね
備えている。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩素含有樹脂100重量部に対し、(a)
    炭素数12〜22の脂肪酸の亜鉛石鹸と、(b)炭素数
    8〜20のアルキル基を有するアルキルスルホン酸ナト
    リウムを、(a)/(b)の比率が1/9〜5/5(重
    量比)であり、(a)+(b)の合計量が0.4〜10
    重量部となるよう配合してなることを特徴とする塩素含
    有樹脂組成物。
JP8238399A 1996-08-21 1996-08-21 塩素含有樹脂組成物 Pending JPH1060164A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8238399A JPH1060164A (ja) 1996-08-21 1996-08-21 塩素含有樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8238399A JPH1060164A (ja) 1996-08-21 1996-08-21 塩素含有樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1060164A true JPH1060164A (ja) 1998-03-03

Family

ID=17029630

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8238399A Pending JPH1060164A (ja) 1996-08-21 1996-08-21 塩素含有樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1060164A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013204252A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Sekisui Jushi Co Ltd 床材及び床
WO2021193372A1 (ja) * 2020-03-27 2021-09-30 株式会社Adeka 発泡成形用塩化ビニル系樹脂の安定剤組成物、これを含む発泡成形用塩化ビニル系樹脂組成物、及びその発泡成形体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013204252A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Sekisui Jushi Co Ltd 床材及び床
WO2021193372A1 (ja) * 2020-03-27 2021-09-30 株式会社Adeka 発泡成形用塩化ビニル系樹脂の安定剤組成物、これを含む発泡成形用塩化ビニル系樹脂組成物、及びその発泡成形体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wilkes et al. PVC handbook
JP6137427B1 (ja) 塩化ビニル樹脂用可塑剤、塩化ビニル樹脂組成物、ワイヤーハーネス及びダッシュボード
JP5351411B2 (ja) 難燃性塩化ビニル樹脂組成物及び難燃性塩化ビニル樹脂被覆電線
JP3706208B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
JPH1060164A (ja) 塩素含有樹脂組成物
JPH11140263A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物およびそれを用いた被覆電線
JP2004193138A (ja) 塩化ビニル系樹脂被覆電線
JPH11176240A (ja) 耐熱電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物
KR20040053487A (ko) 탄소계 물질을 포함하는 도전성 바닥재
JP3572627B2 (ja) 可塑剤組成物及び熱可塑性樹脂組成物
JPS5837039A (ja) 低発煙性軟質ポリ塩化ビニル組成物
JP2787718B2 (ja) ポリ塩化ビニル粘着テープ
JP7131718B2 (ja) 塩化ビニル樹脂用可塑剤、塩化ビニル樹脂組成物、並びに当該塩化ビニル樹脂組成物を用いた成形品及びワイヤーハーネス
JP2003514942A (ja) 難煙および難燃性プレナム組成物
JPS6160106B2 (ja)
JP2000191873A (ja) ポリ塩化ビニル組成物、その製法及びそれを使用したケ―ブル絶縁方法
WO2017169730A1 (ja) 塩化ビニル樹脂用可塑剤、塩化ビニル樹脂組成物、ワイヤーハーネス及びダッシュボード
JPH04368712A (ja) 耐摩耗性電線
JPS6011546A (ja) 低発煙性ポリ塩化ビニル組成物
JP3997012B2 (ja) 帯電防止性塩化ビニール樹脂組成物
JPH09227746A (ja) 帯電防止性フィルム又はシート
IE56662B1 (en) Insulated wires
JPH09302183A (ja) 帯電防止性合成皮革
JPH04218550A (ja) 塩素含有樹脂組成物
JP2001234014A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物及びそれを用いたケーブル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20060130

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090414

A521 Written amendment

Effective date: 20090615

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20090804

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20090819

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120828

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120828

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130828

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130828

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130828

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250