JP2000229856A - 有機ゲルマニウム化合物を有効成分とする動脈硬化性疾患の発症予防又は治療剤 - Google Patents

有機ゲルマニウム化合物を有効成分とする動脈硬化性疾患の発症予防又は治療剤

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JP2000229856A
JP2000229856A JP11030638A JP3063899A JP2000229856A JP 2000229856 A JP2000229856 A JP 2000229856A JP 11030638 A JP11030638 A JP 11030638A JP 3063899 A JP3063899 A JP 3063899A JP 2000229856 A JP2000229856 A JP 2000229856A
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mcp
prophylactic
therapeutic agent
cells
area
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JP11030638A
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Hiroaki Shimokawa
宏明 下川
Yoshiro Ishiwatari
義郎 石渡
Shoji Yokochi
祥司 横地
Hiroyuki Hashimoto
洋幸 橋本
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Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd
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Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】MCP-1が関与する動脈硬化性疾患に対する予防
または治療剤を提供すること。 【解決手段】[(O1/2)3Ge-A-CO2H]n(式中、n は1以上
の数、A は低級アルキル基)で表される有機ゲルマニウ
ム化合物が、MCP-1受容体拮抗作用、例えば、MCP-1によ
り惹起される単球等のケモタキシスを顕著に抑制するこ
とを示す。本化合物は、MCP-1が関与する動脈硬化性疾
患に対する有効な発症予防または治療剤となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機ゲルマニウム
化合物、好ましくは3ーオキシゲルミルプロピオン酸を
有効成分とするMCP-1が関与する疾患の予防又は治療剤
で、具体的には動脈硬化性疾患の発症予防又は治療剤に
係る。
【0002】
【従来技術】有機ゲルマニウム化合物、殊に3−オキシ
ゲルミルプロピオン酸は、複雑な重合性を有する化合物
として知られており、特公昭57−53800号には、
各種構造体の存在の可能性が記載されている。本発明者
等は、さらに複数の構造体の存在を発見し、高活性構造
体を特定するに至った(特開平7−238022号)。
また、この物質は、抗ウイルス作用(特公昭57−53
800号)を初めとして、多様な薬理活性を有すること
から、多くの用途に関する研究がなされている。本発明
者等は、インターフェロン産生増強作用(特開平2−1
34818号)、インターフェロン効果増強作用(特開
平7−238022号)を発見し開示してきた。しか
し、ケモカインに対する作用、及び、ケモカインに起因
する各種疾患に対する作用については明らかにされてい
なかった。
【0003】ケモカイン(chemokine,chemotactic cyt
okineの略称)は白血球の遊走活性を有するポリペプチド
の総称である。一般に、白血球の炎症局所への浸潤は、
(i)白血球の血管内皮細胞への接着、(ii)白血球の血管
内皮細胞間隙の通過と基底膜の破壊、(iii)白血球の血
管外への遊出とその後の組織への遊走の過程を経る。こ
れら一連の白血球の動作を制御する因子として種々のメ
デイエーターとともに炎症局所から産生されるケモカイ
ンが重要な役割を果たす。
【0004】ケモカインのアミノ酸配列には特徴的な4
つのシステインが含まれており、そのシステインの配列
様式によってケモカインは2つのグループに大別され
る。即ち、最初の2つのシステインが1個のアミノ酸で
隔てられているCXCケモカインサブファミリー(αケモ
カインサブファミリー)と、1番目と2番目のシステイ
ンが隣りあっているCCケモカインサブファミリー(βケ
モカインサブファミリー)である。CXCケモカインサブ
ファミリーには、インターロイキン8(IL-8)などがあ
り、CCケモカインサブファミリーには、Monocyte Chem
otactic Protein-1(以下には、「MCP-1」と略記す
る。)、MIP-1α/β(Macrophage Inflammatory Prot
ein-1α./βの略称)、RANTES(Regulated on Activat
ion, Normal Tcell expressed and Secretedの略
称)などがある。IL-8を初めとするCXCケモカインサブ
ファミリーは、急性炎症において、主に好中球に作用す
る。一方、CCケモカインサブファミリーは、主に単球、
リンパ球に作用する。
【0005】MCP-1は、CCケモカインサブファミリーに
属するケモカインであり、細胞表面の7回膜貫通型レセ
プターに属するCCR2を受容体とする。MCP-1は76個のア
ミノ酸からなる分子量8,700の蛋白で、単球乃至マクロ
ファージに強い遊走活性を示し、また、好塩基球や活性
化リンパ球にも遊走活性を示すが、好中球や好酸球に対
する遊走活性は認められていない。このMCP-1が、炎症
病変部位への血中単球及びマクロファージの集積を惹起
し、かつこれらを活性化することにより、病変の発症進
展に深く関与している。近年、動脈硬化症においても、
このようなマクロファージの集積による血管壁の慢性炎
症が発症進展に関与することが解明されてきた。
【0006】血管壁は内膜、中膜、外膜の3層からな
り、動脈硬化症の発生初期には、細胞内に大量のコレス
テロールエステルを蓄積した泡沫細胞の血管内皮下での
局在的な集族が見られるのが特徴的である。浸潤単球/
マクロファージは酸化LDLを無制限に取り込み、細胞内
に大量のコレステロールエステルを蓄えた泡沫細胞とな
り、脂肪線条等の病変を形成する。動脈硬化病変への単
球の侵入機構は、血管壁由来の走化因子を含めた複数の
因子が関与する。その一つとしてMCP-1がある。ヒト動
脈硬化層には大量の単球の浸潤及びMCP-1の発現が認め
られ (Proc. Natl. Acad. Acad. Sci. USA. 88, 5252-5
256, 1991)、MCP-1欠損マウスでは動脈壁への単球/マク
ロファージの浸潤が抑制され、血中脂質量に関わらず、
動脈硬化病変形成が抑制されることがわかってきた(NAT
URE, 394,894-897,1998)。
【0007】一方、冠動脈狭窄に対しては、経皮的冠動
脈形成術(PTCA)が用いられ、良好な成績を治めて
いる。しかし、PTCA後の再狭窄率は30〜40%と
高率で、予防法の確立が重要な課題となっている。PT
CA後に生じる障害血管の再狭窄の機序として、血管の
リコイル、リモデリング、及び内膜増殖等の因子の関与
が考えられている。この病態においてもMCP-1により惹
起される単球/マクロファージの浸潤が関与し、病変部
で活性化されたマクロファージは、血小板由来増殖因子
(PDGF)やIL−6を産生し、中膜平滑筋細胞の内
膜への遊走、内膜での増殖に関与していると考えられて
いる。よって、MCP-1又はMCP-1受容体に拮抗する薬剤
は、単球等の炎症性細胞の浸潤を阻害する等のメカニズ
ムにより、再狭窄を含む動脈硬化性疾患の発症予防また
は治療剤となることが期待される。
【0008】この作用メカニズムを応用した薬剤に関す
るものとしては、現在のところ、抗MCP-1抗体(FASEB
J.,10,1418-1425,1996)やMCP-1のアナログ(J.Exp.Me
d.,1 81,631-640,1995)が、MCP-1の関与する炎症モデ
ルにおいて炎症性疾患及び臓器障害の発症予防または治
療剤として基礎研究が進められている。しかしながら、
これらの物質については、生産・単離・精製過程におい
て、純度・収率・経済性等の問題が山積しており、実用
化までにはさらに時間が必要である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、MCP-1が関
与する疾患、即ち、MCP-1受容体であるCCR2発現炎症性
細胞(単球等)の浸潤等に起因する疾患として、特に動
脈硬化性疾患の発症予防または治療剤を提供するもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、MCP-1とC
CR2との結合を阻害する拮抗剤のスクリーニングを行
い、その拮抗剤の動脈硬化性疾患に対する予防または治
療剤としての可能性について検討した。その結果、当該
化合物が、単球のMCP-1に対する走化性(chemotaxis)
を抑制し、さらに、動脈硬化動物モデルにおいて、単球
及びマクロファージの浸潤を著しく抑制する作用を有す
ると共に、動脈硬化病変の進展を顕著に抑制することを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に使用される有機ゲルマニ
ウム化合物は、以下式 [(O1/2)3Ge-A-CO2H]n (式中、n は1以上の数)で表される化合物で、A は低
級アルキル基であるが、好ましくは、A は炭素数1から
3の低級アルキル基であり、更に好ましくは、Aはエチ
レン基(C2H4)である3ーオキシゲルミルプロピオン酸
であり、具体的には、以下立体構造式、
【化1】 (式中、Rは−CH2CH2COOH、mはプロパゲルマニウムプロ
ピルエステルの重量平均分子量から換算した重量平均重
合度であり、137±84[平均値±標準誤差(3
σ)]を示す。) 最小構成単位 (O1/2)3GeCH2CH2COOH 実験式 C6H10Ge2O7 にて示される3ーオキシゲルミルプロピオン酸8員性構
造体であり、表1及び表2に記載の物理化学的性質を有
する。(表中本発明物質を「SKー818」として記載
する。表1は光散乱法による分子量測定結果を、表2は
粉末X線解析により求めた格子定数を示す。)
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】本発明による3-オキシゲルミルプロピオン
酸は、MCP-1が関与する疾患で、具体的には動脈硬化性
疾患の発症予防または治療剤として提供される。
【0015】本発明による3-オキシゲルミルプロピオン
酸を実際にヒトに投与する場合は、本発明物質を0.005
重量%〜5重量%に対して作用活性化安定化担体を0.005
重量%〜50重量%を含有するように調製された組成物と
して使用されることが好ましい。作用活性化安定化担体
としては、乳糖・ショ糖・デキストラン類等の糖類、ヒ
ドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子性
物質、アルブミン等の天然性高分子物質が使用される。
さらには、これに、一般に使用されている直接的治療効
果の高い薬剤類を混合製剤化する事もできる。
【0016】本発明による3-オキシゲルミルプロピオン
酸は、通常は経口製剤として用いられるが、座剤、鼻腔
製剤、注射製剤等としても利用することができる。剤型
及び投与量に関しては、本発明による3-オキシゲルミル
プロピオン酸は、通常の剤型形態でも使用できうるもの
であるが、配合する薬剤との特性に合わせて腸溶性とす
ることもできる。なお、本発明薬剤をヒトに投与する場
合の投与量は、剤型・患者の年齢等に依存するが、一日
あたり1mg〜1500mgの範囲内であり、体重50kgの成
人に対する経口投与では、一日あたり60mg〜120mgが好
ましい。
【0017】
【実施例】以下には本発明物質の製造例、薬効薬理試験
例、製剤例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
【0018】製造例 252g(1モル)の3−トリクロロゲルミルプロピオン
酸を、エチルアルコール2リットル中に溶解させ、この
溶液温度を20℃に保ちつつ、水1.5リットルを数時間を
かけて添加する。一昼夜放置した後、吸引ろ過により結
晶を濾取し、アセトンにて洗浄し減圧乾燥する事によ
り、収率90%で3-オキシゲルミルプロピオン酸重合体を
得た。得られた本発明化合物は、光散乱法により分子量
を測定し、粉末X線解析法により格子定数を測定した。
結果は表1及び表2に示す通りであった。
【0019】組成物製造例 ヒドロキシプロピルセルロース1重量に対して、本発明
物質2重量をエタノールを浸潤剤として練合し、50℃以
下の温度で乾燥後粉末または粒状の組成物を得た。
【0020】[カプセル剤]以下の処方で常法によりカ
プセル剤を調製した。 3−オキシゲルミルプロピオン酸重合体 10.0 乳糖 165.5 ヒドロキシプロピルセルロース 2.7 ステアリン酸マグネシウム 1.8 合計重量 180.0mg
【0021】[錠剤]以下の処方により圧縮錠剤を調製
した。 3−オキシゲルミルプロピオン酸重合体 10.0 乳糖 159.2 CMC-Na 8.0 軽質無水ケイ酸 2.0 ステアリン酸マグネシウム 1.8 合計重量 180.0mg
【0022】薬理試験例 以下に本発明物質である3-オキシゲルミルプロピオン酸
の薬理試験例を示す。尚、本発明物質である3-オキシゲ
ルミルプロピオン酸は、「SKー818」と示す。 試験例1 THP-1細胞のMCP-1に対する遊走に於けるSKー818の
阻害能の測定 (1)実験方法 48穴マイクロケモタキシスチャンバー(NeuroProve:登
録商標)と、5μmポアサイズのポリカーボネートフィル
ター(PVP-coat NeuroProve:登録商標)(以下、試験
例1中の記載において、「フィルター」という。)を用
いた。ヒト単球由来細胞株THP-1細胞を10%FBS添加RPMI
1640培地で6×106cells/mlに調製し、SKー818を最
終濃度0.1μg/ml〜3μg/mlとなるように添加し、細胞を
3×106cells/mlとして45分間インキュベートした。ま
た、ヒト・リコンビナントMCP-1(Peprotech社製)を培地
により最終濃度5nMに希釈し、これをケモタキシスチャ
ンバーの下室に26μl添加した後、フィルターを置き、
上室をセットした。上室にインキュベーション終了後の
THP-1細胞3×106cells/mlを50μl入れ、37℃、5%CO2
に2時間インキュベートした。その後、フィルターを取
り出し、Diff Quick染色液(国際試薬製)にてフィル
ター下面に遊走したTHP-1細胞を固定染色し、顕微鏡下
で遊走細胞数を算定した。データは、4穴の平均値によ
り示した。
【0023】(2)結果及び考察 下記の表3に結果を示した。SKー818は、0.1μg/m
l〜1μg/mlで用量依存的にヒト単球由来細胞株THP-1細
胞のケモタキシスを抑制した。
【0024】
【表3】
【0025】試験例2 好中球のIL-8に対する遊走に於けるSKー818の阻害
能の測定 (1)実験方法 48穴マイクロケモタキシスチャンバー(NeuroProve:登
録商標)と、3μmポアサイズのポリカーボネートフィル
ター(PVP-free NeuroProve:登録商標)(以下、試験
例2中の記載において、「フィルター」という。)を用
いた。ヒト末梢血より好中球を分離し、0.5%BSA添加RP
MI1640培地(15mM HEPES,pH7.4)に4×106cells/mlとな
るように調製し、ここにSKー818を最終濃度0.1μg
/ml〜3μg/mlとなるように添加して、好中球数を2×106
cells/mlとして45分間インキュベートした。また、ヒト
・リコンビナントIL-8(Genzyme社製)を培地で最終濃
度5nMに希釈して、ケモタキシスチャンバーの下室に26
μlを添加し、フィルターを置き、上室をセットした。
上室にインキュベーション終了後の好中球2×106cells/
mlを50μlを入れ、37℃、5%CO2下に1時間インキュベー
トした。フィルターを取り出し、Diff Quick染色液
(国際試薬製)にてフィルター下面に遊走した細胞を固
定染色し、顕微鏡下で遊走細胞数を算定した。データ
は、4穴の平均値により示した。
【0026】(2)結果及び考察 下記の表4に結果を示した。SKー818は、好中球の
ケモタキシスをほとんど抑制しなかった。
【0027】
【表4】
【0028】試験例3 ブタ動脈硬化モデルに於けるSK−818の阻害能の測
定 (1)実験方法 1)モデル作製 ブタをペントバルビタールで麻酔し気管内挿管後、清潔
手術下に開胸し、左冠動脈前下降枝および回旋枝を丁寧
に剥離し、マイクロスフェアーに化学的に結合させたMC
P-1および酸化LDLをメッシュに染み込ませ、冠動脈外膜
側よりラップすることにより慢性投与した。SK-818投与
群は3mg/kg/日の投与量で1日3回手術前日より投与を
開始し、14日目まで摂食時に経口投与した。
【0029】2)MCP-1のマイクロスフェアーへの結合お
よび投与量 概知の方法(J. Clin. Invest.,97, 769-776,1996)にて
行った。即ち、10μgのMCP-1を10mlのマイクロスフェア
ーに結合させ、1部位につき 0.05ml 投与した。
【0030】3)生体内評価 SK−818投与14日後にブタをペントバルビタール
で麻酔し、気管内挿管後に冠動脈造影を施行し、冠動脈
硬化病変に対するSK−818の効果を評価した。対照
群、SK−818投与群ともにニトログリセリンを冠動
脈内注入し、正常対照部位に対するMCP-1および酸化LDL
投与部の器質的(血管内腔)狭窄率を算定した(J. Cli
n. Invest.,97,769-776,1996)。また、セロトニンの冠
動脈内注入前後でのMCP-1および酸化LDL投与部の冠動脈
収縮(冠攣縮)率を算定した(J.Clin. Invest.,97,769
-776,1996)。
【0031】4)組織学的評価 冠動脈造影終了後、ペントバルビタールの過麻酔により
屠殺後、心臓を摘出し、左冠動脈より生理食塩水 500 m
l、5%ホルムアルデヒド1000mlを100mmHgの圧で灌流固
定後、パラフィン包埋組織標本を作製した。組織切片を
ヘマトキシリン-エオジン染色し、血管再構築(リモデ
リング)を近傍正常対照部と比較検討した(J. Cardiov
asc. Pharmacol.,29,536-545,1996)。 評価項目として
は、血管断面積(外弾性板内面積、内弾性板内面積、血
管内腔面積)、内膜肥厚(単位は、mm)を選択し、以
下の計算式により算定した。 外弾性板内面積=(病変部外弾性板内面積−近傍正常対
照部外弾性板内面積)÷近傍正常対照部外弾性板内面積
×100% 内弾性板内面積=(病変部内弾性板内面積−近傍正常対
照部内弾性板内面積)÷近傍正常対照部内弾性板内面積
×100% 血管内腔面積=病変部血管内腔面積−近傍正常対照部血
管内腔面積)÷近傍正常対照部血管内腔面積×100%
【0032】5)単球/マクロファージ浸潤に対するSK
−818のin vivoでの作用検討 SK−818投与開始14日後にペントバルビタールの
過麻酔により屠殺し、心臓を摘出後、冠動脈の凍結組織
標本を作製した。免疫染色によりマクロファージ数(PM
-2K陽性細胞数)を算定し、対照群とSK−818投与
群で比較検討した。
【0033】(2)結果および考察 1)単球/マクロファージ浸潤に対するSK−818の作
用 対照群では、冠動脈壁内に多数の抗マクロファージ抗体
陽性単球の集蔟を認めたが、SK−818投与群では、
単球/マクロファージの集蔟は著明に抑制された(図
1)。
【0034】2)冠動脈硬化病変の形成に対する抑制作用 2-1)生体内評価 対照群では、MCP-1及び酸化LDLの投与14日後に、図2
(白抜き、冠動脈狭窄率%)に示すように冠動脈硬化病
変が惹起され、同部にセロトニン投与により対照部位に
比し冠動脈過収縮(冠攣縮)反応を認めた(図3、対照
群、冠攣縮%VS,%)。SK−818投与群では、MCP-1
および酸化LDL投与により生じた冠狭窄病変を著明に抑
制し(図2・黒;%VS,%)、セロトニンによる冠攣縮
反応を対照部位と同程度までほぼ完全に抑制した(図3
・SK−818投与群)。
【0035】2-2) 組織学的評価 MCP-1および酸化LDL投与により対照群では14日後に血管
断面積(外弾性板内面積、内弾性板内面積、血管内腔面
積)の減少(図4・白抜き)、および著明な新生内膜形
成を認めた(図5・白抜き)。この血管断面積の減少は
SK−818の経口投与により有意に抑制され(図4・
黒、図6及び図7)、内膜肥厚も著明に抑制された(図
5・黒、図6及び図7)。
【0036】上記の試験例に示された結果は、in vivo
のブタ動脈硬化症モデルにおいて、本発明物質が、MCP-
1により惹起される冠動脈外膜、中膜への単球遊走およ
び動脈硬化病変を抑制することを示している。
【0037】
【発明の効果】本発明は、有機ゲルマニウム化合物、好
ましくは3ーオキシゲルミルプロピオン酸、ことに8員性
構造体が、MCP-1により惹起される冠動脈の単球浸潤お
よび動脈硬化病変の発症進展を抑制することを示す。本
化合物は、MCP-1が関与する動脈硬化性疾患の有効な発
症予防または治療剤となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 単球/マクロファージ浸潤に対するSK−8
18の作用を示すグラフ
【図2】 冠動脈の器質的狭窄病変に対するSK−81
8の作用を示すグラフ
【図3】 冠動脈攣縮に対するSK−818の作用を示
すグラフ
【図4】 血管再構築(リモデリング)に対するSK−
818の作用(EEL:外弾性板内面積、IEL:内弾性板内
面積、lumen:血管内腔面積)を示すグラフ
【図5】 内膜肥厚に対するSK−818の作用を示す
グラフ
【図6】 血管断面積および新生内膜形成に対するSK
−818の作用を示す写真(MCP-1+Ox-LDL :対照群)
【図7】 血管断面積および新生内膜形成に対するSK
−818の作用を示す写真(MCP-1+Ox-LDL+G : SK-818
投与群)
フロントページの続き (72)発明者 橋本 洋幸 名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三 和化学研究所内 Fターム(参考) 4C206 AA01 AA02 JB05 MA01 MA04 NA14 ZA45 ZB33 4H049 VN02 VP11 VQ30 VQ85 VR21 VR43 VU06 VW02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の式 [(O1/2)3Ge-A-CO2H]n (式中、n は1以上の数、A は低級アルキル基)で表さ
    れる有機ゲルマニウム化合物を有効成分とする動脈硬化
    性疾患の発症予防又は治療剤。
  2. 【請求項2】 以下の式 [(O1/2)3Ge-C2H4-CO2H]n (式中、n は1以上の数)で表される3ーオキシゲルミ
    ルプロピオン酸を有効成分とする動脈硬化性疾患の発症
    予防又は治療剤。
JP11030638A 1999-02-08 1999-02-08 有機ゲルマニウム化合物を有効成分とする動脈硬化性疾患の発症予防又は治療剤 Pending JP2000229856A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003081843A (ja) * 2001-09-10 2003-03-19 Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd 有機ゲルマニウム化合物を有効成分とするii型糖尿病性腎症の発症予防又は治療剤。
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