JPH10508576A - 抗真菌性ペプチド - Google Patents

抗真菌性ペプチド

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JPH10508576A
JPH10508576A JP8510173A JP51017396A JPH10508576A JP H10508576 A JPH10508576 A JP H10508576A JP 8510173 A JP8510173 A JP 8510173A JP 51017396 A JP51017396 A JP 51017396A JP H10508576 A JPH10508576 A JP H10508576A
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ロジャー, ジー. ザ セカンド リトル,
エドワード リン,
ミッチェル, ビー. ファデム,
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ゾーマ コーポレイション
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、一般に、殺菌性/浸透性が向上したタンパク質(BPI)のドメインIII(第 142〜 169位のアミノ酸)から誘導あるいは基礎とした抗真菌性ペプチドと、これらペプチドの治療用途での使用に関する。これらペプチドはすべて、7〜12個のアミノ酸を有し、LIQL、IQLF、WLIQL、LIQLF およびWLQLFのコア配列と、末端領域に一つ以上の塩基性アミノ酸を含む。ペプチドは、直鎖状か環状である。

Description

【発明の詳細な説明】 抗真菌性ペプチド 本願は、いずれも本明細書に参考までに取り入れた、1993年3月12日に出願さ れた米国特許出願 No.08/030,644 の一部継続出願である、1993年7月15日に出 願された米国特許出願 No. 08/093,202 の一部継続出願である、1994年1月14日 に出願された米国特許出願 No.08/183,222 の一部継続出願である、1994年3月 11日に出願された米国特許出願 No.08/209,762 の一部継続出願である、1994年 9月15日に出願された米国特許出願 No.08/306,473 の一部継続出願である、19 95年1月13日に出願された米国特許出願 No.08/372,105 の一部継続出願であり 、また、前出の米国特許出願 No.08/209,762 の一部継続出願である、1994年7 月11日に出願された米国特許出願 No.08/273,540 の一部継続出願でもある。 発明の背景 本発明は、一般に、殺菌/浸透性増強タンパク質(BPI)のドメインIII(142〜16 9 位のアミノ酸)から誘導された抗真菌性ペプチド、あるいはそれに基づいた抗 真菌性ペプチドと、これらペプチドの治療用途での利用に関する。 BPI は、微生物による侵入に対する防御に必須の血液細胞である哺乳動物の多 形核白血球(PMNまたは好中球)の顆粒から単離されたタンパク質である。ヒトBPI タンパク質は、イオン交換クロマトグラフィー[Elsbach ら、J.Biol.Chem. ,254,11000 頁、(1979)]または大腸菌アフィニティークロマトグラフィー[We iss ら、Blood,69,652頁、(1987)]のいずれかと、 酸抽出とを併用して、PMN から単離されている。このようにして得られたBPI を 本明細書では天然型BPI と称するが、これは、広範なグラム陰性細菌に対する強 力な殺菌活性を有することが示されている。ヒトBPI の分子量はおよそ55,000ダ ルトン(55kD)である。ヒトBPI タンパク質全体のアミノ酸配列、及び該タンパク 質をコードするDNA の核酸配列は、Glayら、J.Biol.Chem.,264,9505 頁、(1 989)の図1に報告されており、かかる文献を引用することにより、それら配列を 本明細書に含むものとする。GrayらのDNAおよびアミノ酸配列は、本明細書に おいて、配列番号:205 と206 に示した。 BPI は、強い陽イオン性を有するタンパク質である。BPIのN末端半分は、高 い実効電荷の原因となり、一方、分子のC末端半分は、-3の実効電荷を有する。 [Elsbach およびWeiss(1981)、前出]。約25kDの分子量を有するBPI のタンパ ク質分解によるN末端断片は、疎水性領域と親水性領域とを交互に含み、両親媒 性の特徴を有する。ヒトBPI のこのN末端断片は、天然に由来する55kDのヒトBP I ホロタンパク質の抗細菌効果を保有している。[Ooi ら、J.Biol.Chem.,26 2,14891〜14894 頁、(1987)]。N末端部分とは対照的に、単離されたヒトBPI タンパク質のC末端領域は、グラム陰性生物に対してほんのわずかに検出可能な 抗細菌活性を呈するに過ぎない。[Ooi ら、J.Exp.Med.,174 巻、649頁、(19 91)]。「rBPI23」と称される、およそ23kDのN末端BPI 断片が、組換え法によ り製造されており、これもグラム陰性生物に対して抗細菌活性を保持するもので ある。[Gazzano-Santoro ら、Infect.Immun.60 巻、4754〜4761頁(1992)]。 この文献によれば、組換え発現生成物(rBPI23)をコードするDNA の入手源として 発現ベクターが用いられている。このベクターは、 151位のバリンがGTC でなくGTG によって決定され、また、 185位が(AAGによっ て決定された)リジンでなく(GAGによって決定された)グルタミン酸である以外は 前出のGrayらの配列に基づいた配列番号:205 と206 に示した成熟したヒトBPI のN末端の31残基のシグナル配列と最初の 199個のアミノ酸をコードするよう調 製されている。rBPI23について述べた構造上の例外点を有する前出のGrayらの配 列に基づいた配列番号:205と206 に記載の配列を有したrBPIとも称される組換 えホロタンパク質も生成されている。rBPI21あるいはrBPI21Δcys と称されるN 末端断片類似体が、本明細書に参考までに取り入れた、共同所有に係る、係属中 の米国特許 No.5,420,019に記載されている。この類似体は、132位の残基がア ラニンに置換され、かつrBPI23について述べた構造上の例外点を有する、配列番 号:205 と206 に記載のBPI ホロタンパク質の最初の 193個のアミノ酸を含んで いる。 BPI の殺菌効果は、例えばElsbach およびWeiss、Inflammation: Basic Princ iples and Clinical Correlates,eds.Gallin ら編、30章、Raven Press,Ltd.( 1992)におけるごとく、グラム陰性の種に特異性が高いとの報告がなされている 。BPI は、酵母を包含する他の微生物や、さらに高等な真核細胞に対して、通常 非毒性であると考えられている。Elsbach およびWeiss、(1992)、前出は、10-8 から10-9M程度の低濃度で、BPI が広範囲のグラム陰性細菌に対して抗細菌活性 を呈するものの、それより100 から1,000 倍高い濃度のBPI が、同時に調べたグ ラム陽性細菌種、酵母、及びさらに高等な真核細胞のすべてに対して、非毒性で あったことを報告している。グラム陽性生物である黄色ブドウ球菌(Staphylococ cus aureus)(4株)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermid is)、スタフィロコッカス・ファエカリス(Staphylococcus faecalis)、バシ ラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ミクロコッカス・リソデイクチカス (Micrococcus lysodeikticus)、及びリステリア・モノサイトゲンス(Listeri a monocytogenes)に対して、pH7.0 または5.5 のいずれかで調べた場合、10-6 Mまたは160μg/mlの濃度で、BPI は毒性効果を有しないことが報告された。報 告によれば、pH7.0 または5.5 において、BPI は10-6Mにて真菌であるカンジダ ・アルビカンス(Candida albicans)及びカンジダ・パラシロシス(Candida par asilosis)に対する毒性効果を有さず、ヒト、ウサギ及びヒツジ赤血球細胞なら びに種々のヒト腫瘍細胞系に対して非毒性であった。やはりElsbach およびWeis s の、Advances in Inflammation Research、G.Weissmann編、2巻、95〜113 頁、Raven Press(1981)を参照されたい。このように報告された標的細胞の特異 性は、リポ多糖(LPS)に対するBPI の強い誘引力の結果であると考えられていた 。LPS は、グラム陰性生物の外膜(あるいはエンベロープ)に独特のものである 。 BPI のグラム陰性細菌殺傷における正確な機構はいまだ完全には解明されてい ないが、まず、陽イオン性BPI タンパク質とLPS 上の陰性に荷電した部位との間 の静電気的相互作用及び疎水性相互作用を通して、細菌の表面にBPI が結合しな ければならないと考えられている。LPS は、それが刺激する強い炎症応答(すな わち、回復不能の内毒性ショックを最終的には惹起こしうる宿主炎症細胞による メディエータの放出)のゆえに、「内毒素」と称されている。BPI はリピドAに 結合するのであるが、これはLPS の最も毒性が強く最も生物学的活性を有する成 分であると報告されている。 感受性のグラム陰性細菌において、BPI の結合はLPS 構造を 崩壊させ、リン脂質及びペプチドグリカンを分解する細菌酵素の活性化を惹起こ し、細胞外膜の透過性を変化せしめ、最終的には細胞死へと導く事象を開始させ ると考えられる。[Elsbach およびWeiss(1992)、前出]。BPI は2段階にて作 用すると考えられる。第一は、即時的生育停止、外膜の透過性亢進(permeabili zation)ならびにリン脂質及びペプチドグリカンを加水分解する細菌酵素の選択 的な活性化によって特徴付けられる亜致死的段階である。この段階での細菌は、 血清アルブミンを追加した培地中で生育させることにより救助できる[Mannion ら、J.Clin.Invest.,85巻、853 〜860 頁、(1990)]。第二段階は、血清アル ブミンで回復しえない生長阻害により規定されるものであるが、細菌をさらに長 い間BPI に曝した後に起こるものであり、細胞質内膜への明白な損傷を含む、広 範囲の生理学的及び構造的変化により特徴付けられる。 BPI がLPS にまず結合して、正常時においてMg++およびCa++の結合を通して外 膜を安定化させる、LPS のKDO 領域中の陰イオン性の基への結合におそらくは起 因した、組織的な変化が惹起こされる。グラム陰性細菌の外膜へのBPI の付着に よりアクチノマシンDなどの疎水性物質への外膜の迅速な透過性亢進がなされる 。BPI の結合及びそれに続くグラム陰性細菌殺傷は、少なくとも部分的にLPS 多 糖の鎖長に依存するものであり、長いO-鎖を持っている「スムーズ」生物は、短 いO-鎖を持っている「ラフ」生物よりもBPI の殺菌効果に対して耐性である[We iss ら、J.Clin.Invest.,65巻、619 〜628 頁、(1980)]。このBPI の作用の 第一段階であるグラム陰性外側エンベロープの透過性亢進は、BPI の解離に際し ては可逆性であり、これは、二価陽イオンの存在及び新規LPS の合成を必要とす るプロセスである[Weiss ら、J.Immunol.,132巻、3109 〜3115頁(1984)]。しかしながら、グラム陰性細菌の生育力喪失は、エンベロー プの完全性を修復するプロセスによっては回復せず、従って殺菌作用は標的生物 に誘導される付加的な障害により媒介されるのであり、それは細胞質膜に位置す るかもしれないことが示唆される[Mannion ら、J.Clin.Invest.,86巻、631 〜641 頁、(1990)]。この可能性を特に精査して、モルベースで、BPI は少なく ともポリミキシンBと同等に細胞質膜小胞機能を阻害することが示されている[ In't Veldら、Infection and Immunity、56巻、1203〜1208頁(1988)]ものの、 正確な機構ならびに、このような小胞と無傷の生物の研究との関連は、いまだ解 明されていない。 組換え体の23kDのN末端BPI の配列の3つの異なる機能ドメインが発見されて いる[Littleら、J.Biol.Chem., 269巻、1865頁、(1994)]。BPI のこれら機 能ドメインは、タンパク質の生物学的活性に寄与するBPI のアミノ酸配列を指し 、15-mer のペプチドおよび他の合成ペプチドと重複するタンパク質分解性開裂 断片の活性によって実質的に決定される。ドメインIは、BPI の約17〜約45位の アミノ酸を含むアミノ酸配列によって決定される。このドメインに基づくペプチ ドは、LPS-誘発したLAL 活性とヘパリン結合活性双方の阻害において適度の活性 を示すが、顕著な殺菌活性は示さない。ドメインIIは、BPI の約65〜約99位のア ミノ酸を含むアミノ酸配列によって決定される。このドメインに基づくペプチド は、高いLPS 活性とヘパリン結合活性を示し、また殺菌性である。ドメインIII は、BPI の約 142〜約 169位のアミノ酸を含むアミノ酸配列によって決定される 。このドメインに基づくペプチドは、高いLPS 活性とヘパリン結合活性を示し、 また殺菌性である。機能ドメインペプチドの生物学的活性には、LPS 結合性、LP S 中 和活性、ヘパリン結合性、ヘパリン中和活性、あるいは殺菌活性が含まれる。 真菌は、有性生殖または無性生殖可能な真核細胞であり、二相性でありえ、一 つの型は天然型であり、感染した宿主において異なる型をなす。真菌性の疾患は 、真菌症と称される。ある真菌症は地方病性、すなわちその真菌の天然の生息地 である地球上の区域において感染がもたらされる。これらの地方病性の真菌症は 、通常自己限定性であり、症候性は極微である。ある真菌症は、主に日和見的で あって、臓器移植患者、化学療法を施されているガン患者、火傷患者、AIDS患者 、または糖尿病ケトアシドーシスを持つ患者などの、免疫力が低下した(immunoc ompromised)患者に発症する。 多くの理由により、真菌の感染は主要な健康上の関心事となってきており、そ の理由には利用可能な抗真菌剤の数が限定されていること、古い抗真菌剤に耐性 を有する種の発生率の増大、ならびに日和見真菌感染に対する危険性のある免疫 力が低下した患者数の増加が包含される。全身性の真菌感染症の発生率は、1980 年代に、教育研究病院において 600%、教育研究病院以外の病院において 220% 増大している。最も一般的な臨床分離菌は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)であり、これはすべての臨床分離菌の約19%を占める。ある研究では 、病院でもたらされた感染による全死亡数のほぼ40%が真菌に起因している。[ Sternberg、Science、266巻、1632〜1634頁、(1994)]。 抗真菌剤には3つの主な群が包含される。主要群にはポリエン誘導体が含まれ 、これにはアンフォテリシンBならびに構造的に関連する化合物であるナイスタ チン及びピマリシンが包含される。これらは真菌細胞膜の成分であるエルゴステ ロー ルに結合して、それにより膜を崩壊せしめる、適用範囲の広い抗真菌剤である。 アンフォテリシンBは通常、全身性の真菌症に対して有効であるが、発熱、腎障 害、ならびに貧血、低血圧、頭痛、悪心、嘔吐及び静脈炎などの他の併発する副 作用を包含する毒性作用により、その投与は限定される。類縁性のない抗真菌剤 であるフルシトシン(5-フルオロシトシン)は、経口的に吸収される薬剤である が、ある型のカンジダ症及びクリプトコッカス性髄膜炎(cryptococcal meningit is)に対するアンフォテリシンB処置の佐剤としてしばしば使用される。その副 作用には、白血球減少症及び血小板減少症を伴う骨髄抑制が包含される。 抗真菌剤の第2の主要群には、エルゴステロールの合成の損傷を起こし、真菌 の膜結合性酵素系(例えばシトクロムP450)の機能を破壊する代謝物の蓄積を導 き、そして真菌の生長を阻害するアゾール誘導体が包含される。哺乳動物のP450 を有意に阻害すると、有意な薬剤の相互作用が惹起こされる。この群の抗真菌剤 には、ケトコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、ブト コナゾール、オキシコナゾール、サルコナゾール、ターコナゾール、フルコナゾ ールおよびイトラコナゾールが包含される。これらの薬品は、全身性の真菌症を 治療するために投与することができる。経口投与されるイミダゾールであるケト コナゾールは、免疫力が低下していない患者における非髄膜性のブラストミセス 症、ヒストプラスマ症、コクシジオイデス症及びパラコクシジオイデス症を治療 するために使用され、また、口腔及び食道のカンジダ症に対しても有用である。 副作用には、まれに起こる薬剤誘導性肝炎があり、ケトコナゾールは、妊娠に禁 忌でもある。イトラコナゾールは、ケトコナゾールよりは副作用が少ないようで あり、 前記と同様の症候ほとんどに対して用いられる。フルコナゾールもまた、ケトコ ナゾールよりも副作用が少なく、口腔及び食道のカンジダ症及びクリプトコッカ ス性髄膜炎に対して使用される。ミコナゾールは、コクシジウム症及び種々の他 の真菌症において有効性を持つ腸管外用のイミダゾールであるが、高脂血症及び 低ナトリウム血症を含む副作用を有する。 抗真菌剤の第3の主要群には、皮膚の感染を治療するために通常使用されるア リルアミン−チオカーバメート類が包含される。この群には、トルナフテート( tolnaftate)及びナフチフィン(naftifine)が包含される。 他の抗真菌剤としては、局所的な処置に呼応しない皮膚、毛髪または爪の真菌 感染のために経口的に投与される静真菌剤である、グリセオフルビンがある。 大抵の地方病性真菌症は、呼吸経路によりもたらされ、症候性は極微であり、 咳、発熱、頭痛、及び胸膜痛が認められるかもしれない。場合によっては、地方 病性の真菌症は進行性の肺疾患または全身性の感染を惹起こすかもしれない。ヒ ストプラスマ(Histoplasma)により惹起こされるヒストプラスマ症は、米国にお いて最も一般的な地方病性の呼吸器系真菌症であり、4000万人を越える人々が感 染している。かかる疾患は非伝染性であり、大抵は自己限定性であるが、慢性の 肺感染及び播種性(disseminated)感染が生じる可能性がある。肺感染は滅多に 治療を要しないが、播種性の感染は、アンフォテリシンBを用いて治療されうる 。コクシジオイデス(Coccidioides)によって惹起こされるコクシジオイデス症は 、米国南西部において広く普及した非伝染性の呼吸器系真菌症である。これもや はり、通常は自己限定性であるものの、慢性の肺感染または播種性の感染を惹起 こすかもしれない。治療のために、 アンフォテリシンBまたはミコナゾールが投与されうる。ブラストミセス(Blast omyces)によって惹起こされるブラストミセス症は、非伝染性、亜急性または慢 性の地方病性真菌症であり、米国南東部において最も広く認められる。大抵の肺 感染は、おそらくは自己限定性である。進行性の肺疾患または播種性の疾患を持 つ患者、および免疫力が低下した患者は、アンフォテリシンBを用いて全身性の 治療が行われるとよい。パラコクシジオイデス(Paracoccidioides)によって惹 起こされるパラコクシジオイデス症は、非伝染性の呼吸器系真菌症であり、南米 において最も一般的な全身性の真菌症である。これは急性且つ自己限定性であり え、あるいは、進行性の肺疾患または肺外の播種を生じるかもしれない。播種性 の疾患は、概して、治療を施さなければ命に関わるものである。スルホンアミド 類が使用されうるが、成功率は低い。アンフォテリシンBが応答の率は高いが、 それでも再発が起こるかもしれない。 クリプトコッカス症は、非伝染性で、しばしば日和見性の真菌症である。これ は、しばしば髄膜炎を伴う、呼吸困難(involvement)または血行性の播種により 特徴付けられる。主たる病因学的物質は、クリプトコッカス・ネオフォーマンス (C.neoformans)である。大抵の肺感染はおそらく見落とされているが、クリプ トコッカス性髄膜炎は、報告されている疾患のうち90%に相当し、劇的であり滅 多に見落とされることはない。クリプトコッカス症は免疫力が低下した患者にお いて特に問題であって、AIDS患者の7〜10%にクリプトコッカス性髄膜炎が発症 している。髄膜炎の主な症候は頭痛であり、付随する所見には、精神的な変化、 眼の症候、聴覚減退、悪心、嘔吐、及び急発作が包含される。治療しなければ、 2年以内に80%の患者が死亡する。髄膜炎において、脳脊髄液沈渣の インディアインク調製物中にクリプトコッカスを観察することができ、脳脊髄液 から培養できる。通常、治療にはフルコナゾールまたは、アンフォテリシンBと フルシトシンの組合せが用いられるが、アンフォテリシンBは血液−脳関門を通 過しない。 アスペルギルス症は、アスペルギルス(Aspergillus、コウジカビ)種によって 惹起こされる多様な疾患プロセスを網羅する語である。アスペルギルス種は遍在 性であり、その胞子は定常的に吸入されている。既知の300 を越える種のうち、 以下のわずか数種のみが通常ヒトに対して病原となる:アスペルギルス・フミガ タス(A.fumigatus)、アスペルギルス・フラバス(A.flavus)、アスペルギル ス・ニガー(A.niger)、アスペルギルス・ニドゥランス(A.nidulans)、アス ペルギルス・テレウス(A.terreus)、アスペルギルス・シドウイ(A.sydowi) 、アスペルギルス・フラバタス(A.flavatus)、およびアスペルギルス・グラウ カス(A.glaucus)。アスペルギルス症の罹患率は上昇しており、特に慢性の呼 吸器疾患を持つ患者または免疫力が低下した患者の間で問題になっている。免疫 力が低下した患者の間において、アスペルギルス症は、最も一般的に日和見性の 真菌症としてカンジダ症に次ぐものであり、この群の全身性真菌症の約15%に相 当する。日和見性の肺アスペルギルス症は、広範な気管支びらん及び潰瘍形成、 それに続く、血栓症、閉塞及び梗塞形成を伴う、肺血管の浸潤によりその特徴が 示される。臨床的には、感染により壊死性の斑状気管支肺炎が現れ、時に出血性 の肺梗塞を伴う。症例のうち40%で、他の部位への血行性の伝播がある。アスペ ルギルス症も稀少ではあるが、火傷創の悪化を圧倒的なものにし、療治のために しばしば切断を施す必要がある。侵入性のアスペル ギルス症は、一般に致命的であり、しかして果敢なる診断及び治療が必要である 。血液、尿及び脳脊髄液の培養では滅多に陽性にならないが、塗沫標本及び生検 において、真菌を認めることができる。治療のためにアンフォテリシンBが投与 可能である。 ムコール症は、急性であり化膿性の日和見性真菌症で、免疫力が低下した患者 に鼻脳、肺または播種性の疾患を起こし、火傷または開放創を持った患者に局所 性または播種性の疾患を起こす。この感染は、接合菌類のクラスの真菌によって 惹起こされ該真菌には、バシジオボラス(Basidiobolus)、コニジオボラス(Co nidiobolus)、リゾプス(Rhizopus)、ムコール(Mucor)、アブシジア(Absidi a)、モーチエレラ(Mortierella)、クニンガメラ(Cunninghamella)、およびサ クセナエ(Saksenaea)が包含される。鼻脳ムコール症は、ムコール症の全症例の うち約半分に相当する。これは最も速やかなる致死性を持つ真菌性疾患のひとつ であり、治療されない患者は2〜10日以内で死に至る。初期の臨床的所見には、 鼻詰まり、鼻からの血液分泌、顔面膨化及び顔面痛が挙げられる。次いで、感染 は眼、頭蓋神経及び脳に伝藩する。肺のムコール症は鼻脳疾患とほぼ同様に一般 的なものであり、アスペルギルス症と同様の壊死及び梗塞形成を惹起こす。真菌 は事実上決して見出されず、あるいは血液、痰または脳脊髄液から培養もされな い。播種性のムコール症は、肺または火傷創の感染を伴う。治療にはアンフォテ リシンBが用いられる。 カンジダ症は、酵母であるカンジダの種による宿主における転移増殖または感 染によって惹起こされる局所または全身性の多様なプロセスを称する概括的な用 語である。カンジダ症は全世界において広く発生しており、皮膚、口腔及び他の 粘膜の 表面感染が一般的である。例えばガン治療に際して、正常な細菌性フローラを破 壊する抗生物質、免疫抑制剤、及び骨髄に対して毒性を有する薬剤を高い投与量 にて使用することに起因して、侵入性の全身性疾患が問題になってきている。カ ンジダの播種については、好中球減少が主たる危険因子である。カンジダ症はま た、AIDS患者、臓器移植患者、腸管外栄養を摂取している患者、ならびに放射線 治療及び化学療法を行っているガン患者などといった免疫力が低下している個体 にも見出される。カンジダ症は、世界中で最も一般的な日和見性の真菌症である 。最も一般的な病原学的物質は、カンジダ・アルビカンスである。他の感染性を 持つ種には、カンジダ・トロピカリス(C.tropicalis)、カンジダ・パラシロシ ス(C.parapsilosis)、カンジダ・ステラトイデア(C.stellatoidea)、カンジダ ・クルセイ(C.krusei)、カンジダ・パラクルセイ(C.parakrusei)、カンジダ・ ルシタナエ(C.lusitaniae)、カンジダ・シュードトロピカリス(C.pseudotropi calis)、カンジダ・ギリエルモンディ(C.guilliermondi)およびカンジダ・グ ラブラータ(C.glabrata)が包含される。カンジダ・アルビカンスは、通常、ヒ トの口腔、咽喉、胃腸管及び膣に見出される。アルビカンス以外の種は、よく皮 膚にコロニー形成している。カンジダ種は、温度または宿主に依存せず、2つの 型で存在する。通常のコロニー形成型は、特に組織侵入に際して偽菌糸体の形態 に見せかけた酵母類である。偽菌糸体は、伸長した生物体の分岐鎖の中に酵母が 連続的に出芽して生じる。 カンジダ・アルビカンスは、酵母細胞の特定の宿主組織に対する接着を担うと 考えられる、細胞壁マンノタンパク質を含んでいる。かかるマンノタンパク質の タンパク質部分よりもむしろマンナン部分が、マウスにおける脾臓及びリンパ節 への真 菌細胞の接着に寄与しているとの報告がなされている。[Kanbeら、Infection I mmunity、61巻、2578〜2584頁、(1993)]。 カンジダ・アルビカンスは、フィブロネクチン、ラミニン、ならびにI型及び IV型コラーゲンなどの細胞外マトリックス(ECM)タンパク質(これらはすべて、 ヘパリン結合ドメインを含んでいる)にも強固に結合する。このことは、カンジ ダ・アルビカンスが、ヘパリン様表面分子を発現しているかもしれないことを示 唆している。播種性のカンジダ症の病原論において、カンジダ・アルビカンスの ECM への接着が重要であるかもしれない。ヘパリン、ヘパラン硫酸およびデキス トラン硫酸グリコサミノグリカン(GAG)は、おそらくはGAG のECM タンパク質へ の結合が関与する機構によって、カンジダ・アルビカンスのECM およびECM タン パク質に対する接着を阻害し、しかしてこれらの選択的なリガンドをマスキング していることが立証されている。[Klotz ら、FEMS Microbiology Letters,78 巻、205〜208 頁、(1992)。] 臨床的には、カンジダは、表在性の粘膜皮膚感染、慢性の粘膜皮膚カンジダ症 、または全身性感染として現れる。表在性の粘膜皮膚感染は、皮膚または粘膜の いかなる領域にも生じうる。AIDS患者において一般に認められる口瘡は、舌、口 腔、または他の中咽頭表面を覆う斑状または連続的な、クリーム色から灰色の偽 膜により特徴付けられ、潰瘍または壊死を伴う可能性がある。喉頭が冒されると 、嗄声が惹起こされる。時として、中咽頭の疾患が拡張して食道炎になる場合が あり、胸骨後痛及び嚥下困難の症候を示すかもしれない。腸管のカンジダ症は、 通常は非症候性であるものの、免疫力が低下した個体における血液原性の侵入の 主因となる。間擦疹は、腋窩、そ径部、乳腺下の襞、及びその他の暖かく湿った 領域を冒し、 また、赤く侵出性の、または乾燥して鱗状の障害として現れるかもしれない。感 染は他の領域で生じる可能性もあり、それら領域には、肛門周囲や生殖器の領域 が含まれる。爪の感染である爪囲炎は、手または足が湿気に慢性的に曝されるこ とに伴うことが多い。限定的なT−細胞免疫免疫不全を持ついくらかの患者は、 慢性的な粘膜皮膚のカンジダ症を併発する。これらの患者は、皮膚、頭皮、爪及 び粘膜の、頑固な表面性カンジダ感染に罹患する。 全身性カンジダ症のほとんどの症例は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ トロピカリス、および増加傾向にあるカンジダ・グラバラータによって惹起こさ れる。カンジダの感染による臨床的な明示は、眼、腎臓及び皮膚に、主として現 れる。眼では、単一または複数の、白い綿毛状の脈絡膜と網膜の障害が生じるか もしれない。これらの障害は、視覚消失の潜在的な原因である。腎臓が冒される と、瀰漫性膿瘍、毛細管壊死及び尿管の閉塞が発症する。感染によって、進行性 の腎不全が惹起こされることがある。全身性のカンジダ感染はまた、赤変部分で 取り囲まれた斑小結節性の皮膚障害としても現れ、これら障害は、ざ瘡に類似し た外観を有するが潜在的致死性を呈する疾患の主な端緒となる。全身性のカンジ ダ症において他に明示されるものに、骨髄炎、関節炎、髄膜炎、及び脳、心臓、 肝臓、脾臓及び甲状腺における膿瘍が包含される。肺が冒されることも一般的で あるが、肺障害は、通常小さいので、胸部X線では認められない。最後に、カン ジダ心内膜炎は、長期にわたる静脈内治療または心臓弁インプラントを受けてい る患者において、または静脈内薬剤の乱用者において発症する可能性がある。真 菌による障害は、弁に現れ、大血管に梗塞を形成したり閉塞を起こしうる。 表面感染は、10%の水酸化カリウムの存在下で、感染した障害の切屑またはス ワブを顕微鏡で調べることによって診断される。カンジダ生物は、グラム染色で も見ることができる。心内膜炎は、血液培養または超音波心臓動態診断で肥厚し た弁の障害を証明することによって診断される。全身性カンジダ症は、感染の通 常部位での移しいコロニー形成の存在により、播種の発症が示唆されるものの、 その立証はなされないので、診断が困難であるかもしれない。全身性カンジダ症 の最も信頼のおける証拠は、組織侵入のバイオプシーによる立証、または脳脊髄 液、肋膜もしくは腹膜液などの閉鎖系の体腔中の液体からの酵母の回収である。 同様に、陽性の血液または尿または痰培養により、侵入性の疾患であるか、また は、内在するデバイス、例えばカテーテルまたは静脈内ラインの周囲に単に局在 するだけの疾患であるかが示されるかもしれない。 粘膜皮膚の感染は、ナイスタチン、アンフォテリシンB、クロトリマゾール、 ミコナゾール、ハロプロジンまたはゲンチアンバイオレットの局所用製剤で治療 されうる。口腔咽頭または食道のカンジダ症は、ケトコナゾールまたはフルコナ ゾールなどの全身用薬剤を用いて治療することができる。慢性的な粘膜皮膚カン ジダ症症候群は、アンフォテリシンBまたはケトコナゾールなどの、局所または 全身用治療薬に感応するかもしれないが、薬物投与が中断されると、しばしば再 発する。膀胱炎は、アンフォテリシンBを用いた膀胱洗浄、またはフルシトシン を経口投与しつつもしくはこの経口投与をせずに、短期間少量のアンフォテリシ ンBを静脈内経路で投与することにより治療されうる。心内膜炎は、6から10週 間アンフォテリシンB及びフルシトシンを併用して、弁の取替を行わなければ、 本質的には治癒不能である。しかしながら、療法を用いても、 心内膜炎の完全な治癒は必ずしも可能でない。 全身性カンジダ症の死亡率は、約50%である。全身性カンジダ症は、フルコナ ゾール(静真菌剤)、またはアンフォテリシンB(殺真菌剤)を用いて治療する ことができるが、アンフォテリシンBを全身に用いることは、その毒性により制 限がある。双方の薬剤とも、シクロスポリンA(それ自体腎毒性を有する)と併 用して用いる場合、実質的な副作用を有する。感染を制御するために、静脈内ラ インまたはカテーテルなどの促進的(precipitating)因子を除去することも重要 である。特に、免疫力が低下していない患者において、全身性カンジダ症を治療 するために、フルシトシン療法をアンフォテリシンB療法に追加することができ る。しかしながら、免疫力が低下した患者では、これらの感染は問題を孕んでお り、有効な治療に抗するものである。かかる患者では、全身性カンジダ症の死亡 率は90%を越える。さらに、慢性の粘膜皮膚カンジダ症及びカンジダ性心内膜炎 は、治癒したと言明された後に疾患の証拠が示されることがしばしばある。 当該技術分野において、新しい抗真菌方法および材料に対する要求は現存し続 けている。特に、全身性の真菌症のために有効な抗真菌療法は限られている。こ の要求に応じる産物および方法には、理想的には、合成法または組換え法により 大量に入手可能な、実質的に非毒性の化合物が包含されよう。理想的な化合物は 、唯一の抗真菌剤として投与または適用した場合に種々の異なる真菌種に対して 迅速な作用、ならびに広範なる殺真菌または静真菌活性を有するものであろう。 理想的な化合物は、他の抗真菌剤との併用療法においても、特に、療法が有効で あるために必要とされる抗真菌剤の量をこれらの活性が低減させ、かかる薬剤の 効果を増強し、もしくは潜在的な毒 性の応答及び治療における価格の高騰を限度あるものにする場合に、有用であろ う。 発明の要約 本発明は、殺菌/浸透性増強タンパク質(BPI)のドメインIII(142〜169 位のア ミノ酸)から誘導された、あるいは、それに基づいた新規の抗真菌性ペプチドと 、これらペプチドの抗真菌剤としての治療用途での利用に関する。本発明のペプ チドの治療的有効量を投与することにより、真菌感染に罹患している被験者を治 療する方法において有用である。これは、ドメインIII誘導ペプチドが、殺真菌 /静真菌作用を有するという、驚くべき発見に基づくものである。また、これら ペプチドが、LPS 中和活性を有していることは、驚きに価する第二の発見である 。この活性は、真菌感染の治療において本発明のペプチドを使用する上で有利な 点でもある。ドメインIII誘導ペプチドは、単独でも、または既知の抗真菌剤と 組み合わせて投与するとよい。被験者に補助的な療法がなされる場合、ドメイン III誘導ペプチドの投与により有効な治療のために必要とされる抗真菌剤の量を 減じることができ、しかして、潜在的な毒性応答及び/または治療に要する価格 の高騰が限度あるものになる。ドメインIII誘導ペプチドの投与はまた、かかる 薬剤の作用を増強し、かかる薬剤の作用を促進し、あるいは、このような薬剤に 対する真菌の耐性を無効にするかもしれない。 加えて、本発明は、真菌をドメインIII誘導ペプチドに接触させることを含む 、殺真菌または真菌生長阻害の方法を提供する。この方法は、in vivo、または 液体及び表面の浄化のため、ならびに、補綴用の関節及び内在する侵入デバイス を包含する、外科用及び他の医療用装置及び埋込可能なデバイスを滅菌する ための多岐にわたる in vitro 用途などで、実施することができる。 本発明のさらなる特徴には、真菌感染の治療のための医薬製造のためのドメイ ンIII誘導ペプチドの使用が包含される。医薬には、ドメインIII誘導ペプチドに 加えて、抗真菌剤などの他の化学療法剤が含有されうる。 当業者には、本発明の現在好ましい実施態様を記載した、以下の発明の詳細な 説明を考慮すれば、本発明の多くの付加的な特徴や利点が明らかになるであろう 。 図面の簡単な説明 図1は、カンジダ・アルビカンスに対する様々なペプチドの活性に関するブロ スアッセイ試験の結果を示す。 図2Aおよび2Bは、カンジダ・アルビカンス SLU-1(図2A)およびカンジダ・ア ルビカンス SLU-1(図2B)に対する様々なペプチドの活性に関する放射拡散試験 の結果を示す。 図3は、カンジダ・アルビカンスに対するアンフォテリシンBとペプチドの組 み合わせによる活性に関するブロスアッセイ試験の結果を示す。 図4、5および6は、カンジダ・アルビカンスによる攻撃、ならびにペプチド または緩衝液を用いた処置後のマウスにおける生存データをグラフにより表す。 図7は、カンジダ・アルビカンスによる攻撃、ならびにペプチドまたは緩衝液 を用いたシクロスポリン処置後のマウスにおける生存データをグラフにより表す 。 図8は、様々なペプチドの活性に関するRAW 細胞アッセイ試験の結果を示す。 図9は、E.coli 0111: B4 LPSによる攻撃、ならびにペプチ ドで処置したマウスにおける生存データをグラフにより表す。 発明の詳細な説明 本発明は、ドメインIII誘導ペプチドが抗真菌活性を有し、また、真菌感染に 罹患した被験者を治療するために投与できるという驚くべき発見に関連する。こ れらペプチドによって、真菌感染を治療する方法も提供するものである。予期せ ざることに、ドメインIII誘導ペプチドは、in vitro殺菌分析系ならびに真菌感 染の in vivoモデルにおいて、例えば真菌による攻撃後の生存が向上することも しくは循環系でのコロニー形成単位が減少することなどによって判定して、双方 で抗真菌活性を有することが立証された。アスペルギルスによって惹起こされる 感染、クリプトコッカス性髄膜炎などのクリプトコッカスにより惹起こされる感 染、ならびにカンジダ種によって惹起こされる粘膜皮膚及び全身性カンジダ症を 包含する種々の真菌感染を、本発明によって治療することができる。さらに、予 期せざることに、in vitro分析系ならびに真菌感染の in vivoモデルにおいて、 ドメインIII誘導ペプチドが、LPS 中和活性を有していることが実証されたので ある。この活性は、トランスロケーションあるいは感染拡大に起因する細菌性 L PSが、真菌感染に関連している場合に、真菌感染の治療において有利である。 本明細書で使用する「ドメインIII誘導ペプチド」の語は、抗真菌活性を有す る、BPI タンパク質の第 142〜 169位のアミノ酸配列、そのサブ配列、およびそ の配列の変異体あるいはその変異配列のサブ配列を含む。特に意図しているのは 、6〜14個のアミノ酸と、BPI タンパク質の約 148〜約 161位のアミノ酸配列、 そのサブ配列、およびその配列の変異体あるいはその変異配列のサブ配列を含ん だ抗真菌性ペプチドである。好ま しいペプチドは、14個のアミノ酸を有し、そして、好ましい変異配列あるいはそ のサブ配列は、第 152位のGに対応するアミノ酸がKになっている配列である。 14個のアミノ酸を有する好ましいペプチド配列は、LIQL、IQLF、WLIQL、LIQLF およびWLIQLFからなるグループから選択されたコアアミノ酸配列あるいはこれら 配列に対して少なくとも75%の相同性を示すコアアミノ酸配列変異体を有してお り、配列番号:4(XMP.13)、6〜19(XMP.31-44)、21〜22(XMP.82-83)、23〜25(X MP.85-87)、26〜27(XMP.91-92)、28〜31(XMP.94-97)、32〜33(XMP.100-101)、34 (XMP.104)、35〜40(XMP.106-111)、41(XMP.113)、42(XMP.116)、43〜55(XMP.123 -135)、57〜58(XMP.138-139)、59〜61(XMP.142-144)、62(XMP.146)、66〜78(XMP .222-234)、80〜88(XMP.236-244)、89〜109(XMP.249-269)および116(XMP.283) に記載のペプチドがある。抗真菌性の14mer のペプチドのこのグループは、少な くとも一つのBPI 配列残基が、D-異性体アミノ酸で置換された変異配列ペプチド を含む。例えば、配列番号:46(XMP.126)、48(XMP.128)、86〜87(XMP.242-243) および92〜93(XMP.252-253)を参照のこと。不定型のアミノ酸、例えば、β(1- ナフチル)A、β(2-ナフチル)A、パラ−アミノF、シクロヘキシルA、α− およびγ−アミノ酪酸、αメチルAおよびNメチルG、VおよびLによるBPI配 列の置換に関与する変異配列もこのグループに属する。 7〜12個のアミノ酸を有する本発明の好適なドメインIII誘導抗真菌性ペプチ ドは、(a)LIQL、IQLF、WLIQL、LIQLF およびWLIQLFからなるグループから選択さ れたコアアミノ酸配列;および(b)このコアアミノ酸配列のアミノおよび/また はカルボキシ末端部分に、K、R、H、オルニチンおよびジアミノ酪酸からなる グループから選択された一つ以上のカチオン性アミノ 酸を含む。7〜9個のアミノ酸を有するこのペプチドのサブセットは、(a)LIQL およびIQLFからなるグループから選択されたコアアミノ酸配列;および(b)この コアアミノ酸配列のアミノおよび/またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、 オルニチンおよびジアミノ酪酸からなるグループから選択された少なくとも二つ のカチオン性アミノ酸を含む。8〜10個のアミノ酸を有するこのペプチドの他の サブセットは、(a)LIQLFおよびWLQLF からなるグループから選択されたコアアミ ノ酸配列;および(b)このコアアミノ酸配列のアミノおよび/またはカルボキシ 末端部分に、K、R、H、オルニチンおよびジアミノ酪酸からなるグループから 選択された少なくとも二つのカチオン性アミノ酸を含む。9〜12個のアミノ酸を 有するこのペプチドのさらに他のサブセットは、(a)WLQLFからなるグループから 選択されたコアアミノ酸配列;および(b)このコアアミノ酸配列のアミノおよび /またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、オルニチンおよびジアミノ酪酸か らなるグループから選択された少なくとも三つのカチオン性アミノ酸を含む。こ れらサブセットの例として、配列番号: 118〜137(XMP.285-304)、140〜144(XMP .307-311)、155〜160(XMP.322-327)、166〜170(XMP.335-339)、174〜177(XMP.34 3-346)、179〜184(XMP.348-353)、186(XMP.355)、188〜190(XMP.357-359)があ る。 上記したペプチドの構造の考察から明らかな通り、BPI アミノ酸の第 148〜16 1 位にあるドメインIII配列が、上記したコア配列とこのコア部分に作用する複 数のカチオン性残基(KとH)を含む。この部分は、本発明の抗真菌性ペプチド をもたらす第 148〜161 位の配列のサブ配列構造まで移動し、第 148〜161位の 抗真菌性変異配列およびそのサブ配列にて保存される。例えば、BPI 配列の第 1 52位に通常は位置するG残基がK残基 で置換され、これによって、支配的な疎水性コア残基の直近にカチオン性残基が 到達するように作用する。本発明による抗真菌性ペプチドをもたらす配列と変異 サブ配列は、通常はコア配列に作用している一つ以上の非カチオン性残基が、カ チオン性残基で置換された配列であって、本発明のペプチドはこの配列を含むペ プチドである。 このコア配列にて、中性脂肪残基LとIは、中性脂肪残基G、A、V、Iおよ びLによってそれぞれ置換される。同様に、芳香族残基W(BPIの第 153位)およ びF(BPIの第 158位)は、異なる芳香族残基あるいは中性脂肪残基G、A、V、 IおよびLによって置換される。さらに、コア配列Q(BPIの第 156位)は、好ま しくは、中性脂肪残基T、SおよびNによって置換される。上述したように、コ ア配列に変異作用を及ぼす場合、変異コア配列が、BPI 配列に対して75%の相同 性を保持するのが好ましい。 本発明の抗真菌性ドメインIIIペプチドは、配列番号: 164(XMP.333)、165(XM P.334)、173(XMP.342)、194(XMP.363)および196(XMP.365)に記載のペプチドに例 示したような、一つ以上のD-異性体アミノ酸を有し、また、配列番号:163(XMP. 332)および198(XMP.367)に記載のアミノ酸配列を有するペプチドに例示したよう な逆方向のD-異性体アミノ酸を有するコアアミノ酸配列を有している。この抗真 菌性ペプチドは、配列番号: 162(XMP.331)、185(XMP.354)、187(XMP.356)、195 (XMP.364)、199(XMP.368)および204(XMP.373)に記載のペプチドに例示したよう な、アセチル化したアミノ末端アミノ酸残基を有することもできる。配列番号: 191〜193(XMP.360-362)に例示したような、環状抗真菌性ペプチドも、本発明の 範囲内に含まれる。 本発明の他のドメインIII抗真菌性ペプチドは、配列番号:1(XMP.5)、2〜4 (XMP.11-13)、5(XMP.29)、20(XMP.55)、56(XMP.137)、79(XMP.235)、111〜115( XMP.271-275)、117(XMP.284)、132(XMP.299)、138〜139(XMP.305-306)、145〜15 4(XMP.312-321)、200〜203(XMP.369-372)、171〜172(XMP.340-341)に記載のペプ チド、および配列番号:206 に記載のBPI残基 145〜159 および 149〜163 を含 む。 本発明の薬学的組成物は、ドメインIII誘導ペプチドと、薬学的に許容可能な 希釈剤、補助剤あるいは担体を含み、局所的、静脈注射的、経口的あるいはエア ロゾルにて投与される。 本発明の in vitro 法によれば、抗真菌性ペプチドあるいはこれを含む薬学的 組成物と真菌を接触させることで、真菌の殺菌あるいは増殖阻害に至る。本発明 の真菌感染の治療法は、ドメインIII抗真菌性ペプチドの治療的有効量を、真菌 感染の患者に投与することを含み、この治療法は、Candida(特に、C.albicans 、C.glabrata、C.krusei、C.lusitaniae、C.parapsilosisおよびC.tropical is)、Aspergillus および Cryptococcus 種からなるグループから選択された真 菌種が関与する感染に対して適用可能である。 詳述したように、本発明によって調製した薬剤/薬学的組成物は、非ペプチド 性薬剤を含めた他の抗真菌剤を併用することも、あるいは他の薬剤を用いた治療 との併用治療においても使用できる。 組換え法あるいは合成法によって生成したBPI に由来もしくは基づくペプチド (BPI 誘導ペプチド)は、1994年9月15日出願の米国特許出願第 08/306,473 号 に対応する、共有であり係属中の1994年9月15日出願のPCT 出願第US94/010427 号、および、(特に、配列番号:206 に記載のBPI 残基 145〜159 およ び 149〜163 を有する、重複する15-merペプチドを開示した)1993年3月12日出 願の米国特許出願第08/030,644号の一部継続出願である、1993年7月15日出願の 米国特許出願第08/093,202号(これに対応する国際出願は、1994年3月11日出願 のPCT 出願第US94/02401号である)の一部継続出願である、1994年1月14日出願 の米国特許出願第08/183,222号の一部継続出願である、1994年3月11日出願の米 国特許出願第08/209,762号に対応する、1994年3月11日出願のPCT 出願第US94/0 2465号(これらはすべて引用することによりその開示が本明細書に含まれるもの である)に記載されれている。BPI 抗真菌活性を有する、BPI タンパク質の約 1 42〜 169位のアミノ酸配列、そのサブ配列、およびその配列の変異体あるいはそ の変異配列のサブ配列を含むBPI-誘導ペプチドは、その開示が本明細書に含まれ るものである、1995年1月13日に出願の共同所有に係る係属中の米国優先権出願 No.08/372,105 に開示されている。 ドメインIII誘導ペプチドは、全身に、あるいは局所に投与することができる 。全身投与の経路には、経口、静脈内、筋肉もしくは皮下注射(長時間放出用の デポ剤に含められる)、眼内または眼球後部、鞘内、腹膜組織内(例えば腹腔組 織内灌流による)、エアゾル化または霧状にした薬物を用いた経肺、または経皮 経路が包含される。局所経路には、軟膏、眼用滴剤、耳用滴剤、または潅注液( 例えば傷の潅注用)剤形での投与が包含される。 ドメインIII誘導ペプチドは、現在のところ有効であることが知られている他 の抗真菌剤と併用して投与してもよい。この目的のために好ましい抗真菌剤は、 アンフォテリシンBおよびフルコナゾールである。抗真菌剤と共にドメインIII 誘導ペプチドを同時に投与することで、抗真菌剤の治療効果の向上が期 待される。このような向上は、例えば複製などの真菌の生長を根絶または阻害す るに要する抗真菌剤の濃度を低減することを通して起こるのかもしれない。いく らかの薬剤の使用は、全身性の毒性のためまたはひどく高価格となるために限度 があるので、治療効果のために必要な抗真菌剤の濃度を下げることで毒性及び/ または治療価格が低減され、しかして、その薬剤をより広範に用いることが許容 される。ドメインIII誘導ペプチドと他の抗真菌剤とを同時に投与することで、 いずれかの薬剤を単独で用いた場合に達成しうるよりも迅速または完全な殺真菌 /静真菌効果が得られるかもしれない。ドメインIII誘導ペプチドの投与は、抗 真菌剤に対する真菌の耐性を無効にするかもしれない。ドメインIII誘導ペプチ ドの投与はまた、静真菌剤を殺真菌剤に変換させるかもしれない。 本発明により提供される利点は、現在のところ不治であると考えられている真 菌感染、特にカンジダ感染を治療することができることにある。別の利点は、既 知の抗真菌剤に対する耐性を有する真菌を処置できることにある。例えば、アン フォテリシンBなどの望ましくない副作用を有する抗真菌剤と共にドメインIII 誘導ペプチドを同時に投与することのさらなる利点は、有効な治療のために必要 な抗真菌剤の量を減じうることにある。本発明は、さらには、例えば、治療期間 が短縮され、集中医療ユニットにおける滞在が短縮されまたは、病院全体での滞 在が短縮されるために、患者の生活の質における恩典をも提供し、付随的に重大 な院内(病院でもたらされる)感染の危険性を減じるものである。 本明細書中における「同時投与」には、薬剤を一緒に、または互いに先にもし くは後で投与することが包含される。ドメインIII誘導ペプチドおよび抗真菌剤 は、異なる経路によって投 与されてもよい。例えば、ドメインIII誘導ペプチドを静脈内投与し、一方抗真 菌剤を筋肉、静脈内、皮下、経口または腹膜組織内に投与してもよい。あるいは 、ドメインIII誘導ペプチドを腹腔組織内に投与し、一方、抗真菌剤を腹腔組織 内もしくは静脈内に投与したり、またはドメインIII誘導ペプチドをエアゾルも しくは霧状の剤形にて投与し、一方、抗真菌剤を例えば静脈内投与してもよい。 ドメインIII誘導ペプチドおよび抗真菌剤を、双方とも静脈内投与してもよい。 ドメインIII誘導ペプチドおよび抗真菌剤は、同じ静脈内ラインを介して、間に 水洗をした後、引き続き与えるか、または異なる静脈内ラインを介して与えても よい。ドメインIII誘導ペプチドおよび抗真菌剤は、双方の薬剤とも感染の部位 において有効濃度に達することを許容するに充分なように与えられる限りにおい て、同時にまたは引き続き投与することができる。 ドメインIII誘導ペプチドおよび抗真菌剤の同時投与によって、真菌感染のさ らに効果的な治療が提供されると予測される。2つの薬剤の同時投与で、どちら かの薬剤を単独で投与した場合よりも、in vivo において大きな治療効果が提供 されるかもしれない。例えば、同時投与によって、同等の治療効果を達成しつつ 、一方または双方の薬剤の投与量を低減させることができるかもしれない。ある いは、同時投与によって、いずれかの薬剤を単独で用いた場合に達成可能な効果 よりも迅速または完全な殺真菌/静真菌効果が生み出されるかもしれない。 治療上の有効性は、首尾良い臨床上の成果に基づくものであり、感染に関わる 生物の100 %を抗真菌剤または薬剤が死滅させることが必要なわけではない。成 功は、宿主にとって利となるようにバランスを傾けるよう、真菌を阻害するに充 分な、感染部位における抗真菌活性のレベルを達成することに依存し ている。宿主の防御が高度に効果的である場合には、必要な抗真菌作用は、低く てもよい。1の常用対数(指数10)にまで生物への負荷量を減じてでさえも、感 染を制御するための宿主自身の防御が許容されるかもしれない。加えて、初期の 殺真菌/静真菌作用を増加させることが、長期間の殺真菌/静真菌作用よりも重 要でありうる。これらの初期の成果によって、宿主の防御機構を活性化する時間 が与えられるので、かかる成果は重要であり、治療の成功に決定的な部分である 。 ドメインIII誘導ペプチドは、補体、p15 およびLBP を含む全血または血清、 ならびに他の細胞及び免疫系の成分に存在する種々の宿主防御要素と相互作用す ると考えられる。このような相互作用は、ペプチドの活性の強化を生じさせるの かもしれない。これらの相互作用のために、ドメインIII誘導ペプチドは、in vi troよりもin vivo でさらに大きな活性を発揮することが期待できる。しかして 、in vitro試験でin vivo における実用が予示はされるが、in vitroで活性がな いことが必ずしもin vivo において活性がないことを示唆するものではない。例 えば、BPI は、旧来の培地を用いたアッセイにおけるよりも、全血または血漿ア ッセイで、グラム陰性細菌に対してより大きな殺菌効果を呈することが観察され ている。[Weiss ら、J.Clin.Invest.90巻、1122〜1130頁(1992)]。これは 、旧来のin vitro系が、in vivo におけるBPI の機能を助長するかもしくは強化 する血液成分を欠くためか、または、旧来の培地がBPI タンパク質産物の典型的 な活性阻害剤であるマグネシウムおよびカルシウムを生理学的濃度よりも多量に 含有しているからかもしれない。さらに、宿主において、ドメインIII誘導ペプ チドは、グラム陰性細菌の転位を中庸化し、付随する菌体内毒素の放出を無効に するのに役立ち、抗真菌活性のin vitro 試験によって認められないまたは予測されないさらなる臨床上の利益を提供する 。 ドメインIII誘導ペプチドを、当該ペプチドの抗真菌活性を包含するペプチド の活性を強化する他の産物と共に投与することも意図される。例えば、血清補体 は、BPI タンパク質産物の殺グラム陰性細菌活性を強化し、BPI タンパク質産物 と血清補体との組合せによって、相乗的な殺細菌/生長阻害効果が提供される。 例えば、Ooi ら、J.Biol.Chem.、265巻、15956頁、(1990)、及びBPI殺細菌活 性を強化する、天然に存在する15 kDタンパク質について述べられている、Levy ら、J.Biol.Chem.,268 巻、6038〜6083頁(1993)を参照されたい。また、1993 年7月14日出願の米国特許出願第08/093,201号の一部継続出願である、1994年7 月11日出願の米国特許出願第 08/274,303 号に対応する、1994年7月13日出願の 共有で係属中であるPCT 出願第US94/07834号も参照されたい。これらの出願は、 すべて引用することによりその開示が本明細書に含まれるものであり、リポ多糖 結合タンパク質(LBP)およびLBP タンパク質産物を投与することによってBPI タ ンパク質産物の殺グラム陰性細菌活性を強化する方法が記載されているものであ る。CD-14 免疫促進特性を欠いたLBP タンパク質誘導体および誘導体ハイブリッ ドが、1993年6月17日出願の米国特許出願第 08/079,510 号の一部継続出願であ る、1994年6月17日出願の、共有で係属中である米国特許出願第08/261,660号に 対応する、1994年6月17日出願のPCT 出願第US94/06931号に記載されており、こ れらの出願は、すべて引用することによってその開示が本明細書に含まれるもの である。1995年1月13日出願の、Lambert、米国出願第08/372,104号に記載され ているように、ポロキサマー界面活性剤がBPI タンパク質産物の抗細菌活性を 増強させることも観察されており、ポロキサマー界面活性剤は、抗真菌剤の活性 をも増強するのかもしれない。 本発明の理論に拘束されず、ドメインIII誘導ペプチドが種々の作用態様を有 するかもしれないと考えられる。このペプチドは、そのヘパリン結合能を通して 、細胞外マトリックスへの真菌の結合を妨害するのかもしれない。例えば、カン ジダのヘパリン様表面分子が、細胞外マトリックスおよび宿主組織への酵母の接 着を媒介すると考えられている。このペプチドは、真菌の細胞質膜上への直接的 な作用もしているかもしれない。加えて、このペプチドは、グラム陰性生物のLP S に構造的に類似している、または標的宿主組織への接着の原因である、真菌細 胞壁マンノタンパク質に結合し、しかして宿主組織との真菌の相互作用が干渉さ れるかもしれない。真菌のマンナンへの結合は、ペプチドの細胞質内膜への接近 も促進するかもしれない。さらに、真菌感染は腸菌叢(flora)および/またはLPS のストレス誘導性転位を惹起こすかもしれないので、このペプチドは、グラム陰 性細菌を殺傷し、LPS を中和することによって有益に作用するかもしれない。最 後に、本発明によるドメインIII誘導ペプチドの抗真菌活性は、その独特の構造 によるものかもしれない。例えば、ドメインIIIに含まれる6つのアミノ酸(WLIQ LF)の配列と5つと4つのアミノ酸(LIQL、IQLF、 WLIQLおよびLIQLF)の配列は、 中性親水性アミノ酸であるグルタミン(Q)を除けば、疎水性のアミノ酸配列を構 成する。この疎水性部分は、そのN−およびC−末端にて高カチオン性の(極性 )リシンによって結合されている。この部分は、リーダー/シグナルペプチドな らびに膜タンパク質の膜内外部分のように思われる。I、L、V、M、Aのよう な脂肪アミノ酸は、背骨水素結合を形成する能力を持っているので、12〜15個 の非極性アミノ酸の配列が形成されれば、疎水性膜環境下では、経膜性のα−フ ェリック構造をつくる顕著な傾向がある。WやFのような芳香族疎水性アミノ酸 も、膜のα−フェリックに取り込まれる。ドメインIIIの疎水性部分の中央にあ る中性の親水性のグルタミンは、エルゴステロールのような他の真菌膜成分と水 素結合に関与し、そして、殺真菌活性において重要な役割を果たす。10個のアミ ノ酸からなる短鎖(例えば、XMP.293)は、脂質二重層に至るに十分な長さとは言 えず、膜崩壊をきたす両親媒性のカチオン性抗生物質ペプチドとは違った多様な 作用機序を有しているものと考えられる。6〜12個のアミノ酸とカチオン性アミ ノ酸で結合した中性アミノ酸のコア部分からなる短鎖部分は、脂質二重層に至る に十分な長さとは言えず、よって、長鎖ペプチドよりも効率善く脂質二重層を横 断できると考えられる。細胞内部にまで輸送された場合、カチオン性/中性/カ チオン性分子は、細胞壁の炭水化物合成のポリアミン調節による拮抗阻害および /またはポリアミン合成のフィードバック阻害のいずれかによって、内因性ポリ アミン(スペルミジン、スペルミン、プトレッシン)の機能を阻害するであろう 。 加えて、本発明は、真菌をドメインIII誘導ペプチドに接触させることを含む 、真菌の殺傷または生長阻害の方法を提供する。この方法は、in vivo または、 食物の調製における用途、もしくは液体及び表面の浄化のため、もしくは、補綴 用の関節を包含する、外科用及び他の医療用装置及び埋込可能なデバイスを滅菌 するための用途など、種々のin vitro用途において、実施することができる。こ れらの方法は、しばしば感染の病巣である、静脈内ライン及びカテーテルなどの 内在する侵入デバイスの in situ滅菌のためにも用いることができる。 本発明のさらなる特徴には、真菌感染の治療用医薬の製造のためのドメインII I誘導ペプチドの使用が包含される。医薬には、BPI タンパク質産物に加えて、 抗真菌剤などの他の化学療法剤が含まれる。医薬は、製薬的に容認されうる希釈 剤、佐剤または担体を随意に含むことができる。 抗真菌性ペプチドの投与は、好ましくは、ペプチドおよび製薬的に容認されう る希釈剤、補助剤または担体を含む、医薬組成物を用いて成し遂げられる。この ペプチドは、既知の界面活性剤、他の化学療法剤または付加的な既知の抗真菌剤 と併用してまたは併用せずに投与することができる。 以下の例示的な実施例を考慮して、本発明の他の特徴および利点が理解される であろう。すなわち、実施例1では、ペプチドの調製と精製が述べられており; 実施例2では、ペプチドのin vitro抗真菌性試験についての報告がなされ;実施 例3は、カンジダ株と抗生物質耐性株を含む、様々な真菌種に対するペプチドの in vitroとin vivo 試験について述べられており;実施例4には、カンジダに感 染したマウスの生存率に関するペプチドのin vivo 効果が示されており;実施例 5では、ペプチドの血清安定性について報告がなされ;実施例6は、構造と最小 機能配列の分析のための抗真菌ペプチドの設計と分析について報告しており;実 施例7では、抗真菌ペプチドのLPS 中和活性が、そして実施例8には、ペプチド の製剤化について言及されている。 実施例1 ペプチドの調製と精製 本実施例は、ドメインIII誘導ペプチドの調製と精製に関する。 このペプチドは、様々な合成法によって調製することができる。あるペプチド (例えば、XMP.5)は、親出願の米国特許出願第 08/209,762 号および第 08/183,2 22 号に記載された方法に従い、Applied Biosystems社のModel 432ペプチド合成 機を用いて、Merrifield、J.Am.Chem.Soc.,85巻、2149頁(1963)およびMerrif ieldら、Anal.Chem.,38巻、1905〜1914頁(1966)の方法によって、固相ペプチド 合成によって調製した。 あるいは、これらペプチドは、1-フルオレニルメチル−オキシカルボニル(Fmo c)保護処理を利用する Advanced Chemtech(ACT-Model 357 MPS)合成機にて、N,N -ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)/1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt) および2-(1-H-ベンゾトリアゾール-1- イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸(HBTU)/HOBt/ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を用い たダブルカップリング法による固相ペプチド合成法によって大量に合成される。 使用した固相支持体は、1%ジビニルベンゼン(DVB)架橋剤と0.44 mmol/gの置 換率の 4-(2',4'-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミノメチル)−フェノキシ(Fmoc- Rink アミド)リンカーを含むポリスチレン樹脂であった。使用したスケールは 、出発樹脂の 0.1〜5gであった。 ジメチルフォルムアルデヒド(DMF)は主たる溶剤であり、ピペリジン/DMFの50/ 50 溶剤は、1、5および10分時点それぞれでのFmoc保護を解消するために使用 した。ダブルカップリング法は各サイクルにて、各カップリングにおいて4:1 のアミノ酸:ペプチドの比率で用いた。アミノ酸は、0.5Mの濃度に て、N−メチルピロリディノン(NMP)を含む0.5MのHOBt溶液に溶解した。最初の カップリングのために、(アミノ酸と)等モル量の、NMP を含む0.5Mジイソプロ ピルカルボジイミド(DIPCDI)の溶液を用い、そして、45分間反応せしめた。DMF を含んだ(アミノ酸と)等モル量の0.5M HBTU 溶液と、NMP を含んだ等量の1M D IEA(2:1、DIEA: アミノ酸)を用いて、第二のカップリング反応を30分間行った 。 合成が完了次第に、樹脂をメタノールで洗浄し、真空条件下で乾燥し、トリフ ルオロ酢酸(TFA):チオアニゾール:エタンジオール(EDT):水を、36:2:1:1 の比率(体積は樹脂量に応じて調製する)で含むカクテルを用いて、少なくとも 2時間、湿氷浴中に置いて最初の15分でアルギニンが認められれば、各アルギニ ンについて30分追加した(ただし、3時間を超えない)時間にわたって、遊離せ しめる。この溶液を10%のTFA 水溶液に溶解し、メチルt−ブチルエステル(MTB E)で3回洗浄し、そして、凍結乾燥した。 選抜したペプチドのアミノ末端を、固相合成後に、上記したN末端 Fmoc 保護 法を用いてアセチル化した。ピペリジンによる Fmoc 除去の後で、かつ TFAによ るペプチドの遊離の前に、10倍以上のモル濃度の無水酢酸と、ジメチルホルムア ルデヒド中の2倍以上のモル濃度のジイソプロピルエチルアミンを用いて、樹脂 上のペプチドを1時間誘導した。このペプチドを、上述したTFA 遊離カクテルを 用いて樹脂から遊離せしめ、そして後述するようにして精製した。精製したペプ チドのN末端のアセチル化を、質量分光測定法によって確認した。 新たに合成された各ペプチドの純度分析のために、粗製の凍結乾燥したペプチ ドの希釈液を調製し、150mm×1mm、5μ径、300Å孔径の C-8 Zorbax カラムを 備えた Michrom Ultrafast Microprotein 分析機にて分析した。カラム・オーブンを、40℃に設定し、流速 を 100μl/分とし、そして、注入量を5〜10μlとした。移動相Aを5%アセト ニトリル/0.1 %TFAの水溶液とし、そして、移動相Bに80%アセトニトリル/0. 065%TFA を用いたHPLCを行った。溶出物を、214nm にて分光測定法によって観 察した。純度(%)を、各ペプチドに関するピーク面積(表1参照)から算出し た。 選抜したペプチドを、40×10mmの防護カートリッジと40×100mmの Prep Pak カートリッジからなる、15μm、300Å孔径のカートリッジカラムである、デルタ Pak C-18 を備えたWaters Prep LC 2000調製用クロマトグラフィーシステム(Wa ter Corp.,ミルフォード、マサチューセッツ州)を用いて、高速液体クロマトグ ラフィー(HPLC)によって精製した。このカラムは、移動相Aを5%アセトニトリ ル/0.1 %トリフルオロ酢酸、そして、移動相Bに80%アセトニトリル/0.065% トリフルオロ酢酸を用いた、25%の緩衝液Bで平衡化した。ペプチドを、緩衝液 Bに 20mg/ml程度になるまで溶解し、その 200〜 800mgを、LCポンプを介して、 8〜17ml/分の流速でカラムに導入した。(ペプチドよっては、23〜33%緩衝液 B/30分の勾配で精製した。) 溶出物を、プログラム可能な多波長検出器 Wat ers490Eを用いて、220および/または 280および 300nmにて観察した。画分を回 収し、そして、40℃に維持した、150×1mm、5μm、300Å孔径の Zorbax C-8 を備えた Ultrafast Micro-protein 分析機(Michrom BioResources社、プラサ ントン、カリフォルニア州)にて対象となるペプチドの分析を行った。95%以上 の純度のこれらペプチドを含む画分をプールし、そして、凍結乾燥した。復元し たペプチドの純度を、分析用逆相HPLCを用いて決定した。 実施例2 IN VITRO 抗真菌効果 本実施例は、ブロスアッセイおよび/または放射拡散アッセイでの抗真菌活性 に関する、ドメインIII誘導ペプチドの in vitroスクリーニングに関する。 以下の表1に、BPI のドメインIIIの配列より由来するまたはそれに基づいた ペプチドが示されている。これらペプチドは、接頭のXMP またはBPI に伴うペプ チド番号(例えば、XMP.1 またはBPI.1、XMP.2 またはBPI.2)によって特定され る。表1では、各ペプチドの配列番号、BPI の中での参照位置に基づいたアミノ 酸配列ならびにアミノ酸置換及び付加の標記によっても識別される。さらに表1 には、それらペプチドのHPLCによる純度の評価についても示した。HPLC純度分析 は、実施例1に記載の方法に従った。 各ブロスアッセイスクリーニング法において、CA-1と名付けたカンジダ・アル ビカンス、SLU#1株は、セントルイス大学病院、セントルイス、ミズーリー州の G.Matuschak および A.Lechnerの研究室から受領したものであり、このコロニー を、5mlのサブローデキストロースブロス(2%デキストロース、1%ネオペプ トン)を含有するチューブに接種し、振盪しつつ37℃にて一晩インキュベートし た。一晩培養した培養物を5mlの新鮮なブロスにて1:50に希釈し、37℃にて3 時間インキュベートした。生物をBeckman J-6M遠心機において3000rpm(1500×g )にて5分間遠心することでペレットとし、そのペレットは5mlのリン酸緩衝性 生理食塩水(PBS)に再懸濁して、570nmにおける吸光度を測定した。1OD単位は3 ×107コロニー形成単位/ml に等しいという測定結果に基づいて、酵母細胞をサ ブローデキストロースブロス中、2×106細胞/mlに希釈した。 スクリーニングすべきBPI 由来のドメインIII誘導ペプチドまたはBPI に基づ くドメインIII誘導ペプチドは、元はダルベッコ−PBS において構成されていた が、ブロス中 100μg/mlに希釈し、そして、96ウェルの滅菌した、平底の発熱物 質不含の組織培養プレート(Costar、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)のウ ェルの中へ連続的に2倍希釈した。すべてのアッセイは、3重検定で実施した。 2×105の生物をウェル当たり100 μlにて添加して、プレートを37℃にて18時 間振盪機でインキュベートし、そして各ウェルについての吸光度を、590 nmにて 読み取った。本明細書に添付した図1に、5つのペプチド(XMP.13、XMP.138、XM P.139、XMP.142 およびXMP.143)に対する用量曲線をグラフで示す。示した全ペ プチドが、培養物の吸光度を約50μg/mlを下回る用量において0.1 を越えない数 値にまで減じさせたが、XMP.138 が、示したペプチドのうち低用量で最も良い結 果を呈した。最小阻害濃度(MIC)、すなわち、590nmにおける吸光度を0.1 を越え ない数値に減じさせるに要する最低濃度によって、ブロスアッセイのデータを表 す。図1にある上記した5つのペプチドの各MIC(μg/ml)は、それぞれ、12.5、3 .13、6.25、12.5および25.0であった。 放射拡散アッセイ法において、CA-1培養物およびペプチド溶液を、前記のブロ スアッセイ法におけると同様に調製した。3%サブローデキストロースブロス、 1%アガロース(Pharmacia、Piscataway、ニュージャージー州)、0.02%Tween 2 0、および10mMリン酸ナトリウム、pH 7.4を含む、10mLの融解した下層アガロー スをポリスチレンチューブに加え、酵母を添加するまで、56℃の水浴中に保持し た。チューブをおよそ45℃にまで冷却し、酵母を添加して1×106CFU/mlの最終 濃度となるようにし、チューブを反転させることにより再度混合した。内 容物を平坦な四角形のペトリ皿に注加し、平均に分布させた。アガロースは30秒 経たないうちに固化し、約1mmの均一の厚みを有していた。固まったアガロース に、真空装置が装着された滅菌した3mmの穿孔器を用いて、一連のウェルを穿孔 した。 アッセイすべきペプチドは、およそ1mg/mL の濃度から始めて、ダルベッコPB S(D-PBS)で連続的に2倍に希釈していった。各希釈液のうち5μL を、各々のウ ェルに加えて、プレートを37℃にて3時間インキュベートした。次いで、6%サ ブローデキストロースブロス、1%アガロース、および10mMリン酸ナトリウム、 pH7.4(およそ45℃)を含む、10mLの融解したアガロース上層を加え、プレートを3 7℃にて一晩インキュベートした。この一晩にわたるインキュベーションに続き 、希釈したクーマシー溶液をプレートに注加し、24時間染色させた。 各ウェルを取り囲む生長阻害の清澄域を、カリパスを用いて測定した。実際の 生長阻害面積(mm2)は、ウェルの面積を引くことで算出した。以下の表1に、PRO BIT分析によって(例えば、log pmolと阻害正規面積の関係を示す濃度用量作用 曲線の対数曲線の直線部分からの回帰から)算出した、30 mm2の生長阻害面積を なすために必要なペプチドのピコモル数(pmol)によって、調べたペプチドにつ いての放射拡散アッセイの結果を表す。 実施例3 様々な真菌種に関する抗真菌性ペプチドの IN VITROおよびIN VIVO での効果 本実施例では、カンジダ種および様々な抗真菌剤に対して耐性を有する株を含 めた真菌種に対する、放射拡散分析での、様々なドメインIII誘導ペプチドのin vitroおよびin vivo スクリーニングについて述べる。本実施例は、カンジダ株S LU-1 に対する、ペプチドとアンフォテリシンBとの併用による効果についても 述べている。 アンフォテリシン耐性カンジダ株に関して、ドメインIII誘導ペプチドの殺真 菌活性について試験した。カンジダ株の耐性コロニーを、傾斜プレート法を用い て単離した。スラントのサボローデキストロース寒天をプレートに注ぎ、そして 固化せしめた。このプレートを水平に置き、10μg/mlの濃度のナイスタチン(Sig ma社、セントルイス、ミズーリー州、カタログ番号第N-3503)を補充した寒天を 足した。実施例2に記載のカンジダ アルビカンスSLU-1 株のCA-1コロニーから 得た細胞(100μl 中に107個の細胞)をプレートに播き、37℃で、一晩インキュベ ートした。当初は、微細なコロニーが確認され、野性株のコロニー程度の大きさ になるまでインキュベーションが必要であった。11個の各コロニーを、SLU-2Aか らSLU-2Kと、順次命名した。これらのコロニーは、2μg/mlのアンフォテリシン Bによる最初の馴養の後、アンフォテリシンBの濃度を高めたサボローデキスト ロースブロスで連続的に馴養した。20μg/mlのアンフォテリシンBによる最後の 馴養の後、コロニー2G、2H、2Jおよび2Kは生存していたが、野性株SLU-1 株は1 μg/mlのアンフォテリシンBに対して感受性を有していた。いずれの耐性株にも 、胎児ウシ血清での胚管の形成は認められ なかった。さらに、これら単離物の成長速度はSLU-1 より格段に遅く、37℃では 、菌糸を形成しなかった。 放射拡散分析のために、カンジダ アルビカンスSLU-1 を上記したようにして 成長せしめ、そして、10μg/mlのアンフォテリシンBと5μg/mlのセフトリアキ ソンを補充したサボローデキストロースブロスにて、37℃で、一晩成長せしめた 。新鮮な、補充物を含まないブロスで、この培養物を1:25に希釈し、37℃で、 5時間成長せしめた。4℃で、1,500×g、5分間という遠心条件で、細胞をペ レット化した。上清を傾ちょうし、pH 7.4の10mM燐酸緩衝液の5mlと交換した。 遠心分離後、OD570での計測のために、細胞ペレットを5mlの燐酸緩衝液で再懸 濁した。SLU-1 細胞のOD570は3×107CFU/mlであり、また、SLU-2G細胞のOD570 は5×106CFU/mlであった。 10mlの溶解および冷却(−45℃)した下層アガロースに、1×106/mlの濃度に なるまで細胞を添加し、懸濁液を平底ペトリ皿に注ぎ、ゆっくりと揺らしながら 均一に分布および固化せしめて、約1mmの厚みになるようにした。ウェルから、 真空装置を備えた滅菌した3mm径のパンチで、固化アガロースを切り出した。 ペプチドを、D-PBS で、約1mg/ml の濃度から連続的に2倍ずつ希釈した。ア ンフォテリシンBとナイスタチンも、それぞれ、100および 225μg/mlの濃度か ら同様にして希釈した。各ウェルに5μl を添加し、37℃で、1.5〜 2.0時間拡 散せしめた。そして、10mlの溶解した上層のアガロースを添加し、プレートを倒 立させて、37℃で、一晩インキュベートした。プレートを希釈したクーマシー溶 液で染色し、阻害面積をカリパーで計測し、正規面積を算出し、そして、PROBIT 分析によって pmol 値に換算した。各実験の結果を、SLU-1 株について は図2Aに、そして、SLU-2G株については図2Bに表した。図2Aと図2Bにて、XMP.13 の抗真菌活性を白抜円で、XMP.37を黒塗円で、XMP.97を白抜三角で、XMP.127 を 黒塗三角で、アンフォテリシンBを白抜四角で、そして、ナイスタチンは黒塗四 角でそれぞれ表した。30mm2の阻害領域を形成するpmolは、XMP.13は、SLU-1 に 対して689pmol、SLU-2Gに対して129pmol であり;XMP.37は、SLU-1 に対して231 pmol、SLU-2Gに対して75pmolであり;XMP.97は、SLU-1 に対して670pmol、SLU-2 Gに対して161pmol であり;XMP.127 は、SLU-1 に対して935pmol、SLU-2Gに対し て116pmol であり;アンフォテリシンBは、SLU-1 に対して36pmol、SLU-2Gに対 して>541pmol であり;そして、ナイスタチンは、SLU-1 に対して98pmol、SLU- 2Gに対して>1215pmolであった。図2Aと2Bに示したように、XMP.13、XMP.37、XM P.97およびXMP.127 の各ドメインIII誘導ペプチドは、SLU-1 野性型株とSLU-2G アンフォテリシンB耐性株の双方に対して抗真菌活性を示し、これらは、SLU-2G アンフォテリシンB耐性株に対して実証された活性より良好であった。対照的に 、アンフォテリシンBは本来のSLU-1 株に対しては効果的であったが、SLU-2G耐 性細胞の殺傷には至っていなかった。これら結果は、本発明のドメインIII誘導 ペプチドが、アンフォテリシンBとは異なる作用機構を有した殺真菌剤であるこ とを実証している。 他の抗真菌剤に対する耐性を有すると考えられる一般に入手可能なカンジダ株 、すなわち、ポリエン耐性のカンジダ アルビカンス(ATCC受託番号第38247 号 )、5-フルオロシトシン耐性のカンジダ アルビカンス(ATCC第 44373号)、ア ゾール耐性のカンジダ アルビカンス(ATCC第 62342号)およびケトコナゾール 耐性のカンジダ アルビカンス(ATCC第 64124号)に関する、ドメインIII誘導 ペプチドの抗真菌活性を決定するため の試験をさらに行った。試験した上記株に関するXMP.13、XMP.36、XMP.97、XMP. 127 およびXMP.166 という代表的な各ペプチドによる抗真菌活性は低減されず、 このことは、これらペプチドが他の殺真菌剤とは異なる作用機構によって活性を 呈していることを示すものである。 ドメインIII誘導ペプチドの抗真菌活性を、Candida glabrata(カンジダ グ ラブラタ)、Candida krusei(カンジダ クルセイ)、Candida lusitaniae(カ ンジダ ラシタニエ)、Candida parapsilosis(カンジダ パラシロシス)、お よびCandida tropicalis(カンジダ トロピカリス)を含めた様々な真菌種に対 して、in vit roで評価した。実験を行うにあたって、サボローデキストロース 寒天(SDA)プレートから上記したカンジダ株それぞれの1コロニーを採取し、そ して、5mlのサボローデキストロースブロス(SDB、2%デキストロースおよび1 %ネオペプトン)に、Candida kruseiについては、酵母モルトブロス(YM、Becto n Dickenson、コッキースビル、メリーランド州、カタログ番号 BL11405)を収 めた12mlのポリプロピレン製の留め蓋式チューブに接種した。チューブでの培養 物は、振盪しながら、37℃で、一晩インキュベートした。 この培養物の1:10の希釈液のOD570での計測が、Candidaglabrataについては 0.083、Candida kruseiについては 0.154、Candida lusitaniaeについては 0.1 17、Candida parapsilosisについては 0.076、およびCandida tropicalisについ ては0.192と、同等もしくは上回った時に培養物を回収した。3,000rpm(約 1,50 0×g)にて、エッペンドルフマイクロフュージにて、7分間、細胞を遠心分離 した。細胞ペレットを1mlの燐酸緩衝液で再懸濁し、約 0.5ml中の約1×107個 の細胞を、10mlの冷却した下層寒天(3%SBD、1%寒天、0.02%Tween 20、10 mM燐酸ナトリウム緩衝液、pH 7.4、約5℃)に添加した。この懸濁液を角形ペト リ皿に注いで固化せしめ、そして、上述したようにてウェルを切り出した。 ペプチドを、D-PBS で、約1mg/ml の濃度の約20μl から連続的に2倍ずつ希 釈した。各ウェルにペプチド希釈液の5μl を添加し、(完全に拡散するように )37℃で、少なくとも約30分間拡散せしめた。そして、10mlの溶解した上層のア ガロース(6%SDB、1%寒天、10mM燐酸ナトリウム緩衝液、pH 7.4、約45℃) を添加し、プレートを倒立させて、37℃で、一晩インキュベートした。プレート を希釈したクーマシー溶液で染色し、阻害面積をカリパーで計測し、正規面積を 算出し、そして、PROBIT分析によって pmol 値に換算した。各実験の結果を、表 2に表した。例えば、ドメインIII誘導ペプチド、XMP.13P、XMP.97P、XMP.127P 、XMP.166P、XMP.286P、XMP.327P、XMP.331P、XMP.332P、XMP.333PおよびXMP.33 7Pは、試験の用いたカンジダ株の少なくとも数種に対して抗真菌活性を示した。 これら結果は、本発明のドメインIII誘導ペプチドが、様々なカンジダ種に対す る抗真菌剤として広範に効果を及ぼすことを実証するものである。 ペプチドとアンフォテリシンBの組み合わせによる、カンジダ株SLU-1 に対す る効果を研究した。この実験を行うにあたって、ペプチド単独、アンフォテリシ ンB単独、あるいはペプチドとアンフォテリシンBの併用の場合に、試験に用い る真菌細胞と共にインキュベートすることを除けば、カンジダ アルビカンス S LU-1を、実施例2と同様にして成長せしめ、そしてブロス希釈分析にて分析を行 った。 代表的なペプチドXMP.97の単独使用、あるいはアンフォテリシンBと併用した 場合の分析結果を、図3に示した。図3にて、XMP.97とアンフォテリシンBの併 用による殺真菌活性を、XMP.97の濃度と、0.047μg/ml(白抜四角)、0.074μg/ ml(黒塗三角)、0.188μg/ml(白抜三角: 0.375μg/ml(黒塗円))および 0.750 μg/ml(白抜円)のアンフォテリシンBの濃度によって表示した。XMP.97単独で の活性を、黒塗四角で表した。XMP.97とアンフォテリシンBは共に、それぞれ単 独で用いてもある濃度までは、抗真菌剤として効果がある。ペプチドとアンフォ テリシンBとの併用は(これら二つの薬剤が、拮抗薬であるかのように)阻害活 性には結びつかないが、むしろ、最大の殺真菌効果を得るに必要な双方の抗真菌 剤の量を減少せしめる結果をもたらすものである。特に、ドメインIII誘導ペプ チドと、アンフォテリシンBのような抗真菌剤の同時投与は、真菌の根絶あるい は真菌の成長阻害に必要なアンフォテリシンBの濃度が低減されることにより、 治療効果の改善に寄与するものである。アンフォテリシンBは、その全身的毒性 のためにその使用が制限されていたので、治療効果を得るに必要な抗真菌剤の濃 度を低減することは、毒性の低下を招くものであり、結果としてこの抗真菌剤の 用途拡大を許容することにもなる。 ドメインIII誘導ペプチドの抗真菌活性を、クリプトスポリジウム パルヴム( Cryptosporidium parvum)、クリプトコッカスネオフォルマンス(Cryptococcus n eoformans)およびヒストプラスマ カプシラタム(Histoplasma capsilatum)を含 めた様々な真菌種に対して、動物モデルにてin vito で評価した。C.parvumに関 する動物モデルには、国立アレルギーおよび感染症疾患センター(National Inst itute of Allergy and Infectious Diseases)より契約に基づいて供給された、 重度合併免疫不全(SCID)マウスと、初乳欠乏 SPF子ブタのモデルが含まれていた 。 実施例4 全身性のカンジダ感染を有するマウス におけるペプチドの IN VIVO抗真菌効果 本実施例では、カンジダ・アルビカンスを全身に感染させたマウスの総死亡数 または死亡率の軽減において、ドメインIII誘導ペプチドのin vivo 抗真菌効果 を示す。実施例2に記載した放射拡散およびブロスアッセイで抗真菌活性につい てスクリーニングしたペプチドを、実施例1に記載の通りに調製および精製した 。 6〜8週齢の雄性DBA/2Jマウス(Jackson Laboratory、BarHarbor、メイン州 )15匹の5つの群に、尾静脈への静脈注射により1.24×105のカンジダ・アルビ カンス(実施例2に記載のSLU-1 株)を接種した。動物への注射のために、以下 のようにして細胞を調製した。単一コロニーを選抜し、サボローデキストロース ブロスを含有する5mlのチューブび接種した。30℃で通気しながら震盪して、15 〜18時間、インキュベーションを行った。終夜培養物の4mlを、100ml の新鮮サ ボローデキストロースブロス(1:25に希釈したもの)に添加し、4時間 インキュベートした。100ml の培養物を、1500×gで5分間遠心してペレット化 した。20ml D-PESを添加し、攪拌し、そして再度遠心することで、細胞を2回洗 浄した。一つのチューブに細胞を集め、OD570(1 OD単位=3×107CFU/ml)による 測定のために、試料を1:25に希釈した。この細胞を、D-PBSで所望の用量になる ように希釈し、用時まで4℃で保管した。連続10倍希釈を行い、そして、サボロ ーデキストロース寒天に希釈液50μl を接種することで用量を確認した。37℃で 終夜インキュベーションを終えた日にコロニーを計測した。500mlの培養液で、 約1×107CFU/mlの細胞数が認められた。 このモデルでは、細胞数が約1×105のカンジダを接種した結果、28日で致死 量に至った。真菌で攻撃した直後に、尾静脈を介して10mg/kg のXMP.36、5mg/k g のXMP.97、10mg/kg のXMP.102、1mg/kg のアンフォテリシンB(Sigma、セン トルイス、ミズーリー州)、または対照として0.1ml のリン酸緩衝性生理食塩水( PBS)をマウスに静脈注射した。2日目および4日目に同量のペプチド、アンフォ テリシンBまたはPBS(例外として、XMP.36は第2回目に5mg/kg の投与量にて与 えた)を用いた処置を繰り返した。28日目に試験を終了するまで、死亡率につき 、1日2回マウスを監視した。図4に表す死亡率のデータで、28日目までに、ア ンフォテリシンBで処置したマウスの 100%が生存し、XMP.97で処置したマウス の53%が生存し(対照に比較してp<0.05)、XMP.36で処置したマウスの33%が生 存し、XMP.102 で処置したマウスの27%が生存し、そしてPBSで処置したマウス の20%が生存することが示される。図4において、「×」の記号は、アンフォテ リシンBでの処置、白抜きの四角はXMP.97での処置、白抜きの円形はXMP.36での 処置、白抜きの菱形はXMP.102 での処置、および白抜きの三角は緩衝 液での処置後の生存を表す。Lifetest Survival Curve 分析を用いて統計的有意 性を評価した。[Lawless、Statistical Models and Methods for Lifetime Dat a、John Wiley &Sons、New York(1982)。] 生存における期間およびほぼ直線 的な減衰は、ヒトの日和見性のカンジダ症に類似している。 三回投与試験にて、15匹のマウスのグループについて、上述した注射用に調製 された、0.5×105個のカンジダ細胞をマウスに注射し、次いで、0日、2日及び 5日目に10mg/kg のXMP.127、5mg/kg のXMP.13、5mg/kg のXMP.37、1mg/kg のアンフォテリシンB、または対照として0.1ml のPBS を用いて処置した。図5 に表す死亡率のデータにより、28日目までに、アンフォテリシンBで処置したマ ウスの100 %が生存し、XMP.127で処置したマウスの67%が生存し(対照に比較 してp<0.05)、XMP.37で処置したマウスの33%が生存し、XMP.13で処置したマウ スの20%が生存し、そしてPBS で処置したマウスの33%が生存することが示され る。図5において、「×」の記号はアンフォテリシンBでの処置、白抜きの円形 はXMP.127 での処置、黒塗りの三角は緩衝液での処置、白抜きの四角はXMP.37で の処置、白抜きの三角はXMP.13での処置後の生存を表す。 三回投与試験にて、予期されるとおりアンフォテリシンBには完全に保護能が あった。実施例2に記載の放射拡散分析によって決定された抗真菌活性を有しな い対照のペプチドであるXMP.102 の効果は、PBS と何ら異なることはなかった。 このデータにより、全身をカンジダ・アルビカンスで攻撃したマウスへのペプチ ドXMP.97およびXMP.127 の投与によって、予期せざることに、緩衝液で処置した 対照に比較して死亡率の有意な低下が提供されることが立証される。 抗真菌性ペプチドの効果を決定するための試験を、(上記し た三回投与でなく、六回投与として)用量を増やしてさらに実施した。9週齢の 雄性DBA/2Jマウスのグループに、尾静脈への静脈注射により(上記したように調 製した)2.7×105個のカンジダ細胞を接種した。真菌で攻撃した直後に、0日目 、2日目、4日目、7日目、9日目および11日目に、10mg/kg のXMP.284、1mg/ kg のアンフォテリシンB、または対照としてのPBS の各 0.1mlでマウスを処置 した。アンフォテリシンBで処置したマウスは、すべて保護されていた。XMP.28 4(黒塗円)とPBS 対照(白抜円)の結果を、図6に示した。死亡率を示すデータ は、6〜24日目までに、2.7×105個のカンジダ細胞が接種された PBS処置したマ ウスは一匹だけが生存するに至った(生存率:6%)が、XMP.284 は6日目にし て13匹のマウスを生存せしめ(生存率:87%)、24日目には3匹のマウスを生存 せしめた(生存率:33%)。 カンジダ・アルビカンス SLU-1株で全身的に感染処置されたシクロスポリンA で免疫抑制したマウスでの、代表的な抗真菌性ペプチドの効果を決定するための 試験も行った。9齢の雄性DBA/2Jマウスのグループ(15匹/グループ)に、シク ロスポリンAの10mg/kg を腹膜内注射した(−1日目)。1日後(0日目)、尾 静脈への静脈注射により、2×105個のカンジダ細胞をマウスに接種した。真菌 で攻撃した直後に、10mg/kg の XMP.284、10mg/kg の XMP.127、または対照とし てのPBSの各 0.1mlでマウスを処置した。1日目、3日目、7日目および9日目 に、シクロスポリンA注射を行った。XMP.284、XMP.127、またはPBS の注射を、 2日目、4日目、6日目、8日目および10日目に行った。アンフォテリシンBで 処置したマウスは、すべて保護されていた。XMP.127(黒塗三角)、XMP.284(白抜 四角)およびPBS 対照(白抜円)で処置した後の 死亡率のデータを示した図7の結果は、予想された通り、免疫抑制されたマウス がカンジダ感染により感受性になっていることを示していた。しかし、XMP.284 と、程度は若干劣るもののXMP.127 は、PBS 対照と比較して、生存数の大きさに 反映されているように、感染に対する保護能を有していた。 他の抗真菌剤に対して耐性であると考えられるカンジダの株:ポリエン耐性の カンジダ アルビカンス(ATCC受託番号第38247号)、5-フルオロシトシン耐性 のカンジダ アルビカンス(ATCC第 44373号)、アゾール耐性のカンジダ アル ビカンス(ATCC第 62342号)およびケトコナゾール耐性のカンジダ アルビカン ス(ATCC第 64124号)に関する、実施例3に記載のペプチドのin vitro抗真菌活 性を確認するための、シクロスポリンAによる免疫抑制を伴う/伴わない in vi vo試験をさらに行った。 実施例5 血清安定性の分析 本実施例では、ドメインIII誘導ペプチドの血清安定性と、バイオアッセイとH PLCを用いた血清の減成の効果について述べる。 この血清安定性試験にあたって、実施例1に記載したように、固相ペプチド合 成によってペプチドを調製し、94%以上の純度にまで精製した。メタファンで麻 酔をかけたラットの大動脈から Vacutainer(登録商標)チューブに採血を行い、 約30分かけて室温にて血液を凝固させ、室温にて、10分間、3000rpm(約1000×g )で遠心分離し、そして、血清を吸い出した。加えて、凍結したヒトの血清(Nor th American Biologics社、マイアミ、フロリダ州、カタログ No.2140、ロット No.94115)を室温下で解凍し、そして、用時に先駆けて0.45μm の膜に通して 濾過した。 試験に用いるXMP ペプチドの1mg/ml の溶液を、等量の上記したラットもしく はヒトの血清に添加し、そして、37℃で維持した。0、1、2および4時間の時 点にて、100μlの試料を除去し、後述するHPLC分析のために固相抽出によって 処理した。C-18 Sep-Pakカートリッジ(100mgの溶剤を含む1mlカートリッジ、W aters社、ミルフォード、マサチューセッツ州)を利用したHPLCのための血清試 料を調製した。100μl の血清試料を、等量の1% TFAに添加し、Vortexミキサ ーで30秒間混合した。1mlのメタノールと1mlのミリQ水で洗浄して調整したC- 18 Sep-Pakカートリッジに、この試料を適用した。1mlの 0.1% TFAで洗浄する ことで、弱く保持された成分を溶出した。2倍量の250μl の80%アセトニトリ ル/0.065 %TFA で、結合したペプチドを溶出した。 Sep-Pak カートリッジから溶出した物質を、150mm×1mm、5μ径、300Å孔径 の C-8 Zorbax カラムを備えた Michrom Ultrafast Microprotein 分析機にて分 析した。カラムオーブンを40℃に、流速を 100μl/分に、そして一般的な注入量 を5〜10μl に設定した。移動相Aとして5%アセトニトリル/ 0.1% TFAの溶 液、そして移動相Bとして80%アセトニトリル/ 0.065% TFAを用いたHPLCを実 施した。溶出物を、214nmの波長にて分光光度的に測定した。標準ペプチドを、0 .1mg/ml の濃度にて移動相Aに溶解した。勾配を25〜35%B/10分とし、次いで 、100%Bによる5分間の洗浄工程、そして、25%Bによる10分間の再平衡化を 行った。 上記したように血清のインキュベーションの後に同定され、そして精製された ペプチドを、Applied Biosystems社のModel 477A/120A 配列解析機でのN末端の ペプチド配列の決定と、VGBiotech Bio-Q 質量分光器を用いた電子噴射イオン化 質量分光 分析(ESI/MS)に適用した。さらに、上記したように血清のインキュベーションの 後に同定され、そして精製されたペプチドを、実施例2に記載したようにカンジ ダ アルビカンス SLU-1 を用いた放射拡散バイオアッセイにてその抗真菌活性 についても試験した。 これらの実験では、ドメインIII誘導ペプチド、XMP.97、XMP.327、XMP.332 お よびXMP.333 を使用した。それぞれの血清安定性は、実質的に相違していた。例 えば、XMP.97は所定のアッセイ条件下で、59分の半減期で血清中で減成した。XM P.97からの二つの代謝産物が検出され、このものが、アミノ末端の開裂によって 生じた一つもしくは二つのアミノ酸だけ少ないペプチドである開裂産物であるこ とが判明した。この開裂産物と反応速度は、市販の血清あるいは新たに調製した ラットの血清と同様であった。XMP.97の他の代謝産物の存在が推定されるが、検 出限界を下回る濃度であると思われる。 ペプチドの血清インキュベーションの後に認められた化学変化は、カンジダを 用いた放射拡散アッセイにて決定された活性の損失を伴うのが一般的である。例 えば、例えば、XMP.327 は所定のHPLC条件下で、40分の半減期で血清中で減成し た。放射拡散アッセイでの抗真菌活性によって決定されたXMP.327 の血清半減期 は、43分であった。他のケースの場合、抗真菌活性の消失速度とペプチドの消失 速度とは相違しており、このことは、ある産物が活性を有していることを示唆し ている。 ペプチドの減成に関与する酵素は、これらの実験では同定されていない。しか しながら、血清中のアミノペプチドは、ペプチドのN末端から一つ以上の残基を 除去できる。〔例えば、Hooper,N.M.,Ectopeptidases,Biological Barriers to Protein Delivery,pp.25-30,Audus and Raub編、Plenum Press,New York,1993 を参照。〕 例えば、アミノペプチダーゼ(E.C.3.4.11 .2)は、広範な基質特異性を有しており、ブロックされていないペプチドからN 末端アミノ酸を放出する。加水分解部位に基づいて、減成経路を封じるようにデ ザインすることができる。ペプチド中の特定のアミノ酸での血清の変質は、D-ア ミノ酸あるいは他の不定型のアミノ酸の導入、および/またはプロテアーゼ認識 を防ぐための環状化によって解消される。 他の研究にて、血清安定性が向上したペプチドをデザインした。例えば、一つ 以上のD-アミノ酸を用いてペプチドを合成した。実施例1に記載されたようにペ プチドを合成し、そして、そのN末端をアセチル化した。例えば、XMP.333 は、 合成のために用いたアミノ末端のリジン残基をD-アミノ酸とした以外は、XMP.32 7 と同じアミノ酸配列を有するように合成した。XMP.333 を試験したところ、放 射拡散アッセイにて決定された半減期は 130分であった(XMP.327 は43分であっ た)。これら結果は、N末端の単一のD-アミノ酸が、ある部分の消失を防ぎ、ペ プチドの半減期を延長することを示唆するものである。 半減期が長くなったペプチドの調製は可能であるが、同じin vitro 活性は維 持できないであろう。例えば、XMP.327 の半減期は43分であり、また、放射拡散 アッセイでの活性は353pmolであった(表1参照)。XMP.327 と同じアミノ酸配 列を有するものの、N末端はアセチル化されていないXMP.331 は、HPLC分析によ って検出された 280分という延長された血清半減期を有するが、アセチル化され ていないXMP.327 よりも劣る>3493pmol(表1参照)の活性しか保持していなか った。しかしながら、in vitro活性が落ちてはいるものの、このペプチドは、そ の改善された安定性が故にin vivo での効果の改善は期待で きる。 顕著な安定性の改善のみならず、放射拡散アッセイで検出される抗真菌活性も 維持した、他のペプチドの調製も可能である。例えば、XMP.332 はすべてD-アミ ノ酸を用いて合成されており、XMP.327 の逆配列を有している。かような「逆D- 」ペプチドは、Lアミノ酸の間にあるペプチド結合を認識して加水分解する血清 酵素に対して耐性とすべきである。実際のところ、XMP.332 は、6時間にわたる 血清のインキュベーションの後でも、活性の低下あるいはペプチド濃度の低下は 認められなかった。Lアミノ酸ペプチドに対してin vitroにて等モル濃度の活性 を維持し、そして、血清半減期を増大せしめるこのようなペプチドは、in vivo でも改善された効果が期待される。 実施例6 構造/機能の研究 本実施例は、抗真菌性ペプチドの構造面および最小機能配列の解析のための、 ペプチドのデザインと分析に関する。 上記実施例2、3および4に記したように、XMP.97は、カンジダ アルビカン スに対して顕著なin vitro活性を有しており、また、マウスの全身系カンジダモ デルに対して顕著なin vivo活性を有していることが明らかとなった。この配列 は、BPI配列の第 152位のグリシンをリジンで置換して得られた XMP.13から誘導 されたものである。実施例5にて示したように、XMP.97を含むペプチドを血清と 共にインキュベートすることで、N末端アミノ酸配列が除去されることが観察さ れている。13個のアミノ酸からなるペプチドXMP.284(SKVKWLIQLFHKK-アミド:配 列番号:117)が合成され、(97%にまで)精製され、そして、抗真菌活性につい て試験を行った。in vitro活性は、は っきりと確認はできないが、驚くほど消失した(表1参照)。この配列を基にし て、35個の欠失ペプチドを調製した。以下の表3に記したような、NおよびC末 端を 12merから6mer だけ削除したペプチド(XMP.285〜XMP.319)を合成した。 粗製のペプチドについて、実施例1に記載したようにして当初の純度と、実施 例2に記載したようにして放射拡散アッセイによってin vitro活性を分析した。 表3に記載のnmol値は、このアッセイにて30mm2の阻害面積を得るに必要なnmol 数について計算された数値(対数滴定曲線)である。XMP.97とXMP.284 の精製に おいて、精製時にpmol値に大きな変化が認められた。この変化の大きさは、他の 粗製ペプチドの場合と比べて大きなものであり、これは不活性なペプチド不純物 が除去されたことによるものと思われる。よって、実施例1に記載したようにし て精製したペプチドを用いて最終比較を行い、好ましくは、同日に分析を行った 。 最も活性のある粗製のペプチドをHPLCによって精製し、そして再分析を行った 。その結果を、表3に示した。この分析から、表3にて実証されているように、 ペプチドXMP.97に対して、XMP.293 がモル活性の増大を伴う最も小さなペプチド であった。XMP.297 は、活性に関して言えば、XMP.284 と同等であった。興味深 いことに、XMP.298 の活性は、XMP.297 の二倍以内であった。XMP.315 のような 、わずか6つのアミノ酸からなるペプチドでも活性が認められたが、この活性レ ベルは、出発配列の活性の大きさからして、約3ケタ程度低いものであった。 これらデータは、本発明のドメインIII誘導ペプチドのあるグループが開示さ れていること、そして、4〜6個のアミノ酸、好ましくは5〜6個のアミノ酸の 、疎水性アミノ酸の中央分に 一つの中性親水性残基を有し、そして、カチオン性アミノ酸によってNおよび/ またはC末端に結合あるいは接するコア部分からなる構造によって定義されるこ とを実証するものである。好ましいコア配列として、LIQL、IQLF、WLIQF、LIQLF およびWLIQLFがある。好ましいカチオン性アミノ酸として、K(最も好ましい )、R、H、ルニチン(ORN)およびジアミノ酪酸(DAB)がある。かような構造のペ プチドは、至適な活性を有する。カチオン性残基のすべてをコア部分のC末端に 有するペプチド(例えば、XMP.298)あるいはコア部分のN末端に有するペプチド( 例えば、XMP.300)の場合、活性はあるものの、ある程度の活性の消失も認められ る。ペプチドXMP.320 〜XMP.368 を設計し、所定の構造を有するように調製を行 ったところ、本発明の抗真菌性ペプチドの構造面および特徴的な最小機能配列を 裏付ける結果が得られた。 実施例7 抗真菌性ペプチドのLPS 中和活性 本実施例では、ドメインIII誘導ペプチドのin vitroおよびin vivo でのLPS 中和活性について述べる。 ドメインIII誘導ペプチドの評価のためのin vivo でのLPS 中和活性のスクリ ーニング分析法は、(共同所有に係る、係属中の米国特許出願 No.08/306,473 に記載されたような)各ペプチドの効果(EC50)と、各ペプチドによる毒性/成長 阻害の効果(IC50)の双方の測定ができるようにしてある。LPS で処置されたマウ ス細胞の増殖阻害に関するこの敏感な分析法は、標準曲線があれば、ヒトの血漿 中のLPS レベルの定量に用いることができる。 この分析において、10mM HEPES緩衝液(pH 7.4)、2mM L−グルタミン、ペニシ リン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、0.075 %重炭酸ナトリウム、 0.15M 2-メルカプトエタノールおよび10%胎児ウシ血清(Hyclone社、ローガン、 ユタ州)を補充したRPMI 1640 培地(GIBCO)で維持されたマウス RAW264.7 細胞(A TCC 受託 No.T1B71)を、まず、50U/mlの組換えマウスγ−インターフェロン(Ge nzyme、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)の存在下で、分析に先行して、24時 間インキュベーシンして誘発を行った。そして、誘発した細胞を機械的に回収し 、4℃で、500×gにて遠心し、50mlのRPMI1640培地(補充物無し)で再懸濁し 、再遠心し、そして、RPMI1640培地(補充物無し)でさらに懸濁した。細胞の数 を計測し、2×105細胞/ml の濃度に調製された 100μl の画分を、96ウェルマ イクロ滴定用プレートの各ウェルに添加した。1ng/ml の濃度(LPS 濃度を50〜 100ng/mlの間で変化させる滴定試験で得られた濃度である)で 100μl/ウェルの 量の血清を含まない RPMI 1640 培地が添加されたウェルにて、E.coli 0111 LPS(Control Standard Assoc.of Cape Cod、ウッズホール、マサチューセッツ州)と共に約15時間に わたって細胞をインキュベートした。このインキュベーションは、25〜50μg/ml の濃度のペプチドと共に、あるいはペプチド無しに実施した。第 132位のシステ インをアラニンで置換したrBPI 1-193であり、rBPI21Δcys とも称される、組換 えrBPI21〔共同所有に係る米国特許 No.5,420,019を参照〕を、1μg/mlの濃度 で正の対照として用いた。分析を開始してから5時間にわたって、経時的に、1 μCi/ウェルの[3H]-チミジンを添加して細胞の増殖を観察した。15時間のイン キュベーションの後に、標識付けした細胞を、細胞回収材(Inotech Biosystems ,INB-384,Sample Processing and Filter Counting System、ランシング、ミ シガン州)と共にガラス繊維フィルター上に置いた。 RAW 264.7 細胞増殖のLPS-媒介阻害は、血清成分もしくは組換えLBP(1μg/ml の濃度)として反応混合物に添加することにより、LBP の存在に依存する。この 分析にて、ペプチドの挙動は異なるパターンを示した。本発明によるLPS 中和活 性を有するドメインIII誘導ペプチドは、共同所有に係る、係属中の米国特許出 願 Nos.08/209,762と 08/306,473 に記載された、抗真菌活性を持たないLPS 中 和活性を有する他のXMP ペプチドとは異なり、試験した濃度にあっては、IC50は 示されなかった。例えば、XMP.5 は 5.3± 0.6μg/mlのEC50(すなわち、LPS に よる50%の成長阻害効果をもたらすペプチド濃度)を示すが、試験で用いた濃度 にあっては、IC50(すなわち、LPS もしくはペプチドを用いない場合に、50%の RAW 細胞の成長阻害をもたらすペプチド濃度)は認められなかった。代表的なド メインIII誘導抗真菌性ペプチドの分析結果を、図8に示した。精製 した抗真菌性ペプチド XMP.327(白抜四角)、XMP.332(黒塗四角)、XMP.333(白 抜三角)およびXMP.337(黒塗三角)のLPS 中和活性を、図8に示した。正の対照と して、rBPI21の活性を示した。この分析で試験した代表的なペプチドの結果を、 表4に示した。 マウスの内毒素血症in vivo モデルにおけるドメインIII誘導ペプチドの LPS 中和効果に関する試験も行った。15匹のマウスからなるグループに、LD90が20mg /kg の内毒素(E.coli 0111:B4、Sigma Chemical社、セントルイス、ミズーリ ー州)を静脈注射した。次いで、試験対象たるペプチドを同じく静脈注射した。 負の対照マウスには、生理食塩水を注射した。マウスを7日間にわたって観察し 、死亡数を記録した。ペプチドの効果を、ペプチドを投与したマウスにおける内 毒素血症に関連した死亡数との対比において、対照マウスの死亡数からの減少分 によって測定した。XMP.284 が、このマウスモデルにおいて活性を呈した代表的 なペプチドである。図7に示したように、0.5mg/kgの用量のXMP.284 にて顕著な 保護効果が認められ、1mg/kg の用量では15匹の内14匹が生存し、そして、3mg /kg の用量ではすべてのマウスに対して効果が認められた(生存率 100%)。生 理食塩水を用いた対照グループでは、生存したマウスは無かった。 実施例8 ペプチドの調剤 本実施例では、ペプチドの調剤について述べる。ドメインIII誘導ペプチドの 一つである XMP.284を、これらペプチドが通常保持している分解機構、もしあれ ば、を明らかにするために、緩衝化した生理食塩水を含む液剤での安定性につい ての評価を行った。 凍結乾燥したペプチドを、3つの個別の緩衝液に1mg/ml の濃度にそれぞれ溶 解した。使用する3つの緩衝液とは、(a)10mM酢酸液、150mM 塩化ナトリウム、p H4、(b)10mM酢酸ナトリウム、150mM 塩化ナトリウム、pH5、および(c)10mM酢 酸ナ トリウム、150mM 塩化ナトリウム、pH6の3タイプであった。調剤したペプチド 試料を、4℃と37℃でインキュベートした。所定の時間にて、各バイアルから試 料を採取し、C18 逆相HPLC、280nmでの吸光度およびSDS-PAGEで分析を行った。 この研究は、50日間にわたって継続した。 0.46×25cmのVydac C18 カラム(カタログ No.218TP54)を、島津 HPLC シス テムに用いた。このカラムを、二重勾配移動相A=水と0.05% TFA、B=アセト ニトリル+0.05% TFAに適用した。クトマトグラフィーの条件は、以下の通りで あった。波長=229nm ;流速=1ml/分;注入量=50μl ;適用時間=37分;勾 配=20分間に20〜40%B;AUFS=XMP.284 に関しては0.1 ;試料濃度=3.5μg/ 注入量50μl。C18 分析のための試料調製において、バイアルから採取した試料 は、水に溶解した0.05% TFAで16倍に希釈する。分析に先行して、すべての試料 をAcrodisc4で濾過した。 Novex 10〜20%のトリシンを予め混ぜたゲル(Novax、ラヨラ、カリフォルニア 州、EC6625)を用いたSDS ポリアクリルアミドゲルによって、試料を分析した。 非還元試料を載せた緩衝液(Novex LC1676、2×)と試料を混合し、95℃で、2 分間加熱した。冷却した後に、試料をゲルに置き、クーマシーブルーでゲルを染 色した。さらに、試料を分光測定法によって分析した。この試料について、各時 点で採取した試料をミリポワ水で6倍に希釈し、280nm で吸光度を測定し、そし て、島津UV160 分光光度計を用いて 210〜 340nmにて走査した。吸光度測定に先 行して、すべての試料を濾過した。 XMP.284 は、水と非緩衝化生理食塩水に対して可溶性である。XMP.284 は、10 mM酢酸ナトリウム、150mM 塩化ナトリウム、pH7に対しても可溶性である。この ペプチドは、40℃で1時間、 次いで、55℃で1時間の条件下で燐酸緩衝液中においても可溶性を保っている。 pH4、5もしくは6にて、10mM酢酸で緩衝化した0.15M の生理食塩水において、 280nm の吸光度を測定したところ、生成物の損失はほとんど無かった。4℃での 経時安定性の試験では、生成物濃度の変化は認められなかった。37℃での安定性 試験においてさえも、95%以上の生成物濃度は維持され、低レベル(50日目で 0 .5%以下)の新たに生じたHPLCピークが、酢酸で緩衝化した生理食塩水において 時間と共に蓄積されたに過ぎなかった。試験したドメインIII誘導ペプチドによ って発現した実質的な安定性を考慮すれば、他の賦形剤は不要となるが、さらに 長期間持続する安定性および/または活性を得るための改善が必要とされるであ ろう。 当業者であれば、本明細書における本発明の好ましい実施態様に関するこれま での記載を考慮して、本発明を実施する上での多くの修正や変更を想起すること が予測される。よって、本発明の範囲は、添付の請求の範囲に記載に従った限定 のみが付加されるべきである。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1996年4月5日 【補正内容】 好ましいペプチドは、14個のアミノ酸を有し、そして、好ましい変異配列ある いはそのサブ配列は、第 152位のGに対応するアミノ酸がKになっている配列で ある。14個のアミノ酸を有する好ましいペプチド配列は、LIQL、IQLF、WLIQL、L IQLFおよびWLIQLFからなるグループから選択されたコアアミノ酸配列あるいはこ れら配列に対して少なくとも75%の相同性を示すコアアミノ酸配列変異体を有し ており、配列番号:4(XMP.13)、6〜19(XMP.31-44)、21〜22(XMP.82-83)、23〜 25(XMP.85-87)、26〜27(XMP.91-92)、28〜31(XMP.94-97)、32〜33(XMP.100-10 1)、34(XMP.104)、35〜40(XMP.106-111)、41(XMP.113)、42(XMP.116)、43〜55(X MP.123-135)、57〜58(XMP.138-139)、59〜61(XMP.142-144)、62(XMP.146)、66〜 78(XMP.222-234)、80〜88(XMP.236-244)、89〜109(XMP.249-269)および116(XMP .283)に記載のペプチドがある。抗真菌性の14mer のペプチドのこのグループは 、少なくとも一つのBPI 配列残基が、D-異性体アミノ酸で置換された変異配列ペ プチドを含む。例えば、配列番号:46(XMP.126)、48(XMP.128)、86〜87(XMP.242 -243)および92〜93(XMP.252-253)を参照のこと。不定型のアミノ酸、例えば、β (1-ナフチル)A、β(2-ナフチル)A、パラ−アミノF、シクロヘキシルA、 α−およびγ−アミノ酪酸、αメチルAおよびNメチルG、Vお よびLによるBPI 配列の置換に関与する変異配列もこのグループに属する。 7〜12個のアミノ酸を有する本発明の好適なドメインIII誘導抗真菌性ペプチ ドは、(a)LIQL、IQLF、WLIQL、LIQLF およびWLIQLFからなるグループから選択さ れたコアアミノ酸配列;および(b)このコアアミノ酸配列のアミノおよび/また はカルボキシ末端部分に、K、R、H、オルニチンおよびジアミノ酪酸からなる グループから選択された一つ以上のカチオン性アミノ酸を含む。7〜9個のアミ ノ酸を有するこのペプチドのサブセットは、(a)LIQLおよびIQLFからなるグルー プから選択されたコアアミノ酸配列;および(b)このコアアミノ酸配列のアミノ および/またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、オルニチンおよびジアミノ 酪酸からなるグループから選択された少なくとも二つのカチオン性アミノ酸を含 む。8〜10個のアミノ酸を有するこのペプチドの他のサブセットは、(a)LIQLFお よびWLIQLFからなるグループから選択されたコアアミノ酸配列;および(b)この コアアミノ酸配列のアミノおよび/またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、 オルニチンおよびジアミノ酪酸からなるグループから選択された少なくとも二つ のカチオン性アミノ酸を含む。9〜12個のアミノ酸を有するこのペプチドのさら に他のサブセットは、(a)WLIQLFからなるグループから選択されたコアアミノ酸 配列;および(b)このコアアミノ酸配列のアミノおよび/またはカルボキシ末端 部分に、K、R、H、オルニチンおよびジアミノ酪酸からなるグループから選択 された少なくとも三つのカチオン性アミノ酸を含む。これらサブセットの例とし て、配列番号: 118〜137(XMP.285-304)、140〜144(XMP.307-311)、155〜160(XM P.322-327)、166〜170(XMP.335-339)、174〜177(XMP.343-346)、179〜184(XMP. 348-353)、186(XMP.355)、188〜190(XMP.357-359)がある。 上記したペプチドの構造の考察から明らかな通り、BPI アミノ酸の第 148〜16 1 位にあるドメインIII配列が、上記したコア配列とこのコア部分に作用する複 数のカチオン性残基(KとH)を含む。この部分は、本発明の抗真菌性ペプチド をもたらす第 148〜161 位の配列のサブ配列構造まで移動し、第 148〜161位の 抗真菌性変異配列およびそのサブ配列にて保存される。例えば、BPI 配列の第 1 52位に通常は位置するG残基がK残基で置換され、これによって、支配的な疎水 性コア残基の直近にカチオン性残基が到達するように作用する。本発明による抗 真菌性ペプチドをもたらす配列と変異サブ配列は、通常はコア配列に作用してい る一つ以上の非カチオン性残基が、カチオン性残基で置換された配列であって、 本発明のペプチドはこの配列を含むペプチドである。 請求の範囲 1.7〜12個のアミノ酸を含む抗真菌性ペプチドであって、 (a) LIQL、IQLF、WLIQL、LIQLF およびWLIQLFからなるグループから選択された アミノ酸のコア配列、および (b) そのアミノ末端部分および/またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、オ ルニチンおよびジアミノ酪酸からなるグループから選択された一つ以上のカチオ ン性アミノ酸、 を含む抗真菌性ペプチド。 2.7〜9個のアミノ酸を含む抗真菌性ペプチドであって、 (a) LIQLおよびIQLFからなるグループから選択されたアミノ酸のコア配列、およ び (b) そのアミノ末端部分および/またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、オ ルニチンおよびジアミノ酪酸からなるグループから選択された少なくとも二つの カチオン性アミノ酸、 を含む抗真菌性ペプチド。 3.8〜10個のアミノ酸を含む抗真菌性ペプチドであって、 (a) LIQLF およびWLIQLFからなるグループから選択されたアミノ酸のコア配列、 および (b) そのアミノ末端部分および/またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、オ ルニチンおよびジアミノ酪酸からなるグループから選択された少なくとも二つの カチオン性アミノ酸、 を含む抗真菌性ペプチド。 4.9〜12個のアミノ酸を含む抗真菌性ペプチドであって、 (a) WLIQLFからなるグループから選択されたアミノ酸のコア配列、および
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT, UA,UG,UZ,VN (72)発明者 ファデム, ミッチェル, ビー. アメリカ合衆国 94707 カリフォルニア バークレイ コルサ アベニュー 716

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.7〜12個のアミノ酸を含む抗真菌性ペプチドであって、 (a) LIQL、IQLF、WLIQL、LIQLF およびWLQLF からなるグループから選択された アミノ酸のコア配列、および (b) そのアミノ末端部分および/またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、オ ルニチンおよびジアミノ酪酸からなるグループから選択された一つ以上のカチオ ン性アミノ酸、 を含む抗真菌性ペプチド。 2.7〜9個のアミノ酸を含む抗真菌性ペプチドであって、 (a) LIQLおよびIQLFからなるグループから選択されたアミノ酸のコア配列、およ び (b) そのアミノ末端部分および/またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、オ ルニチンおよびジアミノ酪酸からなるグループから選択された少なくとも二つの カチオン性アミノ酸、 を含む抗真菌性ペプチド。 3.8〜10個のアミノ酸を含む抗真菌性ペプチドであって、 (a) LIQLF およびWLQLF からなるグループから選択されたアミノ酸のコア配列、 および (b) そのアミノ末端部分および/またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、オ ルニチンおよびジアミノ酪酸からなるグループから選択された少なくとも二つの カチオン性アミノ酸、 を含む抗真菌性ペプチド。 4.9〜12個のアミノ酸を含む抗真菌性ペプチドであって、 (a) WLQLF からなるグループから選択されたアミノ酸のコア配列、および (b) そのアミノ末端部分および/またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、オ ルニチンおよびジアミノ酪酸からなるグループから選択された少なくとも三つの カチオン性アミノ酸、 を含む抗真菌性ペプチド。 5.前記ペプチドが、配列番号; 118〜 137(XMP.285 〜304)、140〜 144(XMP.3 07 〜311)、155〜 160(XMP.322 〜327)、166〜 170(XMP.335 〜339)、174〜 177 (XMP.343 〜346)、179〜 184(XMP.348 〜353)、186(XMP.355)および 188〜190(X MP.357 〜359)に記載のペプチドからなるグループから選択される、請求の範囲 第1項、第2項、第3項もしくは第4項に記載の抗真菌性ペプチド。 6.一つ以上のD−異性体アミノ酸を含む、請求の範囲第1項、第2項、第3項 もしくは第4項に記載の抗真菌性ペプチド。 7.前記ペプチドが、配列番号: 164(XMP.333)、165(XMP.334)、173(XMP.342) 、194(XMP.363)および196(XMP.365)に記載のペプチドからなるグループから選択 される、請求の範囲第6項に記載の抗真菌性ペプチド。 8.前記コア配列アミノ酸が、逆配列順にてD−異性体アミノ酸を含む、請求の 範囲第6項に記載の抗真菌性ペプチド。 9.前記ペプチドが、配列番号: 163(XMP.332)および 198(XMP.367)に記載のア ミノ酸配列を含む、請求の範囲第8項に記載の抗真菌性ペプチド。 10.前記アミノ末端アミノ酸残基が、アセチル化されている請求の範囲第1項、 第2項、第3項もしくは第4項に記載の抗真菌性ペプチド。 11.前記ペプチドが、配列番号: 162(XMP.331)、185(XMP.354)、187(XMP.356) 、195(XMP.364)、199(XMP.368)および204(XMP.373)に記載のペプチドからなるグ ループから選択される、請求の範囲第10項に記載の抗真菌性ペプチド。 12.環状抗真菌性ペプチドである、請求の範囲第1項、第3項もしくは第4項に 記載の抗真菌性ペプチド。 13.前記ペプチドが、配列番号: 191、192および 193に記載のペプチドからな るグループから選択される、請求の範囲第8項に記載の環状抗真菌性ペプチド。 14.配列番号: 116〜117(XMP.283〜284)、132(XMP.299)、138〜139(XMP.305〜3 06)、145〜154(XMP.312〜321)および 200〜203(XMP.369〜372)に記載のペプチド からなるグループから選択される、抗真菌性ペプチド。 15.請求の範囲第1項〜第14項のいずれかに記載の抗真菌性ペプチドと、薬学的 に許容される希釈剤、佐剤あるいは担体を含む薬剤組成物。 16.真菌感染症を治療する薬剤の製造用途での、請求の範囲第1項〜第14項のい ずれかに記載の抗真菌性ペプチドの使用。 17.他の抗真菌剤との併用による請求の範囲第1項〜第14項のいずれかに記載の 抗真菌性ペプチドの使用。 18.請求の範囲第1項〜第14項のいずれかに記載の抗真菌性ペプチドを真菌と接 触することを含む、真菌を死滅あるいは真菌の複製阻害のためのin vitro方法。 19.真菌感染した対象に、請求の範囲第1項〜第14項のいずれかに記載のペプチ ドの治療的有効量を投与することを含む、真菌感染を治療する方法。 20.前記真菌感染が、Candida(カンジダ)、Aspergillosis(アスペルギロシス)お よび Cryptococcus(クリプトコッカス)種からなるグループから選択された真菌 種が関与する感染である、範囲第19項に記載の方法。 21.前記Candida 種が、C.albicans(カンジダ アルビカンス)、C.glabrata( カンジダ グラブラタ)、C.krusei(カンジダ クルセイ)、C.lustianiae(カ ンジダ ラスティアニエ)、C.parapsilosis(カンジダ パラプシロシッス)およ び C.tropicalis(カンジダ トロピカリス)からなるグループから選択される、 範囲第20項に記載の方法。 22.前記ペプチドが、局所的、静脈注射的、経口的、あるいはエアロゾルとして 投与される、範囲第19項に記載の方法。 23.非ペプチド性抗真菌剤を投与する工程をさらに含む、範囲第19項に記載の方 法。
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