JPH10502531A - デヒドロゲナーゼを用いる2−ヒドロキシカルボン酸のキラル合成 - Google Patents
デヒドロゲナーゼを用いる2−ヒドロキシカルボン酸のキラル合成Info
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Abstract
(57)【要約】
ラクトバシルス・デルブルエッキイ亜種ブルガリクスから入手し得る酵素であって、3−位が非置換で4−位または高位が置換されていてもよい2−ケト酸の(R)−ヒドロキシ誘導体の生成を触媒する2−ヒドロキシカルボン酸デヒドロゲナーゼが特に開示される。
Description
【発明の詳細な説明】
デヒドロゲナーゼを用いる2−ヒドロキシ
カルボン酸のキラル合成
この発明はキラル合成に関する。特にこの発明は、ラクトバシルス・デルブル
エッキイ(Lactobacillus delbrueckii)亜種ブルガリクス(Bulgaricus)から入
手される酵素であってクローン化される広範な特異性を有する2−ヒドロキシカ
ルボン酸デヒドロゲナーゼ、その配列変異体(sequence variants)および2−ヒ
ドロキシ基に関する(R)−異性体の製造触媒としての該酵素の使用に関する。
以下に説明するように、本発明にはいくつかの観点がある。第一に、本発明に
よる酵素は上記の入手源から常套法によって単離されるが、例えば、大腸菌系に
おけるクローニングによって大量に生産される。第二に、このようにして得られ
る酵素は(R)−2−ヒドロキシ酸の製造に有用であるが、基質による酵素活性の
阻害を抑制するように変性されたその配列変異体はさらに別の利点をもたらす。
このような変異体は部位特異的突然変異誘発(site directed mutagenesis)に
よって調製してもよい。第三に、本発明による酵素は3−位が非置換で4位また
は高位が脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基および含窒素基を含む広範囲の置換基
によって置換されていてもよい2−ケト酸の(R)−ヒドロキシ誘導体および例え
ばエステルの製造触媒として使用してもよい。
本発明の一つの態様においては、ラクトバシルス・デルブルエッキイ亜種ブル
ガリクスから入手され得る酵素であって、3−位が非置換で4−位または高位が
置換されていてもよい2−ケト酸の(R)−ヒドロキシ誘導体の生成を触媒する2
−ヒドロキシカルボン酸デヒドロゲナーゼが提供される。
本発明の別の態様においては、ラクトバシルス・デルブルエッキイ亜種ブルガ
リクスからの単離またはクローニングを含む該酵素の製造法が提供される。
本発明の他の態様においては、基質による酵素活性の阻害を抑制するような変
性法によって製造してもよい該酵素の配列変異体が提供される。例えば、一つの
好ましい態様においては、ヒスチジン206はグルタミンによって置換させても
よい。
本発明のさらに別の態様においては、部位特異的突然変異誘発を含む該変異体
の製造法が提供される。
本発明のさらに別の態様においては、該酵素または上記方法によって調製して
もよい該配列変異体を2−ケト酸と接触させることを含む2−ケト酸の(R)−ヒ
ドロキシ誘導体の製造法が提供される。好ましくは、pHのような製造条件は最
大生成速度が得られるように調整する。
例えば、本発明による酵素またはスタフィロコックス・エピデルミジス(Stap
hylococcus epidermidis)およびその他の入手源から得られるLDHは3−シク
ロペンチル−2(R)−ヒドロキシプロパン酸の製造に使用してもよい。
本発明の特徴と範囲を概括したが、以下、本発明をさらに詳述する。
キラル2−ヒドロキシ酸の合成は極めて重要である。この種の化合物は、C−
2におけるキラリティーを保持する種々の化合物に変換してもよい用途の広い合
成中間体である。この種の化合物にはエポキシド、アルキルエステル、ヒドラジ
ニルエステル、α−N−アルコキシアミノエステルおよびα−アミノエステルが
含まれる。2−位における求核置換を含む反応は、その場で生成して選択された
求核剤と直接反応する対応する2−トリフレートエステルを経由しておこなうの
が最適である。
キラル2−ヒドロキシ酸および側鎖に付加的なプロキラル(prochiral)官能基
を有するエステルは、2つ以上のキラル中心を有する化合物の合成を可能にする
。C−2のヒドロキシル基はこのための分子内調整要素となり、プロキラル官能
基の立体選択的変換を促進する。
キラル形の2−ヒドロキシ酸とエステルの合成法の開発のために多くの研究が
なされており、例えば、以下に説明するような化学的および酵素的方法が挙げら
れる。化学的方法の主要な問題点は、水の影響を受けやすい試薬を重要な変換過
程において低温で使用しなければならないという技術的なものである。生成物の
キラリティーは化学量論的な意味において、キラル助剤に起因するか(基質制御)
、またはバルキーなキラル還元剤に起因する(試薬制御)。キラルボランカリウム
9−0−DIPGF−9−BBNH[ブラウンら、J.Org.Chem.、第51巻
、
第3396頁〜第3398頁(1986年)参照]を用いる2−ケトエステルの非
対称還元には化学量論量の錯体還元剤が必要であり、現在では(S)−絶対配置を
有する2−ヒドロキシエステルが得られているにすぎない。オキサジリジンオキ
シダントを用いるキラルオキサゾリドンエノレートのヒドロキシル化[エバンス
ら、J.Am.Chem.Soc.、第107巻、第4346頁〜第4348頁(198
5年)参照]の場合には、ホモキラル2−ヒドロキシエステルを得るために、メタ
ノリシスの前に2−ヒドロキシイミドのクロマトグラフィーによる分割が必要で
ある。この方法によるヒンダード誘導体(例えば、RがPrまたはt-Buである誘
導体)の収率は低い。キラル2−アルコキシカルバニオンのカルボキシル化[チャ
ンおよびチェン、Tet.Lett.、第31巻、第1985頁〜第1988頁(19
90年)参照]には化学量論量の高価な還元剤(R)−BINAP−Hの使用とトラ
ンスメタレーション後の危険なスズ残渣の廃棄が必要である。キラルオキサザボ
ロリジンによって触媒されるエノンの鏡像体選択的還元の場合には[コレイおよ
びバクシ、Tet.Lett.、第31巻、第611頁〜第614頁(1990年)参
照]、上記の方法とは対照的に、キラリティーは触媒源に起因する。触媒の光学
鏡像体により、反対の鏡像体の相補的合成経路が得られる。4種の化学的変換を
含む方法には、最初に生成するキラルアルコールの2−ヒドロキシエステルへの
変換が必要であり、これには明らかにコスト高と収率低下が伴う。
キラル2−ヒドロキシ酸を生成する酵素の既知の用法には(R)−オキシニトリ
ラーゼおよびリパーゼに基づく合成経路が含まれる。加水分解によるキラルシア
ノヒドリンの(R)−オキシニトリラーゼを触媒とする合成法[ツァイグラーら、
Synthesis、第575頁〜第578頁(1990年)参照]によれば、(R)−2−
ヒドロキシ酸のみが得られる。可変的な鏡像体選択率が低い(74%)この酵素反
応には毒性の高い無水シアン化水素の調製が必要である。シュードモナス・フル
オレスセンス(Pseudomonas fluorescens)リパーゼによって触媒されるラセミ
体2−ヒドロキシエステルの分割法[カラリチスら、J.Qrg.Chem.、第55
巻、第812頁〜第815頁(1190年)参照]は、酵素を用いる多くの動的異
性体分割法の一つである。この方法には、特定の鏡像体の収率が最大で50%で
あるという本質的欠点がある。実際は、光学的に高い純度を得るためには変換率
は注意深く制御されなければならないので収率はさらに低下する。
1950年以来、(R)−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼによって触媒される2
−オキソカルボン酸の還元については多くの研究がなされている。この種の研究
のために、種々のバクテリアから単離された酵素が使用されている。特定の2−
オキソ酸に対する特定の酵素活性はUVスペクトロスコピーによって測定し、ミ
ハエリス定数(Km)と触媒回転(kcat)によって定量化してもよい。
上記のアッセイ法は、酸化補因子NAD に比べて還元補因子NADHが34
0nmにおいて強い吸光度を示すことおよびNADHの濃度と共に吸光度が低減す
ることに基づく。NADHの濃度に直接比例する吸光度の低減を利用してオキソ
酸の酵素的還元速度を評価してもよい。この方法は酵素の純度およびNADH活
性の酸化が所望の生成物の生成に関連するという仮定を含むいくつかの要因によ
って制限される。
生体触媒還元の重要な要因は非常に高い鏡像体の純度と高い化学的収率である
。文献に記載されている大部分の反応においてはこれらの要因については詳述さ
れていないので、該要因の有用性について例示的に説明する。生体触媒還元反応
を工業的に利用する場合には、さらに別の基準、例えば、他の方法に比べて高い
費用効果等が満たされなければならない。この基準は一般的には、高濃度基質の
酵素による還元速度と長期安定性に関係する。
多くの基質は光学的試験によって同定される。数種の酵素の場合には、生成す
る2−ヒドロキシ酸の鏡像体選択率を決定するために分取的な実験をおこなった
。この分取のための反応の場合には、触媒量のNADHを再生系と併用する。こ
の反応には第二の酵素[通常はフォーメートデヒドロゲナーゼ(FDH)]が必要で
あり、既に報告されているようにフォーメートイオンの二酸化炭素への酸化にお
いてNAD を利用する[シェークドおよびホワイトサイズ、J.Am.Chem.S
oc.、第102巻、第7104頁〜第7105頁(1980年)参照]。
(R)−絶対配置を有する2−ヒドロキシ酸を得るために、R−ラクテートデヒ
ドロゲナーゼ(R−LDH)によって触媒される2−オキソ酸の還元反応が研究さ
れている。最近の研究はロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc m
esenteroides)から得られるR−LDH(LM−R−LDH)およびスタフィロコ
ックス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)から得られるR−L
DH(SE−R−LDH)に関心が集中している。わずかに10種の化合物のみが
測定可能な活性を示すことが知られており、このうち以下の表1に示す5種の化
合物のみが分取規模の反応において還元されている。
文献1:シモンら、Appl.Biochem.Biotechnol.、第22巻、第169頁
〜第179頁(1989年)
文献2:キムおよびキム、J.Chem.Soc.Chem.Commun.、第326頁〜
第327頁(1991年)
文献3:米国特許第5,098,841号明細書
本発明の場合には、光学的実験と分取規模の還元反応を本発明による酵素を用
いて利用することによって酵素の基質特異性を予測して確認した。その結果、該
酵素は疎水性閉鎖部位からクレフト(cleft)によって分離された触媒中心を有し
ており、該クレフトは該疎水性閉鎖部位中の4−位の炭素原子から離れていて3
−位の炭素原子を包囲していることが判明した。従って、この酵素は実用的にも
動力学的実験によっても広範な基質特異性を示すことが証明され、該基質特異性
は、4−位または高位に存在する構造と分子組成が広範囲に異なる極めて多くの
置換基に適合し得る。この酵素の結合ポケット(binding pocket)に対する二区
画モデルを図1に示す。動力学的測定によって決定された本発明による酵素の基
質特異性を以下の表2に示す。
2−オキソカルボン酸デヒドロゲナーゼをキラル還元用触媒として使用するこ
とは、従来はわずかに限定された範囲の2−オキソカルボン酸基質のみに制限さ
れていた。その他の化合物は特定の分光光度的実験に付され、酵素活性によって
還元されるものと推論されていた。これらの反応の成功に関する分析はおこなわ
れていない。基質として研究された化合物は、2−オキソカルボン酸デヒドロゲ
ナーゼを用いる有用な還元反応の可能性の限界にあるものと予想されていた。
ホモキラル2−ヒドロキシ酸は、基質特異性が古典的好奇心以上の要求に基づ
く方法に必要な回転速度の予想された制限を克服するのに十分に広範であるなら
ば、2−オキソカルボン酸デヒドロゲナーゼを用いて直接的に製造することがで
きた。本発明は、望ましい範囲の基質特異性と著しく改良された回転速度を示す
酵素およびより有用な利点を有するその配列変異体を提供する。
前述のように、本発明は、例えば、以下に例示するようなホモキラル2−ヒド
ロキシカルボン酸またはその塩類の製造手段を提供する(この種の化合物は高収
率で、しかも98%よりも高いeeで調製することができる):
この種の2−(R)−ヒドロキシカルボン酸またはこれらの塩類(例えば、ナト
リウム塩もしくはカリウム塩)の調製の結果を以下の表3に示す。ラクトバシル
ス・デルブルエッキイ亜種ブルガリクスから得られた(R)−2−ヒドロキシ酸デ
ヒドロゲナーゼをこれらの化合物の調製に用いた。このような還元はリサイクリ
ングNADH反応と共におこなうことが多い。
前述の説明から明らかなように、ラクトバシルス・デルブルエッキイ亜種ブル
ガリクスから得られる本発明による2−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼを用いる
鏡像体選択的還元用の2−オキソカルボン酸基質が本発明において同定された。
本発明による酵素は、以下の表4に示す配列情報によってさらに定義される。
さらに、2−位に(R)−絶対配置を有する2−ヒドロキシ酸を単離してその特
性を評価するために分取規模の還元反応をおこなった。これらの化合物はラクト
バシルス・デルブルエッキイ亜種ブルガリクスからの遺伝子によって発現された
R−2−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼおよび標準的フォーメート/フォーメー
トデヒドロゲナーゼを用いて補因子NADHをその場でリサイクルさせる還元に
よって調製した。いずれの反応の場合も、最適pHは希塩酸を定期的に添加する
ことによって維持した。
還元の立体選択性は、(+)−MPTAモスヘア誘導体[デールら、J.Org.C
hem.、第34巻、第2543頁〜第2549頁(1969年)参照]と比較のため
の標準ラセミ体の1H−NMRおよび19F−NMRスペクトロスコピー並びに毛
管GC分析によって決定した。この方法は2−ヒドロキシ酸誘導体のキラル分析
に関する標準的文献記載のプロトコルに基づくものであり、0.5%以下の少な
いジアステレオ異性体を十分に検出できる感度である。モスヘア誘導体は、2−
ヒドロキシ酸をエーテルジアゾメタンを用いてエステル化した後、(+)−MTP
A−Clを用いてアシル化することによって調製した。この酵素還元に対しては
、基質は遊離酸に対する溶解性と安定性を改良するために塩形態で使用した。
ラクトバシルス・デルブルエッキイ亜種ブルガリクスからの広範な
基質特異性を有する2−(R)−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼ
[ 同義語;2−(R)−ヒドロキシ酸:NAD−オキシドレダクターゼ]
の調製
この酵素のための遺伝子はL.ブルガリクス(菌株LMG6901=NCIB
11778)からクローンpGIN003を経て単離した[バーナードら、FEB
S Lett.、第290巻、第61頁〜第64頁(1991年)参照]。終止コドン
の次の合成的BspHI部位とSstI部位との間の1kbフラグメントをポリメラー
ゼ連鎖反応によって増幅させた後、NcoI−SstI消化pOTSNco12プラス
ミドに結合させた。このプラスミドはpGIN113と呼ばれており、大腸菌A
R58の形質転換に用いた。ここで用いた2−(R)−ヒドロキシ酸デヒドロゲナ
ーゼは前記の表4に示すアミノ酸配列を有する。表4に示す配列またはヌクレオ
チド配列データ(GenBankへの登録番号:X65222)と90%以上の同一性を
有する(R)−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼも上記反応に使用してもよい。
酵素の一般的な精製法は次の通りである[バーナードら、Eur.J.Biochem
.、第224巻、第439頁〜第446頁(1994年)参照]:ルリア肉汁中で増
殖させたセルラインAR58[pGIN113]の培養物(2リットル)から細胞(湿
潤重量:21.1g)を収集した。この培養細胞を42℃で3時間誘発させた後、3
7℃で一夜増殖させ、次いで遠心分離(6000G)によって細胞を収集した。固
まった細胞を50mMトリエタノールアミン緩衝液(TEA)(pH6.5)に再懸濁
させ、これにDNAseI(ベーリンガー・マンハイム社製グレードIIの酵素)3mg
を添加した後、懸濁液を音波処理に付した。細胞残渣を30000Gで45分間
の遠心分離処理に付すことによって分離した。上澄み液を50mMクエン酸ナト
リウム緩衝液(pH4.5)に対する透析処理に一夜付した。沈殿物は4℃での遠心
分離処理(30000G;45分間)によって除去した。透明溶液をS−セファロ
ースクロマトグラフィーカラムを用いて処理した。活性酵素は保持されず、再前
部に出現した。酵素溶液はTEAに対する透析処理に18時間付した後、Q−セ
ファロースカラム(pH6.5)を用いて処理した。酵素は、TEA中にNaClを0
〜0.5M添加する直線勾配により溶離させた。精製手順を以下の表5にまとめ
て示す。
精製された酵素の基質特異性は、種々の2−ケト酸(前記の表2参照)の還元の
動力学によって測定した。野生型酵素の場合には、ピルベートとケトイソバレレ
ート以外の全ての基質について基質阻害がみられた。L.ブルガリクスからのR
−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼの好ましい基質は、3−位の炭素原子が疎水性
の「尾」で置換された3C2−ケトカルボキシル「頭」を含む共通の構造的特徴を有
しており、例えば、シクロペンチルメチルピルベートが好ましい例である。より
強い疎水性の「尾」を有する基質(ケトカプロエート、ケトイソカプロエート、フ
ェニルピルベート、ケトバレレート)は、1−炭素置換基のみを有するケトブチ
レートよりも好ましい基質である。非置換3C−プルベートおよび3−炭素分枝
状5C−ケトイソバレレートはいずれも好ましいものではない。このような知見
は、酵素の活性部位の特性を示す図1の作成に利用した。分取規模の実験と動力
学的評価から次のことが明らかとなった。即ち、該酵素はケト酸基質を還元して
芳香族アミン置換基を含むγ−R基を有して広範な基質特異性を示すR−ヒドロ
キシ酸を生成させるが、該酵素の分取的有用性は酵素反応に適合する溶剤に対す
る基質の溶解性に関係する置換基によって制限されてもよい。
以上、単離およびクローン化した酵素について例示的に説明したので、次に配
列変異体について例示的に説明する。
LB2HADHのグルタミン206変異体
部位特異的突然変異体は次の突然変異誘発性オリゴヌクレオチドおよびプロメ
ガ社製の「変更部位突然変異生成」キットを用いてpGIN113[バーナードら、
Eur.J.Biochem.、第224巻、第439頁〜第446頁(1994年)参照
]から調製した:
酵素は野生型に関しては精製した。
上記の方法により、その他の部位特異的突然変異体R235K、D259Nお
よびE264Qを調製した。
4−シクロペンチル−2−ケトブタノエートを基質として用いた場合のkcat(
0.2mM NADH)は25s-1(野生型)および115s-1(Q206)であり、Km
は8μM(野生型)および70μM(Q206)であり、Kiは2mM(野生型)および
100mM以上(Q206)であり、またν(Q206)/ν(野生型)は45(70m
M基質)であった。
基質を高濃度(20mM)で形質転換させるこの酵素の利点を図2に示す。図2
はH206Qと他の変異体をH206(野生型)と比較するものであり、Vmaxは
H206Qによって8倍増大する。従って、このような変異体を利用する場合に
は、野生型のものを利用する場合に比べて酵素の使用量が少なく、化学プラント
の規模も小さくできるという実用的利点が得られる。
高度に精製した酵素と純粋な基質の使用は、相対的製造特性の優れたインジケ
ーターとなる。表2の動力学的データから得られるベンジルピルベートに関する
結果および前記の調製例においては、反応は250ユニットの酵素を用いて24
時間以内に完結するが、WO93/13215号公報に記載のデータによれば、
スタフィロコックス・エピデルミジスから得られるLDHを500ユニット使用
する場合、反応の完結には77時間が必要である。3−シクロペンタニル−2(
R)−ヒドロキシプロパン酸の製造反応において、RLB2HADHを用いる場
合とスタフィロコックス・エピデルミジスから得られるLDHを用いる場合を比
較したところ、前者の場合には72時間の反応において収率は99%であるのに
対し、後者の場合には12日間の反応において収率は60%であった。同様に、
保護アミン(R)−N−カルボベンゾキシ−4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸の製
造
反応において、RLB2HADHを用いる場合とステフィロコックス・エピデル
ミジスから得られるLDHを用いる場合の反応完結に必要な時間はそれぞれ1日
および7日であった。
これらの製造データの比較から明らかなように、スタフィロコックス・エピデ
ルミジスから得られる2−(R)−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼに関する先行技
術(WO93/13215号公報および米国特許第5,098,841号)に比べて
、本発明によるRLB2HADHは改良された効果を示す。
これらの製造に関するデータは、RLB2HADHの広範な基質データと基質
適合性を示す動力学的データを裏付けるものである。
表2および表3に示すように、本発明による酵素における特異的なアミノ酸の
変化とpHの変化から得られる動力学的特性の分析によれば、酵素機構における
重要な要因、例えば、活性部位ヒスチジンの荷電状態の存在等は基質阻害を最小
限に抑制し、これによって高濃度の生成物が得られる反応条件を簡単化する。
LB2HADHおよび変異体を用いるケトイソカプロエートの還元
精製酵素を使用することにより、VmaxのpH依存性の分析は、2−ケトイソカ
プロエート(20mM)および補因子(0.2mM)を用いておこなった。結果は図2
に示す。この場合、H206Qに対するVmaxの値は、比較を明確にするために
10で割った値で示す。これらのデータから明らかなように、H206Q変異体
の触媒特性は改良されており、また、LB2HADHの他の配列変異体は類似の
触媒活性で所望の反応を進行させる。以下の表6に示すLB2HADHとH20
6Qの定常状態での速度定数は標準的なストップトフロー法を用いて得られたも
のである。
本発明の有用性をさらに以下の実施例によって説明する。
( R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸の合成
2−オキソ−4−フェニルブタン酸ナトリウム(200mg;1.0mmol)およびギ
酸ナトリウム(0.17g;2.5mmol)をトリス緩衝液(5mM;pHは2M HClを用
いて7.5に調整した)に溶解させた溶液に、NADH(14mg;0.02mM)、ジ
チオトレイトール(1M水溶液5.0μl)、酵母から得られたフォーメートデヒド
ロゲナーゼ(10mg;5U;ベーリンガー・マンハイム社製)およびラクトバシルス
・デルブルエッキイ亜種ブルガリクスから単離されたR−ラクテートデヒドロゲ
ナーゼ(16mg:;250U;以下の調整法参照)を室温下、窒素ガス雰囲気中で該
溶液に順次添加した。この混合物を窒素ガス雰囲気下において24時間攪拌した
[この場合、1M HCl(0.9ml)を定期的に添加して系のpHを6〜6.5に維持
した]。反応混合物の体積を真空下で半減させ、系のpHを2にした後、酢酸エチ
ル
を用いて処理し(4×70ml)、次いでブライン(70ml)で洗浄することによって
(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸を白色固体として177mg得た(
収率92%)。テトラクロロメタンからの再結晶により、(R)−2−ヒドロキシ
−4−フェニルブタン酸を無定形の白色固体として得た。標記化合物の融点は1
13〜114℃であり、また、[α]D 22値(c=2.21、EtOH)は−8.4であ
った。これに対応するメチルエステルのモスヘア誘導体の1H−NMRおよび毛
管GC分析によれば、eeが99.5%よりも高いホモキラル生成物が得られたこ
とが判明した。
δ(270MHz,CDCl3)7.32−7.18(5H,m,5−Ph),4.27(1H,
dd,J=8.1,4H2,2−H),2.83−2.79(2H,m,4−H2),2.26−1.
98(2H,m,3−H2);m/z180(m ,9%),162(2),117(14),105(
100),91(57)。
2−ヒドロキシ−4−フェニル−ブタノエートから調製した(R)−モスヘア誘
導体の1H−NMRの化学シフト(δ)を以下に示す:
3−シクロペンチル−2−オキソプロパン酸の合成
(1)PPh3,Br2,CH2Cl2
(2)(i)Mg,THF;(ii)ジエチルオキサレート,THF/Et2O
(3)0.9eq.NaOH,H2O/EtOH,24時間
3−シクロペンタニル−2−オキソプロパン酸(1)は前述のようにして調製し
た(約2g)。シクロペンタンメタノール(a)を臭素とトリフェニルホスフィンと反
応させた。溶媒としては最初はニトロベンゼンを使用した。しかしながら、生成
物は1H−NMRによって検出されたが、ニトロベンゼンから分離したので、ジ
クロロメタンを用いてシクロペンタンブロモメタン(b)を82%の収率で回収し
た。
ブロミド(b)からのグリニャール試薬の合成とその後のジエチルオキサレート
との反応によってα−ケトエチルエステル(c)を84%の収率で得た(約1.5g)
。水酸化ナトリウムのエタノール溶液(0.9当量)を用いて化合物(c)を加水分解
することによって、所望の化合物(1)のナトリウム塩を白色固体として得た(収
率95%)。
RLB2HADHを用いる触媒還元による3−シクロペンタニル−2(R)−ヒ ドロキシプロパン酸の合成
3−シクロペンタニル−2−オキソプロパン酸のナトリウム塩(1)(0.11lg
;0.62mmol)およびギ酸ナトリウム(0.088g;1.3mmol)を水性トリス緩衝
液(25ml)に溶解させた溶液を窒素ガスを1.5時間吹き込む脱酸素処理に付し
た。次いで、ジチオトレイトール(2μl)、RLB2HADHの水溶液(5mg/ml
)1ml、フォーメートデヒドロゲナーゼ(13mg)およびβ−ニコチンアミドアデ
ニンジヌクレオチド(11mg)を順次添加した。混合物を窒素雰囲気下で72時間
撹拌した。溶液のpHは希塩酸(0.1M)の添加によって6〜7に維持した。溶液
のpHが変化しなくなったときに、1M硫酸の添加によってpHを2〜3にした。
混合物を酢酸エチルを用いて抽出し(3×25ml)、有機相を一緒にし、ブライン
(25ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いる乾燥処理に付した後、真空下で
濃
縮することによって化合物(2)を透明オイルとして0.129g得た(収率;98.
8%)。該生成物の特性は次の通りである:
[α]D−1.50(c2,CHCl3);δH(270MHz;CDCl3)5.90−5.2
0(1H,s br,COOH),4.27(1H,dd,J6.0 4.8,CH(OH)),2.05
(1H,sep,J7.0,CH),1.90−1.70(4H,m,−CH2−),1.68−1.
39(4H,m,−CH2−),1.28−1.10(2H,m,−CH2−),δC(75MHz
;CDCl3)180.0,70.3,40.6,36.5,33.2,32.4,25.4,25
.2;m/z(E.I.)158(M ,1.64%),113(38),95(100)および8
3(46).
スタフィロコッルス・エピデルミジスからのLDHを用いる対応する反応にお
ける生成物の収率は60%であった(反応時間:12日間)。
ベンジル3−シクロペンタニル−2(R)−ヒドロキシプロパノエートの合成
3−シクロペンタニル−2(R)−ヒドロキシプロパン酸(2)(0.049g;0.
32mmol)をメタノール/水(9:1;4ml)に加えた溶液のpHを炭酸セシウムの2
0%水溶液を用いて処理することによって7に調整した。溶媒を真空下で除去し
た後、乾燥DMF(2ml)を残渣に添加し、溶媒を真空下で再度除去することによ
って化合物(2)のセシウム塩を得た。この塩を乾燥DMF(2もり)に懸濁させ、
次いでベンジルプロミド(0.049g;34.2μl;0.288mmol)を窒素雰囲気
下(0℃)で滴下し、混合物を0℃で2時間撹拌し、さらに室温で20時間撹拌し
た。溶媒を真空下で除去し、残渣をジエチルエーテル(15ml)と水(15ml)に分
配させた。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液を用いて洗浄し(3×5ml)、次いで
ブラインを用いて洗浄し(2×5ml)、無水硫酸ナトリウムを用いる乾燥処理に付
し、溶媒を真空下で除去した後、フラッシュクロマトグラフィーを用いる精製処
理[シ
リカ;石油エーテル(60〜40):酢酸エチル=9:1]に付すことによって化合
物(3)を透明オイルとして0.048g得た(収率:61%)。該生成物の特性は以
下の通りである:[α]D+8.5(c4.9,CHCl3);δH(270MHz;CDCl3)
7.40−7.29(5H,m,Ph),5.21(2H,s,CH 2Ph),4.70(1H,s,OH
),4.22(1H,dd,J,11.8 6.7,CH(OH)),2.66(2H,d,J6,CH 2
C=O),2.00(1H,sep,J7.5,CH),1.82(2H,m,−CH2−),1.
78−1.67(4H,m,−(CH2)2−),1.17−1.03(2H,m,−CH2−);δ
C(75MHz;CDCl3)175.5,126.9,127.6,128.5,128.9,
129.0,129.1,70.3,67.2,65.3,36.2,32.9,32.2,25
.0,24.9;m/z(E.I.)248(M ,0.87%),181(25),113(15),
91(60),84(100):実測値:M,248.142368,C15H20O3計算値
M ,248.141245).
RLB2HADHを用いる触媒還元によって得られたベンジル3−シクロペン タニル−2(R)−ヒドロキシプロパノエートの(R)−2−メトキシ−2−トリフ ルオロメチル−2−フェニルアセチル(MTPA)誘導体の合成
ベンジル3−シクロペンタニル−2(R)−ヒドロキシプロパノエート(0.03
9g;0.155mmol)を乾燥ジクロロメタンに溶解させ、これにピリジン(125
μl)、4,4−ジメチル−アミノピリジン(1mg)およびMTPACl(0.078g;
58μl;0.31mmol)を窒素雰囲気下で添加した。混合物を室温で20時間撹拌
した。反応混合物にジエチルエーテル(20ml)を添加して白色沈澱物を形成させ
た。この混合物を水(5ml)、硫酸銅飽和水溶液(2×5ml)、炭酸水素ナトリウム
飽和水溶液(5ml)およびブライン(5ml)を用いて順次洗浄し、次いで無水硫酸ナ
トリウムを用いる乾燥処理に付した後、溶媒を真空下で除去することによって化
合物(4)を透明オイルとして0.091g得た(収率126%)。該生成物の特性は
以下の通りである:δH(270MHz;CDCl3)7.62−7.11(10H,m,Ph
),5.21(2H,s,−CH 2Ph),3.61(3H,s,−OCH 3),2.28−1.98(
1H,m,CH),1.94−1.72(2H,m,−CH2−),1.60−1.44(4H,m,
−(CH2)2−),1.44−1.01(4H,m,−(CH2)2−);m/z(E.I.)464(
M+,非検出),395(0.4),373(0.6),357(0.6),230(4),213(
1),189(100),105(16)および91(86);δF(500MHz;CDCl3
)−71.47(CF3)e.e.1612:1(99.8%).
スタフィロコックス−エピデルミジスからのLDHを用いて得られた生成物に
対するee分析は99.5%であった。
RLB2HADHを用いる(R)−N−カルボベンゾキシ−4−アミノ−ヒドロ キシ酪酸の合成
N−カルボベンズオキシ−4−アミノ−2−オキソ酪酸ナトリウム(5)(67m
g;0.25mmol)およびギ酸ナトリウム(17mg;0.25mmol)を水性トリス緩衝液
(20cm3)に溶解させた溶液を窒素ガスを吹き込む脱酸素処理に30分間付した
。乾燥重量が2mgの酵素RLB2HADHを含むトリス緩衝液(0.5cm3)、β−
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(2mg)、フォーメートデヒドロゲナーゼ
(2mg)およびジチオトレイトール(1M;1μl)を添加し、混合物を窒素雰囲気中
、室温下で撹拌した(反応は1日で完結した)。反応中の系のpHは希塩酸(0.1
M)の添加によって6.5〜7.0に維持した。系のpHが変化しなくなったときに
、混合物を真空下で濃縮した。飽和ブライン(5cm3)と濃塩酸(0.5cm3)を添加
し、混合物を酢酸エチルを用いて抽出した(3×20cm3)。有機相を一緒にし、
無水硫酸ナトリウムを用いる乾燥処理に付した後、真空下で濃縮することによっ
て(R
)−N−カルボベンズオキシ−4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸(6)を灰色がか
った白色固体として55mg得た(収率89%)。該生成物の特性は以下の通りであ
る:m.p.70.5℃(酢酸エチル-石油エーテル),文献値m.p.76.5−78℃(エタ
ノール);[α]D−4.1(c10.0,クロロホルム,25℃),文献値[α]D−5.0(c
1,クロロホルム);(実測値%:C,56.8;H,6.1;N,5.5.C12H15O5Nに
対する計算値C,56.9;H,5.9;N,5.5);実測値:M +1,254.1023
.C12H16O5Nに対する計算値M+1254.1028);δH1.88(1H,m,CH
CHOH),2.04(1H,m,CHCHOH),3.37(2H,m,CH 2NH),4.2
6(1H,m,CHOH),5.07(2H,s,CH 2Ph),5.45(1H,m,NH)および
7.37(5H,m,Ph);δC33.6(CH2CHOH),37.3(CH2NH),67.
0(CHOH),68.2(CH2Ph),127.9,128.0,128.4,136.1(
Ph),157.3(NCO2CH2Ph)および177.8(CO2H);m/z(C.I.)25
4(M +1,1.5%),210(10),146(20),102(23),91(100)
および79(30).
RLB2HADHの代わりにスタフィロコックス・エピデルミジスからのLD
Hを用いる対応する反応は7日間で終了し、化学収率は93%であった。
上記の手順に準拠して以下の化合物を合成した。
RLB2HADHを用いる(R)−2−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸(8) の合成
4−メチル−2−オキソ−ペンタン酸のナトリウム塩(7)(152mg;1mmol)
、RLB2HADH(13.8mg;276U)およびHCl(1ml;1mmol;1eq.)を
使用し、反応を24時間おこなうことによって化合物(8)を114mg(0.87mm
ol)得た(収率87%,ee>99.5%)。生成物の特性は次の通りである:δH1(2
7
0MHZ)ppm:6.63(1H,br s,2−OH),4.29(1H,br t,J=6.5Hz,
2−H),1.95−1.85(1H,m,4−H),1.64−1.6(2H,m,3−H2),
0.98−0.95(6H,2xs,5−H3および5'−H3).
( R)−(2R)−2−O(MTPA)−4−メチルペンタン酸メチルエステル(1 0)の合成
(R)−2−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸メチルエステル(9)(17mg;0
.117mmol)、(R)−(+)−MTPA(66μl;0.351mmol;3eq.)およびピ
リジン(21μl;0.257mmol;2.2eq.)を用いて化合物(10)を30mg得た(
収率83%)。該化合物の特性は次の通りである:
δH1(400MHz)ppm:7.65−7.41(5H,m,Ph),5.19(1H,dd,J
=−3.7,10Hz,2−H).3.79(3H,s,−CO2Me),3.66(3H,s,O
Me),1.87−1.80(1H,m,4−H),1.66−1.53(2H,m,3−H2),0
.84,0.83(6H,2xd,J=6.4HzおよびJ=6.4Hz,5−H3および5'
−H3);δF19(500MHz)ppm:−71.54(s,CF3).
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12R 1:19)
(C12N 9/04
C12R 1:225)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C
H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB
,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR,
KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M
N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU
,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT,
UA,US,UZ,VN
(72)発明者 ウィリス,クリスティン・ルイーズ
イギリス、ビーエス5・1ティエス、ブリ
ストル、キャントックス・クロウズ(番地
の表示なし) スクール・オブ・ケミスト
リー、ユニバーシティ・オブ・ブリストル
内
(72)発明者 ジョンセン,ケイジ
イギリス、ビーエス6・6ユーエイ、ブリ
ストル、チャペル・グリーン・レイン1番
(72)発明者 ヘイトリー,マーティン・ジョン
イギリス、ビーエス8・1ティエス、ブリ
ストル、キャントックス・クロウズ(番地
の表示なし) スクール・オブ・ケミスト
リー、ユニバーシティ・オブ・ブリストル
内
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.ラクトバシルス・デルブルエッキイ亜種ブルガリクスから入手され得る酵 素であって、3−位が非置換で4−位または高位が置換されていてもよい2−ケ ト酸の(R)−ヒドロキシ誘導体の生成を触媒する2−ヒドロキシカルボン酸デヒ ドロゲナーゼ。 2.ラクトバシルス・デルブルエッキイ亜種ブルガリクスからの単離またはク ローニングを含む請求項1記載の酵素の製造方法。 3.基質による酵素活性の阻害を抑制するように変性された請求項1記載の酵 素もしくは請求項2記載の製法によって製造される酵素の配列変異体。 4.H206Q、R235K、D259NおよびE264Qから選択される請 求項3記載の変異隊。 5.部位特異的突然変異誘発を含む請求項3記載の変異体の製造法。 6.請求項1記載の酵素、請求項2記載の製法によって製造される酵素、請求 項3もしくは4記載の配列変異体または請求項5記載の製法によって製造される 変異体を2−ケト酸と接触させることを含む2−ケト酸の(R)−ヒドロキシ誘導 体の製造方法。
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