【発明の詳細な説明】
幅出伸延装置を備えたプレス機械
本発明は、相互にプレスしあうことができるように配置され、相互に向き合う
側にプレス面を有する一個またはそれ以上の上部および底部プレス板をそれぞれ
備え、上記上部および底部プレス板の少なくとも一方、好ましくはそれぞれに、
プレス面に対して相対的に移動する少なくとも二個の幅出し円材が設けられ、そ
れらの間に弾性的に伸延するカバーが取り付けられた請求項1の前文に記載のプ
レス機械に関するものである。
この種のプレス機械はEP−0253048に開示されている。そこに記載さ
れているプレス機械は、相互に上下に配置され、相互に垂直に移動可能、すなわ
ち相手に向って移動可能な上部ボードおよび底部ボードを有している。上部ボー
ドおよび底部ボードには、伸延可能なカバーを備えた幅出し枠がそれぞれ設けら
れている。プレス開始前、二枚の幅出し枠は、カバーを伸延しない状態で、上部
および底部ボードの相互に直面しあう側の面に形成されるプレス面と略同じレベ
ルに置かれる。更に、各々の幅出し枠は、例えばズボンのようなプレスすべき品
物がその間に張ったカバーの間に置かれるのだが、垂直のガイドに沿って移動す
る。
プレス動作は次のように行われる。一着のズボンが底部ボードの幅出し枠のカ
バーの上に置かれる。次に、上部ボードの幅出し枠がズボンの上に導かれると、
ズボンは上下の幅出し枠の弾性カバーの間に挟まれる。この二つの幅出し枠の垂
直ガイドに沿った下降調整が同時に行われると、結果としてカバーは伸延され、
カバーの端部が底部ボードの端部を越えて下方にスライドする。このようにして
、ズボンの縫合線が位置する底部ボードの中央から、ズボンのプレス折り目の方
向にカバーがズボンを引っ張ると、ズボンは平らに張られて保持される。次いで
上部ボードが底部ボード上まで下降すると同時に、伸延状態に保持されたズボン
をプレスする。プレス動作後、プレスボードが開かれる。すなわち、上部ボード
が、初期状態に戻る幅出し枠と共に上方に持ち上げられ、好適には旋回される。
それゆえ、ズボンは底部ボードの幅出し枠のカバーから取り出されるようになり
、上記幅出し枠は同様に初期状態に戻る。
このプレス機械は、実用上非常に成功したものと評価されている。なぜなら、
平らな幅出し、すなわち、プレスすべき品物を両側から引っ張ることによって、
プレスすべき品物を完全に平らにすることができるからである。その結果、プレ
ス品質はかなり向上したものとなっている。しかしながら、ズボンのプレス時に
は、かなり長い膝の裏地がその脚の部分に存在していることがしばしば問題とな
る。弾性的な伸延カバーによりズボンの幅出しを行っている間、膝の裏地はズボ
ンの膝部分に引っ張られる。その結果、膝部分は分厚くなって、プレス折り目が
付けられた後も目立って突出し、ズボンの全体の外観が非常に損なわれる。
本発明の基本となる目的は、プレスすべき品物がプレス前に平らに幅出しされ
、たとえプレスすべき品物が多層の場合でも、布地の重なりが防止されるプレス
機械を明示することにある。
この目的を達成するための基本的な解決策は、請求項1に明記されている。発
明の優れた実施例は従属請求項に記載されている。
相互にプレスしあうことができるように配置され、相互に向き合う側にプレス
面を有する一個またはそれ以上の上部および底部プレス板をそれぞれ備え、上記
上部および底部プレス板の少なくとも一方、好ましくはそれぞれに、プレス面に
対して垂直に移動する少なくとも二個の幅出し円材が設けられ、それらの間に弾
性的に伸延するカバーが取り付けられたプレス機械は、各幅出し円材がそれぞれ
自己の駆動装置を有し、他の幅出し円材とは独立して移動することができるよう
になっていることを特徴としている。
上記弾性的カバーは、垂直にのみ移動する堅い幅出し枠には取り付けられてい
ないので、特定の場合には、例えばズボンのようなプレスすべき品物に引っ張り
効果を与えることが可能である。このことは、先行技術では不可能である。なぜ
ならば、プレスボードの中央から端部に向かう方向、すなわち下方に移動する幅
出し枠に向かう方向への引っ張りは制限されるからである。対照的に本発明のプ
レス機械によれば、例えば、ズボンの膝に面する側の幅出し円材はプレス面と同
じレベルを保ち、一方、膝の裏側に面する側の幅出し円材は下方に導かれる。従
って、ズボンは膝から膝の裏側に向かって伸延され、膝の裏地は膝の裏側の方向
に引っ張られる。膝部分の裏地の重なりは従って除去され、プレス後にはきちん
とした折り目が得られることになる。
発明の好ましい実施例では、二個の幅出し円材の間それぞれに弾性的な伸延カ
バーを有する上部プレス板および底部プレス板があり、上部および底部プレス板
の一方の側の二個の幅出し円材は、それぞれの駆動装置により、上部および底部
プレス板の他方の側の二個の幅出し円材とは独立して移動し得るようになってい
る。本実施例のプレス機械は、生産にあまり費用を要せず、多くの要求に対して
順応するものである。
好ましくは、上記幅出し円材は相互に平行に置かれ、プレス面の関連端部とも
平行に置かれる。これにより、上記弾性的カバーは、プレス面の端部にまでわた
って均一に引っ張られる。
もし、上記駆動装置が、水圧、空気圧または電気的駆動部材を有しているなら
特に有利である。必要な動作サイクルは、これらにより単純に、そして速やかに
実施される。上記駆動部材は、購入部品として追加するときに安価に得ることが
できる。
好ましい実施例では、プレス機械は電子的制御により制御される。これにより
、幅出し枠およびプレス板の動作を調整する使用者の作業が軽減され、機械の不
正動作と、それによって起こる機械および品物の損傷とが回避される。
もし、上記弾性的伸延カバーが伸延コードであれば特に有利である。この伸延
コードは必要な伸延特性、さらには耐熱性をも有しており、プレスすべき品物が
大量であっても、長寿命を有する。
本発明の優れた他の実施例では、折り返しズボンの幅出し用幅出しシステムが
示されている。幅出しシステムは、上部および底部プレス板間に、それぞれ二個
のプレートから成る二組のプレートをそれぞれ有し、一組のプレートは、二個の
プレートが乖離方向に移動する結果、ズボンの折り返しを横方向にそれぞれ幅出
しし、二組のプレートは縦方向に相互に乖離するように移動する。ズボンは底部
プレス板のスロットを介して持ち込まれ、ズボン折り返しは一組のプレートによ
り幅出しされる。二組のプレートが底部プレス板の縦方向に乖離するよう移動し
た後、ズボンは底部プレス板の弾性的カバー上にほとんど平らに置かれ、更に弾
性的カバーにより横方向に幅出しされる。
本発明の特に優れた更に他の実施例では、上記駆動装置が空気ピストン/シリ
ンダユニットであること、および上記ピストン/シリンダユニットを圧縮空気供
給源や排気口に接続する制御回路があることである。下幅出し円材に付属する駆
動装置のピストン/シリンダユニットは、弁装置を介して圧縮空気供給源や排気
口に接続される。下幅出し円材に付属する各駆動装置は、それぞれ逆止弁と、こ
れに並列接続され、プレスすべき品物の存在を示す光バリアによって制御される
電磁弁とを有する。上記電磁弁は、光バリアがプレスすべき品物の存在を示す時
には閉止状態にある。
この実施例では、プレス動作の後、上部プレス板は、上伸延カバーと共にプレ
ス面およびプレスすべき品物から離れるように持ち上げられ、一方、プレスすべ
き品物は、幅出しされた下伸延カバーの上に残ったままとなる。これにより、皺
や折り目が付くのが避けられる。プレスすべき品物がプレス機械から引き出され
た後に始めて、下伸延カバーは下駆動装置が上方に移動することにより緩められ
る。
本発明のプレス機械を用いた、プレスすべき品物、特にズボンをプレスする方
法は、
各組のプレートの二個のプレートを横方向に乖離するように移動する幅出しシ
ステムにより、ズボンの各折り返しを幅出しする工程と、
二組のプレートを縦方向に乖離するように移動することによりズボン脚を縦方
向に幅出しする工程と、
上部および底部プレス板を相手に向かって移動させてプレス面を閉じ、熱、圧
力および/あるいは蒸気を与える工程とからなり、
上部および底部プレス板の一端での二個の幅出し円材を、底部プレス板よりも
下、または上部プレス板よりも上のレベルに移動させ、
上部および底部プレス板の他端での二個の幅出し円材を、底部プレス板と同じ
レベルに保持することによって、
プレス面を閉じる前に、プレスすべき品物に一方向への引っ張りが及んでいる
ことを特徴としている。
上記の方法は、更に次のように特徴付けられれば特に有利である。すなわち、
プレスすべき品物をプレスした後、上部プレス板が持ち上げられ、
上伸延カバーが、上幅出し円材と共にプレスすべき品物から離れるように持ち
上げられて緩められ、
一方、プレスすべき品物がプレス機械から引き出されたことを光バリアが示し
、その結果、電磁弁が導通状態にスイッチされ、下幅出し円材が上方に移動する
まで、下伸延カバーは下幅出し円材と共に、幅出し状態に保持される。
本発明および有利な特徴を、図を参照して以下の具体的な実施例でより詳細に
説明する。これらの中で:
図1は、本発明によるプレス機械の図式的立体図を示している。
図2aないしcは、本発明によるプレス機械における、種々の幅出しの可能性
についての図式的側面図を示している。
図3aないしcは、本発明によるプレス機械を用いたプレス方法の各ステップ
における図式的側面図を示している。
図4aおよびbは、折り返しズボンの幅出し用幅出しシステムを備えた本発明
によるプレス機械の他の実施例における側面図および平面図を示している。
図5は、本発明によるプレス機械に用いる空気系の図式的説明図を示している
。
図1は、本発明によるプレス機械の図式的立体図である。プレス機械は、上部
プレス板、すなわち上部ボード1と、底部プレス板、すなわち底部ボード2とを
有していると共に、上伸延カバー3と下伸延カバー4とを有している。上部ボー
ド1はその裏面にプレス面を有し、その向かい側には底部ボード2の上面に対応
するプレス面が位置している。上伸延カバー3は、上前幅出し円材5と上後幅出
し円材6とにより支持されている。同様に、下伸延カバー4は、下前幅出し円材
7と下後幅出し円材8とにより支持されている。
幅出し円材5、6、7、8は、例えば軽金属で作られた円筒材料を用いて簡単
な方法によって製造でき、それぞれ垂直に移動可能で、それぞれ独自の駆動装置
9、10、11、12により駆動される。好ましくは、例えばシリンダ/ピスト
ンユニットといった水圧あるいは空気圧駆動部材が駆動装置として適当である。
また、例えばスピンドル機構により垂直運動が取り出せる様な電気装置も可能で
ある。
図1に図式的に示すように、例えばズボンのようなプレスすべき品物13は、
上部ボード1と底部ボード2との間に挿入される。図1に示すプレスすべき品物
13は、プレート14および15によって上部および底部ボードに平行に幅出し
されたズボン脚に対応している。プレート14および15は、その狭い端面でズ
ボン脚13に折畳み部を作り、プレス後そこにプレス折り目がつくようになって
いる。
本プレス機械の初期状態では、幅出し円材5、6、それゆえ上伸延カバー3も
上部ボード1のプレス面と略同じレベルにある。
同様に、下伸延カバー4を有する幅出し円材7、8もまた、底部ボード2のプ
レス面と同じレベルにある。通常、初期状態では、上部ボード1は底部ボード2
の上には位置しておらず、回転ガイド(図示せず)により横方向に旋回されてい
る。上部ボード1は、プレスすべき品物13が置かれた後にのみ、底部ボード2
上を旋回し、その後底部ボード2の上に垂直に位置する。
プレスすべき品物13は、まず下伸延カバー4の上、従って、底部ボード2の
プレス面上に置かれる。上伸延カバー3は、その後駆動装置9、10および幅出
し円材5、6により下方に垂直に移動し、プレスすべき品物13に接する。上前
幅出し円材5および下前幅出し円材7は、その後駆動装置9、12によりさらに
垂直に下方に移動する。その結果、伸延カバー3、4は伸延され、その間にある
プレスすべき品物13の皺が除かれる。続いて、上部ボード1が駆動装置(図示
せず)により下方に垂直に移動した後、最終的に、プレスすべき品物13は、圧
力、熱および/あるいは蒸気によりプレスされる。
先行技術の既知のプレス機械と対照的に、本発明のプレス機械は、プレスすべ
き品物13について片側引っ張りを行うことができる。その結果、外側の布と膝
裏地とで構成される例えばズボンのような多層のプレスすべき品物における皺ま
でもが、所望の方法で取り除かれる。
図2a、2b、2cは図式的側面図により、幅出し円材5、6、7、8の異な
る動きで、どのようにしてプレスすべき品物13に異なる引っ張り効果が働くか
を示している。
図2aは上記の原理を示している。前幅出し円材5、7は底部ボード2のプレ
ス面の下の位置まで垂直に案内され、一方、後幅出し円材6、8は底部ボード2
と略同じレベルで保持されている。伸延カバー3、4の軌跡も同様に図2aに示
されている。この構成により、プレスすべき品物13に及ぶ引っ張り効果は矢印
P1で示される右方向に発生する。
もし、例えばプレスすべき品物13がズボンであり、ズボンが下伸延カバー4
の上に、図2aに示すように膝部分が左側を指すように置かれた場合、ズボンは
矢印P1の方向に右にぴんと張られる。従ってズボンの中にある膝裏地が同様に
膝の裏側の方向に右に、それゆえ膝部分の外に向かって右に引っ張られるように
なる。従って、続いて行われるプレス動作の間、膝部分の膝裏地によって分厚く
なることなしに、きちんとしたプレス折り目が付けられる。
図2bは逆の構成を図式的に示している。前幅出し円材5、7は底部ボード2
のプレス面と同じレベルに保持され、一方、後幅出し円材6、8は駆動装置10
、11によりさらに下方に垂直に移動する。この結果、矢印P2の方向に左方向
に引っ張り効果が生じる。
この点に関して、図2cは再度先行技術を示している。全幅出し円材5、6、
7、8が下方に移動する結果、プレス面の中央から発生する引っ張りは、矢印P
3、P4で示すように左方向と右方向とに向かう。この場合、上幅出し円材5、
6、下幅出し円材7、8は、幅出し枠を形成するようにそれぞれ相互に一体的に
接続されている。それゆえ、幅出し円材の個別の移動は不可能である。
図3aないし3cは、本発明のプレス機械を用いたプレス動作について、上記
した方法を図式的に示したものである。まず、図3aでは、プレスすべき品物1
3、すなわちズボンが下伸延カバー4の上に置かれている。この時、上部ボード
1は上伸延カバー3と共に旋回した位置にあり、それゆえ、ズボン13は底部ボ
ード2上に置きやすくなっている。
上部ボード1は、その後底部ボード2の上に旋回し、幅出し円材5、6は駆動
装置9、10により下方に垂直に移動し、上伸延カバー3がプレスすべき品物1
3に接する。その後前幅出し円材5、7は、底部ボード2の前端部を越えて更に
下方に移動する。すると、プレスすべき品物は、一方向引っ張り効果により伸延
されて皺が除かれる(図3b)。
上部ボード1は、その後底部ボード2に向かって下方に垂直に導かれ、ズボン
13は圧力、蒸気および熱の効果を受けてプレスされる。
図4aは、プレス機械の特に有利な実施例における図式的部分側面図を、図4
bは同じく平面図を示す。底部ボード2にはスロット16があり、ズボンの腰バ
ンドがスロット16の中につり下がるようにそのスロットを介してズボン13が
挿入される。二本のズボンの脚13a、13bは、それぞれプレート14、15
の乖離方向への移動により横方向に伸延され、その後二組のプレート14、15
の乖離方向への移動により弾性的な伸延カバー3、4の間で縦方向に伸延されて
皺が伸ばされる。この方法は、二本脚プレス機械にあっては普通であり、ズボン
は確実に底部ボード上で実質的に平らとなる。電気制御部分については、光バリ
ア17がズボン13の存在を示すことが必要である。更なる幅出し動作およびプ
レス動作は、上記の方法で行われる。
本発明の他の実施例では、図示はしないが、幅出し円材5、6、7、8は、プ
レス面に対して垂直だけではなく、水平にも移動する。上記実施例ではまた、プ
レスすべき品物13における所望の引っ張り効果がこのようにして得られるが、
幅出し円材5、6、7、8を動かすためには、より大きなスペースが全体に必要
となる。
駆動装置9、10、11、12の制御、すなわち空気または水圧シリンダ、あ
るいは電気モータの作動と調整は、一般に用いられている適当な制御回路で行わ
れる。
図5は、実施例に用いられた幅出し装置を駆動する空気系の回路を図式的に示
している。圧力部18は全系統に一定の空気圧を供給する。幅出し円材5、6、
7、8の駆動装置9、10、11、12は、二個の5/2方式弁19、20を介
してそれぞれ駆動される。5/2方式弁19、20はそれぞれ電磁弁21、22
で駆動され、電磁弁21、22は電気的に遮断、導通位置にスイッチされる。そ
の結果、5/2方式弁19、20はスプリングの力に抗して駆動するようになる
。
動作モードについて弁19、21の動作例により説明する。初期状態では、電
磁弁21は閉じており、5/2方式弁19は位置19aにある。位置19aでは
圧力導管はシリンダ/ピストンユニットとして設計された駆動装置9、12の下
室に接続されており、その結果ピストンは上死点にある。これに対応して、前幅
出し円材5、7も上部位置、すなわち緩んだ位置にある。
同じ回路は、後幅出し円材6、8にも用いられている。このため、5/2方式
弁20は電磁弁22により位置20aと20bの間で駆動される。初期状態では
、5/2方式弁20は位置20aにあり、その結果シリンダ/ピストンユニット
として設計された駆動装置10、11の下室は、圧力側に接続される。幅出し円
材6、8は従ってピストンと共に上死点にある。
シリンダ9、10の上室は、5/2方式弁19、20をそれぞれ介して排気さ
れる。
更に、電磁弁23、24は、逆止弁25、26と同様に、シリンダ11、12
の上室と排気側との間に挿入されている。電磁弁23、24は後で説明するよう
に光バリア17により駆動される。それらは、逆止弁25、26と並列に接続さ
れている。
上記の動作がこの空気系によって実行される過程について以下に説明する。
初期状態では、駆動装置9、10、11、12の全てのピストンは、上死点に
あり、幅出し円材7、8間に固定された伸延カバー4と同じく、幅出し円材5、
6間に固定された伸延カバー3は緩んだ状態にある。一着のズボン13がプレス
機械に挿入されると、ズボンの腰バンドは光バリア17の光ビームを遮断する。
その結果、光バリア17はズボン13の存在を認識し、電磁弁23、24を閉じ
る。ズボン13を幅出しするために、例えば前幅出し円材5、7は下方に移動す
るが、幅出し円材6、8は初期状態を維持している。電磁弁21が駆動されると
、5/2方式弁19は、空気圧により位置19aから19bに移動する。駆動装
置9、10のシリンダの上室には圧縮空気が供給され、従ってピストンは下方に
力を受ける。電磁弁23は、光バリア17からの信号に応答して既に閉止してい
るので、駆動装置12の上室への圧縮空気の供給は、逆止弁25を通じて行われ
る。伸延カバー3、4は既に何回も記述したように底部ボード2の端部を越えて
引っ張られ、その間に置かれたズボン13を幅出しする。そうして上部ボード1
はズボン13をプレスすることができる。
プレス動作の後、上部ボード1は再度持ち上げられ、電磁弁21は最初の位置
に戻り、5/2方式弁19はスプリングの力により位置19aに戻る。電磁弁2
3は閉止状態を継続し、駆動装置12のシリンダではなく、駆動装置9のシリン
ダの上室のみが排気される。駆動装置12のシリンダの上室が排気されないのは
、一方では電磁弁23が閉止され、他方逆止弁25は排気方向で阻止されている
ためである。従って上前幅出し円材5のみ立ち上がりズボン13から離れ、一方
下前幅出し円材7は幅出し位置に留まり続ける。これにより、プレスされた新し
いズボン13は確実に平らに置かれたままとなり、下伸延カバー4が緩んで皺に
なったり、折り目が付いたりしない。光バリア17がズボンの腰バンドの存在を
示す限り、弁23あるいは弁24までもが閉止状態を維持する。ズボン13がプ
レス機械から引き出された後に始めて、電磁弁23、24は光バリア17を介し
て開放され、そして駆動装置11、12のシリンダの上室が排気される。
もちろん、同じような実施過程が、後幅出し円材6、8の駆動にも用いられる
。ここで、駆動装置11のシリンダの上室の閉止は電磁弁24によって行われ、
その排気は逆止弁26を通じて行われる。