JPH10509172A - ヒトミエリン塩基性タンパク質のペプチドアナログを用いた多発性硬化症の処置のための方法 - Google Patents

ヒトミエリン塩基性タンパク質のペプチドアナログを用いた多発性硬化症の処置のための方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒトミエリン塩基性タンパク質のペプチドアナログに関する。このペプチドアナログは、少なくとも7アミノ酸の長さで、ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基83〜99由来である。このアナログは、天然の配列の少なくとも91位、95位、または97位で改変される。さらなる改変が他の位置でなされ得る。これらのペプチドアナログを含む薬学的組成物が提供される。このペプチドアナログは、多発性硬化症の処置に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 ヒトミエリン塩基性タンパク質のペプチドアナログを用いた 多発性硬化症の処置のための方法技術分野 本発明は、一般的にヒトミエリン塩基性タンパク質のペプチドアナログを用い ることにより、多発性硬化症を処置するための方法に関する。発明の背景 多発性硬化症(MS)は、慢性の、炎症性の疾患であり、米国において約250,000 人が羅患している。臨床経過はかなり多様であり得るが、最も一般的な形態は、 神経学的欠損、特に、麻痺、感覚の欠損、および視覚障害を再発することにより 明らかにされる。 炎症のプロセスは、主に、中枢神経系の白質内で起こり、そしてTリンパ球、 Bリンパ球、およびマクロファージによって媒介される。これらの細胞は、軸索 の脱髄の原因である。MSの特徴的な病変は、その肉眼で見える様相からプラーク と呼ばれる。 多発性硬化症は、自己寛容を確立している機構をどうにか避け、そして正常組 織を攻撃する病原性T細胞から発生すると考えられている。ミエリン塩基性タン パク質に対するT細胞の反応性は、MSの発達において、重要な構成要素であり得 る。病変において見い出される病原性T細胞は、抗原レセプター(TCR)の異種 性を制限している。プラークから単離されたT細胞は、制限された数のVαおよ びVβ遺伝子セグメントの再編成を示す。さらに、TCRは、主要な抗原接触部位 である第3相補決定領域(CDR)において、いくつかの支配的なアミノ酸モチーフ を示す。3つのCDR3モチーフはすべて一緒に、ミエリン塩基性タンパク質のアミ ノ酸82〜106内のエピトープを認識することが知られているT細胞クローンにお いて同定されている。これらのモチーフは、2人のMSの患者の脳から単離したT 細胞において再編成した1つの特定のVβ遺伝子を含む再編成したTCR配列の4 4%で見い出された。 MSのための決定的な処置はまだ確立されていない。歴史的には、コルチコステ ロイドおよびACTHがMSの処置に用いられてきた。基本的には、これらの薬物は、 リンパ球に対する毒性により炎症反応を減少させる。回復は、急性悪化から促進 され得るが、これらの薬物は後の発病を妨げも、さらなる疾病の発達またはMSの 慢性的進行を妨げもしない(CarterおよびRodriguez、Mayo Clinic Proc.64:664, 1989;WeinerおよびHafler、Ann.Neurol.23:211,1988)。さらに、ステロイド処置 の実質的な副作用のため、これらの薬物の長期使用は望ましくない。 他の毒性化合物、例えばアザチオプリン、プリンアンタゴニスト、シクロホス ファミド、およびシクロスポリンは、MSの症状の処置に用いられてきた。コルチ コステロイド処置のように、これらの薬物は、せいぜい短期間で有益であり、そ して高い毒性を有する。副作用は、増加した悪性腫瘍、白血球減少、中毒性肝炎 、胃腸障害、高血圧、および腎毒性を含む(Mitchell,Cont.Clin.Neurol.77:231 ,1993;WeinerおよびHafler、前出)。T細胞に向けられた抗体に基づく治療(例 えば、抗CD4抗体)は、現在MSの処置について研究中である。しかし、これらの 薬剤は、患者を免疫無防備状態にすることによって、有害な副作用を引き起こし 得る。 より最近、MSの症状を緩和するための試みにおいて、IFN-γおよびIFN-βのよ うなサイトカインが投与されてきた。しかし、IFN-γに関するパイロット研究は 、この薬物で処置した18患者のうちの7患者が、処置開始後1カ月以内に臨床的 悪化を経験したために終了した。さらに、MBPに対する特異的応答が増加した(W einerおよびHafler、前出)。 Betaseron(改変されたβインターフェロン)は、近年MS患者に使用すること を許可されている。Betaseron処置は悪化速度においていくらか改善も示してい るが(Patyら、Neurology 43:662,1993)、処置群とコントロール群との間に臨床 的な悪化の速度に違いはなかった(IFNB MS Study Group,Neurology 43:655,199 3;Patyら、前出)。副作用は一般に観察された。最も頻繁なこのような副作用は 、発熱(患者の40%〜58%)、インフルエンザ様症状(患者の76%)、悪寒(患 者の46%)、筋肉痛(mylagias)(患者の41%)、および発汗(患者の23%)で あ った。さらに、注入部位反応(85%)(炎症、痛み、過敏症、壊死を含む)が一 般的であった(IFNB MS Study Group、前出;Connelly,Annals of Pharm.28:610, 1994)。 MSの現存する処置に関連している問題を考慮して、より効果的であり、このよ うな不都合をともなわない、改善された処置に対するやむにやまれぬ必要性があ る。本発明は、MSの処置に効果的なヒトミエリン塩基性タンパク質に対するT細 胞応答を拮抗するペプチドアナログの使用を開発し、一方、他の関連利点を提供 する。本発明の要旨 本発明は、91位のL-リジン、95位のL-スレオニン、または97位のL-アルギ ニンのいずれかが他のアミノ酸に改変されたヒトミエリン塩基性タンパク質の、 残基83〜99から選択される少なくとも7アミノ酸からなるペプチドアナログを提 供する。1つの実施態様において、このペプチドアナログは、残基86〜99より選 択される少なくとも7アミノ酸を含み、91位のL-リジンが改変され、そして残 基86、87、88、95、98、または99より選択される1〜3のさらなるL-アミノ酸 が他のアミノ酸に改変される。第2の関連する実施態様において、95位のL-ス レオニンが改変され、そして残基86、87、88、91、98および99、または86、87、 88、97、98、および99より選択される1〜3のさらなるアミノ酸が他のアミノ酸 に改変される。第3の関連する実施態様において、97位のL-アルギニンが改変 され、そして残基86、87、88、95、98、または99より選択される1〜3のさらな るアミノ酸が他のアミノ酸に改変される。 他の一連の実施態様において、ペプチドアナログは、ヒトミエリン塩基性タン パク質の残基83〜99を含み、ここで、このペプチドアナログは、好ましくは2〜 5の改変を含む。本発明の好ましい局面において、このペプチドアナログは、ア ラニンに改変された残基89、91、95、または97を有し、そしてさらなるアミノ酸 が、対応するD-型アミノ酸に改変される。 他の実施態様において、ペプチドアナログは、91位のL-リジン、95位のL-ス レオニン、または97位のL-アルギニンのいずれかが他のアミノ酸に改変され、 そしてさらに、このペプチドアナログの投与の際、タンパク質分解を低減させる ために、N末端およびC末端のアミノ酸が改変されたヒトミエリン塩基性タンパ ク質の残基86から99より選択される少なくとも7アミノ酸を含む。好ましい局面 において、N末端アミノ酸および/またはC末端アミノ酸はD-型である。 他の実施態様において、ペプチドアナログは、91位のL-リジン、95位のL-ス レオニン、または97位のL-アルギニンのいずれかが他のアミノ酸に改変され、 そしてさらに、3つまでの他のアミノ酸の改変が行われたヒトミエリン塩基性タ ンパク質の残基86〜99より選択される少なくとも7アミノ酸を含む。残基91が改 変されるペプチドアナログにおいて、残基97が置換されない場合があることを除 いて、86〜99のいずれのアミノ酸も改変され得る。同様に、残基97が改変された ペプチドアナログにおいて、残基91は改変されない場合がある。 他の実施態様は、91位のL-リジン、95位のL-スレオニン、または97位のL- アルギニンのいずれかが他のアミノ酸に改変されたヒトミエリン塩基性タンパク 質の残基86〜99より選択される少なくとも7アミノ酸を含むペプチドアナログを 提供する。好ましい局面において、残基91、95、または97が、アラニンまたは対 応するD-型アミノ酸のいずれかに改変される。 本発明のさらなる局面は、ペプチドアナログが、生理学的に受容可能なキャリ アまたは希釈物中に含まれる上記の実施態様に関するペプチドアナログを含む薬 学的組成物を提供する。 本発明のなおさらなる局面は、生理学的に受容可能なキャリアまたは希釈物と 組み合わせた上記のペプチドアナログを含む、治療的に有効量の薬学的組成物を 患者に投与することによって、多発性硬化症を処置する方法を提供する。 本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付される図を参 照して明らかとなる。さらに、特定の手順または組成物をより詳細に記載する種 々の参考文献が以下に示される。これらの参考文献の各々は、各々が個々に援用 のために示されるかのように、全体として本明細書中に参考として援用される。図面の簡単な説明 図1は、ヒトミエリン塩基性タンパク質のDNA配列および推定アミノ酸配列を 描写する。 図2は、9〜10日前にMBP(87-99)で免疫化したLewisラット由来の排出してい る(draining)リンパ節細胞の、10μMのMBP(87-99)、培地、無関係のペプチドで あるモチリン、および6つの異なるMBPアナログに対する応答を描写する。A, L-アラニン;k,D-リジン;t,D-スレオニン;r,D-アルギニン。 図3は、ヒトミエリン塩基性タンパク質(87-99)の残基91を置換されたアナ ログに対するT細胞株NBIの増殖応答を示すグラフである。10の異なる置換を試 験した。0〜150μMの範囲のペプチドアナログの濃度に応答するラットT細胞 株の増殖応答を決定した。増殖の程度は、1分あたりのカウントで示される;平 均標準誤差は±10%より少なかった。MOT、モチリン、MBPと無関係のペプチド; MBP(87-99)、ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基87〜99;K、リジン;R、ア ルギニン;N、アスパラギン;H、ヒスチジン;L、ロイシン;S、セリン;G 、グリシン;k、D-リジン;E、グルタミン酸;F、フェニルアラニン;A、 アラニン。 図4は、ヒトミエリン塩基性タンパク質(87-99)の残基95が置換されたアナ ログに対するT細胞株NBIの増殖応答を示すグラフである。10の異なる置換を試 験した。0〜150μMの範囲のペプチドアナログの濃度に応答するラットT細胞 株の増殖応答を決定した。増殖の程度は、1分あたりのカウントで示される;平 均標準誤差は±10%より少なかった。MOT、モチリン、MBPと無関係のペプチド; MBP(87-99)、ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基87-99;T、スレオニン;A 、アラニン;t、D-スレオニン;G、グリシン;I、イソロイシン;Y、チロ シン;Q、グルタミン;S、セリン;K、リジン;E、グルタミン酸;H、ヒス チジン。 図5は、ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基97が置換されたアナログに対す るT細胞株NBIの増殖応答を示すグラフである。11の異なる置換を試験した。0 〜150μMの範囲のペプチドアナログの濃度に対するT細胞の増殖応答を決定し た。増殖の程度は、1分あたりのカウントで示される。MBP 87-99、ミエリン塩 基性タンパク質(87-99);R、アルギニン;a、D-アラニン;r、D-アルギニ ン;G、グリシン;K、リジン;Q、グルタミン;E、グルタミン酸;T、スレ オニン;L、ロイシン;F、フェニルアラニン;H、ヒスチジン;A、アラニン 。 図6は、MBPのペプチドアナログの、ラットT細胞(これはMBPに対して反応す る)の増殖を阻害する能力を示しているグラフである。MBP(87-99)で免疫化した ラット由来の排出しているリンパ節細胞の、16.7、50、または150μMの各アナ ログに対する、あるいは5μMのMBP(87-99)に対する増殖応答が示されている。 アナログを、5μMのMBP(87-99)の存在下で添加した。増殖の程度は、1分あた りのカウントで示される。コントロールは、5μMのMBP(87-99)のみおよび培地 のみで構成された。h88/A91は、残基88のD-ヒスチジンおよび残基91のアラニン を有するMBP(87-99)の代表的なペプチドアナログをいう;h88/A91/p99は、残基8 8のD-ヒスチジン、残基91のアラニン、および残基99のD-プロリンを有するMBP (87-99)の別の代表的なペプチドアナログをいう。 図7は、MBP(87-99)の注入後のLewisラットにおけるEAE誘導の阻害を示すグラ フである。矢印は、PBS(コントロール)またはh88/A91ペプチドアナログのいず れかが投与された日を示す。EAEは、0、徴候なし;1、尾の麻痺;2、後肢虚 弱;3、後肢麻痺:4、後肢および前肢の麻痺として記録した。 図8は、ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基83〜99の1文字コードのアミノ 酸配列、ならびに、NBI-5719、NBI-5748、NBI-5765、NBI-5788、およびNBI-5789 のペプチドアナログのアミノ酸配列を示す。ダッシュはアミノ酸の一致を示す。 MBP(83-99)、ミエリン塩基性タンパク質残基83〜99;a、D-アラニン;A、L- アラニン;K,L-リジン;L、L-ロイシン。 図9は、MBP(83-99)の注入後のLewisラットにおけるEAEの誘導の阻害を示すグ ラフである。Lewisラットを、0日目にMBP(83-99)を用いて注入した。9日目に 、ラットを、コントロールペプチド(マッコウクジラミオグロビン(110-121)) またはペプチドアナログ(NBI-5788)のいずれかを用いて注入した。各データポ イントは、6匹の動物の臨床スコアの平均を表す。 図10は、MBP(83-99)の注入後のLewisラットにおけるEAEの誘導の阻害を示すグ ラフである。Lewisラットを、0日目にMBP(83-99)を用いて注入した。9日目に 、ラットを、コントロールペプチド(マッコウクジラミオグロビン(110-121)) またはペプチドアナログ(NBI-5788)のいずれかを用いて注入した。各データポ イ ントは、6匹の動物の臨床スコアの平均を表す。 図11は、MBP(83-99)の注入後のLewisラットにおけるEAEの誘導の阻害を示すグ ラフである。Lewisラットを、0日目にMBP(83-99)を用いて注入した。9日目に 、ラットを、コントロールペプチド(マッコウクジラミオグロビン(110-121)) またはペプチドアナログ(NBI-5765)のいずれかを用いて注入した。各データポ イントは、6匹の動物の臨床スコアの平均を表す。 図12は、MBP(87-99)の注入後のSJL/JマウスにおけるEAEの誘導の阻害を示すグ ラフである。マウスの群を、腹膜内に週1回を基礎として4週間、コントロール ペプチドまたはペプチドアナログ(NBI-5719またはNBI-5765)のいずれかを用い て注入した。各データポイントは、10匹のマウスの臨床スコアの平均を表す。 図13は、Dr2a拘束性ヒトT細胞クローン(これはMBPに対して反応する)の増 殖を阻害する、MBPのペプチドアナログの能力を示すグラフである。種々の濃度 のMBP(83-99)、および50μMのペプチドアナログまたはマッコウクジラミオグロ ビン(コントロールペプチド)のいずれかとともにインキュベートしたT細胞ク ローンの増殖応答を示す。 図14は、Dr2a拘束性ヒトT細胞クローン(これはMBPに対して反応する)の増 殖を阻害する、MBPのペプチドアナログの能力を示すグラフである。種々の濃度 のMBP(83-99)、および50μMのペプチドアナログまたはマッコウクジラミオグロ ビン(コントロールペプチド)のいずれかとともにインキュベートしたT細胞ク ローンの増殖応答を示す。 図15は、Dr2a拘束性ヒトT細胞クローン(これはMBPに対して反応する)の増 殖を阻害する、MBPのペプチドアナログの能力を示すグラフである。種々の濃度 のMBP(83-99)、および50μMのペプチドアナログまたはマッコウクジラミオグロ ビン(コントロールペプチド)のいずれかとともにインキュベートしたT細胞ク ローンの増殖応答を示す。 図16は、Dr2b拘束性ヒトT細胞クローン(これはMBPに対して反応する)の増 殖を阻害する、MBPのペプチドアナログの能力を示すグラフである。種々の濃度 のMBP(83-99)、および50μMのペプチドアナログまたはマッコウクジラミオグロ ビン(コントロールペプチド)のいずれかとともにインキュベートしたT細胞ク ローンの増殖応答を示す。 図17は、Dr2b拘束性ヒトT細胞クローン(これはMBPに対して反応する)の増 殖を阻害する、MBPのペプチドアナログの能力を示すグラフである。種々の濃度 のMBP(83-99)、および50μMのペプチドアナログまたはマッコウクジラミオグロ ビン(コントロールペプチド)のいずれかとともにインキュベートしたT細胞ク ローンの増殖応答を示す。 図18は、Dr2b拘束性ヒトT細胞クローン(これはMBPに対して反応する)の増 殖を阻害する、MBPのペプチドアナログの能力を示すグラフである。種々の濃度 のMBP(83-99)、および50μMのペプチドアナログまたはマッコウクジラミオグロ ビン(コントロールペプチド)のいずれかとともにインキュベートしたT細胞ク ローンの増殖応答を示す。 図19は、Dr2b拘束性ヒトT細胞クローン(これはMBPに対して反応する)の増 殖を阻害する、MBPのペプチドアナログの能力を示すグラフである。種々の濃度 のMBP(83-99)、および50μMのペプチドアナログまたはマッコウクジラミオグロ ビン(コントロールペプチド)のいずれかとともにインキュベートしたT細胞ク ローンの増殖応答を示す。 図20は、Dr2b拘束性ヒトT細胞クローン(これはMBPに対して反応する)の増 殖を阻害する、MBPのペプチドアナログの能力を示すグラフである。種々の濃度 のMBP(83-99)、および50μMのペプチドアナログまたはマッコウクジラミオグロ ビン(コントロールペプチド)のいずれかとともにインキュベートしたT細胞ク ローンの増殖応答を示す。 図21は、Dr2b拘束性ヒトT細胞クローン(5F6)(これはMBPに反応する)によ るTNF-αおよびIFN-γの産生を示すグラフである。このT細胞クローンを、3μ MのMBP(83-99)の存在下で、10μMのNBI-5788またはマッコウクジラミオグロビン または培地のみのいずれかとともにインキュベートした。TNF-αおよびIFN-γの 発現レベルは、pg/mlで示される。発明の詳細な説明 本発明を説明する前に、本明細書中に今後用いられる特定の用語および略語の 定義を説明することは本明細書の理解に役立ち得る。 「ヒトミエリン塩基性タンパク質」(「MBP」)は、ヒト乏突起神経膠細胞の 細胞質中に見出されるタンパク質をいう。ヒトMBPのヌクレオチド配列および推 定のアミノ酸配列を、図1に示す(配列番号 および )。図1には示され ていないが、異なるスプライシングまたは転写後修飾によって生成される、異な る分子形態のヒトミエリン塩基性タンパク質もまた、本発明の範囲内である。 ミエリン塩基性タンパク質の「ペプチドアナログ」は、少なくとも7アミノ酸 長であり、そしてそのアナログと天然のヒトミエリン塩基性タンパク質との間の アミノ酸配列において、少なくとも1つの相違(そのうちの1つは残基91、95、 または97での相違である)を含む。他に示されない限り、挙げられたアミノ酸は 、L-型をいう。天然ペプチドに由来するL-アミノ酸は、タンパク質中に通常見 出される20のL-アミノ酸のうちの任意の他の1つ、対応するD-アミノ酸のうち の任意の1つ、稀なアミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリンおよびヒドロキシ リジン)、または非タンパク質のアミノ酸(例えば、β-アラニンおよびホモセ リン)に改変され得る。本発明の範囲には、メチル化(例えば、α-メチルバリ ン)、アルキルアミン(例えば、エチルアミン、エタノールアミン、およびエチ レンジアミン)によるC末端アミノ酸のアミド化、ならびにアミノ酸側鎖官能基 のアシル化またはメチル化(例えば、リジンのイプシロンアミノ基のアシル化) などの化学的手段によって改変されたアミノ酸も含まれる。 「残基83」、「残基89」、「残基911、「残基95」、および「残基97」(それ ぞれ、83位、89位、91位、95位、97位とも呼ばれる)は、図1に示されたヒトミ エリン塩基性タンパク質のアミノ酸83、89、91、95、および97、または比較位置 でのアミノ酸をいう。より詳細には、これらの残基に関する番号付けのシステム は、ペプチドの長さまたはそのペプチド内のアミノ酸位置に関わらず、天然のヒ トタンパク質内のアミノ酸位置に関連する。 アミノ酸は、それらの標準の3文字コードまたは1文字コードによって呼ばれ る。特定されない限り、L-型のアミノ酸が意図される。1文字コードを用いる 場合、大文字がL-型を示し、そして小文字がD-型を示す。1文字コードは以下 の通りである:A、アラニン;C、システイン;D、アスパラギン酸;E、グル タミン酸;F、フェニルアラニン;G、グリシン;H、ヒスチジン;I、イソロ イシン;K、リジン;L、ロイシン;M、メチオニン;N、アスパラギン;P、 プロリン;Q、グルタミン;R、アルギニン;S、セリン;T、スレオニン;V 、バリン;W、トリプトファン;およびY、チロシン。ミエリン塩基性タンパク質のペプチドアナログ 上記のように、本発明は、ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基83〜99から選 択される少なくとも7アミノ酸を含有し、かつ天然に存在する91位でのL-リジ ン、95位でのL-スレオニン、または97位でのL-アルギニンの、別のアミノ酸へ の改変を含むペプチドアナログを提供する。1つの局面において、このペプチド アナログは、同じペプチドアナログにおいて、91位および97位の両方が改変され ない限り、ヒトミエリン塩基性タンパク質の86位、87位、88位、91位、95位、97 位、98位、および/または99位での1〜3のL-アミノ酸のさらなる改変を含む。 別の局面では、このペプチドアナログは、患者への投与に際して、これらのさら なる改変を伴わないペプチドアナログと比較して、タンパク質分解が軽減される ようなアミノ酸に改変されたN末端残基および/またはC末端残基をさらに有す る。さらなる局面において、MBPのペプチドアナログは、残基86〜99から選択さ れる少なくとも7アミノ酸を含有し、そして天然のMBPタンパク質に存在しない アミノ酸に改変された91位、95位、または97位での残基の1つを有する。同じペ プチドアナログにおいて残基91および97が改変されない限り、このような単一の 改変に加えて、残基86〜99のさらなる1〜3の改変を成し得る。なおさらなる局 面において、MBPのペプチドアナログは残基83〜99を含有し、91位でのL-リジン が別のアミノ酸に改変され、そして残基83〜90、および残基92〜99から選択され るさらなる2〜4アミノ酸が別のアミノ酸に改変される。好ましくは、少なくと も1アミノ酸が荷電されたアミノ酸で置換される。さらに、N末端アミノ酸およ び/またはC末端アミノ酸は、D-アミノ酸に改変され得る。 ペプチドアナログは、好ましくは7〜17アミノ酸であり、そして通常20アミノ 酸を越えない。特に好ましいペプチドアナログは、14〜17アミノ酸長である。残 基83、89、91、95および97(これらは天然のヒトタンパク質において、それぞれ 、 L-グルタミン酸、L-フェニルアラニン、L-リジン、L-スレオニン、およびL -アルギニンである)は、重要な残基である。本発明の中では、アナログは、91 位でL-リジン以外のアミノ酸、95位でL-スレオニン以外のアミノ酸、または97 位でL-アルギニン以外のアミノ酸を有しなければならない。 上記のように、91位での任意のアミノ酸の改変は本発明の範囲内である。好ま しいペプチドアナログは、L-リジンの、以下のアミノ酸のうちの任意の1つへ の改変を含む:D-リジン、アラニン、グリシン、グルタミン酸、フェニルアラ ニン、アルギニン、アスパラギン、ヒスチジン、ロイシン、またはセリン。これ らのアミノ酸は、保存アミノ酸(同様の荷電、極性、疎水性、および大きさ(bu lkiness))および非保存アミノ酸の両方を含む。代表的には非保存アミノ酸の 改変のみが治療効果を提供することが期待され得るが、意外にも保存的な変化( 例えば、アルギニン)でさえ、天然ペプチドと比較した場合、ペプチドアナログ の機能に顕著な影響を与える。このような置換の多様性は、上記の好ましいアミ ノ酸が、疎水性および親水性、荷電性および非荷電性、極性および非極性である という事実によってさらに説明される。 さらに、残基95での任意のアミノ酸の置換もまた、本発明の範囲内である。好 ましいペプチドアナログは、L-スレオニンの、以下のアミノ酸のうちの任意の 1つへの改変を含む:D-スレオニン、アラニン、グリシン、イソロイシン、チ ロシン、グルタミン、セリン、リジン、グルタミン酸およびヒスチジン。他の好 ましい改変は、非保存アミノ酸への改変である。特に好ましい改変は、アラニン またはD-スレオニンへの改変である。 同様に、97位での任意のアミノ酸の改変は、本発明の範囲内である。好ましい ペプチドアナログには、L-アルギニンのD-アラニン、D-アルギニン、グリシ ン、リジン、グルタミン、グルタミン酸、スレオニン、ロイシン、フェニルアラ ニン、ヒスチジン、またはアラニンへの改変が含まれる。他の好ましい改変は、 非保存アミノ酸への改変である。特に好ましい改変は、アラニンおよびD-アル ギニンへの改変である。 さらに、83位および89位での任意のアミノ酸が本発明の範囲内である。好まし いペプチドアナログには、83位でのL-グルタミン酸の、以下のアミノ酸のうち の任意の1つへの改変が含まれる:D-アラニン、L-アルギニン、L-グルタミ ン酸、および89位でのL-フェニルアラニンのアラニン、ロイシン、バリン、イ ソロイシンへの改変。 さらに、特定の実施態様では、残基86、87、88、89、95、98、または99から選 択される、少なくとも1つの他のアミノ酸が改変される。このような実施態様に おいて、2つの他のアミノ酸が変化する場合、好ましくは1つは、残基86、87、 88、または89から選択され、そしてもう1つは残基98または99から選択される。 あるいは、任意の位置での3つまでの改変がなされ得る。他の実施態様では、少 なくとも2〜4のアミノ酸(91位に加えて)が改変される。このような実施態様 では、改変されるアミノ酸は、好ましくは、83位、84位、89位、および98位から 選択される。 これらの一般的な事柄を考慮すると、本発明の範囲内のペプチドアナログは、 残基91、残基95、または残基97の改変を有する。好ましいペプチドアナログの1 セットは2重の改変を有する。1つの実施態様では、残基91は上記のように改変 され、残基87がD-バリンに改変され、残基88がD-ヒスチジンに、あるいは残基 99がD-プロリンに改変される。同様に、別の実施態様では、残基97は上記のよ うに改変され、かつ残基87がD-バリンに、残基88がD-ヒスチジンに、または残 基99がD-プロリンに改変される。なお別の実施態様では、残基95は上記のよう に改変され、かつ残基87がD-バリンに、残基88がD-ヒスチジンに、または残基 99がD-プロリンに改変される。 好ましいペプチドアナログの第2のセットは、3つの置換を有する。1つの実 施態様では、残基91がアラニンに改変され、残基87がD-バリンに、または残基8 8がD-ヒスチジンに改変され、そして残基99がD-プロリンに改変される。別の 実施態様では、残基97がアラニンに改変され、残基88がD-ヒスチジンに改変さ れ、そして残基99がD-プロリンに改変される。なお別の実施態様では、残基95 がアラニンに改変され、残基88がD-ヒスチジンに改変され、そして残基99がD- プロリンに改変される。さらに別の実施態様では、残基83がD-アラニンに改変 され、残基89がアラニンに改変され、そして残基91がアラニンに改変される。 好ましいペプチドアナログの第3のセットは、4つの置換を有する。1つの実 施態様では、残基83がD-アラニンに改変され、残基84がリジンに改変され、残 基89がロイシンに改変され、そして残基91がアラニンに改変される。別の実施態 様では、残基83がD-アラニンに改変され、残基84がリジンに改変され、残基89 および残基91がアラニンに改変される。 好ましいペプチドアナログの第4のセットは、5つの置換を有する。1つの実 施態様では、残基83および残基98がD-アラニンに改変され、残基84がリジンに 改変され、そして残基89および残基91がアラニンに改変される。別の実施態様で は、残基83および残基89がD-アラニンに改変され、残基84がリジンに改変され 、残基89がロイシンに改変され、そして残基91がアラニンに改変される。 ペプチドアナログは、自動化手順による合成を含む、標準的な化学技術により 合成され得る。一般的に、ペプチドアナログは、固相ペプチド合成法により調製 される。固相ペプチド合成法は、樹脂支持体(好ましくは、4-メチル-ベンズヒ ドリルアミン樹脂)に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(dicyclohexylcarbod imide)を用いた活性化により各々の保護されたアミノ酸残基を結合し、C末端 アミドを有するペプチドを産生する工程を含む。あるいは、クロロメチル樹脂( メリーフィールド(Merrifield)樹脂)を用いて、C末端に遊離カルボン酸を有 するペプチドを産生し得る。側鎖官能基は、以下のように保護される:セリン、 スレオニン、グルタミン酸、およびアスパラギン酸に対してはベンジル基;ヒス チジンおよびアルギニンに対してはトシル基;リジンに対しては2-クロロベンジ ルオキシカルボニル基、そしてチロシンに対しては2,6-ジクロロベンジル基。結 合に続いて、添加されるアミノ酸のαアミノ官能基上のt-ブチルオキシカルボニ ル保護基が、トリフルオロ酢酸を用いた処理によって除去され、その後、ジイソ プロピルエチルアミンを用いて中和される。次いで、次の保護残基が遊離アミノ 基上に結合され、ペプチド鎖を伸ばす。最後の残基を結合した後、保護されたペ プチド樹脂を、フッ化水素を用いて処理し、樹脂からのペプチドの切断、ならび に側鎖官能基の脱保護を行なう。粗生成物は、ゲル濾過、HPLC、分配クロマトグ ラフィー、またはイオン交換クロマトグラフィーによりさらに精製され得る。 本発明のペプチドアナログは、(a)天然のMBPペプチド(例えば、ラットで87〜 99;ヒトで83〜99)のMHCへの結合に対して競合し;(b)MBP(87-99)反応性のT細 胞株の増殖を引き起こさず;そして(c)齧歯類において、MBP(87-99)による実験 的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)の誘導を阻害するはずである。 従って、候補となるペプチドアナログは、(1)MHCへの競合的結合を測定するア ッセイ、(2)T細胞増殖を測定するアッセイ、そして(3)EAEの誘導阻害を評価す るアッセイによって、それらのMSを処置する能力についてスクリーニングされ得 る。天然のペプチドの結合を阻害し、MBP反応性細胞株の増殖を刺激せず、そし て天然のヒトMBP(87-99)によるEAEの発症を阻害するこれらのアナログは、治療 的に有用である。必須ではないが、さらなる安全性アッセイを行い、このアナロ グはそれ自体、EAEを誘導しないことを証明し得る。 MHC分子へのペプチドの結合は、全細胞においてアッセイされ得る。簡単に述 べれば、Lewisラットの脾臓細胞を、3時間培養して、ポリスチレンペトリディ ッシュに付着性細胞をくっつける。非付着性細胞を取り除く。MHCクラスII分子 を発現する細胞を含む付着性細胞を、ディッシュをかきとることによって回収す る。細胞へのペプチドアナログの結合を、蛍光アッセイによって測定する。この アッセイにおいて、脾臓の付着性細胞を、種々の濃度のペプチドアナログと混合 し、そしてCO2インキュベーター内で37℃で1時間インキュベートする。インキ ュベーション後、ビオチン標識MBP(87-99)を培養ウエルに添加する。細胞をもう 1時間インキュベートし、次いで、培地中で3回洗浄する。フィコエリトリン結 合ストレプトアビジンまたはフルオレセイン結合ストレプトアビジンを、蛍光色 素標識したOX-6またはOX-17モノクローナル抗体(これは、それぞれ、ラットMHC クラスII I-AおよびI-Eと反応する)とともに添加する。フローサイトメトリー による分析の前に、細胞を2回洗浄する。蛍光強度を、ビオチン標識MBP天然ペ プチドおよびフィコエリトリンストレプトアビジンから得られた蛍光値(実験染 色)から、フィコエリトリンストレプトアビジン単独で染色した細胞から得られ た蛍光値(コントロール染色)を引くことによって計算する。アナログを含まな い染色を100%値とする。阻害率を、各アナログについて計算し、そしてIC50値 として表す。IC50値が100μMより低いペプチドアナログが、さらなるスクリーニ ングに適している。 候補となるペプチドアナログは、T細胞株の増殖を引き起こすか、または阻害 するその能力についてさらに試験される。2つの異なるアッセイが、代替法とし て用いられ得る。第1は、T細胞増殖を引き起こすアナログの能力を直接的な様 式で測定する。第2は、天然のMBPペプチドによって誘導されるT細胞増殖を阻 害するペプチドアナログの能力を測定する。 直接的増殖アッセイでは、MBP(87-99)反応性T細胞株が、標的細胞として用い られ得る。T細胞株を、MBP(87-99)を注射したラットから採取したリンパ節から 樹立する。リンパ節細胞を単離し、そしてT細胞増殖因子としてMBP(87-99)およ びIL-2とともに5〜8日間培養する。生細胞を回収し、そしてMBP(87-99または 83-99)および照射された脾臓細胞(splenocyte)を増殖因子として、2回目の 刺激を行う。この様式で、5〜6回継代した後、細胞株の増殖能力を決定する。 MBP反応性株が増殖アッセイに用いられる。このアッセイでは、T細胞株を、種 々の濃度のペプチドアナログおよび照射された自己脾臓細胞とともに、3日間培 養する。3日後、0.5〜1.0μCiの[3H]-チミジンを、12〜16時間添加する。培養 物を回収し、そして取り込まれたカウントを決定する。平均CPMおよびその平均 の標準誤差を、3連の培養物から計算する。 上記のT細胞株の使用の代替として、MBP(87-99)を注入したLewisラット由来 の排出しているリンパ節細胞が用いられ得る。好ましくは、このアッセイは、T 細胞株を用いた増殖アッセイと組み合わせて用いられる。簡単に述べれば、Lewi sラットを、完全Freundアジュバント中のMBP(87-99)ペプチドを用いて皮下注入 する。9〜10日後、排出しているリンパ節細胞を単離し、そして単一細胞懸濁液 を調製する。リンパ節細胞を種々の濃度のペプチドアナログと、6.5%CO2を含む 加湿大気チャンバー中で3日間インキュベートする。インキュベーション後、培 養物を、1〜2μCiの[3H]-チミジンで12〜18時間パルスする。培養物を、ファ イバーガラスフィルター上に回収し、そしてシンチレーションカウンターにおい て計数する。平均CPMおよびその平均の標準誤差を、3連の培養物において決定 されたデータから計算する。比較できる濃度のMBP(87-99)からの平均応答が3標 準偏差を越えて低い結果を生じるペプチドアナログは、非刺激性と考えられる。 50μMより低いかまたは同等の濃度で増殖を刺激しないペプチドアナログは、さ らなるスクリーニングに適している。 第2のアッセイまたは代替アッセイは、T細胞増殖についての競合アッセイで ある。このアッセイでは、抗原提示の脾臓細胞を最初に照射し、次いで、天然の MBP(87-99)ペプチドとともに2〜4時間インキュベートする。これらの細胞を次 いで洗浄し、そしてMBP(87-99)に対して反応性のT細胞とともにさらに培養する 。種々の濃度の候補ペプチドアナログを、さらなる3日間培養物中に含有させる 。このインキュベーション期間の後、各培養物を1μCiの[3H]-チミジンでさら なる12〜18時間パルスする。次いで培養物をファイバーガラスフィルター上に回 収し、そして上記のように計数する。平均CPMおよびその平均の標準誤差を、3 連の培養物において決定されたデータから計算する。50μM以上の濃度で約25% まで増殖を阻害するペプチドアナログが、さらなるスクリーニングに適している 。 MBP(83-99)に反応性のヒトT細胞が、天然のMBP(83-99)ペプチドによって誘導 されるT細胞の増殖を阻害するペプチドアナログの能力を測定するために、代わ りに用いられ得る。MBP特異的T細胞は、Martinら、J.Immunol.148:1359-1366 ,1992に以前に記載されたように得られ得る。簡単に述べれば、T細胞株を、照 射されたDR適合性の末梢血細胞とともに、2mML-グルタミン、50μg/mlゲンタ マイシン、ペニシリン、およびストレプトマイシン、100ユニット/ml rlL-2なら びに10%ヒトABネガティブ血清を補充したMEM中でヒトT細胞を培養することに よって樹立する。これらのT細胞株の増殖は、クローンを、種々の濃度(1.1〜3 0μM)の天然MBP(89-99)ペプチド、50μMのペプチドアナログ、またはSWMペプチ ドとともに、照射されたDR適合性の末梢血細胞の存在下で培養することによって 刺激され、約60時間インキュベーションした後、細胞を、3Hチミジンを用いて12 時間パルスし、そして集める。取り込まれた3Hチミジンの量を測定する。 下記に詳細に考察するように、サイトカインの産生もまた、評価され得る。詳 細には、TNF-αおよびIFN-γの産生が特に興味深い。これらの前炎症性(pro-in flammatory)サイトカインは、疾患の病因において役割を果たすと考えられる。 簡単に述べれば、T細胞クローンを、刺激性MBPおよびペプチドアナログまたは コントロールペプチド(SWM)の存在下、あるいは培地単独でインキュベートす る。24時間のインキュベーション後、上清中のTNF-αおよびIFN-γのレベルを、 市販のEIAキット(Endogen,Cambridge,MA)を用いて決定する。 MHCへのMBP(87-99)の結合について競合し、かつT細胞株の直接的な増殖を引 き起こさないか、またはMBP(87-99)による増殖を阻害し得る候補となるペプチド は、MBP(87-99)によるEAEの誘導を阻害するそれらの能力についてさらに試験さ れる。簡単に述べれば、500μgのMBP(87-99)を、熱で死滅させたMycobacterium tuberculosis(H37Ra)を補充した完全Freundアジュバント中のエマルジョンと して注入する。ラットに、このエマルジョン200μlを尾の基部に皮下注入する。 ラットを、2つのグループに分ける。疾患誘導の約2日前(通常、MBP(87-99)の 注入の10日後)に、ラットを、PBSまたはPBS中のペプチドアナログのいずれかを 用いて腹腔内注入する。動物を、処置プロトコルを知らない観察者によって基本 的に毎日、臨床徴候についてモニターする。EAEを、0〜4の等級に点数付けす る:0、臨床的に正常;1、弛緩した尾の麻痺;2、後肢虚弱;3、後肢麻痺; 4、前肢および後肢の罹患。5mg/kgまたはそれ未満(ラットあたり約1mg)で 注入されたペプチドアナログは、コントロールグループにおける疾患症状の開始 後7日間にわたって、平均の累積スコアにおいて50%減少がある場合、EAEの発 症を阻害すると考えられる。 さらに、本発明において必須ではないが、安全性の測定として、適切なペプチ ドアナログを、EAEの直接的な誘導について試験し得る。実施例2に詳細に記載 するように、種々の量のペプチドアナログを、ラットの尾の基部に注入し、そし てラットを、EAEの徴候について毎日調べる。EAEを引き起こさないと考えられる ペプチドアナログは、完全Freundアジュバント中の1mg(5mg/kg)を注入した 場合、7日間にわたって、1より低いかまたは同等の平均の累積スコアを有する 。多発性硬化症の処置及び予防 上記のように、本発明は、本明細書中に記載されるように、ヒトミエリン塩基 性タンパク質のペプチドアナログの治療的に有効な量を、患者に投与することに よって、多発性硬化症を処置および予防するための方法を提供する。このような 処置に適した患者は、MSの診断についてのワークショップ(Poserら、Ann.Neur ol.13:227,1983)によって定義されたような、臨床的に明確なMSの診断を確立 する基準によって同定され得る。簡単に述べれば、臨床的に明確なMSを有する個 体は、2回の発作、ならびに2つの病変、または1つの病変の臨床証拠および別 の、異なる病変の副次的臨床証拠(paraclinical evidence)のいずれかの臨床 証拠を有している。明確なMSはまた、2回の発作の証拠および脳脊髄液中のIgG のオリゴクローナルなバンドによって、または発作、2つの病変の臨床証拠およ び脳脊髄液中のIgGのオリゴクローナルなバンドの組み合わせによって診断され 得る。臨床的に可能性のあるMSの診断については、わずかに低い基準が用いられ る。 多発性硬化症の効果的な処置は、数種の異なる方法で調べられ得る。以下の基 準のいずれかを満たすことが、効果的な処置の証拠となる。3つの主な基準が用 いられる:EDSS(長期疾病状態等級(extended disability status scale))、 悪化の出現、またはMRI(磁気共鳴画像法)。 EDSSは、MSに起因する臨床的障害を等級付けするための手段である(Kurtzke ,Neurology 33:1444,1983)。8つの機能的な系を、神経学的障害の型および 重篤度について評価する。簡単に述べれば、処置の前に、患者を以下の系におけ る障害について評価する:錐体、小脳、脳幹、知覚、腸および膀胱、視覚、大脳 など。追跡調査を一定期間で行う。点数は、0(正常)から10(MSによる死亡) までの範囲である。1つの完全な段階の減少は、本発明の文脈において、効果的 な処置の特徴である(Kurtzke,Ann.Neurol.36:573-79,1994)。 悪化は、MSに起因し得る、特有の新しい神経学的異常(IFNB MS Study Group 、前出)を伴う新しい症状の出現として定義される。さらに、悪化は、少なくと も24時間継続し、そして少なくとも30日間の安定または改善の後に起こらなけれ ばならない。簡単に述べれば、患者は、臨床医によって標準的な神経学的試験を 受ける。悪化は、神経学的評価等級(Neurological Rating Scale)(Sipeら、N eurology 34:1368,1984)の変化に従って、軽い、普通、または重いのいずれか である。毎年の悪化速度および悪化のない患者の割合を決定する。治療は、この ような測定のいずれかについて、処置群とプラセボ群との間の悪化速度および悪 化のない患者の割合において、統計学的な有為差がある場合、効果的であると考 えられる。さらに、最初の悪化の時期、ならびに悪化の期間および重篤度もまた 測定される。この点において治療としての有効性の測定は、コントロール群と比 較 した処置群において、最初の悪化の時期、ならびに悪化の期間および重篤度にお ける統計学的有為差である。 MRIは、ガドリニウム-DTPA-増強画像法(gadolinium-DTPA-enhanced imaging )(McDnaldら、Ann.Neurol.36:14,1994)を用いる活発な病変の測定、また はT2加重技術(T2-weighted techniques)を用いた病変の位置および範囲の測 定のために用いられ得る。簡単に述べれば、MRIの基準線を得る。同じ画像平面 (imaging plane)および患者の位置を、その後の各研究のために用いる。位置 づけおよび画像配列を、病変の検出を最大化し、そして病変の追跡を容易にする ために選択する。同じ位置づけおよび画像配列を、その後の研究のために用いる 。MSの存在、位置、および範囲は、放射線学者によって決定される。病変の領域 を、全ての病変領域について、スライス毎に輪郭を描き、そして合計する。3種 の分析を行ない得る:新しい病変の証拠、活発な病変の出現率、病変領域の割合 の変化(Patyら、Neurology 43:665,1993)。治療による改善は、基準線に比較 して、または処置群対プラセボ群において、個々の患者における統計学的に有為 な改善が存在する場合、確立される。 予防についての候補となる患者は、遺伝的要素の存在によって同定され得る。 例えば、大多数のMS患者は、HLA型DR2aおよびDR2bを有する。処置に適するMSの 遺伝的素因を有するMS患者は、2つのグループの中に含まれる。第1は、再発緩 解型の初期の疾患患者である。エントリー基準には、1年間を越える疾患期間、 1.0〜3.5のEDSSスコア、1年当たり0.5を越える悪化速度、および研究前の2カ 月間臨床的悪化が無いことが含まれる。第2のグループには、過去2年間にわた って1年当たり1.0 EDSSユニットを越える疾患進行を伴う人々が含まれる。 本発明の文脈におけるペプチドアナログの効力は、以下の基準に基づいて判定 される:限界希釈によって決定されたMBP反応性T細胞の頻度、MBP反応性T細胞 株およびクローンの増殖応答、患者から樹立されたMBPに対するT細胞株および クローンのサイトカインプロフィール。効力は、反応性細胞の頻度の減少、天然 のペプチドと比較した改変ペプチドによるチミジン取り込みの低減、そしてTNF およびIFN-αの低減によって確立される。臨床測定には、1および2年間隔の再 発率、およびEDSSの変化(6カ月間持続するEDSSにおける、1.0ユニットの基準 線からの進行に対する時間を含む)が含まれる。Kaplan-Meier曲線において、持 続した疾病の進行の遅れは、効力を示す。他の基準には、MRIにおけるT2画像の 領域および容積の変化、ならびにガドリニウム増強画像により決定される病変の 数および容積が含まれる。 本発明のペプチドアナログは、単独で、または薬学的組成物としてのいずれか で投与され得る。簡単に述べれば、本発明の薬学的組成物は、本明細書中に記載 の1つまたはそれ以上のペプチドアナログを、1つまたはそれ以上の薬学的また は生理学的に受容可能なキャリア、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて含有し 得る。このような組成物は、緩衝液(例えば、中性緩衝化生理食塩水、リン酸緩 衝化生理食塩水など)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロー ス、またはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチドまたはア ミノ酸(例えば、グリシン)、抗酸化剤、キレート剤(例えば、EDTAまたはグル タチオン)、アジュバント(例えば、水酸化アルニミウム)、および保存剤を含 有し得る。さらに、本発明の薬学的組成物はまた、1つまたはそれ以上のさらな る有効成分(例えば、β−インターフェロンのようなサイトカイン)を含有し得 る。 本発明の組成物は、指示された投与様式(例えば、経口、経鼻、静脈内、頭蓋 内、腹腔内、皮下、または筋肉内投与を含む)について処方され得る。本発明の 別の実施態様の範囲で、本明細書中に記載の組成物は、持続放出インプラントの 1部として投与され得る。なお別の実施態様の範囲で、本発明の組成物は、凍結 乾燥物(凍結乾燥物としての安定性を提供する適切な賦形剤を用いて)として処 方され得、そしてその後再水和される。 本発明の薬学的組成物は、処置(または予防)されるべき疾患に対して適切な 様式で、投与され得る。投与の量および頻度は、患者の状態、ならびに患者の疾 患の型および重篤度のような要因によって決定される。本発明の特に好ましい実 施態様の範囲で、本明細書中に記載のペプチドアナログまたは薬学的組成物は、 5〜50mg/kgの範囲の投与量で投与され得る。しかし、適切な投与量は、臨床試 験によって決定され得る。患者は、上記のように、MRI、EDSS、および臨床的悪 化の徴候によって治療的有効性についてモニターされ得る。 以下の実施例は、例示のために提供され、限定のためのものではない。 実施例1 ペプチドの調製 ペプチドは、ペプチド合成機(Beckman 990型)での固相方法論により合成し た。アミド化されたカルボキシル末端を有するペプチドは、p-メチルベンジドリ ルアミン樹脂(MBHA樹脂)を用いて調製した;遊離のカルボキシル末端を有する ペプチドについては、適切に保護されたアミノ酸と結合したメリーフィールド樹 脂を用いた。両方の樹脂は、Bachem Fine Chemicals(Torrance,CA)から得た 。合成に用いた誘導アミノ酸(Bachem Fine Chemicals)は、特に明記しない限 りL型配置であり、そしてN-α-アミノ機能をt-ブチルオキシカルボニル基で独 占的に保護した。側鎖の官能基は、以下のように保護した:セリン、スレオニン 、グルタミン酸、およびアスパラギン酸についてはベンジル基;ヒスチジンおよ びアルギニンについてはトシル基;リジンについては2-クロロベンジルオキシカ ルボニル基、そしてチロシンについては2,6-ジクロロベンジル基。カルボキシル 末端のアミノ酸のMBHA樹脂への結合は、Lingら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8 1:4302,1984)に従って、ジシクロヘキシルカルボジイミドを用いて行い、そし て続くアミノ酸を、ジシクロヘキシルカルボジイミドと結合させた。最後のアミ ノ酸を結合させた後、t-ブチルオキシカルボニル(t-butyoxycarbonyl)保護基 を除去し、そしてペプチド樹脂結合物を、樹脂結合物1グラムあたり、14ml フ ッ化水素酸(HF)、1.4ml アニソール、および0.28ml 硫化メチルエチル(methy lethyl sulfide)の混合物を用いて、−20℃で0.5時間、そして0℃で0.5時間処 理した。HFを、0℃での減圧により除去し、そして、得られたペプチドおよび樹 脂混合物を、ジエチルエーテルで2回および代わりにクロロホルムおよびジエチ ルエーテルで2回洗浄した。ペプチドを、2M酢酸で5回抽出し、そして抽出物 を凍結乾燥した。凍結乾燥した生成物を、最初に、短縮されたフラグメントおよ び無機塩を取り除くために30%酢酸中で処理(develop)したSephadex G-25ファ インカラム(Pharmacia-LKB,Piscataway,NJ)で精製した(Lingら、1984)。 次に、ペプチドを、CM-32カルボキシメチルセルロース陽イオン交換クロマトグ ラ フィー(Lingら、1984)によりさらに精製した。最後の精製は、Sephadex G-25 ファイン(Lingら、1984)での分配クロマトグラフィーにより達成した。この合 成生成物を、アミノ酸分析、マススペクトル分析、および逆相HPLCによって特徴 づけた。 実施例2 免疫化およびEAE誘導 MBPペプチドおよびペプチドアナログを、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で 溶解し、4mg/mlのオイル中の熱で死滅させたMycobacterium tuberculosis H37Ra (Difco Laboratories,Inc.,Detroit,MI)を補充した等容量の不完全Freund アジュバントを用いて乳状化した。ラットを、エマルジョン中の500μgのペプチ ドを含む0.1〜0.2mlを用いて尾の基部に皮下免疫し、そして臨床上の徴候につい て毎日モニターした。EAEは、0〜4のスケールで以下のように評価した:0は 、臨床的に正常;1は、弛緩した尾;2は、後肢虚弱;3は、後肢麻痺;4は、 前肢および後肢の罹患。 実施例3 長期T細胞株 抗原特異的長期T細胞株は、Ben-Nunらにより開発された方法(Eur.J.Immun ol.11:195,1981)を用いて誘導した。Lewisラットを、上記のようにMBP(87-9 9)またはMBP(83-99)で注射した。9日〜10日後、排出しているリンパ節細胞 を、刺激培地(5×10-5M 2-メルカプトエタノール、2mM L-グルタミン、1mMピル ビン酸ナトリウム、100μg/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン、お よび10% ウシ胎児血清を補充したDulbecco改変Eagle培地(Hyclone Laboratorie s,Logan,UT))中で、10〜20μMのMBP(87-99)ペプチドおよび15U/mI IL-2と 共に、5〜8日間培養(107/ml)した。5〜8日間の培養後、Ficoll-Hypaque 分離後、界面から生存細胞を回収し、そして3回洗浄した。この細胞を、補助細 胞としての5×105の照射(3000rad)した自己脾臓、および10〜20μMのMBP(87- 99)を含む培地中で、1×107細胞/mlで再度培養した。5〜6刺激サイクル後、 プレートを、MBP(87-99)に応答して増殖する細胞の能力によってスクリーニン グした。陽性の株を、24ウェル平底プレートに移し、再刺激した。 実施例4 MHC 結合アッセイ MBPペプチドおよびMBPペプチドアナログの、MHCを結合する能力を測定した。 抗原提示細胞(APC)上のMHC分子へのペプチドの結合を特徴づけるアッセイを用 いた(Mozesら、EMBO J.8:4049,1989; Gautamら、PNAS 91:767,1994)。脾臓細 胞を、標準的なポリスチレンペトリディッシュ(100×15mm)において、10%ウ シ胎児血清を補充したDulbecco改変Eagle培地(Hyclone Laboratories,Logan, UT)中で、6.5%CO2を含む37℃のインキュベーターにて3時間培養した。その後 、非接着細胞を除去し、そしてプレートをPBSで3回洗浄した。接着細胞を、ス クレーパーを用いて回収した。MBP(87-99)アナログの結合を、蛍光アッセイを 用いて測定した。簡単には、染色緩衝液(0.1%ウシ血清アルブミンを含むPBS) 中の5×105の脾臓接着細胞を、0〜400μMの範囲の異なる濃度のMBPアナログと U型96ウェルマイクロ培養プレートの個々のウェル中でそれぞれ混合し、そして 6.5%CO2インキュベーターで37℃にて1時間インキュベートした。インキュベー ション後、ビオチン標識した10μMのMBP天然ペプチドを添加し、1時間培養した 。細胞を染色緩衝液で3回洗浄した。フィコエリトリン結合ストレプトアビジン またはフルオレセイン結合ストレプトアビジン(Becton Dickinson,San Jose, CA)を、第2段階の試薬(1μg/ウェル)として、ラットMHCクラスIII-Aまた はI-Eとそれぞれ反応する蛍光色素標識した1μg/ウェルのOX-6またはOX-17モノ クローナル抗体(Pharmingen,San Diego,CA)と共に添加した。この細胞を、F ACScan(Becton Dickinson)における細胞蛍光光度分析の前に、2回洗浄した。 各試料についての蛍光強度は、ビオチン標識したMBPおよびフィコエリトリン-ス トレプトアビジンで染色されたOXポジティブ細胞より得られた蛍光から、フィコ エリトリン-ストレプトアビジン単独で染色された(コントロール染色)OXポジ ティブ細胞より得られた蛍光を、引き算することによって算定した。阻害パーセ ントを、各アナログについて算定し、IC50値で表した。 このペプチドアナログh88/A91は、D-ヒスチジンを88位に、およびアラニンを9 1位に含有し、MBP(87-99)に対するMHCについて、MBP(87-99)と同じ位効果的 に競合した。200μMでは、MBP(87-99)は68.4%までの結合を阻害し、そしてh8 8/A91は67.64%の結合を阻害した。100μMでは、MBP(87-99)は、40%の結合を 阻害し、a83、A89、A91は、25%の結合を阻害した。 実施例5 抗原特異的リンパ節細胞増殖アッセイ 雌のLewisラット(約6週齢)を、Harlan Sprague,Indianapolis,INより購 入した。MBPペプチドをリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)に溶解し、そして2mg/m lのオイル中の熱で死滅させたMyobacterium tuberculosis H37Ra(Difco)を補 充した等容量の完全Freundアジュバント(Difco Laboratories,Inc.,Detroit ,MI)を用いて乳状化した。ラットを、エマルジョン中の100μgのペプチドを含 有する0.1mlを用いて、尾の基部に皮下免疫した。免疫の9〜10日後、ラットを 屠殺し、その排出しているリンパ節を取り出し、そして単細胞の懸濁液を作製し た。細胞を、2-メルカプトエタノール(5×10-5M)、L-グルタミン(2mM)、ピ ルビン酸ナトリウム(1mM)、ペニシリン(100μg/ml)、ストレプトマイシン( 100μg/ml)、および1%正常ラット血清を補充したDulbecco改変Eagle培地(Gi bco BRL,Gaithersburg,MD)を含有する刺激培地に、1mlあたり5×106細胞に 再懸濁した。 アッセイのために、100μlのリンパ節細胞懸濁物を、10μMの種々のペプチド (ネガティブコントロールとしてモチリン;MBP87-99;培地のみ、あるいは91、 95または97位で置換されたアラニンまたはD-アミノ酸を含む)を含有する等容量 の培地の存在する96ウエル平底ウェルに添加した。次いで培養物を、7.5%CO2を 含む加湿空気中で37℃でインキュベートした。3日間のインキュベーション後、 1.0μCiのトリチウム化されたチミジン(20Ci/mM;New England Nuclear)を各 ウェルに添加し、そしてプレートをさらに12〜16時間再度インキュベートした。 次いでこのプレートを、Matrix filtermate harvester(Packard)を用いて採集し 、そしてAutomatic Direct Beta Counter(Packard)を用いて計数した。平均のcp m および平均の標準誤差は、3連のウェルから算定した。 図2に示すように、MBP(87-99)は、ペプチドアナログと対照的にリンパ節細 胞を刺激した。95位および97位でのアラニン改変、および残基91,95、および97 でのD-アミノ酸改変は、コントロールペプチドのモチリンよりも高く、細胞を刺 激できなかった。 実施例6 抗原特異的T細胞株増殖アッセイ T細胞株の抗原特異的増殖アッセイについてのアッセイを、記載(Zamvilら、 Nature 317:355-358;Offnerら、J.Immunol.148:1706-1711,1992;Goldら、J .Immunol.148:1712-1717,1992;Karinら、J.Exp.Med.180:2227-2237,1994 )されるように、96ウェル平底マイクロタイタープレートにおいて行った。T細 胞株を、実施例3に記載のように樹立した。最初に、1.5mM MBPストック溶液ま たはペプチドアナログストック溶液の1:10の希釈物を組織培養培地に添加した。 このサンプルを、3倍の連続希釈により希釈した(最終容量100μl)。応答する 連続T細胞株を、1mlあたり4×105細胞に再懸濁し、そして50μlのアリコート を各ウェルに添加した(1ウェルあたり5×104細胞)。1×106の照射された(30 00R)脾臓支持細胞もまた、各ウェルに添加した。次いで培養物を、7.5%CO2を 含む加湿空気中で、37℃で3日間インキュベートした。12〜16時間後、採集前に 、0.5μCiから1.0μCiの[3H]-チミジン(20 Ci/mM; New England Nuclear)を各 ウェルに添加し、そして培養物を再インキュベートした。次いでプレートを、Ma trix filtermate harvester(Packard)を用いて採集し、そしてAutomatic Direct Beta Counter(Packard)を用いて計数した。平均cpmおよび平均の標準誤差は、 3連のウェルから算定した。 図3、4、および5に示し得るように、91、95、または97位のいずれかを置換 したペプチドアナログは、MBP(87-99)反応性T細胞株の増殖を刺激できない。 この効果は、150μMのペプチドアナログであっても、増殖を引き起こすのに1〜 2対数有効ではないので、劇的である。 実施例7 T細胞増殖アッセイのアンタゴニズム T細胞アンタゴニズムを、De Magistrisらにより記載された(cell 58:625,1 992)ようなあらかじめパルスした(prepulsed)増殖アッセイに少し改変を加え て検出した。抗原提示脾臓細胞を、γ照射(3000rad)し、そして107細胞/ウェ ルの濃度で0.2〜2.0μMの天然のペプチドMBP(87-99)と共に、10mlの組織培養 プレートにおける刺激培地中で、6.5%CO2を含む加湿空気中、37℃にて2〜4時 間振盪しながらインキュベートした。次いで、脾臓細胞を洗浄し、そしてU型96 ウェルマイクロ培養プレートにおいて、5×105細胞/ウェル濃度で5×104の休止 MBP(87-99)反応性T細胞と共に再度培養した。種々の濃度(5〜150μMの範囲 )のアンタゴニストペプチドを、さらに72時間添加した。各ウェルを、最後の12 〜16時間、0.5〜1μCiの[3H]-チミジン(特異的活性10Ci/mmol)でパルスした 。次いで培養物を、ファイバーガラスフィルター上で採集し、そして増殖応答を CPM±SEMとして表した。 図6に示すデータは、二重に改変されたペプチドアナログh88/A91、および三 重に改変されたペプチドアナログh88/A91/p99が、MBP反応性T細胞株の増殖を有 意に阻害したことを示す。三重に改変されたアナログは、50μMおよびそれ以上 の濃度で阻害を引き起こし、一方二重に改変されたアナログは、150μMで阻害を 引き起こした。 実施例8 Lewis ラットにおける87-99誘導EAEの処置 6〜8週齢の雌Lewisラットに、500μgのMycobacterium tuberculosisを含 有するCFA中の500μgのMBP(87-99)500μgを、200μlの容量で尾の基部に接種 した。ラットを5つの群に分類した。コントロール群は0.5mlのPBSを受け、およ び処置群は、h88/A99ペプチドアナログ(1mg/0.5ml PBS)を免疫後2回、9日目 および10日目に腹腔内に受けた。動物を、基本的に毎日、疾患の徴候についてモ ニターした。EAEを、以下のスケールで記録した:0は、徴候なし;1は、尾の 麻痺;2は、後肢虚弱;3は、後肢麻痺;4は、前肢および後肢の罹患。 2回の異なる実験によるデータを、5つの動物の平均累積スコアとして得た( 図7)。未処置のコントロール動物は高いレベルの疾患を発達し続けたが、MBP ペプチド87-99のh88/A91アナログが2回の実験において有意にEAEの発症を予防 するのに効果的であった。アナログを明白な徴候の開始の直前に与えても、EAE の発症を阻止し得た。 実施例9 ペプチドアナログによるEAEの誘導 ペプチドアナログがEAEを引き起こす能力は、インビボで評価される。実施例 2に記載のように、ラットをMBP(87-99)またはh88/A91ペプチドアナログで注 射した。動物を、毎日EAEの形跡についてモニターした。MBP(87-99)を受けた ラットは、平均最大臨床スコア2.4±0.2で、100%のEAE発病率(18/18ラット) を有した。対照的に、ペプチドアナログh88/A99を受けた0/12ラットは、EAEを示 した。それゆえ、このペプチドアナログは、EAEを誘導しない。 実施例10 ペプチドアナログでのEAEの処置 91K>Aペプチドアナログは、Lewisラット系統において免疫T細胞による疾患 の養子免疫伝達を阻害し得る(Karinら、1994)。免疫系に対するAPLの効果のさ らなる特徴づけを、HBPで注射したLewisラットにおいて調査した。 この系において、尾の基部での完全Freundアジュバント(CFA)中のMBP(83-9 9)ペプチドの注射により、12匹の雌Lewisラットにおいて、実験的アレルギー性 脳脊髄炎(EAE)が誘導された。9日後、6匹の動物を2つの群に分類し、そし てペプチドアナログまたはコントロールペプチドとしてマッコウクジラミオグロ ビン(SWM)(110-121)のいずれかを13.2mg/kg皮下注射した。動物を、毎日、疾患 の徴候についてモニターし、そして増加する麻痺を示す増分を用いて、0〜4の 非線形上昇スケールにおいて、盲目的様式(blinded fashion)で計測した。各 独立スコアを群集団で平均し、平均臨床スコアを得た。このような実験の1つか ら得られた結果を図9に示す。 図9に示すように、APL NBI-5788(図8)で処置したこれらの動物における疾 患の重篤度は、コントロール群と比較して約50%減少した。図10は、3つの別々 の治療実験による結果の疾患の平均の重篤度を示す。APL NBI-5788は、このモデ ル系における疾患の重篤度および継続期間を有意に減少させた。図11は、別のAP L、NBI-5765(図8)を用いた処置による結果を示す。このAPLもまた、処置群に おける疾患の大きさを、コントロール動物よりも有意に減少させた。 これらの結果は、APLがEAEの発症を阻害することを明らかに示すが、EAEのマ ウス動物モデル系もまた開発された。SJL/J(H-25)マウスは、百日咳ワクチン の存在下、MBP(83-99)ペプチドでの免疫に応答して、EAEの慢性的な再発形態 を発生する。ペプチドアナログNBI-5719およびNBI-5765の疾患を阻害する能力を 評価した(図12を参照のこと)。 10匹の動物群を、4週間、20mg/kgのコントロールペプチドまたはペプチドア ナログのいずれかを毎週、腹腔内注射した。次いで動物を、次の2〜3ヶ月間に わたって、疾患についてモニターした。図12に見られ得るように、コントロール 群において、SJL/Jマウスは、開始約20日目にEAEの徴候を生じ、約3週間続いた 。開始約70日目に、再発が生じて、約1の平均臨床スコアに達した。しかし、AP L NBI-5765またはNBI-5719での毎週の注射は、第1相における疾患のレベルを軽 減しただけでなく、再発の重篤度も軽減した。このことは特に注目すべきである 。なぜなら動物をAPLに約1ヶ月間曝さなかったからある。 実施例11 ヒトT細胞増殖に対するペプチドアナログの効果 ペプチドアナログNBI-5719、5748、5765、5788、および5789のヒトT細胞増殖 を影響する能力をアッセイした。一定量のペプチドアナログまたはコントロール ペプチドSWM(50μM)を、種々の濃度の天然のMBP(83-99)ペプチド(1.1〜30 μM)とともに、照射されたDR適合性末梢血細胞および様々なMS患者に由来した T細胞クローンの存在下で培養した。ヒトT細胞(1×106)を、DR適合性の、照 射された末梢血細胞(PBL、5×106)とともに、3μM MBP83-99、2mM L-グルタ ミン、50μg/ml ゲンタマイシン ペニシリン/ストレプトマイシン、100U/ml r IL-2、および10%ヒトABネガティブ血清を補充したIMDM含有培地中で培養した。 細胞を、約60時間培養し、トリチウム化したチミジンを12時間パルスし、そして 採集した。組み込まれたトリチウム化されたチミジンの量を測定し、そしてデー タを、複製サンプルの平均、プラスまたはマイナスの平均標準偏差として表した 。代表的な結果を、図13および14に示す。 図13に示すように、不適切なペプチド(マッコウクジラミオグロビン、SWM 11 0-121)がT細胞の増殖能力に対する影響をほとんど有さなかった場合、MBP(83- 99)に対応するペプチドアナログNBI-5788(83E>a、84N>K、89F>L、および91K>A) は、ヒトDr2a拘束性T細胞クローンの様々な濃度のMBP(83-99)に応答する能力 を阻害した。図14は、全てのペプチドが、Dr2a拘束性T細胞の濃度依存性の様式 で天然のMBPペプチドに応答する能力を阻害したことを示す。 次いでNBI-5788の有効性を、様々な量(1.1μMから30μM)の天然のMBP(83-9 9)の存在下で、APL濃度(2μM、10μM、または50μM)を変化することにより 決定した。図15に示すように、10μMおよび50μMの両方で、NBI-5788はDr2a T 細胞株のMBP(83-99)に応答する能力を有意に変化させたが、不適切なペプチド SWMを用いると有意な阻害は見られなかった。 ペプチドアナログがDr2b(DrB1*1501)個体から単離されたMBP反応性T細胞の 増殖応答を阻害する能力を、測定した。一定量のNBI-5788(50μM)を、様々な 濃度(1.1μM〜30μM)の天然のペプチドを用いて、照射したDR適合性末梢血細 胞および様々なMS患者に由来したT細胞クローンの存在下で培養した。 図16、17、および18は、異なるT細胞株を用いた結果を示す。各T細胞クロー ンは、MBPペプチドに応答して取り込むチミジンの量を変化する。それにもかか わらず、NBI-5788は、濃度依存性の様式で、T細胞クローンのMBPペプチドに応 答する能力を阻害した。不適切なペプチドSWMは、T細胞のMBPペプチドに応答す る能力にほとんど影響を有さなかった。 図19は、NBI-5719、NBI-5748、NBI-5765、NBI-5788、およびNBI-5789の、Dr2b 拘束性ヒトT細胞クローン5F6のMBP依存性増殖を阻害する能力を示す。Dr2b拘束 性T細胞について上述したように(図14)、APLは、濃度依存性の様式でMBP依存 性増殖を阻害した。しかし、コントロールペプチドSWMは、増殖性応答に対して ほとんど影響を有さなかった。 図20は、NBI-5719およびNBI-5765の、Dr4 Dw4拘束性ヒトT細胞クローンMS-1 のMBP依存性増殖を阻害する能力を示す。Dr2拘束性T細胞を用いて上述したよう に、APLは、濃度依存性の様式においてMBP依存性増殖を阻害した。 次に、ペプチドアナログリガンドの、サイトカイン生成を影響する能力を測定 した。Dr2b拘束性T細胞クローン5F6を、3μM MBPペプチド存在下で、10μMのN BI-5788またはSWMとともに、あるいは培地のみのいずれかでインキュベートした 。コントロールとして、細胞を培地単独の存在下で培養した。24時間後、上清を 取り出し、そして腫瘍壊死因子α(TNF-α)およびインターフェロン-γ(IFN- γ)のレベルを市販のEIAキットを用いて測定した。 図21で示され得るように、MBPは、TNF-αおよびIFN-γの両方の生成を刺激し た(それぞれ、約200pg/mlおよび160pg/ml)。しかし、ペプチドアナログリガン ドNBI-5788は、両方の前炎症性サイトカインの生産を、ほぼ培地のみで達成され るレベルにまで劇的に阻害した。不適切なペプチドSWMはサイトカイン生成に対 してほとんど効果を有しなかった。ペプチドアナログNBI-5719、NBI-5748、NBI- 5765、NBI-5788、またはNBI-5789のいずれも、50μMの濃度でさえ、バックグラ ウンドを超えてサイトカイン生成を刺激しなかった(データは示さず)。 前述から、本発明の特定の実施態様が、本発明を例示する目的のために本明細 書中に記載されているが、種々の改変が、本発明の意図および範囲から逸脱する ことなくなされ得ることは明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U G),AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C N,CZ,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KG ,KP,KR,KZ,LK,LR,LT,LV,MD, MG,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,S G,SI,SK,TJ,TM,TT,UA,UZ,VN (72)発明者 ガウアー, アミタブ アメリカ合衆国 カリフォルニア 92129, サン ディエゴ,ピクラス ストリート 12570 (72)発明者 コンロン, ポール ジェイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 92075, ソラナ ビーチ,サンタ ドミンガ 450 (72)発明者 ステインマン, ローレンス アメリカ合衆国 カリフォルニア 94301, パロ アルト,リンカーン ストリート 877

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基86〜99から選択される少なくとも7 アミノ酸を含むペプチドアナログであって、残基91を含み、91位のL-リジンが 他のアミノ酸に改変され、そして86位のバリン、87位のバリン、88位のヒスチジ ン、95位のスレオニン、98位のスレオニン、および99位のプロリンからなる群よ り選択される1〜3のL-アミノ酸が、天然のタンパク質中でその位置に存在し ているアミノ酸以外のアミノ酸に改変されている、ペプチドアナログ。 2.91位のL-リジンが非保存アミノ酸に改変されている、請求項1に記載の ペプチドアナログ。 3.残基91がD-リジンに改変されている、請求項1に記載のペプチドアナロ グ。 4.残基91が、アルギニン、アスパラギン、ヒスチジン、ロイシン、セリン、 グリシン、グルタミン酸、フェニルアラニン、アラニン、およびD-リジンから なる群より選択されるアミノ酸に改変されている、請求項1に記載のペプチドア ナログ。 5.残基91がアラニンに改変され、そして残基87がD-バリンに改変されてい る、請求項1に記載のペプチドアナログ。 6.残基91がアラニンに改変され、そして残基88がD-ヒスチジンに改変され ている、請求項1に記載のペプチドアナログ。 7.残基91がアラニンに改変され、そして残基99がD-プロリンに改変されて いる、請求項1に記載のペプチドアナログ。 8.残基91がアラニンに改変され、残基87がD-バリンに改変され、そして残 基99がD-プロリンに改変されている、請求項1に記載のペプチドアナログ。 9.残基91がアラニンに改変され、残基88がD-ヒスチジンに改変され、そし て残基99がD-プロリンに改変されている、請求項1に記載のペプチドアナログ 。 10.残基88が、セリン、グルタミン酸、チロシン、ロイシン、D-ヒスチジ ン、グルタミン、フェニルアラニン、およびリジンからなる群より選択されるア ミノ酸に改変されている、請求項1に記載のペプチドアナログ。 11.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基86〜99から選択される少なくとも 7アミノ酸を含むペプチドアナログであって、残基97を含み、97位のL-アルギ ニンが他のアミノ酸に改変され、そして86位のバリン、87位のバリン、88位のヒ スチジン、95位のスレオニン、98位のスレオニン、および99位のプロリンからな る群より選択される1〜3のL-アミノ酸が、天然のタンパク質中でその位置に 存在しているアミノ酸以外のアミノ酸に改変されている、ペプチドアナログ。 12.97位のL-アルギニンが非保存アミノ酸に改変されている、請求項11 に記載のペプチドアナログ。 13.残基97がD-アルギニンに改変されている、請求項11に記載のペプチ ドアナログ。 14.残基97が、D-アラニン、D-アルギニン、グリシン、リジン、グルタミ ン、グルタミン酸、スレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、お よびアラニンからなる群より選択されるアミノ酸に改変されている、請求項11 に記載のペプチドアナログ。 15.残基97がアラニンに改変され、そして残基87がD-バリンに改変されて いる、請求項11に記載のペプチドアナログ。 16.残基97がアラニンに改変され、そして残基88がD-ヒスチジンに改変さ れている、請求項11に記載のペプチドアナログ。 17.残基97がアラニンに改変され、そして残基99がD-プロリンに改変され ている、請求項11に記載のペプチドアナログ。 18.残基97がアラニンに改変され、残基87がD-バリンに改変され、そして 残基99がD-プロリンに改変されている、請求項11に記載のペプチドアナログ 。 19.残基97がアラニンに改変され、残基88がD-ヒスチジンに改変され、そ して残基99がD-プロリンに改変されている、請求項11に記載のペプチドアナ ログ。 20.残基88が、セリン、グルタミン酸、チロシン、ロイシン、D-ヒスチジ ン、グルタミン、フェニルアラニン、およびリジンからなる群より選択されるア ミノ酸に改変されている、請求項11に記載のペプチドアナログ。 21.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基86〜99から選択される、少なくと も7アミノ酸を含むペプチドアナログであって、残基95を含み、95位のL-スレ オニンが他のアミノ酸に改変され、そして86位のバリン、87位のバリン、88位の ヒスチジン、98位のスレオニン、および99位のプロリンからなる群より選択され る1〜3のL-アミノ酸が、天然のタンパク質中でその位置に存在しているアミ ノ酸以外のアミノ酸に改変されている、ペプチドアナログ。 22.95位のL-スレオニンが非保存アミノ酸に改変されている、請求項21 に記載のペプチドアナログ。 23.残基95がD-スレオニンに改変されている、請求項21に記載のペプチ ドアナログ。 24.残基95が、アラニン、D-スレオニン、グリシン、イソロイシン、チロ シン、グルタミン、セリン、リジン、グルタミン酸、およびヒスチジンからなる 群より選択されるアミノ酸に改変されている、請求項21に記載のペプチドアナ ログ。 25.残基95がアラニンに改変され、そして残基87がD-バリンに改変されて いる、請求項21に記載のペプチドアナログ。 26.残基95がアラニンに改変され、そして残基88がD-ヒスチジンに改変さ れている、請求項21に記載のペプチドアナログ。 27.残基95がアラニンに改変され、そして残基99がD-プロリンに改変され ている、請求項21に記載のペプチドアナログ。 28.残基95がアラニンに改変され、残基87がD-バリンに改変され、そして 残基99がD-プロリンに改変されている、請求項21に記載のペプチドアナログ 。 29.残基95がアラニンに改変され、残基88がD-ヒスチジンに改変され、そ して残基99がD-プロリンに改変されている、請求項21に記載のペプチドアナ ログ。 30.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基86〜99から選択される少なくとも 7アミノ酸を含むペプチドアナログであって、残基91を含み、91位のL-リジン が他のアミノ酸に改変され、そしてインビボのペプチドアナログの投与の際、タ ンパク質分解を減少させるように、N末端アミノ酸およびC末端アミノ酸が他の アミノ酸に改変されている、ペプチドアナログ。 31.前記N末端アミノ酸および/またはC末端アミノ酸がD-アミノ酸であ る、請求項30に記載のペプチドアナログ。 32.91位のL-リジンが非保存アミノ酸に改変されている、請求項30に記 載のペプチドアナログ。 33.残基91がD-リジンに改変されている、請求項30に記載のペプチドア ナログ。 34.残基91が、アルギニン、アスパラギン、ヒスチジン、ロイシン、セリン 、グリシン、グルタミン酸、フェニルアラニン、アラニン、およびD-リジンか らなる群より選択されるアミノ酸に改変されている、請求項30に記載のペプチ ドアナログ。 35.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基86〜99から選択される少なくとも 7アミノ酸を含むペプチドアナログであって、残基95を含み、91位のL-リジン が他のアミノ酸に改変され、そしてインビボのペプチドアナログの投与の際、タ ンパク質分解を減少させるように、N末端アミノ酸およびC末端アミノ酸が他の アミノ酸に改変されている、ペプチドアナログ。 36.前記N末端アミノ酸および/またはC末端アミノ酸がD-アミノ酸であ る、請求項35に記載のペプチドアナログ。 37.95位のL-スレオニンが非保存アミノ酸に改変されている、請求項35 に記載のペプチドアナログ。 38.残基95がD-スレオニンに改変されている、請求項35に記載のペプチ ドアナログ。 39.残基95が、アラニン、D-スレオニン、グリシン、イソロイシン、チロ シン、グルタミン、セリン、リジン、グルタミン酸、およびヒスチジンからなる 群より選択されるアミノ酸に改変されている、請求項35に記載のペプチドアナ ログ。 40.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基86〜99から選択される少なくとも 7アミノ酸を含むペプチドアナログであって、残基97を含み、91位のL-リジン が他のアミノ酸に改変され、そしてインビボのペプチドアナログの投与の際、タ ンパク質分解を減少させるように、N末端アミノ酸およびC末端アミノ酸が他の アミノ酸に改変されている、ペプチドアナログ。 41.前記N末端アミノ酸および/またはC末端アミノ酸がD-アミノ酸であ る、請求項40に記載のペプチドアナログ。 42.97位のL-アルギニンが非保存アミノ酸に改変されている、請求項40 に記載のペプチドアナログ。 43.残基97がD-アルギニンに改変されている、請求項40に記載のペプチ ドアナログ。 44.残基97が、D-アラニン、D-アルギニン、グリシン、リジン、グルタミ ン、グルタミン酸、スレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、お よびアラニンからなる群より選択されるアミノ酸に改変されている、請求項40 に記載のペプチドアナログ。 45.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基86〜99から選択される少なくとも 7アミノ酸を含むペプチドアナログであって、残基91を含み、91位のL-リジン が他のアミノ酸に改変されている、ペプチドアナログ。 46.7〜12のアミノ酸を含む、請求項45に記載のペプチドアナログ。 47.残基86〜90、92〜96、98、および99から選択される1〜3のさらなる残 基を、他のアミノ酸に改変する工程をさらに包含する、請求項45に記載のペプ チドアナログ。 48.91位のL-リジンが非保存アミノ酸に改変されている、請求項45に記 載のペプチドアナログ。 49.残基91がD-リジンに改変されている、請求項45に記載のペプチドア ナログ。 50.残基91が、アルギニン、アスパラギン、ヒスチジン、ロイシン、セリン 、グリシン、グルタミン酸、フェニルアラニン、アラニン、およびD-リジンか らなる群より選択されるアミノ酸に改変されている、請求項45に記載のペプチ ドアナログ。 51.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基86〜99から選択される少なくとも 7アミノ酸を含むペプチドアナログであって、残基95を含み、95位のL-スレオ ニンが他のアミノ酸に改変されている、ペプチドアナログ。 52.残基86〜90、92〜94、および96〜99から選択される1〜3のさらなる残 基を、他のアミノ酸に改変する工程をさらに包含する、請求項45に記載のペプ チドアナログ。 53.残基86〜94、96、98、および99から選択される1〜3のさらなる残基を 、他のアミノ酸に改変する工程をさらに包含する、請求項45に記載のペプチド アナログ。 54.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基86〜99から選択される少なくとも 7アミノ酸を含むペプチドアナログであって、残基97を含み、97位のL-アルギ ニンが他のアミノ酸に改変されている、ペプチドアナログ。 55.残基86〜90、92〜96、98、および99から選択される1〜3のさらなる残 基を、他のアミノ酸に改変する工程をさらに包含する、請求項45に記載のペプ チドアナログ。 56.請求項1、11、21、30、35、40、45、51、および54の いずれか1つに記載のペプチドアナログを、生理学的に受容可能なキャリアまた は希釈物と組み合わせて含む、薬学的組成物。 57.多発性硬化症の処置方法であって、以下の工程; 請求項1、11、21、30、35、40、45、51、および54のいずれ か1つに記載のペプチドアナログを、生理学的に受容可能なキャリアまたは希釈 物と組み合わせて含む、治療的有効量の薬学的組成物を患者に投与する工程を包 含する、方法。 58.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基91がアラニンであり、残基88がD-ヒスチジンであり、そして残基9 9がD-プロリンである、請求項57に記載の方法。 59.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基91がアラニンであり、残基87がD-バリンであり、そして残基99が D-プロリンである、請求項57に記載の方法。 60.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基91がアラニンであり、そして残基88がD-ヒスチジンである、請求 項 57に記載の方法。 61.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基91がアラニンであり、そして残基87がD-バリンである、請求項5 7に記載の方法。 62.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基91がアラニンであり、そして残基99がD-プロリンである、請求項 57に記載の方法。 63.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基95がアラニンであり、残基87がD-バリンであり、そして残基99が D-プロリンである、請求項57に記載の方法。 64.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基95がアラニンであり、残基88がD-ヒスチジンであり、そして残基9 9がD-プロリンである、請求項57に記載の方法。 65.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基95がアラニンであり、そして残基88がD-ヒスチジンである、請求 項57に記載の方法。 66.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基95がアラニンであり、そして残基99がD-プロリンである、請求項 57に記載の方法。 67.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基95がアラニンであり、そして残基87がD-ヒスチジンである、請求 項57に記載の方法。 68.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基97がアラニンであり、残基87がD-バリンであり、そして残基99が D-プロリンである、請求項57に記載の方法。 69.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基97がアラニンであり、残基88がD-ヒスチジンであり、そして残基9 9がD-プロリンである、請求項57に記載の方法。 70.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基97がアラニンであり、そして残基87がD-バリンである、請求項5 7に記載の方法。 71.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基97がアラニンであり、そして残基88がD-ヒスチジンである、請求 項57に記載の方法。 72.前記ペプチドアナログが、残基86〜90から選択される14アミノ酸を含み 、そして残基97がアラニンであり、そして残基99がD-プロリンである、請求項 57に記載の方法。 73.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基83〜99を含むペプチドアナログで あって、91位のL-リジンが他のアミノ酸に改変され、そして残基83〜90および9 2〜99から選択される2〜4のさらなるL-アミノ酸が、天然のタンパク質中でそ の位置に存在しているアミノ酸以外のアミノ酸に改変されている、ペプチドアナ ログ。 74.91位のL-リジンがアラニンに改変されている、請求項73に記載のペ プチドアナログ。 75.89位のフェニルアラニンの他のアミノ酸への置換を包含する、請求項7 3に記載のペプチドアナログ。 76.N末端アミノ酸および/またはC末端アミノ酸が他のアミノ酸に改変さ れている、請求項73に記載のペプチドアナログ。 77.N末端アミノ酸および/またはC末端アミノ酸がD-アミノ酸に改変さ れている、請求項76に記載のペプチドアナログ。 78.N末端アミノ酸がヒトミエリン塩基性タンパク質の残基83である、請求 項77に記載のペプチドアナログ。 79.残基83〜90および92〜99から選択される少なくとも1つのさらなるL- アミノ酸が、荷電したアミノ酸に置換されている、請求項73に記載のペプチド アナログ。 80.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基83〜99を含むペプチドアナログで あって、83位のL-グルタミン酸がD-アラニンに改変され、84位のL-アスパラ ギンがL-リジンに改変され、89位のL-フェニルアラニンがL-ロイシンに改変 され、そして91位のL-リジンがL-アラニンに改変されている、ペプチドアナロ グ。 81.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基83〜99を含むペプチドアナログで あって、83位のL-グルタミン酸がD-アラニンに改変され、89位のL-フェニル アラニンがL-アラニンに改変され、そして91位のL-リジンがL-アラニンに改 変されている、ペプチドアナログ。 82.ヒトミエリン塩基性タンパク質の残基83〜99を含むペプチドアナログで あって、91位のL-リジンおよび89位のL-フェニルアラニンが他のアミノ酸に改 変されている、ペプチドアナログ。 83.請求項73〜82のいずれか1つに記載のペプチドアナログを、生理学 的に受容可能なキャリアまたは希釈物と組み合わせて含む、薬学的組成物。 84.多発性硬化症の処置方法であって、以下の工程: 請求項83に記載の治療的有効量の薬学的組成物を患者に投与する工程を包含 する、方法。
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