JPH1048987A - 定着ローラ及びその製造方法 - Google Patents
定着ローラ及びその製造方法Info
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- JPH1048987A JPH1048987A JP21806396A JP21806396A JPH1048987A JP H1048987 A JPH1048987 A JP H1048987A JP 21806396 A JP21806396 A JP 21806396A JP 21806396 A JP21806396 A JP 21806396A JP H1048987 A JPH1048987 A JP H1048987A
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- resin adhesive
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- Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 加熱手段を有する芯金上に、非晶質相から結
晶相に変化したとき発熱し、かつ非晶質相と結晶相の相
転移が繰り返して行なえる相転移層と該相転移層を被覆
する保護層を有する定着ローラにおいて、芯金と相転移
層の密着性が向上した定着ローラ及びその製造方法を得
る。 【解決手段】 前記芯金と前記相転移層との間に樹脂接
着層を設けた定着ローラ。また、その生産性の良い製法
として該樹脂接着層を特定の幅に形成した後相転移層を
蒸着する方法及び相転移層を離型性シート上に蒸着し、
次に芯金上の樹脂接着層上に相転移層を転写する方法が
提供される。
晶相に変化したとき発熱し、かつ非晶質相と結晶相の相
転移が繰り返して行なえる相転移層と該相転移層を被覆
する保護層を有する定着ローラにおいて、芯金と相転移
層の密着性が向上した定着ローラ及びその製造方法を得
る。 【解決手段】 前記芯金と前記相転移層との間に樹脂接
着層を設けた定着ローラ。また、その生産性の良い製法
として該樹脂接着層を特定の幅に形成した後相転移層を
蒸着する方法及び相転移層を離型性シート上に蒸着し、
次に芯金上の樹脂接着層上に相転移層を転写する方法が
提供される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は定着ローラに関し、
さらに詳しくは、複写機、プリンタ、ファクシミリ等に
おいて、電子写真方式等により記録シートに転写された
トナー画像などを熱定着する装置に組み込まれる定着ロ
ーラに関する。
さらに詳しくは、複写機、プリンタ、ファクシミリ等に
おいて、電子写真方式等により記録シートに転写された
トナー画像などを熱定着する装置に組み込まれる定着ロ
ーラに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式を用いる装置、例えば、レ
ーザプリンタなどは、回転する感光体ドラムを有し、こ
の感光体ドラムの感光層を一様に帯電させた後レーザ走
査ユニットからのレーザビームによって露光して静電潜
像を形成し、その静電潜像をトナーによって現像してト
ナー像とし、そのトナー像を記録シート上に転写させ、
さらにその記録シートを熱定着装置に通過させてトナー
像を熱定着するように構成されている。従来のこのよう
な熱定着装置においては、例えば、アルミニウムなどの
中空円筒からなる芯金の外周面にトナーの粘着を防止す
るためのフッ素樹脂層などからなる粘着防止層を設けた
定着ローラが使用されているが、このような定着ローラ
は芯金の中空部に回転中心線に沿ってハロゲンランプな
どのヒータを配置し、その輻射熱によって定着ローラを
内側から加熱するようになっている。そして定着ローラ
と平行にこれに圧接する加圧ローラを設けて、加圧ロー
ラと定着ローラとの間に記録シートを通過させることに
より記録シート上に付着しているトナーが定着ローラの
熱により軟化し、加圧により記録シート上に定着される
ようになっている。
ーザプリンタなどは、回転する感光体ドラムを有し、こ
の感光体ドラムの感光層を一様に帯電させた後レーザ走
査ユニットからのレーザビームによって露光して静電潜
像を形成し、その静電潜像をトナーによって現像してト
ナー像とし、そのトナー像を記録シート上に転写させ、
さらにその記録シートを熱定着装置に通過させてトナー
像を熱定着するように構成されている。従来のこのよう
な熱定着装置においては、例えば、アルミニウムなどの
中空円筒からなる芯金の外周面にトナーの粘着を防止す
るためのフッ素樹脂層などからなる粘着防止層を設けた
定着ローラが使用されているが、このような定着ローラ
は芯金の中空部に回転中心線に沿ってハロゲンランプな
どのヒータを配置し、その輻射熱によって定着ローラを
内側から加熱するようになっている。そして定着ローラ
と平行にこれに圧接する加圧ローラを設けて、加圧ロー
ラと定着ローラとの間に記録シートを通過させることに
より記録シート上に付着しているトナーが定着ローラの
熱により軟化し、加圧により記録シート上に定着される
ようになっている。
【0003】しかし、こうした熱定着装置では、起動時
に電源が投入されてから定着ローラの表面が定着に必要
な温度に達するまでに比較的長いウォームアップ時間が
かかる。そこで、一般には主電源を投入したときに定着
ローラのヒータにも通電を開始して定着ローラを予備加
熱しておく方法が取られているが、これでは電力を浪費
するため、これを避ける目的で、定着ローラのウォーム
アップ時間を短縮する手段が種々提案されている。例え
ば、ローラの周表面又は周表面近傍に抵抗発熱層を設け
る方法(特開昭55−164860号公報、特開昭56
−138766号公報、特開平2−285383号公報
など)、ローラの中空部の内面を黒化することにより輻
射率を高め熱の吸収効率を挙げる方法、同じく内面に凹
凸を設けて表面積を大きくする方法(特開平4−344
83号公報、特開平4−134387号公報など)、ロ
ーラをヒートパイプで構成する方法(特開平3−139
684号公報)、ローラを電磁誘導加熱する方法(実開
平4−55056号公報)、ローラを導電性弾性材料で
構成し、これに通電して直接に発熱させる方法(特開平
4−186270号公報)、正特性サーミスタ材料を用
いた円筒状ヒータで定着ローラを形成する方法(特開平
4−42185号公報)などが提案されている。しか
し、従来の定着ローラにおいてウォームアップ時間を短
縮するには、ヒータなどの加熱体に大きなエネルギーを
投入しなければならないという問題がある。
に電源が投入されてから定着ローラの表面が定着に必要
な温度に達するまでに比較的長いウォームアップ時間が
かかる。そこで、一般には主電源を投入したときに定着
ローラのヒータにも通電を開始して定着ローラを予備加
熱しておく方法が取られているが、これでは電力を浪費
するため、これを避ける目的で、定着ローラのウォーム
アップ時間を短縮する手段が種々提案されている。例え
ば、ローラの周表面又は周表面近傍に抵抗発熱層を設け
る方法(特開昭55−164860号公報、特開昭56
−138766号公報、特開平2−285383号公報
など)、ローラの中空部の内面を黒化することにより輻
射率を高め熱の吸収効率を挙げる方法、同じく内面に凹
凸を設けて表面積を大きくする方法(特開平4−344
83号公報、特開平4−134387号公報など)、ロ
ーラをヒートパイプで構成する方法(特開平3−139
684号公報)、ローラを電磁誘導加熱する方法(実開
平4−55056号公報)、ローラを導電性弾性材料で
構成し、これに通電して直接に発熱させる方法(特開平
4−186270号公報)、正特性サーミスタ材料を用
いた円筒状ヒータで定着ローラを形成する方法(特開平
4−42185号公報)などが提案されている。しか
し、従来の定着ローラにおいてウォームアップ時間を短
縮するには、ヒータなどの加熱体に大きなエネルギーを
投入しなければならないという問題がある。
【0004】本発明者は、加熱体を有する定着ローラに
おいて、ローラ表面に非晶質相から結晶相に相転移した
際に発熱する相転移層を有する定着ローラが、加熱体に
大きなエネルギーを投入することなく昇温するために、
ウォームアップ時間を十分に短縮できることを見い出し
た( 特開平7−140823号公報) 。この定着ローラ
においては、非晶質状態の相転移層が定着ローラの加熱
体により加熱されて結晶化温度に達したときに結晶化熱
を放出することにより、相転移層の温度が急速に上昇
し、これにより、定着ローラ表面が速やかに定着可能温
度に到達するのでウォームアップ時間を十分に短縮する
ことができる。そして、この定着ローラは、結晶化した
相転移層を加熱体により一時的にその融点以上の温度に
まで加熱し、次いで放冷すれば相転移層は再び非晶質状
態に戻るので、再び相転移層を加熱体により加熱して結
晶化熱を放出させることができるものである。尚、図3
は上記相転移層を用いた定着ローラの要部断面図、図4
は保護層の被覆方法を示す図である(いずれも未公
知)。従来の構造は、芯金1上に直接非相転移層3を蒸
着形成してからその上に保護層4を被覆していた。尚、
符号6は円筒状の支持第、7は円筒状のフリルであり、
周面に非相転移相3を有した芯金1をフリル7により支
持した状態でその周面にチューブ状の保護層4をかぶせ
ている。
おいて、ローラ表面に非晶質相から結晶相に相転移した
際に発熱する相転移層を有する定着ローラが、加熱体に
大きなエネルギーを投入することなく昇温するために、
ウォームアップ時間を十分に短縮できることを見い出し
た( 特開平7−140823号公報) 。この定着ローラ
においては、非晶質状態の相転移層が定着ローラの加熱
体により加熱されて結晶化温度に達したときに結晶化熱
を放出することにより、相転移層の温度が急速に上昇
し、これにより、定着ローラ表面が速やかに定着可能温
度に到達するのでウォームアップ時間を十分に短縮する
ことができる。そして、この定着ローラは、結晶化した
相転移層を加熱体により一時的にその融点以上の温度に
まで加熱し、次いで放冷すれば相転移層は再び非晶質状
態に戻るので、再び相転移層を加熱体により加熱して結
晶化熱を放出させることができるものである。尚、図3
は上記相転移層を用いた定着ローラの要部断面図、図4
は保護層の被覆方法を示す図である(いずれも未公
知)。従来の構造は、芯金1上に直接非相転移層3を蒸
着形成してからその上に保護層4を被覆していた。尚、
符号6は円筒状の支持第、7は円筒状のフリルであり、
周面に非相転移相3を有した芯金1をフリル7により支
持した状態でその周面にチューブ状の保護層4をかぶせ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記相転移
層には周期律表III ないしVI族の非晶質物質が用いら
れ、中でもSeを主成分とするカルコゲンが好ましく用
いられるが、これら非晶質物質を用いて定着ローラの芯
金上に相転移層を真空蒸着により形成すると、相転移層
は芯金との密着性が余り良くない。密着性が悪いと相転
移層を初期化融解したとき流動化してうわすべりが起き
定着ローラが変形する恐れがある。そこで芯金表面を超
仕上げ加工することやエッチング等で粗面にしてアンカ
ー効果を利用し密着性を向上させることが考えられる。
しかし、ウォーミングアップ時間の短縮をねらう定着ロ
ーラでは熱の伝達効率を良くするために芯金を薄めにす
る必要があり、超仕上げ加工では加工時にビビリが発生
し平滑な表面加工は困難である。また、エッチングでは
廃液処理などに付随する煩わしい問題が伴う。また、図
3に示した定着ローラの構造に於ては、芯金1表面と相
転移層3との密着性が良くない為、相転移層が芯金から
剥離して不良品となったり、剥離した相転移層が真空蒸
着槽内に落下して槽内を汚損する不具合があった。本発
明の課題は、加熱体を有する芯金上に、非晶質相から結
晶相に変化したとき発熱し、かつ、非晶質相と結晶相の
相転移が繰り返して行なえる相転移層と該相転移層を被
覆する保護層を設けた定着ローラにおいて、上述した問
題がなく、芯金と相転移層との密着性を向上させた定着
ローラ及びその製造方法を提供することにある。
層には周期律表III ないしVI族の非晶質物質が用いら
れ、中でもSeを主成分とするカルコゲンが好ましく用
いられるが、これら非晶質物質を用いて定着ローラの芯
金上に相転移層を真空蒸着により形成すると、相転移層
は芯金との密着性が余り良くない。密着性が悪いと相転
移層を初期化融解したとき流動化してうわすべりが起き
定着ローラが変形する恐れがある。そこで芯金表面を超
仕上げ加工することやエッチング等で粗面にしてアンカ
ー効果を利用し密着性を向上させることが考えられる。
しかし、ウォーミングアップ時間の短縮をねらう定着ロ
ーラでは熱の伝達効率を良くするために芯金を薄めにす
る必要があり、超仕上げ加工では加工時にビビリが発生
し平滑な表面加工は困難である。また、エッチングでは
廃液処理などに付随する煩わしい問題が伴う。また、図
3に示した定着ローラの構造に於ては、芯金1表面と相
転移層3との密着性が良くない為、相転移層が芯金から
剥離して不良品となったり、剥離した相転移層が真空蒸
着槽内に落下して槽内を汚損する不具合があった。本発
明の課題は、加熱体を有する芯金上に、非晶質相から結
晶相に変化したとき発熱し、かつ、非晶質相と結晶相の
相転移が繰り返して行なえる相転移層と該相転移層を被
覆する保護層を設けた定着ローラにおいて、上述した問
題がなく、芯金と相転移層との密着性を向上させた定着
ローラ及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成する為、
本発明は、第一に、加熱体を有する芯金上に、非晶質相
から結晶相に変化したとき発熱し、かつ、非晶質相と結
晶相の相転移が繰り返して行なえる相転移層と該相転移
層を被覆する保護層を設けた定着ローラにおいて、前記
相転移層が無機非晶質物質を含有し、該相転移層と前記
芯金との間に樹脂接着層を設けることを特徴とする。第
二に、上記第一に記載した定着ローラにおいて、前記無
機非晶質物質としてカルコゲン又はカルコゲンを主成分
とする周期律表III ないしVI族の非晶質物質を用いるこ
とを特徴とする。第三に、上記第一又は第二に記載した
定着ローラを形成する際、前記芯金上の軸方向に前記樹
脂接着層を前記相転移層を封止する部分の幅と同幅に形
成し、次いで前記無機非晶質物質を真空蒸着し該樹脂接
着層上に相転移層を形成することを特徴とする。第四
に、上記第三に記載した定着ローラの製造方法におい
て、前記芯金を前記無機非晶質物質の結晶化温度以上の
温度に保持しながら前記無機非晶質物質を真空蒸着し該
樹脂接着層上に相転移層を形成することを特徴とする。
第五に、上記第三に記載した定着ローラの製造方法にお
いて、前記芯金の温度を前記無機非晶質物質の結晶化温
度以下に保持しながら前記無機非晶質物質を蒸着し、保
護層を形成する前に該芯金を無機非晶質物質の結晶化温
度以上の温度に加熱して樹脂接着層非形成部に付着した
無機非晶質物質を剥離することを特徴とする。第六に、
上記第一又は第二に記載した定着ローラを形成する際、
前記芯金上に前記樹脂接着層を形成する一方、離型性の
支持体上に前記相転移層を蒸着により形成した後、形成
した相転移層の表面と樹脂接着層の表面とを合わせるよ
うに芯金と離型性支持体を接触させ、その接触状態で前
記無機非晶質物質の結晶化温度で加熱して相転移層を樹
脂接着層上に転写し、次いで離型性支持体を剥離するこ
とを特徴とする。第七に、上記第六に記載した定着ロー
ラの製造方法において、前記離型性支持体としてAl膜
を形成したPETシートを用いることを特徴とする。
本発明は、第一に、加熱体を有する芯金上に、非晶質相
から結晶相に変化したとき発熱し、かつ、非晶質相と結
晶相の相転移が繰り返して行なえる相転移層と該相転移
層を被覆する保護層を設けた定着ローラにおいて、前記
相転移層が無機非晶質物質を含有し、該相転移層と前記
芯金との間に樹脂接着層を設けることを特徴とする。第
二に、上記第一に記載した定着ローラにおいて、前記無
機非晶質物質としてカルコゲン又はカルコゲンを主成分
とする周期律表III ないしVI族の非晶質物質を用いるこ
とを特徴とする。第三に、上記第一又は第二に記載した
定着ローラを形成する際、前記芯金上の軸方向に前記樹
脂接着層を前記相転移層を封止する部分の幅と同幅に形
成し、次いで前記無機非晶質物質を真空蒸着し該樹脂接
着層上に相転移層を形成することを特徴とする。第四
に、上記第三に記載した定着ローラの製造方法におい
て、前記芯金を前記無機非晶質物質の結晶化温度以上の
温度に保持しながら前記無機非晶質物質を真空蒸着し該
樹脂接着層上に相転移層を形成することを特徴とする。
第五に、上記第三に記載した定着ローラの製造方法にお
いて、前記芯金の温度を前記無機非晶質物質の結晶化温
度以下に保持しながら前記無機非晶質物質を蒸着し、保
護層を形成する前に該芯金を無機非晶質物質の結晶化温
度以上の温度に加熱して樹脂接着層非形成部に付着した
無機非晶質物質を剥離することを特徴とする。第六に、
上記第一又は第二に記載した定着ローラを形成する際、
前記芯金上に前記樹脂接着層を形成する一方、離型性の
支持体上に前記相転移層を蒸着により形成した後、形成
した相転移層の表面と樹脂接着層の表面とを合わせるよ
うに芯金と離型性支持体を接触させ、その接触状態で前
記無機非晶質物質の結晶化温度で加熱して相転移層を樹
脂接着層上に転写し、次いで離型性支持体を剥離するこ
とを特徴とする。第七に、上記第六に記載した定着ロー
ラの製造方法において、前記離型性支持体としてAl膜
を形成したPETシートを用いることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態に基づ
いて説明する。本発明の定着ローラは、図1の要部断面
図に代表的な例を示すように、加熱体を内蔵する芯金
1、相転移層3、保護層4及び芯金1と相転移層3との
間に設ける樹脂接着層2から構成されるが、必要により
その他の接着層、通電発熱層、絶縁層等が追加されても
良い。まず相転移層3に用いる無機非晶質物質として
は、カルコゲン又はカルコゲンを主成分とする周期律表
III ないしVI族の非晶質物質が特に有効であり、例え
ば、具体的には例えば、セレン、セレン・テルル合金、
テルル・ゲルマニウム合金、セレン・インジウム系合
金、テルル・インジウム系合金、セレン・アンチモン系
合金、テルル・アンチモン系合金などが挙げられ、特に
セレン、セレン・テルル合金による相転移層は望ましい
ものである。本発明において相転移層を形成するには、
例えば、ステンレス、アルミニウムなどの芯金1内にハ
ロゲンランプ、赤外線ランプ又はニクロム線などのヒー
タが内蔵される定着ローラの芯金表面、或いは抵抗発熱
層を有する定着ローラの抵抗発熱層上等に、樹脂接着層
2を介して上記無機非晶質物質を真空蒸着することによ
って相転移層を形成するようにする。上記樹脂接着層2
としては、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤を用い、あ
るいはこれに熱伝導性物質、例えば、Al、Au、A
g、Te、Sb、カーボン微粒子、繊維状カーボンなど
を分散させ、芯金上に塗布乾燥して形成することができ
る。次に相転移層3を被覆する保護層4は、トナーなど
の粘着を防止するための離型層を兼ねてもよく、従来公
知の定着ローラにおける離型層の形成と同様の方法によ
って設けることができる。保護層の材料としては、PF
A樹脂、FEP樹脂、PTFEなどのフッ素系樹脂、シ
リコーン樹脂などが用いられるが、フッ素樹脂系の熱収
縮性チューブが好ましい。上記相転移層3や保護層4に
も熱伝導性物質を混入させて良い。使用する熱伝導性物
質としては上述したAl、Au、Ag、Te、Sb、カ
ーボン微粒子、繊維状カーボンなど相転移層や保護層の
熱伝導率以上の熱伝導率を有するものが好ましい。
いて説明する。本発明の定着ローラは、図1の要部断面
図に代表的な例を示すように、加熱体を内蔵する芯金
1、相転移層3、保護層4及び芯金1と相転移層3との
間に設ける樹脂接着層2から構成されるが、必要により
その他の接着層、通電発熱層、絶縁層等が追加されても
良い。まず相転移層3に用いる無機非晶質物質として
は、カルコゲン又はカルコゲンを主成分とする周期律表
III ないしVI族の非晶質物質が特に有効であり、例え
ば、具体的には例えば、セレン、セレン・テルル合金、
テルル・ゲルマニウム合金、セレン・インジウム系合
金、テルル・インジウム系合金、セレン・アンチモン系
合金、テルル・アンチモン系合金などが挙げられ、特に
セレン、セレン・テルル合金による相転移層は望ましい
ものである。本発明において相転移層を形成するには、
例えば、ステンレス、アルミニウムなどの芯金1内にハ
ロゲンランプ、赤外線ランプ又はニクロム線などのヒー
タが内蔵される定着ローラの芯金表面、或いは抵抗発熱
層を有する定着ローラの抵抗発熱層上等に、樹脂接着層
2を介して上記無機非晶質物質を真空蒸着することによ
って相転移層を形成するようにする。上記樹脂接着層2
としては、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤を用い、あ
るいはこれに熱伝導性物質、例えば、Al、Au、A
g、Te、Sb、カーボン微粒子、繊維状カーボンなど
を分散させ、芯金上に塗布乾燥して形成することができ
る。次に相転移層3を被覆する保護層4は、トナーなど
の粘着を防止するための離型層を兼ねてもよく、従来公
知の定着ローラにおける離型層の形成と同様の方法によ
って設けることができる。保護層の材料としては、PF
A樹脂、FEP樹脂、PTFEなどのフッ素系樹脂、シ
リコーン樹脂などが用いられるが、フッ素樹脂系の熱収
縮性チューブが好ましい。上記相転移層3や保護層4に
も熱伝導性物質を混入させて良い。使用する熱伝導性物
質としては上述したAl、Au、Ag、Te、Sb、カ
ーボン微粒子、繊維状カーボンなど相転移層や保護層の
熱伝導率以上の熱伝導率を有するものが好ましい。
【0008】次に本発明の定着ローラを製造する上で特
に好ましい方法について説明する。その一つは、樹脂接
着層2を芯金1上に形成する場合、樹脂接着層を芯金上
の軸方向に相転移層3を封止する部分の幅と同幅に形成
してから、次いで相転移層3を真空蒸着により形成する
方法である。これによれば樹脂接着層2を設けた部分の
相転移層3は密着性が強いのに対して樹脂接着層を設け
てない部分の密着性は弱いため、封止部となる部分より
幅広く相転移層が蒸着されてもその部分の剥離を容易に
行なうことができ、芯金端部へのずれ込みを防止する治
具など不要となる。二つ目は、上記製法において、相転
移層3を真空蒸着する際に、芯金1を相転移層3に含有
される無機非晶質物質の結晶化温度以上に加熱する方法
である。この加熱により無機非晶質物質は結晶化して樹
脂接着層2を設けてない芯金表面部分には剥離して付着
しない。このため相転移層3を封止する部分と封止する
際除去する部分とを容易に分離することができる。三つ
目は、上記製法において、相転移層3を真空蒸着する際
に、芯金1を無機非晶質物質の結晶化温度以下の温度に
保持しながら蒸着し、保護層形成前に、該芯金を無機非
晶質物質の結晶化温度以上の温度に加熱する方法であ
る。これによれば、樹脂接着層2を設けてない部分に付
着した無機非晶質物質を結晶化剥離することができる。
この方法によれば、ワークを真空槽から一旦取りだして
から相転移層を封止する部分と封止する際除去する部分
とを分離することができるため真空槽の汚染が少なくて
済む。つまり、相転移層を封止する前に芯金表面から剥
離した無機非晶質物質が真空槽を汚損することが防止さ
れる。
に好ましい方法について説明する。その一つは、樹脂接
着層2を芯金1上に形成する場合、樹脂接着層を芯金上
の軸方向に相転移層3を封止する部分の幅と同幅に形成
してから、次いで相転移層3を真空蒸着により形成する
方法である。これによれば樹脂接着層2を設けた部分の
相転移層3は密着性が強いのに対して樹脂接着層を設け
てない部分の密着性は弱いため、封止部となる部分より
幅広く相転移層が蒸着されてもその部分の剥離を容易に
行なうことができ、芯金端部へのずれ込みを防止する治
具など不要となる。二つ目は、上記製法において、相転
移層3を真空蒸着する際に、芯金1を相転移層3に含有
される無機非晶質物質の結晶化温度以上に加熱する方法
である。この加熱により無機非晶質物質は結晶化して樹
脂接着層2を設けてない芯金表面部分には剥離して付着
しない。このため相転移層3を封止する部分と封止する
際除去する部分とを容易に分離することができる。三つ
目は、上記製法において、相転移層3を真空蒸着する際
に、芯金1を無機非晶質物質の結晶化温度以下の温度に
保持しながら蒸着し、保護層形成前に、該芯金を無機非
晶質物質の結晶化温度以上の温度に加熱する方法であ
る。これによれば、樹脂接着層2を設けてない部分に付
着した無機非晶質物質を結晶化剥離することができる。
この方法によれば、ワークを真空槽から一旦取りだして
から相転移層を封止する部分と封止する際除去する部分
とを分離することができるため真空槽の汚染が少なくて
済む。つまり、相転移層を封止する前に芯金表面から剥
離した無機非晶質物質が真空槽を汚損することが防止さ
れる。
【0009】さらに四つ目は、樹脂接着層2と相転移層
3を別々の支持体上に形成した後、樹脂接着層2上に相
転移層3を転写させる方法である。図2によりこの方法
を説明すると、図2(a) に示すように前記芯金1上に樹
脂接着層2を形成する一方で、図2(b) のように別に用
意した離型性の支持体5上に相転移層3を蒸着により形
成し、図2(c) に示すように形成した相転移層3の表面
と樹脂接着層2の表面とを合わせ、芯金1と離型性支持
体5とを接触させた状態で該相転移層中の無機非晶質物
質の結晶化温度の雰囲気に置き、前記芯金1上の樹脂接
着層2上に相転移層3を転写する。次いで前記離型性支
持体5を剥離する工程を実施して定着ローラを製造す
る。
3を別々の支持体上に形成した後、樹脂接着層2上に相
転移層3を転写させる方法である。図2によりこの方法
を説明すると、図2(a) に示すように前記芯金1上に樹
脂接着層2を形成する一方で、図2(b) のように別に用
意した離型性の支持体5上に相転移層3を蒸着により形
成し、図2(c) に示すように形成した相転移層3の表面
と樹脂接着層2の表面とを合わせ、芯金1と離型性支持
体5とを接触させた状態で該相転移層中の無機非晶質物
質の結晶化温度の雰囲気に置き、前記芯金1上の樹脂接
着層2上に相転移層3を転写する。次いで前記離型性支
持体5を剥離する工程を実施して定着ローラを製造す
る。
【0010】図2(d) は加熱により樹脂接着層2を形成
した部分の相転移層3は芯金1に密着し、樹脂接着層の
ない部分3aが芯金1上から剥離してしまうことを示し
ている。図2(e) は離型性支持体5を除去し、剥離した
無機非晶質物質をエアーブローなどで拭い去り相転移層
を形成した状態を示している。この方法によれば、小径
のローラ上にバッチ方式で蒸着するよりも無機非晶質物
質の付着効率( 材料使用効率) が向上すると共に膜厚の
均一性、ひいてはローラの発熱性のロット間均一性も増
加させることができる。また、上記四つ目の方法におい
て、離型性の支持体5としてAl膜を形成したPETシ
ートを用いると、Al膜はSe合金皮膜などが結晶化す
ると容易に剥離するため、上記芯金部への転写を容易に
行なうことができる。また、PETは可撓性を有するた
め容易に芯金部に巻き付けることができ芯金部への転写
を良好にさせる。
した部分の相転移層3は芯金1に密着し、樹脂接着層の
ない部分3aが芯金1上から剥離してしまうことを示し
ている。図2(e) は離型性支持体5を除去し、剥離した
無機非晶質物質をエアーブローなどで拭い去り相転移層
を形成した状態を示している。この方法によれば、小径
のローラ上にバッチ方式で蒸着するよりも無機非晶質物
質の付着効率( 材料使用効率) が向上すると共に膜厚の
均一性、ひいてはローラの発熱性のロット間均一性も増
加させることができる。また、上記四つ目の方法におい
て、離型性の支持体5としてAl膜を形成したPETシ
ートを用いると、Al膜はSe合金皮膜などが結晶化す
ると容易に剥離するため、上記芯金部への転写を容易に
行なうことができる。また、PETは可撓性を有するた
め容易に芯金部に巻き付けることができ芯金部への転写
を良好にさせる。
【0011】<形態例の作用>上記各方法の作用は次の
とおりである。上記第一の定着ローラの製造方法によれ
ば、芯金1と無機非晶質物質を含有する相転移層3との
間に樹脂接着層2が設けられたことから、芯金と相転移
層との密着性が向上した定着ローラが得られる。これは
樹脂接着層の強固な結着力に負うものと考えられる。ま
た第一の製造方法によれば、芯金上に設ける樹脂接着層
の幅を樹脂接着層上に設ける相転移層の封止幅に特定し
て無機非晶質物質を蒸着させたことから封止部より幅広
に蒸着されてもその部分3aを芯金表面から容易に剥離
することができる。また第二及び第三の定着ローラの製
造方法によれば、上記第一に記載した製造方法におい
て、相転移層を真空蒸着により形成する際、いすれも芯
金を無機非晶質物質の結晶化温度以上の温度で加熱した
ことから樹脂接着層を設けてない芯金部分に蒸着した無
機非晶質物質を容易に剥離できる。第四の定着ローラの
製造方法によれば、無機非晶質物質の蒸着をローラ( 芯
金) 上でなく、支持シート上で行なうことから材料の使
用効率が向上し、また均一な膜を形成できる。
とおりである。上記第一の定着ローラの製造方法によれ
ば、芯金1と無機非晶質物質を含有する相転移層3との
間に樹脂接着層2が設けられたことから、芯金と相転移
層との密着性が向上した定着ローラが得られる。これは
樹脂接着層の強固な結着力に負うものと考えられる。ま
た第一の製造方法によれば、芯金上に設ける樹脂接着層
の幅を樹脂接着層上に設ける相転移層の封止幅に特定し
て無機非晶質物質を蒸着させたことから封止部より幅広
に蒸着されてもその部分3aを芯金表面から容易に剥離
することができる。また第二及び第三の定着ローラの製
造方法によれば、上記第一に記載した製造方法におい
て、相転移層を真空蒸着により形成する際、いすれも芯
金を無機非晶質物質の結晶化温度以上の温度で加熱した
ことから樹脂接着層を設けてない芯金部分に蒸着した無
機非晶質物質を容易に剥離できる。第四の定着ローラの
製造方法によれば、無機非晶質物質の蒸着をローラ( 芯
金) 上でなく、支持シート上で行なうことから材料の使
用効率が向上し、また均一な膜を形成できる。
【0012】
【実施例】以下、実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はこれにより限定されるものではない。 〔実施例1〕熱伝導性物質を分散したエポキシ樹脂系接
着剤を予め塗布した表面粗さRzが1μm以下の外径4
0mmのAl芯金を真空蒸着槽内にセットして、110
℃の温度に保持しながら、Te50wt%のSeTe合
金を蒸発源を通電加熱し蒸着を行なった。その後、常温
まで冷却して真空槽内から取りだしたところ、芯金支持
体は樹脂接着層のある部分ではきれいな金属光沢の蒸着
膜( 相転移層) が形成されていたが、樹脂接着層が形成
されていない部分は無垢のAl素地のままであった。次
に、形成した相転移層の上に導電性PFAチューブをエ
アブローしながら被せて定着ローラを作製した。得られ
た定着ローラを加熱炉にセットして減圧しながら、該合
金の融点250℃以上、PFAの融点310℃以下の温
度280℃で加熱し、その後冷却ガスを注入して急冷却
した。
が、本発明はこれにより限定されるものではない。 〔実施例1〕熱伝導性物質を分散したエポキシ樹脂系接
着剤を予め塗布した表面粗さRzが1μm以下の外径4
0mmのAl芯金を真空蒸着槽内にセットして、110
℃の温度に保持しながら、Te50wt%のSeTe合
金を蒸発源を通電加熱し蒸着を行なった。その後、常温
まで冷却して真空槽内から取りだしたところ、芯金支持
体は樹脂接着層のある部分ではきれいな金属光沢の蒸着
膜( 相転移層) が形成されていたが、樹脂接着層が形成
されていない部分は無垢のAl素地のままであった。次
に、形成した相転移層の上に導電性PFAチューブをエ
アブローしながら被せて定着ローラを作製した。得られ
た定着ローラを加熱炉にセットして減圧しながら、該合
金の融点250℃以上、PFAの融点310℃以下の温
度280℃で加熱し、その後冷却ガスを注入して急冷却
した。
【0013】〔実施例2〕熱伝導性物質を分散したエポ
キシ樹脂系接着剤を予め塗布した表面粗さRzが1μm
以下の外径40mmのAl芯金を真空蒸着槽内にセット
して、常温( 20℃) で保持しながら、Te50wt%
のSeTe合金を蒸発源を通電加熱し蒸着を行なった。
その後、真空槽内から取り出したところ、芯金支持体は
樹脂接着層の有無にかかわらず全面茶褐色のガラス光沢
の膜で覆われていた。次にこの蒸着皮膜が形成した芯金
支持体を恒温槽に入れて110℃の温度で加熱して冷却
後取り出したところ、芯金支持体は樹脂接着層のある部
分はきれいな金属光沢の膜が形成されていたが、樹脂接
着層が設けられていない部分は無垢のAl素地のままで
あった。実施例1と同様にして導電性PFAチューブを
被せて、減圧しながら合金の融点以上PFAの融点以下
の温度( 280℃) で加熱し、その後炉から取りだして
急冷した。
キシ樹脂系接着剤を予め塗布した表面粗さRzが1μm
以下の外径40mmのAl芯金を真空蒸着槽内にセット
して、常温( 20℃) で保持しながら、Te50wt%
のSeTe合金を蒸発源を通電加熱し蒸着を行なった。
その後、真空槽内から取り出したところ、芯金支持体は
樹脂接着層の有無にかかわらず全面茶褐色のガラス光沢
の膜で覆われていた。次にこの蒸着皮膜が形成した芯金
支持体を恒温槽に入れて110℃の温度で加熱して冷却
後取り出したところ、芯金支持体は樹脂接着層のある部
分はきれいな金属光沢の膜が形成されていたが、樹脂接
着層が設けられていない部分は無垢のAl素地のままで
あった。実施例1と同様にして導電性PFAチューブを
被せて、減圧しながら合金の融点以上PFAの融点以下
の温度( 280℃) で加熱し、その後炉から取りだして
急冷した。
【0014】〔実施例3〕Al付きPETシートをAl
面を被蒸着面として、真空蒸着槽内にセットし、常温(
20℃) に保持しながらTe50wt%のSeTe合金
を蒸発源を通電加熱して蒸着を行なった。その後真空槽
内から取りだしたところ、PETシートは全面茶褐色の
ガラス状光沢を呈していた。一方、熱伝導性物質を分散
したエポキシ樹脂系接着剤を予め塗布した表面粗さRz
が1μmの外径40mmのAl芯金を用意して上記合金
を蒸着したAl付きPETシートを該合金蒸着面を芯金
支持体側にして巻きつけて接触し、大気中で110℃の
温度で加熱した。放冷後、Al付きPETシートを剥が
すと、蒸着した合金はPETシートから完全に剥離して
おり、芯金側では樹脂接着層の塗布されている部分では
きれいな金属光沢の膜が転写形成されていたが、樹脂接
着層が設けられていない部分は無垢のAl素地のままで
あり、結晶化したSeTe合金の破片が積もっており、
軽くエアブローすると吹き飛ばされて落下した。実施例
1と同様にして導電性PFAチューブを被せて、減圧し
ながら合金の融点以上、PFAの融点以下の温度280
℃で加熱し、その後炉から取り出して急冷した。
面を被蒸着面として、真空蒸着槽内にセットし、常温(
20℃) に保持しながらTe50wt%のSeTe合金
を蒸発源を通電加熱して蒸着を行なった。その後真空槽
内から取りだしたところ、PETシートは全面茶褐色の
ガラス状光沢を呈していた。一方、熱伝導性物質を分散
したエポキシ樹脂系接着剤を予め塗布した表面粗さRz
が1μmの外径40mmのAl芯金を用意して上記合金
を蒸着したAl付きPETシートを該合金蒸着面を芯金
支持体側にして巻きつけて接触し、大気中で110℃の
温度で加熱した。放冷後、Al付きPETシートを剥が
すと、蒸着した合金はPETシートから完全に剥離して
おり、芯金側では樹脂接着層の塗布されている部分では
きれいな金属光沢の膜が転写形成されていたが、樹脂接
着層が設けられていない部分は無垢のAl素地のままで
あり、結晶化したSeTe合金の破片が積もっており、
軽くエアブローすると吹き飛ばされて落下した。実施例
1と同様にして導電性PFAチューブを被せて、減圧し
ながら合金の融点以上、PFAの融点以下の温度280
℃で加熱し、その後炉から取り出して急冷した。
【0015】〔比較例1〕実施例2と同様にしてAl支
持体下地温度を常温( 20℃) に設定して蒸着し、恒温
槽に入れて急激に140℃まで加熱昇温したところ、樹
脂接着層を設けてない部分は蒸着した合金が焼きついて
しまい、ドライバーで擦っても剥離できなかった。 〔比較例2〕実施例1と同様の表面粗度を有したAl芯
金にそのまま( 樹脂接着層を設けることなく) SeTe
合金を蒸着して相転移層を形成し、該相転移層上に保護
層(導電性PFAチューブ) を被覆した。上記のように
して得られた実施例1〜3の定着ローラをリコー製電子
写真複写機M210の定着装置に組込み、ヒーター電力
960Wで加熱しながら定着ローラの表面温度の上昇状
況を調べたところ、均一な温度上昇が得られ、ウォーム
アップも速く、更に加熱冷却を繰り返しても変形がなく
画像も良好であった。これに対して比較例2の定着ロー
ラは加熱冷却を繰り返すと段々縞状の変形が生じ、画像
にも白抜けの斑点が発生するようになった。
持体下地温度を常温( 20℃) に設定して蒸着し、恒温
槽に入れて急激に140℃まで加熱昇温したところ、樹
脂接着層を設けてない部分は蒸着した合金が焼きついて
しまい、ドライバーで擦っても剥離できなかった。 〔比較例2〕実施例1と同様の表面粗度を有したAl芯
金にそのまま( 樹脂接着層を設けることなく) SeTe
合金を蒸着して相転移層を形成し、該相転移層上に保護
層(導電性PFAチューブ) を被覆した。上記のように
して得られた実施例1〜3の定着ローラをリコー製電子
写真複写機M210の定着装置に組込み、ヒーター電力
960Wで加熱しながら定着ローラの表面温度の上昇状
況を調べたところ、均一な温度上昇が得られ、ウォーム
アップも速く、更に加熱冷却を繰り返しても変形がなく
画像も良好であった。これに対して比較例2の定着ロー
ラは加熱冷却を繰り返すと段々縞状の変形が生じ、画像
にも白抜けの斑点が発生するようになった。
【0016】
【発明の効果】以上のように請求項1又は2に記載した
本発明によれば、加熱体を有する芯金、相転移層及び保
護層からなる定着ローラにおいて、該芯金と無機非晶質
物質からなる相転移層との間に樹脂接着層を設けること
により芯金と相転移層の密着性が向上した定着ローラが
得られる。この定着ローラによれば均一な温度上昇が得
られ、ウォームアップも速い。また、加熱冷却を繰り返
しても変形( 相転移層が融解したときの流動変形) がな
く良好な画像が得られる。無機非晶質物質としてSeな
どカルコゲンを用いる場合はその効果が特に大きい。ま
た、請求項3乃至5に記載した定着ローラの製造方法に
よれば、上記本発明の定着ローラを製造する際、芯金上
に設ける樹脂接着層の幅を相転移層の封止幅に特定して
無機非晶質物質を蒸着させたことから相転移層の封止部
と封止部外との分離を容易に行なうことができ効率良く
製造することができる。また、請求項6乃至7に記載し
た定着ローラの製造方法によれば、無機非晶質物質の蒸
着を芯金( ローラ) 上でなく別に用意したシート上で行
なうことから材料の使用効率が良く、また均一な膜が得
られる。
本発明によれば、加熱体を有する芯金、相転移層及び保
護層からなる定着ローラにおいて、該芯金と無機非晶質
物質からなる相転移層との間に樹脂接着層を設けること
により芯金と相転移層の密着性が向上した定着ローラが
得られる。この定着ローラによれば均一な温度上昇が得
られ、ウォームアップも速い。また、加熱冷却を繰り返
しても変形( 相転移層が融解したときの流動変形) がな
く良好な画像が得られる。無機非晶質物質としてSeな
どカルコゲンを用いる場合はその効果が特に大きい。ま
た、請求項3乃至5に記載した定着ローラの製造方法に
よれば、上記本発明の定着ローラを製造する際、芯金上
に設ける樹脂接着層の幅を相転移層の封止幅に特定して
無機非晶質物質を蒸着させたことから相転移層の封止部
と封止部外との分離を容易に行なうことができ効率良く
製造することができる。また、請求項6乃至7に記載し
た定着ローラの製造方法によれば、無機非晶質物質の蒸
着を芯金( ローラ) 上でなく別に用意したシート上で行
なうことから材料の使用効率が良く、また均一な膜が得
られる。
【図1】本発明の定着ローラの代表的な例を示す概略断
面図である。
面図である。
【図2】(a) 乃至(e) は本発明の定着ローラの製造方法
の一例を示す工程図である。
の一例を示す工程図である。
【図3】従来の定着ローラの概略断面図である。
【図4】従来から行なわれている相転移層上に保護層を
挿入する状態を示す説明図である。
挿入する状態を示す説明図である。
1 芯金 2 樹脂接着層 3 相転移層 4 保護層 5 離型性シート 6 円筒状の支持台 7 円筒状のフリル部
Claims (7)
- 【請求項1】 加熱体を有する芯金上に、非晶質相から
結晶相に変化したとき発熱し、かつ、非晶質相と結晶相
の相転移が繰り返して行なえる相転移層と、該相転移層
を被覆する保護層と、を設けた定着ローラにおいて、 前記相転移層が無機非晶質物質を含有し、該相転移層と
前記芯金との間に樹脂接着層を設けたことを特徴とする
定着ローラ。 - 【請求項2】 請求項1の定着ローラにおいて、前記無
機非晶質物質としてカルコゲン又はカルコゲンを主成分
とする周期律表III ないしVI族の非晶質物質を用いるこ
とを特徴とする定着ローラ。 - 【請求項3】 請求項1又は2の定着ローラを形成する
際、前記芯金上の軸方向に前記樹脂接着層を前記相転移
層を封止する部分の幅と同幅に形成し、次いで前記無機
非晶質物質を真空蒸着することにより該樹脂接着層上に
相転移層を形成することを特徴とする定着ローラの製造
方法。 - 【請求項4】 請求項3の定着ローラの製造方法におい
て、前記芯金を前記無機非晶質物質の結晶化温度以上の
温度に保持しながら前記無機非晶質物質を真空蒸着して
該樹脂接着層上に相転移層を形成することを特徴とする
定着ローラの製造方法。 - 【請求項5】 請求項3の定着ローラの製造方法におい
て、前記芯金の温度を前記無機非晶質物質の結晶化温度
以下に保持しながら前記無機非晶質物質を蒸着し、保護
層を形成する前に該芯金を無機非晶質物質の結晶化温度
以上の温度に加熱して樹脂接着層非形成部に付着した無
機非晶質物質を剥離することを特徴とする定着ローラの
製造方法。 - 【請求項6】 請求項1又は2の定着ローラを形成する
際、前記芯金上に前記樹脂接着層を形成する一方、離型
性の支持体上に前記相転移層を蒸着により形成した後、
形成した相転移層の表面と樹脂接着層の表面とを合わせ
るように芯金と離型性支持体を接触させ、接触状態を維
持したまま前記無機非晶質物質の結晶化温度で加熱して
相転移層を樹脂接着層上に転写し、次いで離型性支持体
を剥離することを特徴とする定着ローラの製造方法。 - 【請求項7】 請求項6の定着ローラの製造方法におい
て、前記離型性支持体としてAl膜を形成したPETシ
ートを用いることを特徴とする定着ローラの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21806396A JPH1048987A (ja) | 1996-07-31 | 1996-07-31 | 定着ローラ及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21806396A JPH1048987A (ja) | 1996-07-31 | 1996-07-31 | 定着ローラ及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1048987A true JPH1048987A (ja) | 1998-02-20 |
Family
ID=16714075
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21806396A Pending JPH1048987A (ja) | 1996-07-31 | 1996-07-31 | 定着ローラ及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1048987A (ja) |
-
1996
- 1996-07-31 JP JP21806396A patent/JPH1048987A/ja active Pending
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