JPH105823A - 超硬合金製複合ロール - Google Patents
超硬合金製複合ロールInfo
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Abstract
摩耗性、耐肌荒れ性に優れた熱間圧延機用の超硬合金製
複合ロールを提供する。 【解決手段】 溶製の鋼系材からなる内層を形成するス
リーブの外周に、周期律表のIVa〜VIa族の元素の
炭化物、窒化物及び炭窒化物の硬質粒子の少なくとも1
種または2種以上を60〜90重量%と、残部実質的に
Fe、Ni、Co、Cr、Mo及びWの少なくとも1種
または2種以上の金属粉末とからなる混合粉末を焼結す
ると同時に拡散接合させた超硬合金製の外層を有し、前
記外層表面に100MPa以上の円周方向の圧縮残留応
力を付与した複合スリーブを、軸材に嵌合固定したこと
を特徴とする超硬合金製複合ロール。
Description
を有する複合スリーブを軸材に嵌合固定した超硬合金製
複合ロールに関する。
りWC−Co系等の超硬合金が熱間圧延機用ロール材と
して用いられている。超硬合金は他のロール材である鋳
鋼や工具鋼に比べて高価であるため、圧延時に被圧延材
と直接接触し、耐摩耗性の要求される部分のみに使われ
るのが考えられる。また、超硬合金では大径・長尺化が
難しいので、中空のスリーブを作り、このスリーブを金
属製軸材に嵌合するのが望ましい。さらに、超硬合金単
体ロールの場合、圧縮残留応力が殆どなく、耐クラック
性に劣るという問題がある。
力に対しては強いが、衝撃や引張応力に対しては弱いと
いう問題がある。このため、従来の金属製スリーブに対
して行われていた焼嵌め、冷嵌め、圧入等の嵌合方法を
そのまま適用することができない。すなわち、超硬合金
製スリーブは弾性係数が大きく、変形能に乏しいため、
嵌合面に僅かな凹凸があったりすると、嵌合によって局
部的に過大な引張応力が発生し、超硬合金製スリーブの
破壊強度を超え、スリーブが割れやすいという問題があ
る。
に嵌合する方法として種々提案されている。例えば特開
昭60−83708号には、内周部より外周部が漸次厚
肉に形成されたスペーサを加熱して膨張せしめた状態
で、超硬合金製スリーブ及びディスクスプリングと共に
軸材に装入して、固定部材の間に挟み込み、スペーサの
冷却収縮によりディスクスプリングに大きい側圧を発生
させて、スリーブの側面を押圧固定する方法が開示され
ている。しかしながら、このような嵌合方法はスペー
サ、固定部材等の部材点数が多く組立構造が複雑である
という問題がある。また、焼嵌めた後の超硬合金製スリ
ーブの表面に作用する引張応力による割れの防止につい
ても十分なものとは言えない。
て、超硬合金リングとその内側の鋼製リングとの間にろ
う材を入れて加熱ろう付けしたものや、鋼製リングの外
周に超硬合金を鋳包み法により溶着させたものがある。
しかしながら、前者のろう付け法ではろう付け層の高温
での疲労強度が弱く、圧延使用中に剥離等が発生すると
いう問題がある。また、後者の鋳包み法ではその製造法
の限界から高い耐摩耗性を得ることができないという問
題がある。
てなされたもので、内層を形成するスリーブの外周に、
焼結法を用いて外層材用の超硬合金の混合粉末を焼結す
ると同時に拡散接合させて、外層表面に適正な圧縮残留
応力を付与することにより、耐亀裂性、耐割損性を向上
させると共に、耐摩耗性、耐肌荒れ性に優れた熱間圧延
機用の超硬合金製複合ロールを提供することである。
ロールは、溶製の鋼系材からなる内層を形成するスリー
ブの外周に、周期律表のIVa〜VIa族の元素の炭化
物、窒化物及び炭窒化物の硬質粒子の少なくとも1種ま
たは2種以上を60〜90重量%と、残部実質的にF
e、Ni、Co、Cr、Mo及びWの少なくとも1種ま
たは2種以上の金属粉末とからなる混合粉末を焼結する
と同時に拡散接合させた超硬合金製の外層を有し、前記
外層表面に100MPa以上の円周方向の圧縮残留応力
を付与した複合スリーブを、軸材に嵌合固定したことを
特徴とする。
前記硬質粒子はWC、TiC、TaC、NbC及びVC
からなる群から選ばれた少なくとも1種または2種以上
である。また、前記金属粉末はさらにCr3Si、Cr
Si及びCrSi2の少なくとも1種または2種以上か
らなるCr−Si化合物を0.1〜3.0重量%含有す
るのが望ましい。
〜600℃でベーナイト変態、もしくは200〜850
℃でパーライト及びベーナイト変態を起こす鋳鋼、鍛
鋼、黒鉛鋳鋼、炭素鋼及び合金炭素鋼のいずれかからな
る。また前記内層を形成するスリーブと超硬合金製の外
層との接合境界部に0.01〜5mm厚さの傾斜合金層
を形成するのが望ましい。
ロールを構成する複合スリーブの一例を示す横断面図で
ある。図2は、図1の複合スリーブを軸材に焼嵌めた複
合ロールを示す回転軸方向の断面図である。図3は、図
2のA−A断面図である。本発明の複合スリーブ1は外
層11及び内層12からなる。中空の内層12の内面に
は係止用キー5を嵌めるための長手方向の溝4が設けら
れている。本発明の超硬合金製複合ロールは複合スリー
ブ1と軸材3とからなり、両者は焼嵌めにより強固に嵌
合固定されている。焼嵌めの際、軸材3の外周面に設け
られた長手方向の溝内に挿入されたキー5は内層12の
内周面に設けられた長手方向の溝4に係合し、焼嵌め後
に複合スリーブ1が軸材3に対して回転するのを防止す
る。この例では、複合スリーブを軸材にキーを用いて焼
嵌め固定しているが、キーを用いないで焼嵌め固定して
も構わない。
IVa〜VIa族の元素の炭化物、窒化物及び炭窒化物
の硬質粒子の少なくとも1種または2種以上を60〜9
0重量%と、残部実質的にFe、Ni、Co、Cr、M
o及びWの少なくとも1種または2種以上の金属粉末と
の混合粉末を焼結してなる。所望に応じてこの混合粉末
にCr3Si、CrSi、CrSi2等のCr−Si化合
物粉末を含有させることにより靭性及び耐酸化性を向上
できる。
鋼、黒鉛鋳鋼、炭素鋼、合金炭素鋼などの溶製の鋼系材
からなるスリーブである。内層12に靭性のある鋼系材
を用いることにより、外層11を形成する超硬合金の脆
性を補うことができる。内層12の好ましい組成は、重
量%でC:0.1〜2.0、Si:0.2〜1.2、N
i:0.1〜5.0、Cr:0.1〜2.0、Mo:
0.1〜3.0、残部実質的にFeである。Cが2.0
%を超えると炭化物量又は黒鉛量が過剰になるので、内
層として必要な引張強度、靭性などが確保できない。ま
た、Cが0.1%未満のときは軟弱すぎるので必要な強
度が確保できない。このような鋼系材としてSCM鋼、
SNCM鋼、SNC鋼等が挙げられる。
の外周に真空焼結法等の焼結法により拡散接合させるこ
とにより形成される。本発明の複合ロールは、上記複合
スリーブ1を軸材3に焼嵌め等で嵌合固定してなる。軸
材3は鋳鋼、鍛鋼、鋳鉄等の金属製軸材からなり特に限
定されない。
12の鋼系材の熱膨張率の約1/2〜1/3であるた
め、焼結の降温過程で両材層間に熱応力が発生し、この
熱応力が各材層の強度を上回ると破壊に至る。複合スリ
ーブ1の破壊を防止するために、内層12として、20
0〜600℃でベーナイト変態、もしくは200〜85
0℃でパーライト+ベーナイト変態を起こす鋼系材が好
ましい。このような内層材を用いることにより、内外層
間の収縮差が小さくなり、複合スリーブ1の破壊が起こ
らなくなる。
より超硬合金の外層表面に100MPa以上の円周方向
の圧縮残留応力を付与させる。好ましくは200MPa
以上の圧縮残留応力を付与させるのがよい。超硬合金の
外層表面に100MPa以上の円周方向の圧縮残留応力
を付与させると、嵌合後に作用する引張応力に対して
も、異常圧延等により表面に引張応力が作用して亀裂が
発生するような事態に遭遇しても、この圧縮残留応力に
より打ち消されるので、割れや亀裂の進展が阻止され
る。圧縮残留応力が100MPa未満のときは、この効
果が十分に得られない。
周期律表のIVa〜VIa族の元素の炭化物、窒化物及
び炭窒化物の硬質粒子の少なくとも1種または2種以上
の粉末を用いる。なかでも、炭化物であるWC、Ti
C、TaC、NbC、VC等の硬質粒子を用いるのが好
ましく、特にWCが好ましい。これらの硬質粒子は、複
合スリーブ1の外層11の基質となるもので、多いほど
耐摩耗性に寄与する。硬質粒子の配合量が60重量%未
満では耐摩耗性が不十分となり、耐肌荒れ性が不足す
る。また、90重量%を超えると破壊靭性が低下する。
従って、硬質粒子の配合量は60〜90重量%とする。
mとするのが好ましい。硬質粒子の平均粒径が1μm未
満であると、外層11の破壊靭性が著しく低下する。ま
た、10μmを超えると抗折強度が低下する。外層11
に高靭性、高強度及び優れた耐摩耗性を付与するため、
硬質粒子の平均粒径は3〜7μmとするのがより好まし
い。また、硬質粒子を十分に均粒化することにより、外
層の耐肌荒れ性及び靭性を向上させることができる。
Fe、Ni、Co、Cr、Mo、Wなどの金属は、固溶
体の結合相を形成し、複合スリーブ1の外層11を強化
する。これらの金属粉末はそれぞれ単独で添加してもよ
いが、複合添加するのが好ましい。金属粉末が10重量
%未満では結合相が不十分である。また、40重量%を
超えると、外層11は極端に硬度が低下するとともに、
耐摩耗性が劣化する。従って、結合相を形成する金属粉
末の配合量は10〜40重量%とする。より好ましい金
属粉末の配合量は15〜25重量%である。
末を添加することができる。Cr−Si化合物として
は、Cr3Si、CrSi、CrSi2等が好ましい。C
r−Si化合物粉末は外層11の破壊靭性及び耐酸化性
を向上させる作用を有する。焼結過程で結合相に固溶し
たCr−Si化合物は冷却過程で硬質相と結合相との界
面に析出するので、二相間の界面エネルギーは上昇し、
圧延負荷により発生するクラックの進展を抑制するとと
もに機械的強度を向上させる。さらに、密着性のあるC
r2O3粒子とSiO2粒子を形成して多硬質酸化層の成
長を抑制する。このような作用により、Cr−Si化合
物を含有する外層11は靭性及び耐酸化性を向上でき
る。
量%未満では上記効果が十分に得られず、また3.0重
量%を超えるとM6C相(W3Co3C)が析出して靭性
が低下する。より好ましいCr−Si化合物粉末の配合
量は0.5〜1.0重量%である。
ルミル等を用いて混合し、乾燥した後分級して、混合粉
末を作製する。次いで、溶製の鋼系材からなる内層の外
周に混合粉末を充填配備し真空焼結等により焼結する。
焼結温度は混合粉末の液相出現温度+100℃から液相
出現温度−100℃の温度範囲であるのが好ましい。混
合粉末の液相出現温度は組成により多少異なるが、12
50〜1350℃である。焼結時間は1〜5時間とする
のが好ましい。
るスリーブの外周面に、外層の超硬合金よりは熱膨張係
数が内層に近づくように、硬質粒子及び結合相の組成を
変えた超硬合金の混合粉末を、ペースト状に塗布する等
して、0.01〜5mm厚さで傾斜合金層を成形するの
が好ましい。
μmのCo粉末、1μmのNi粉末、1μmのCr粉
末、1μmのCrSi2粉末を表1に示す割合(重量
%)で配合し、ボールミルで20時間、混合した後、乾
燥した。次いで、表1に示す焼結温度で2時間焼結を行
い、超硬合金製の試験片を製作した。
試験、酸化試験、抗折試験、硬度試験、破壊靭性試験
(K1C)を行った。これらの試験結果を表2に示す。
鏡面研磨した試験片の表面に、ビッカース圧子により荷
重1.47kNで圧痕を5箇所打ち、圧痕端から延びた
クラック長さ(mm)を測定し、荷重(kN)/クラッ
ク長さ(mm)の値をクラック抵抗(MN/m)とし
た。
800℃で1時間、酸化処理を行い、酸化減量(mg/
cm2・h)を測定した。ここで酸化減量とは、加熱保持
により形成された酸化物層を除去し、試験片の重量減少
値を求め、これを単位面積で割った値である。酸化減量
値が小さいほど耐酸化性がよいことを示す。
mの4点曲げ試験を行った。
Nで圧痕を3箇所打ち、圧痕長さを測定した。
抗、耐酸化性、抗折力、破壊靭性値(K1C)のいずれも
良好であった。また、超硬合金中のWC粒子をSEMで
観察した結果、実施例の試験片ではWC粒子は鋭い角を
持たなかったが、比較例の試験片ではWC粒子は鋭い角
を有するように成長していた。
0mm、内径200mmの内層の外周に、平均粒径5μ
mのWC粉末85重量%、1μmのCo粉末9重量%、
1μmのNi粉末5.5重量%、1μmのCrSi2粉
末0.5重量%からなる混合粉末を充填配備した。次
に、温度1320℃、1時間の条件で焼結し、外径33
0mm、長さ500mmの複合スリーブを得た。この複
合スリーブを外径200mm、長さ1500mmの鋼製
軸材に焼嵌めて、本発明の超硬合金製複合ロールを得
た。
の外層表面に歪ゲージを貼付け後、その部分を40mm×
40mm×40mmのブロックに切断して、開放法により外
層表面に作用している円周方向の圧縮残留応力を測定し
た。結果、200MPa以上の圧縮残留応力を示し、十
分な耐亀裂性を有していることを確認できた。
超音波法により検査したところ、外層は内層に強固に拡
散接合されており、接合不良及びクラックは全く認めら
れなかった。本発明の超硬合金製複合ロールは、熱間薄
板圧延機用ロール、熱間条鋼圧延機用ロール等に用いる
のに適し、これらの圧延に使用したところ、優れた耐摩
耗性、耐肌荒れ性、耐亀裂性、耐割損性を有することが
分かった。
が内層に焼結と同時に拡散接合されているので、外層表
面に適正な圧縮残留応力を付与でき、耐亀裂性、耐割損
性に優れている。このため高温かつ高荷重下で使用され
る熱間圧延用ロールに用いる場合に優れた性能を発揮す
ることができる。
ある。
軸材
Claims (7)
- 【請求項1】 溶製の鋼系材からなる内層を形成するス
リーブの外周に、周期律表のIVa〜VIa族の元素の
炭化物、窒化物及び炭窒化物の硬質粒子の少なくとも1
種または2種以上を60〜90重量%と、残部実質的に
Fe、Ni、Co、Cr、Mo及びWの少なくとも1種
または2種以上の金属粉末とからなる混合粉末を焼結す
ると同時に拡散接合させた超硬合金製の外層を有し、前
記外層表面に100MPa以上の円周方向の圧縮残留応
力を付与した複合スリーブを、軸材に嵌合固定したこと
を特徴とする超硬合金製複合ロール。 - 【請求項2】 前記硬質粒子がWC、TiC、TaC、
NbC及びVCからなる群から選ばれた少なくとも1種
または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載
の超硬合金製複合ロール。 - 【請求項3】 前記金属粉末がさらにCr3Si、Cr
Si及びCrSi2の少なくとも1種または2種以上か
らなるCr−Si化合物を0.1〜3.0重量%含有す
ることを特徴とする請求項1又は2に記載の超硬合金製
複合ロール。 - 【請求項4】 前記内層を形成するスリーブが200〜
600℃でベーナイト変態、もしくは200〜850℃
でパーライト及びベーナイト変態を起こす鋳鋼、鍛鋼、
黒鉛鋳鋼、炭素鋼及び合金炭素鋼のいずれかからなるこ
とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超硬合
金製複合ロール。 - 【請求項5】 前記内層を形成するスリーブと前記外層
との接合境界部に0.01〜5mm厚さの傾斜合金層を
形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
載の超硬合金製複合ロール。 - 【請求項6】 熱間薄板圧延機用ロールに用いられるこ
とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超硬合
金製複合ロール。 - 【請求項7】 条鋼及び平鋼等の熱間圧延機用ロールに
用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
記載の超硬合金製複合ロール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP15865896A JP3690617B2 (ja) | 1996-06-19 | 1996-06-19 | 超硬合金製複合ロール |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH105823A true JPH105823A (ja) | 1998-01-13 |
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Family
ID=15676530
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP15865896A Expired - Lifetime JP3690617B2 (ja) | 1996-06-19 | 1996-06-19 | 超硬合金製複合ロール |
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- 1996-06-19 JP JP15865896A patent/JP3690617B2/ja not_active Expired - Lifetime
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