JPH10508053A - 新規なコバルト含有デポジット抑制添加剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、潤滑粘度の基本油、ナフテン酸銅、オレイン酸銅及びポリイソブチレンコハク酸無水物銅のような銅含有酸化防止剤、並びにナフテン酸コバルト、オレイン酸コバルト、ステアリン酸コバルト及びポリイソブチレンコハク酸無水物コバルトのようなコバルト含有酸化防止剤からなる潤滑油組成物並びにその製造方法を提供する。本発明は、コバルト化合物と銅化合物との相乗効果による増強されたデポジット抑制を提供し、潤滑応用に於いて有用性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 新規なコバルト含有デポジット抑制添加剤 発明の分野 本発明は、デポジット制御添加剤を含有する新規な潤滑油基本原料組成物に関 する。 発明の背景 銅は、一般的な潤滑油酸化防止剤添加剤である。しかしながら、これは高温で デポジットを形成する。その結果、銅酸化防止剤の寿命を延長し、且つその分解 及び分解の結果得られるデポジット形成を抑制するための添加剤及び方法が望ま れた。本発明はこれらの必要性に取り組んだ結果生まれたものである。 発明の要約 本発明は、潤滑粘度の基本原料、銅含有酸化防止剤及びデポジット抑制増強量 の油可溶性又は油分散性のコバルト含有化合物からなる、配合潤滑油組成物を提 供する。 本発明はまた、デポジット抑制増強量の油可溶性又は油分散性のコバルト含有 化合物を、銅含有酸化防止剤を配合した潤滑粘度の基本油に添加することからな る、エンジン潤滑システムに於けるデポジット形成の抑制方法を提供する。 本発明は適当に、本明細書に開示されている要素を含有するか、これらの要素 からなるか、又はこれらの要素から本質的になるかのいずれでもよく、必要に応 じて本明細書に開示されていない如何なる要素の不存在下にも実施することがで きる。 発明の詳細な記述 本発明は、銅含有酸化防止剤を含有するある種の基本原料の性能を、コバルト 含有化合物を添加することによって増強することによる、内燃機関内でのデポジ ットの抑制方法、即ちデポジット形成及び蓄積の抑制方法を提供する。本発明は また、新規な配合油及びそれに関連する添加剤組成物を提供する。利点として、 銅含有酸化防止剤及び配合油の寿命を延長させることができる。 本明細書に開示されている出発物質は、当該技術分野で公知の方法によって製 造するか又は商業的販売元から得ることができる。 一般的に、銅含有化合物及びコバルト含有化合物は、多量の油に対して少量の 重量パーセントの化合物の割合で個々に存在する。本明細書で使用するとき「少 量」という用語は、量が組成物の５０重量％より少ないことを意味することとす る。「多量」という用語は、量が組成物の５０重量％より多いことを意味するこ ととする。 銅酸化防止剤は、炭化水素、好ましくは油に対して可溶性又は分散性の形で存 在しなくてはならない。これらの酸化防止剤は、経済的且つ容易に入手可能な原 料になるので、内燃機関用の潤滑添加剤に典型的に使用される種類のものであり 、そのようなものの典型的な量で存在する。適当な例には、ナフテン酸銅、オレ イン酸銅及びポリイソブチレンコハク酸無水物（「ＰＩＢＳＡ」）銅化合物が含 まれる。従って、これらの量は、本発明に影響を与えることなく個々の配合に応 じてで変化させることができる。 銅含有酸化防止剤をその中に有する配合油中のデポジット抑制を増強する相乗 効果をもたらすコバルト含有化合物は、炭化水素、好ましくは油に対して可溶性 又は分散性の形で存在しなくてはならない。それで、それが油に対して可溶性又 は分散性である限り、どのようなコバルト源 も許容できる。例には、ナフテン酸コバルト又はステアリン酸コバルトのような 油溶性コバルト塩及び適当な分散剤又は界面活性剤と組み合わせた無機コバルト 塩、例えば、コバルトＰＩＢＳＡ又はコバルトアセチルアセトナート（「ａｃａ ｃ」）が含まれる。コバルト含有化合物は、デポジット形成を抑制し、銅酸化防 止剤及び配合油の寿命を延長するという相乗効果を得るために、銅含有化合物並 びにそれが添加される基本原料又は配合油と相溶性であることが望ましい。コバ ルトは、デポジット抑制性能を増強するために、即ちデポジット形成を抑制し、 従って銅酸化防止剤を含有する潤滑油の寿命を延長するために十分な量で存在す る。潤滑応用のために、この量は典型的に、配合組成物中に存在する金属の量を 基準にして決定したとき、少量のコバルト金属、好ましくは約１０〜１０００ｐ ｐｍ、更に好ましくは約５０〜５００ｐｐｍ、最も好ましくは約７５〜２００ｐ ｐｍである。 前記のものは、当該技術分野で公知の手段によって基本油及び配合油に添加す ることができる。 本明細書で使用するとき、炭化水素又は油に対して「可溶性」及び「分散性」 という用語は、配合油が典型的に使用される環境での温度で液体である、炭化水 素、好ましくは潤滑粘度の油中で、物質が可溶性又は安定して分散性であること を意味する。「安定して分散性」という用語は、物質が、意図されるように機能 することを可能にする程度まで、炭化水素又は油中で分散されることができるこ とを意味する。それで、例えば潤滑油配合物に於いて、銅酸化防止剤又はコバル ト酸化防止剤が油を潤滑剤として機能させるために十分油中に溶解、分散又は他 の様式で懸濁されることができるならば、該銅酸化防止剤又はコバルト酸化防止 剤は炭化水素又は油に対して可溶性又は分散性である。油に対して溶 解性又は分散性を得るために、スルホン酸カルシウム清浄剤とホウ酸化ＰＩＢＳ Ａ−ＰＡＭのような分散剤との中性及び／又は過塩基性化(overbased)ブレンド 物のような清浄剤を使用することができる。 本発明による潤滑油組成物に使用される基本油は、潤滑油の意図する用途に適 したどのような基本油であってもよい。それで、基本油は、例えば、従来の方法 で精製された鉱油、コールタール若しくは頁岩から誘導された油、植物油、動物 油、水素化分解油又は合成油又はこれらの種類の油の２種以上の混合物であって よい。合成油の例には、水素異性化パラフィン類、ポリα−オレフィン類、ポリ ブテン類、アルキルベンゼン類、ポリグリコール類、ポリオールエステル類又は 二塩基性カルボン酸エステル類のようなエステル類、アルキレンオキシドポリマ ー類及びシリコーン油類が含まれる。この基本油の粘度は、意図する用途に依存 するが、一般的に１００℃で３〜２０ｃＳｔの範囲内である。 本発明はまた、油組成物中に他の添加剤を使用することを許容する。これらの 他の添加剤には、粘度変性剤、極圧添加剤、腐食防止剤、流動点低下剤、色安定 剤、消泡剤等、潤滑油配合の当業者に一般的に知られている添加物質のような従 来の添加剤種類が含まれる。 本明細書に記載した利点は、潤滑油添加剤として一般的に使用される銅含有酸 化防止剤の量及び種類の範囲に亘って得ることができると期待される。 同様の利点が燃料に於いて得ることができることが期待される。 本発明を下記の実施例を参照することによって例示する。 実施例１−傾斜パネルデポジット試験 銅含有酸化防止剤を含めて配合した潤滑油中のコバルト含有化合物の存在の効 果を、傾斜パネルデポジット試験（ＩＰＤＴ）を使用して評価 した。銅含有酸化防止剤を含めて配合した基本油に、コバルト含有化合物を添加 することのエンジンデポジット形成に及ぼす有利で相乗的な効果を、試験の経過 の間のデポジットの堆積を測定することによって決定することができる。コバル ト添加の有利な効果は、デポジット形成のより小さい量によって立証される。 ＩＰＤＴは、エンジン運転の間のピストンデポジット形成をシミュレートする ベンチ試験である。油３５ｍｌを１５０℃に加熱し、３０８℃に加熱したパネル を２度の角度で流した。次いで油をポンプでサンプを介してパネル上に送り返し た。油を試験の２時間の間、合成ブローバイガスに露出した。パネルを冷却し、 ヘプタンで洗浄した。評価値（欠点）値は、プレート上のデポジットの量を示す 。より高い数字（より大きい欠点）はより大きいデポジット形成を示し、１０が 最高で、０が最低である。 表１に、銅酸化防止剤システムにコバルトを添加する相乗効果を示すもので銅 ＰＩＢＳＡ及び単官能性オレフィンコポリマーＶＩ改良剤、ホウ酸化ＰＩＢＳＡ 流動点低下剤、スルホン酸カルシウム過塩基化清浄剤、中性スルホン酸カルシウ ム清浄剤、ノニルフェニルスルフィド酸化防止剤、ＺＤＤＰ耐摩耗添加剤、ジチ オ炭酸モリブデン耐摩耗添加剤単独を含有する市販の添加剤パッケージを含めて 配合した市販の鉱油基本原料（操作１）、並びにコバルト添加剤の存在下で配合 した市販の鉱油基本原料。（操作２）のＩＰＤＴ結果を示す。市販のジフェニル アミン及びヒンダードフェノール酸化防止剤添加剤パッケージへのコバルトの添 加によって結果が悪化することを示す比較例を表２に示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｃ１０Ｎ 10:02 10:16 30:04 30:10 40:25 (72)発明者 フランシスコ・マニュエル・エー アメリカ合衆国、ニュージャージー州 07882、ワシントン、ポハットコング テ ラス ９

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．潤滑粘度の基本エンジン油、銅含有酸化防止剤、及び１０〜１０００ｐｐ ｍのデポジット抑制増強量の油に対して可溶性又は分散性のコバルト含有化合物 の相乗作用的組合せを含む配合内燃機関潤滑油組成物。 ２．コバルト含有化合物がナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、コバ ルトポリイソブチレン無水コハク酸及びコバルトアセチルアセトナートの中から 選ばれるものである請求の範囲第１項記載の組成物。 ３．銅含有酸化防止剤がナフテン酸銅、オイレン酸銅、ステアリン酸銅及び銅 ポリイソブチレン無水コハク酸の中から選ばれるものである請求の範囲第１項記 載の組成物。 ４．分散剤及び洗浄剤の中から選ばれた少なくとも１つの剤を更に含む請求の 範囲第１項記載の組成物。 ５．耐摩耗剤、粘度変性剤、極圧添加剤、消泡剤、流動点低下剤及び色安定剤 の中から得らばれた少なくとも１つの剤を更に含む請求の範囲第１項記載の組成 物。 ６．１０〜１０００ｐｐｍの相乗作用的デポジット抑制増強量の油に対して可 溶性又は分散性のコバルト含有化合物を、銅含有酸化防止剤を含めて配合した潤 滑粘度の基本エンジン油と組み合わせて、油中のデポ ジット抑制を増強させるステップを含む内燃機関潤滑システムに於けるデポジッ ト形成の抑制方法。