JPH10511281A - 分節式の人工関節部 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ボール及びソケット式の人工の関節装置（１０）が開示される。湾曲した剛性な複数の分節部分（２０）がポリマー緩衝体（１８、８０）内に植え込まれ、該ポリマー緩衝体から伸長し、連続的な半球状の軸受面と摺動可能に係合する不連続的な半球状の軸受面を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】 分節式の人工関節部 発明の背景 本出願は、1993年9月7日付けで出願された、「人工の身体関節（Prosthetic B ody Joint）」という名称の米国特許出願第08/117,388号の一部継続出願である 。 １．発明の分野 本発明は、全体として、人間又は動物に使用される関節動作する人工関節の分 野に関する。より具体的には、本発明は、股幹補綴具（ｈｉｐ ｓｔｅｍ ｐｒ ｏｓｔｈｅｓｉｓ）のようなボール及びソケット式の人工関節装置にて使用され るソケット部材に関する。 ２．背景技術 股関節（ｈｉｐ ｊｏｉｎｔ）のような関節を人工の股幹代替物で置換するこ とは、当該技術分野で公知である。自然の股関節を人工のボール及びソケット組 み合わせ体で置換するために植え込むことのできる多数の人工的なインプラント が利用可能である。髄管（ｍｅｄｕｌｌａｒｙ ｃａｎａｌ）と称される通路が 大腿骨の上端にリーマ加工、又は穿孔される。人工的なインプラントの幹、即ち 大腿骨構成要素を確実に着座した位置にて、髄管のリーマ加工部分内に挿入する 。ネック部材がこの幹から外方に伸長して離れ、球状のノブ又はボールにて終端 となり、ソケット部材（股の股臼（ａｃｅｔａｂｕｌｕｍ）内に固着されている ）内に挿入される。これらのボール及びソケット式部材は、３つの主要な対角軸 線の周りで互いに回転可能に接触する位置に保持されている。 このように、人工の関節インプラントは、全体として、摺動可能な接触状態に 保たれた２つの軸受要素を備える構造とされている。かかる人工の関節インプラ ントは、一般に、ステンレス鋼（例えば、316ＬＣ）、コバルト合金（例えば、 ＡＳＴＭ・Ｆ75）、及びチタニウム合金（例えば、チタニウム（Ti）90％、アル ミニウム（Al）６％、バナジウム（Ｖ）４％）、セラミック（例えば、酸化アル ミニウム（AL₂O₃）、酸化ジルコニウム（ZrO₂））のような生体適合性金属と、 超高分子量のポリエチレン（ｕｌｔｒａ−ｈｉｇｈ ｍｏｌｅｃｕｌａｒ ｗｅ ｉｇｈｔ ｐｏｌｙｅｔｈｙｌｅｎｅ，UHMWPE）、ポリエーテルエーテルケトン （ｐｏｌｙｅｔｈｅｒｅｔｈｅｒｋｅｔｏｎｅ，PEEK）及び医療等級ポリスルフ ォン（ｍｅｄｉｃａｌ ｇｒａｄｅ ｐｏｌｙｓｕｌｆｏｎｅ）のような生体適 合性ポリマーで出来ている。本発明は、その他の関節にも同様に適用可能である との認識の下に、一例として、股全体の代替用（ｔｏｔａｌ ｈｉｐ ｒｅｐｌ ａｃｅｍｅｎｔ，THR）補綴具に関して説明する。 １つのＴＨＲインプラントにおいて、金属製ボール、又はヘッドが股幹によっ て患者の大腿骨に固定され、ＵＨＭＷＰＥカップが患者の脊髄に固定される。こ の金属製ヘッドは、ＵＨＭＷＰＥカップ内で関節動作し、又はこのカップに乗り 上げる。一般に、摩擦及び摩耗を少なくするため、金属製ヘッドの軸受面は、研 磨されており、ＵＨＭＷＰＥカップの軸受面は、平滑とされている。更に、これ らの軸受面には、患者の体内にある間に、滑液流体で潤滑されていることが多い 。そういう状態であっても、研磨したボールがＵＨＭＷＰＥカップ内で関節動作 するとき、ＵＨＭＷＰＥにある程度の摩耗が生じる。この摩耗は、超顕微鏡的な 、すなわち超微視的なＵＨＭＷＰＥ粒子の形態の破片を発生させる。 関節のシュミレータを使用する科学的な研究の結果、ボール及びソケット式補 綴具内の摩耗過程に伴って、患者が一回動作する毎に、数千個のポリエチレン破 片が生じることが明らかとなった。シュミレートされた股関節の試験機械から得 た潤滑油を調べると、文字通り数十億個の超顕微鏡的なポリマーカップの粒子が 生じたことが確認された（人間の股にて１年間の摩耗サイクルをシュミレートし た場合）。こうした粒子は、摩耗の進行を速める傾向となる。 世界中の科学的な研究の結果、かかる多量の摩耗破片は、股全体の代替用補綴 具を付けた患者に骨溶解ないし骨崩壊（ｏｓｔｅｏｌｙｓｉｓ）と称する骨の病 気が生じる可能性があることを明らかになった。植え込んだ後、５年乃至７年後 の補綴物に高率（約21％）にて骨崩壊が発生することが認められた。骨崩壊は、 健康な骨を破壊するが、痛みを伴うことは稀れであり、患者が異常を自覚する前 に骨折してしまう場合がある。殆どの事例の場合、金属製ボールとポリマー製カ ップの表面との間の摩耗に起因する破片がこの異常の主たる原因であるとされる 。かかる損傷した骨部分を生物学的に分析した結果から、この異常は、今日に奇 形矯正上の最も重大な問題点の１つであることが明らかとなった。 ボール及びソケット式構成要素間の点接触、及びそれに伴う不均一な荷重の伝 達は、摩耗破片の発生に更に寄与する。軸受面間の接触面積の減少に伴い、その 軸受面間にて伝達される応力が増大する。この増大した応力は、摩耗破片の発生 量を増大させるのみならず、特に、極めて局部的に応力が集中するとき、その軸 受面の一方、又はその双方を破損させる可能性がある。 関節の補綴物内には、ボールとカップとの境界面以外に、摩耗破片の発生箇所 がある。多くのＴＨＲインプラントのソケット部分は、２つの部分から成るカッ プ系を含んでおり、ＵＨＭＷＰＥカップは、金属製殻体内に着座している。ＵＨ ＭＷＰＥカップと金属製殻体との間には、ポリエチレン破片が多量に発生するこ とが報告されている。このカップと殻体との間の嵌まり具合は、一般に緊密では あるが、完全ではない。通常の歩行動作のとき、カップと殻体との間には、かか る破片を発生させるのに十分な動作が生じる。この金属製殻体は、通常、多くの 場合、ねじにより患者の股臼骨に直接、締結されている。発生した破片は、徐々 に、ポリエチレンカップと金属製殻体との間のスペースの外に出る。次に、この 破片は、金属製殻体とそれを取り巻く股臼骨との間のねじ穴、又はその他の空隙 を通って移動する。 カップと殻体との間における動きを制限しようとする従来の試みは、金属製殻 体の周縁部に複数のギザギザ、又はスカラップを形成することを含む。次に、そ のカップを殻体内にスナップ嵌めして、金属のギザギザ、又はスカラップがポリ マー製カップの外縁部内に係止されるようにして、そのカップ及び殻体を共に、 係止する。この構成は、カップと殻体との間に最初のミクロ的な安定性を付与す るものの、協働する面間の僅かな寸法差のため、時間の経過と共に、カップが殻 体内を顕微鏡的な距離だけ動き始める。 発明の目的及び概要 このため、本発明の一つの目的は、対応する球状のボール構成要素との点接触 の発生を回避する補綴物のソケット部材を提供することである。 本発明のもう一つの目的は、対応する球状のボール構成要素との接触表面積を 増大させる補綴物のソケット部材を提供することである。 本発明の更に別の目的は、該ソケット部材を通じて軸受面から応力をより均一 に伝達する上記の補綴物のソケット部材を提供することである。 本発明の更に別の目的は、摩耗破片の発生を防止する補綴物のソケット部材を 提供することである。 上記の目的及び具体的には記載しないその他の目的は、有効寿命が長い人工的 な関節インプラントの一例としての具体的な実施の形態にて実現される。 本発明は、カップと殻体との接触面間の相対的な動作が制限され、摩耗破片の 発生を略防止し得るように、該殻体内に係合したポリマー製のカップ挿入体を備 える、ソケット部材に関するものである。当該出願人は、特定の実施の形態が特 に有利であることを確認している。かかる実施の形態の一つは、カップを収縮可 能なポリマー材料で成形することを含む。このポリマーは、殻体内に直接射出さ れて、殻体内に形成された凹所内に流動する。その凹所の各々は、環状肩部によ り画成された拡張部分を有しており、このポリマーがその拡張部分を充填し、肩 部に着座した環状の保持張出し部を形成する。このポリマー製カップが硬化する と、その突起が収縮して、引張り力を付与し、この引張り力により、保持張出し 部は環状肩部にぴったりと係合して、これにより、粒子がこの穴を通ることが略 防止される。 また、これらの凹所は、ビード部分の間に孔を形成し得るように殻体の内面に 略球状のビードを複数、直接、融着させることにより形成することもできる。こ のポリマー製カップ挿入体は、融着したビードの上で且つその孔内に直接成形さ れる。このポリマー製カップが硬化すると、該カップは、球状のビードに対する 複数の微小の把持部を有し、このため、カップは球状ビードと略不動状態に係合 する。 一つの好適な実施の形態において、これらの凹所は、殻体の内面、即ち凹面上 に配置され、カップ挿入体のポリマー材料は、成形、鋳造、鍛造又はその他の任 意の適当な方法により、該凹所内に実際に形成される。この実施の形態の場合、 その内面を機械加工し、又は表面テクスチャーにより、その係合凹所を殻体自体 に実際に形成することもできる。これと代替的に、殻体の内面を多孔質にし、又 はテクスチャー、被覆を施すことによりこれらの凹所を形成してもよい。 球状の関節ボールと摺動可能に係合し得るように剛性で且つ硬い軸受分節部分 （セグメント）から不連続的な半球状の軸受面を形成することにより、軸受面間 の接触表面積が増大する一方、点接触が生じる傾向が少なくなる。これらの軸受 分節部分は、所定のパターン及び形態にてポリマー製カップ内に直接、植え込み 、そのポリマー製カップが軸受分節部分より遥かに小さい弾性率を有するように する。このポリマー製カップの弾性率が小さいため、軸受面の形状が相対的に一 定である間に、荷重が伝達されるとき、このカップは、撓み可能に収縮する。特 定の荷重が減少し、又はその方向を変えると、これに対応してその下方のポリマ ーが膨張して、その軸受分節部分を外方に押して、球状ボールに入れ、ボールと 軸受分節部分との間の接触面積が最大となる。これらの軸受分節部分は、ポリマ ー製カップ挿入体内に機械的に相互に係止され得るようにテーパー付きの側壁を 有し、軸受面及びその対向する面は、殻体の内面に対して略平行な方向に保たれ 、これにより、機械的な応力をより均一に伝達し、摩耗破片の発生を更に防止す る。 ソケット構成要素の耐摩耗性軸受面（ポリマー製カップ挿入体の面から上昇さ せてある）を使用することにより、ソケット−ボール式の関節動作する境界面に おけるポリマーの摩耗を解消し、又は少なくとも著しく少なくすることができる 。この上昇させた軸受面は、ボール構成要素とポリマー製カップ挿入体との接触 を防止する。このため、これらの軸受分節部分は本発明の人工関節インプラント のポリマー製カップ挿入体内に植え込んで、複合系（ｃｏｍｐｏｓｉｔ ｓｙｓ ｔｅｍ）となるようにすることが好ましい。各軸受分節部分の軸受面をポリマー 製材料よりも高く上昇させることにより、これらの軸受分節部分の間に通路が形 成され、これらの通路は、軸受面に滑液流体を提供することにより、対の軸受を 潤滑するのに役立ち、これにより、摩擦トルク、それに伴う過早の摩耗を少なく することができる。本発明の教示の結果、ポリマー製カップ挿入体と金属製殻体 との間の境界面におけるポリマーの摩耗破片の発生が解消され、又は少なくとも 著しく少なくされる。 本発明の更なる目的及び有利な点は、以下の説明に記載されており、また、そ の一部は以下の説明から明らかとなり、或いは本発明の実施により理解されよう 。本発明の目的及び有利な点は、特に、請求の範囲に記載した器具及びその組み 合わせにより、達成することができる。 図面の簡単な説明 本発明の上記及びその他の目的、特徴及び有利な点は、添付図面に関して掲げ た以下の詳細な説明を読むことにより、明らかになるであろう。添付図面におい て、 図１は、本発明により形成された人工の股関節が患者の体内に植え込まれたと きの一部側面図とした部分断面図である。 図２は、図１の人工の股関節のソケット部分の部分分解平面図である。 図３は、図２の線３−３に沿ったソケットの１つの実施の形態の断面図である 。 図４は、図２の線３−３に沿ったソケットの別の実施の形態の断面図である。 図５は、その内部に植え込まれたセラミック部分の１つを示す、図１乃至図４ の人工の股関節のポリマー製カップ部分を示す部分断面図である。 図６は、図２のソケットの製造に使用される半球状マンドレルの側面断面図で ある。 図６Ａは、図１乃至図４のソケットの製造に使用される半球状マンドレルの側 面図である。 図７は、ソケットが半径方向に変形する結果として、軸受面の接触面積が受け る影響を示す、変位図である。 図８は、本発明に従って形成された人工の股関節の股ボール構成要素の代替例 の部分断面側面図である。 詳細な説明 本発明による一つの好適な実施の形態が図１に図示されており、ここで、本発 明の一つの実施例が具体化された股関節補綴物１０（大腿骨構成要素１２と共に 股臼のソケット構成要素１１を含む）が図示されている。該ソケット構成要素１ １は、患者の股臼１７内に固着することのできる半球状の形状の金属製殻体１３ を有している。該股臼１７は、本発明に従って分節化されており、殻体１３が、 骨セメント、固定ねじ、多孔被覆（ｐｏｒｏｕｓ ｃｏａｔｉｎｇ）、又はこれ らの組み合わせのような標準的な取り付け手段によりその内部に固着されている 。 該殻体１３は、ポリマー製のカップ挿入体１８により裏当てされた半球状の内 面１９を有している。このカップ挿入体１８を形成するのに使用されるポリマー 材料は、例えば、超高分子量のポリエチレン（UHMWPE）、医療等級ポリスルフォ ン、又はペンシルベニア州、エクストンのＩＣＩが製造する型No.450Ｇのような ポリエーテルエーテルケトン（PEEK）のようなものとすることができる。該殻体 １３は、商業的に純粋な（CP）チタニウム金属又はその適当な合金（例えば、チ タニウム（Ti）90％、アルミニウム（Al）６％、バナジウム（Ｖ）４％）、コバ ルト−クロム−モリブデン合金、ニオブ、タンタル、白金及びその合金、又はそ の他の適当な生体適合性材料で形成することができる。 耐摩耗性アルミナ、ジルコニウム、又は生体適合性のあるその他の耐摩耗性セ ラミックのような適当なセラミック材料で出来たものであることが好ましい複数 の軸受分節部分（軸受セグメント）２０がポリマー製カップ挿入体１８の凹面に 植え込まれており、その軸受分節部分２０の各々が露出した軸受面２１を有する ようにする。該軸受分節部分２０は、全体として、不連続的な半球状の軸受面を 形成し、任意の硬く且つ剛性な材料で形成することができる。各軸受分節部分２ ０の軸受面２１は、軸受分節部分２０の間に通路２２が形成されるように、カッ プ挿入体１８の凹面から上方に伸長することが好ましい。 大腿骨構成要素１２は、アルミナで出来たものであることが好ましい球状の形 状のヘッド又はボール部分２３の形態とした関節動作面と、幹要素２５とを有す る。該大腿骨のボール要素２３は、カップ挿入体１８内に取り付け可能な寸法と され、また、大腿骨の幹２５の一端に取り付けられる。該幹２５の他端は、股臼 １７に対応する大腿骨２６の上端に植え込まれている。該大腿骨のボール要素２ ３は、軸受分節部分２０の軸受面２１と摺動可能な接触状態に保たれた球状の外 側軸受面２４を有する。通路２２は、滑液流体が軸受分節部分２０の間を流動し て、軸受面２１、２４間の境界面を潤滑することを可能にする。 図示したように、軸受分節部分２０は、円形の形状であり、同一寸法であるこ とが好ましい。軸受分節部分２０により提供される全体的な不連続な軸受の表面 積は、多角形の形状（六角形及び八角形の軸受分節部分を組み合わせたような形 状）の場合と比べて、円形の軸受分節部分の場合、より少なくなる。しかしなが ら、単一寸法の軸受分節部分を使用することにより、製造コストを削減すること が可能となり、多角形の軸受分節部分（図示せず）の各々の点にて生ずる可能性 のある応力増大部分を少なくすることができる。更に、円形の軸受分節部分を使 用することに起因して軸受の表面積が僅かに減少することは、軸受分節部分２０ の各々が支承する荷重を顕著に増大させることがないと考えられる。図５を簡単 に参照すると、軸受分節部分２０上に丸い外周の隅部３１を形成することにより 、応力増大部の発生を更に防止することができる。 図１及び図２を参照すると、関節インプラント１０の一つの実施の形態におい て、ポリマー製カップ挿入体１８及び金属殻体１３は、殻体１３の内面１９に凹 所（金属殻体１３の壁に形成された複数の穴３０のような凹所）を形成すること により、また、カップ挿入体１８の凸面上に複数の係合突起３２を形成すること により、互いに関して所定位置に固着することができる。各突起３２をその対応 する貫通穴３０内に配置することにより、カップ挿入体１８を殻体１３内の所定 位置に係止することができる。金属殻体１３とポリマー製カップ挿入体１８との 間の境界面に沿った相対的な動作を防止することにより、ミクロ動作によるポリ マー破片の発生を解消し、又は少なくとも著しく少なくし、骨崩壊の可能性を軽 減することができる。 金属殻体１３にカップ１８を形成する鋳造、プレス、鍛造又はその他の方法が 使用可能であるが、ポリマー製カップ挿入体１８は、殻体１３内に成形して、該 殻体１３が成形工程で使用される工具の除去可能な一部となるようにすることが 好ましい。射出成形の使用が好ましい。しかしながら、カップ挿入体１８を成形 するとき、ＵＨＭＷＰＥ材料が使用されるならば、圧縮成形法の方が好ましい。 この成形工程に使用される工具は、カップ挿入体１８を成形する間に、軸受分節 部分２０を挿入し且つ保持することを許容する形態をしている。金型キャビティ への入口ゲートとして複数の貫通穴３０を使用することができる。１つの大きい ゲートではなくて、複数の入口ゲートを備えるならば、溶融プラスチックが金型 キャビティに入るときのそのプラスチックにより付与される力を小さくすること ができる。この力を小さくすることにより、流動する溶融プラスチックにより軸 受分節部分２０が所定位置から変位される可能性を少なくすることができる。 図３を参照すると、貫通穴３０を使用する場合、環状肩部３４及び対応するヘ ッド３３を各突起３２上に形成し得るように各穴３０を端ぐり穴とすることが望 ましい。ポリマー材料は、硬化するとき多少収縮することが多く、かかる収縮を 利用して突起３２内に引っ張り力を発生させ得ると考えられる。この引っ張り力 によりヘッド３３は、穴３０の肩部３４に対してぴったりと着座する。このよう にして、少しの摩耗破片でも生じたならば、その破片は、何れの貫通穴３０から も出ることが難しい。 殻体１３を貫通して、股臼骨１７と接触する可能性のある全ての摩耗破片を防 止するため、貫通穴３０に代えて、当該技術分野で公知の盲穴（図示せず）を使 用することができる。この改変例の場合、金型キャビティ内に達する代替的な入 口ゲートを加工工具に形成する設計とする必要があろう。これらの穴及びその係 合突起３２は、円筒状以外の形状とすることができる。 図４を参照すると、貫通穴３０又は盲穴を使用することの一つの代替例として 、殻体１３の凹面をテクスチャー面とし、又は多孔被覆を施した面とすることが できる。例えば、球状ビード４２のような複数の粒子を焼結、溶射、溶接又はそ の他の適当な技術により殻体１３に一体に結合してもよい。チタニウム合金殻体 １３の場合、ビード４２は、ＣＰチタニウム金属で出来たものであることが好ま しい。このように、カップ挿入体１８を形成するのに使用されたプラスチック材 料を殻体１３により一部形成された金型キャビティ内に射出すると、このポリマ ー材料は、ビード４２の間に残った孔４４内に押し込まれる。ポリマー材料が孔 ４４内に存在する状態にて、カップ挿入体１８は、殻体１３に関して完全ではな いにしても略不動となる。カップ１８と殻体１３とが相対的に不動な状態にて、 骨崩壊の原因となる摩耗破片が発生する可能性は少なくなる。殻体１３の凹面上 に球状ビード４２の被覆を使用することに加えて、殻体１３を股臼１７に固着す る手段として、殻体１３の凹面上の球状ビード４５の被覆を使用することができ る。 本発明の股関節インプラントの実施の形態１０の場合、大腿骨ヘッド２３及び 軸受分節部分２０に対し高純度のアルミナが使用される。インプラントの軸受の 適用例としては、99.5％以上の純度が好ましいが、軸受分節部分に適用する場合 、99％以上の純度のアルミナを使用することができる。 基準及び性能上の条件に適合するならば、その他のセラミック材料を使用する ことも可能である。 多くのセラミック材料の多結晶の性質は、固有の微小孔を提供する。 また、その外面に微小孔を形成し、又は所望であれば、大きい孔を形成して、 或いは焼結技術を使用して全体的に多くのセラミック材料を所定通りに製造する ことができる。この孔により、セラミック軸受面は、滑液流体を保持することが 可能となる。各滑液流体による潤滑は、捩れ応力を少なくし、これにより、セラ ミックの軸受分節部分２０及びヘッド２３の摩耗を少なくするのに役立つ。英国 特許第1,527,498号に開示されたルビー材料のようなその他の材料は、その単結 晶構造のため、かかる滑液潤滑流体を保持する孔が略存在しない。一般に、軸受 分節部分２０の各々は、成形したままの機械加工、ゲル成形、射出成形、ダイ・ プレス又は滑り鋳造といったセラミック製造方法により、略成形したままの形状 にて製造することができる。標準的なセラミック加熱炉又は制御雰囲気の高温加 熱炉内で相対的に標準的な外形となるように加熱が制御される。 ポリマー製カップ挿入体１８の摩耗は、機械的応力を均一に伝達することによ り最小にすることができる。当該出願人によれば、表面２１、５１が互いに平行 であるように軸受分節部分２０が形成されたとき、及び表面２１、５１が殻体１ ３の半球状の内面１９に対して平行に配置されるように、軸受分節部分をカップ １８内に植え込んだとき、荷重の伝達がより均一となることが分かった。これら の平行な関係結果として、軸受分節部分２０からカップ１８を通じての機械的応 力の伝達がより均一となり、これにより、カップ１８の摩耗が少なくなる。 軸受分節部分２０の側壁２７は、凹状の軸受面２１から対向する凸面５１まで 外方にテーパーが付けられ、対向した凸面が凹状の軸受面よりも表面積が大きい ようにすることが好ましい。 この形態は、軸受面２１からポリマー製カップ挿入体１８内に伝達される機械 的応力を小さくすることを可能にし、また、カップ挿入体１８をテーパー付きの 側壁２７の周り形成し、これにより、軸受分節部分２０をカップ挿入体内で機械 的に相互係止することを可能にする。 また、軸受面２１と大腿骨のボール要素２３との接触表面積を増大させること により、ポリマー製カップ挿入体１８の摩耗を最小にすることもできる。カップ 挿入体１８のポリマー材料は、弾性復原力を有し、また、その弾性率は、剛性で 且つ硬い軸受分節部分２０よりも略小さく、これにより、ボール要素２３の接触 面部分間の荷重の伝達に応答して、膨張し且つ収縮することができる。ポリマー 製カップ挿入体１８が膨張し且つ収縮し得ることは、ボール要素２３の接触面部 分と軸受分節部分２０との間にて点接触が生じるのを略防止し、その結果、その 間の全体的な接触表面積が増大する。 その弾性及び小さい弾性率のため、このポリマーカップ挿入体１８は、ボール 要素２３と軸受分節部分２０の軸受面２１との間にて荷重が伝達されるとき、撓 み、その間、軸受面２１の形状は比較的不変である。付与された荷重下における 、この軸受分節部分の動作の自由度は、軸受面間の接触面積をより大きくするこ とを可能にし、それは、これらの軸受分節部分２０は、ボール要素２３の対向す る軸受面２４の幾何学的形状及び／又は位置に一つの群として順応することがで きるからである。このように、典型的に、従来技術の軸受装置で生じるように、 応力が極めて局部的に集中することなく、付与された全ての荷重は多数の軸受分 節部分２０に分けて支承され、その結果、接触する軸受面間にて伝達される応力 が小さくなる。 当該出願人によれば、軸受面２１とボール要素２３との間の接 触表面積に影響を及ぼすもう１つの可変要素は、分節化したソケット部材１１内 で半径方向に変位することであることが分かった。かかる半径方向への変位は、 軸受分節部分２０と殻体１３の半球状の内面１９との間に挟持された位置にある カップ挿入体１８の基部厚さの関数である。ポリマー製カップ１８のクッション 状の弾性は、補綴物１０の全体的な剛性を小さくし、半径方向への変位、ボール 要素の変位２３（ボールの変位）及び軸受面の接触表面積を増大させる。ボール の変位量が増大したとき、軸受け面の接触表面積（接触領域）が増大することが 図７に示してある。 例えば、完全に剛性で且つ連続的なソケットの場合、その 接触面積は、荷重方向に向けたソケットの表面に存在する一点を含む。付与され た荷重は、極めて小さい面積にしか分散されないため、この点における圧力は極 めて高圧となる。当該出願人によれば、ソケット構成要素１１内の半径方向への 変位容量を増すことにより、ボール要素２３と軸受面２１との間の接触表面積が 増大することが分かった。このことは、連続的である（即ち、分節化されていな い）セラミックソケットに係合する従来技術のセラミックボールの場合、ソケッ ト 部材内での半径方向への変位量が極めて小さい結果、このセラミックソケットは 、部分的に点接触し易いことと調和する。 当該出願人は、ポリマー製カップ１８の３つの異なる基部厚さ、具体的には、 0.5ｍｍ、2.0ｍｍ及び3.5ｍｍの厚さのソケット構成要素１１を試験した。また 、当該出願人は、カップ挿入体１８に対してＵＨＭＷＰＥ及びＰＥＥＫの双方を 使用して試験を行った。ＵＨＭＷＰＥ材料は、弾性率が690ＭＰａであり、その ポアソン比は、0.45乃至0.50の範囲にある一方、ＰＥＥＫの弾性率は、1100ＭＰ ａで、そのポアソン比は、0.24であった。試験したソケットの各々は、図２に示 した形態及び方向の３つの軸受分節部分を有する。厚さが厚いため、剛性が低下 し、その結果、ボール要素２３の変位量が増し、最高圧力が低下した。接触面積 は増大し、厚さの増大に伴い平均圧力は低下した。 しかしなから、ある場合には、厚さ2.0ｍｍの場合、厚さ3.5ｍｍの場合よりも 接触面積はより増大し且つ平均圧力は低下した。このことは、付与された荷重を せん断するときのディスク／マトリックスばね間の相互作用の結果であると考え られる。このため、当該出願人は、図１乃至図４に示した形態及び方向にある分 節化したソケット１１において、基部厚さ2.0ｍｍのカップを有するカップ挿入 体１８が最適であると考えるが、その理由は、約1.0ｍｍ乃至3.0ｍｍの最適な範 囲のＵＨＭＷＰＥ及びＰＥＥＫ材料を使用する場合、この厚さであれば、ある荷 重に対し軸受の接触表面積が増大するからである。 厚さ2.0ｍｍの場合、厚さ3.5ｍｍの場合と比べて、各場合とも軸受の接触表面 積は増大しなかったが、当該出願人は、ある場合には、この厚さのとき、軸受の 接触表面積が増大し、また、必要な材料及び製造コストが少なくて済むため、こ の2.0ｍｍの厚さが好ましいと考える。更に、ＰＥＥＫの場合、ＵＨＭＷＰＥと 比べてボールの変位量が大きい。厚さが増すことと相俟って、ＰＥＥＫは、厚さ が厚い場合、ボールの変位量がより大きい。ポアソン比に差のある場合の方が、 弾性率に差のある場合よりも結果により大きく影響した。ポリマー成分で補強し たセラミック部分に対する当該出願人による試験にて測定された、ヘッドの変位 距離は、3.2μｍ（該軸受分節部分に関する荷重方向が90°のとき、0.5ｍｍの厚 さの場合）乃至16.9μｍ（該軸受分節部分に関する荷重方向が35°のとき、3.5 ｍｍの厚さの場合）であった。 次に、図５を参照すると、本発明は、各軸受分節部分２０の凸面５１に少なく とも１つのディンプル２９を形成することを含む。これらの軸受分節部分２０は 、カップ挿入体１８を成形する間に、殻体１３の半球状内面１９に近接する位置 に保持して、突起がカップ挿入体の一部を形成し且つディンプル２９内に伸長す ることを可能にすることが好ましい。カップ挿入体１８がディンプル２９内に係 合することは、軸受分節部分２０がカップ挿入体に関して動くのを阻止し、その 間のミクロ動作、及びそれに伴う摩耗破片の発生を更に防止する。 上述したように、本発明の構造的新規性の１つの点は、軸受分節部分２０の面 ２１、５１と殻体１１の半球状内面１９との間に平行四辺体が形成される点であ る。軸受分節部分２０の凸面５１は、半球状部分に適合する必要はないが、上述 したように、カップ１８内で機械的な応力がより均一に伝達されるようにするた めにかかる適合があることが好ましい。また、軸受分節部分２０の軸受面２１は 、図２に示した形態及び方向にあるとき、共通の半球状面に適合することが極め て好ましい。従って、製造工程中に、軸受分節部分２０を位置決めする方法が極 めて重要となる。 次に、図６を参照すると、当該出願人は、軸受分節部分２０が半球状マンドレ ル６０により殻体１１内に同時に位置決めされる新規且つ有利な製造方法を案出 している。該マンドレル６０は、その内部に軸受分節部分２０を受け入れ得るよ うにその外面に形成された複数の位置決めキャビティ６２を有している。キャビ ティ６２の各々は、外方にテーパー付きの側壁６４と、底面６６とにより画成さ れる。図６に示した方向のとき、６つの位置決めキャビティ６２が存在すること が好ましく、そのキャビティの各々が、図示するようにマンドレル６０の半球体 の中心点６８に関して約50°の角度に亙って伸長し、図示するように、５°の範 囲に亙って隣接するキャビティ６２の最も近接した側壁部分を分離させるように する。 図６Ａを参照すると、軸受分節部分２０の軸受面２１をマンドレル６０の底面 ６６に直接、接着することにより、６つの軸受分節部分２０が６つの位置決めキ ャビティ６２内に配置されている。従来のスーパー接着剤のような任意の適当な 接着剤を使用することができる。マンドレル６０は、矢印Ａで示すように、殻体 構成要素１１内に挿入し、軸受分節部分２０の凸面５１が所望の間隔（上述した ように、2.0ｍｍであることが好ましい）にて、殻体１１の半球状内面１９に対 して平行となるような位置に配置する。液化ポリマーを好ましくは射出成形によ り殻体１１内に配置して、図３及び図４に示すように、軸受分節部分２０を取り 巻き且つ該軸受分節部分の周りで硬化するようにする。液化ポリマーにより放出 される熱は、マンドレル６０内にて軸受分節部分２０を保持する接着剤を溶融さ せ、製造作業員がマンドレル６０を容易に取り外すことを可能にする。このよう に、軸受分節部分２０のテーパー付き側壁２７及びキャビティ６２の対応するテ ーパー付きの側壁６４は、上述したように、使用中、軸受分節部分内の応力を小 さくすることに加えて、マンドレル６０の取り外しを容易にするという利点があ る。従って、マンドレル６０は何回も繰り返して使用することができる。 該マンドレル６０及び上述した方法は、殻体に関して一定方向に軸受分節部分 ２０を同時に保持することを可能にする。これにより、マンドレル６０は、軸受 分節部分の不正確な位置決めや、使用中に軸受分節部分２０の端縁に荷重が加わ って、ポリマー製挿入体１８が過度に摩耗するのを防止する。 本発明による股関節補綴物１０の好適な製造方法は次のステップを含む。 （ａ）目的物を所定の位置に保持すべくその外面に形成された複数の位置決め キャビティを有する球状マンドレルを選択するステップと、 （ｂ）湾曲し、剛性で且つ硬い軸受分節部分であって、その各々が、凹状の軸 受面を有する該軸受分節部分を球状マンドレルの位置決めキャビティ内に固着す るステップと、 （ｃ）補綴物の殻体手段であって、略半球状の凹状の受け入れキャビティを両 成する内面を有する前記殻体手段内に球状マンドレル、従って、軸受分節部分を 挿入し、該軸受分節部分の各々が、共通の距離だけ該殻体手段の上記内面から隔 たった位置に保持され、軸受分節部分の各々の凹状の軸受面が、殻体手段の球状 の内面に対して略平行に保持されるようにするステップと、 （ｄ）ポリマー製クッションを形成し、該クッションを殻体手段の内面に接着 し、該クッションを軸受分節部分の周りにて相互に係止し、該軸受分節部分の一 部が所定のパターンにて該ポリマー製クッション内に植え込まれ、凹状の軸受面 が凹状の受け入れキャビティ内で露出され、ポリマー製クッションの基部厚さが 該軸受分節部分と殻体手段との内面との間にて挟持された位置にあり、軸受面が 、略同一程度の曲率を有し、該軸受面が球状関節の動作面と摺動可能に係合する 不連続な半球状面を形成する位置に配置されるようにするステップとである。 股関節及びその他の補綴物の適用例には、軸受分節部分２０及びカップ１８の その他の組み立て方法も満足し得るものであるが、本発明の股関節インプラント の実施の形態１０の場合、インサート成形により軸受分節部分２０をカップ挿入 体１８内に植え込むことが好ましい。これらのその他の組立て方法には、例えば 、圧搾成形、プラテンプレス、圧力嵌め、鍛造、螺着又は接着剤による接着を含 むことができる。適用可能な場合、軸受分節部分２０の軸受面２１は、周知の技 術を使用して、適当な研磨、フライス加工及び／又は研磨により仕上げることが 可能である。表面仕上げは、ポリマー製カップ挿入体１８内に取り付けた後、軸 受分節部分２０上にて行われることが好ましいが、カップ挿入体１８内に組み立 てる前に、各軸受分節部分２０の軸受面２１を仕上げることも可能である。 半球状の軸受面は、ソケット構成要素１１の軸受面のような軸受分節部分２０ の凹状面２１を使用して形成可能であるのみならず、かかる軸受分節部分２０の 凸面５１を使用して、図８に示すように、大腿骨ヘッド２３の面２４のような球 状の軸受面を形成することもできる。本明細書で使用する「半球状」という語は 、完全な半球の意味に限定するものではなく、任意の部分的な球状も広く意味す るものとする。 より具体的には、図１乃至図５のポリマー製カップ挿入体１８に代えて、ボー ル要素２３の外面２４の周りに固着されたポリマー製クッション８０を使用して もよい。該軸受分節部分２０は、クッション８０内に植え込んで、より大きい凸 面５１が殻体構成要素の剛性で且つ連続的な半球状内面に対し滑り係合し得るよ うに露出されるようにする。軸受分節部分２０は、上述したのと略同一の方法を 使用して、ポリマー製クッション８０内に固着することができるが、但し、凹状 の半球マンドレル（図示せず）を使用して、凹状の半球マンドレルの内面に形成 された位置決めキャビティを使用して、軸受分節部分２０をボール要素２３に関 して固定状態に保持し得るようにしてある点が異なる。この場合も同様に、面２ １、５１は、ボール要素２３の外面２４に対して平行であることが好ましい。該 軸受分節部分２０の各々は、その正面２１及び背面５１が互いに関して平行であ り、各軸受分節部分２０の曲率半径が等しいような構造とすることが好ましい。 このため、摩耗及び摩耗破片の発生を著しく少なくする一方で、分節化したセ ラミック−セラミック軸受面の望ましい特徴を備え、これにより、関節インプラ ントの寿命を３乃至５倍も延ばすことができる、ボール及びソケット式の人工の 関節インプラントを製造することが可能である。 本発明の原理に従い、一例としての人工的な股関節１０の各種の改変例及び代 替的な形態が可能であることが理解されよう。かかる変形例は、請求の範囲に記 載した本発明の精神及び範囲から逸脱せずに当業者が適宜に為し得るものである 。本発明の範囲は本明細書に具体的に記載したものと同等の多くの組み合わせ及 び広い範囲の特徴及び構造体を包含するものであることが当業者に理解されよう 。このように、本発明の原理は、本発明の利点が必要とされる任意の分野に適用 することができる。本発明の分野の当業者は、本発明及びその各種の用途への適 用の利点が理解され、上述した目的が本発明により有利に達成されることが理解 されよう。 上述の構成は、本発明の原理の適用例の一例にしか過ぎないことを理解すべき である。本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、多数の改変例及び代替的な構成 が当業者により案出可能であり、請求の範囲は、かかる改変例及び構成を包含す ることを意図するものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，Ｕ Ｇ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，Ｂ Ｙ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ， ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，Ｌ Ｖ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ， ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 ムラツ，ポール アメリカ合衆国オハイオ州44118，ユニバ ーシティ・ハイツ，エドガートン・ロード 2469

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．人工の関節装置を形成すべく球状の関節動作面と組み合わせて使用される 補綴物のソケット部材にして、 身体の関節内に植え込まれる形態とされた剛性な基部支持構造体であって、該 基部支持構造体を前記関節内に固着すべく接着剤を受け入れる形態とされた剛性 な外面と、略半球状の凹状の受け入れキャビティを画成する内面とを備える前記 剛性な基部支持構造体と、 該基部支持構造体の前記内面に接着されたマトリックスを有する中間の緩衝手 段と、 湾曲し、剛性で且つ硬い複数の分節部分であって、その各々が凹状の軸受面と 、対向する凸面とを有し、該分節部分が外方に突き出るよう前記マトリックス内 に部分的に植え込まれて、該凹状の軸受面が該凹状の受け入れキャビティ内にて 露出され且つ前記球状の関節動作面と摺動可能に係合する不連続的な半球面を形 成する前記複数の分節部分とを備え、 前記マトリックスの基部厚さが前記複数の分節部分の前記凸面と前記基部支持 構造体の前記内面との間に狭持された位置にあるようにし、 前記凹状の軸受面、及び前記複数の分節部分の対向する凸面が、互いに関し且 つ前記基部支持構造体の前記半球状内面に対して略平行であり、前記凸面が前記 中間の緩衝手段と略連続的に接触する位置にあり、これにより、前記マトリック スの摩耗を少なくし得るよう、前記複数の分節部分から機械的な応力を前記マト リックスを通じてより均一に伝達し得るようにした、補綴物のソケット部材。 ２．請求項１に記載の補綴物のソケット部材にして、前記複数の分節部分の各 々が、前記凹状の軸受面から前記凸面まで外方にテーパーが付けられたテーパー 付き側壁を有し、前記対向する凸面が前記凹状の軸受面よりも大きい表面積を有 し、これにより、前記軸受面から前記マトリックス内に伝達される機械的応力を 小さくし、 前記マトリックスが、前記複数の分節部分の前記テーパー付き側壁の周りに形 成され、これにより、前記複数の分節部分を前記マトリックス内に機械的に相互 係止するようにした、補綴物のソケット部材。 ３．請求項１に記載の補綴物のソケット部材にして、前記複数の分節部分の各 々が円形の形状であり、該複数の分節部分の各々が、前記凹状の軸受面から前記 対向する凸面まで伸長する側壁を有し、前記複数の分節部分の各々の前記側壁の 少なくとも一部が隣接する複数の分節部分の間に通路を形成し得るように前記マ トリックス手段から突き出して、潤滑流体を流動させ、これにより、前記不連続 の半球状面及び前記球状の関節動作面を潤滑するようにした、補綴物のソケット 部材。 ４．請求項１に記載の補綴物のソケット部材にして、前記複数の分節部分の各 々が、その前記凸面に形成された少なくとも１つのディンプルを有し、 前記マトリックスが、該ディンプル内に伸長し、これにより、前記複数の分節 部分が前記マトリックスに関して動くのを阻止する対応した突起を有する、補綴 物のソケット部材。 ５．請求項１に記載の補綴物のソケット部材にして、前記複数の分節部分の各 々が円形の形状であり、該複数の分節部分の各々が、前記凹状の軸受面から前記 対向する凸面まで伸長する側壁を有し、 前記複数の分節部分の各々の前記側壁及び前記凹状の軸受面が交差して、丸味 を付けた周縁の隅部分を形成し、これにより、応力増大部分を回避するようにし た、補綴物のソケット部材。 ６．請求項１に記載の補綴物のソケット部材にして、前記複数の分節部分の各 々の前記軸受面が応力増大部分を回避する円形の形状である、補綴物のソケット 部材。 ７．請求項１に記載の補綴物のソケット部材にして、前記複数の分節部分が固 有の微小孔を有する硬質なセラミック材料で出来ており、前記凹状の軸受面が該 孔内に潤滑流体を保持し、これにより、前記セラミックでできた分節部分と前記 関節動作面との間の捩れ応力を小さくし得るようにした、補綴物のソケット部材 。 ８．請求項１に記載の補綴物のソケット部材にして、前記複数の分節部分が、 潤滑流体を前記孔内に保持するべく前記凹状の軸受面に適宜に形成された孔を有 し、これにより、前記複数の分節部分と前記関節の動作面との間の捩れ応力を小 さくし得るようにした、補綴物のソケット部材。 ９．請求項１に記載の補綴物のソケット部材にして、前記複数の分節部分の前 記凸面と前記基部の支持構造体の前記内面との間に狭持された前記マトリックス の前記基部厚さが約１ｍｍ乃至３ｍｍの範囲内にある、補綴物のソケット部材。 １０．請求項９に記裁の補綴物のソケット部材にして、前記複数の分節部分の前 記凸面と前記殻体手段の前記内面との間に狭持された前記マトリックスの前記基 部厚さが約２ｍｍである、補綴物のソケット部材。 １１．請求項９に記裁の補綴物のソケット部材にして、前記マトリックスが、超 高分子量のポリエチレン（UHMWPE）、医療等級ポリスルホン及びポリエーテルエ ーテルケトン（PEEK）から成る群から選択された材料で出来ている、補綴物のソ ケット部材。 １２．請求項１１に記載の補綴物のソケット部材にして、前記ポリマーマトリッ クスが、弾性率が約1100ＭＰａでポアソン比が約0.24のポリエーテルエーテルケ トン（PEEK）で出来ている、補綴物のソケット部材。 １３．人工の関節装置を形成すべく球状の関節動作面と組み合わせて使用される 補綴物のソケット部材であって、 身体の関節内に植え込まれる形態とされた剛性な基部支持構造体であって、該 基部支持構造体を前記関節内に固着すべく接着剤を受け入れる形態とされた剛性 な外面と、略半球状の凹状の受け入れキャビティを画成する内面とを更に備える 前記剛性な基部支持構造体と、 該基部支持構造体の前記内面に接着されたマトリックスを有する中間の緩衝手 段と、 湾曲し、剛性で且つ硬い複数の分節部分であって、その各々が凹状の軸受面と 、対向する凸面とを有し、該分節部分が外方に突き出るよう前記マトリックス内 に部分的に植え込まれて、該凹状の軸受面が該凹状の受け入れキャビティ内にて 露出され且つ前記球状の関節動作面と摺動可能に係合する不連続的な半球面を形 成する前記複数の分節部分とを備え、 前記マトリックスの基部厚さ部分が前記複数の分節部分の前記凸面と前記基部 支持構造体の前記内面との間に狭持された位置にあるようにし、 前記複数の分節部分の各々の前記凹状の軸受面及び対向する凸面が、互いに関 し且つ前記基部支持構造体の前記半球状内面に対して略平行であり、前記凸面が 前記中間の緩衝手段と略連続的に接触する位置にあり、これにより、前記マトリ ックスの摩耗を少なくし得るように前記複数の分節部分から機械的な応力を前記 マトリックスを通じてより均一に伝達し得るようにし、 前記複数の分節部分がセラミックでできており、その各々が、その前記凸面に 形成された少なくとも１つのディンプルを有し、前記マトリックスが、該ディン プル内に伸長し、これにより、セラミックでできた前記複数の分節部分が前記マ トリックスに関して動くのを阻止する対応した突起を有する、補綴物のソケット 部材。 １４．請求項１３に記載の補綴物のソケット部材にして、前記複数の分節部分の 各々が円形の形状であり、該複数の分節部分の各々が、前記凹状の軸受面から前 記対向する凸面まで伸長する側壁を有し、前記複数の分節部分の各々の前記側壁 及び前記凹状の軸受面が交差して、丸味を付けた周縁の隅部分を形成し、これに より、応力増大部分を回避するようにした、補綴物のソケット部材。 １５．請求項１４に記載の補綴物のソケット部材にして、前記マトリックスが、 弾性率が約1100ＭＰａでポアソン比が約0.24のポリエーテルエーテルケトン（PE EK）で出来ている、補綴物のソケット部材。 １６．請求項１５に記載の補綴物のソケット部材にして、前記複数の分節部分の 前記凸面と前記基部の支持構造体の前記内面との間に狭持された前記マトリック スの前記基部厚さが約２ｍｍである、補綴物のソケット部材。 １７．請求項１６に記載の補綴物のソケット部材にして、前記複数の分節部分の 各々が、前記凹状の軸受面から前記凸面まで外方にテーパーが付けられたテーパ ー付き側壁を有し、前記対向する凸面が前記凹状の軸受面よりも大きい表面積を 有し、これにより、前記軸受面から前記マトリックス内に伝達される機械的応力 を小さくし、前記マトリックスが、前記複数の分節部分のテーパー付き側壁の周 りに形成されて、これにより、前記複数の分節部分を前記マトリックス内にて機 械的に相互係止するようにした、補綴物のソケット部材。 １８．人工の関節装置を形成し得るようにソケット部材と組み合わせて使用され る補綴物のボール構成要素にして、 半球状の外面を有するボール部材と、 該ボール部材の前記外面に接着されたポリマーマトリックス手段と、 湾曲し、剛性で且つ硬い複数の分節部分であって、その各々が凸状の軸受面と 、対向する凹状面とを有し、所定のパターンにて前記ポリマーマトリックス手段 内に部分的に植え込まれ、前記凸状の軸受面が露出され、前記マトリックス手段 の基部厚さが該複数の分節部分の凹状面と前記ボール部材の前記外面との間に狭 持されるようにした前記複数の分節部分とを備え、 前記凸状の軸受面が、略等しい曲率を有し、該軸受面が、凹状の軸受面と摺動 可能に係合し得るように不連続な凸状の半球面を形成し得る位置に配置されるよ うにした、補綴物のボール構成要素。 １９．請求項１８に記載の補綴物のボール構成要素にして、前記複数の分節部分 の各々の前記凸状の軸受面及び対向する凹状面が互いに関し且つ該ボール部材の 前記半球状外面に対して略平行であり、これにより、前記複数の分節部分から機 械的な応力を前記マトリックス手段を通じてより均一に伝達し、前記マトリック ス手段の摩耗を軽減するようにし、 前記マトリックス手段が、弾性復原力と、前記複数の分節部分よりも実質的に 小さい弾性率を有し、これにより、前記凹状の軸受面の接触する面部分と前記複 数の分節部分との間における荷重の伝達に応答して膨張し且つ収縮し、前記接触 面部分間の点接触が発生するのを防止し、これにより、前記凹状の軸受面と前記 複数の分節部分により形成された前記不連続な半球状の凸面との間の全体的な接 触面積が増大するようにした、補綴物のボール構成要素。 ２０．人工の関節装置を形成すべく球状の関節動作面と組み合わせて使用される 袖綴物のソケット部材の製造方法にして、 （ａ）目的物をその内部の所定の位置に保持すべくその外面に形成された複数 の位置決めキャビティを有する球状マンドレルを選択するステップと、 （ｂ）湾曲し、剛性で且つ硬い軸受分節部分であって、その各々が凹状の輔受 面を有する前記軸受分節部分を前記球状のマンドレルの前記位置決めキャビティ 内に固着するステップと、 （ｃ）前記球状マンドレル、従って前記軸受分節部分を補綴物の殻体手段内に 挿入するステップとを含み、該殻体手段が、略半球状の凹状の受け入れキャビテ ィを画成する内面を有し、前記軸受分節部分の各々が、共通の距離だけ前記殻体 手段の前記内面から隔たった位置に保持され、前記複数の分節部分の各々の前記 凹状の軸受面が前記殻体手段の前記球状の内面に対して略平行に保持されるよう にし、 （ｄ）ポリマー緩衝体を形成し、該緩衝体を前記殻体手段の前記内面に接着し 、該緩衝体を前記軸受分節部分の周りで相互係止するステップを含み、 前記複数の分節部分の一部が前記ポリマー緩衝体内で所定のパターンにて配置 され、前記凹状の軸受面が前記凹状の受け入れキャビティ内に配置され、前記ポ リマー緩術体の基部厚さが前記複数の分節部分と前記殻体手段の前記内面との間 に狭持された位置にあるようにし、 前記軸受面が略同一の曲率を有し、該軸受面が、前記球状の関節動作面と摺動 可能に係合する不連続的な半球状面を形成し得るように配置される、補綴物のソ ケット部材の製造方法。 ２１．請求項２０に記載の補綴物のソケット部材の製造方法にして、前記ステッ プ（ｂ）が、前記凹状の軸受面から対向する平行な凸面まで外方にテーパーが付 けられたテーパー付き側壁を有する湾曲した軸受分節部分を前記位置決めキャビ ティ内に固着することを更に含み、前記対向する凸面が前記凹状の軸受面よりも 大きい表面積を有し、これにより、前記軸受面から前記ポリマー緩衝体内に伝達 される機械的応力を小さくし、 前記ステップ（ｄ）が、前記軸受分節部分の前記テーパー付き側壁の周りにポ リマー緩衝体を形成し、これにより、前記分節部分を該緩衝体内で機械的に相互 係止することを更に含み、前記軸受分節部分の各々の前記凹状の軸受面及び対向 する凸面が前記殻体手段の前記半球状内面に対して略平行な位置に配置され、こ れにより、前記軸受分節部分から機械的な応力を前記マトリックス手段を通じて より均一に伝達し、前記マトリックス手段の摩耗を軽減するようにした、製造方 法。 ２２．請求項２１に記載の補綴物のソケット部材の製造方法にして、前記ステッ プ（ｄ）が、硬化したとき、弾性復原力を有し且つ前記軸受分節部分よりも実質 的に小さい弾性率を有する材料であって、これにより、前記関節動作面の接触面 部分と前記軸受分節部分との間の荷重の伝達に応答して膨張し且つ収縮し、前記 接触面部分間に点接点が生じるのを防止する前記材料でポリマー緩衝体を形成し 、前記関節動作面と前記軸受分節部分により形成される不連続な半球状面との間 の全体的な接触面積が増大するようにすることを更に含む、製造方法。 ２３．請求項２０に記栽の補綴物のソケット部材の製造方法にして、前記ステッ プ（ｄ）が、前記軸受分節部分の周りに且つ該軸受分節部分と前記殻体手段の前 記内面との間のスペース内に、液化ポリマー材料を射出することを更に含む、製 造方法。 ２４．請求項２０に記載の補綴物のソケット部材の製造方法にして、前記ステッ プ（ｂ）が、固有の微小孔を有するセラミック製の軸受分節部分を前記位置決め キャビティ内に固着し、前記凹状の軸受面が潤滑流体を前記孔内に保持し、これ により、前記セラミック軸受分節部分と前記関節動作面との間の捩れ応力を小さ くするようにしたことを更に含む、製造方法。 ２５．請求項２０に記載の補綴物のソケット部材の製造方法にして、 （ｅ）潤滑流体を保持すべく前記軸受分節部分の前記凹状の軸受面に適宜に孔 を形成し、これにより、前記軸受分節部分と前記関節動作面との間の捩れ応力を 小さくするステップを更に含む、製造方法。 ２６．請求項２０に記載の補綴物のソケット部材の製造方法にして、その凹状の 軸受面に対向する各軸受分節部分の面に少なくとも１つのディンプルを形成する ステップ（ｆ）を更に含み、 前記ステップ（ｄ）が、該ディンプル内に伸長し、前記セラミック軸受分節部 分が前記マトリックス手段に関して動くのを阻止する突起を含むように前記ポリ マー緩衝体を形成することを更に含む、製造方法。