JPH1058120A - 自動注湯方法及び鋳造システム - Google Patents

自動注湯方法及び鋳造システム

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JPH1058120A
JPH1058120A JP4237797A JP4237797A JPH1058120A JP H1058120 A JPH1058120 A JP H1058120A JP 4237797 A JP4237797 A JP 4237797A JP 4237797 A JP4237797 A JP 4237797A JP H1058120 A JPH1058120 A JP H1058120A
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信良 松岡
Hirotaka Arase
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  • Casting Support Devices, Ladles, And Melt Control Thereby (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 取鍋内の溶湯の揺れ等により安定した注湯速
度を得難い場合でも、短時間で精密な注湯動作を行う。 【解決手段】 任意の注湯速度で注湯中に取鍋反転動作
を行い、その反転動作の間に注湯された量から予め湯切
り注湯予測量を求めておく。注湯中の注湯速度を算出
し、その注湯速度で反転動作を開始した場合の湯切り注
湯予測量と、目標注湯量と現時点の注湯量の差である注
湯残量を逐次比較して、注湯残量が湯切り注湯予測量よ
り小さくなる時点で取鍋の反転を行い注湯を終了する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は取鍋を傾動して溶湯
を自動的に注湯する自動注湯方法及びこれを用いる鋳造
システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平4−46665に、取鍋の傾動角
と出湯量とがリニアな関係にない一般の異形の取鍋を使
用しても自動的な自動注湯が行えるとした自動注湯機が
開示されている。この自動注湯機は、取鍋を傾動させる
駆動手段と、取鍋及びその内部の溶湯を含む取鍋部の総
重量を検出する重量検出手段と、検出手段からの出力に
基づいて注湯速度及び注湯量を予め設定した所定値とす
べく駆動手段をにより取鍋の傾動角度を制御する制御手
段を備えている。その注湯制御は、取鍋を一定の速度で
傾動し、光電管により溶湯の流れを検出して制御の開始
とし、ファジィーコントローラにより予め設定された注
湯速度を維持すべく、または予め設定された注湯量を維
持すべく取鍋の傾動を制御するとしている。即ち、例え
ば注湯速度制御に関しては、注湯速度を鋳型側の所用鋳
込み速度に常時維持するため、常に重量検出手段からの
出力に基づいて注湯速度偏差を0にすべく取鍋を傾動動
作させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、鋳物には軽量化
に伴う薄肉鋳物の製造を目的に、できるだけ短時間で、
しかも目標注湯重量に対して高精度な注湯が要求されて
いる。ところが、生産性の面から造形ラインは高速化の
方向にあるため、取鍋内で溶湯が揺れている状態で注湯
を開始させる場合が多く、短時間で高精度な注湯を実現
するための阻害要因となっている。これに対して、前記
従来例では、フィードバックに伴う取鍋の傾動動作時の
反動が重量検出系に現れるため、この間正確な重量検
出、言い換えれば注湯速度が検出できなくなり、短時間
で目標とする注湯速度に収束させることは困難となる。
さらに、光電管が単に溶湯流出を検出した時を制御開始
としているため、溶湯の揺れによる溶湯流出状態のばら
つきが起こり、これに対してそのままフィードバックを
かければ取鍋の傾動制御は実質上不可能となる。即ち、
注湯速度を維持することが難しいというだけでなく、所
定の注湯量を得ることも難しい本発明は、薄肉鋳物など
の製造のように短時間で注湯することが必要な場合、ま
た取鍋内の溶湯の揺れ等により安定した溶湯の流出状態
が得難い場合でも、高精度な注湯が可能な自動注湯方法
及びこれを用いた鋳造ラインを提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の自動注湯方法
は、取鍋を傾動して溶湯を流出させて注湯を開始した
後、取鍋を停止保持し、注湯残量と注湯速度を計測算出
し、予め設定した予測流出量関数をもとに逐次該注湯速
度における予測出湯量を計算して注湯残量と比較し、注
湯残量が予測出湯量と等しいか又は小さくなった時点で
取鍋を反転することを特徴としている。また、注湯残量
が予測出湯量と等しいか又は小さくなった時点で、この
時の注湯速度の大小に影響されずに注湯量精度を維持す
べく予め設定した注湯速度の値と反転動作パターンに従
って、取鍋の反転動作を選択して行うことができる。本
発明は特に肉厚が3mm以下の部分を有する薄肉鋳物の
製造に適するものである。
【0005】さらに本発明の自動注湯方法は、取鍋の傾
動により内部の溶湯を注湯する自動注湯方法において、
溶湯が流出し始める取鍋位置であり実質上の注湯制御の
開始基準である注湯開始点を、前回またはそれ以前に設
定した注湯開始点以上に取鍋が傾動した状態の下で設定
することを特徴としている。また、注湯開始点は、セン
サが流出溶湯を検出しており、かつ取鍋が前回またはそ
れ以前に注湯開始点として設定した傾動角度以上にある
ときに設定することができる。さらに本発明の自動注湯
方法は、上記で説明した手段に加え、中間樋の溶湯流出
部が鋳型の湯口部を包含するようにその底面を鋳型の表
面に密接し、取鍋からの溶湯を中間樋を介して鋳型に注
湯することができる。
【0006】本発明の鋳造システムは、取鍋の溶湯を傾
動制御して注湯する自動注湯装置と鋳型からなる鋳造シ
ステムであって、自動注湯装置は、取鍋と、取鍋を傾動
する手段と、取鍋部の重量計測手段と、取鍋から流出す
る溶湯を検出する受光素子と、重量計測手段と受光素子
の情報とをもとに取鍋傾動を制御をする注湯制御装置と
を有し、鋳型は少なくとも一部が3mm以下の肉厚であ
る鋳物を製造するものであることを特徴としている。ま
た、中間樋の溶湯流出部が鋳型の湯口部を包含するよう
にその底面を鋳型の表面に包含するように密接するよう
に移動制御可能である中間樋を配置することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)以下、図面に基づいて説明する。図1
は本発明の自動注湯制御方法を説明するための鋳造シス
テムの一例を示す概略図である。本鋳造システムは、自
動注湯装置と少なくとも一部が3mm以下の肉厚である
薄肉鋳物を製造するために最適な鋳型とからなる。自動
注湯装置は、取鍋と、取鍋を傾動する手段と、取鍋部の
重量計測手段と、取鍋から流出する溶湯を検出する受光
素子と、重量計測手段と受光素子の情報とをもとに取鍋
傾動を制御をする注湯制御装置とを主構成要素としてい
る。以下その詳細を説明する。取鍋1は、回転軸2を中
心として回転自在な傾動フレーム3に、その出湯口が回
転軸2の近傍に配設されるように取り付けられる。傾動
フレーム3は、その下端4に一端を固定しR部5に沿っ
て這わせたチェン6を、回転ドラム7により巻き取りま
たは巻き出しを行うことにより傾動制御される。回転ド
ラム7はサーボアクチュエータ、例えばサーボモータ2
0で駆動し、サーボモータ20は、注湯制御装置13か
らの制御指令に従いモータ制御装置14により回転制御
される。傾動フレーム3を支持する固定フレーム9と基
台10の間には重量計測手段であるロードセル8を配
し、ロードセル8は後述するように注湯制御装置13に
電気的に接続される。ロードセル8により計測された取
鍋1内の溶湯を含む固定フレーム9上の総重量は、注湯
制御装置13による注湯量及び注湯量の単位時間当たり
の変化である注湯速度の演算に用いられる。取鍋1の出
湯口近傍には受光素子15を設置し、取鍋1から流出す
る溶湯16が発生する放射光を検出して、注湯の開始の
監視を行う。基台10は固定構造でもよいし、取鍋1の
出湯口を鋳型11に設けた湯口18に位置合わせするた
めに、走行車輪21により鋳型11の送り方向に位置制
御可能構造としてもよい。
【0008】図2は注湯制御装置13の構成を示した制
御回路図である。ロードセル8の出力値はフィルタ付き
アンプにより増幅され重量信号としてA/D変換器を介
して、また受光素子15の出力は溶湯検知信号としてI
/Oインターフェースを介して、さらに、サーボモータ
20の位置信号はカウンタを介して取鍋1の傾動角度と
してそれぞれ注湯制御装置13のCPUに取り込まれ
る。また、これらの入力信号に基づき注湯制御装置13
のCPUにより後述する方法で処理された結果は、D/
A変換器を介してモータ制御装置14に出力され、サー
ボモータ20により駆動される取鍋1の動作を制御す
る。なお、注湯制御装置13はパソコン等を使用して構
成するとよい。
【0009】次に、上記構成による注湯装置の動作につ
いて説明する。まず、造型ラインからの鋳型送り出し完
了信号に基づき、取鍋1は後述する注湯制御動作に移
り、傾動を開始し鋳型11の湯口18に溶湯16を注湯
する。この時取鍋1の傾動角速度は、鋳型11の鋳造方
案で規定される湯呑み速度の変化に合わせるように制御
することが望ましいが、課題の項で述べたように、重量
フィードバックで制御することは難しい。このため後述
するように鋳型11に合わせた適切な傾動角度と角速度
のパターンを設定し、これに従って取鍋1を傾動させる
ことにする。なお、基台10が走行車輪21により鋳型
11の送り方向に位置制御可能構造である場合、湯口位
置検出手段(図示せず)からの未注湯鋳型の湯口位置情
報をもとに、取鍋1の出湯口が鋳型11の湯口18と所
定の位置関係になるように移動制御することができ好適
である。
【0010】具体的な注湯制御方法を図3、4を用いて
説明する。図3は縦軸に取鍋の傾動角度、横軸に時間を
とり注湯時の取鍋の動作を示す。まず、注湯制御装置1
3は、取鍋1を待機点Aより第1の傾動角速度V0で傾
動させる。取鍋1から流出した溶湯16が、受光素子1
5により検出された角度を注湯開始点(点B)として記
憶する。この点Bが実質上注湯制御の開始基準であり、
点Bから予め決めた傾動角度Θ1傾動させた点Cまで、
さらに第2の傾動角速度V1で取鍋1を傾動させる。こ
こで、第1の傾動角速度V0、第2の傾動角速度V1及
び傾動角度Θ1は前述したように対象の鋳型11に合わ
せて予め設定した適切な値を用いる。
【0011】次に、注湯制御装置13は、取鍋1が点C
に到達したら傾動を停止し、停止時の反動によるロード
セル8の出力値への影響が無視できるような時間後、例
えば2秒経過後から、所定のサンプリング周期Ts毎
に、以下に示す方法で注湯量Wp(n)、注湯残量Wr
(n)、注湯速度V(n)の算出を行う。 Wp(n)=Wa−W(n)・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) Wa :点A時点でのロードセルによる測定重量 W(n):サンプリング時刻nにおけるロードセルによ
る測定重量 Wr(n)=We−Wp(n)・・・・・・・・・・・・・・・・・(2) We :目標注湯量 Vp(n)=(W(n)−W(n−1))/Ts・・・・・・・・・(3)
【0012】注湯制御装置13は、サンプリング時刻毎
に上記式(1)、(2)及び(3)を計算するととも
に、注湯残量Wr(n)と第1予測流出量Wf1を比較
する。第1予測流出量Wf1は、取鍋を溶湯が流出しな
くなるまで反転(湯切り反転と称す)させた時の溶湯の
流出量をいい、後述するようにして設定した第1予測流
出量関数に、算出した注湯速度V(n)を代入すること
によって求める。第1予測流出量関数は、任意の取鍋の
傾動角度から任意の傾動速度で傾動を行い、注湯開始後
予め設定した各種傾動角度Θ1(Θ1a、Θ1b、・・
・Θ1n)だけ取鍋を傾けて停止後保持し、注湯開始か
ら予め決められた所定時間N経過後所定の傾動速度V3
で湯切り反転を行うような実験を行い、その時の溶湯の
流出量と、湯切り反転直前の注湯速度Vp(N)との関
係を近似式で表したものである。図4に注湯速度Vp
(N)と第1予測流出量Wf1(Vp(n))の実験結
果の例を示す。
【0013】図5において、実線は上述した実験式をも
とに注湯速度Vpと第1予測流出量Wf1との関係の例
を示したものであり、破線は実際に注湯中に算出した注
湯速度Vpとその時の注湯残量Wrの例を表したもので
ある。交点Dは取鍋反転中の流出量と注湯残量が一致し
た点であり、このとき湯切り反転を行えば目標注湯量が
得られることになる。Wr(n)≦Wf1(Vp
(n))となった時、即ち図5における実線と破線が交
わった後に取鍋を湯切り反転させる。図3においては、
取鍋が点D1(D2)から点G1へと傾動することにな
る。点G1は点Bに対し所定の角度Θ3分反転側にある
予め決めた点である。
【0014】最後に、注湯制御装置13は点Bに対して
予め決めた点H1まで所定角度取鍋1を傾動し、注湯の
1サイクルを終了させる。以降、上記動作を繰り返し、
順次未注湯鋳型へ注湯し、取鍋1の重量が設定した所定
量以下になった場合、または、取鍋1の傾動角度が予め
決めた制限角度を越えた場合に、該取鍋による注湯を終
了する。
【0015】ところで、注湯速度を短時間で大きくする
ような、例えば鋳造方案的に高速注湯が可能な鋳型に対
して注湯を行う場合、第1予測流出量の値も短時間で大
きくなる。即ち、湯切り反転を開始する時の注湯残量の
目標注湯量に対する割合が大きくなるため、実際の湯切
り中の流出量と第1予測流出量の誤差が大きくなり、注
湯精度を悪化させる場合が生じることがある。この場合
には、取鍋を一気に湯切り反転せず、反転動作を段階的
に行うことによって対応することができる。例えば、交
点Dにおける注湯速度Vpの値によって、しきい値の最
小値Vpminと最大値Vpmaxを設定し、これに応じて反
転動作を選択する方法がある。以下その方法について説
明する。
【0016】1)注湯速度Vpが閾値Vpmin以上でか
つVpmax以下のとき。 注湯速度Vpを減じるため1段反転し、その後湯切り反
転する。図3におけるD3−E−F−Gの経路で取鍋を
反転させる。点D3から点Eまでの反転動作を1段反転
と呼び、所定の傾動速度V2で反転角度Θ2だけ反転さ
せる。反転角度Θ2は1段目の反転開始点Dでの注湯速
度Vpから予め実験的に求めた関係式から求める。その
関係を図6に示すが比例関係にある。即ち、注湯速度V
pが大きい時は反転角度Θ2も大きく、図3中で点D3
から点E2への動作となる。反対にVpが小さい時はΘ
2も小さく、図3中で点D3から点E1への動作とな
る。
【0017】1段目の反転後図3中の点Eに達した時点
から、前述したと同様に所定のサンプリング周期Ts毎
に注湯制御装置13は注湯量、注湯残量、注湯速度の算
出を行う。サンプリング時刻m毎に、その時算出した注
湯残量Wr(m)と第2予測流出量Wf2を比較する。
第2予測流出量Wf2は、後述するようにして設定した
第2予測流出量関数に、算出した注湯速度Vp(m)を
代入することによって求めることができる。第2予測流
出量関数は、前述した第1予測流出量関数の求め方と同
様、任意の取鍋の傾動角度から任意の傾動速度で傾動を
行い、注湯開始後予め設定した各種傾動角度Θ1(Θ1
a、Θ1b、・・・Θ1n)だけ取鍋を傾けて保持し、
注湯開始から所定時間N経過時点で1段目の反転を種々
の角度Θ2について行った後、1段目の反転後から所定
時間N1経過した後の注湯速度Vp(N1)の時に湯切
り反転を行う実験を行い、湯切り反転中の溶湯の流出量
と、湯切り反転直前の注湯速度Vp(N1)との関係を
近似式で表したものである。Wr(m)≦Wf2(Vp
(m))となった時、取鍋は湯切り反転を行う。即ち図
3における点Fから点Gまで、所定の傾動速度V3で点
Bに対し所定の角度Θ3まで反転する。
【0018】2)注湯速度Vpが閾値Vpminよりも小
さいとき。 そのまま湯切り反転を行う。図5に交点D1で示すが、
この時も図3におけるD1に相当し、点Bに対して予め
決めた点G1まで所定の湯切り速度V3で取鍋を反転さ
せる。前述した1段反転を行うと更に注湯速度が落ち、
注湯時間が所定の時間以上延びることを防ぐ為である。 3)注湯速度Vpが閾値Vpmaxより大きいとき。 そのまま湯切り反転を行う。図5に交点D2で示すが、
これは上記と同じく図3におけるD1に相当し、点Bに
対して予め決めた点G1まで所定の湯切り速度V3で取
鍋を反転させる。前述した1段反転を行うと注湯速度が
十分に低下せず注湯量過多になりやすい為である。な
お、注湯速度が増加中である場合は、前記速度V3より
速い予め設定した速度で湯切り反転を行ってもよい。
【0019】最後に、注湯制御装置13は点Bに対して
予め決めた点Hまで所定角度取鍋1を傾動し、出湯の1
サイクルを終了させる。なお、前記説明では反転動作を
2回に分けて行う場合で説明したが、当然ながら3回以
上に分けて行うこともでき、この時の考え方は前述した
ものと同様である。
【0020】(実施の形態2)ところで、取鍋が前記第
1の傾動角速度V0で傾動中に、取鍋内の溶湯が揺れて
いると溶湯は揺れに合わせて飛び出すことがあり、取鍋
の傾動角が前回注湯時の注湯開始点に達する前でもこれ
を受光素子15が検出して注湯開始点と判断した場合、
前回より傾動角が小さく取鍋からの注湯量が少ない所で
前述した注湯制御に入ることになり、全体的に注湯速度
が遅くなり、目標注湯量を注湯し終わるまでの時間も延
びてしまうことがある。これを防止するためには次のよ
うな方法をとると有効である。該取鍋1を用いた初回の
注湯時は、取鍋1から流出した溶湯16が、受光素子1
5により検出された角度を注湯開始点(点B)として記
憶するとともに、点Bから予め決めた傾動角度Θ1傾動
させた点Cまで、さらに第2の傾動角速度V1で取鍋1
を傾動させ、前述した注湯制御を行う。
【0021】2回目以降の注湯では、注湯制御装置13
は、前回記憶した注湯開始点の角度に予め決めた角度デ
ータを加えた角度以上に傾動角度が達し、かつ受光素子
15が溶湯16の流出を検出した角度を新たな注湯開始
点(点B)として記憶し、この新たな点Bから予め決め
た傾動角度Θ1傾動させた新たな点Cまで、さらに第2
の傾動角速度V1で取鍋1を傾動させる。その後の注湯
制御は前述したと同様である。これにより2回目以降の
注湯開始点の取鍋傾動角度は、必ずその前の注湯開始点
の取鍋傾動角度より大きくなるようになる。なお、初回
時においても予め決めた傾動角度以上で受光素子15の
検知情報を有効とするようにしてもよい。
【0022】(実施の形態3)前述した実施の形態1及
び2では、取鍋1から直接鋳型11の湯口18に注湯す
る例で説明した。実施の形態3では図7に示すように、
鋳型11の上方に上部が開放され底部にはノズル17を
有する箱状の中間樋12を配設した鋳造システムを例に
説明する。中間樋12は、鋳型11の送り方向及びノズ
ル17と鋳型11の上面にある湯口18を密接させるた
め上下方向に位置決め可能とする。鋳型11は、少なく
とも一部が3mm以内の肉厚である薄肉鋳物を製造する
ためのものとする。
【0023】次に、上記構成による鋳造システムの動作
について説明する。まず、造型ラインからの鋳型送り出
し完了信号に基づき、中間樋12は湯口位置検出手段
(図示せず)からの未注湯鋳型の湯口位置情報をもと
に、鋳型進行方向に移動制御され、ノズル17が湯口1
8とその中心位置がほぼ一致する位置で停止し、次に、
ノズル17の下面が鋳型11上面の湯溜まり19に密接
するように下降停止する。なお、基台10が走行車輪2
1により鋳型11の送り方向に位置制御可能構造である
場合、取鍋1の出湯口が中間樋12の上部開口部範囲内
で所定の位置関係になるように中間樋12を基台10に
取り付ければ、中間樋12の鋳型進行方向の移動制御は
不要となり好適である。
【0024】次に、中間樋12及び基台10の停止を確
認すると、取鍋1は前述したと同様の注湯制御動作に移
り、傾動を開始して溶湯を流出し、中間樋12を介し鋳
型11の湯口18に溶湯16を注湯する。なおここで、
取鍋1からの溶湯の流出は前記と同様注湯と呼ぶが、中
間樋12からの溶湯の注出は出湯と称することにする。
本実施の形態においては、取鍋1の注湯速度は、鋳型1
1の鋳造方案で規定される湯呑み速度以上とすることが
でき、傾動角速度設定は容易である。この時溶湯16
は、鋳造方案に応じて変化する湯呑み速度に追従して鋳
型11内に充填されて行き、余剰な溶湯は中間樋12内
にたまって出湯される溶湯のヘッド圧力として作用す
る。即ち出湯時間の最短化が可能であり、取鍋1から溶
湯16を短時間で注湯すればするほど効果的であり、薄
肉鋳物製造においては特に有効である。
【0025】上記の取鍋1の傾動制御は実施の形態1又
は2で述べたどちらの方法をとってもよく、取鍋1から
所定量の溶湯を中間樋12へ注湯し、予め設定した待機
時間経過後に、中間樋12を所定量上昇させ1鋳型分の
出湯動作を完了させる。以降、上記動作を繰り返し、順
次未注湯鋳型へ出湯し、取鍋1の重量が設定した所定量
以下になった場合、または、取鍋1の傾動角度が予め決
めた制限角度を越えた場合に、該取鍋による注湯を終了
する。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は次のよう
な効果を有する。 1)予め設定したパターンで取鍋を傾動して停止し、取
鍋停止時の反動に伴う振動が制定した状態で注湯重量・
注湯残量・注湯速度を計測して、この計測値と予め求め
た予測流出量関数から算出した予測流出量をもとに取鍋
反転を行うので、通常のフィードバック制御では対応で
きないような短時間でも高精度な注湯量制御が可能であ
る。 2)前記で示すように短時間で注湯ができるので、少な
くとも一部が3mm以下からなる極めて薄い肉厚を有す
るような薄肉鋳物を良好に鋳造することが可能である。 3)注湯制御開始基準である注湯開始点を、取鍋が前回
またはそれ以前の注湯時の注湯開始点の角度以上傾いた
状態で設定する場合、取鍋内の溶湯の揺れで溶湯が早め
に飛び出しても注湯制御開始と判断しないため、傾動角
度が小さいところで注湯動作をすることによる注湯速度
の低下及び注湯時間の遅延を防止することができる。 4)溶湯を取鍋から中間樋を介して鋳型に注湯する場
合、取鍋の溶湯供給は鋳型の鋳造方案で規定される湯呑
み速度に制約されることなく短時間で一気に行うことが
でき、取鍋傾動制御が簡単である。 5)注湯速度を鋳型の鋳造方案で制約される湯呑み速度
以上となるようにすれば、中間樋底部の溶湯流出口と鋳
型の湯口を密接連通することにより中間樋が湯だまりと
して機能するとともに、注湯中の中間樋内の余剰な溶湯
は出湯される溶湯のヘッド圧力として作用し、溶湯は鋳
造方案に応じた湯呑み速度の変化に追従して鋳型内に充
填されて行くため、出湯時間の短縮化に有効となり、薄
肉鋳物の鋳造には特に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した自動注湯装置の概略図
【図2】注湯制御装置の構成を示した制御回路図
【図3】本発明の注湯制御方法を説明する取鍋の動作図
【図4】出湯速度と第1予測流出量との関係を示す実験
結果の例
【図5】出湯速度と第1予測流出量及び注湯残量の関係
を示す図
【図6】出湯速度と1段目の反転角度との関係を示す図
【図7】出湯速度と1段目の反転角度との関係を示す図
【符号の説明】
1 取鍋 3 傾動フレーム 8 ロードセル 10 基台 11 鋳型 12 中間樋 13 注湯制御装置 14 モータ制御装置 15 受光素子 16 溶湯 17 ノズル 18 湯口 20 サーボモータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒瀬 浩孝 埼玉県熊谷市三ケ尻6010番地 日立金属株 式会社生産システム研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取鍋の傾動により内部の溶湯を注湯する
    自動注湯方法において、取鍋を傾動して溶湯を流出させ
    て注湯を開始した後、取鍋を停止保持し、注湯残量と注
    湯速度を計測算出し、予め設定した予測流出量関数をも
    とに逐次該注湯速度における予測出湯量を計算して注湯
    残量と比較し、注湯残量が予測出湯量と等しいか又は小
    さくなった時点で取鍋を反転することを特徴とする自動
    注湯方法。
  2. 【請求項2】 取鍋の傾動により内部の溶湯を注湯する
    自動注湯方法において、取鍋を傾動して溶湯を流出させ
    て注湯を開始した後、取鍋を停止保持し、注湯残量と注
    湯速度を計測算出し、予め設定した予測流出量関数をも
    とに逐次該注湯速度における予測出湯量を計算して注湯
    残量と比較し、注湯残量が予測出湯量と等しいか又は小
    さくなった時点で、この時の注湯速度の大小に影響され
    ずに注湯量精度を維持すべく予め設定した注湯速度の値
    と反転動作パターンに従って、取鍋の反転動作を選択し
    て行うことを特徴とする自動注湯方法。
  3. 【請求項3】 取鍋の傾動により内部の溶湯を注湯する
    自動注湯方法において、溶湯が流出し始める取鍋位置で
    あり実質上の注湯制御の開始基準である注湯開始点を、
    前回またはそれ以前に設定した注湯開始点以上に取鍋が
    傾動した状態の下で設定することを特徴とする自動注湯
    方法。
  4. 【請求項4】 取鍋の傾動により内部の溶湯を注湯する
    自動注湯方法において、溶湯が流出し始める取鍋位置で
    あり実質上の注湯制御の開始基準である注湯開始点を、
    センサが流出溶湯を検出しており、かつ取鍋が前回また
    はそれ以前に注湯開始点として設定した傾動角度以上に
    あるときに設定することを特徴とする自動注湯方法。
  5. 【請求項5】 取鍋の傾動により内部の溶湯を注湯する
    自動注湯方法において、取鍋を傾動して溶湯を流出さ
    せ、溶湯が流出し始める取鍋位置であり実質上の注湯制
    御の開始基準である注湯開始点を、前回またはそれ以前
    に設定した注湯開始点以上に取鍋が傾動した状態の下で
    設定し、取鍋を注湯開始点から所定角度傾動させた後停
    止保持し、注湯残量と注湯速度を計測算出し、予め設定
    した予測流出量関数をもとに逐次該注湯速度における予
    測出湯量を計算して注湯残量と比較し、注湯残量が予測
    出湯量と等しいか又は小さくなった時点で取鍋を反転す
    ることを特徴とする自動注湯方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のうちいずれか一つに記
    載された自動注湯方法において、中間樋の溶湯流出部が
    鋳型の湯口部を包含するようにその底面を鋳型の表面に
    密接し、取鍋からの溶湯を中間樋を介して鋳型に注湯す
    ることを特徴とする自動注湯方法。
  7. 【請求項7】 取鍋の溶湯を傾動制御して注湯する自動
    注湯装置と鋳型からなる鋳造システムであって、自動注
    湯装置は、取鍋と、取鍋を傾動する手段と、取鍋部の重
    量計測手段と、取鍋から流出する溶湯を検出する受光素
    子と、重量計測手段と受光素子の情報とをもとに取鍋傾
    動を制御をする注湯制御装置とを有し、鋳型は少なくと
    も一部が3mm以下の肉厚である鋳物を製造するもので
    あることを特徴とする鋳造システム。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の鋳造システムにおいて、
    中間樋の溶湯流出部が鋳型の湯口部を包含するようにそ
    の底面を鋳型の表面に包含するように密接するように移
    動制御可能である中間樋を配置した鋳造システム。
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