JPH10502822A - ウイルス及びウイルスベクターの調製方法 - Google Patents

ウイルス及びウイルスベクターの調製方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明はエンドソーム崩壊剤の存在下のウイルスDNA及びポリカチオン(これは必要により標的細胞のリガンドで接合されている)の複合体による哺乳類細胞のトランスフェクションによるウイルス及びウイルスベクターの調製方法に関する。その方法は細胞中の組換えレトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ関連ウイルスの生産に特別な利点を与え、パッケージング細胞系及び原発性細胞中の高いウイルス力価を可能にする。適用の分野は、とりわけ遺伝子治療である。

Description

【発明の詳細な説明】 ウイルス及びウイルスベクターの調製方法 本発明は、特に遺伝子治療に使用するためのウイルス及びウイルスベクターの 調製に関する。 治療活性に関する遺伝子変化は原発性細胞への生存遺伝子移入を必要とする。 提案された遺伝子の輸送手段として、組換えウイルス、例えば、レトロウイルス 、アデノウイルス、ヘルペスウイルスが挙げられ、これらが幾つかの臨床研究(M iller,1993)に現在使用されている。これらのベクターは組換えベクターであり 、そのウイルス遺伝子が外来遺伝子物質により一部または全部置換されていた。 細胞の感染後に、組換えウイルスゲノムが、使用されるベクター系に応じて、或 る場合には宿主細胞のゲノムに安定に組込まれる。レトロウイルスベクターによ る遺伝子移入は特に高い感染効率及び宿主細胞ゲノムへのプロウイルスの安定な 組込みを特徴とする。こうして、それらは分裂原発性細胞の大半への安定な遺伝 子移入を可能にする。現在に至るまで、遺伝子物質をこのように造血親細胞に導 入することのみが可能であった。この遺伝子移入系の一つの制限はその制限され たパッケージングキャパシティである。サイズ制限(約6 kb)のために、レトロ ウイルスベクターはcDNAまたは小さい遺伝子のみを導入することができる。 更なる欠点は、感染性粒子の力価がアデノウイルスの如きDNAウイルスと較べ て一般に低いことである。更に低い力価がレトロウイルスの一般的な特徴である 。こうして、モロニー−マウス白血病ウイルス(M-MuLV)で感染された繊維芽細胞 は培地1ml当たり約1-5 x 107(cfu/ml)の感染性粒子を生産する。組換えレトロ ウイルスの力価は通常かなり低く(1-10 x 105cfu/ml)、しばしばウイルス生産細 胞の面倒なクローニング後にのみ得られる。比較的高い力価は、単一遺伝子、例 えば、N2(Armentano ら,1987)を有する小さいレトロウイルスベクターから得 られることがあるが、その力価は、例えば第二遺伝子が導入される場合に、ベク ターサイズが増大するにつれて一般に低下する。力価は組込まれたウイルスコピ ーの数に頻繁に相関関係があることが観察された。 遺伝子治療における組換えレトロウイルスの使用に関して、低力価が重大な欠 点であり、一方、制限されたパッケージングキャパシティの問題は一般にそれ程 重要ではない。何となれば、多くの場合、cDNAが発現されるからである。 レトロウイルス力価を増大しようとして幾つかの試みが既になされていた。最 初に、異なる宿主スペクトルのウイルスによるパッケージング細胞の感染はパッ ケージング細胞のトランスフェクションと較べて高い力価を生じることが示され た(Miller ら,1993)。力価のこの増大は、レトロウイルスゲノムの発現がトラ ンスフェクション後よりも感染後に高いという観察(Hwang及びGilboa,1984) に より説明し得る。異なる宿主スペクトルを有するウイルスを生じる二つのパッケ ージング細胞系の同時培養はプロウイルスのコピーの数のかなりの増加の結果と してウイルス生産の効率の多大な増大をもたらし得る(Bestwick ら,1988;Bodi neら,1990;Lynch 及びMiller,1993)。しかしながら、この方法の重大な欠点 は多量の複製コンピテントヘルパーウイルスの形成である(Lynch及びMiller,199 3)。 それ故、従来使用されたパッケージング細胞系は明らかにin vivo の遺伝子移 入に不適である。更に、この方法は労力を要し、時間浪費性である。何となれば 、同時培養は長時間を要し、その後に細胞がクローン化される必要があるからで ある。最近、Ad5-形質転換されたヒト胚腎臓細胞系293 から誘導される新しいパ ッケージング細胞系が記載された。この細胞系は一時的トランスフェクション後 に高力価のレトロウイルスベクターを形成することを可能にする(Pear ら,1993 )。 レトロウイルスは別にして、ヘルパーウイルスに依存性のパルボウイルスAAV (“アデノ関連ウイルス”)、並びにヘルペスウイルス及びアデノウイルスが遺 伝子治療における応用に使用されている (Jolly,1994による総説文献;Trapnell 及びGorziglia,1994)。 組換えAAV-ウイルスの調製において、第一工程は通常ベクターDNA配列のト ランスフェクションである。AAV ベクターは重要な複製機能を欠いており、好適 なパッケージング系が未だ利用できないので、AAV 粒子の調製はトランスフェク ションに加えてヘルパーウイルスによる感染を必要とする。組換えAAV を調製す るのに現在使用されている方法は、Rep 機能及びCap 機能を有し、こうしてパッ ケージプラスミドとして作用するプラスミドだけでなく、AAV“末端リピート” により隣接された、関係する遺伝子を有するプラスミドを細胞に導入するために トランスフェクションを必要とする。このトランスフェクションに重なるのが、 AAV ウイルスの複製に必要とされるヘルパー機能を調製するアデノウイルスによ る感染である。 遺伝子治療に関する利点に鑑みて、AAV はベクター系として更に一層使用され る(Carter ら,1992;Samulskiら,1982;Kotin,1994)。組換えAAV の最も広く 使用される生産方法は二つのプラスミド系に基いている。第一プラスミドはRep 機能及びCap 機能をコードし、第二プラスミドは関係する遺伝子をコードし、こ れは145 ヌクレオチドの長さのITR(逆方向末端反復配列)により隣接された5000b p未満の長さを有する。アデノウイルスまたはヘルペスウイルスの存在下で、AAV Rep 配列はITR 中のシス作用シグナルにより調節された、ITR により隣接され た遺伝子配列の増幅を生じる。次いでCap 遺伝子産物は再度ITR によりコードさ れたシグナルを使用して一本鎖ゲノム(これは約5000ヌクレオチドのサイズであ る)を封入する。この方法により得られたウイルス粒子子孫はいずれの種類のAA V 遺伝子をもたず、かつ細胞型の広いスペクトルを感染し、それらのゲノム中に 組込むことができる。新しい組換えウイルスのこれらの性質並びに生産の理論上 の簡素化が、AAV を遺伝子移入適用に好ましいベクターにした性質である。しか しながら、臨床上の適用について、これらのベクターは制限を受ける。この理由 は安全性及び品質試験に必要とされる量及び純度でウイルスを調製することに係 わる問題である。製造上の一つの制限は、ベクターのパッケージングに必要とさ れるAAV Rep 遺伝子及びCap 遺伝子を発現する安定な細胞系を調製することが従 来不可能であることであった。従来、生産はベクター骨格そしてまたCap 機能及 びRep 機能の両方が導入し得る一時的なトランスフェクション系に制限された。 脂質またはリン酸カルシウム沈殿(これはこの目的に通常使用された)に基くト ランスフェクション系の低性能は、細胞当たりに生産し得るAAV ベクターの量を 制限した。また、アデノウイルスヘルパーウイルスがこれらの系に必要であると いう事実は、初期ウイルス回収がアデノウイルス粒子と所望のAAV ベクターの混 合物(アデノウイルスが量で優勢である)であることを意味する。このインバラ ンス(高いアデノウイルス力価/低いAAV 力価)がまたAAV ベクターのその後の 精製を困難にする。 遺伝子治療に使用される組換えアデノウイルスベクターの幾つかの調製方法が ある(Ghosh-Choudhury ら,1986;Bettら,1994;Berkner による総説,1992) 。これらは、アデノウイルスDNAのトランスフェクション後に、感染性アデノ ウイルスが形成し得るという事実(Graham 及びVan der Eb,1973) に基いている 。これらの方法の一つは互いに組換えし得る2種のプラスミドの同時トランスフ ェクションを意図している。一種のプラスミドは早期ウイルス遺伝子の一つ(例 えば、E1)(その配列は除去されて外来遺伝子の挿入のためのスペースをつくった )を除く全ウイルスゲノムをコードする。第二プラスミドは第一プラスミドから 除去されたウイルスゲノム中の点に上流及び下流に直接に連結される配列を有す る。こうして、これらの領域は両方のプラスミド中に存在し、互いに組換えるこ とができる。相当するプロモーターを有する外来遺伝子がアデノプラスミドに相 補性の隣接領域の間で第二プラスミド中に挿入される場合、2種のプラスミドの その後の組換えはウイルスゲノム中の外来遺伝子のとり込みをもたらす。第一プ ラスミドの配列のみを含む粒子の生産を避けるために、ウイルスパッケージング シグナルPsi がこのプラスミドから除去され、かつ/またはバクテリア配列が挿 入され、これはウイルスDNAをパッケージングには長すぎるようし、第二プラ イマーによる組換えのみにより除去し得る。2種のプラスミドは、アデノウイル スE1配列を有し、こうしてウイルス複製に必要とされる機能(これは2種のプラ スミドには不在である)を有する細胞系の細胞に導入される。2種のプラスミド の組換え中に、細胞系(“ヘルパー細胞”または“生産細胞”)により供給され るE1機能とは別に、アデノウイルスの複製及びパッケージングに必要な全ての機 能、そしてまた第一プラスミド(ベクタープラスミド)によりコードされる新し い遺伝子を含むDNA配列が形成される。 現在に至るまで、組換えアデノウイルスのこのクラスの通常の調製方法は293 細胞への2種のプラスミドのリン酸カルシウムトランスフェクションに基いてい た。トランスフェクション後に、細胞は寒天の層で覆われる。10〜14日のインキ ュベーション期間後に、アデノウイルス感染細胞がプラークとして目視できる。 この時間中に、組換えが2種のプラスミド間で起こる。プラークは初期感染細胞 の溶解及び放出ウイルスによる隣接細胞の感染により形成される。最も上の寒天 層はウイルス感染を集中させ、局在化し、かつ個々の感染または組換えイベント に由来するウイルスを単離することを可能にする。このプラーク形成は、リン酸 カルシウム方法により得られる低いトランスフェクション効率及びプラーク形成 の低い効率のために組換えアデノウイルスの調製において頻繁に制限工程である 。 本発明の目的はウイルス及びウイルスベクターの改良された調製方法を提供す ることであった。 最近、細胞が巨大分子を輸送するのに使用するメカニズム、例えば、受容体介 在性エンドサイトーシスの極めて有効な経路に基く遺伝子移入系が開発された(W u 及びWu,1987;EP-A1 0388758;WO 91/17773,WO 92/17210及びWO 92/19281)。 DNA結合ドメイン及び細胞表面受容体に対する特異性を有するドメインを有す る2機能性分子接合体を使用するこの方法を使用して、高い遺伝子移入率を得る ことが可能であった。 核酸複合体を使用する受容体介在性エンドサイトーシスにより代表されるよう な生理学的経路による遺伝子移入は重大な利点(細胞膜中の通過の無毒性メカニ ズム;生物活性核酸を反復様式または連続様式で投与することができること;細 胞特異性ターゲッティングの可能性;接合体を多量に調製することができること )を有する。その系の付加的な改良が、エンドソームを分解する或る種のウイル ス及びウイルス成分の能力を使用する技術により達成された。これらのエンドソ ーム崩壊剤(endosomolytic agents)を添加することにより、細胞に輸送された遺 伝子の発現率のかなりの増大を得ることが可能であった。この方法は本質的には 大きいDNAフラグメントの移入、高コピー数の移入及び一般に一時的な遺伝子 移入を特徴とする。 この遺伝子移入系を使用して、更に大きなDNAフラグメント(>50 kb)をトラ ンスフェクションの通常の方法に耐性の原発性細胞を含む分裂細胞または非分裂 細胞に導入することが可能である。従来研究された遺伝子発現は長く持続するの ではなく一時的であったが、哺乳類の造血親細胞または早期前駆細胞への遺伝子 移入を得ることは従来不可能であった。 上記の問題の解決は、受容体介在性エンドサイトーシスに基く系の高いトラン スフェクション効率を使用する目的で、2種の遺伝子移入系、即ち、組換えウイ ルスに基く系及び受容体介在性エンドサイトーシスに基く系の利点を合わせると いうアイデアから生じたものであり、これはウイルス及びウイルスベクターを調 製するためにエンドソーム崩壊剤を使用して異種遺伝子発現を増大する。 こうして、本発明はウイルスベクターDNA及び/またはウイルスまたはウイ ルスベクターの感染性を増大するウイルス遺伝子をコードする一つ以上の配列を 含む一種以上のプラスミドを必要により標的細胞のリガンドと接合されていても よいポリカチオンと複合体形成し、哺乳類細胞をエンドソーム崩壊剤の存在下で その複合体でトランスフェクトすることを特徴とするウイルスまたはウイルスベ クターの調製方法に関する。 ウイルスベクターは組換え体であることが好ましく、即ち、それは、ウイルス ベクター配列に加えて、ウイルスベクターが、例えば、遺伝子治療の過程で適用 される標的細胞中で発現されるDNA配列、例えば、治療活性遺伝子を含む(野 生型ウイルスベクターが調製される場合、これらは特にワクチンの生産に使用さ れる)。 DNAを真核細胞に導入するための本発明の方法の過程で使用される方法はそ れ自体知られている(Wagner ら,1991a 及び1991b;Cotten ら,1992;Wagnerら ,1992a 及び1992b;Zatloukalら,1992;Cottenら,1993a 及び1993b;Curielら ,1991;WO 93/07283 及びWO 93/07282)。 本発明の方法の好ましい実施態様はプラスミドDNAを一方の標的細胞のリガ ンドとポリカチオンの接合体、例えば、トランスフェリン−ポリリシンと、他方 のエンドソーム崩壊剤とポリカチオンの接合体、例えば、アデノウイルスポリリ シンを含む3成分複合体の形態で細胞に送出することからなる。この場合、エン ドソーム崩壊剤はDNAと複合体形成され、こうして複合体に組込まれ得るポリ リシン接合体の形態で存在するアデノウイルスである。例えば、物理化学的方法 により不活化されたアデノウイルスが、必要により非不活化アデノウイルス(こ れはビオチン−ストレプトアビジンブリッジを介してポリリシンに結合される) と混合して使用されることが好ましい(文献には、エンドソーム崩壊剤がアデノ ウイルスであり、リガンドがトランスフェリンであるこの方法が“アデノウイル ス補助トランスファーインフェクション”と称される)。 その方法を実施することに関して、プラスミドDNAの複合体パートナー(リ ガンド、ポリカチオン)及びエンドソーム崩壊剤の選択に際して、その方法は広 い変化を可能にする。これに関して、WO 93/07283 の開示が参考にされる。 本発明は特に遺伝子治療に使用される。 組換えウイルスベクターDNAの成分として、本発明の範囲内で起こり得る体 細胞遺伝子治療に使用し得る遺伝子の例は第VIII因子(ヘモフィリアA)(例え ば、Woodら,1984を参照のこと)、第IX因子(ヘモフィリアB)(例えば、Kura chi ら,1982を参照のこと)、アデノシンデアミナーゼ(SCID)(例えば、Valeri o ら,1984を参照のこと)、α-1アンチトリプシン(肺気腫)(例えば、Cilibe rto ら,1985を参照のこと)または“嚢胞性繊維症トランスメンブランコンダク タンス調節遺伝子”(例えば、Riordan ら,1989を参照のこと)である。これら の例は本発明の如何なる種類の限定をも構成しない。 好ましい実施態様において、プラスミドDNAはレトロウイルスベクターをコ ードする(このDNAが本明細書中以下“レトロウイルスベクターDNA”と称 される)。 レトロウイルスベクターDNAへの本発明の方法の適用は驚く程高い力価レベ ルを生じた。パッケージング及び原発性細胞中の本発明の方法により得られるレ トロウイルス力価レベルは格別に高い。トランスフェクトされた細胞は、驚くこ とに、5〜10以上の無傷の組込まれたプロウイルスコピーを含み、これが30〜10 0倍高い力価の感染性ベクター粒子の生産をもたらす。こうして、リン酸カルシ ウム方法またはレトロウイルス感染を使用することに較べて、30〜100 倍高い力 価の感染性ベクター粒子が得られる。 確立された方法に対する、レトロウイルスDNAに適用される本発明の方法の 主たる利点は以下のとおりである。 1)確立されたパッケージング細胞系において、高いウイルス力価が一時的トラン スフェクション後でさえも得られ、力価の更なる増大が安定な組込みのための選 択後に得られる。更に、遺伝的に変化されていない細胞中のウイルスの生産がレ トロウイルスベクター構築物及びパッケージ機能の同時トランスフェクション後 に可能にされる。 2)本発明の方法の別の重要な利点は、トランスフェクトされた細胞が複製コンピ テントヘルパーウイルスまたは複製アデノウイルスを含まないという事実である 。高力価が一時的にトランスフェクトされた細胞について得られただけでなく、 安定なクローナルトランスフェクタントまたはプールされたトランスフェクタン トについて得られた。顕著なことに、プールされた集団またはトランスフェクト されたクローンのウイルス力価は単離されたクローンの力価よりかなり低くはな く、これは一般にリン酸カルシウムでトランスフェクトされたクローンの場合で はない。増大されたウイルス力価は殆どおそらくトランスフェクトされたプラス ミドの多重組込みコピーのためであった。トランスフェリン−ポリリシン/アデ ノウイルスでトランスフェクトされた細胞から得られたウイルスによる標的細胞 (例えば、NIH3T3)の感染は、リン酸カルシウムでトランスフェクトされた細胞 に由来するウイルスによる感染とは区別できなかった。 使用し得るレトロウイルスベクター(その多数が利用できる)に関して、制限 はない。少なくとも二つのLTR 及びパッケージングシグナル、即ち、シス機能を 有する全てのレトロウイルスベクターが使用し得る。パッケージング機能を構成 するトランス機能はおそらく単一プラスミドのレトロウイルス配列の一部であり 、または好ましい実施態様において、特に治療上の使用のために、それらは別の プラスミド、所謂“パッケージングプラスミド”に配置される(この場合、それ 故、レトロウイルスベクターDNAは2種のプラスミドからなる)。 レトロウイルスベクター、パッケージ系及び遺伝子治療のためのそれらの使用 に関して広範囲の文献がある。好適なレトロウイルスベクターの例及びレトロウ イルスの導入のメカニズムが、とりわけ、Miller及びRosmanによる総説,1989、 Morgenstern 及びLand,1990、並びにSwain 及びCoffin,1992に提示される。 パッケージングプラスミドは、レトロウイルスタンパク質をコードするが、レ トロウイルス調節単位を有しない配列を含み、その結果として複製コンピテント ヘルパーウイルスの形成が避けられる。本発明の使用に適したパッケージングプ ラスミドの例がとりわけMarkowitz,1988 により記載されている。 本発明の方法は、高力価の組換えウイルスを生産する安定な細胞系の迅速かつ 簡単な生産に適している。従来技術の方法と違って、それは労力を要するトラン スフェクション、その後の感染及びクローンの単離を必要としない。その方法の 別の重要な利点は組換えウイルスを一時的に生産可能であることであり、これら はパッケージング細胞系により不十分に寛容される。 高力価を有するパッケージング細胞系の生産に加えて、その方法はまた非パッ ケージング細胞中でさえもウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター を生産するのに好ましく使用し得る。これは、“パッケージングプラスミド”が その他のウイルス配列を含むベクターDNAで同時トランスフェクトされる本発 明の実施態様を必要とする。この場合、こうしてウイルスベクターDNAは2種 のプラスミドからなり、その一つはパッケージング機能をコードする配列を含み 、一方、その他のプラスミドはその他のウイルスタンパク質並びに細胞中で発現 されるDNAをコードする配列を含む。 幾つかのプラスミドを使用する適用、特にウイルスベクターの生産について、 本発明の方法の特別な利点は、プラスミドがその他のトランスフェクション成分 、例えば、ポリリシン−トランスフェリン及びアデノウイルス−ポリリシン接合 体との特定の比、好ましくは3:1 〜13の混合物として複合体形成された後に細胞 に一緒に輸送し得ることである。こうして、細胞中で発現される配列、更に特別 には、遺伝子治療に有効な配列を有する、ベクタープラスミド、またはレトロウ イルスベクタープラスミド、及びパッケージングプラスミドが協調様式で細胞に 導入でき、その間、量の比が発現の所望の効率に関して最適レベルに変化、調節 し得る。最適の比は実験試験により決定される。 遺伝子治療に組換えレトロウイルスを使用することの問題の一つは、レトロウ イルスが生体中で迅速に分解され、こうしてしばしば標的細胞に達しないという 事実である。それ故、有効な遺伝子移入は、それらが標的臓器に直接に、または さらには当該臓器、例えば、肝臓の潅流により投与される場合、通常の方法によ り調製されたレトロウイルスベクターのみで達成し得る。この要件は、in vitro の本発明の方法(パッケージング細胞系を使用し、またはパッケージング機能を 有しない細胞の場合にはパッケージング機能を含むベクターの同時トランスフェ クションを使用する)により調製された高いレトロウイルス力価を有する上澄み がトランスフェクションに使用される場合に解決し得る。 ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクターへの本発明の適用(この 場合、パッケージング機能を有しない細胞がパッケージングプラスミドと一緒に 使用される)はin situ のレトロウイルスにより治療上有効な遺伝子を移入する のに主として重要な自己細胞への適用の利点を与える。in situ の遺伝子移入に 利用できる二つの特別な別法がある。 1)細胞、例えば、繊維芽細胞、造血細胞、筋芽細胞、肝細胞または骨髄ストロ ーマ細胞が生体から採取され、これらの原発性細胞が本発明の方法を使用して組 換えレトロウイルスベクターDNAで半ビボでトランスフェクトされる。こうし て得られたベクター生産細胞が、移植部位で長期間にわたって多量のベクター物 質を生じるために生体に再移植されて、周囲の領域中の増殖細胞のin situ 導入 をもたらす。このような使用の主たる利点は、in situ のベクターの連続生産が 低い分裂速度を有する細胞、例えば、親細胞及び生理学的細胞ターンオーバーに 寄与する細胞を導入することを可能にすることである。 2)レトロウイルスベクターによる標的細胞の導入が、組換えレトロウイルスベ クターDNAを含む本発明のトランスフェクション複合体の局所適用によりin v ivoで直接行われる。こうして、末端分化標的細胞、例えば、血液細胞、気管支 または腸の上皮細胞、ケラチノサイトまたは乳腺細胞に到達し得る。 局所in vivo 適用の一例は、前駆細胞へのin situ の遺伝子移入を得るために レトロウイルスベクター及びパッケージングプラスミドを胆管上皮に入れる目的 の肝臓柔組織または胆管系への遺伝子移入複合体の直接の注射である。遺伝子治 療における本発明の複合体の使用の別の利点は胸部へのヒトβ−インターフェロ ン遺伝子の導入であり、この場合、胸部上皮への直接のin vivo 導入が行い得る 。 本発明の方法の別の好ましい実施態様において、プラスミドDNAはAAV ベク ターDNAを含む。この実施態様において、本発明の方法はこうして組換えAAV ベクターを調製するのに利用できる。 AAV 配列は上記の2プラスミド系の形態で存在することが好ましく、この場合 、第一プラスミドはRep 機能及びCap 機能をコードし、また第二プラスミドは14 5ヌクレオチドの長いITR(“逆方向末端反復配列”)により隣接された当該遺伝 子をコードする。 AAV の調製は一方で高比率の細胞または全細胞集団へのAAV 遺伝子の輸送を必 要とし、他方でアデノウイルスまたはヘルペスウイルスの如きヘルパーウイルス による感染を必要とする。WO 93/07283 に記載の遺伝子移入は、エンドソーム崩 壊剤がアデノウイルスである実施態様において、これらの二つの条件を満足する のに必要とされる両方のパラメーターを満足するので、この系は組換えAAV ベク ターの調製に格別適している。更に、その系はそれをこの適用に特に適するよう にする更なる特性、即ち、細胞へのウイルスの侵入に必要とされる機能(Cotten ら,1992;Cottenら,1994b)に影響しないで不活化アデノウイルスを使用する可 能性を有する。この事実に鑑みて、アデノウイルス粒子の濃度は、AAV と必須の 因子について競合し、こうしてAAV 生産を減少する複製コンピテントアデノウイ ルスで細胞を過負荷しないで、有効な遺伝子移入に充分なレベルで使用し得る。 本発明の方法は、エンドソーム崩壊活性アデノウイルスがAAV のヘルパーウイル スを同時に構成する実施態様において、最適のAAV 生産を得るためにトランスフ ェクション系を採用することを可能にする活性アデノウイルス粒子と不活性アデ ノウイルス粒子の混合物を使用する可能性を与える。不活化アデノウイルスと非 不活化アデノウイルスの最適比は実験により決定し得る。基本的には、非不活化 ウイルスの比率をできるだけ低く保つことが望ましい。本発明の構成内で、4:1 〜9:1の不活化アデノウイルス対非不活化アデノウイルスの比が同等に好適と判 明した。 別の実施態様において、本発明の方法は、ヘルパーウイルス感染を同時に生じ ないでAAV 粒子を調製するのに使用し得る。アデノウイルスヘルパーウイルスの 4つの遺伝子機能、即ち、E1、E2a、E4及びVA(Richardson及びWestphal,1981 )のみがAAV 複製に必要であるので、これらのヘルパー機能がプラスミドの形態 で与えられてもよく、それらの夫々がヘルパーウイルスとして完全活性アデノウ イルスを使用する代わりに妥当なアデノウイルス遺伝子領域を有する。加えて、 ヘルパー機能は、それらがプラスミドに存在しない場合には、生産細胞(ヘルパ ー細胞)により与えられてもよい。これらのプラスミドはトランスフェクション 複合体の成分としてAAV 配列を有するプラスミドとともに同時トランスフェクト さ れる。ヘルパーウイルスとしてのアデノウイルスの存在は本発明のこの実施態様 において必須ではないので、非不活化アデノウイルスを含まないエンドソーム崩 壊活性剤が使用し得る。 この実施態様の別法において、非パッケージング性アデノウイルスゲノムをコ ードする配列を含む単一DNA分子が細胞の同時トランスフェクションに使用し 得る(AAV 配列に加えて)。このようなプラスミドの例はpBHG11(Bettら,1994 )であり、これはE3領域及びE1領域の欠失を除いて完全アデノウイルスゲノムを 含む。これらの二つの機能はプラスミドに必須ではない。何となれば、AAV 生産 が必要なアデノウイルスE1機能を与える細胞、例えば、293 細胞中で行い得るか らであり、またE3領域がアデノウイルスの感染増殖または細胞培養中のAAV の感 染増殖に必須ではないからである。また、プラスミドpBHG11はパッケージングシ グナルPsi を除去する欠失を有する。更に、それによりコードされた配列は有効 なアデノウイルスパッケージングには大きすぎる。本発明のこの実施態様の本質 的な利点はヘルパーウイルスの生産の不在である。ヘルパー機能に必要な遺伝子 機能のみが与えられるが、充分な遺伝子が完全アデノウイルス粒子の形成に必要 とされない場合、感染の結果としてAAV 粒子のみが得られ、アデノウイルスが含 まれず、これがAAV 粒子を精製することを更に容易にする。 本発明の別の好ましい実施態様において、プラスミドDNAはアデノウイルス ベクターDNAを含む。この実施態様において、その方法はアデノウイルス及び アデノウイルスベクターを調製するのに利用できる。 アデノウイルスベクターを調製するためのこの実施態様の特別な別法において 、細胞に輸送されるアデノウイルスDNA配列を含む2種のプラスミドは、配列 が組換えることができるように選ばれる。本発明の方法を使用して、組換えアデ ノウイルスの形成が更に容易にされるような量で2種のプラスミドを細胞に導入 することが可能である。第一プラスミドは、例えば、ITR(Alestrom ら,1982) 及び外来遺伝子を誘導する強いプロモーターを含むアデノウイルスパッケージン グシグナル (塩基対194 〜358;Grable 及びHearing,1992)+E1配列が排除され たアデノウイルス配列の付加的な領域を含み、それはpIX配列+E1から下流の更 に別の配列(それは組換えが第二プラスミドで起こることを可能にする)を含む 。 EI領域は外来遺伝子の挿入の余地をつくるためにこのベクター系(プラスミド) から排除された。第二プラスミドは、パッケージングシグナルが排除され、バク テリア配列がE1領域に挿入された完全アデノウイルスゲノムを有する。パッケー ジングシグナルの不在及びバクテリアインサートにより生じた増大されたサイズ は、この第二アデノウイルス配列がウイルス粒子中にパッケージされることを阻 止する。2種のプラスミドは、アデノウイルスE1配列を有し、こうして2種のプ ラスミドに欠けているウイルス複製に必要な機能を有するヒト胚腎臓細胞系であ る系列 293(Graham ら,1977)の細胞に導入される。2種のプラスミドが組換 えられる時に、アデノウイルスの増殖及びDNAパッケージングに必要な全ての 機能(細胞系により調製されるE1機能とは別に)、そしてまた第一プラスミドに よりコードされる新しい遺伝子を含むDNA配列が得られる。 また、E1機能を与える293 の如き細胞系(“EI細胞系”)に代えて、E4細胞系、 例えば、細胞系W162、または両方の遺伝子機能を有するE1/E4 細胞系が使用され てもよい。これらの場合、E4機能またはE1機能とE4機能の両方がアデノウイルス ベクターDNAプラスミドから不在である。 別の好ましい実施態様において、本発明の方法は35 kb の外来DNA分子を有 するが、アデノウイルス遺伝子を完全に欠いている細胞に侵入することができる 組換えアデノウイルスを調製するのに使用される。このようなアデノウイルスを 得るために、例えば下記のプラスミド構築物が使用されてもよい。第一プラスミ ド(ベクタープラスミド)がアデノウイルスのITR 及び治療遺伝子及び/または マーカー遺伝子を含む約35 kb 非アデノウイルスDNAに隣接するパッケージン グシグナルPsi、及び必要によりフィラーDNAを含む。隣接ITR は生産サイク ル中に約35 kb 配列の増幅に必要である。Psi 配列は、増幅された35 kb 配列が ウイルス粒子にパッケージされることを確実にする。第二プラスミドは完全アデ ノウイルス配列を含むが、それはパッケージング機能Psi を欠いており、35 kb より大きいインサートサイズがそのパッケージングを阻止する。本発明の目的に 適したプラスミドの例はBettら,1994により記載されたプラスミドpBHG11(これ はE1陰性である)、及び構造上類似のプラスミドである(また、E1陽性プラスミ ドが使用されてもよく、この場合にはヘルパー細胞の生産の使用が必要ではない 。 正常細胞がトランスフェクションに使用し得る)。第二プラスミド(パッケージ ングプラスミド)は構築され、第一プラスミドによりコードされた配列で装填さ れる感染性アデノウイルス粒子を形成するために必要である全ての遺伝子機能を 与える。この系はアデノウイルス遺伝子を有しない感染性アデノウイルス粒子を 与える利点を有する。何となれば、2種のプラスミドは互いに組換えしないから である。 多量の両方のプラスミドが一時的トランスフェクションによりパッケージング 細胞系に輸送される本発明のこの実施態様は、おそらく或るアデノウイルス産物 の毒性作用のために困難と判明した多量のアデノウイルスゲノムを安定に有する 細胞系を必要とするという問題を避ける。この“ブランテッド(blunted)”アデ ノウイルスベクターの別の利点は外来遺伝子に対する増大されたキャパシティで ある。従来技術の組換えアデノウイルスベクターは約8 kbの外来配列を吸収する ことができるが、本発明の方法により得られたベクター(これは約200 bp ITR配 列+180 bpパッケージング配列のみを必要とする)は治療上有効な遺伝子を含む 34kbより大きい外来遺伝子を吸収することができる。 本発明のこの実施態様の更なる利点はその大きな融通性である。何となれば、 アデノウイルス遺伝子が異なるプラスミド(ベクタープラスミド、パッケージン グプラスミドそしておそらくその他のプラスミド)に分布し得るからである。ベ クタープラスミドが外来遺伝子及びITR は別としてパッケージング機能psi のみ を有し、またパッケージングプラスミドがその他のアデノウイルス配列の全てを 有する実施態様とは違って、これらのアデノウイルス配列の幾つかはベクタープ ラスミドそれ自体に存在してもよく、一方、その他の機能がパッケージングプラ スミドにより全部または一部コードされる。パッケージングプラスミド及びベク タープラスミドにあることは別にして、これらの機能はまた細胞により与えられ てもよく、かつ/またはそれらは別のプラスミドにあってもよい。 また、本発明の方法を使用して、ウイルスの感染性を改善するために種々の遺 伝子機能に変化または追加を有するアデノウイルスまたはアデノウイルスベクタ ーを調製することが可能である。このような操作の原理は、操作された遺伝子ま たは補充遺伝子がトランスで(in trans)使用されて組換えアデノウイルスまたは 非組換えアデノウイルスを調製するが(例えば、Goldsmith ら,1994によりE1配 列について提案された原理による)、マルチプラスミド系がアデノウイルスベク ターを生産するのに使用される場合には、これらの遺伝子がまたパッケージング プラスミドまたはベクタープラスミドに存在してもよいことである。 このような操作の一例は、特定の型の標的細胞への結合を得るためのアデノウ イルスのフィラメントの計画的な変化である。これの基礎は異なるアデノウイル ス血清型の間でフィラメント遺伝子を変化することの可能性である。例えば、パ ッケージングプラスミドまたは別のプラスミドにおける操作されたフィラメント 遺伝子の存在は、新しいフィラメント分子を有し、こうして特定の標的細胞に関 する別の使用に利用できるアデノウイルス粒子を生産することを可能にする。 また、アデノウイルスまたはアデノウイルスベクターはアデノウイルスプロテ アーゼの過剰発現(overexpression)を生じるために修飾し得る。この場合、それ 故、感染性、プロテアーゼ遺伝子を増大するのはウイルス遺伝子である。アデノ ウイルスプロテアーゼはウイルスの構築物中のキャプシドタンパク質の6つをプ ロセシングするのに必要である。ウイルスキャプシドタンパク質の特異的開裂は 膜との相互作用のためにアデノウイルス粒子の活性化を生じる。感染性粒子中で 、プロテアーゼはアデノウイルス補助トランスファーインフェクションの場合に アデノウイルスDNA及びアデノウイルスの表面にカップリングされるDNAの 両方の核へのDNAの侵入に必要である。本発明のこの実施態様の助けにより、 多量のプロテアーゼを増殖的アデノウイルス感染中に与えることが可能である。 ウイルスの生産中の付加的なプロテアーゼの存在は二つの利点を有する。その増 加された量は、得られたウイルス粒子の全てが充分にプロセシングされ、膜を分 解するのに充分な活性を有することを確実にする。また、多量のプロテアーゼは 付加的なプロテアーゼを得られたウイルス粒子中に多量に封入させ得る。結果と して、これらのウイルス粒子は感染細胞の核へのDNAの移入中に起こる反応に 一層有効であり得る。 多量のプロテアーゼを調製するのに二つの可能性がある。一実施態様において 、ポリリシン、及び必要によりリガンドとポリリシンの接合体、及びプロテアー ゼをコードする配列を含むDNAとの複合体を形成するために、必要により組換 え アデノウイルスが使用される。得られた複合体は増殖的ウイルス感染を誘発する 。プラスミドに含まれたプロテアーゼ遺伝子は、遺伝子のゲノムコピーにより得 られる量に関係して、ウイルス粒子中の過剰のプロテアーゼを確実にする(通常 の条件下では、ウイルス粒子当たり約10のプロテアーゼコピーがある)。この実 施態様の利点は、ウイルスゲノムが修飾プロテアーゼ遺伝子とは別に生じること である(修飾は強力な構成的プロモーターの存在にある)。例えば、プソラレン /UVによる、この方法により得られた非組換えアデノウイルスの不活化は、それ らの増大されたプロテアーゼ含量及びウイルス粒子の増大されたプロセシングの みを通常の感染とは異にするアデノウイルス粒子を生じる。このようなアデノウ イルスは、例えば、サイトカイン遺伝子を腫瘍細胞に導入するために、WO94/218 08に記載された方法により腫瘍ワクチンを生産するのに使用し得る。 また、本発明の方法のこの実施態様により、強力な構成的プロモーターの制御 下にプロテアーゼ遺伝子を有する組換えウイルスを調製することが可能である。 この場合、2プラスミド系または多プラスミド系が使用され、プロテアーゼ遺伝 子はおそらく外来遺伝子、例えば、サイトカイン遺伝子の如き治療活性遺伝子に 加えてベクタープラスミドに含まれてもよい(また、プロテアーゼ遺伝子はパッ ケージングプラスミドまたは第三プラスミドに存在してもよい)。このアプロー チの利点は、特に、こうして得られる組換えアデノウイルスの使用の簡素化であ る。この別の実施態様において、得られるウイルス中のプロテアーゼ遺伝子の存 在はゲノムキャパシティを占有し、これが治療遺伝子に利用できるスペースを制 限することが留意されるべきである。例えば、大きい治療遺伝子の場合に、この 制限を避ける一つの可能な方法は、存在するプロテアーゼ遺伝子のプロモーター を修飾してその活性を増大し、ゲノム中のスペースを占有しないで増大されたプ ロテアーゼ発現を得ることである。 多量のプロテアーゼを生産するアデノウイルスを使用する場合、プロテアーゼ はアデノウイルスの侵入に対する炎症応答に役割を果たすことが思い出されるべ きである。アデノウイルス粒子の増大されたプロテアーゼ含量はウイルスの炎症 ポテンシャルを上昇し得る。これは長期の修飾細胞の生産における或る適用に欠 点であり得るが、この性質は生体の免疫応答が増強される腫瘍ワクチンの生産に 有利である。 アデノウイルス(ベクター)の変化はまたアデノウイルスゲノムの操作のため にKetnerら,1994により開発されたYAC(“酵母人工染色体”)系に基いて行われ てもよい。この系はアデノウイルスゲノムに所望の修飾を導入するために酵母中 の有効な相同組換え反応を使用する。変化が適所に入れられた後に、アデノウイ ルス配列がYAC から切除され、アデノウイルスの増殖に適した細胞系に導入され る。しかしながら、この系は、リン酸カルシウムトランスフェクション方法を使 用する大きいアデノウイルス配列(35 kb) のトランスフェクションが不十分であ り、それ故、トランスフェクションがこの方法の制限工程であるという欠点を有 する。この欠点は、アデノウイルス感染の迅速な誘発を可能にするYAC 系で操作 されたアデノウイルスベクター系をトランスフェクトするために本発明の方法を 使用することにより解消し得る。 AAV またはアデノウイルスベクタープラスミドに欠けているヘルパー機能を調 節することを助ける“ヘルパー細胞”を使用しないでアデノウイルスまたはAAV ベクターが調製される全ての適用について、EI及び/またはE4の如きこれらのヘ ルパー機能は、プラスミドに含まれるその他のベクターDNAと一緒にトランス フェクトされる別のプラスミドに含まれてもよい。この場合、ヘルパー細胞に代 えて、外来遺伝子、例えば、治療活性DNAが最終的に発現されられる標的細胞 がトランスフェクトされる。これらの場合、それ故、ベクターの生産はヘルパー 細胞中で起こらないが、標的細胞中で直接起こる。 本発明は、別の局面によれば、ウイルスベクターDNA及び/またはウイルス またはウイルスベクターの感染性を増大するウイルス遺伝子をコードする一つ以 上の配列を含む一種以上のプラスミドの形態のDNAを含むトランスフェクショ ン複合体に関するものであり、これは必要により標的細胞のリガンドと接合され ていてもよいポリカチオン、並びにエンドソーム崩壊作用剤と複合体形成される 。 好ましい実施態様において、プラスミドDNAはレトロウイルスベクターDN Aである。 別の好ましい実施態様において、プラスミドDNAはAAV ベクターDNAであ る。この実施態様の一つの別型において、エンドソーム崩壊活性剤は不活化アデ ノウイルスと非不活化アデノウイルスの混合物からなり、後者は同時にAAV のヘ ルパーウイルスとして作用する。 別の好ましい実施態様において、プラスミドDNAはアデノウイルスベクター DNAである。 別の実施態様において、プラスミドDNAはアデノウイルスプロテアーゼをコ ードする。この場合、エンドソーム崩壊活性剤は必要により組換えアデノウイル スである。 図面の要約 図1:HERc発現のスルーフローサイトメトリー分析 図2:レトロウイルスDNAの組込みを測定するためのゲノムDNAの分析 図3:AAV ウイルスを検出するためのウェスタンブロット 図4:増大されたプロテアーゼ発現を有するアデノウイルスの調製 以下の実施例1〜5において、特にことわらない限り、下記の物質及び方法を 使用した。 a)使用した細胞 マウス肝細胞BNL CL.2 (ATCC No.TIB 73);Markowitzら,1988により記載された パッケージング細胞系GP+E86の細胞、NIH3T3 (TK-)細胞 b)組換えレトロウイルスの調製 正常なヒトEGF 受容体(HERc)を発現するレトロウイルスベクター、c-kit または tsp53 をMiller及びRosman,1989により記載されたベクターLXSNから誘導した。 プラスミドNTK-HERc(von Ruden 及びWagner,1988)から得られた3.9 kb XhoI フラグメントをpLXSN のXhoI部位に挿入することにより、プラスミドLXSN-HERc を調製した。p53val135 変異体(Gottlieb ら,1993) をコードするcDNAをpL XSN のEcoRI 部位に挿入することにより、LXSN-tsp53ウイルスを得た。ベクター pLXSN kit はAlexander ら,1991により記載されていた。プラスミドpLXSN-tsb5 3 はGottliebら,1993により記載されていた。プラスミドpMOV9.2 はHarbersら ,1981により記載されていた。NIH3T3 (TK-)細胞(2時間にわたって6cmの皿 当たり105細胞)を感染し、次いで培地としてIMDM(イスコブズ改良ダルベッコ培 地(ギブコ)及び10%のFCS)を使用してG418 (ギブコ、1mg/ml)で選択すること により、組換えウイルスの力価を測定した。 c)細胞のトランスフェクション トランスフェリン−ポリリシン/アデノウイルスDNA複合体によるトランスフ ェクション(以下、“アデノウイルス−トランスファーインフェクション”と称 する)を実質的にWO 93/07283 に記載されたようにして行った。使用した操作は 以下のとおりであった。トランスフェクション複合体を3工程方法で調製した。 最初の工程において、ビオチニル化された、プソラレン/UV 不活化アデノウイル スdl312 の8 x 109の粒子を、合計容積200 μl のHBS (20 mMのHEPES、150 mMの NaCl、pH7.4)中で周囲温度で30分間インキュベートすることによりストレプトア ビジン修飾ポリリシン290 で修飾した。次いでHBS 150 μl 中のDNA6μgを 添加し、充分に混合し、30分間のインキュベーション期間にわたってポリリシン 修飾アデノウイルスに結合させた。最後に、HBS 150 μl 中のポリリシン修飾ト ランスフェリン5.4 μg を混合物に添加して同様にDNAに結合させた。30分後 に、複合体を培地(GP+E86 細胞について、5%のFCS、50μM のβ−メルカプト エタノール及び抗生物質を含むIMDM;マウス肝細胞BNL CL.2について、FCS 及び 抗生物質を含む高グルコースDMEM)1.5mlで希釈し、37℃で4時間にわたって6cm の培養皿当たり3 x 105の細胞に作用させた。次いで培地を新しい培地により交 換した。トランスフェクションの48時間後に、上澄みを組換えレトロウイルスの 形成について調べた。トランスフェクションの効率を、Zatloukal ら,1992によ り記載された操作を使用して、β−ガラクトシダーゼリポーター遺伝子で平行に トランスフェクトされた細胞中のβ−ガラクトシダーゼ発現により監視した。GP +E86細胞のトランスフェクションはβ−ガラクトシダーゼ発現細胞の39%を生じ た。トランスフェクトされたBNL CL.2細胞のうち、細胞の10%が陽性であった。 リン酸カルシウムを使用するGP+E86細胞のトランスフェクションを、通常の操 作を使用して行った。 d)スルーフローサイトメトリー分析 細胞をFCS 及び0.05%のアジ化ナトリウムを補給した食塩加リン酸緩衝液(PBS ) (洗浄緩衝液)で2回洗浄し、その後、ヒトEGF 受容体の細胞外ドメインを認識 するモノクローナル抗体R1(Waterfieldら,1982)とともに30分間インキュベー トした。二次抗体として、ヤギ抗マウスIgG(ジアノバ)のフルオレセイン標識F (ab')2フラグメントを使用した。ベクトン−ディキンソンFACScan アナライザ ーを使用して、生細胞を分析した。 e)ウイルス力価の測定 通常の方法を使用して、NIH3T3 (TK-)繊維芽細胞を感染し、導入されたNeoR遺伝 子の発現について選択した。1 x 105のNIH3T3を1〜2時間にわたって培養生産 細胞からの上澄み1mlとともにインキュベートした。上澄みを前もって培地(IMD M+10%のFCS)中で希釈した。感染後に、ウイルスを含む培地をウイルスを含ま ない培地と交換し、次いで細胞を24〜30時間培養した。感染細胞を選択するため に、G418 (1mg/ml)をその後培地に添加した。約10日後に、G418耐性コロニーの 数をカウントし、ウイルス力価を計算した(希釈係数をコロニーの数に掛けて、 培養上澄み1ml当たりの感染性粒子の数cfu/mlを求める)。 f)DNA分析 ゲノムDNAを3 x 106の細胞から調製し(Sambrook ら,1989)、10μgを好適な エンドヌクレアーゼで消化した。切断されたDNAをアガロースゲルで分離し、 次いでナイロン膜に適用した。ブロットを32P標識cDNAプローブとハイブリ ッドを形成した。プロウイルスの無傷の組込みを測定するために、プロウイルス LTR 内で1回切断するAsp718でDNAを開裂して、診断DNAフラグメントを放 出した。プロウイルスゲノム中で1回切断するHindIII による消化は夫々の組込 み部位に特徴的である制限フラグメントを生じる。neo 特異性プローブを使用し て、ブロットを分析した。 実施例6〜8において、下記の方法を使用した。 a)アデノウイルス製剤 アデノウイルス5 dl1014(Bridge及びKetner,1989)をW162細胞(Weinberg及 びKetner,1983)中で培養した。Ad5wt300(野生型アデノウイルス型5)及びAd5 dl312 (E1a領域中に欠失を有するアデノウイルス;Jones 及びShenk,1979)を29 3細胞(Graham ら,1977) 中で培養した。ウイルスを精製し、明記された場合 に、ビオチニル化し、明記された場合に、Cottenら,1994bにより記載されたよ うにしてプソラレン/UV で不活化した。得られたウイルス製剤をタンパク質含量 (1mgのタンパク質=3.4 x 1012のアデノウイルス粒子)により定量的に特定し 、150 mMのNaCl、20mMのHEPES pH7.4 及び40%のグリセロール中で-70℃で貯蔵 した。 b)トランスフェクション試薬 LPS (Cotten ら,1994a)を除去するためにキアゲンクロマトグラフィー(ジア ゲンGmbH)続いてトリトンX-114 抽出を使用して、全てのプラスミドDNAを精 製した。Wagnerら,1992により記載された方法を使用してストレプトアビジン− ポリリシンを調製し、Wagnerら,1991により記載された方法を使用してトランス フェリン−ポリリシンを調製した。これらの方法はまたWO 93/07283 に記載され ている。トランスフェクション複合体を以下のようにして得た。1 x 1010の粒 子を含むビオチニル化アデノウイルスの試料をHBS 150μl 中で希釈し、周囲温 度で30分間にわたってHBS 150μl 中のストレプトアビジン−ポリリシン1μg と混合した。次いでHBS 100μl 中のDNA6μg の試料を添加し、続いて周囲 温度で30分間インキュベートした。最後に、トランスフェリン−ポリリシン5μ gを含むHBS 100 μl を添加した。周囲温度で30分後に、トランスフェクション 複合体のアリコートを2%のウマ血清/DMEM中の特別な標的細胞に適用した。 AAV の調製のために、DNA6μgを含むトランスフェクション複合体250μl を180cm2のフラスコ(2 x 107の細胞)当たり使用した。 c)AAV プラスミド 野生型AAV2ベクターpAV-1(Laughlin ら,1983;ATCC から入手し得る)を使用 して予備試験を行った。組換えAAV ベクターを調製するその後の試みを、AAV ベ クターPAB-11 (pAAVLACZ;Kaplitt ら,1994)(これはβ−ガラクトシダーゼを コードする配列を含む)及びプラスミドpAd8(Kaplitt ら,1994)を使用して行 った。初期pAB-11製剤を再クローン化した。第二末端リピートを受容したクロー ンを単離し、その後の使用のために増大させた。 d)アデノウイルスプラスミド E1配列を欠いているアデノウイルス5プラスミド、プラスミドpΔE1sp1B(左側 末端)及びパッケージングプラスミドpBGH11(右側末端)をミクロビックスから 入手した。 e)AAV の精製 感染細胞ペレットを2 x 107の細胞当たり2mlの20mMのHEPES、pH7.4 中で懸濁 させた。その物質を3回凍結し、解凍し、次いで5mMのMgCl2に調節し、37℃で20 分間にわたってDNase1(0.1mg/ml)で処理し、次いで37℃で20分間にわたってト リプシン(0.25%) で処理した。次いでその物質を等容積のフレオン(フルカ) と混合し、2 x 30秒でボルテックス中で処理し、次いでヘラエウス-2705 ロー ター中で10分間にわたって3,000 rpm で遠心分離した。次いで上澄みを等容積の 1.33 g/cm3のCsCl、20mMのHEPES、pH4、続いて半分の容積の1.64g/cm3のCsCl、2 0mMのHEPES、pH4 とともに垂直遠心分離管(10〜15mlの容積についてvTi 50また は2〜5mlの容積についてvTi 65)に移した。次いでその物質を20℃で49,000rp m(vTi 50) または63,000rpm (vTi 65)で2時間遠心分離した。 勾配フラクションを以下のようにして回収した。1.33 g/cm3のCsCl工程の中央 中の明らかに目視できる乳白色のアデノウイルスバンドを回収し、続いて1.64g/ cm3のCsCl工程までのアデノウイルスの領域を含む第二フラクションを回収した 。AAV を含むこの第二フラクションを1.40g/cm3のCsCl、20mMのHEPES、pH7.4 と 混合し、vTi 65ローター中で一夜遠心分離した。 f)ルシフェラーゼの測定 例えば、WO 93/07283 に記載された通常の方法を使用して、ルシフェラーゼ活性 を測定した。 g)β−ガラクトシダーゼ測定 Jain及びMagrath,1991 に記載された通常の方法を使用して、β−ガラクトシダ ーゼ含量を測定した。 h)ECL の検出 ウェスタン−ブロット試料のECL(増進ケモルミネセンス) を製造業者の指示(ア メーシャム)に従って検出した。 実施例1 a)アデノウイルスにより強化された受容体介在性トランスフェクション後のレト ロウイルスLXSN-HERc ベクターの高力価の調製 レトロウイルスpLXSN-HERcをコードするDNAを、一方でリン酸カルシウム共 沈方法を使用し、他方でアデノウイルストランスファーインフェクションを使用 して、パッケージング細胞系GP+E86の細胞に移入した。感染性LXSN-HERc の放出 をトランスフェクションの24時間後及び28時間後またはG418についての1週間の 選択後に測定した。結果を表1に示す。予想されたように、小さいウイルス力価 (103付近の感染性単位/ml(cfu/ml))のみがリン酸カルシウムで一時的にトラン スフェクトされた細胞中で検出し得た。G418耐性クローンのプールされた集団中 で、力価は約105cfu/ml までかなり上昇した。大幅に増大された力価をアデノウ イルストランスファーインフェクションによりトランスフェクトされた細胞から 得た。トランスフェクションの24時間後及び48時間後に、2 x 105cfu/ml の力 価を得(表1)、G418選択後に、力価は1 x 107cfu/ml まで20〜50倍増加した (表1、3及び4)。次にアデノウイルストランスファーインフェクション、リ ン酸カルシウムまたはレトロウイルス遺伝子移入により生じたクローナルパッケ ージング細胞のウイルス生産の効率を比較した(細胞を表に明記されたようにし てトランスフェクトし、またはツニカマイシンによる処理後にG418耐性コロニー のプールから得られた組換えウイルスで感染した(表1))。これらの実験の結 果はプールされたコロニーの集団中で更に顕著な相違(30倍)を示した(表2) 。複製コンピテントヘルパーウイルスはこれらのクローンのいずれ中にも検出し 得なかった。 b)HERc遺伝子の発現 アデノウイルストランスファーインフェクションによりトランスフェクトされ た細胞中の増大されたウイルス力価と一致して、HERcの表面発現がまた著しく増 大された。スルーフローサイトメトリー分析はリン酸カルシウムでトランスフェ クトされた細胞と較べて蛍光のかなりの増加を示したが、予想されたように、HE Rc発現の相違はパッケージング細胞から得られたウイルスで感染された細胞中で 検出し得なかった。これらの実験の結果を図1に示す。図1AはG418選択後のト ランスフェクトされたクローナルGP+E86細胞の表面におけるヒトEGF-R (HERc)の 発現を示す。図1Bは感染されたNIH3T3 TK-細胞に関するHERcの発現を示す。モノ クローナルマウス抗体R1(Waterfieldら,1982)(これはEGF-R タンパク質の細胞 外部分を特異的に認識する)、及びヤギ抗マウスIgGのフルオレセイン標識F(ab')2 で処理された細胞の全てを染色した。ベクトン−ディキンソンFACScan アナラ イザーを使用して、生存細胞を分析した。 実施例2 ベクター及びパッケージング機能の同時トランスフェクション GP+E86細胞により与えられるパッケージング機能が最大ウイルス生産を可能に する量で合成されるか否かを試験するために、付加的なパッケージング機能を発 現するプラスミドを同時トランスフェクトした。このために、完全モロニーマウ ス白血病ウイルス(M-MuLV)を含むプラスミドpMOV9.2 を使用した。平均して、ウ イルス力価のわずかな増加(3倍)のみが観察されたが、高力価(>107cfu/ml)を 有するクローンの頻度がかなり増大した(表3)。 実施例3 その他のレトロウイルスベクターの高力価の調製 観察されるウイルス力価の増大が単一レトロウイルスベクター構築物に限定さ れる可能性を排除するために、ベクターLSXNから誘導された2種のその他のレト ロウイルスベクターを試験した。ベクターLSXN-Kitはc-kit によりコードされた 受容体を発現し、第二構築物LSXN-tsp53は腫瘍サプレッサー遺伝子p53 の温度感 受性変異体を発現する。表4からわかるように、アデノウイルス−トランスファ ーインフェクションでトランスフェクトされた細胞のウイルス力価はリン酸カル シウムでトランスフェクトされた細胞のウイルス力価よりも一様に40〜100 倍高 かった。 実施例4 パッケージング細胞以外の細胞中のレトロウイルス生産 パッケージング細胞以外の細胞のレトロウイルスベクターを得る可能性を試験 するために、プラスミドpMOV9.2 と一緒にプラスミドpLSXN-HERc(夫々3μg) をBML CL.2肝細胞に同時トランスフェクトした。表5に示されるように、単離さ れたクローンの約50%がGPfE86生産細胞のウイルス力価とほぼ同じ位高いウイル ス力価を生じ、細胞表面でHERcについて高い発現値を示した。完全長M-MuLVウイ ルスをこの実験で同時トランスフェクトしたので、これらの細胞はまた複製コン ピテントヘルパーウイルスを離した。 実施例5 多重レトロウイルスベクターコピーの安定な組込み この実施例において、トランスフェクトされたプラスミドが宿主細胞ゲノム中 に組込まれたか否か、また組込まれたプラスミドコピーの数が力価の増大と相関 関係があるか否かを測定するために、ゲノムDNA分析を行った(Sambrook)。ア デノウイルストランスファーインフェクションによりトランスフェクトされた細 胞からのDNAのサザンブロット分析は少なくとも二つから10以上までの組込み 部位を示したが、一方、リン酸カルシウムでトランスフェクトされたクローンは 一般に一つまたは二つのコピーのみを含んでいた(図2A)。組込まれたコピーの 数はウイルス力価と良く相関関係があった(表4を参照のこと)。 トランスフェクトされたBNL CL.2細胞(図2B)において、組込まれたプラスミ ドの数はGP+E86細胞と比較して一般に低かったが、それはウイルス力価と相関関 係があった。LTR 中で1回切断する酵素によるゲノムDNAの制限消化は組込ま れたレトロウイルス構築物の保全性を確かめた。10以上の組込まれたコピーを含 むBNL CL.2クローン(No.6)のみが二つの誤って配置された(再配置された)ベク ターを有していた(図2B)。最後に、アデノウイルス配列がアデノウイルストラ ンスファーインフェクションによりトランスフェクトされた細胞のゲノムに組込 まれたか否かを証明するために、ブロットをアデノウイルス特異性プローブと再 度ハイブリッドを形成した。アデノウイルス配列は検出し得ず、これがPCR 分析 により別に確かめられた。 図2Aは図に示されたプラスミドでトランスフェクトされた細胞からのゲノムD NAのサザン分析を示す。HindIII を制限酵素として使用し、これはプロウイル スDNAを1回切断し、こうして単一組込み部位の特徴であるフラグメントを生 じる(図2C)。図2BはHindIII またはAsp718(これは夫々のプロウイルスLTR中 で1回切断し、こうしてプロウイルス組込みの無傷の指標であるフラグメント (図2C)を生じる)で切断されたトランスフェクトされたBNL CL.2細胞の分析を 示す。全ての実験において、ベクター特異性DNAを32P標識neo プローブによ るハイブリダイゼーションにより検出した。更に、CPE アッセイは、非組込みア デノウイルスDNAから発生されたかもしれない複製アデノウイルスがレトロウ イルス上澄み中で検出し得ないことを示した。 実施例6 AAV の調製 a)野生型AAV の調製 完全ヒト野生型AAV 型2をコードするプラスミドpAV1(Laughlinら,1983)を、 ビオチニル化Ad5 d11014とビオチニル化プソラレン/UV 不活化Ad5 d11014の混合 物(1:9または1:4; 両方の比率の二つの平行実験のトランスフェクションは同じ 陽性結果を示した)を含むトランスフェクション複合体を使用してW162細胞にト ランスフェクトした。トランスフェクションの3日後に(殆ど全ての細胞が丸く なり、表面から脱着されるようになると直ちに)、細胞を回収し、20mMのHEPES 、pH7.4 に懸濁させ、3回の凍結/解凍サイクルにより溶解し、等容積のフレオ ンで抽出した。次いで溶解産物15mlをvTi 50管中で1.33 g/cm3のCsCl 15 ml、20 mMのHEPES、pH7.4、次に1.64g/cm3のCsCl 7ml、20mMのHEPES、pH7.4 で被覆する ことによりCsCl段階勾配で分別した。次いで試料を2時間にわたって49,000rpm で遠心分離した。1.33 g/cm3段階中の中央の透明な乳白色のバンド+更に高い密 度の物質を含むフラクションを回収した。CsCl/20 mMのHEPES、pH7.4 を使用し て、試料を1.40g/cm3に調節し、vTi 65ローター中で18時間にわたって63,000rpm で一夜遠心分離した。1.35g/cm3の密度を有する単一試料を単離した。そのフラ クションをSDS-PAGEにより分割し、ニトロセルロースに移し、AAV キャプシドタ ンパク質VP-1、VP-2及びVP-3(Ruffingら,1992;ProGen,Heidelberg)を認識 する抗体で探査することによりAAV の存在を測定した。予想AAV フラクションが 予想サイズのタンパク質を含むことが証明された。ウェスタンブロットを図3に 示す。トレース1〜3はAAV タンパク質VP-1、VP-2及びVP-3と抗体の反応を示す 。分子量が図の左に示される。 b)組換えAAV の調製 プラスミドpAB-11及びプラスミドpAD8を1:1 の比でW162細胞に一緒にトランスフ ェクトすることによりa)と同様にそれらを使用して組換えAAV ベクターを得た。 得られた組換えAAV ベクターを使用して、ヒーラ細胞を感染し、細胞中のβ−ガ ラクトシダーゼ産生を確認した。 実施例7 組換えアデノウイルスの調製 a)DNAのアデノウイルス感染を開始するためのトランスファーインフェクシ ョンの使用 受容体介在性エンドサイトーシスを使用する遺伝子移入が小さいプラスミドに 匹敵する効率で大きい(50 kb)DNA分子を細胞に輸送することができることが わかったので、約35 kb アデノウイルスゲノムのアデノウイルス感染を開始する ためにこの方法を予備試験に使用した。最初に、293 細胞をプラスミドpFG140(G raham,1984;Grahamら,1989)でトランスフェクトした。このプラスミドは全ア デノウイルス5ゲノムをコードし、バクテリア複製開始点及びE1領域に代えてア ンピシリン耐性遺伝子を含む。このDNA分子はE1領域を発現する細胞系293中 で複製し得るE1欠損アデノウイルスをコードする。6ウェルプレート(その夫々 が40,000の293 細胞を含む)のうちの2ウェルをトランスフェクション複合体15 μl で処理し、複合体500μl は6μg のプラスミドpFG140を含む。また、複合 体はトランスフェリン−ポリリシン/ストレプトアビジン−ポリリシン及びビオ チニル化プソラレン/UV不活化Ad5 dl1014を含んでいた。トランスフェクション の4日後に、完全細胞変性効果(CPE) が観察され、ウイルス感染が成功裏に開始 されたことを結論させた。細胞を回収し、溶解し、浄化された溶解産物をT-75フ ラスコ中の293 細胞(5 x 106の細胞/フラスコ)の感染に使用した。完全CPEが 2日後に沈降し、次いで細胞を再度回収し、溶解し、溶解産物を2ラウンドのCs Cl密度勾配遠心分離にかけた。これは二つの型のウイルス:1.31g/ml の密度の バンド(未熟なウイルス粒子の密度)を構成する少量の物質、及び1.34 g/mlの かなり大きいバンド(成熟アデノウイルスの密度)を生じた。両方のバンドは“ 動的光散乱”分析により測定して110 nmのサイズ(アデノウイルス粒子の予想 されたサイズ)の粒子を含んでいた。成熟ウイルスの収量は5 x 106の感染細胞 当たり6 x 1010の粒子であった。これは細胞当たり 10,000のウイルス粒子に相 当し、これは真性アデノウイルス製剤で得られるような収量に匹敵する。 b)ルシフェラーゼ配列を含む組換えアデノウイルスを調製するためのトランス ファーインフェクションの使用 組換えアデノウイルスの調製に関する受容体介在性遺伝子移入の適性を試験す るために、リポーター遺伝子はE1欠損アデノウイルスを調製するためにCMV プロ モーターの制御下にルシフェラーゼを使用する。最初に、プラスミドpCLuc(Pl- ank ら,1992)からルシフェラーゼをコードする配列(DeWetら,1987)及びウサギ −グロビン−イントロン配列を除去し、それらをプラスミドpΔE1sp1B(Bettら ,1994)のBamHI 部位にクローン化することにより、左ITR、パッケージング機 能Psi、CMV プロモーターの制御下にルシフェラーゼをコードする配列(開裂部 位及びpolyA テールを含む)を含むプラスミドを調製した。天然Ela 配列と同じ 配向のルシフェラーゼをコードする配列を有するクローンを同定し、更に使用し た。次いで得られたプラスミドを、E3領域中の欠失、E1領域中の欠失、パッケー ジングシグナルPsi の欠失を除いて、完全Ad5 ゲノムをコードし、かつ大きすぎ るウイルス粒子へのパッケージングのための完全配列をつくるバクテリアプラス ミドインサートをE1領域中に含む第二プラスミドpBHG11(Bettら,1994)で同時 トランスフェクトした。夫々が40,000の293 細胞を含む6ウェルを夫々トランス フェクション複合体15μl で処理した。これは、トランスフェリン−ポリリシン 、ストレプトアビジン−ポリリシン及びビオチニル化プソラレン/UV不活化Ad5 dl1014で複合体形成された、ウェル当たり0.09μg のpElLuc+0.09μg のpBHG11 に相当する。5日後に、完全細胞変性効果が観察され、ウイルス感染の成功した 開始を示した。2ウェルからの細胞を回収し、2%のウマ血清/DMEM10ml中で溶 解し、浄化された溶解産物のアリコートを使用して二つのT-75フラスコ中で293 細胞を感染した(2mlの溶解産物/フラスコ、5 x 106の細胞/フラスコ)。完 全CPE が2日後に観察された時、細胞を回収し、a)に記載されたようにして密度 勾配遠心分離にかけた。成熟アデノウイルス粒子及び未熟アデノウイルス粒子を a)のようにして得た。下のバンドは107 nmのサイズの粒子を含み、これはアデ ノウイルス粒子の予想サイズ範囲内であった。293 細胞をCsCl精製ウイルスで感 染することによりウイルスのその他の継代を行った(約100の粒子/細胞)。継 代の関数としてのウイルスの収量、粒子サイズ及びウイルスによる感染後のヒー ラ細胞の感染後のルシフェラーゼ活性を表4に示す。(*1)継代0は6ウェルへ の第一トランスフェクションであり。継代1〜4は2つの大きい組織培養フラス コでのウイルスのその後の培養、続いてCsCl勾配による精製である。*2)1.34g/ mlのCsClバンドの精製ウイルスの収量;ウイルス粒子をタンパク質測定により測 定した。*3)“光散乱”により測定したウイルスのサイズ:ウイルス試料(40% のグリセロール/HBS中10μl)をHBS.5ml中で希釈した。ブルックハーベン9000AT コリレーターを使用して、散乱を0.5W、17Aのレーザーセッティングで測定した 。*4)ルシフェラーゼ活性をヒーラ細胞の感染後に細胞当たりのウイルス粒子の 滴定で測定した。ルシフェラーゼ活性を感染の24時間後に測定した。示された値 は最適の遺伝子移入で3回の測定の平均を表し、等しい量の細胞タンパク質に相 当する。表4に示された結果は、トランスフェクション系がルシフェラーゼ活性 を伝達することができる組換えウイルスを生産するのに適していることを示す。 実施例8 a)アデノウイルスプロテアーゼ発現プラスミドの調製 ウイルスプロテアーゼ(Yeh-Kaiら,1983;Webster 及びKemp,1993) をコード するアデノウイルス型5のDNAフラグメント (位置21717 〜22426)をPCR によ り単離し、クレノー及びT4ポリメラーゼで処理し、ベクターpX(Superti-Furga ら,1991)のSmaI部位につないだ。制限消化及びDNA配列決定により、非突然 変異遺伝子フラグメントを正しい配向に有するプラスミドクローンを同定した( このクローンをpPCRSpalt#9 と称した)。 b)ウイルスの調製、精製、ビオチニル化 アデノウイルス5dl1014を方法のパートに記載されたようにして培養した。ア デノウイルスAd2ts1(アデノウイルスプロテアーゼについて温度感受性;Weber, 1976;Yeh-Kai ら,1983)をW162細胞で32℃で培養した。この温度で、ウイルス はキャプシド及び野生型(Weber,1976;Yeh-Kaiら,1983) の感染性を示す粒子を 生じる。感染した細胞を3回の凍結−解凍サイクルにより溶解し、フレオンで抽 出し、Cottenら,1994により記載されたようにしてCsCl勾配により精製した(最 初に段階勾配精製、続いてCsCl中の平衡遠心分離)。精製ウイルス (1-3.4 x 1012 のウイルス粒子/mlに相当する、タンパク質0.3 〜1mg/ml)をNHS-LCビオチン (Wagner ら,1992) でビオチニル化し、HBS/40%のグリセロールに対し徹底的に 透析した。 c)トランスフェクション Ad5 dl1014(野生型プロテアーゼ遺伝子)またはAd2 ts1(温度感受性プロテ アーゼ)のトランスフェクション複合体または感染複合体を先の実施例に記載さ れたようにして調製した。これを行うために、ウイルス試料(1010のウイルス粒 子)をHBS 150μl 中で希釈し、150mMのHBS 中でストレプトアビジン−ポリリシ ン1μg と混合した。周囲温度で30分後に、6μg のDNA (pSP65(ベーリンガ ーマンハイム)またはpPCRSpalt#9)をHBS 100μl に添加し、更に30分後にHBS100 μl 中のトランスフェリン−ポリリシン4μg を添加した。30分間のインキュベ ーション後に、トランスフェクション複合体のアリコート500μl を2%のウマ 血清/DMEM10ml中のW162細胞(180cm2のフラスコ中8 x 106の細胞) に添加した 。37℃で2時間後に、培地を10%のFCS/DMEMにより交換し、細胞を39℃の温度に 暴露した。3日後に、完全な細胞変性効果が観察された時に、細胞を回収し、得 られたアデノウイルスを精製し、ウイルスをタンパク質含量による定量測定にか けた。 d)DNA移入活性の測定 c)で得られたアデノウイルスをそれらの遺伝子移入活性について試験するため に、最初にpCLuc 6μg/TfpL6μg を含むTfpL/DNA複合体をHBS 500 μl 中で 調製した。アリコート25μl をヒーラ細胞(ウマ血清/DMEM500μl 中の24ウェ ルプレートのウェル当たり40,000の細胞)に入れ、その後Ad5 dl1014/pSP65、Ad 5 dl1014/pPCRSpalt#9、Ad2 tsl/pSP65 またはAd2 tsl/pPCRSpalt#9 による感染 に由来する10,000のアデノウイルス粒子を入れた。2時間後に、培地を10%のFC S/DMEMに交換し、トランスフェクションの24時間後に、細胞をルシフェラーゼ発 現について分析した。結果を図4に示す。Ad2 ts1 粒子は、エンプティーDNA プラスミドとカップリングされた時に、ルシフェラーゼDNAの移入を助 けるのに使用できない39℃でウイルスを生じる(図4、カラム1)。対照的に、野 生型プロテアーゼ遺伝子を有するプラスミドpPCRSpalt#9 のカップリングはルシ フェラーゼ活性の増大をもたらした。これは、そのウイルスにカップリングされ たプラスミドで細胞に輸送される野生型プロテアーゼ遺伝子がウイルスゲノム中 の欠損遺伝子を置換し得ることを示す。プロテアーゼ発現プラスミドpPCRSpalt# 9がAd5 dl1014(プロテアーゼについて野生型)にカップリングされた時に得ら れたウイルスは、エンプティープラスミドがウイルスにカップリングされた時よ りも約100 倍良好であるアデノウイルス粒子を生じた(図4、カラム3及び4を 参照のこと)。これは、通常の感染におけるプロテアーゼ活性が遺伝子移入に関 してウイルス粒子の生産において制限因子を構成し得ることを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヴァーグナー エルンシュト オーストリア アー2103 ランゲンツェル スドルフ ヴィーナー シュトラーセ 201 (72)発明者 ツァトルーカル クルト オーストリア アー8010 グラーツ クエ ーレンガッセ 43 (72)発明者 レールマン ハイケ オーストリア アー1130 ウィーン フィ ルミアンガッセ 30−14 (72)発明者 パンツェンベック ビルギット オーストリア アー3100 ザント ペルテ ン ビルケンガッセ 66−15

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ウイルスベクターDNA及び/またはウイルスまたはウイルスベクターの感 染性を増大するウイルス遺伝子をコードする一つ以上の配列を含む一種以上のプ ラスミドを必要により標的細胞のリガンドと接合されていてもよいポリカチオン と複合体形成し、哺乳類細胞をエンドソーム崩壊剤の存在下でその複合体でトラ ンスフェクトすることを特徴とするウイルスまたはウイルスベクターの調製方法 。 2.ウイルスベクターDNAが標的細胞中で発現されるDNAを含むことを特徴 とする請求の範囲第1項に記載の方法。 3.ウイルスベクターがレトロウイルスベクターであることを特徴とする請求の 範囲第1項または第2項に記載の方法。 4.レトロウイルスベクターDNAが2種のプラスミドからなり、第一プラスミ ドがパッケージング機能をコードする配列を含み、かつ第二プラスミドがその他 のウイルスタンパク質をコードする配列並びに標的細胞中で発現されるDNAを 含むことを特徴とする請求の範囲第3項に記載の方法。 5.細胞が原発性細胞であることを特徴とする請求の範囲第4項に記載の方法。 6.ウイルスベクターがAAV ウイルスベクターであることを特徴とする請求の範 囲第1項または第2項に記載の方法。 7.AAVベクターDNAが2種のプラスミドからなり、第一プラスミドがAAV-Rep 機能及びAAV-Cap 機能をコードする部分を含み、かつ第二プラスミドが逆方向末 端反復配列により隣接された外来遺伝子を含むことを特徴とする請求の範囲第6 項に記載の方法。 8.細胞をAAV の複製に必要とされるヘルパー遺伝子の少なくとも一部を含む別 のプラスミドでトランスフェクトすることを特徴とする請求の範囲第7項に記載 の方法。 9.エンドソーム崩壊剤が少なくとも部分的に非不活化アデノウイルスからなる ことを特徴とする請求の範囲第7項または第8項に記載の方法。 10.プラスミドDNAを使用して、必要によりプラスミド及び/またはアデノウ イルス中に存在しないAAV の複製に必要なヘルパー遺伝子を含む哺乳類細胞をト ランスフェクトする請求の範囲第7項〜第9項の一項に記載の方法。 11.ウイルスがアデノウイルスであり、またはウイルスベクターがアデノウイル スベクターであることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の方法 。 12.アデノウイルス複製に必要な一つ以上のヘルパー遺伝子を発現する哺乳類細 胞をベクターDNAでトランスフェクトし、そのベクターDNAが2種のプラス ミドに存在し、その組換えがヘルパー遺伝子を除いてアデノウイルス遺伝子機能 の全てを有するDNA分子を生じることを特徴とするアデノウイルスベクターを 調製するための請求の範囲第11項に記載の方法。 13.E1 領域を欠いている第一プラスミドが左末端リピート、パッケージング機 能及びプロモーターの制御下で標的細胞中で発現されるDNAを含み、かつ第二 プラスミドがパッケージングシグナルを含まない全アデノウイルスゲノム及びE1 領域中に第二プラスミドによりコードされたアデノウイルス配列のパッケージン グを阻止するサイズのインサートを含み、かつプラスミドを使用してE1遺伝子を 発現する哺乳類細胞をトランスフェクトすることを特徴とする請求の範囲第12項 に記載の方法。 14.ベクターDNAが互いに組換えできない2種のプラスミドに存在し、第一プ ラスミドがパッケージング機能及び二つの逆方向末端反復配列により隣接された プロモーターの制御下で標的細胞中で発現されるDNAを含み、かつ第二プラス ミドがパッケージングとは別にその他のアデノウイルス配列を有することを特徴 とするアデノウイルスベクターを調製するための請求の範囲第11項に記載の方法 。 15.第二プラスミドがまたヘルパー遺伝子を含むことを特徴とする請求の範囲第 14項に記載の方法。 16.第二プラスミドがヘルパー遺伝子を含まないことを特徴とする請求の範囲第 14項に記載の方法。 17.ヘルパー遺伝子が第三プラスミドに含まれることを特徴とする請求の範囲第 16項に記載の方法。 18.ヘルパー遺伝子を発現する哺乳類細胞をトランスフェクトすることを特徴と する請求の範囲第16項に記載の方法。 19.アデノウイルスの感染性を増大する遺伝子としてアデノウイルスプロテアー ゼ遺伝子を含むプラスミドを細胞に更に導入することを特徴とする請求の範囲第 11項〜第18項の一項に記載の方法。 20.アデノウイルスプロテアーゼ遺伝子が第一プラスミド、第二プラスミドまた は第三プラスミドに含まれることを特徴とする請求の範囲第19項に記載の方法。 21.細胞を必要によりポリカチオンと接合されていてもよい組換えアデノウイル ス、そしておそらくリガンド及びポリカチオンの接合体、及びアデノウイルスプ ロテアーゼをコードするプラスミドを含む複合体と接触させることを特徴とする アデノウイルスを調製するための請求の範囲第19項に記載の方法。 22.プラスミドDNAが一方で標的細胞のリガンド及びポリカチオンの接合体で 複合体形成され、他方でエンドソーム崩壊剤及びポリカチオンの接合体で複合体 形成されることを特徴とする請求の範囲第1項〜第22項のいずれか一項に記載の 方法。 23.プラスミドDNAがトランスフェリン−ポリリシン接合体及びアデノウイル スポリリシン接合体で複合体形成されることを特徴とする請求の範囲第22項に記 載の方法。 24.真核細胞中で発現され、必要により標的細胞のリガンドと接合されていても よいポリカチオンで複合体形成されるDNA、及びエンドソーム崩壊剤を含むト ランスフェクション複合体であって、DNAがウイルスベクターをコードし、か つ/またはウイルスまたはウイルスベクターの感染性を増大するウイルス遺伝子 をコードする一つ以上の配列を含むことを特徴とするトランスフェクション複合 体。 25.ウイルスベクターDNAが標的細胞中で発現されるDNAを含むことを特徴 とする請求の範囲第24項に記載のトランスフェクション複合体。 26.複製に必要とされるヘルパー遺伝子を必要により含むウイルスベクターが少 なくとも2種のプラスミドに存在することを特徴とする請求の範囲第24項または 第25項に記載のトランスフェクション複合体。 27.プラスミドDNAがトランスフェリン−ポリリシン接合体及びアデノウイル スポリリシン接合体で複合体形成されることを特徴とする請求の範囲第24項〜第 26項のいずれか一項に記載のトランスフェクション複合体。 28.ウイルスベクターがレトロウイルスベクターであることを特徴とする請求の 範囲第24項〜第27項のいずれか一項に記載のトランスフェクション複合体。 29.レトロウイルスベクターDNAが2種のプラスミドからなり、第一プラスミ ドがパッケージング機能をコードする配列を含み、かつ第二プラスミドがその他 のウイルスタンパク質をコードする配列、並びに細胞中で発現されるDNAを含 むことを特徴とする請求の範囲第28項に記載のトランスフェクション複合体。 30.ウイルスベクターがAAV ベクターであることを特徴とする請求の範囲第24項 〜第27項の一項に記載のトランスフェクション複合体。 31.AAV ベクターDNAが2種のプラスミドからなり、第一プラスミドがAAV-Re p機能及びAAV-Cap 機能をコードする部分を含み、かつ第二プラスミドが逆方向 末端反復配列により隣接された外来遺伝子を含むことを特徴とする請求の範囲第 30項に記載のトランスフェクション複合体。 32.トランスフェクション複合体がAAV の複製に必要なアデノウイルスヘルパー 遺伝子の少なくとも一部を含む別のプラスミドを含むことを特徴とする請求の範 囲第31項に記載のトランスフェクション複合体。 33.エンドソーム崩壊剤が非不活化アデノウイルスを含むことを特徴とする請求 の範囲第30項〜第32項のいずれか一項に記載のトランスフェクション複合体。 34.プラスミドDNAがアデノウイルスベクターDNAであり、かつ/またはウ イルスの感染性を増大する一つ以上のアデノウイルス遺伝子を含むことを特徴と する請求の範囲第24項〜第27項の一項に記載のトランスフェクション複合体。 35.アデノウイルスベクターDNAが2種のプラスミドに存在し、その組換えが 複製に必要なヘルパー遺伝子を除いてアデノウイルス遺伝子機能の全てを有する DNA分子を生じることを特徴とする請求の範囲第34項に記載のトランスフェク ション複合体。 36.E1領域を欠いている第一プラスミドが左末端リピート、パッケージング機能 及びプロモーターの制御下で標的細胞中で発現されるDNAを含み、かつ第二プ ラスミドがパッケージングシグナルを含まない全アデノウイルスゲノムを含み、 かつE1領域中に第二プラスミドによりコードされたアデノウイルス配列のパッケ ージングを阻止するサイズのインサートを有することを特徴とする請求の範囲第 35項に記載のトランスフェクション複合体。 37.アデノウイルスベクターDNAが互いに組換えできない2種のプラスミドに 存在し、第一プラスミドがパッケージング機能及び二つの逆方向末端反復配列に より隣接されたプロモーターの制御下で標的細胞中で発現されるDNAを有し、 かつ第二プラスミドがパッケージングとは別にその他のアデノウイルス配列を有 することを特徴とする請求の範囲第34項に記載のトランスフェクション複合体。 38.第二プラスミドがまたヘルパー遺伝子を含むことを特徴とする請求の範囲第 37項に記載のトランスフェクション複合体。 39.ヘルパー遺伝子が別のプラスミドに含まれることを特徴とする請求の範囲第 38項に記載のトランスフェクション複合体。 40.プラスミドDNAがアデノウイルスプロテアーゼをコードする配列を含むこ とを特徴とする請求の範囲第34項に記載のトランスフェクション複合体。 41.標的細胞中で発現されるDNAが遺伝子治療に有効であるDNAであること を特徴とする請求の範囲第25項〜第40項の一項に記載のトランスフェクション複 合体。
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