JPH10510991A - ロブスター用人工生育器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 海水に耐える材料で作られ、ロブスターの子どもの隠れ場所を形成するための凹部が対向最大面に設けられた要素からなるロブスター用生育器を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 ロブスター用人工生育器 本発明は、種々のサイズの開口および深さをもつ凹部が設けられた１つ以上の 要素からなる耐水性材料で作られたロブスターハウスすなわちロブスター用生育 器に関する。凹部は要素を貫通するように構成でき、要素は均一厚さのブロック または一側部の方が厚くなったブロックで構成される。 海洋生物学の分野では、いわゆるフィッシュハウスを海底に配備することが知 られている。これは、海底の難破船、石油掘削設備等の周囲に魚および海洋生物 が集まることが観察されていることによる。このような構造物は、滞留魚すなわ ち餌が豊富に供給されるという条件で同じ海域内で一生過ごす魚を引きつけるの に非常に適していることが証明されている。 本発明者は、特に日本で、沈水漁船、露出パイプ構造物および自動車タイヤが 海洋生物の成長に良好な基礎を与えかつ海洋生物を引きつけるけれども、これら の構造物を安定化することが重要であることを見出した。水流で移動されてしま う沈水タイヤでは、例えば静止した安定な難破船の場合と同量の海洋生物の成長 は得られない。 ロブスターは滞留性甲殻類である。しかしながら、ロブスターは共食い性があ りかつ完全成長するには自然の隠れ場所を必要とする。これらの隠れ場所では、 充分な保護が得られると同時に、規則的に交換される多量の水が進入し、充分な 量の餌が供給されなくてはならない。 隠れ場所として、例えば、軟質の岩、珊瑚礁または砕石の中空部または凹部が ある。これらの岩石は張出した隠れ場所を形成できると同時に、海水の流れによ って餌が供給される。従って、餌の供給が充分であってもロブスターにとって適 していない大きな領域が海岸に沿って存在する。 ロブスターに適した構造物が、特に日本で知られている。これらは、外面に複 数の開口が設けられたコンクリート製のコンパクトな角錐状構造物からなる。し かしながら、これらの構造物は多くの欠点を有している。コンパクトな構造は、 その大きな重量のため、海底への配備が複雑である。これらの構造物は、その体 積に対する表面積が小さく、このため、隠れ場所が比較的少なくなってしまい、 経済的に満足できる使用ができない。また、均一な開口は、ロブスターがその発 育過程で成長することを考慮しておらず、同じ領域内で保護するためにはより大 きな場所を必要とする。 従って本発明の目的は、ロブスターをその全成長期間中保護できるように、か つ、多量の水が交換されるときに、隠れ場所の開口が充分な量の餌の供給にさら されるように構成されたロブスター用生育器すなわちロブスターハウスを提供す ることにある。また、構造物の材料は、海洋生物の最適成長が得られる種類の材 料でなくてはならない。表面積は体積に対して大きくなくてはならず、重い構造 物は現在の技術では配備が困難ではない。また、配備された構造物は安定してい なくてはならない。 これらの目的は、請求の範囲に記載の本発明の特徴により達成される。 上記情報に基づいて、ロブスター用生育器を１つ以上の大きな表面で形成しか つ該表面に対して垂直な凹部を設け、種々の成長段階のロブスターに避難場所を 与えるため、開口の深さおよび形状を変化させて、種々のサイズのものとするこ とが重要である。このロブスター用生育器は、その表面が多量の水の交換にさら されるように設計できる。同時に、この構造物は、既存の海洋技術で海底に簡単 に配備できなくてはならず、また、ひとたび配備されたならば、水流により移動 されない海底上の安定構造物を確立できなくてはならない。 従って本発明は、耐水性材料からなる１つ以上の要素からなり、該要素は厚さ が均一または変化するブロックからなる。ブロックの２つの最大対向面すなわち 主面の両面には、同じ深さまたは異なる深さの孔または貫通孔が設けられており 、要素の主面の孔の周囲は、適当な形状および種々のサイズにすることができる 。要素はこれらの縁部を海底上に置くのが好ましいため、要素は、基部を形成す ることを意図する端部の厚さを最大に設計して、重量の大部分をここに集中させ ると同時に、厚い部分の各側面に設けられる孔を、要素が配備されたときにその 頂部を形成するブロックの高い部分に設けられる孔より深く形成することができ る。 この種類の幾つかの要素（好ましくは３〜６個、最も好ましくは３個の要素） を一体に連結して星形構造物を形成することができ、該星形構造物により、大き な表面積および小さな体積が得られかつ種々のサイズの孔および凹部を設けるこ とができる。この星形形状は、乱流の水移動を創出でき、これにより充分な量の 栄養有機物が得られる。 以下、添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。 図１は、本発明によるロブスター生育要素１の斜視図であり、該要素には、そ の基部に向かうにつれて開口が大きくなりかつ深さが深くなるような凹部２が設 けられており、この基部はまた端部の方が厚い。 図２は、対向面の開口２が互いにずれて配置されておりかつ１組の開口３が貫 通している状態を示す要素の一方の面の平面図である。 図３は、図２のIII −III 線に沿う断面図であり、基部に最も近い位置の凹部 がこれより上位の凹部より深いこと、孔３が貫通していること、および断面が台 形であることを示すものである。 図４は、各要素の基部の方が頂部より厚い３つの要素を星形に一体に連結した 本発明の一実施例であり、孔４は、この構造物を配備するときに使用される吊り 上げ用手段を示す図面である。 図５は、個々の要素が別々に鋳造されかつ底板５、頂部ブラケット６および安 全ボルト７により一体に連結された図４と同様な構造物を示す図面である。 図６は、均一厚さの要素を連結して係留構造物（ｍｏｏｒｉｎｇ）を形成した 本発明の一実施例を示す図面である。 本発明による個々の要素（図１、図２および図３）は、耐水性材料からなるブ ロック１（図１）の形態に構成でき、ブロック１は２つの対向面すなわち主面８ 、９を備えている。ブロック１は、これが置かれたときに基部となる端部が最大 に厚くなっており、従って、２つの主面の断面は台形（図３）である。この形状 により、より深い孔２を基部に設けることが可能になり、同時に、基部の方が頂 部より重いため、海底に置かれた要素を安定化させることができる。 主面８、９の各々には、任意の形状およびサイズをもつ開口２、３が設けられ ており、これらの開口は、要素の内部に凹部または要素を直角に貫通する凹部３ を備えている。これらの開口は、例えば列をつくって（図１および図２）配置で きるが、最大深さの凹部を備えた最大開口が要素の最も厚い端部に位置するよう にして（図３）、要素全体に亘ってランダムに配置することもできる。孔のサイ ズを異ならせることは、異なる発育段階にある異なるサイズのロブスターを収容 できることを意味する。 第２実施例では、要素すなわち板は均一な厚さを有し、要素の両面には種々の 形状および深さの孔２、３が、図１〜図３に示したものと同様にして相互に配置 されている。要素のこの実施例は図示しない。 要素は、重くかつ耐水性を有する材料、例えばコンクリートで作られる。塩水 のような水中で、コンクリート構造物について長期間の実験を行なった。海洋生 物用の人工生育器の構成には、次の理由すなわち、 ・表面の物質がＳｉおよびＣａイオン（これらは自然の海底物質の主成分であ る）からなること、 ・食物連鎖が汚染されないこと、および ・材料の重量が、安定性の点で好ましい条件を創出すること、 からコンクリートが優れている。 ブロックの安定性および厚い部分の重量を増大させるため、ブロックの上方部 分は軽量の骨材コンクリートで鋳造することができる。頂部の軽量骨材コンクリ ートと、基部領域の通常コンクリートとの組合せの使用により最適構造が得られ る。なぜならば、この組合せは最大の海洋生物成長を与え、重量を減少しかつ安 定性を確保できるからである。 構造物の配備に際し重要なことは、全ての面が移動する水にさらされるように すること、および生育器内に棲息する全てのロブスターに充分な餌が供給される ようにするため、多数の構造物を互いに適当な距離をおいて配備することである 。要素は個々に配置できるが、これは通常、コスト−収益の理由から適していな い。 図４および図５の実施例には、充分小さい重量で問題なく配備できかつ周囲の 水にさらされる構造物の表面が体積に比べ大きい構造物が示されている。この種 類の星形構造物は、３〜６個（好ましくは３個）の個々の要素で構成できる。こ のような形状は、移動する水に乱流を発生させ、乱流の水が構造物に餌を運びか つ露出面の全ての開口にこの餌を確実に供給することを助ける。 図４に示す本発明のこの設計は一体に鋳造され、大形の輸送およびクレーンの 設備を必要とする。図５には、個々の要素が埠頭まで車で運ばれそして頂部ブラ ケット６および安全ボルト７を用いて底板５上に一体連結される設計が示されて いる。底板５、頂部ブラケット６および安全ボルト７は、耐水性を有しかつ発生 応力に耐え得る任意の適当な材料で作ることができる。 更に別の実施例では、均一な厚さを有する要素またはブロックが係留構造物を 形成するように組み立てられ（図６）、該係留構造物はロブスターの成長にとっ て適切な条件を与えることができる点と重い物体とを結びつけたものである。こ の構造物は通常のコンクリートのみで構成するか、通常のコンクリートと軽量骨 材コンクリート（該骨材コンクリートは係留構造の頂部に使用する）との組合せ で構成することができる。この設計は、プライベートハウスおよびキャビン所有 者が埠頭およびブイに取り付けて使用するのに適していると同時に、甲殻類等の 海洋生物の成長にとって最適条件を与える。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，Ｕ Ｇ)，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，Ｃ Ａ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ ，ＧＢ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ， ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，Ｍ Ｇ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ， ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．単一または幾つかの要素（１）からなるロブスター用人工生育器として使用 するための耐水性材料で形成される構造物において、 単一または複数の要素（１）はブロックとして設計されており、該ブロックは 、この周囲および厚さを形成する側面より実質的に大きい２つの対向主面（８、 ９）を備えており、ブロックの主面は先細状またはほぼ平行であり、主面を通る 断面は実質的に台形または矩形であり、対向主面（８、９）には凹部が形成され ており、該凹部は、任意の形状およびサイズの開口並びに種々の深さ（２）を備 え、および／または前記凹部は主面から主面へと貫通するトンネル（３）であり 、対向主面の凹部は互いにずれた位置に配置されていて、全厚さを凹部として利 用でき、各主面（８、９）の凹部は種々の異なるサイズの開口および深さを形成 していることを特徴とする構造物。 ２．前記耐水性材料はコンクリートであり、好ましくは通常のコンクリートと軽 量骨材コンクリートとの組合せであることを特徴とする請求の範囲第１項に記載 の構造物。 ３．前記孔のうちの少なくとも幾つかは貫通しており、他の孔は底部が塞がれて いることを特徴とする請求の範囲第１項に記載の構造物。 ４．前記要素の全ての孔が貫通していることを特徴とする請求の範囲第１項に記 載の構造物。 ５．前記要素の全ての孔は、これらの底部が塞がれていることを特徴とする請求 の範囲第１項に記載の構造物。 ６．前記凹部の開口が半円形の形状を有することを特徴とする請求の範囲第１項 に記載の構造物。 ７．３〜６個、好ましくは３個の要素が、主面（８、９）に対して９０°の方向 の断面が星形になるように一体に鋳造されているか、底板（５）、頂部ブラケッ ト（６）および安全ボルト（７）を用いて同じ星形になるように一体に連結され ていることを特徴とする請求の範囲第１項〜第６項のいずれか１項に記載の構造 物。 ８．前記要素の基部領域には通常のコンクリートが使用され、一方頂部領域には 軽量コンクリートが使用されていることを特徴とする請求の範囲第１項〜第７項 のいずれか１項に記載の構造物。 ９．均一な厚さの幾つかの要素が組み立てられて、係留構造物を形成しているこ とを特徴とする請求の範囲第１項に記載の構造物。 10．任意数の前記要素を海底に配備して、ロブスター用生育器を形成することか らなる請求の範囲第１項に記載の構造物の使用方法。 11．一体に連結または鋳造された３つの要素からなる複数の構造物を、充分な栄 養状態が得られるようにして海底に配備することを特徴とする請求の範囲第１項 に記載の構造物の使用方法。