JPH1048128A - Nir分光法によって物質を同定する方法 - Google Patents

Nir分光法によって物質を同定する方法

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JPH1048128A
JPH1048128A JP9122154A JP12215497A JPH1048128A JP H1048128 A JPH1048128 A JP H1048128A JP 9122154 A JP9122154 A JP 9122154A JP 12215497 A JP12215497 A JP 12215497A JP H1048128 A JPH1048128 A JP H1048128A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外線分析を使用して、未知の物質を多数の
既知の物質の一つと合致させることにより、未知の物質
をこれが合致した物質と同じものであると同定する方法
を提供する。 【解決手段】 未知の製品を同定する方法において、同
定すべき未知の製品の吸光度スペクトルを測定し、未知
の製品のスコア・ベクトルをクラスタの主成分内部モデ
ル空間に投影される未知の製品のスペクトルから決定す
る。未知の製品のスコア・ベクトルがエンベロープの1
つに属しているかどうかを判定し、属している場合に
は、未知の製品のスコア・ベクトルがクラスタから分割
されたサブクラスタのいずれかに属しているかどうかを
判定する。未知の製品のスコア・ベクトルがさらに細か
く分割されないクラスタ内にあるかどうかが判明するま
で、このプロセスを繰り返す。このようにして、サーチ
を数種類の製品に絞る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は物質を同定するシス
テムに関するものであり、詳しくは、赤外線分析を使用
して、未知の物質を多数の既知の物質の一つと合致させ
ることにより、未知の物質をこれが合致した物質と同じ
ものであると同定するシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】物質を定性的に分析して、その物質を同
定できるようにすることが、産業界において必要とされ
ている。たとえば、購入資材を受け取った場合、これは
通常、ラベルと出荷書類によって識別されているが、こ
のような識別が間違っていたり、あるいはなくなってし
まうことがある。資材を受領したときに、システムにそ
の資材を迅速に同定させることによって、間違ったラベ
ルが貼付されていたり、あるいは購入会社が資材を受け
入れ、受領した資材に対して財政的に責任を負うことに
なる前に、資材の識別手段が失われたりしても、資材を
同定することができる。
【0003】本発明以前には、既知の物質を定性的に同
定するために、赤外線分析が使用されてきている。赤外
線分析を使用するこのようなシステムの1つが、198
8年8月23日にTimothy H.Begleyに
対して発行された米国特許第4766551号に記載さ
れている。該米国特許のシステムにおいては、多数の既
知の製品の近赤外線(NIR)スペクトルを、NIRス
ペクトル全体にわたって分布した増分波長における既知
の各製品の吸光度を検出することによって測定してい
る。l個の測定値を構成する各増分波長における測定値
は、l次元空間内を延びているベクトルの直交成分であ
ると見なされる。未知の物質のスペクトルも測定され、
l次元空間内を延びているベクトルによって表される。
未知の製品のベクトルと、既知の各製品のベクトルとの
間の角度を計算し、既知の製品と未知の製品の間の角度
が所定の最小値よりも小さい場合には、未知の製品を既
知の製品と同じものであると見なす。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
システムは未知の物質を同定する際に妥当な範囲で正確
なものであるが、未知の製品と既知の各製品との比較を
行うためのベクトル分析を完了するまでにかなりの時間
を要するといった問題点があった。したがって、このシ
ステムは荷役ドックで必要とされているような、未知の
物質の迅速な同定を行うのには適していない。
【0005】そこで、本発明は上述の米国特許に記載さ
れているシステムを改善したものと見なすことができ、
かつ未知の物質をきわめて迅速に同定することを可能と
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記課題を解決するため、未知の製品を既知の製品のラ
イブラリの1つと合致させる方法において、前記既知の
製品の各々について近赤外線スペクトルを測定するステ
ップ(1)と、前記既知の製品の各々に対して決定され
た吸光度スペクトルを表すハイパースペースまで延びて
いる既知の製品のベクトルを生成するステップ(2)
と、前記の既知の製品のベクトルを、ハイパースペース
まで延びているベクトルのクラスタであって、各クラス
タ内のベクトルがこのようなクラスタ外部のベクトルよ
りもハイパースペース内で互いに接近しているクラスタ
に分割するステップ(3)と、ベクトルの前記クラスタ
の少なくともいくつかをハイパースペースまで延びてい
るベクトルのサブクラスタに分割するステップ(4)
と、前記サブクラスタのすべてのベクトルの数が所定数
よりも小さくなるまで、前記サブクラスタの少なくとも
いくつかに前記ステップ(4)を繰り返すステップ
(5)と、前記クラスタおよびサブクラスタの各々を、
対応するハイパースペース内で画定されたエンベロープ
で包囲するステップ(6)と、前記未知の製品の吸光度
スペクトルを測定するステップ(7)と、前記未知の製
品を表し、前記クラスタのハイパースペースまで延びて
いるベクトルが、ステップ(3)で分割された前記クラ
スタを包囲する前記エンベロープのどれに属するかを決
定するステップ(8)と、前記未知の製品を表すベクト
ルがサブクラスタに分割されたクラスタを包囲している
エンベロープに属している場合には、前記未知の製品を
表し、このようなサブクラスタのハイパースペースまで
延びているベクトルが、サブクラスタを包囲するエンベ
ロープのどれに属するかを決定するステップ(9)と、
前記未知の製品を表すベクトルがさらに分割されないサ
ブクラスタを包囲するエンベロープに属していると決定
されるまで、さらに分割されているサブクラスタについ
てステップ(9)を繰り返すステップ(10)と、前記
未知の製品が前記の最後に挙げたエンベロープ内のベク
トルによって表される既知の製品のどれと合致するかを
決定するステップ(11)とを備えているものであ
る。、請求項2記載の発明は、請求項1記載の未知の製
品を既知の製品のライブラリの1つと合致させる方法に
おいて、前記ステップ(2)が前記既知の製品について
決定された前記吸光度スペクトルに主成分分析を行っ
て、モデル空間内の主成分に投影された既知の製品の各
々を表す既知の製品のスコア・ベクトルを決定すること
を含んでいるものである。
【0007】請求項3記載の発明は、請求項2記載の未
知の製品を既知の製品のライブラリの1つと合致させる
方法において、前記ステップ(4)が各クラスタおよび
サブクラスタの既知の製品のベクトルの吸光度スペクト
ルに主成分分析を行って、このようなクラスタおよびサ
ブクラスタの既知の製品のスペクトルに関して決定され
たモデル空間内の主成分まで延びているクラスタまたは
サブクラスタの既知の製品の各々に対する製品のスコア
・ベクトルを決定することを含んでいるものである。
【0008】請求項4記載の発明は、請求項2記載の未
知の製品を既知の製品のライブラリの1つと合致させる
方法において、既知の製品の各々のスコア・ベクトルを
ハイパースフィアで包囲することをさらに備えており、
前記ステップ(6)が対応するクラスタのハイパースフ
ィアを前記エンベロープの各々によって包囲することを
含んでいるものである。
【0009】請求項5記載の発明は、請求項2記載の未
知の製品を既知の製品のライブラリの1つと合致させる
方法において、前記エンベロープの各々が直交次元のハ
イパーボックスを備えているものである。請求項6記載
の発明は、請求項1記載の未知の製品を既知の製品のラ
イブラリの1つと合致させる方法において、既知の製品
のベクトルの各々をハイパースフィアで包囲することを
さらに備えており、前記ステップ(6)が対応するクラ
スタのハイパースフィアを前記エンベロープによって包
囲することを含んでいるものである。
【0010】請求項7記載の発明は、請求項1記載の未
知の製品を既知の製品のライブラリの1つと合致させる
方法において、前記エンベロープの各々が直交次元を有
するハイパーボックスを備えているものである。請求項
8記載の発明は、製品を既知の製品のライブラリの1つ
と合致させる方法において、前記既知の製品の吸光度ス
ペクトルを測定し、前記吸光度スペクトルに主成分分析
を行って、モデル空間内の主成分に投影する既知の製品
のスコア・ベクトルを決定し、前記既知の製品のスコア
・ベクトルをハイパースフィアで包囲し、前記未知の製
品のスペクトルから、モデル空間内の主成分に投影する
未知の製品のスコア・ベクトルを決定し、前記未知の製
品のスコア・ベクトルが前記ハイパースフィアのどれに
属するかを決定することを備えているものである。
【0011】請求項9記載の発明は、請求項8記載の製
品を既知の製品のライブラリの1つと合致させる方法に
おいて、前記未知の製品の前記吸光度スペクトルが前記
既知の製品の各々に対する複数のスペクトルのトレーニ
ング・セットを含んでおり、前記方法が各トレーニング
・セットの平均吸光度スペクトルを取得し、前記平均ス
ペクトルおよび対応するトレーニング・セットから既知
の製品の各々に対する標準偏差を決定することを含んで
おり、ハイパースフィアの各々が前記標準偏差の選択し
た倍数に等しい半径を有しているものである。
【0012】上記のように構成される本発明によれば、
一連の吸光度スペクトルが多数の既知の製品について測
定される。既知の各製品に対する一組のスペクトルが、
異なるプロセスによって製造された場合、あるいは製品
内に許容レベルの不純物を有している場合などに起こる
ような、わずかな変動のある同一製品の異なるバッチに
よって決定される。各組のスペクトルは1100ナノメ
ートルないし2500ナノメートルの近赤外線の範囲に
分布した波長において測定された吸光度値を含んでい
る。既知の各製品のスペクトルの組には主成分分析が行
われて、各製品を表すデータを10ないし20程度の
値、具体的には、次元に圧縮する。主成分分析データを
圧縮することによって、所与の製品に対するスペクトル
の元のセットの約90%以上を含んでいるデータのセッ
トがもたらされる。所与の製品に対する圧縮データの値
は、多次元すなわちハイパースペースへ延びているベク
トルを表していると考えられ、製品のスコア・ベクトル
と呼ばれる。既知の製品を表しているベクトルは、各々
がベクトルが延びているハイパースペースにおいて互い
に近接しているベクトルからなるクラスタに分割され
る。ベクトルはすべてハイパースペースの共通原点から
延びており、「ベクトルの位置」という表現はハイパー
スペース内でのベクトルの端点を指す。したがって、ベ
クトルが接近しているということは、ベクトルの端点が
接近していることを指す。多次元の球体であるハイパー
スフィアが既知の製品の各々のスコア・ベクトルによっ
て表されるハイパースペース内での位置の周囲に構成さ
れる。ハイパースフィアの半径はスカラ量に、製品に関
して得られたスペクトル・データの元のセットに基づい
て、製品の標準偏差スペクトルによって決定されるユー
クリッド基準を乗じたものとなる。スカラ乗数を3にす
ることによって、ハイパースフィアはハイパースフィア
の中心において製品ベクトルによって表された既知の製
品と同じものであるすべての製品の製品ベクトルの位置
の99%を含むものとなる。各既知の製品ベクトルによ
って表される空間内の各点の周囲にハイパースフィアを
構成した後、同一のクラスタ内にある製品の各グループ
の周囲にエンベロープが構成される。これらのエンベロ
ープはハイパー次元空間内の直角座標によって定義され
るのが好ましく、したがって、3次元空間内の直方体に
対応しており、ハイパー直方体と適宜呼んでもかまわな
い。便宜上、この構造をハイパーボックスと呼ぶ。各ハ
イパーボックスはハイパースフィアのn次元の各々にお
ける最小寸法と最大寸法とによって定義される。
【0013】クラスタ化技法はまず、既知の製品を表す
ベクトルを、所与のクラスタにおいて異なる数のベクト
ルを有しているクラスタに分割する。たとえば、50個
ほどのベクトルを含んでいるクラスタもあれば、9個ま
たは10個あるいはそれ以下しかベクトルを含んでいな
いクラスタもある。クラスタ内のベクトルの数が選択し
た数、たとえば、10ないし20を超えた場合、そのク
ラスタ内のベクトルは、クラスタのスペクトルに主成分
分析を適用することによって子クラスタないしサブクラ
スタに分割される。子クラスタはさらに孫クラスタない
しサブクラスタに分割されて、クラスタの階層木を画定
する。もっとも分割されたレベルにおける所与のクラス
タ内のベクトルの数が、10ないし20であるのが好ま
しい選択した数を超えなくなるまで、分割プロセスが行
われる。クラスタおよびサブクラスタの各々をハイパー
ボックスの形態のエンベロープによって包囲する。各ハ
イパーボックスの寸法はクラスタ内の各既知の製品のベ
クトルの各ハイパースフィアを含むように選択される。
【0014】同定すべき未知の製品を受領した場合、製
品の近赤外線スペクトルを測定して、近赤外線域、たと
えば1100ナノメートルないし2500ナノメートル
までの範囲にわたって延びている吸光度値を得る。この
スペクトル・データを処理して、同一空間内を延びてお
り、既知の製品を表すベクトルに対応している、製品を
表すスコア・ベクトルを構成する。本発明によれば、ま
ず、未知の製品に対するスコア・ベクトルが階層木内の
最上位クラスタのいずれかのエンベロープに入っている
かどうかが判定される。未知の製品のベクトルがサブク
ラスタを有するクラスタに入っている場合には、未知の
製品のスコア・ベクトルを階層木の次のレベルにあるこ
れらのサブクラスタの各々と比較して、未知の製品のベ
クトルがサブクラスタの1つを包囲しているエンベロー
プに入っているかどうかを判定する。未知の製品のベク
トルがさらにサブクラスタに分割されるサブクラスタに
属していると判定された場合には、未知の製品のスコア
・ベクトルが階層木の最下位レベルにあるクラスタまた
はサブクラスタに属していると判定されるまで、プロセ
スを階層木の次に下のレベルで繰り返す。このようにし
て、ベクトルは階層木のこの最下位レベルにあるクラス
タまたはサブクラスタの製品の1つと同じものであると
判定されることになる。サブクラスタまたはクラスタに
入っている製品は多くても10ないし20種類であるか
ら、未知の製品が対応する製品の数は10ないし20種
類以下の製品に減らされている。上述のように、サブク
ラスタ内の製品の数は2種類程度であるか、あるいは1
0ないし20の選択した最大数程度となる。製品が属す
る最終的なサブクラスタを決定した後、未知の製品のス
ペクトルと最終サブクラスタ内の既知の製品の各々のス
ペクトルとの完全な比較を行って、未知の製品がどの製
品に対応しているかを決定する。
【0015】プロセス中の任意の時点で、未知の製品の
スペクトルがいずれのクラスタにも属しておらず、最終
的に、最終サブクラスタ内の製品のいずれにも対応して
いないと判定された場合には、未知の製品はアウトライ
ナといわれるものであると見なされ、既知の製品のいず
れにも対応していないと判定される。上述のクラスタ化
技法は既知の製品のライブラリ内のスペクトルを迅速に
探索して、未知の製品に合致する既知の製品の数を、ラ
イブラリ内のわずかな数の候補製品に絞ることを可能と
する。上述のプロセスによる迅速な探索の後、クラスタ
化技法が探索を絞り込んだこれらの候補既知製品のみを
表すライブラリ・スペクトルの完全な比較を行って、未
知の製品を既知の製品の1つに合致するものとして明確
に同定する。探索に関するこの完全な比較は未知の製品
のスペクトル・データと、クラスタ化技法によって探索
が絞り込まれた既知の候補製品のスペクトル・データの
セットとの比較的時間のかかる比較を含んでいる。この
比較がわずかな種類の候補製品とだけ行われるものであ
るため、同定プロセス全体は既知の製品を同定するため
の従来技術のプロセスに必要な時間の数分の一に短縮さ
れる。さらに、クラスタ化技法によって同定された候補
製品のスペクトルとの未知の製品の完全な比較が行われ
るため、同定プロセスの精度はきわめて高くなり、従来
技術のプロセスのものと同等となる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のシステムに用いられてい
る装置は、振動格子13を有する近赤外線分光計11を
備えており、この振動格子へ分光計が光を投射する。格
子13は波長帯域が狭い光を出口スリット光学部品15
を通してサンプル17へ反射する。格子が振動すると、
サンプルを照射している光の中心波長が近赤外線スペク
トルで振れる。サンプルによって反射された、回折格子
からの光は赤外線光電検出器19によって検出される。
光電検出器は信号を発生し、この信号は増幅器20によ
ってアナログ・ディジタル変換器22へ伝送される。位
置合わせシステム23は格子13が振動したときにパル
スを発生し、これらのパルスをコンピュータ21に印加
し、かつアナログ・ディジタル変換器22へ印加する。
位置合わせシステム23からのパルスに応じて、アナロ
グ・ディジタル変換器は増幅器20の出力信号の連続し
たサンプルをディジタル値に変換する。それ故、各ディ
ジタル値は近赤外線域内の特定な波長におけるサンプル
の反射率に対応している。コンピュータ21は格子13
の角位置を監視し、したがって、位置合わせシステム2
3が発生するパルスをカウントすることによって、格子
が振動したときにサンプルを照射する波長を監視する。
位置合わせシステム23が発生したパルスは増分インデ
ックス・ポイントを画定し、その点において、増幅器の
出力信号の値がディジタル値に変換される。インデック
ス・ポイントは近赤外線スペクトル全体にわたって増分
的に分配されており、サンプルが照射される異なる波長
に対応している。コンピュータ21は各反射率値を対応
する波長における材料の吸光度に変換する。適切な分光
計の構造および動作は米国特許第4969739号で詳
細に記載されている。
【0017】本発明によれば、図1に示した計器を使用
して、多数の既知の製品から吸光度スペクトルを測定
し、これらのスペクトルのライブラリをディスク・メモ
リに格納する。スペクトルのライブラリを得た製品は、
本発明のシステムが同定すべき未知の製品に対応してい
ると思われるものとなるように選択される。スペクトル
のライブラリに特異値分解を使用した主成分分析を行
う。特異分解アルゴリズムは主成分モデル空間を決定し
て、製品のライブラリ内の各製品のスペクトルを表す値
の数を少なくするために使用される。
【0018】本発明によれば、ライブラリ用に各製品の
数種類の異なるサンプルが得られ、所与の製品の各サン
プルはそれぞれの間の変動が異なる製造業者が納入した
場合や、異なる製造プロセスによって製造した場合に生
じるようなわずかなものとなるように選択される。図1
に示した本発明のシステムを使用して、各製品の各サン
プルの吸光度スペクトルを測定し、取得して、各製品に
複数のスペクトルを与える。各スペクトルは同じ増分波
長で測定される。
【0019】ライブラリ内の製品のそれぞれのサンプル
に対する数種類のスペクトルを、トレーニング・セット
と呼ぶ。所与の製品にn個のサンプルがあって、その製
品のトレーニング・セットにn種類のスペクトルがある
場合、トレーニング・セット内の1個のサンプルのスペ
クトルは次式で表すことができる。
【0020】
【数1】
【0021】ここで、xiは増分波長の点1からlまで
の各々においてサンプルiから取った反射率の測定値x
i1ないしxilで構成されたコラム・ベクトルである。本
発明によれば、コンピュータが各波長におけるトレーニ
ング・セットの反射率値を平均することによって、各製
品のトレーニング・セットから平均スペクトルを決定し
て、次式によって表すことのできる製品の平均スペクト
ルを決定する。
【0022】
【数2】
【0023】上記の式において、xmは平均スペクトル
値のコラム・ベクトルであり、xiないしxnは各々サン
プル1ないしnの各々のスペクトルを表すコラム・ベク
トルである。上述の米国特許第4766551号に記載
されているように、各既知の製品は、ベクトルの各次元
がスペクトル全体にわたって分布している吸光度測定値
の異なるものによって定義されているハイパースペース
まで延びている多次元ベクトルによって表される。通
常、近赤外線スペクトルがスペクトル全体にわたって分
布している700の増分測定値によって測定されるもの
であるから、米国特許第4766551号のシステムに
おいては、各既知の製品が700次元のベクトルによっ
て表されることとなる。
【0024】本発明のシステムにおいては、必要な計算
を少なくし、これによって製品を同定するために計算を
行う時間を短くするために、製品のスペクトルに主成分
分析を行う。このプロセスは各製品を表す数値の数を少
なくするので、各製品をかなり少ない次元、たとえば、
10ないし20次元のハイパースペースまで延びている
ベクトルによって表すことができる。主成分分析を行う
ために、まず、既知の製品のライブラリを表す平均スペ
クトルから、大域主成分モデル空間を決定する。このプ
ロセスの最初のステップとして、平均スペクトルのコラ
ム・ベクトルがマトリックスXを次式のように形成する
ものと見なす。
【0025】
【数3】
【0026】この式において、xm 1ないしxm nの各々は
既知の製品1ないしnの製品ライブラリにおけるそれぞ
れの製品に対する平均スペクトルのコラム・ベクトルを
表す。製品ライブラリの平均スペクトル・マトリックス
に対するこの式を、上付文字を省くことにより、次のよ
うに単純化することができる。
【0027】
【数4】
【0028】スペクトルx1ないしxnから、各波長にお
けるスペクトル・マトリックスXの値を平均することに
よって、平均コラム・ベクトルxmeanを決定する。Xが
平均ベクトルのスペクトル・マトリックスであるから、
平均ベクトルxmeanは実際には、次のようにして式3の
マトリックスX内のベクトルから決定される平均ベクト
ルのセットの平均ベクトルとなる。
【0029】
【数5】
【0030】ただし、x1ないしxnはスペクトル・ライ
ブラリ内のさまざまな製品を表す平均ベクトルである。
ベクトルxmeanはしたがって、既知の製品を表すこれら
平均ベクトルからの各波長における平均吸光度を表す。
大域平均ベクトルxmeanから、平均中心マトリックスX
meanは次式のようにして計算される。
【0031】
【数6】
【0032】式(x1−xmean)ないし(xn−xmean
の各々はコラム・ベクトルであり、各コラム・ベクトル
は大域平均ベクトルxmeanを、製品平均ベクトルx1
いしxnの各々から差し引くことによって決定される。
特異値分解を次いで、平均中心マトリックスXmeanに適
用して、次式を得る。
【0033】
【数7】
【0034】ただし、Uは直交ベクトルのl×nマトリ
ックスであり、V'は直交ベクトルのn×nマトリック
スであり、Wは対角ベクトルのn×nマトリックスであ
る。Wの対角要素は次の通りであり、Xmeanの特異値で
ある。
【0035】
【数8】
【0036】値w1ないしwnは分散マトリックス
mean'Xmean(ただし、Xmean'はXmeanの転置であ
る)の固有値の平方根である。w1ないしwnの2乗に対
応している分散マトリックスXmean'Xmeanの固有値
を、λ1ないしλnで表す。平均中心スペクトル・データ
・マトリックスXmeanの主成分は、分散マトリックスX
mean'Xmea nの固有ベクトルであり、非ゼロの固有値と
関連づけられている。非ゼロの固有値と関連づけられて
いる式(7)のUのコラム・ベクトルはこれらの固有ベ
クトルであり、平均中心スペクトル・マトリックスX
meanの主成分である。Xmeanのコラム・ベクトルを構成
しているn種類の平均中心製品スペクトルがあるので、
平均中心マトリックスXmeanにはn個のコラム・ベクト
ルがあり、またXmeanのn−1個の特異値が存在してい
る。したがって、マトリックスXmeanのn−1個の主成
分がある。式7を主成分分析の下記の標準的な形に書き
換えることができる。
【0037】
【数9】
【0038】ただし、Lはl×(n−1)のマトリック
スであり、次のように表される。
【0039】
【数10】
【0040】マトリックスLにおいて、u1ないしun-1
はコラム・ベクトルであり、平均中心マトリックスX
meanの主成分で構成されている。マトリックスLをロー
ディング・マトリックスと呼ぶ。式(9)において、S
はスコア・マトリックスと呼ばれる(n−1)×nマト
リックスであり、次のように表される。
【0041】
【数11】
【0042】マトリックスLの主成分ベクトルは平均中
心スペクトル・マトリックスXmeanの主成分モデル空間
と呼ばれる多次元空間ないしハイパースペースを占めて
いる。マトリックスLに表されているように、主成分
(ベクトル)は正規化されているが、ベクトル長さは有
意のものではない。これは、有意なものである主成分モ
デル空間の座標を表す際の、主成分の方向である。平均
中心スペクトル・マトリックスXmeanの各コラム・ベク
トルを、主成分モデル空間に投影し、座標値の線形な組
合せとして表すことができる。
【0043】固有値λ1ないしλn-1の大きさは、マトリ
ックスLのコラム・ベクトルu1ないしun-1によって表
される対応する主成分によってモデル化された平均中心
スペクトル・データ・マトリックスXmeanにおける分散
量に比例している。最大固有値と関連する主成分はX
meanの総分散の最大端数をモデル化する。実質的にn−
1よりも少ない主成分によって、スペクトル・マトリッ
クスXmeanの分散のほとんどをモデル化することができ
る。非ゼロの固有値のセットを主セットλ1ないしλk
よび2次セットλk+1ないしλn-1という2つのセットに
分割することができる。主セットが実質的にゼロよりも
大きいすべての値を含んでいるので、2次セットはほぼ
ゼロに等しい最小値を有するものとなる。主セットの固
有値は平均スペクトル・マトリックスXmeanの累積分散
の大部分をカバーしている。同様に、ローディング・マ
トリックスLをLIとL0に分割することができる。ただ
し、LIは1次主成分と呼ばれるコラム・ベクトルu1
いしukによって構成されたマトリックスであり、L0
2次主成分と呼ばれるコラム・ベクトルuk+1ないしu
n-1で構成されたマトリックスである。式(9)は次の
ように書き換えることができる。
【0044】
【数12】
【0045】この式において、k×nのマトリックスで
あるSIは次式のように表すことができる。
【0046】
【数13】
【0047】また、(n−k−1)×nのマトリックス
であるS0は次式のように表すことができる。
【0048】
【数14】
【0049】u1ないしukによって表される1次主成分
ベクトルのセットは平均中心スペクトル・マトリックス
meanの内部モデル空間と呼ばれるものの正規直交ベー
スを画定する。vk+1ないしvn-1によって表される2次
主成分のセットは外部モデル空間と定義されるものの正
規直交ベースを画定する。Xmeanのコラム・ベクトルに
よって表される各スペクトルを、2つのベクトルの和に
分解することができる。第1のベクトルは内部モデル空
間に投影され、w1ないしwkがXmeanの分散のほとんど
をカバーしているため、主成分モデル空間におけるベク
トルの最上位相関挙動を表す。第2のベクトルは外部モ
デル空間に投影され、主成分モデル空間内の残余変動を
表し、ランダム誤差であると見なされる。外部モデル空
間に投影される第2のベクトルは雑音その他の誤差項を
表すものであるから、分析からは省かれる。1次主成分
ベクトルu1ないしukはK次元の内部主成分空間に対す
る正規直交ベースを与えるものであり、元の平均中心ス
ペクトル・データ・マトリックスXmeanの変動のほとん
どを記述する。対応するスコア・マトリックスSI
[s1,s2,...,sn]は次式によって計算でき
る。
【0050】
【数15】
【0051】ただし、LI'はLIの転置である。ベクト
ルs1ないしsnは各々、k次元を有するコラム・ベクト
ルであり、主成分内部モデル空間における平均中心スペ
クトル・データ・マトリックスの対応するベクトルx1
−xmeanないしxn−xmeanに対する主成分スコアであ
る。換言すると、ベクトルxi−xmeanの1つが主成分
内部モデル空間に投影された場合、その座標の値はコラ
ム・ベクトルsiで表される。各平均中心スペクトル
(xi−x mean)に対する主成分スコア・ベクトルは、
次式により直接計算することができる。
【0052】
【数16】
【0053】上記の式は線形変換をもたらし、この変換
はl次元を有するベクトルによって表されるスペクトル
を主成分内部モデル空間におけるスコア・ベクトルに変
換する。このようにして、この平均中心マトリックスX
meanにおけるコラム・ベクトルの各々は、元のベクトル
よりも実質的に少ない次元を有する主成分内部モデル空
間におけるベクトルに変換される。
【0054】主成分分析は周知の統計的データ圧縮技法
であり、Malinowskiの「Factor An
alysis」という文献に記載されている。これまで
説明してきたプロセスによって、既知の製品を表す平均
ベクトルの全セットないし大域セットが主成分分析によ
って処理されて、主成分内部モデル空間に投影されたス
コア・ベクトルのセットとなる。各スコア・ベクトルが
既知の製品を表しているのであるから、これを既知製品
スコア・ベクトルと呼ぶ。このプロセスを図2の流れ図
で表すが、そのステップ31において、既知の製品を表
す平均ベクトルのスペクトルの大域セットが平均中心マ
トリックスXmeanに変換され、ステップ33において、
平均中心マトリックスに主成分分析を行って、ステップ
31において決定されたマトリックスに対する既知製品
スコア・ベクトルを得る。各々が製品のライブラリにあ
る製品の異なるものに対応しているこれらのベクトル
は、ステップ35においてクラスタに分離される。どの
既知製品スコア・ベクトルがどのクラスタに入っている
かを決定するために、各既知製品スコア・ベクトルの端
点と他の既知製品スコア・ベクトルの各々との間のユー
クリッド距離を測定し、ベクトルをリンクする最小全域
木を構築する。次いで、最小全域木を使用して、長さが
もっとも長い最小全域木のリンクにおいて最小全域木を
分割することによってベクトルをクラスタに分離する。
具体的にいうと、最小全域木の平均長さが決定され、ま
た最小全域木の長さの標準偏差も決定される。次いで、
平均最小全域木リンク+計数逓減率×最小全域木リンク
の長さにおける、次式のように表される標準偏差よりも
長さが長い各最小全域木リンクにおけるクラスタの間隔
を定義することによって、最小全域木をクラスタに分離
する。
【0055】
【数17】
【0056】ただし、aは最小全域木リンクの平均長
さ、kは計数逓減率、δは全域木リンクの長さの標準偏
差である。したがって、このプロセスは製品のライブラ
リ全体からの製品スコア・ベクトルをクラスタのセット
に分割する。通常、クラスタのほとんどは許容最大製品
スコア・ベクトルよりも多くを含んでおり、これらのク
ラスタは各クラスタの製品に限定したプロセスを繰り返
すことによって、さらに分割される。それ故、個々のク
ラスタにおけるベクトルの許容最大数が10である場合
には、ステップ37において、いずれかのクラスタが1
1以上のベクトルを有しているかどうかが判定される。
有している場合には、プロセスはステップ39に進み、
11以上のベクトルを含んでいる大きなクラスタに対し
て平均中心マトリックスが決定され、対応する既知の製
品を表す対応する平均ベクトルから、大きいクラスタの
各々に対する別個なマトリックスが決定される。プロセ
スは次いでステップ33を経て戻り、大きいクラスタか
ら決定された平均中心マトリックスに対して主成分分析
を行う。このプロセスはさらに分割される大きいクラス
タに対する主成分のセットを決定し、次いで大きいクラ
スタの各々に対して主成分内部モデル空間を決定する。
この決定に引き続いて、プロセスはステップ35を経て
進み、大きいクラスタの各々を上述と同じ態様でサブク
ラスタに分割する。この小分割プロセスにおいて、小分
割されるクラスタはステップ35までの最初の反復時よ
りも互いに接近しているので、製品ベクトル間の最小全
域木リンクの平均長さはより短くなり、したがって、ベ
クトルをサブクラスタに分離するための基準はより細か
くなる。上述のような主成分分析を次いで行って、許容
最大数の製品ベクトルよりも多くを含んでいる大きいク
ラスタを、サブクラスタまたは子クラスタと呼ぶ付加的
なクラスタにさらに分割する。同様にして、子クラスタ
を次いで、各クラスタまたはサブクラスタが含んでいる
製品が10種類以下になるまで、必要に応じ、孫クラス
タ、曾孫クラスタおよび玄孫クラスタにさらに分割す
る。このクラスタ化技法の例を図3に示す。本図におい
て、製品のライブラリは150種類の既知の製品を含ん
でいるものとしており、これらの製品のクラスタへの最
初の分割では、製品が2種類のクラスタ、25種類のク
ラスタ、38種類のクラスタ、33種類のクラスタ、9
種類のクラスタ、および43種類のクラスタに分割され
る。この例において、さらに小分割されることのないク
ラスタに入れることのできるベクトルの最大数は、10
に選択されている。製品の数が10種類を超えている2
5、38、33および43種類のクラスタは、これらに
含まれる製品の数が10種類を超えているため、サブク
ラスタにさらに分割する必要があり、したがって、25
種類の製品を含んでいるクラスタは、この例において
は、それぞれ3種類、7種類および15種類の製品を含
んでいるものとして表されているサブクラスタないし子
クラスタに分割される。15種類の製品を含んでいるサ
ブクラスタは、それぞれ5種類および10種類の製品を
含んでいるサブクラスタないし孫クラスタに分割され
る。この例において38種類の製品を含んでいる最上位
のクラスタは、それぞれ15種類、17種類、および7
種類の製品を含んでいるサブクラスタないし子クラスタ
に分割されている。15種類の製品を含んでいる子クラ
スタは次いで、第3のレベルにおいてそれぞれ10種類
および5種類の製品を含んでいるクラスタに分割され、
17種類の製品を含んでいる子クラスタは12種類およ
び5種類の製品を含んでいる孫クラスタにさらに分割さ
れる。12種類の製品の孫クラスタは第4レベルにおい
て4種類と8種類の製品を含んでいる曾孫クラスタにさ
らに分割される。33および43種類を含んでいる他の
最初のクラスタも、同様にしてさらに分割される。図に
おいて、クラスタの分割は4レベルすなわち曾孫クラス
タまでとなっているが、理論上では、クラスタをいくつ
のレベルまでさらに分割するかについての制限はない。
【0057】大きいクラスタがすべてサブクラスタに分
割されると、プロセスはステップ37からステップ41
へ進む。このステップにおいて、親クラスタならびにサ
ブクラスタを含む各クラスタの各ベクトルを中心とし
て、ハイパースフィアが構成される。ハイパースフィア
はこれが構成される主成分内部モデル空間と同じ数の次
元を有しており、したがって、k次元である。各ハイパ
ースフィアの半径は対応する製品に対するスペクトルの
トレーニング・セットの標準偏差スペクトルのユークリ
ッド・ノルムに、ユーザが選択できる計数逓減率を乗じ
て求められる。トレーニング・セットの標準偏差スペク
トルのユークリッド・ノルムを計算するために、標準偏
差をスペクトル全体にわたって分布している各波長の測
定点におけるトレーニング・セット値から計算し、次い
で、ユークリッド・ノルムを次式のように2乗の合計の
平方根を取ることによって、これらの値から計算する。
【0058】
【数18】
【0059】ただし、rは半径であり、xi sは測定点i
におけるトレーニング・セット吸光度の標準偏差であ
る。通常、計数逓減率は3になるように選択され、トレ
ーニング・セットの製品に対応する製品から導かれたベ
クトルの99%がハイパースフィアに入るようになる。
上記のプロセスを図4に示す。この図において、製品平
均スペクトルxi mは平均中心スペクトルxi−xmean
もたらし、これはLi'(xi−xmean)という演算によ
って製品スコア・ベクトルsiとして主成分内部モデル
空間に投影される。計数逓減率を乗じた製品に対する吸
光度スペクトルのトレーニング・セットの標準偏差スペ
クトルのユークリッド・ノルムに等しい半径を有するハ
イパースフィアが、製品スコア・ベクトルsiを中心と
して構成される。
【0060】ハイパースフィアの生成に引き続いて、製
品の各クラスタおよび製品の各サブクラスタを中心とし
て、エンベロープがステップ43で構成される。エンベ
ロープは主成分内部モデル空間と同じ数の次元(k次
元)を有するハイパーボックスという多次元の直方体ボ
ックスの形をしており、ベクトルと点の各々およびこれ
らを包囲しているハイパースフィアを含むように構成さ
れる。
【0061】未知の製品を同定するプロセスを図5に示
す。このプロセスにおいて、まずライブラリの既知のス
ペクトルのクイック・サーチが、上記で定義したクラス
タを使用して行われる。クイック・サーチにおいて、未
知の製品からの吸光度スペクトルが得られ、得られるス
ペクトルのスコア・ベクトルが、クラスタ分割の最初の
ステップにおけるクラスタの大域セットに対して構成さ
れた主成分内部モデル空間に投影される。この投影を行
うためには、まず、大域平均ベクトルxmeanを未知の製
品を表すベクトルから差し引き、次に、未知の製品を表
す得られた平均補正ベクトルに投影演算子LI'(ただ
し、LIおよびLI'は上述したように計算される)を乗
じる必要がある。投影演算子LI'は未知のサンプルのス
ペクトルを大域主成分ベクトルが及んでいる主成分内部
空間にスコア・ベクトルとして投影する。平均ベクトル
の大域セットの主成分内部空間への未知のサンプルの投
影後、プロセスは未知の製品を表している、得られる投
影製品ベクトルがクラスタを包囲しているハイパーボッ
クス・エンベロープに入るかどうかを判定する。未知の
製品を表すベクトルが、さらに小分割されることのない
クラスタのエンベロープに入っている場合には、同定プ
ロセスは、以下で説明するように、未知の製品をクラス
タ内の各製品と比較する完全サーチに進む。
【0062】未知の製品のベクトルがサブクラスタにさ
らに分割されるクラスタに入っている場合には、上述の
プロセスをサブクラスタに対して繰り返し、未知の製品
を表すベクトルがどのサブクラスタに入っているかを判
定しなければならない。上記で説明したように、各クラ
スタをサブクラスタに分割するための主成分内部モデル
空間は、平均ベクトルの大域セットに対して決定した大
域主成分内部モデル空間とは異なっており、また他のサ
ブクラスタに対して決定したものとも異なっている。し
たがって、主成分内部モデル空間への未知の製品の投影
を計算するプロセスは、各サブクラスタに対して個別に
行わなければならない。それ故、所与のサブクラスタに
対する投影を行うに当たっては、親クラスタに対する平
均中心マトリックスの平均ベクトルを、未知の製品のベ
クトルから差し引いて、未知の製品を表す平均補正ベク
トルを決定する。次いで、この平均補正スペクトル・ベ
クトルに、関連する主成分内部モデル空間に対する投影
演算子LI'を乗じて、平均補正未知製品ベクトルをこの
主成分内部モデル空間に投影する。関連する主成分内部
モデル空間は親クラスタをサブクラスタに分割するため
に使用したハイパースフィアである。このプロセスは製
品を表すベクトルがそれ以上分割されることのないサブ
クラスタに属しているか、あるいはいずれのサブクラス
タにも入っていないことが判明するまで繰り返される。
【0063】このプロセスのクラスタ同定ステップが完
了し、未知の製品がそれ以上分割されることのない同定
されたクラスタまたはサブクラスタに属していることが
判明した場合には、その同定されたクラスタまたはサブ
クラスタの既知の製品のライブラリ・スペクトルに対し
て、完全サーチを行って、未知の製品がどの製品に対応
しているかを判定する。この判定は数種類の方法によっ
て行われ、そのうちの1つは上述の米国特許第4766
551号に記載されている方法であり、この方法におい
ては、製品スペクトルによって表される多次元ベクトル
の間の角度が、同じくラスタ内の製品を表す平均ベクト
ルと比較され、ベクトル間の角度の余弦がある選択され
た最小値よりも小さい場合には、製品が同じ製品である
と見なされる。
【0064】第2の方法は未知の製品のスペクトルを1
点ずつ、クラスタ内の製品の1つを表すスペクトルの各
トレーニング・セットから決定されたスペクトル帯域と
比較することである。スペクトル帯域は各波長測定にお
けるトレーニング・セットの標準偏差を計算して、各波
長における帯域に対する上限と下限を決定することによ
って決定される。上限および下限はxi m±βxsである
(ただし、xsは各波長における標準偏差を表し、βは
ユーザが選択したスカラ量を表す)。このような帯域の
例を図4に示す。その吸光度スペクトルのすべての点が
測定値の近赤外線まで延びているトレーニング・セット
のスペクトルから決定された帯域内に入っている場合
に、製品はクラスタ内の特定の製品と同じものであると
判定される。
【0065】クイック・サーチによって特定されたクラ
スタに対応するライブラリ・スペクトルの完全なサーチ
を行う第3の方法によれば、主成分分析が特定されたク
ラスタに対応する各製品に対するスペクトルの各トレー
ニング・セットに適用される。この判定によって、クラ
スタの各製品のトレーニング・セットに対する主成分内
部空間のモデルが得られる。未知のサンプルを既知の製
品と合致させるために、ローカル主成分内部モデル空間
の未知のサンプルからのスコア・ベクトルを決定し、ス
コア・ベクトルとトレーニング・セットのスコア・ベク
トルの平均のマハラノビス(Mahalanobis)
距離を計算する。未知のサンプルのスコアベクトルのマ
ハラノビス距離が、ユーザの選択した閾値よりも小さい
場合には、未知のサンプルはローカル主成分内部モデル
空間の既知のサンプルと合致するものと判定される。既
知の製品のスコア・ベクトルとトレーニング・セットの
スコア・ベクトルの平均との間のマハラノビス距離は、
次式のように関連する固有値によって加重されたスコア
・ベクトルの未知の製品の座標の2乗の合計から決定で
きる。
【0066】
【数19】
【0067】ただし、dm 2(s)はマハラノビス距離を
表し、nはトレーニング・セット中のサンプルの数であ
り、sjは未知のサンプルのスコア・ベクトルのj番目
の座標であり、λjは既知の製品のトレーニング・セッ
トから導かれたローカル主成分内部モデル空間と関連づ
けられたj番目の固有値である。幾何学的にいうと、定
数よりも小さいマハラノビス距離にあるすべてのスコア
・ベクトルは、トレーニング・セットのスコア・ベクト
ルの平均を中心とするローカル主成分内部モデル空間の
楕円形境界に属する。
【0068】製品同定に関する上述の方法の各々は、米
国特許第4766551号の最初に記載された方法が既
知の製品との未知の製品の合致を完了する時間がもっと
も短く、満足できるものであり、第2の方法はもっと長
い時間を要するものであり、第3の方法はさらに長い時
間を要するものである。したがって、好ましい実施の態
様によれば、米国特許第4766551号をクラスタの
製品の第1のグループを除外するために使用して、検討
すべきより小さいグループを残し、次いで、第2の方法
を使用してこの第2のより小さいグループのサブグルー
プを除外して、検討すべきさらに小さい第3のグループ
を残し、次いで、マハラノビス距離法を使用して、製品
ライブラリ中の既知の製品との未知の製品の最終的な合
致を行う。
【0069】上述のように、このプロセスは主成分分析
を用いて、ハイパースフィアのクラスタとのベクトルの
比較のための、既知の製品と未知の製品両方を表すベク
トルの次元を減らしている。このプロセスを主成分分析
を使用せず、赤外線領域全体にわたるスペクトル測定値
の数に等しい次元を有するハイパースフィアへのびてい
るベクトルによって、各製品のトレーニング・セットを
表す平均製品ベクトルを比較し、製品をクラスタ化し、
上述したものと本質的に同じ態様で未知の製品を製品の
クラスタと比較するだけで行えることは明らかであろ
う。さらに、主成分分析ではない他の方法を使用して、
各製品を表すベクトルの次元を圧縮することもできる。
【0070】上述したクラスタ化技法が使用されている
ため、またベクトルの次元数を削減するために、主成分
分析と組み合わされて使用されているため、製品をライ
ブラリの未知の製品と合致させるのに必要な時間が、従
来の技術で必要とされる時間の数分の一に短縮される。
したがって、システムを荷役ドックで使用して、新規に
納入された製品の受け入れ前に、受領した製品の内容を
迅速に判定することができる。
【0071】
【発明の効果】したがって、本発明はクラスタ化技法を
使用しており、またベクトルの次元数を削減するため
に、主成分分析と組み合わせてクラスタ化技法を使用し
ているため、製品をライブラリの未知の製品と合致させ
るのに必要な時間を、従来の技術で必要とされる時間の
数分の一に短縮できるという利点を有する。また、本発
明を荷役ドックで使用すると、納入された製品の受け入
れ前に、受領した製品の内容を迅速に判定できるという
利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステムの装置を説明するブロック図
である。
【図2】既知の製品をベクトルによって表し、ベクトル
をクラスタとサブクラスタの階層木に分割するプロセス
の流れ図である。
【図3】本発明のプロセスによって、既知の製品をクラ
スタに分割する方法の例を示す図である。
【図4】製品の平均スペクトルおよび標準偏差スペクト
ルをモデル空間内の主成分に、スコア・ベクトルとして
投影し、スコア・ベクトルをハイパースフィアで包囲す
るというプロセスの略図である。
【図5】ベクトルで表された未知の製品を既知の製品の
クラスタ化されたベクトルと比較して、未知の製品の同
定を行う本発明のシステムのプロセスを表す流れ図であ
る。
【符号の説明】
11 近赤外線分光計 13 振動格子 15 出口スリット光学部品 17 サンプル 19 赤外線光電検出器 20 増幅器 21 コンピュータ 22 アナログ・ディジタル変換器 23 位置合わせシステム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 595144433 12101 Tech Road, Silv er Spring, Maryland 20904 U.S.A. (72)発明者 スチーブン エル.モンフル アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 02762 プレインビル ウォルナット ス トリート 78

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未知の製品を既知の製品のライブラリの
    1つと合致させる方法において、 前記既知の製品の各々について近赤外線スペクトルを測
    定するステップ(1)と、 前記既知の製品の各々に対して決定された吸光度スペク
    トルを表すハイパースペースまで延びている既知の製品
    のベクトルを生成するステップ(2)と、 前記の既知の製品のベクトルを、ハイパースペースまで
    延びているベクトルのクラスタであって、各クラスタ内
    のベクトルがこのようなクラスタ外部のベクトルよりも
    ハイパースペース内で互いに接近しているクラスタに分
    割するステップ(3)と、 ベクトルの前記クラスタの少なくともいくつかをハイパ
    ースペースまで延びているベクトルのサブクラスタに分
    割するステップ(4)と、 前記サブクラスタのすべてのベクトルの数が所定数より
    も小さくなるまで、前記サブクラスタの少なくともいく
    つかに前記ステップ(4)を繰り返すステップ(5)
    と、 前記クラスタおよびサブクラスタの各々を、対応するハ
    イパースペース内で画定されたエンベロープで包囲する
    ステップ(6)と、 前記未知の製品の吸光度スペクトルを測定するステップ
    (7)と、 前記未知の製品を表し、前記クラスタのハイパースペー
    スまで延びているベクトルが、ステップ(3)で分割さ
    れた前記クラスタを包囲する前記エンベロープのどれに
    属するかを決定するステップ(8)と、 前記未知の製品を表すベクトルがサブクラスタに分割さ
    れたクラスタを包囲しているエンベロープに属している
    場合には、前記未知の製品を表し、このようなサブクラ
    スタのハイパースペースまで延びているベクトルが、サ
    ブクラスタを包囲するエンベロープのどれに属するかを
    決定するステップ(9)と、 前記未知の製品を表すベクトルがさらに分割されないサ
    ブクラスタを包囲するエンベロープに属していると決定
    されるまで、さらに分割されているサブクラスタについ
    てステップ(9)を繰り返すステップ(10)と、 前記未知の製品が前記の最後に挙げたエンベロープ内の
    ベクトルによって表される既知の製品のどれと合致する
    かを決定するステップ(11)と、 を備えている未知の製品を既知の製品のライブラリと合
    致させる方法。
  2. 【請求項2】 前記ステップ(2)が前記既知の製品に
    ついて決定された前記吸光度スペクトルに主成分分析を
    行って、モデル空間内の主成分に投影された既知の製品
    の各々を表す既知の製品のスコア・ベクトルを決定する
    ことを含んでいる請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記ステップ(4)が各クラスタおよび
    サブクラスタの既知の製品のベクトルの吸光度スペクト
    ルに主成分分析を行って、このようなクラスタおよびサ
    ブクラスタの既知の製品のスペクトルに関して決定され
    たモデル空間内の主成分まで延びているクラスタまたは
    サブクラスタの既知の製品の各々に対する製品のスコア
    ・ベクトルを決定することを含んでいる請求項2記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 既知の製品の各々のスコア・ベクトルを
    ハイパースフィアで包囲することをさらに備えており、
    前記ステップ(6)が対応するクラスタのハイパースフ
    ィアを前記エンベロープの各々によって包囲することを
    含んでいる請求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記エンベロープの各々が直交次元のハ
    イパーボックスを備えている請求項2記載の方法。
  6. 【請求項6】 既知の製品のベクトルの各々をハイパー
    スフィアで包囲することをさらに備えており、前記ステ
    ップ(6)が対応するクラスタのハイパースフィアを前
    記エンベロープによって包囲することを含んでいる請求
    項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記エンベロープの各々が直交次元を有
    するハイパーボックスを備えている請求項1記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 前記既知の製品の吸光度スペクトルを測
    定し、 前記吸光度スペクトルに主成分分析を行って、モデル空
    間内の主成分に投影する既知の製品のスコア・ベクトル
    を決定し、 前記既知の製品のスコア・ベクトルをハイパースフィア
    で包囲し、 前記未知の製品の吸光度スペクトルを測定し、 前記未知の製品のスペクトルから、モデル空間内の主成
    分に投影する未知の製品のスコア・ベクトルを決定し、 前記未知の製品のスコア・ベクトルが前記ハイパースフ
    ィアのどれに属するかを決定することを備えている製品
    を既知の製品のライブラリの1つと合致させる方法。
  9. 【請求項9】 前記既知の製品の前記吸光度スペクトル
    が前記既知の製品の各々に対する複数のスペクトルのト
    レーニング・セットを含んでおり、前記方法が各トレー
    ニング・セットの平均吸光度スペクトルを取得し、前記
    平均スペクトルおよび対応するトレーニング・セットか
    ら既知の製品の各々に対する標準偏差を決定することを
    含んでおり、ハイパースフィアの各々が前記標準偏差の
    選択した倍数に等しい半径を有している請求項8記載の
    方法。
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