JPH10506198A - 汚染防止上の改良が為された生物的分析装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 汚染防止特性が改善された、細胞培養のような生物学的分析を行うための装置が提供される。好ましい実施例では、細胞分析のためのマイクロウェル膜プレートが、矩形の浅いトレーに挿入されるようになっている。トレーは高い側壁を有し、この側壁が、細胞の成長及び分析に使用する適宜の液体を保持するための単一の大型のリザーバを形成する。トレーの側面には、このトレーの全周囲に沿って伸延する隆起するリッジが含まれる。このリッジに形成した、高さが一様の一連の段部が、トレーに挿入したマイクロウェル膜プレートに対する支持体として作用すると共に、プレートとトレーとの間に狭幅の第１の毛管間隙を創出する。リッジの底部から横方向に伸延する棚状部分が、マイクロウェル膜プレートをトレーに挿入した場合に幅広の第２の間隙を形成する。第１の毛管間隙の高さは、前記第２の間隙の、装置の外部に向けて伸延する空間帯域内の高さ未満であり、かくして、トレーとプレートとを、取り扱い中に揺らす時のように傾けると、リザーバからこぼれた液体は第１の毛管間隙により形成される空間内に優先的に留まる。第２の空間にこぼれた液体は装置を水平に戻すとリザーバに戻る。

Description

【発明の詳細な説明】 汚染防止上の改良が為された生物的分析装置 〔発明の属する技術分野〕 本発明は一般に、生物的分析、詳しくは、細胞培養物のような生細胞に関する 試験管内プロセス並びに、引き続く、細胞機能を評価する分析評価を実施するた めの装置に関する。更に詳しくは、本発明はウェルの各々がその底部を透過性膜 でもってシールされてなるマルチーウェル付きの細胞培養プレートに関する。 〔従来の技術〕 生物工学工業に関する技術上の伸延に伴い、生物的研究を支えるための色々な 皿、フラスコ、管、プレートに対する需要の最も大きい“バイオテックウェア” 工業が成長している。生物分子に関わる多くの実験では、できるかぎり無菌状態 を維持するための厳しい条件がある。これは、生細胞に関する試験管内プロセス を実施する場合に特に言えることである。 生細胞の試験管内成長と、引き続く分析に関連して使用する装置は、A/S Nncu and Corning社のような数多の製造業者から入手することができる。そうした装 置は、生細胞を培養或は分析するための媒体及び或は試薬を付加するところのプ ラスチックの大きな破片から、細胞培養媒体或は生物的試薬がその内部で個別の ウェルに付加されるところの自蔵式の、複数の不透性のプラスチックウェル（6- 、12-或は24-ウェルヴァージョンのものが通常入手され得る）を有するプレートに至る様 々な形態のものを入手することができる。 細胞成長媒体内に透過性の微孔質膜を懸架させることが、細胞の成長及び研究 に確実に有益であることが示された。通常、微孔質膜はプラスチック製の円筒の 一端にシールされ、この円筒が、培養基と共に培養プレートのウェル内に配置さ れる。細胞は微孔質膜の上方の、またしばしば下方のチャンバー内に配置され る。微孔質膜はイオンや分子が自由に拡散できるようにするので、細胞の成長条 件は、中実の不透性のプラスチック表面上におけるよりも生体内でのそれに一層 近くなる。微孔質膜は、細胞の両側に液体が接近できるようにしそれにより、細 胞の分化を改善すると共に、細胞の移送性及び透過性のみならず、細胞間の相互 作用の各研究を容易化する。 最近では、細胞研究のための膜ウェルを提供するための概念は、底部を開放し た列状のウェルと、各ウェルの底部にシールした微孔質膜とを有するマルチウェ ル型のプレート（今後、“マイクロウェル膜プレート”とも称する）を提供する ことに拡がって来ている。マイクロウェル膜プレートは、端部を閉じたウェルが 合致する模様に配列されたトレーに挿入されるようになっている。微孔質膜の上 下に組織培養基及び或は試薬を配置し、同時に多数の研究を行うための所望に応 じて細胞を追加することができる。ミリポア社の販売するマルチスクリーン（商 標名）型のフィルタープレート要素はそうしたマイクロウェル膜プレートの一例 である。 細胞の生物的研究を行う前の数日間、細胞を微孔質膜の表面上で成長させるこ とが、付着依存性の細胞が膜上に集合層を形成し、またそうした細胞の、完全に 分化された、解剖学的機能及び生理学的機能を発現させる上で望ましい。端部を 閉じたウェルが合致する模様に配列された、先に説明した形式のマルチウェル型 のトレーは、細胞成長期間中にマイクロウェル膜プレートと共に使用することが できる。しかし、成長する細胞の取り込む養分を補給するために培養基をしばし ば交換する必要がある。この初期成長期間中に、マイクロウェル膜プレートのろ 過ウェル全部を受容する幾つかの大きいリザーバ或は単一の大型リザーバを有す るトレーを使用するのが有益である。大型のリザーバを有するトレーでは、１ウ ェル当りに提供される培養基容量は、単一のろ過ウェルのみを受容するリザーバ でのそれよりも大きくなるので、培養基を頻繁に取り替えなくとも良くなる。し かも、１つの大きなリザーバ内での培養基の交換は、トレー当り９６個もの小さ いウェルを交換するよりもずっと簡単である。 使用する装置の形式に関わらず、生細胞に関与する実験では無菌状態に対する 配慮が必要となる。生細胞を取り扱う場合、微生物汚染は常に重要な関心事項で ある。しかしながらこの点、細胞から出るガスを外部環境に交換する、またその 逆が必要であるから、成長する細胞を収納するプレートを周囲環境に対して密封 することはできない。かくして、そうしたプレートと共に使用するカバーは、細 胞を収納する容器との間に空間を提供するものでなければならない。そうした細 胞分析装置を取り扱う時、使用する液体溶液がこぼれると、こぼれた液体溶液は カバーと容器との間の空間に残る。これが、汚染物を容器に侵入させる通路を提 供する。 “こぼれ”に関する前述の問題は、先に述べたマルチスクリーン（商標名）の ようなマイクロウェル膜プレートを、細胞を収納する全ウェルと、膜を介して相 互作用する媒体のための単一のリザーバとを持つトレーと共に使用する場合には 大きな問題となる。この場合、トレーのリザーバは比較的大きく且つ殆どそのリ ムの部分まで液体で充填される。トレーをプレートに（或はプレートのためのカ バーに）シールすることができないために、取り扱い中にトレー及びプレートを 傾ける或は揺すると液体はこぼれる。かくして、液体はトレーとプレートとの間 に容易に漏れ出してそこに止まり、汚染物の通路を創出する。こうした汚染物の 通路は細胞に、或は引き続いて行う分析に悪影響を及ぼしかねない。 〔解決しようとする課題〕 前述の問題を解決する分析装置を提供することである。 〔課題を解決するための手段〕 本発明によれば、周囲環境の微生物学的な汚染物がそこを通して装置内部に侵 入し得るところの汚染液体による通路を、毛管力を使用することで排除してなる 改良された生物学的分析装置が提供され、前述の問題が解決される。好ましい実 施例では、細胞分析のためのマイクロウェル膜プレートが、細胞の成長及び分析 に使用する適宜の液体を保持する単一の大型のリザーバを形成する、矩形の、側 壁の高い浅いトレーに挿入されるようになっている。各マイクロウェル膜プレー トはリザーバ内に嵌入し、細胞試薬に対して相当する膜を露呈する。トレーの側 面には、トレーの全周囲に沿って隆起するリッジが伸延される。このリッジに形 成された、高さが一様の一連の段部が、マイクロウェル膜プレートをトレーに挿 入した場合に、このマイクロウェル膜プレートに対する支持体として作用すると 共に、マイクロウェル膜プレートとトレーとの間に、狭幅の、毛管用の第１の間 隙を創出する。 本発明の上記実施例では、リッジはトレーの最も内側の縁部（即ち、リザーバ に最も近い位置）に沿って突出し、リッジの底部からは棚状部分が横方向に伸延 し、この棚状部分が、マイクロウェル膜プレートをトレーに挿入した場合に幅広 の第２の間隙を形成する。第２の間隙は、マイクロウェル膜プレート及びトレー 組み合わせ体の最も外側の縁部を一様に伸延し、また第１の間隙と関連して、リ ザーバ内の細胞と外部環境との間でのガス交換のための通路を形成する。本発明 の重要な様相に従えば、第１の間隙の高さは、装置の外側に伸延する空間の帯域 内に形成された第２の間隙の高さ未満である。このように、トレー及びマイクロ ウェル膜プレートを、取り扱いに際して揺する時のように傾けると、リザーバを 出た液体は第１の間隙の形成する空間内に優先的に止まるようになる。第２の間 隙にこぼれた液体は装置を水平にするとリザーバに戻る。 〔図面の簡単な説明〕 図１は、本発明の好ましい実施例に従う、マイクロウェル膜プレートと、リザ ーバを含むトレーの分解斜視図である。 図２は、マイクロウェル膜プレートをトレーに挿入した状態での図１の側面図 である。 図３は図２の状態での装置の、マイクロウェル膜プレートをトレーに挿入する 際の間隙及び空間の詳細を部分的に破除して示す部分拡大断面図である。 図４は、別態様での実施例の部分拡大断面図である。 〔発明の実施の形態〕 図１には、細胞培養のために使用する装置１０の好ましい実施例が示される。 本実施例では装置１０は細胞培養に関して説明されるが、装置は、細胞機能を分 析するための分析評価を実施するための如き、試験管内での生細胞研究のための 多くの方法で使用することができる。 装置１０は、プラスチック製の９６個の独立したウェル１２を有するマイクロ ウェル膜プレート１１（以下、単にプレート１１とも称する）を含み、各ウェル １２は開放端部１２Ａと、ウェルの底部にシールされた透過性膜１３とを有して いる。プレート１１はポリスチレンのような好適な材料から形成され、膜はセル ロースエステル、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)その他任意の好適な材料か ら作製した微孔質膜である。装置１０の膜の孔寸法は0.1 乃至20ミクロンの範囲 であり得る。限外ろ過膜を必要とするその他の用途のために使用するためには装 置の孔寸法は0.1 ミクロン未満とする。矩形のトレー１４はグリコール改質ポリ エチレンテレフタレート(PETG)のような好適な材料から作製され、高い側壁１５ を有し、この側壁が、トレーの基本的に全面積を占める浅いリザーバ１６を画定 する。リザーバの寸法形状は、細胞培養中にプレートとトレーとを組み合わせた 時、リザーバ内部に９６個のウェルが全て挿入されるようなものである。 トレー１４は、リザーバ６に隣り合う最も内側の縁部に沿って、トレーの全周 囲に位置付けられた隆起するリッジ１７を含んでいる。このリッジの底部から横 方向に伸延する状態で、側壁１５と実質的に直交する棚状部分１８が配設される 。図２及び図３に最も良く示されるように、プレート１１の外側縁部１９は、プ レートをトレーに挿入した時、棚状部分１８の幅と概略同じ幅で伸延する。 リッジ１７上で、トレー１４の各端部位置に一様な高さに形成した４つの段部 ２０が、プレート１１に対する支持体として作用すると共に、リザーバ１６に近 い位置で、トレーとプレートとの間に第１の間隙、即ち毛管間隙２１をも創出す る。プレートをトレーに挿入することにより、プレートの外側縁部１９の近辺に 、図示されるような、もっと幅広の第２の間隙２２もまた形成される。この位置 でのトレーとプレートとの間の空間が、周囲環境と装置１０の内部との間におけ る外側界面を画定する。本発明の重要な様相に従えば、毛管間隙２１の高さは 第２の間隙２２のそれ未満であり、また、毛管間隙２１と装置１０の外側との間 の帯域には、この毛管間隙２１と同じように低い或はもっと低い空間は存在しな い。細胞培養中は図示しないカバーが装置を覆って配置される。カバー、プレー ト、トレー、そして毛管間隙２１と第２の間隙２２とが組み合わさることにより 狭く曲折した通路が形成され、この通路が、細胞培養中の汚染の機会を最小化し つつも尚、必要なガス交換を可能とする。 先に言及したように、無菌状態は細胞培養用途のための重要な考慮事項である 。しかしながら、装置１０を密封することは、細胞と周囲環境との間でのCO₂及 びO₂ガスのための交換能力が失われることから望ましくない。かくして、取り扱 い中にこぼれる成長用媒体は微生物汚染源となり得る。媒体が外部環境と接触す る状態のままで停滞すると、リザーバ１６に直接達する連続する液体通路が出現 しそれにより、装置に微生物学的な汚染物が侵入する通路が形成される。この問 題を解決するために、毛管間隙２１の高さを、ガス交換を可能とするための必要 性と矛盾しない限りにおいてできるだけ低く維持する。0.01mmから1.0mm の間の 高さが特に有益であることが分かった。一方、第２の間隙２２の高さは毛管間隙 ２１の高さよりもずっと高く、例えば0.1mm から5.0mm の間とする。第２の間隙 ２２の高さは毛管間隙２１の高さの数倍とすることができる。つまり、毛管間隙 が0.2mm であれば第２の間隙は1.0mm 或はその前後である。かくして、装置１０ が傾くことによりリザーバ１６からこぼれた液体は、優先的に毛管間隙２１に止 まる。第２の間隙２２には液体が存在しないことから、こぼれた液体は、これを 汚染する外部環境から隔絶される。 先に説明した液体バリヤーの創出に影響するその他の考慮事項には、細胞培養 液に対する適宜の表面濡れ特性を有する材料を選択することが含まれる。プレー ト１１とトレー１４とを共に、細胞培養液によっては濡れない材料から作製する のが好ましい。つまり液体は、プレート１１とトレー１４とによる２表面に対す る接触角度が９０°よりも大きいと、幾分かの圧力が加えられた場合を除き、毛 管間隙２１には入らない。しかしながらそうした濡れ特性を有する材料は別の理 由からしばしば受け入れ難いものとなる。装置１０は、プレート１１とトレー１ ４とが、細胞培養液で濡れてもその濡れが広がらない材料から形成されたもので あれば、やはり細胞培養液の汚染を防止するものとなる。細胞培養液は、中実の 表面と９０°未満の、しかし０°よりも大きい角度で接触するのであれば、それ らの表面上では広がらない。この条件では細胞培養液は毛管間隙２１を越えて第 ２の間隙２２に入り込む。しかしながら、この第２の間隙２２に止まる細胞培養 液は装置を水平に戻すとリザーバ１６に戻る。ある用途のためには、毛管間隙２ １と第２の間隙２２との間の界面位置に鋭角の縁部３０を設けることで、液体バ リヤの性能が高められる。 図４は装置１０の別態様を示すものであり、リッジは異なる構造を有している 。本実施例ではリッジ４０は、テーパーの付いた棚状部分４１と、この棚状部分 ４１と直交する側壁４２とにより画定される２つのスロープ間に形成される。棚 状部分４１はプレート１１に関する狭幅部分の高さから、トレーの最も外側の縁 部位置の幅広部分の高さにかけてテーパが付けられている。本実施例では幅広部 分の端部が狭幅部分の端部よりも幅広い必要はない。棚状部分を、毛管間隙２１ よりも高さの低い空間が創出されない限りにおいて反対側に向けてテーパーさせ ることもできる。 以上本発明を具体例を参照して説明したが、本発明の内で多くの変更を成し得 ることを理解されたい。

───────────────────────────────────────────────────── 【要約の続き】 にこぼれた液体は装置を水平に戻すとリザーバに戻る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．生物学的分析を行うための装置であって、 液体溶液を保持するための少なくとも１つのリザーバを画定する底部表面及び 連続する側方表面を有するトレーと、 リザーバの周囲に沿って伸延する棚状部分と、 リザーバの内部とトレーとの間で棚状部分上にリッジを画定する手段と、 少なくとも前記リッジ及び棚状部分に接近する位置でリザーバの開口部を覆う ようになっているサンプル容器支持手段と、 サンプル容器支持手段をリッジから離間させ、その間部分に、リザーバの周囲 に沿って伸延し、装置外部からリザーバ内部への、またその逆のガス交換を可能 とする第１の毛管空間を創出するための手段と、 を含み、 棚状部分とサンプル容器支持手段とが、第１の毛管空間に隣り合う第２の空間 を創出し、第１の毛管空間の高さが第２の空間の高さ未満でありそれにより、リ ザーバ内の液体溶液がリザーバからこぼれ出した場合に第１の毛管空間内に優先 的に止まるようにしてなる、生物学的分析を行うための装置。 ２．サンプル容器支持手段が少なくとも１つの収納手段を含み、該収納手段が 、該収納手段にシール状態で付設された透過性の膜を有し、該膜が、リザーバ内 部の液体溶液と接触するべく位置決めされている請求項１に記載の生物学的分析 を行うための装置。 ３．収納手段が細胞培養のための生細胞を含んでいる請求項２に記載の生物学 的分析を行うための装置。 ４．第１の毛管空間を画定する表面と第２の空間を画定する表面との少なくと も一方が、液体溶液が該少なくとも一方の表面と９０°未満の、しかし０°より も大きい角度で接触するような表面特性を有してなる請求項１、２、或は３の何 れかに記載の生物学的分析を行うための装置。 ５．第１の毛管空間の高さが0.01mm及び1mm の間である請求項１、２、或は３ の何れかに記載の生物学的分析を行うための装置。 ６．第２の空間の高さが、0.01mm及び5mm の間である請求項１、２、或は３の 何れかに記載の生物学的分析を行うための装置。 ７．第１の毛管空間から第２の空間への移行部分が鋭角の縁部である請求項１ 、２、或は３の何れかに記載の生物学的分析を行うための装置。 ８．第２の空間の高さが、第１の毛管空間からの距離と共に高くなる請求項１ 、２、或は３の何れかに記載の生物学的分析を行うための装置。 ９．第２の空間の高さが第１の毛管空間からの距離と共に減少する請求項１、 ２、或は３の何れかに記載の生物学的分析を行うための装置。