JPH10509105A - Ｐｖｏｈをベースとするコーティング組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 改善された、酸素及びフレーバー／臭気バリヤー特性を有すコーティング組成物が開示される。このコーティング組成物は、ポリオレフィンフィルムのような疎水性重合体基体をポリビニルアルコールと尿素の水溶液で被覆し、そして、そのポリビニルアルコールと尿素が、少くともその重合体基体とコーティング組成物の間にウレタン結合が生成するような橋架けを起こすのに十分な温度で乾燥することにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】 ＰＶＯＨをベースとするコーティング組成物 本発明は、ポリビニルアルコール（“ＰＶＯＨ”）をベースとし、包装用フィ ルムのような疎水性重合体基体に対し大きい酸素及びフレーバー／臭気バリヤー 特性を付与するコーティング組成物に関する。 これまで、疎水性重合体基体上で使用するためのＰＶＯＨを含む水性接着性コ ーティング組成物を製造する試みがなされてきた。例えば、ＰＶＯＨを含む一つ のコーティングが、ＰＶＯＨをイソシアナート或いはブロック・イソシアナート と、ポリオレフィンに粘着性であるコーティングを生成するように反応させるこ とにより得られるが、このコーティングは残存する毒性のある未反応イソシアナ ートも含んでいる。その結果、そのようなコーティングは食物包装用途には使用 できない。 食物の包装用に使用される特定の重合体フィルムは、本来、大気中からの酸素 が包装された食品の内部に透過するのを許容する。酸素は、酸化により包装食品 の腐敗を引き起こす。 ＰＶＯＨコーティングは、これまで、様々な基体に塗布されており、酸素の透 過に対するバリヤーになることが知られている。香辛料の包装のような特定の用 途では、ＰＶＯＨは香辛料の芳香がその包装を通して出るのを防ぐために用いら れている。他の用途では、ＰＶＯＨを含む重合体フィルムは、包装された食品内 容物がその包装の外側からの臭気または他の芳香をも捕獲するのを防ぐために用 いられる。 ポリビニルアルコールは、（‐ＣＨ₂‐ＣＨＯＨ‐）グループを含む重合体で ある。これは水溶液から塗布することが可能であり、熱可塑性重合体基体用の酸 素及びフレーバー／臭気バリヤーコーティングとして使用するのに、多くの点で 魅力的な材料である。しかし、ＰＶＯＨは水に可溶であり、その結果水分の攻撃 に敏感である。ＰＶＯＨのこの小さい耐水性が、バリヤーコーティングとしての その利用を、無水に近い条件になっている極く少ない用途に限定することになる 。水分は、摩擦による汚染若しくは摩耗、好ましくない触感及び濁った外観をも たらす。ＰＶＯＨコーティングの酸素及びフレーバー／臭気透過性は、水分含有 量 に比例して増加することも知られている。 ＰＶＯＨの耐水性を増大させるための多くの方法が知られているが、どれも完 全に満足な結果を与えない。これまでに様々な方法が実施されたにも拘らず、Ｐ ＶＯＨは未だに、水に曝された時或いは湿気に曝された場合でさえも、柔らかく なり、膨潤し、且つ粘着強さを失う傾向がある。ポリオレフィン類のような疎水 性の表面に塗布した場合、ＰＶＯＨを含むコーティングは、良く粘着せず、そし て耐湿性でない。その結果、その重合体基体表面を先ずプライマコーティングで 塗装し、次いでＰＶＯＨを含むコーティングで被覆しなくてはならない。かくし て、現時点では、プライマーとバリヤーの両方の作用をする単一コーティング組 成物は入手できない。バリヤー特性を増大させるため若しくは強化するために用 いられる現在知られているコーティングは、普通、バリヤーコーティングとフィ ルムの間の接着若しくは結合を改善するためにプライマを必要とする。 さて、ＰＶＯＨと尿素の溶液を、ＰＶＯＨが尿素と反応し得る温度で乾燥する ことにより、これまで知られていなかった酸素バリヤー特性を有する疎水性重合 体基体用のプライマーコーティング組成物が得られることが見いだされた。ＰＶ ＯＨ／尿素溶液を乾燥する間に、そのＰＶＯＨと尿素は橋架けされ、そして、少 くとも重合体基体とウレタン結合が生成する。得られるコーティング組成物は最 早水に溶けず、疎水性重合体表面望ましくはポリオレフィンに強固に粘着し、且 つ素晴らしい酸素及びフレーバー／臭気バリヤー特性を有する。 従って、本発明の一つの態様は、酸素及びフレーバー／臭気バリヤー特性を有 する耐湿性コーティングを含む疎水性重合体基体であって、該コーティングはそ の基体とそのコーティングとの間にウレタン結合が生成するように尿素で橋架け されたポリビニルアルコールを含んでなる、前記の疎水性重合体基体に関する。 さらなる一つの態様では、本発明は次の： （ｉ）該基体の表面にポリビニルアルコールと尿素の溶液を含んでなるコー ティング組成物を塗布する工程； （ｉｉ）該溶液を、ポリビニルアルコールが尿素で橋架けされるのに十分な 温度で乾燥して、該基体上に該耐湿性被膜を形成させる工程； を含んでなる疎水性重合体基体上に酸素及びフレーバー／臭気バリヤー特性を有 する耐湿性被膜を形成させる方法に関する。 本発明のコーティング組成物は、配向ポリプロピレンのような適した基体に塗 布された場合、これまで、単一の塗膜剤組成物では得られなかった、プライマー 特性と改善されたバリヤー特性の組合せを提供する。従って、次いで塗布される 、例えば熱シール性アクリル樹脂のようなトップコーティングの接着性、光沢及 び／または耐久性が改善される。 本発明のコーティング組成物は主としてプライマーとして用いられる。本発明 で用いられる“プライマー”という用語は、次いで塗布されるコーティングの接 着性、光沢及び／または耐久性を改善するために、基体に塗布されるコーティン グを意味する。 本発明のコーティング組成物は、イオン性溶媒、望ましくは水中にＰＶＯＨと 尿素を溶解して調製される。このようにして得られた溶液が適した基体に塗布さ れ、次いでそのコーティングは、ＰＶＯＨが尿素と反応するのに十分な温度で、 溶媒を追出すために乾燥され、それによって基体とのウレタン結合が形成される 。通常の温度範囲は９０から１５０℃（２００から３００°Ｆ）であり、１２０ から１３５℃（２５０から２７５°Ｆ）の範囲が望ましい。 本明細書で用いられる“ウレタン結合”という用語は、橋架け中に生成する、 一個の窒素、炭素、水素及び二個の酸素を有し、その中で、それら元素が恐らく 共有結合によって結合されている任意の官能基を意味する。本発明における架橋 は、ＰＶＯＨ／尿素溶液が乾燥される間に生じ、ウレタン結合はＰＶＯＨと尿素 の間だけでなく、その基体及び／または、そのトップコーティングの分子との間 でも形成される。その結果、本発明のプライマーは最早、湿度に敏感でなくなり 、粘着性でもなくなる。 本明細書で用いられる“ポリビニルアルコール”とは、普通、水に溶け、大半 の有機溶媒に不溶で、その高分子鎖中に（‐ＣＨ₂‐ＣＨＯＨ‐）単位が存在す ることににより特性化される固体の重合体材料を意味する。この重合体は、通常 ポリ酢酸ビニルのアセチル基を加水分解若しくはアルコリシスにより水酸基で置 換することにより合成される。水酸基で置換されたアセチル基のパーセントが、 かくして生成されるＰＶＯＨの加水分解度であり、全ての可能な水酸基の中から ＰＶＯＨ中に存在する水酸基のパーセントを示す。本発明の優れたバリヤーコー ティングがそれによって得られる橋架け反応は、ＰＶＯＨの水酸基で進行する。 それ故、本発明で有用なＰＶＯＨは、８０％から９９．６％加水分解された加水 分解度を持つべきである。４０から８０重量％の９９．６％加水分解されている ＰＶＯＨと、２０から６０重量％の８６％加水分解されているＰＶＯＨ、それぞ れからのＰＶＯＨブレンドが特に推奨される。何故なら、このようなブレンドは 、素晴らしい抵抗性、透明性、可撓性及び粘着強さを提供するからである。最も 望ましいのは、それぞれ、９９．６％加水分解物と８６％加水分解物との６０： ４０比のブレンドである。 本発明で用いられるＰＶＯＨは、任意の市場から入手される材料でよい。例え ば、デュポン社（Ｅ．Ｉ．Ｄｕｐｏｎｔ）の製品エルバノール（ＥＬＶＡＮＯＬ ）７１‐３０またはエルバノール９０‐３０である。 本発明で用いられる尿素の量は、１から２０乾燥重量％で、望ましくは５から １５乾燥重量％、そして最も望ましくは約７乾燥重量％である。 本発明の多層構造の基体として考えられる重合体材料は、本来、酸素及びフレ ーバー／臭気の透過が可能な任意の配向若しくは未配向重合体フィルムであり、 そのようなフィルムが有用であるためには、酸素及びフレーバー／臭気の透過を 減少させる必要がある。大半の場合、本発明で問題にされる酸素源は大気中の酸 素である。特に望ましいクラスのフィルムはポリオレフィン類である。ポリオレ フィン群の中で、プロピレンの単独重合体及び共重合体、低密度ポリエチレン（ “ＬＤＰＥ”）、直鎖低密度ポリエチレン（“ＬＬＤＰＥ”）及び高密度ポリエ チレン（“ＨＤＰＥ”）が望ましい。特に望ましいのは少くとも８０重量％のイ ソタクチック・ポリプロピレンを含むイソタクチック・ポリプロピレン類である 。 望ましい基体層は、その基体の全厚みの２から１２％に達する薄いスキン層と 共押出成形されていてもよい。このスキン層は、プロピレン単独重合体、プロピ レンと他のオレフィン、例えばエチレン或いはブテン‐１との共重合体、及びポ リエチレン／ポリブテン／ポリプロピレン三元共重合体から作られる。この共重 合体中に含まれていてもよい他のオレフィンの量は、１から１５重量％である。 この重合体基体は、任意の希望の厚みであってよいが、普通、その厚みは、高 速の包装装置での良好な加工性を保証するために０．５から２ミルの範囲である 。配向ポリプロピレン（“ＯＰＰ”）フィルムは、特に１．０ミルの厚みである のが望ましい。 この基体若しくはベース層を、酸素及び湿度バリヤー層を付ける前に処理する と利点があることが見いだされた。このような処理は、プライマーの接着性を含 む他のコーティングの接着性を高める。 望ましい処理は、その表面を、ＡＳＴＭ標準Ｄ２５７８‐８４の方法による表 面張力を少くとも３８から４５ダイン／ｃｍの水準にするまで処理することを含 んでいる。この処理は、火炎処理、プラズマ処理、化学的処理またはコロナ放電 処理であってもよい。火炎処理とコロナ放電処理が望ましいが、コロナ放電処理 が特に推奨される。これらの処理は、ポリオレフィン基体の表面に、ウレタン結 合の生成に利用できる酸素種を増加させると信じられる。 この処理の後に、本発明のコーティング組成物は、その重合体基体が機械装置 方向（ＭＤ）に延伸された後で［但し横方向（ＴＤ）に配向させる前に］イン‐ ラインで塗布される。その後、そのフィルムをテンタ乾燥機（ｔｅｎｔｅｒ ｏ ｖｅｎｓ）を通すことにより、このコーティング組成物が乾燥される。 本発明のコーティング組成物は、オフ‐ライン法を用いて、重合体基体に塗布 することもできる。オフ‐ライン法に含まれるのは、含浸法、スプレー法、刷毛 塗り法、ロール塗装法、グラビア塗装法、及び類似の方法のような任意に常用の 既知の方法である。 本発明のコーティング組成物は、疎水性重合体基体に１９０グラム／インチ以 上塗布した場合、熱シール性になることが見いだされた。向上した熱シール特性 を有するフィルム構造物は、包装用フィルムの内面用に使用される。 素晴らしい酸素バリヤー性に加えて特定の利便さを実現するために、他の材料 が、ＰＶＯＨと尿素の水溶液に直接添加される。塗膜の高温滑り特性を改善する ために、追加の架橋剤をＰＶＯＨと尿素の水溶液に直接添加してもよい。例えば 、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メチル化メラミ ンホルムアルデヒド樹脂が、架橋剤触媒としての硫酸の存在下で、本発明のコー ティ ング組成物に添加されることがある。追加の架橋剤を添加することにより、ＰＶ ＯＨの感湿性がさらに低下する。 そのコーティングの摩擦係数を改善するために、エチレン‐アクリル酸共重合 体（“ＥＡＡ”）が、コーティング組成物の１から２０重量％、望ましくは５か ら２０重量％の量添加さることもある。得られるフィルムは、素晴らしい滑り特 性を有し、包装機械で効率的に巻上げることができる。 ２０重量％以上ＥＡＡを添加すると、そのフィルムの熱シール特性が低下する 。本発明のフィルム構造物を熱シール性にするために、アクリル酸（普通アクリ ル系と呼ばれる）、非晶性ＰＶｄＣ系、若しくはＥＡＡ／アクリル系ブレンド、 押出し塗布型三元共重合体、キャストポリプロピレンまたはキャストポリエチレ ンが、本発明の接着性コーティング組成物の上に塗布される。 本発明のもう一つの態様では、その重合体基体は、両面にスキンを含んでいる 。さらにもう一つの態様では、本発明のコーティング組成物は、その基体の両面 に塗布される。アクリル系の層が、そのプライマーを塗布した重合体基体の両面 に塗布されることもある。 本発明は、次の実施例を参照しながら、さらに特定的に説明されるであろう。 実施例１ ポリプロピレン単独重合体のコア層が、エチレン‐プロピレン・ランダム共重 合体のスキン層共に共押出成形された。このランダム共重合体は、約３〜５重量 ％のエチレンを含んでいた。この押出されたフィルムを、機械方向に４〜５倍、 横方向に７〜１０倍二軸配向させて、約１ミルの厚みを有するフィルムを得た。 そのスキン層の厚みは、そのフィルムの約１２％であった。その両スキン層は、 大体同じ厚みであった。この複合フィルムを普通用いられている在来技術の方法 を用いて、約４２ダイン／ｃｍの湿潤張力下でコロナ放電処理した。この処理フ ィルムの両面にＰＶＯＨと尿素の０．１％水溶液から成るプライマー組成物を塗 布した。この溶液は、９３重量％の、それぞれ９９．６％加水分解ＰＶＯＨと８ ６％加水分解ＰＶＯＨとの６０：４０比のブレンドと７重量％の尿素を含んでい た。次いで、得られた塗装フィルムを９０℃と１５０℃の間の温度で乾燥した。 次いで、この乾燥したフィルムを酸素透過性装置で試験した。この装置中では 、 乾燥した酸素気流を、その気体水分含量を調節するために、塩水溶液を浸み込ま せたパッドを通し、次いで流れに逆らってその流れに直角に置かれた、架橋ＰＶ ＯＨコーティングを有するフィルムを通した。透過した酸素を測定し、一定時間 当たり、フィルムの単位面積当たり透過した酸素の量を計算した。 ＰＶＯＨ／尿素プライマー上に付けたアクリル系トップコーティングの付いた 類似のフィルム、及びポリエチレンイミン（ＰＥＩ）プライマーとアクリル系ト ップコーティングの付いたフィルムで類似の試験を行った。結果を表１に示した 。ＰＥＩプライマーとアクリル系トップコーティングの付いたフィルムは、酸素 バリヤー性が小さので高い透過速度を示した。この酸素透過速度は尿素で橋架け されたＰＶＯＨのコーティングを使用することにより有意に減少した。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．酸素及びフレーバー／臭気バリヤー特性を有する耐湿性コーティングを含 む疎水性重合体基体であって、該コーティングは基体とそのコーティングとの間 にウレタン結合が生成するように尿素で橋架けされたポリビニルアルコールを含 んでなる、前記の疎水性重合体基体。 ２．該基体がポリオレフィンフィルムである請求の範囲第１項に記載の重合体 基体。 ３．該ポリオレフィンがポリプロピレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポ リエチレン及び高密度ポリエチレンから選ばれる請求の範囲第２項に記載の重合 体基体。 ４．該フィルムが少くともその一方の側に共押出成形されたスキンを含んでい る請求の範囲第２項または第３項に記載の重合体基体。 ５．該共押出成形されたスキンが、Ｃ₂〜Ｃ₄単独重合体、プロピレン‐エチレ ン共重合体及びポリエチレン‐ポリブテン‐ポリプロピレン三元共重合体から選 ばれる請求の範囲第４項に記載の重合体基体。 ６．次の： （ｉ）該基体の表面にポリビニルアルコールと尿素の溶液を含んでなるコー ティング組成物を塗布する工程； （ｉｉ）該溶液をポリビニルアルコールが尿素で橋架けされるのに十分な温 度で乾燥して該基体上に該耐湿性被覆を形成させる工程； を含んでなる疎水性重合体基体上に酸素及びフレーバー／臭気バリヤー特性を有 する耐湿性被覆を形成させる方法。 ７．該溶液が水性である請求の範囲第６項に記載の方法。 ８．該基体がポリオレフィンフィルムである請求の範囲第６項または第７項に 記載の方法。 ９．その基体の該表面が工程（ｉ）に先立って火炎処理若しくはコロナ処理に かけられる請求の範囲第８項に記載の方法。 １０．該溶液が、さらにエチレン・アクリル酸共重合体を含んでなる請求の範 囲第６項〜第９項のいずれかに記載の方法。