JPH10505350A - ベンゾチアゼピノンを用いる心筋の保護 - Google Patents

ベンゾチアゼピノンを用いる心筋の保護

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JPH10505350A JP8509064A JP50906495A JPH10505350A JP H10505350 A JPH10505350 A JP H10505350A JP 8509064 A JP8509064 A JP 8509064A JP 50906495 A JP50906495 A JP 50906495A JP H10505350 A JPH10505350 A JP H10505350A
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ラトゥール,ジャン−ジル
グラベル,ドゥニ
ブノワ,セルジュ
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Abstract

(57)【要約】 心筋の保護は患者に有効量のベンゾチアゼピン誘導体を投与することにより達成される。そのベンゾチアゼピン誘導体は一般式(I)を有し、R1は水素またはメチルを表わし、R2は水素またはアセチルを表わし、R3は水素またはメチルを表わし、R4は水素またはハロゲンを表わすが、R2=アセチルで、R3=メチルでR4=水素のときはR1はメチルではない。上記化合物は他の臨床的状態、たとえば、安定または不安定な狭心症、非−Q波心筋梗塞、大脳の外傷性虚血及び再灌流、器官移植片の保存等にも用い得る。

Description

【発明の詳細な説明】 ベンゾチアゼピノンを用いる心筋の保護 技術分野 本発明は、ベンゾチアゼピン誘導体を用いる患者の虚血及び再灌流の間の心筋 の保護を提供する方法に関する。 技術の背景 時を得た虚血性の心筋層の再灌流は実験動物における梗塞のサイズを制限し、 血栓崩壊性療法を用いた過去10年間にわたって収集された臨床データは、急性梗 塞をもつ患者における、心筋層の損傷、心室の機能及び死亡率への初期の再灌流 の利点を文書で証明した(1,2)。 しかしながら心筋の人命救助は、冠状動脈の再閉塞及び重症の後遺症である冠 状動脈狭窄症のような合併症の危険にさらすことがある(11)。さらに動物の研 究及び臨床研究の結果は、管開通性が達成されたときですら、なお虚血後の心筋 層に損傷が進行するという確証をもたらした(3,4)。いまだ、再灌流が正常 な組織を損傷することがあるということは、まだ明白に立証されてはいないが、 研究は再灌流が回復不能に損傷された心筋層の死を促進するだけではなく、危険 にさらされているが、なお再灌流により救われた生存し得る筋細胞の生存を危険 にさらすことを示した。これらのいわゆる再灌流傷害は、最終の梗塞サイズの50 %より多く存在する(5)。したがって、虚血後の心筋層を保護し、冠状動脈の 再灌流の利点を最大にする、補助治療の開発は最新の心臓血管の研究の主要な標 的となった。 組織の再酸素付加により、カルシウム依存性のメカニズムは酸素由来のラジカ ルの発生により組織の損傷を仲介し得る。フリーラジカルの重要な源は、細胞の 分解と管の損傷を仲介するリソソーム酵素も遊離する好中球である。好中球及び 血小板は、再灌流領域及び特に梗塞及び救われた心筋層の端に蓄積する(5,8 ,11)。これらの炎症性細胞は、初期の灌流により救われた回復可能に損傷した 心筋層の再生を危うくする悪い場所及び悪い時に蓄積する。 過去に、冠状動脈閉塞後、再灌流時に、治療量で与えられたいくつかのベンゾ チアゼピンカルシウムアンタゴニストが40%よりも多く永久的に梗塞のサイズを 減少させ、再灌流された心筋層を保護することが示された(6〜8)。 これらの状況及び観察はいくつかの他のカルシウムアンタゴニストによっては 経験または再現することはできず、遅い−Lカルシウムチャンネルの遮断よりも 追加の効果が保護メカニズムに含まれていそうなことを示唆している。心臓の保 護は、圧力と拍の積によって評価されるとき、心臓の作業量に影響を与えない用 量で観察され、測定し得る直接の冠状動脈の拡張効果のない投与量で、再灌流さ れた虚血性の心筋層において進行する、再流れのないことまたは循環停止の改良 を伴った。最後に、これらの試薬は虚血後の心筋層における好中球の蓄積を防止 することを示した。 その結果はいくつかのカルシウムアンタゴニストが血栓崩壊療法を受けている 、急性の心筋梗塞を有する患者において有用であるという結論をもたらした。し かしながら、最近の臨床実験は、心筋梗塞後の患者におけるカルシウムアンタゴ ニストの危険と利点を文書に証明した(9,10)。後負荷に従うものは勧めら れず、ジチアゼムのような他のものは、患者の小群にのみ再梗塞に対する保護を 提供する。上記のデータを考慮して、出願人は心臓保護効果を有し、 急性心筋梗塞及び血栓崩壊性療法の設定を制限する、心臓抑圧も低血圧の影響も 有しない、ベンゾチアゼピン誘導体をさがした。 本発明の目的は、顕著な直接の血管作用性の作用を持たない投与量で梗塞のサ イズを減少することのできる物質を提供することである。 本発明の他の目的は、虚血及び再灌流の間に患者の心臓保護を保証する方法を 提供することである。 発明の開示 本発明のこれらの及び他の目的は、虚血及び再灌流の間の患者の心筋の保護を 提供する方法において達成でき、それは、上記患者に有効量の(2R,3R)− 2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニル)−5−〔2 −(メチルアミノ)−エチル〕−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン またはその誘導体を投与することを含む。簡潔及び便利さのために、上記ベンゾ チアゼピン誘導体またはそれらの塩を本明細書ではプロテクタゼムという。 好ましくは、プロテクタゼム塩またはそれらの誘導体は、最も有利には、静脈 注射により、冠状動脈の閉塞後であって、冠状動脈の再灌流の数分前までに、再 灌流の間に、そしてもしかすると虚血の前に投与する。 本発明の別の態様では、プロテクタゼムは体重調整並びに人間における薬理学 的及び薬力学的研究からの将来のデータに依存して、約20〜約200mg の間または それよりも多い量で変化する投与量で投与される。 (2R,3R)−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフ ェニル)−5−〔2−(メチルアミノ)エチル〕−1 ,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オンを表わす化合物は登録番号86408-40 -4として文書に記載されたが、その合成及び物性は報告されていない。その化合 物は次の構造式で表わし得る: この化合物は塩酸塩として、今や次のように特徴づけられた。すなわち、m.p. 208〜209℃,〔α〕D23−122.8°(0.5,H2O)。 本発明ではプロテクタゼムはトランス3−(4−メトキシフェニル)グリシド 酸メチルと2−アミノチオフェノールとを縮合させて、化合物3−〔(2−アミ ノフェニル)チオ〕−2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオ ン酸メチルをラセミ形で得、後者をメタノール性水性水酸化ナトリウムで鹸化し て相当するラセミ酸、3−〔(2−アミノフェニル)チオ〕−2−ヒドロキシ− 3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸を得、後者であるラセミ酸を(S) −(−)−α−メチルベンジルアミンを用いて溶解させて、光学的に純粋な化合 物(2R,3R)−3−〔(2−アミノ−フェニル)チオ〕−2−ヒドロキシ− 3−(4−メトキシプロピオン酸を得、後者の化合物を環化して、(2R,3R )−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1, 5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オンを得、それを次いで(2−クロロエチ ル)メチルカルバミン酸ベンジルでアルキル化して( 2R,3R)−5−〔2−〔N−ベンジルオキシカルボニル)−N−メチルアミ ノ〕エチル〕−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニ ル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オンを得、最後に後者の化合物 を遊離形に脱保護して(2R,3R)−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−2 −(4−メトキシフェニル)−5−〔2−(メチルアミノ)エチル〕−1,5− ベンゾチアゼピン−4(5H)−オンにし、任意にその塩酸塩に転換することに より製造し得る。 より広い観点では、本発明は一般に一般式: (式中、R1は水素またはメチルを表わし、 R2は水素またはアセチルを表わし、 R3は水素またはメチルを表わし、 R4は水素またはハロゲンを表わすが R2=アセチル、R3=メチルでR4=水素であるとき、R1はメチルではない) 化合物に関する。 これらの化合物は、患者の虚血及び再灌流の間に心筋の保護を提供するのにプ ロテクタゼムと同様に用いることができ、プロテクタゼムについて上記したもの と同様な方法により製造し得る。 発明を実施するための方法 包含される種々の反応を描写する添付のフローチャートにより、本発明を下記 のプロテクタゼムの特定の製造により説明するが、それに限定するものではない 。 3−〔(2−アミノフェニル)チオ〕−2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシ フェニル)プロピオン酸メチル(2)。 3−(4−メトキシフェニル)グリシド酸メチル1(246.1g,1.182 モル) をトルエン(2.2l)に溶解し、2−アミノチオフェノール(148.0g,1.182 モル) を加える。窒素の存在下6時間還流し、溶液を1/3容に濃縮する。混合物を冷 却し50%ヘキサン/エーテルの溶液(100ml)を加える。1晩置いて沈殿させる。 ろ過し、固体を70%ヘキサン/エーテルで洗浄し、真空で乾燥させて標題の化合 物2(295.6g,75%)を得る。m.p.91〜93℃。 3−〔(2−アミノフェニル)チオ〕−2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシ −フェニル)プロピオン酸(3)。 アミノエステル2(198.3g,594.6 ミリモル)をメタノール(300ml)に溶解し 、加熱して還流させる。水(300ml)中の水酸化ナトリウム(26.72g,1.1 当量)の 熱溶液を注意深く加える。20分間還流させ、真空で濃縮する。水(300ml)を加え 、クロロホルム(3×50ml)で洗浄する。水相を分離し、10%HCl で中和し、pH5 .0(pHメーター)にする。ろ過し、固体を水で、次いで冷エタノールで洗浄する。 真空中で40℃で乾燥させてラセミ酸3(161.5g,85%)を得る。 m.p.174〜176 ℃ (2R,3R)−3−〔(2−アミノフェニル)チオ〕−2−ヒドロキシ−3 −(4−メトキシフェニル)プロピオン酸(S)−α−メチルベンジルアンモニ ウム(4)。 ラセミ酸3(81.7g,255.8 ミリモル)を1N水酸化ナトリウム (261ml,1.02当量)に溶解し、水(174ml)を加える。混合物を加熱して還流させる 。 (S)−(−)−α−メチルベンジルアミン(14.6g,0.47当量)を1N HCl (122ml,0.48当量)に溶解させ、約80℃まで加熱する。 第1の溶液に第2の溶液を加え、2分間還流させる。混合物を室温に冷却し、 次いで0℃で2時間置く。ろ過によって結晶を収集し、冷水で洗浄する。50%の 水性エタノールで再結晶し、純粋な標題の化合物4(45.1g,40%)を得る。m. p.159〜160℃。〔α〕D23−463.8°(1.3,DMF)。 (2R,3R)−3−〔(2−アミノフェニル)チオ〕−2−ヒドロキシ−3 −(4−メトキシフェニル)プロピオン酸(5)。 (−)−塩4(42.85g,97.26 ミリモル)を沸とう水(430ml)に溶解する。熱 1N HCl(98ml)を加える。1分間還流する。混合物を氷水浴中で冷却し、激し く撹拌して沈殿させる。溶液のpHが 5.0(pHメーター)であることを調べる(必 要なら調節する)。固体をろ過により収集する。水で洗浄し、真空で40℃で乾燥 して、標題の化合物5(24.85g,80%)を得る。m.p.175〜176℃。〔α〕D23 −362.8°(1.2,DMF)。 (2R,3R)−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−2−(4−メトキシ− フェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン6〔12〕。 (−)−酸(32.7g,102.4 ミリモル)及びキシレン(400ml)の混合物にp− トルエンスルホン酸(PTSA,974mg)を加える。デイーン−スターク トラップ(De an-Stark trap)を用いて窒素の存在下で16時間還流させて水を除去する。反応混 合物を0℃に冷却して沈殿させる。ろ過し、固体を80%ヘキサン−エーテルの冷 溶液で洗浄 する。イソプロピルアルコールで再結晶し、純粋な標題の化合物6(24.42g,86 %)を得る。m.p.203〜205℃、〔α〕D23−56.0°(0.22,CHCl3);− 112.2°( 1.15,DMF)。 (2R,3R)−5−〔2−〔N−(ベンジルオキシカルボニル)−N−メチ ルアミノ〕−エチル〕−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−2−(4−メトキ シフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オン(8)。 水素化カリウム(油中35%、10.6g)をペンタンで洗浄し、無水DMF(330ml) を加える。少しづつ固体の(−)−ラクタム6(26.53g,88.02 ミリモル)を加 えて、着実な水素の発生をさせる。添加後5分間撹拌する。 (2−クロルエチル)メチルカルバミン酸ベンジル7〔13〕(24.1g,1.2 当 量)を上記反応混合物に加える。容器をDMF(20ml)でゆすぎ、反応混合物を加え る。60℃で18時間撹拌する。真空で濃縮する。酢酸エチルと水の間で残存物を分 割する。有機相を洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を真空で蒸発させる。シリカ ゲルフラッシュクロマトグラフィー(20:80〜100:0エーテル/ヘキサン)に より精製し、標題の化合物8(32.48g,75%)を樹脂状物として得る。 (2R,3R)−2,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフ ェニル)−5−〔2−(メチルアミノ)エチル〕−1,5−ベンゾチアゼピン− 4(5H)−オン(9)及びHCl塩(10)。 8(25.94g,52.7ミリモル)をジクロルメタン(105ml)に溶解し、硫化ジメチ ル(104.5ml,27当量)を加える。激しく撹拌しながらゆっくりとBF3・Et2O(62.9 ml,9.7 当量)を加える。1時間後硫化ジメチル(85ml,22当量)の他の部分を 加え、さらに2時間撹拌 する。反応混合物を5% NH4OHの氷冷溶液に注ぐ。 pHを8に調節する。ジクロルメタンを加え、抽出する(3×150ml)。有機相を 一緒にし、塩水で洗浄する。乾燥させ(MgSO4)、溶媒を真空中で蒸発させて標題 の化合物9を得る。 9を酢酸エチル(50ml)に溶解し、0℃に冷却する。6.8NのHCl/イソプロピ ルアルコール(IPA)の溶液(8.5ml,1.1当量)を滴加する。0℃で10分間撹拌し 、反応を完結させる。メタノール(8ml)を加え、加熱還流させ、沈殿を溶解す る。ゆっくりと室温に冷却し次いで0℃に置いて再結晶する。ろ過し、固体を酢 酸エチルで洗浄する。真空中で乾燥させ、純粋な標題の化合物10(13.59g,65% )を得る。m.p.208〜209℃。〔α〕D23−122.8°(0.5,H2O)。 図面の簡単な説明 図1は、プロテクタゼムの増加する累積投薬量を用いる心拍の変化を示すグラ フである。 図2は、増加する累積投薬量を用いる収縮期の血圧の変化を示すグラフである 。 図3は、増加する累積投薬量を用いる拡張期の血圧の変化を示すグラフである 。 図4は、増加する累積投薬量を用いる平均動脈圧の変化を示すグラフである。 図5は、増加する累積投薬量を用いるピーク左心室圧の変化を示すグラフであ る。 図6は、増加する累積投薬量を用いる左心室の拡張末期圧の変化を示すグラフ である。 図7は、増加する累積投薬量を用いる最大dP/dTの変化を示すグラフである。 図8は、増加する累積登録量を用いるLAD 血液の流れの変化を示すグラフであ る。 図9は、増加する累積投薬量を用いる圧力−拍の変化を示すグラフである。 図10は、異なる投薬量を用いる梗塞サイズ(危険な状態の領域%)の変化を示 すグラフである。 図11は、ウサギの梗塞のサイズに関する異った投薬量を用いる治療の時間対閉 塞の影響のグラフである。 図12は、犬の梗塞に関する治療の影響を示すグラフである。 実験的研究 1.投薬量−関連した心臓血管の影響(図1〜11) 麻酔をかけた開胸犬に15分間隔でプロテクタゼムの 400〜6400μ g/kgの増加した量の静脈注射投与量を与えた。心拍(図1)、動脈の収縮期の 血圧(図2)、拡張期の血圧(図3)及び平均血圧を監視した。収縮期の心室の 圧力(図5)及び拡張末期の(図6)圧力をdP/dT(図7)と共に監視した。左 下行冠状動脈(LAD)の血液の流れ(図8)も最初の縁枝の後で左前方下行冠状動 脈上に挿入された電磁流れプローブを用いて測定した。圧力と拍の積(収縮期の 圧×心拍/100、図9)を心臓の仕事量または代謝性の需要の指数として用いた 。 プロテクタゼムは心拍に影響をもたず、非常に高投与量でのみやや低血圧の影 響を有することが分かる。心筋の収縮性は、いかなる投与量によっても変化しな かった、dP/dT最大によって示されたように不変であった。心臓の仕事量及びLA D 冠状動脈の血液の流れも薬によって変化なかった。 2.ウサギの心臓の保護 虚血及び再灌流。ウサギの左の開胸を実施し、左の冠状動脈を40分間閉塞し、 次に6時間再灌流した。梗塞のサイズを、危険な状態の虚血の領域の範囲を決め るためにモナストラールを振りかけた後にトリフェニルテトラゾリウム(TTC)染 色を用いることによって評価した。梗塞のサイズを左心室を2mmのスライスに切 り分けた後に表面積測定により、危険な状態の領域中の壊死領域の%で定量した 。 治療群。冠状動脈の閉塞、30分後または再灌流の10分前に、薬剤のボーラス静 脈内注射に再灌流の間中灌流が続いた。対照は生理塩類塩を受けた。投与量は 1 00μg/kgボーラス+1μg/kg/分の灌流またはこの投与量の倍数(2×,4 ×)のいずれかであった。結果を図10に示す。 実験の第2系列では、 400μg/kgボーラス+4μg/kg/分の 灌流を用いた。治療は虚血の15分前又は後、30分及び37分のいずれかに始めた( 図11)。 結果: 400μg/kgの投与量は梗塞のサイズの60%減少を生じたこと(P<0.05)を 観察し得る。200及び 100μg/kgの投与量は効果が少く、不活性である(図10 )。 2実験系列では(図11)、冠状動脈の閉塞の15分前もしくは後、または30分に 、薬の 400μg/kg(ボーラス)注入+4μg/kg/分灌流は梗塞のサイズを約 50%制限した(P<0.05)。しかしながら、再灌流前3分の薬の投与は梗塞のサ イズを減少しなかった。これは薬は再灌流の前に与えなければならず、これらの 重症の虚血処方において、効果的にするには本質的に側副の流れをさけ、虚血領 域に達しなければならないことを示唆している。 3.犬の心臓の保護 虚血と再灌流。18〜28kgのいずれかの性の雑種犬をペントバルビタールナトリ ウム(30mg/kg静脈注射)で麻酔し、挿管し、室の空気で機械的に換気した。リ ードII(LeadII)心電図を監視し、カテーテルを大腿の動脈及び静脈に挿入した 。臭化パンクロニウム(0.1mg/kg)を注入後、左開胸を第5肋間で実施し、心臓 を心膜の架台につるした。カテーテルを左心室の圧力を監視するために左心室に 置いた。他のカテーテルをミクロスフェアの注入及び血液の採取のために左心房 に置いた。 LAD は最初の対角線の枝に遠くに分離されており、電磁流プローブを冠状動脈 の血液の流れを測定するために取り付けた。閉塞の5分前に、マイクロメーター 閉塞子を致命的な狭窄症を引き起こすように調節した。その狭窄症は、冠状動脈 の10秒閉塞の解除後生じる充血性の応答を防止するのに十分であった。急性心筋 梗塞のための 冠状動脈の血栓崩壊後の一般に遭遇する臨床的状況をまねるために、次いで、LA D を90分間閉塞し、決まった場所に置かれた致命的な狭窄症を6時間再灌流した 。 実験的な設計。動物をでたらめに3つのグループに割り当てた。対照は塩類液 を受け取り、治療された犬は次の治療の内の1つを与えられた。再灌流の前10分 に 400μg/kgの静脈注射+4μg/kg/分の灌流または冠状動脈閉塞後15分に 800μg/kgの静脈注射+8μg/kg/分の灌流。 梗塞のサイズ:6時間の再灌流後、ヘパリン(10,000単位)を静脈注射し、そ の動物をペントバルビタールの過剰投与で犠牲にした。心臓を迅速に切除し、LA D の閉塞部位及び冠状動脈口上の大動脈にカニューレを挿入し、食塩水(0.9%) で5分間灌流した。続いて大動脈をエバンス ブルー(Sigma Co.,セントルイス ,ミズーリ州)(食塩水中0.5%)、及びLAD を0.9%食塩水で 100mmの一定圧で5 分間灌流した。左心臓を次にポリウレタンフォームに埋め込み、市販の肉薄切り 機で7mm厚さに横断スライスに切った。スライスを計量し、塩化トリフェニルテ トラゾリウム(TTC)に10分間浸した(37℃)。正常に灌流された心筋層(エバン ス ブルー陽性)、危険な状態の領域(エバンス ブルー陰性)及び壊死の心筋 層(エバンス ブルー及びTTC 陰性)を線で描き、それぞれの領域を各スライス についてコンピューター面積測定により評価した。危険な状態の領域を左心室の %で表わし、梗塞のサイズを左心室及びすべてのスライスから合計後の危険な状 態にある領域の両方の%で表わした。 局部的な心筋層の血液の流れ。局部的な心筋層の血液の流れは、46Scで標識し た15μm直径のミクロスフェアを用いて参考撤退法(reference withdrawal meth od)を用いて評価した。0.01%の Tween ミクロスフェアを左心房中に20秒にわたって注入し、20mlの食塩水をどっと流し た。参考の動脈血試料を大動脈カテーテルから、各ミクロスフェアの注入の15秒 前から始めて一定量で150秒収集した。局部的な血液の流れは側副の流れの評価 のために15分間の閉塞の後で評価した。 局部的な心筋層の血液の流れの分析について、4つの中央左心室スライスを虚 血性及び非虚血性部分に切り裂いた。中央の虚血からのセクション及び危険領域 と反対の非虚血性壁からのセクションを分離し、さらに3つの等しい、心内膜下 の部分、中心室の部分心上膜下(subepicardial)の部分に分割した。各試料を計 量し、選択エネルギーウインドウを備えたガンマカウンター中で参考試料と共に 計算した。背景及びアイソトープ間の流出について補正後に血液の流れを評価し 、1gの組織当りの血液のml/分で評価した。 結果: 図12は3研究群における梗塞のサイズと側副の流れの間の関係を図解する。 同程度の虚血または側副の血液の流れについて、コバリアンス分析により確認 されたように、治療された犬は対照よりも小さな梗塞を発達させた。梗塞のサイ ズの平均の減少は再灌流の前10分での治療で40%よりも大であった。 したがって、プロテクタゼム及びその誘導体は心臓保護剤として可能性がある ことが立証された。 試験された物質は急性の心筋梗塞の機構において、その使用を制限する心臓血 管の抑制作用を及ぼさない。それは、静脈注射後低投与量で急速に活性であり、 虚血−再灌流の前、間に効果がある。それは非常に水溶性の試薬である。 本発明の化合物は独特の心臓保護プロフィルを持っていると確信 する。それらは、急性心筋梗塞における冠状動脈の血栓崩壊性の機構における将 来の臨床的な使用について高い可能性を提供する心臓保護のための新規な型の薬 を構成する。 本発明の化合物は、いくつかの他の臨床的状態、たとえば安定な及び不安定な 狭心症、非−Q波心筋梗塞、末梢及び大脳の外傷性虚血及び再灌流、器官移植片 保存等の治療にも有用である。 本発明を特に1つの化合物及び1つの特定の用途に関連して説明したが、本発 明の範囲及び精神から離れることなしに広い応用が可能であることが分かる。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1996年4月3日 【補正内容】 請求の範囲 1.式: (式中、R1はメチルを表わし、 R2は水素を表わし、 R3は水素を表わし、 R4は水素またはハロゲンを表わす)の化合物またはその医薬として 許容し得る塩の、虚血及び再灌流の間の患者における心筋層の保護を提供するた めの使用。 2.冠状動脈の閉塞の前または後で、冠状動脈の再灌流の数分前までの及び再 灌流の間の、請求項1に記載の使用。 3.静脈内に約20〜約200mg の投与量での、請求項2に記載の使用。 4.前記化合物が、 式: を有する化合物またはその塩である、請求項1に記載の使用。 5.式: (式中、R1はメチル基を表わし、 R2は水素を表わし、 R3は水素を表わし、 R4は水素またはハロゲンを表わす)の化合物またはその医薬として 許容し得る塩の虚血及び再灌流の間の患者の心筋層の保護を提供するために有用 である薬の調製のための使用。 6.前記化合物が、 式: を有する化合物またはその塩である請求項5に記載の使用。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/55 ABX A61K 31/55 ABX // C07M 7:00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT, UA,UG,UZ,VN (72)発明者 ブノワ,セルジュ カナダ国,ケベック エイチ7イー 4エ ム5,ラバル,デュベルネイ,モントーバ ン 1560 (72)発明者 ワン,ユアン カナダ国,ケベック エイチ9エイチ 3 エス1,カークランド,シュマン イート ン 30

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.虚血及び再灌流の間の患者の心筋層の保護を提供する方法であって、前記 患者に有効量の 式: (式中、R1は水素またはメチルを表わし、 R2は水素またはアセチルを表わし、 R3は水素またはメチルを表わし、 R4は水素またはハロゲンを表わすが、 R2=アセチル、R3=メチル、R4=水素であるときはR1はメチルでない)の 化合物、塩またはその誘導体を投与することを含む、前記方法。 2.前記化合物を冠状動脈の閉塞の前または後で、冠状動脈の再灌流の数分前 までに及び再灌流の間に投与する請求項1に記載の方法。 3.前記化合物を約20〜約200mg の投与量で投与する請求項2に記載の方法。 4.前記化合物が、 式: またはその塩である請求項3に記載の方法。 5.一般式: (式中、R1は水素またはメチルを表わし、 R2は水素またはアセチルを表わし、 R3は水素またはメチルを表わし、 R4は水素またはハロゲンを表わすが、 R2=アセチル、R3=メチル、R4=水素であるときはR1はメチルではない) の化合物。 6.式: で、そのHCl 塩が、次の物性、融点 208〜209 ℃で〔α〕D23−122.8°(0,5 ,H2O)を有する化合物またはその塩。 7.トランス−3−(4−メトキシフェニル)グリシド酸メチルと2−アミノ −チオフェノールとを縮合させて、化合物、3−〔(2−アミノフェニル)チオ 〕−2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸メチルをラセ ミ形で得、後者をメタノール性水溶性水酸化ナトリウムで鹸化して相当するラセ ミ酸、3−〔(2−アミノフェニル)チオ〕−2−ヒドロキシ−3−(4−メト キシフェニルプロピオン酸を得、後者のラセミ酸を(S)−(−)−α−メチル ベンジルアミンを用いて溶解させて、光学的に純粋な化合物(2R,3R)−3 −〔(2−アミノフェニル)チオ〕−2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェ ニル)プロピオン酸を得、後者の化合物を環化させて、(2R,3R)−2,3 −ジヒドロ−3−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,5−ベンゾ チアゼピン−4(5H)−オンを得、次にそれを(2−クロルエチル)メチルカ ルバミン酸ベンジルでアルキル化して(2R,3R)−5−〔2−〔N−(ベン ジルオキシカルボニル)−N−メチルアミノ〕エチル〕−2,3−ジヒドロ−3 −ヒドロキシ−2−(4− メトキシフェニル)−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オンを得、最後 に後者の化合物を脱保護して、遊離のアミン形、(2R,3R)−2,3−ジヒ ドロ−3−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニル)−5−〔2−(メチルア ミノ)エチル〕−1,5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オンとし、この化合 物を任意にその塩酸塩に転換する方法。
JP8509064A 1994-09-09 1995-09-11 ベンゾチアゼピノンを用いる心筋の保護 Pending JPH10505350A (ja)

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