JPH1058260A - 工具ホルダ - Google Patents

工具ホルダ

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JPH1058260A
JPH1058260A JP21724296A JP21724296A JPH1058260A JP H1058260 A JPH1058260 A JP H1058260A JP 21724296 A JP21724296 A JP 21724296A JP 21724296 A JP21724296 A JP 21724296A JP H1058260 A JPH1058260 A JP H1058260A
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JP
Japan
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tool holder
peripheral surface
tapered
force
holder
Prior art date
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Pending
Application number
JP21724296A
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English (en)
Inventor
Makoto Suzuki
鈴木  誠
Hajime Mizutani
肇 水谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Bellows Co Ltd
Fuji Seiko Co Ltd
Original Assignee
Fuji Bellows Co Ltd
Fuji Seiko Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Bellows Co Ltd, Fuji Seiko Co Ltd filed Critical Fuji Bellows Co Ltd
Priority to JP21724296A priority Critical patent/JPH1058260A/ja
Publication of JPH1058260A publication Critical patent/JPH1058260A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】二面拘束のための2つの当接面に当接力を予め
与えられた比率で分配し得る工具ホルダを得る。 【解決手段】工作機械の主軸16のテーパ内周面58と
工具ホルダ10の一方の当接面たるテーパ外周面54と
の当接、および、主軸16の受面56と工具ホルダ10
の他方の当接面たる被受面52との当接によって二面拘
束を実現する。プルスタッド部材34を介してボール8
4にドローバーの引込力を伝達し、その力を外向き傾斜
面66を有する嵌合部46と内向き傾斜面100を有す
るテーパカラー32とに分配する。分配比率は、外向き
傾斜面66と外向き傾斜面100との軸線に対する勾配
の比となる。これら分配された軸方向の力は、上記2つ
の当接面の軸方向の当接力となり、引込力が予め与えら
れた比率で分配される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械の主軸に
回転切削工具を取り付けるための工具ホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】このような工具ホルダが、従来より知ら
れている。例えば、JIS B 6339に規定された
シャンク(呼び番号BT40,BT50等)を有する工
具ホルダが、マシニングセンタやフライス盤等への回転
切削工具の取り付け用として広く用いられている。上記
規格に規定されたシャンクは、7/24テーパのテーパ
外周面を備えている。テーパ外周面の小径側に設けられ
る被引込部(多くの場合、着脱可能なプルスタッドで形
成される)が、主軸の内部に設けられたドローバーによ
って引き込まれると、テーパ外周面と工作機械の主軸の
テーパ内周面とが当接させられることにより、工具ホル
ダは主軸内において位置決めがなされた状態で強固に取
り付けられる。
【0003】しかし、工作機械の切削速度は高速化され
てきており、それに伴って、回転切削工具にかかる切削
力も大きくなっている。一般に、大きな切削力がかかる
加工は、切削力が小さい場合に比して、加工精度が悪く
なる傾向にある。このことをできる限り避けるための一
手段として、工具ホルダと工作機械の主軸とを、2つの
当接面で当接させることが有効であることが知られてい
る。そこで、実開昭61−141034号に記載の工具
ホルダにおいては、工具ホルダのテーパ外周面と主軸の
テーパ内周面との当接に加えて、主軸の先端に形成され
た受面と、工具ホルダのフランジ部に形成された被受面
とが当接可能とされている。このような工具ホルダの拘
束を、二面拘束と称する。二面拘束が実現可能な工具ホ
ルダにおいては、特に、主軸の受面と、工具ホルダの被
受面との当接が可能となるため、主軸と工具ホルダとの
主軸の軸線に平行な方向(単に軸方向と称する)の取付
位置精度が高められる。これにより、工具ホルダと主軸
の位置決め不安定に起因する加工精度の低下を抑制する
ことができる。
【0004】上記公報に記載の工具ホルダにおいては、
工具ホルダのテーパ外周面が、工具ホルダのホルダ本体
に対して軸方向に相対移動可能なテーパカラーとして形
成されている。テーパカラーは、ホルダ本体に形成され
た円筒状の嵌合部と内周面において軸方向に相対移動可
能に嵌合されている。また、ホルダ本体とテーパカラー
との間には、それらを互いに離間する向きに付勢するば
ね部材が装入されているので、ドローバーによって引き
込まれた状態で、主軸のテーパ内周面と工具ホルダのテ
ーパ外周面との相対位置誤差を吸収して、二面拘束が確
実に実現されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載の工具ホルダにおいては、当接面の一方である
工具ホルダのテーパ外周面と主軸のテーパ内周面との軸
方向の当接力は、ばね部材の付勢力によって生成される
ので、大きさが殆ど一定である。主軸に取り付けられた
状態におけるばね部材の弾性変形量が、殆ど一定となる
ためである。これは望ましいことではない。例えば、加
工精度を向上させるべく工作機械のドローバーの引込力
が大きくされれば、工具ホルダの被受面と主軸の受面と
の当接力は大きくなるが、工具ホルダのテーパ外周面と
主軸のテーパ内周面との軸方向の当接力は変化せず、不
十分となる。ばね部材の付勢力は一般に、ドローバーの
引込力が小さい場合でも工具ホルダの被受面と主軸の受
面とが十分大きな当接力で当接するように、比較的小さ
くされるのが普通であるため、不十分となり易い。
【0006】そこで、本願の請求項1に記載の第1発明
の課題は、ドローバーの引込力の変化にかかわらず2つ
の当接面に適切な当接力を発生させ得る工具ホルダを得
ることであり、請求項2に記載の第2発明の課題は、第
1発明の工具ホルダを、一般に広く利用されている形態
の工具ホルダにおいて実現させることである。また、請
求項3に記載の第3発明の課題は、できる限り簡単な構
造で第2発明の課題を解決することであり、請求項4に
記載の第4発明の課題は、第3発明の工具ホルダの主軸
への取付精度および剛性を一層向上させることである。
【0007】
【課題を解決するための手段,作用および発明の効果】
上記課題は、第1発明においては、回転切削工具を保持
して工作機械の主軸にその主軸内のドローバーにより固
定される工具ホルダであって、主軸に当接する2つの互
いに相対移動可能な当接面を備えたものにおいて、ドロ
ーバーにより付与される引込力を2つの当接面に主軸に
対する当接力として予め定められた比率で分配する力分
配装置を設けることにより解決される。
【0008】本発明の工具ホルダにおいては、ドローバ
ーの引込力が予め定められた比率で2つの当接面に分配
される。したがって、例えば、ドローバーの引込力の大
きさが異なる別の工作機械に取り付けられる場合にも、
それら両当接力の大きさの比率は適切な大きさに保たれ
る。また、当接力の分配比率を、回転切削工具の種類,
主軸や工具ホルダの形状等の諸条件に基づいて適切に設
定しておくことにより、加工精度を向上させ、あるいは
取付剛性を増大させて加工能率を向上させることができ
る。
【0009】第2発明においては、主軸がその主軸の先
端側ほど内径が増大するテーパ内周面と、その主軸の先
端側向きの受面とを備えたものである場合に、前記2つ
の当接面の一方を前記テーパ内周面に軸方向において当
接可能なテーパ外周面とし、他方を前記受面に軸方向に
おいて当接可能な被受面とすることにより、前記課題が
解決される。
【0010】本発明の工具ホルダにおいては、工具ホル
ダのテーパ外周面が主軸のテーパ内周面に、工具ホルダ
の被受面が主軸の受面に、常に一定比率の当接力で当接
させられる。上記公報に記載の工具ホルダにおいては、
ドローバーの引込力が変化した場合には、2つの当接力
の分配比率が変わることを避け得ないのであるが、本発
明の工具ホルダにおいては分配比率が不変なのである。
本工具ホルダにおいては、工具ホルダの軸方向の位置決
めが主として主軸の受面と工具ホルダの被受面との当接
によって、また、工具ホルダの軸方向と交差する方向の
位置決めが主として主軸の内周テーパ面と工具ホルダの
テーパ外周面と当接により行われるのであるが、両当接
部の当接力の比率がドローバーの引込力の大きさの変化
にかかわらず一定に保たれるのであり、ドローバーの引
込力があらゆる方向の位置決めに最も有効に利用される
こととなる。
【0011】第3発明においては、前記課題が、工具ホ
ルダを、主軸の受面に受けられる被受面と、その被受
面から軸方向に突出して主軸の中心穴内に入り込む嵌合
部と、工具を保持する工具保持部とを備えたホルダ本体
と、前記嵌合部の外側に軸方向に相対移動可能に設け
られ、前記被受面から遠ざかるに従って直径が減少し、
主軸の中心穴のテーパ内周面に軸方向において当接可能
なテーパ外周面を備えたテーパカラーと、ホルダ本体
の嵌合部とテーパカラーとの間に軸方向に相対移動可能
に介在する作用部と、その作用部から軸方向にかつ前記
被受面から遠ざかる向きに突出した被引込部とを備えた
被引込部材と、その被引込部材の前記作用部に半径方
向に貫通して形成された半径方向穴に半径方向に移動可
能に保持され、その作用部の外側面および内側面からそ
れぞれ外方および内方へ突出する外方突出部および内方
突出部を備えた変換部材と、テーパカラーの内周面
に、前記被受面に近い部分ほどそのテーパカラーの中心
線から遠ざかる向きに傾斜して形成され、前記変換部材
の外方突出部と係合可能な内向き傾斜面と、ホルダ本
体の前記嵌合部の外周面に、前記被受面に近い部分ほど
その嵌合部の中心線に接近する向きに傾斜して形成さ
れ、前記変換部材の内方突出部と係合可能な外向き傾斜
面とを含むものとすることにより解決される。
【0012】本発明の工具ホルダにおいては、テーパカ
ラーのテーパ外周面と主軸の中心穴のテーパ内周面との
軸方向の当接力と、ホルダ本体の被受面と主軸の受面と
の軸方向の当接力との比率が、テーパカラーの内向き傾
斜面とホルダ本体の外向き傾斜面との傾斜角度により決
まる。被引込部がドローバーによって主軸内に引き込ま
れると、被引込部材の作用部の半径方向穴に保持される
変換部材も工作機械側に引き込まれる。変換部材は、外
方突出部と内向き傾斜面との係合および内方突出部と外
向き傾斜面との係合が可能な状態で被引込部材の作用部
に保持されており、内向き傾斜面は外方突出部が軸方向
に主軸内部側へ移動すると変換部材を半径方向内向きに
移動させる力が発生する向きに傾斜させられ、また、外
向き傾斜面は内方突出部が軸方向に主軸内部側へ移動す
ると変換部材を半径方向外向きに移動させる力が発生す
る向きに傾斜させられている。そして、工具ホルダがド
ローバーにより引き込まれつつ主軸に取り付けられてい
る状態においては、上記2つの半径方向の力が互いに釣
り合うこととなる。
【0013】これら2つの半径方向の力が釣り合った状
態において、内向き傾斜面と外向き傾斜面とに作用する
軸方向の力の比率は、摩擦力を無視すれば両傾斜面の勾
配(傾斜角の正接)の比に等しくなる。例えば、それら
両傾斜面の傾斜角の大きさが相等しい場合には、それら
両傾斜面に作用する軸方向の力も等しくなり、その大き
さは、変換部材の軸方向移動力の半分となる。つまり、
ドローバーの引込力が、内向き傾斜面を有するテーパカ
ラーと外向き傾斜面を有するホルダ本体とに分配され、
その分配比率が1対1となるのである。また、傾斜角の
大きさが異なる場合には、傾斜角が小さい方の傾斜面に
作用する軸方向の力の方が、他方のそれよりも小さくな
る。その場合においても、それら2つの軸方向の力の和
は、やはりドローバーの引込力に等しい。このように、
本発明の工具ホルダにおいては、内向き傾斜面と外向き
傾斜面との少なくとも一方の傾斜角を変更すれば、ドロ
ーバーの引込力のテーパカラーとホルダ本体とへの分配
比率を変更することができる。したがって、第1発明の
工具ホルダと同様に、例えば、ドローバーの引込力の大
きさが異なる別の工作機械に取り付けられる場合にも、
それら両当接力の大きさの比率が適切な大きさに保たれ
る。当接力の分配比率を、回転切削工具の種類,主軸や
工具ホルダの形状等の諸条件に基づいて適切に設定して
おくことにより、加工精度を向上させ、あるいは取付剛
性を増大させて加工能率を向上させることができること
も同様である。
【0014】第4発明においては、第3発明の工具ホル
ダに、少なくとも当該工具ホルダが前記主軸に取り付け
られた状態では前記ホルダ本体の嵌合部と前記テーパカ
ラーとの半径方向の相対移動を防止する半径方向移動防
止手段が設けられる。
【0015】第3発明の工具ホルダにおいては、当接面
の一方を備えるホルダ本体と、他方を備えるテーパカラ
ーとが、相対移動可能な状態とされる。この相対移動の
うち、半径方向の相対移動は、二面拘束を実現するため
に不可欠なものではなく、このような不可欠でない相対
移動を許容することは、取り付け位置精度および剛性を
高めて加工精度を向上させる上で望ましいことではな
い。ホルダ本体とテーパカラーとの相対移動の方向は、
必要最小限度に止められるべきなのであり、本第3発明
の工具ホルダにおいては、少なくとも取付状態において
はホルダ本体とテーパカラーとの半径方向の相対移動が
防止される。なお、主軸と工具ホルダとの間のトルクの
伝達が、両者の一方に設けられるドライブキー等の係合
突部と、他方に設けられるキー溝等の係合凹部との係合
により行われる形態の工具ホルダにおいては、ホルダ本
体とテーパカラーとの軸線回りの相対回転を防止するこ
とは不可欠ではないが、防止されるようにしてもよい。
また、主軸と工具ホルダとの間のトルクの伝達がテーパ
カラーを介して行われるようにすることも可能である。
【0016】
【発明の望ましい実施態様】本発明は上記各請求項に記
載の態様の外に、下記の態様でも実施可能である。各実
施態様は、便宜上、請求項と同じ形式の実施態様項とし
て記載する。 (1)前記被引込部材の作用部が、前記ホルダ本体の嵌
合部の外周面と前記テーパカラーの内周面との間に軸方
向に相対移動可能に嵌合される円筒部を含む請求項3ま
たは4に記載の工具ホルダ。作用部は、例えば、ホルダ
本体の外周面とテーパカラーの内周面との少なくとも一
方に形成された軸方向の溝に嵌合する軸方向突部とする
ことも可能であるが、円筒部とすることも可能である。
いずれにしても、作用部が介在している部分以外におい
ては、ホルダ本体とテーパカラーとが直接、あるいは転
がり軸受を介して間接に嵌合されること、取付けの位置
精度および剛性を高める上で望ましい。 (2)前記被引込部材の円筒部に前記半径方向穴が軸対
称に複数個形成されており、それらの各々に前記変換部
材が保持されている実施態様項1に記載の工具ホルダ。
軸対称に配置される複数の変換部材を含む形態である。
軸対称に配置されるので、ドローバーの引込力をバラン
スよく伝達することができる。また、各変換部材のそれ
ぞれに作用する力が小さくなり、変換部材の強度を下げ
ることや、大きさを小さくすること等ができるので、製
造コストを低減できる。半径方向穴および変換部材の数
は各々6個以上とすることも可能であり、個数が多いほ
ど変換部材の耐久性を向上させることが容易であるが、
すべての変換部材を均等に作用させる観点からは2個ま
たは3個とすることが望ましい。 (3)前記変換部材が球体である請求項3,4,実施態
様項1,2のいずれか1つに記載の工具ホルダ。変換部
材は、例えば、断面形状が円形のピンの両端部をほぼ半
球状としたものとすることも可能であるが、球体は、半
径方向穴内における移動の自由度に富み、力の変換効率
を向上させることが容易である。また、例えば、鋼球
は、殆どあらゆる大きさのものが市販されており、安価
に入手できので、製造コストを低減できる。 (4)前記半径方向移動防止手段が、前記ホルダ本体の
嵌合部と前記テーパカラーとの、前記被引込部材の円筒
部と嵌合していない部分間にネガティブクリアランスで
嵌合された軸方向の転がり軸受を含む請求項4,実施態
様項1〜3のいずれか1つに記載の工具ホルダ。 (5)前記テーパカラーが、それのテーパ外周面が対応
するテーパ内周面に軸方向に当接させられた際、少なく
とも前記被引込部材と嵌合してない部分において弾性的
に縮径し、前記ホルダ本体の嵌合部の外周面に密着可能
とされており、その構成が前記半径方向移動防止手段の
少なくとも一部を成している請求項4,実施態様項1〜
4のいずれか1つに記載の工具ホルダ。 (6)前記ホルダ本体と前記被引込部材との間に、軸方
向において両者を互いに接近する方向に付勢する付勢手
段が設けられている請求項3,4,実施態様項1〜5の
いずれか1つに記載の工具ホルダ。
【0017】
【発明の実施の形態】本願の第1ないし第4発明に共通
の一実施形態である工具ホルダを、図面に基づいて説明
する。図1は、本実施形態の工具ホルダ10が、工作機
械の主軸16に取り付けられた状態を示す、一部断面正
面図である。工作機械の主軸16には、キー部材たるド
ライブキー20が取り付けられている。それら主軸16
とドライブキー20とは、図1において想像線(二点鎖
線)で示されている。工具ホルダ10は、ホルダ本体2
8,テーパカラー32,被引込部材たるプルスタッド部
材34等により構成される。
【0018】ホルダ本体28は、フランジ部40と、そ
のフランジ部40から同心に延び出た工具保持部42
と、フランジ部40の前記工具保持部42とは反対側の
端面から同心に延び出た嵌合部46とを備えている。フ
ランジ部40は、その外周面に断面形状が台形の環状溝
48を備えている。また、直径方向に隔たった2箇所
に、トルク伝達のためにドライブキー20と係合する切
欠50を備えている。工具保持部42は、ロールロック
式チャックと称されるチャックを備えている。ロールロ
ック式チャックは、例えばミーリングチャックとして、
コレット式チャックと共に主流をなすものであり、一般
に、コレット式チャックに比して、把持力が大きいこと
を特徴とするものである。本実施形態におけるロールロ
ック式チャックは、一般的なものであるため、詳細な説
明を省略する。
【0019】主軸16に工具ホルダ10が取り付けられ
た状態では、工具ホルダ10のフランジ部40の嵌合部
46側の端面である被受面52と、テーパカラー32の
テーパ外周面54とが、それぞれ、主軸16の先端面で
ある受面56と、テーパ内周面58とに当接させられ
る。本実施形態の工具ホルダ10においては、被受面5
2とテーパ外周面54とが、それぞれ相対移動可能な当
接面となっているのである。
【0020】図2は、図1に示した工具ホルダ10の一
部を拡大して示す正面断面図である。嵌合部46は、概
して円筒形の大径部60および小径部62を同軸に備え
た段付軸状を成し、小径部62の外周面64には、断面
が台形の円環状の溝が形成されることによって、外向き
傾斜面66が形成されている。外向き傾斜面66は、軸
方向に対して傾斜したテーパ外周面とされ、その傾斜の
向きは、フランジ部40から遠ざかるほど、外径が大き
くなる向きとされている。
【0021】小径部62の外周面64は、プルスタッド
部材34に形成された作用部たる円筒部70の内側面た
る内周面72と、軸方向に相対移動可能に嵌合されてい
る。小径部62と円筒部70との間は、外周面64に取
り付けられたシール部材たるOリング74により、液密
とされている。円筒部70には、軸線に直角な平面上の
等角度間隔の6箇所に、半径方向穴80が形成されてい
る(図1および図2には、それらのうち2つが図示され
ている)。そして、それら半径方向穴80のそれぞれに
は、変換部材たるボール84が保持されている。ボール
84の直径は、円筒部70の肉厚よりも大きくされてお
り、ボール84の一部が、円筒部70の(作用部の)外
側面たる外周面86よりも外方へ突出し、かつ、円筒部
70の内周面72よりも内方へ突出している。それらボ
ール84の円筒部70の外周面86および内周面72か
ら突出した部分が、それぞれ外方突出部および内方突出
部を構成する。
【0022】小径部62の外周面64の直径方向に隔た
った2箇所(大径部60との境界近傍)には、係合ピン
88が打ち込まれている。その係合ピン88と、円筒部
70の工具保持部42側の端部に設けられた切欠90と
が係合させられて、嵌合部46と円筒部70との軸線回
りの相対回転が阻止されている。つまり、ホルダ本体2
8とプルスタッド部材34との相対回転が阻止されてい
るのである。円筒部70の外周面86は、テーパカラー
32の内周面94と、軸方向に相対移動可能に嵌合させ
られている。円筒部70とテーパカラー32との間は、
円筒部70の外周面86に取り付けられるシール部材た
るOリング96により、液密とされている。また、テー
パカラー32の内周にも、係合ピン88と係合する切欠
98が形成されており、ホルダ本体28とテーパカラー
32との軸線回りの相対回転も阻止されている。テーパ
カラー32の内周面94に隣接する部分には、内向き傾
斜面100が形成されている。内向き傾斜面100は、
傾斜の向きがフランジ部40に近づくほど内径が大きく
なる向きとされたテーパ内周面である。
【0023】テーパカラー32の内周面94と円筒部7
0の外周面86との一部、すなわち円筒部70が介在し
ていない部分の間には軸方向の転がり軸受たるボールガ
イド104がネガティブクリアランスで配設されてい
る。図示の実施形態においては、嵌合部46の大径部6
0の外周面と、テーパカラー32の内周面94の拡径部
102との間に、ボールガイド104が嵌合されてい
る。ボールガイド104は、複数の同径のボール106
を円筒面上に配した転がり軸受の一種であり、大径部6
0の半径と拡径部102の半径との差が、ボール106
の直径よりもわずかに小さくされている。ホルダ本体2
8とボール106とテーパカラー32との間には微小な
隙間もなく、ボール106が弾性変形しているのであっ
て、ホルダ本体28とボール106とは半径方向に相対
移動不能であり、ボールガイド104が半径方向移動防
止手段を構成しているのである。
【0024】嵌合部46の小径部62とプルスタッド部
材34の円筒部70との嵌合およびテーパカラー32と
円筒部70との嵌合が共になされると、ボール84が、
外向き傾斜面66および内向き傾斜面100と係合可能
な状態となる。この状態で、プルスタッド部材34に形
成された雄ねじ部110に、大径側の外径がテーパカラ
ー32の内周面94の内径より大きくされた、テーパ状
の外周面を有するナット部材112が螺合され、ねじ部
材114によって自由な相対回転が防止されることによ
って、円筒部70とテーパカラー32とが離脱不能とさ
れる。このように、ホルダ本体28,プルスタッド部材
34およびテーパカラー32が、互いに軸方向のみに相
対移動可能、かつ、離脱不能な状態とされる。
【0025】プルスタッド部材34の円筒部70の内周
面72には、雌ねじ部130が備えられており、円環状
のねじ部材132が螺合されている。ねじ部材132
は、座ぐり穴134を備えている。一方、嵌合部46の
小径部62の先端面には、雌ねじ部138が備えられて
おり、ボルト部材140がねじ部材132の貫通穴を貫
通して螺合されている。ねじ部材132の座ぐり穴13
4の底面とボルト部材140の頭部142との間には、
弾性部材たるばね部材146が配設されている。ばね部
材146は、複数の皿ばね交互に逆向きに重ね合わせて
構成されたものであり、小径部62の先端面と、ねじ部
材132の座ぐり穴134が形成された側とは反対側の
端面とが近づく向きに、それら小径部62とねじ部材1
32(したがって、プルスタッド部材34)とを付勢し
ている。しかし、その付勢力は、主軸16内の図示しな
いドローバーによりプルスタッド部材34に加えられる
引込力に比較して十分小さく(例えば1/10以下)な
るようにされる。例えば、図示の例では、主軸16に取
り付けられた状態で、約196N≒20kgfとなるよ
うにされている。工具ホルダ10が主軸16から取り外
された状態では、上記付勢力によってホルダ本体28と
プルスタッド部材34とが接近させられる。また、テー
パカラー32の大径側の端面には、座ぐり部150が形
成されており、その座ぐり部150の底面とフランジ部
40の端面152との間には、シール部材たる円環状の
ゴムパッキン156が配設されている。これらばね部材
146およびゴムパッキン156によって、工具ホルダ
10が主軸16から取り外された状態における構成部材
間の軸方向のがたつきが防止される。
【0026】プルスタッド部材34,ボルト部材140
およびホルダ本体28には、それぞれ、貫通穴170,
172,174が軸線上において形成されている。これ
らの貫通穴によって、工作機械の主軸16の内部から工
具ホルダ10に保持される回転切削工具にクーラントを
供給することができる。なお、本実施形態のテーパカラ
ー32のテーパ外周面54は、呼び番号がBT40(J
IS B 6339参照)であるテーパシャンクのテー
パ面の一部と同じ寸法・形状とされている。
【0027】本実施形態の工具ホルダ10の組立ては次
のようにして行われる。まず、ホルダ本体28の小径部
62にOリング74が取り付けられ、係合ピン88が打
ち込まれるとともに、大径部60にはボールガイド10
4が嵌合される。また、テーパカラー32の大径側端部
にゴムパッキン156が取り付けられ、プルスタッド部
材34の円筒部70の外周面86にOリング96が取り
付けられる。ばね部材146とねじ部材132とにボル
ト部材140が挿入された状態で、ねじ部材132が円
筒部70の雌ねじ部130に螺合される。次に、嵌合部
46の小径部62と円筒部70とが、係合ピン88と切
欠90とが係合する状態で嵌合され、貫通穴170から
装入される工具によってボルト部材140が小径部62
の雌ねじ部138に螺合される。これによってホルダ本
体28とプルスタッド部材34とが連結状態となる。続
いて、半径方向穴80にボール84が装着され、円筒部
70およびボールガイド104の外側に、テーパカラー
32が、切欠98と係合ピン88との位相が一致する状
態で嵌合される。そして、プルスタッド部材34の雄ね
じ部110にナット部材112が螺合され、ねじ部材1
14で固定されることにより組立てが完了する。
【0028】本願の第1ないし第4発明に共通の別の実
施形態を図3および図4に基づいて説明する。本実施形
態は、上述の実施形態の工具ホルダ10におけるホルダ
本体28,テーパカラー32等の構造を変更することに
より、ボールガイド104を省略したものである。テー
パカラー32は、図4にその正面図を示すものと交換さ
れる。本実施形態のテーパカラー32は、小径側のテー
パ外周面54の一部が、上述の実施形態のものより外径
がわずかに縮小された縮径テーパ面182とされる。ま
た、その縮径テーパ面182とテーパ外周面54との境
界上の等角度間隔の4箇所には、軸線と直交する方向
に、貫通穴184が形成されている。図4には、そのう
ちの2つが示されている。そして、その貫通穴184と
テーパカラー32の大径側端面との間にすり割り溝18
6が形成されている。すり割り溝186は、それぞれテ
ーパカラー32の軸線と、対応する貫通穴184の中心
線とを含む平面上に形成される。したがって、本実施形
態のテーパカラー32のテーパ外周面54は、弾性変形
による若干の縮径(および拡径)が可能である。
【0029】また、本実施形態においては、上述の実施
形態における相対移動防止手段たるボールガイド104
は省略されている。その代わり、嵌合部46の大径部6
0の外径が大きくされ、テーパカラー32の拡径部10
2の内径よりも、わずかに小さくなるようにされてい
る。工具ホルダ10が主軸16に取り付けられる際に、
テーパカラー32のテーパ外周面54が主軸16のテー
パ内周面58に当接させられ、さらに引き込まれると、
すり割り溝186の存在により、テーパカラー32は弾
性変形して縮径させられ、テーパカラー32の拡径部1
02と嵌合部46の大径部60とが密着させられること
となる。これによって、上述の実施形態のボールガイド
104がなくても、ホルダ本体28とテーパカラー32
との半径方向の相対移動が防止される。
【0030】なお、本実施形態におけるテーパカラー3
2のすり割り溝186の数は、6とされているが、この
値は上記ボール84の数とは異なる値とされてもよく、
任意である。ただし、各ボール84がすり割り溝186
に接触しないようにする必要がある。また、例えば、本
実施形態の工具ホルダと、上述の実施形態の工具ホルダ
とが共に実施される場合は、各構成要素をできる限り共
用することが望ましい。そこで、例えば、上述の実施形
態のボールガイド104の外形寸法に相当する寸法(換
言すれば、上述の実施形態と本実施形態との拡径部60
の差に相当する寸法)を有する円筒状のカラーを、ボー
ルガイド104の代わりにホルダ本体28に嵌装し、上
述の実施形態のテーパカラー32に、本実施形態のそれ
と同様のすり割り溝186等を追加工することによっ
て、本実施形態の工具ホルダ10と同様の工具ホルダを
得ることができる。このような形態とすれば、本実施形
態と上述の実施形態との工具ホルダにおいて、構成要素
の共通化が促進される。
【0031】以上2つの実施形態の工具ホルダ10が主
軸16に取り付けられる際には、プルスタッド部材34
の円筒部70とは反対側の端部に備えられるプルスタッ
ド190が、工作機械の主軸内に設けられる図示しない
ドローバーにより引き込まれることによって、工具ホル
ダ10が、ホルダ本体28の被受面52とテーパカラー
32のテーパ外周面54との2つの当接面において、主
軸16の受面56とテーパ内周面58との2つの当接面
に当接する。これら2対の当接面における軸方向の当接
力の大きさは、ボール84に作用する力の大きさと方向
とによって説明することができる。以下、その説明を行
う。
【0032】図5は、ドローバーの引込力に起因する1
個のボール84に作用する力と、そのボール84を介し
てテーパカラー32および嵌合部46の小径部62に作
用する力を示す図である。なお、簡潔化のために、ボー
ル84,プルスタッド部材34,テーパカラー32およ
び嵌合部46の小径部62の、互いに接触する部分の摩
擦抵抗は無視する。ドローバーによる引込力Fは、各ボ
ール84に作用する軸方向の主軸内部に向かう力f
i (i=1〜n,n:ボール84の数,本実施形態の工
具ホルダ10においては、6)に分配される。引込力F
は、工具ホルダ10の構成要素の加工精度等にもよる
が、各ボール84に均等に分配されると考えてよい。 F=Σi=1 n i ・・・(1) なお、Σi=1 n αi (αi は、任意の変数や関数等を示
す)は、添字iの値が1ないしnである各αi の値すべ
ての和を示す。各ボール84は、ドローバーにより引き
込まれるプルスタッド部材34の円筒部70に形成され
る半径方向穴80に保持されているので、その半径方向
穴80の方向と直交する方向(軸方向)の力fi を受け
ることとなる。
【0033】各ボール84は、力fi の分力fi1,fi2
を、それぞれテーパカラー32および小径部62に作用
させる。力fi が、分力fi1,fi2に変換されるのであ
る。換言すれば、ボール84に作用する力である、力f
i と、分力fi1の反力と、分力fi2の反力との3力が釣
り合う。このことによって、ボール84が工具ホルダ1
0内において静止する。分力fi1はテーパカラー32の
内向き傾斜面100の法線方向、また、分力fi2は小径
部62の外向き傾斜面66の法線方向の力である。な
お、図5においては、内向き傾斜面100と軸方向との
なす角はθ,外向き傾斜面66と軸方向とのなす角はφ
で示されている。力fi および各分力fi1,fi2は、図
5に示すように平行四辺形を形成することがわかる。し
たがって、図5における水平方向および垂直方向の力の
関係は次式のように表される。 fi =fi1・sinθ+fi2・sinφ ・・・(2) fi1・cosθ=fi2・cosφ ・・・(3) これらは、それぞれ、軸方向および半径方向の力の大き
さに関して成立する式である。
【0034】(2)式および(3)式より、各分力
i1,fi2は、それぞれ(4)式および(5)式のよう
に得られる。 fi1={1/(tanφ・cosθ+sinθ)}・fi ・・・(4) fi2={1/(tanθ・cosφ+sinφ)}・fi ・・・(5) また、各分力fi1,fi2の軸方向成分(軸方向分力と称
する)fi1′,fi2′は、それぞれ(6)式および
(7)式で与えられる。 fi1′=fi1・sinθ={tanθ/(tanθ+tanφ)}・fi ・・ ・(6) fi2′=fi2・sinφ={tanφ/(tanθ+tanφ)}・fi ・・ ・(7) (6)式および(7)式を辺々加えると、次式を得る。 fi =fi1′+fi2′ ・・・(8) また、(7)式を(6)式で辺々除せば、軸方向分力f
i2′,fi1′の比が次式のように得られる。 fi2′/fi1′=tanφ/tanθ ・・・(9) つまり、(8)式より明らかなように、1個のボール8
4の各軸方向分力fi2′,fi1′の和が、そのボール8
4がドローバーにより引き込まれる力fi の大きさに等
しい状態において、(9)式より明らかなように、角φ
の正接を角θの正接で除した値として決まる分配比率
で、軸方向分力fi2′,fi1′に分配されることとなる
(図5参照)。
【0035】(6)式ないし(9)式は、1個のボール
84に作用する力に関する式であるが、すべてのボール
84についての和をとれば、それぞれ(10)式ないし
(13)式が得られる。 F1 =Σi=1 n i1′={tanθ/(tanθ+tanφ)}・Σi=1 n i ={tanθ/(tanθ+tanφ)}・F ・・・(10) F2 =Σi=1 n i2′={tanφ/(tanθ+tanφ)}・Σi=1 n i ={tanφ/(tanθ+tanφ)}・F ・・・(11) F=F1 +F2 ・・・(12) F2 /F1 =tanφ/tanθ ・・・(13) ここで、軸方向分力fi1′,fi2′の和であるF1 およ
びF2 を、それぞれ第1,第2当接力と称する。また、
2 /F1 を、当接力比と称する。(10)式ないし
(13)式は、引込力Fが、各ボール84に均等に作用
しない場合においても成立する。このように、半径方向
穴80,ボール84,外向き傾斜面66および内向き傾
斜面100によって、力分配装置が構成されているので
ある。
【0036】図6は、角θおよび角φの値の一例とし
て、角φの値が45度に固定され、角θの値が0ないし
約45度の範囲で変化させられた場合における、引込力
F,第1当接力F1 および第2当接力F2 の相互の関係
を示すグラフである。グラフ(a)は、(10)式を引
込力Fで除して得られる値(第1当接力分配率F1 /F
と記す)を示すものである。また、グラフ(a)は、
(11)式を引込力Fで除した値(第2当接力分配率F
2 /Fと記す)を示すものでもある。前者は、グラフ
(a)を目盛りF1 /Fを用いて、また、後者は、グラ
フ(a)を目盛りF2/Fを用いて読み取ることによっ
て得られる。このグラフ(a)と、第1当接力分配率F
1 /Fおよび第2当接力分配率F2 /Fの目盛りとか
ら、これらの分配率の和が常に1であること、即ち(1
2)式の内容が確かめられる。また、グラフ(b)は、
(13)式に基づいて算出される当接力比F2 /F1
図示したものである。例えば、角φが45度とされ、角
θが20度とされる場合(図1ないし図3に示した工具
ホルダ10においては、これらの値が採用されている)
は、第1当接力分配率F1 /Fが約0.267,第2当
接力分配率F2 /Fが約0.733,当接力比F2 /F
1 が約2.75とされることがわかる。したがって、例
えば、ドローバーの引込力Fが6860N≒700kg
fである場合には、第1当接力F1 は約1833N≒1
87kgf,第2当接力F2 は約5027N≒513k
gfとなる。ドローバーの引込力Fの大きさが変化して
も、当接力比F 2 /F1 ,第1当接力分配率F1 /Fお
よび第2当接力分配率F2 /Fの値は変化しない。
【0037】回転切削工具の使用目的や被切削物の材質
・形状等の条件によっては、当接力比F2 /F1 を変化
させたい場合があり得る。例えば経験的に、当接力比F
2 /F1 が3.6であることが望ましいことが判ったと
する。グラフ(b)によれば、このとき角θ(内向き傾
斜面100と軸方向とのなす角)は、約15.5度とす
ればよいことがわかる。また、グラフ(a)によって、
第1当接力分配率F1/Fが約0.217,第2当接力
分配率F2 /Fが約0.783であることがわかる(つ
まり、ドローバーの引込力Fが判っていれば、第1,第
2当接力F1 ,F2 の値がわかる)。また、例えば、ド
ローバーの引込力Fの大きさの範囲内で、第1,第2当
接力F1 ,F2 の少なくとも一方の大きさをある値以上
に確保させたい場合があり得る。例えば、ドローバーの
引込力Fが6860N≒700kgfである場合に、第
2当接力F2 を4900N≒500kgf以上(第2当
接力分配率F2 /Fが約0.714以上)としたい場合
は、グラフ(a)により、角θは約21.8度以下とす
ればよい。角θをこのような値とすれば、グラフ(b)
により、当接力比F2 /F1 は2.5以上となることが
わかる。このとき、第1当接力F1 が1960N≒20
0kgf以下となることは当然である。
【0038】なお、図6は角φが45度に固定されたも
のであるので、上述の式に基づいて角φを他の値として
作成された、図6に相当する他のグラフを用いてもよ
い。また、図6あるいは図6に相当する他のグラフを、
角φと角θとを入れ換えて作成してもよい。このよう
に、本願の発明の工具ホルダは、角θと角φとの値を変
更するだけで、当接力比F2 /F1 を容易に変更するこ
とができる。
【0039】以上、本発明の2つの実施形態である工具
ホルダを図面に基づいて説明したが、これらの工具ホル
ダは、従来の工作機械にまったく手を加えることなく取
り付けることができる。つまり、これら工具ホルダは、
前記規格のテーパシャンク等に適合する主軸を有する工
作機械が非常に多く稼働している現状において、切削加
工精度を容易、かつ、安価に向上させ得る手段を提供す
ることに成功したものなのである。ただし、これら2実
施形態はあくまでも例示であり、本発明はこれらの他に
も、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識
に基づいて種々の変形,改良を施した態様で実施するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1ないし第4発明に共通の一実施形態である
工具ホルダの正面図(一部断面)である。
【図2】その一部を拡大して示す図である。
【図3】第1ないし第4発明に共通の別の実施形態であ
る工具ホルダの正面図(一部断面)である。
【図4】図3に示した工具ホルダのテーパカラーを取り
出して示す正面図である。
【図5】図1または図3に示した工具ホルダのボールに
関する力を示す図である。
【図6】図5に示したボールに関する力に基づいて計算
された、上記図1または図3の工具ホルダに作用する軸
方向の力に関連する量と、角θおよび角φとの関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
10:工具ホルダ 16:主軸 28:ホルダ本体
32:テーパカラー 34:プルスタッド部材 40:フランジ部 4
2:工具保持部 52:被受面 54:テーパ外周
面 56:受面 58:テーパ内周面 66:外向き傾斜面 70:円筒部 72:内周面
80:半径方向穴 84:ボール 86:外周面 100:内向き傾斜
面 104:ボールガイド 112:ナット部材
132:ねじ部材 140:ボルト部材 146:ばね部材 156:ゴムパッキン 17
0,172,174:貫通穴 182:縮径テーパ面
184:貫通穴 186:すり割り溝 190:プルスタッド

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転切削工具を保持して工作機械の主軸
    にその主軸内のドローバーにより固定される工具ホルダ
    であって、 前記主軸に当接する2つの互いに相対移動可能な当接面
    を備え、かつ、前記ドローバーにより付与される引込力
    をそれら2つの当接面に主軸に対する当接力として予め
    定められた比率で分配する力分配装置を含むことを特徴
    とする工具ホルダ。
  2. 【請求項2】 前記主軸が、その主軸の先端側ほど内径
    が増大するテーパ内周面と、その主軸の先端側向きの受
    面とを備えたものであり、前記2つの当接面の一方が前
    記テーパ内周面に軸方向において当接可能なテーパ外周
    面であり、他方が前記受面に軸方向において当接可能な
    被受面であることを特徴とする請求項1に記載の工具ホ
    ルダ。
  3. 【請求項3】 主軸の受面に受けられる被受面と、その
    被受面から軸方向に突出して主軸の中心穴内に入り込む
    嵌合部と、工具を保持する工具保持部とを備えたホルダ
    本体と、 前記嵌合部の外側に軸方向に相対移動可能に設けられ、
    前記被受面から遠ざかるに従って直径が減少し、前記主
    軸の中心穴のテーパ内周面に軸方向において当接可能な
    テーパ外周面を備えたテーパカラーと、 前記ホルダ本体の嵌合部と前記テーパカラーとの間に軸
    方向に相対移動可能に介在する作用部と、その作用部か
    ら軸方向にかつ前記被受面から遠ざかる向きに突出した
    被引込部とを備えた被引込部材と、 その被引込部材の前記作用部に半径方向に貫通して形成
    された半径方向穴に半径方向に移動可能に保持され、そ
    の作用部の外側面および内側面からそれぞれ外方および
    内方へ突出する外方突出部および内方突出部を備えた変
    換部材と、 前記テーパカラーの内周面に、前記被受面に近い部分ほ
    どそのテーパカラーの中心線から遠ざかる向きに傾斜し
    て形成され、前記変換部材の外方突出部と係合可能な内
    向き傾斜面と、 前記ホルダ本体の嵌合部の外周面に、前記被受面に近い
    部分ほどその嵌合部の中心線に接近する向きに傾斜して
    形成され、前記変換部材の内方突出部と係合可能な外向
    き傾斜面とを含むことを特徴とする工具ホルダ。
  4. 【請求項4】 少なくとも当該工具ホルダが前記主軸に
    取り付けられた状態では前記ホルダ本体の嵌合部と前記
    テーパカラーとの半径方向の相対移動を防止する半径方
    向移動防止手段を含むことを特徴とする請求項3に記載
    の工具ホルダ。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002346865A (ja) * 2001-05-29 2002-12-04 Nt Tool Corp 工具保持具
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