JPH1047470A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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Publication number
JPH1047470A
JPH1047470A JP8223140A JP22314096A JPH1047470A JP H1047470 A JPH1047470 A JP H1047470A JP 8223140 A JP8223140 A JP 8223140A JP 22314096 A JP22314096 A JP 22314096A JP H1047470 A JPH1047470 A JP H1047470A
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JP
Japan
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shift
speed
downhill
control
vehicle
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Application number
JP8223140A
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English (en)
Inventor
Kazuo Sasaki
和夫 佐々木
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の降坂走行時に運転者が制動操作を行な
ったときは、通常走行時に比べて低変速段領域が広く設
定された変速特性で変速制御を実行すると共に、この降
坂制御中に運転者がアクセル操作を行なったときには、
該降坂制御を解除するように構成された自動変速機の制
御装置において、上記降坂制御の解除条件を降坂制御中
の変速段に応じて変更することにより、違和感のない、
円滑な降坂を可能にすることを課題とする。 【解決手段】 降坂制御中に、アクセルペダル15の踏
込みによって車速センサ16で検出される車速の増加量
が所定値以上となったときには、該降坂制御を解除する
と共に、降坂制御中の変速段が2速のような低速段のと
きは3速のような高速段のときに比べて上記車速増加量
の所定値を小さくするコントロールユニット21を備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の降坂走行時
に運転者が制動操作を行なったときは、通常走行時に比
べて低変速段領域が広く設定された変速特性で変速制御
を実行すると共に、この降坂制御中に運転者がアクセル
操作を行なったときには、該降坂制御を解除するように
構成された自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両に搭載される自動変速機の
制御装置は、予め車速とスロットル開度とをパラメータ
として設定した変速マップにこれら二つの実測値を当て
はめて変速段を割り出し、自動的にシフトチェンジを行
なうようになっている。
【0003】その場合に、平坦路において適切なタイミ
ングでシフトチェンジが行なわれるように特性付けられ
た通常走行用の変速マップと、この通常変速マップに比
べて変速段の切換ライン(変速線)が相対的に高車速側
に設定されて低変速段領域が広くなるように特性付けら
れた降坂走行用の変速マップとを備えると共に、路面勾
配を検出し、その検出結果から車両の降坂走行が判定さ
れ、且つ、運転者が制動操作を行なって車両の減速度が
所定値以上となったときに、変速マップを上記通常変速
マップから降坂変速マップに切り換えて、この降坂変速
マップに基づく変速制御を実行することにより、降坂走
行に適したより大きなエンジンブレーキ力が得られるよ
うにする降坂制御を行なうものがある。また、変速マッ
プとしては一種類のものだけを備えて、このマップ自体
の変速線を変更、修正するものも知られている。
【0004】いずれにしても、降坂制御の結果として、
変速段がより大きなエンジンブレーキが得られるように
シフトダウンされることになるが、運転者によっては降
坂走行中であってもそれほどの減速を必要とせず、エン
ジンブレーキを不要と感ずる場合もあり、このようなと
きに降坂制御が続行されると走行し難く、運転者に違和
感を与えてしまうことになる。
【0005】そこで、特開平5−71626号公報に
は、降坂制御中であっても、運転者のアクセル操作によ
りスロットル開度(機関負荷)が所定値以上となった場
合は、降坂制御を解除して変速マップを降坂変速マップ
から通常変速マップに戻して、この通常変速マップに基
づく変速制御に復帰させることが開示されている。つま
り、この場合、運転者のアクセル操作によりスロットル
開度が所定値以上となったことは、運転者がエンジンブ
レーキを不要と感じ、アクセルペダルを踏み込んで加速
を要求しているのであるから、このような加速要求があ
ったときは、降坂制御を解除することが運転者の意図に
沿うものであり、これにより、運転者に違和感を与える
ことなくドライブフィーリングの向上を図ることができ
るとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
降坂制御の解除が行なわれると、該降坂制御の実行時と
は逆に変速段がシフトアップされることになる。例えば
車両が4速で降坂路に進入した場合は、降坂制御の実行
によって3速にシフトダウンされ、該降坂制御の解除に
よって再び4速にシフトアップされる。同様に、3速で
降坂路に進入した場合は、降坂制御の実行によって2速
にシフトダウンされ、該降坂制御の解除によって再び3
速にシフトアップされる。
【0007】そして、上記従来技術では、降坂制御の解
除条件であるスロットル開度の所定値が、該降坂制御を
解除しようとするときの走行変速段、すなわち降坂制御
によってシフトダウンされた変速段に拘りなく一律とさ
れて、3速にシフトダウンされた場合でも2速にシフト
ダウンされた場合でも、運転者がアクセルペダルをある
一定の同じ量だけ踏み込むことにより、上記降坂制御が
解除され、それぞれ4速又は3速にシフトアップされる
ようになっているために、次のような解決すべき不具合
が生じることになる。
【0008】すなわち、降坂制御によって3速にシフト
ダウンされた場合は、該降坂制御が解除されるとエンジ
ンブレーキ力の殆どない4速にシフトアップされるた
め、この4速走行で降坂路が続くと運転者は短期間のう
ちに制動操作を行なうことになる。その結果、降坂制御
が再び実行され、このような降坂制御の実行、解除が頻
繁に起こることになって却って走行し難くなる。したが
って、降坂制御によって3速にシフトダウンされた場合
は、該降坂制御の解除条件を厳しくし、換言すれば、ス
ロットル開度の所定値を大きくし、3速から4速へのシ
フトアップを起こり難くすることが好ましい。
【0009】しかしながら、このように降坂制御の解除
条件を厳しくすると、こんどは降坂制御によって2速に
シフトダウンされた場合に次のような問題が生じる。つ
まり、この2速走行ではエンジンブレーキ力が大きいか
ら、路面の変化により勾配が緩やかになったとき等には
エンジンブレーキ過多の状態が起こり易くなる。したが
って、降坂制御が解除され難いと、このようなエンジン
ブレーキ過多の状態が継続することになってやはり走行
し難くなるのである。そして、このような事態を回避し
ようとして解除条件を緩やかにすると先の問題が生じる
ことになる。
【0010】そこで、本発明は、降坂制御の解除条件を
変速段に応じて変更し、これにより、違和感のない、円
滑な降坂走行を可能にすることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は次のように特定される。
【0012】すなわち、本発明のうち請求項1に記載の
発明(以下「第1発明」という。)は、車両の降坂走行
を検出する降坂走行検出手段と、運転者の制動操作に関
連する値を検出する制動操作関連値検出手段と、上記降
坂走行検出手段で車両の降坂走行が検出され、且つ、制
動操作関連値検出手段で検出される制動操作に関連する
値が所定の実行条件を満足したときに、変速特性を通常
走行用の変速特性からこの通常変速特性よりも変速線が
高車速側に設定された降坂走行用の変速特性に切り換え
て、この降坂変速特性に基づく変速制御を実行する降坂
制御手段と、運転者のアクセル操作に関連する値を検出
するアクセル操作関連値検出手段と、上記降坂制御手段
による降坂制御の実行中に、上記アクセル操作関連値検
出手段で検出されるアクセル操作に関連する値が所定の
解除条件を満足したときには、変速特性を降坂変速特性
から通常変速特性に戻して、この通常変速特性に基づく
変速制御に復帰させる降坂制御解除手段とが備えられた
自動変速機の制御装置であって、車両の走行変速段を検
出する変速段検出手段と、該検出手段で検出される降坂
制御中の変速段が低速段のときは、高速段のときに比べ
て、上記アクセル操作に関連する値が、降坂制御解除手
段が変速特性を降坂変速特性から通常変速特性に戻す際
の解除条件を満足し易いように、該解除条件を変更する
解除条件変更手段とが設けられていることを特徴とす
る。
【0013】この第1発明によれば、降坂制御中の変速
段が、エンジンブレーキ力の相対的に大きい2速のよう
な低速段で走行中の場合は、降坂制御の解除条件が緩や
かになって、該降坂制御が解除され易くなり、これによ
り、エンジンブレーキ過多の状態が続くことが抑制され
ると共に、エンジンブレーキ力の相対的に小さい3速の
ような高速段で走行中の場合には、降坂制御の解除条件
が厳しくなって、該降坂制御が解除され難くなり、これ
により、降坂制御の実行、解除が頻繁に起こることが低
減され、全体として円滑な降坂走行が実現されることに
なる。
【0014】また請求項2に記載の発明(以下「第2発
明」という。)は、上記第1発明において、運転者のア
クセル操作に関連する値は、運転者のアクセルペダルの
踏込みによる車速の増加量であり、降坂制御解除手段が
変速特性を降坂変速特性から通常変速特性に戻す際の解
除条件は、上記車速の増加量が所定値以上となることで
あると共に、解除条件変更手段は、降坂制御中の変速段
が低速段のときは、高速段のときに比べて、上記車速増
加量の所定値を小さくするものであることを特徴とす
る。
【0015】この第2発明によれば、運転者のアクセル
ペダルの踏込みによる車速の増加量が所定値以上となる
ことが降坂制御の解除条件とされるので、単にスロット
ル開度の大きさだけから降坂制御を解除するものであれ
ば、僅かに車速を立て直そうとする程度の短時間のアク
セルペダルの踏込み等を加速要求と誤判断して降坂制御
を解除してしまう虞があるのに比べて、運転者が真に加
速を要求しているのか否かをより的確に把握することが
できることになる。
【0016】また、降坂制御中の変速段が2速のような
低速段のときは、3速のような高速段のときに比べて、
上記車速増加量の所定値が小さくされるので、次のよう
な作用が得られる。
【0017】すなわち、降坂制御によって3速にシフト
ダウンされた場合は、この3速ではエンジンブレーキ力
がそれ程大きくないため、運転者のアクセルペダルの踏
込みによって車速が短時間のうちに上昇し易くなる。そ
の結果、車速の増加量が速やかに所定値を超えることに
なり、降坂制御が早期に解除されてエンジンブレーキ力
の殆どない4速にシフトアップされ、前述のような降坂
制御の実行、解除が頻繁に起こることになる。したがっ
て、降坂制御によって3速にシフトダウンされた場合
は、車速増加量の所定値を大きくし、該降坂制御の解除
条件を厳しくすることによって、かかる不具合を解消す
ることができる。
【0018】一方、2速にシフトダウンされた場合に
は、車速増加量の所定値が小さくされて降坂制御の解除
条件が緩やかになるので、前述のような路面勾配の変化
によるエンジンブレーキ過多の状態が抑制されることに
なる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。
【0020】図1に示すように、この実施の形態におけ
る車両は、左右の前輪1,2が従動輪、左右の後輪3,
4が駆動輪とされ、エンジン5の出力トルクが自動変速
機6からプロペラシャフト7、差動装置8及び左右の駆
動軸9,10を介して左右の後輪3,4に伝達されるよ
うになっている。
【0021】また、各車輪1〜4には、該車輪1〜4と
一体回転するディスク11…11と、制動圧の供給を受
けてこれらディスク11…11の回転を制動するキャリ
パ12…12とが備えられ、ブレーキペダル13の踏込
みにより上記キャリパ12…12に制動圧が供給されて
各車輪1〜4の回転が制動されると共に、エンジン5の
吸気系にはスロットル弁14が配設されて、アクセルペ
ダル15の踏込みにより、該スロットル弁14の開度が
変更され、吸入空気量が可変制御されてエンジン出力が
調節されるようになっている。
【0022】そして、この車両には、車速を検出する車
速センサ16、スロットル弁14の開度を検出するスロ
ットルセンサ17、スロットル弁14が略全閉となった
ときにONとなるアイドルスイッチ18、及びブレーキ
ペダル13が踏み込まれたときにONとなるブレーキス
イッチ19が設けられていると共に、後に制御フローチ
ャートに沿って説明するように、これらのセンサ、スイ
ッチ類から入力される各種の信号、及び当該車両の現在
の走行変速段に基づいて自動変速機6の変速ユニット2
0に変速信号を出力するコントロールユニット21が備
えられている。
【0023】このコントロールユニット21は走行中常
に図2に示すフローチャートに従って変速制御を実行す
る。すなわち、ステップS1で後述するマップフラグF
mapの状態をみて、これが0にリセットされていると
きはステップS2に進んで図3に例示する通常走行用変
速マップを使用して変速制御を実行し、一方、1にセッ
トされているときはステップS3に進んで図4に例示す
る降坂走行用変速マップを使用して変速制御を実行す
る。
【0024】これら両マップ共、それぞれ図示したよう
に、予め車速とスロットル開度とをパラメータとして各
変速段が設定されており、これに車速センサ16で検出
された車速とスロットルセンサ17で検出されたスロッ
トル開度とを当てはめることにより、該当する変速段が
運転状態に最も適した変速段として決定されるようにな
っている。
【0025】その場合に、図3に示した通常変速マップ
は専ら平坦路走行で円滑な変速が実現するように各変速
線が設定されているのに対し、図4に示した降坂変速マ
ップでは、2−3変速線、3−4変速線、4−3変速線
及び3−2変速線が高車速側に設けられて低変速段領域
が拡張されており、車速及びスロットル開度が同じであ
っても、上記通常変速マップを使用する場合に比べてエ
ンジンブレーキのより大きな低変速段で走行する傾向が
大きくなるように設定されている。
【0026】これにより、例えば、図中、符号アで示し
たような走行状態では、通常変速マップに基づく変速制
御では4速が割り出されるが、降坂変速マップに基づく
変速制御では3速が割り出され、符号イで示したような
場合は、通常変速マップでは3速が割り出されるが、降
坂変速マップでは2速が割り出される。ただし、この実
施の形態においては、1−2変速線及び2−1変速線が
両マップで変化なく同じに設定されているため、図中、
符号ウで示したように、通常変速マップですでにエンジ
ンブレーキの大きな2速が割り出される場合は、降坂変
速マップでもそのまま2速が割り出されるようになって
いる。
【0027】そして、これら二種のマップのうちいずれ
を使用して変速制御を実行するのかが上記マップフラグ
Fmapの状態によって判定されるのであり、コントロ
ールユニット21はこのマップフラグFmapの状態を
図5、図6に示すフローチャートに従って決定する。
【0028】このマップフラグ決定制御は上記変速制御
とは別に所定の制御サイクル(例えば20ms)で繰り
返し実行され、1サイクル終了毎に、あるいは所定のタ
イミングでマップフラグFmapが読み出されて変速制
御に用いられるようになっている。
【0029】最初にこの制御の概要を説明しておくと、
まず車両が平坦路を走行しているのか降坂路を走行して
いるのかを判定し、平坦路を走行している場合は上記マ
ップフラグFmapを0にリセットして通常変速マップ
に基づく変速制御が行なわれるようにする一方で、降坂
路を走行している場合には、ブレーキペダル13が踏み
込まれ、かつ大きく減速しているときに限りマップフラ
グFmapを1にセットして通常変速マップに基づく変
速制御から降坂変速マップに基づく変速制御に切り換え
られるようにする。また、マップフラグFmapが1に
セットされていても、アクセルペダル15が踏み込ま
れ、かつその踏込み時からの車速が相当量増加したとき
又はその踏み込まれた状態が相当時間継続したときは、
マップフラグFmapを0にリセットして降坂変速マッ
プに基づく変速制御から通常変速マップに基づく変速制
御に戻されるように構成されている。以下、順次説明す
ることとする。
【0030】まず、ステップS11で各種の信号を読み
込んだのち、ステップS12で、前述の図3又は図4に
例示した変速マップに基づいて変速ユニット20に出力
した最新の変速信号から当該車両の現在の走行変速段G
を読み込み、次いで、ステップS13で走行路面の勾配
値gを算出する。
【0031】このとき、ステップS12で変速信号から
変速段Gを読み込む代わりに、例えば自動変速機6の入
出力軸の回転比から該変速機6のギア段Gを算出し、こ
れを変速段Gとするようにしてもよい。
【0032】また、ステップS13で算出される勾配値
gは、車両が走行している路面の勾配の程度に応じてそ
の値が求められ、平坦路で0、降坂路で負の値となり、
また路面勾配が急となるほど小さな値となる。
【0033】次のステップS14からステップS17ま
では、車両が平坦路を走行しているのか降坂路を走行し
ているのかを判定するルーチンであり、まずステップS
14で上記の算出された勾配値gの絶対値が所定の第1
勾配所定値K1よりも大きいか否かを判定する。つまり
車両がある程度の勾配の降坂路を走行しているかどうか
を判定するのである。その場合に、この第1所定値K1
は、図7に示すように、変速段Gが高いときの方が低い
ときよりも小さくなるように設定されている。したがっ
て、高速段で走行しているときほどこのステップS14
においてYESと判定され易くなることになる。なお、
第1所定値K1は図例のように線形に変化するものの
他、ステップ状に変化するようにしてもよい。そしてY
ESのときはステップS15に進んで勾配フラグFgを
1にセットし、NOのときはステップS16に進んでさ
らに勾配値gの絶対値が所定の第2勾配所定値K2以下
か否かを判定する。つまり車両が勾配の殆どない平坦路
を走行しているかどうかを判定するのである。なお、こ
の第2所定値K2は、同じく図7に示すように、第1所
定値K1より小さな0に近い値に設定されている。そし
て勾配値gの絶対値がこの第2所定値K2以下であれば
ステップS17に進んで勾配フラグFgを0にリセット
する一方で、NOの場合、すなわち勾配値gの絶対値が
第1所定値K1と第2所定値K2との間にある場合はそ
のまま次のステップS18に進む。
【0034】これにより、上記両所定値K1,K2間に
ヒステリシスが設けられることになり、車両がある程度
の勾配の降坂路を走行していると判断される場合は勾配
フラグFgが1にセットされる一方(ステップS14,
S15)、勾配の殆どない平坦路を走行していると判断
される場合には0にリセットされるが(ステップS1
6,S17)、路面勾配の程度がこれらの中間にある場
合はフラグFgの更新がなされず前回の状態が維持され
るため、勾配フラグFgの切換ハンチングが防止される
ことになる。
【0035】次のステップS18からステップS21ま
では、マップフラグFmapを1から0に戻す準備のた
めのルーチンであり、まずステップS18でアイドルス
イッチ18がONか否かを判定する。つまりアクセルペ
ダル15が踏み込まれていないかどうかを判定するので
ある。そしてYESのときはステップS19に進んで、
上記ステップS11で読み込んだ車速Vをアイドル時の
車速Viとして記憶する。このアイドル車速Viはアク
セルペダル15が踏み込まれていないあいだ更新され続
け、アクセルペダル15が踏み込まれているときには、
後述するようにステップS18からステップS21に進
んでこのアイドル車速Viの更新が停止するようになっ
ている。したがって、このアイドル車速Viはアクセル
ペダル15が踏み込まれる直前の車速、すなわちアクセ
ルペダル15の踏込み時の車速として残ることになる。
【0036】一方、ステップS18においてNOのと
き、つまりアクセルペダル15が踏み込まれているとき
はステップS21に進んでタイマーをカウントする。こ
のタイマーはアクセルペダル15が踏み込まれているあ
いだカウントされ続け、アクセルペダル15が踏み込ま
れていないときには、上記ステップS19に続くステッ
プS20でクリアされるようになっている。したがっ
て、このタイマーはアクセルペダル15の踏込み時から
の時間tを計時していることになる。
【0037】次に、アクセルペダル15が踏み込まれて
いない場合にステップS20に続いて行なわれるステッ
プS22からステップS25までを説明する。これはマ
ップフラグFmapを1にセットするかどうかを判定す
るルーチンで、まずステップS22でブレーキスイッチ
19がONか否かを判定する。つまりブレーキペダル1
3が踏み込まれているかどうかを判定するのである。そ
してYESのときはステップS23に進んで車両の減速
度aが所定値A以上か否かを判定する。つまりブレーキ
ペダル13が踏み込まれたことによって当該車両が所定
値A以上に大きく減速したかどうかを判定するのであ
る。その場合に、この減速度所定値Aは、図8に示すよ
うに、変速段Gが高いときの方が低いときよりも小さく
なるように設定されている。したがって、高速段で走行
しているときほどこのステップS23においてYESと
判定され易くなることになる。なお、減速度所定値Aは
図例のように線形に変化するものの他、ステップ状に変
化するようにしてもよい。そしてYESのときはステッ
プS24で前述の勾配フラグFgの状態をみて、これが
1にセットされている場合、つまり車両が降坂路を走行
している場合には、ステップS25に進んでマップフラ
グFmapを1にセットする。
【0038】しかしながら、これらステップS22,S
23,S24のいずれかにおいて、ブレーキペダル13
が踏み込まれていないか、所定値A以上に大きく減速し
ていないか、又は勾配フラグFgが0にリセットされて
いるときは、マップフラグFmapを1にセットするス
テップS25を経由せずに次のステップS29に進む。
つまり、車両が降坂路を走行している場合であって、ブ
レーキペダル13が踏み込まれ、かつ所定値A以上に大
きく減速している場合に限りマップフラグFmapが1
にセットされることになる。また、上記ステップS18
でアクセルペダル15が踏み込まれている場合は、マッ
プフラグFmapを1にセットするかどうかを判定する
これらのステップS22ないしS25を実行することな
くステップS21からステップS29に進む。
【0039】次のステップS26からステップS28ま
では、マップフラグFmapを1から0に戻すための判
定用所定値を設定するルーチンであり、まずステップS
26で図4に例示した降坂変速マップから割り出される
変速段G1を読み込んだのち、ステップS27及びステ
ップS28でそれぞれ判定用所定値Fv及びFtを設定
する。
【0040】ステップS27で設定される所定値Fv
は、後のステップS32において、車速Vから前述のア
クセルペダル15の踏込み時の車速Viを減じたもの、
すなわちアクセルペダル15が踏み込まれた時からの車
速の増加量の大きさを判定するために用いられる所定値
(以下「車速所定値」という。)である。
【0041】この車速所定値Fvは、図9に概念的に示
したように、アクセルペダル15の踏込み時の車速Vi
と、勾配値gの絶対値と、上記変速段G1とのそれぞれ
に対して関数となっている値f1のマップにこれらの実
値を当てはめて対応する値f1を割り出し、これを所定
値Fvとすることにより設定される。その場合に、この
関数値f1は、図10に示すようにアクセルペダル15
の踏込み時の車速Viが高いときの方が低いときよりも
大きく、また図11に示すように勾配値gの絶対値が大
きいときの方が小さいときよりも大きく、そして図12
に示すように変速段G1が高いときの方が低いときより
も大きくなるように設定されている。
【0042】したがって、アクセルペダル15の踏込み
時の車速Viが高いときほど、また勾配が急なときほ
ど、そして高速段で走行しているときほど、車速の増加
量が比較的大きくないとステップS32においてYES
と判定され難くなることになる。なお、関数値f1は図
例のように線形に変化するものの他、ステップ状に変化
するようにしてもよい。
【0043】一方ステップS28で設定される所定値F
tは、後のステップS33において、前述のアクセルペ
ダル15の踏込み時からの時間tの長さを判定するため
に用いられる所定値(以下「時間所定値」という。)で
ある。
【0044】この時間所定値Ftは、図13に概念的に
示したように、スロットル開度TVOと、勾配値gの絶
対値と、上記変速段G1とのそれぞれに対して関数とな
っている値f2のマップにこれらの実値を当てはめて対
応する値f2を割り出し、これを所定値Ftとすること
により設定される。その場合に、この関数値f2は、図
14に示すようにスロットル開度TVOが小さいときの
方が大きいときよりも大きく、また図15に示すように
勾配値gの絶対値が大きいときの方が小さいときよりも
大きく、そして図16に示すように変速段G1が高いと
きの方が低いときよりも大きくなるように設定されてい
る。
【0045】したがって、スロットル開度TVOが小さ
いときほど、また勾配が急なときほど、そして高速段で
走行しているときほど、アクセルペダル15の踏込み時
からの時間tが比較的長くないとステップS33におい
てYESと判定され難くなることになる。なお、この場
合においても、関数値f2は図例のように線形に変化す
るものの他、ステップ状に変化するようにしてもよい。
【0046】次のステップS29からステップS33ま
では、マップフラグFmapを0にリセットするかどう
か、又は1から0に戻すかどうかを判定するルーチンで
ある。
【0047】まずステップS29で勾配フラグFgの状
態をみて、これが0にリセットされている場合、つまり
車両が平坦路を走行している場合はステップS30に進
んでマップフラグFmapを0にリセットしたのちリタ
ーンする。
【0048】また車両が降坂路を走行している場合に
は、ステップS31に進んでアイドルスイッチ18がO
Nか否かを判定して、YESのとき、つまりアクセルペ
ダル15が踏み込まれていないときはそのままリターン
する一方で、NOのとき、つまりアクセルペダル15が
踏み込まれているときはステップS32に進んで前述の
車速の増加量の判定を行なう。そして、YESのとき、
つまりアクセルペダル15が踏み込まれた時からの車速
の増加量が上記ステップS27で設定された車速所定値
Fvより大きいときはステップS30に進んでマップフ
ラグFmapを0としたのちリターンする。
【0049】さらに、ステップS32でNOのときはス
テップS33に進んで前述の時間tの長さの判定を行な
う。そして、YESのとき、つまりアクセルペダル15
が踏み込まれた時からの時間tが上記ステップS28で
設定された時間所定値Ftより大きいときはステップS
30に進んでマップフラグFmapを0としたのちリタ
ーンする。すなわち、車速の増加量が車速所定値Fvを
越えていなくともアクセルペダル15の踏込み時間tが
時間所定値Ftを越えている場合にはマップフラグFm
apが0とされ、このアクセルペダル15の踏込み時間
tが制御のバックアップとして用いられている。
【0050】以上説明したこのマップフラグ決定制御に
よれば、マップフラグFmapが車両の走行状態に基づ
いて次のように変化する。
【0051】まず、車両が平坦路を走行中は、ステップ
S17で勾配フラグFgが0とされるので、運転者によ
るブレーキペダル13あるいはアクセルペダル15の操
作状況に拘らず、ステップS29からステップS30を
経由してマップフラグFmapが0と決定される。その
結果、通常変速マップに基づく変速制御が行なわれ、平
坦路走行に適した円滑な変速が実現することになる。
【0052】次に、車両が平坦路から降坂路に入り、ス
テップS15で勾配フラグFgが1にセットされた場合
について説明する。まず、運転者が依然加速を希望して
アクセルペダル15を操作しているときは、ステップS
18からステップS21を経由してステップS29ない
しS31に至ったのち、さらに次のステップS32ある
いはS33に進む。しかしながら、これらのステップS
32,S33でYESと判定されてステップS30に進
んでも、又はNOと判定されてそのままリターンしても
マップフラグFmapの変更はなく0のままとなる。
【0053】また、アクセルペダル15の操作は止めた
が、ブレーキペダル13も踏み込んでいない場合は、ス
テップS18からステップS19、S20を経由してス
テップS22に至り、ここからステップS29に進んだ
のち次のステップS31でリターンとなる。したがって
やはりマップフラグFmapの変更はなく0のままとな
る。
【0054】ところが運転者がブレーキペダル13を踏
み込んだときは、ステップS18からステップS22を
経てステップS23に至り、ここで大きな減速が生じて
いる場合に限りステップS25まで進んでマップフラグ
Fmapが1にセットされたのち、続くステップS26
からS28及びステップS29からS31まで進んでリ
ターンとなる。その結果、変速マップが通常変速マップ
から降坂変速マップに切り換えられて、該降坂変速マッ
プに基づく変速制御が行なわれ、結果として降坂路走行
に適したより大きなエンジンブレーキが得られることに
なる。
【0055】このように、勾配フラグFgが1に切り換
わっていても、ブレーキペダル13が踏み込まれている
こと、及び大きく減速していることを確認してマップフ
ラグFmapを1にセットするので、より大きなエンジ
ンブレーキの効く低変速段に切り換わったときの走行安
定性が保たれると共に、運転者の減速の意図がより的確
に考慮されることになる。
【0056】また、その場合に、前述したように、変速
段Gが高速段のときは、低速段のときに比べて、第1勾
配所定値K1及び減速度所定値Aがそれぞれ小さな値に
設定されているので、降坂制御前の変速段が4速の場合
は、該降坂制御の実行条件が緩やかになって、結果とし
て、4−3シフトダウンが起こり易くなり、逆に降坂制
御前の変速段が3速の場合には、該降坂制御の実行条件
が厳しくなって、結果として、3−2シフトダウンが起
こり難くなっている。これにより、エンジンブレーキ力
の殆どない4速で降坂路を走行している場合は、速やか
に3速にシフトダウンされてエンジンブレーキ力が早期
に高められることになり、一方、3速で降坂路を走行し
ている場合には、運転者が相当の減速が生じる程度に制
動操作をしたときに初めて大きなエンジンブレーキ力を
有する2速へのシフトダウンが起こることになる。この
とき、3速のエンジンブレーキ力はそれ程大きくはない
から、4−3シフトダウンが速やかに起こっても乗員に
不快な減速感を与えることがない。一方、3−2シフト
ダウンの場合は、2速への変速が早期に起こらず、大き
な減速が生じた時点でシフトダウンされるので、この2
速の大きなエンジンブレーキ力による減速のショックが
生じてもそれほど不快と感じられず、また、運転者の大
きな減速要求に沿うものとなる。
【0057】そして、走行路面が降坂路から平坦路に戻
り、ステップS17で勾配フラグFgが0に切り換わっ
たときは、ステップS29からS30に至ってマップフ
ラグFmapが1から0に変更されるので、再び変速マ
ップが降坂変速マップから通常変速マップに戻されて、
この通常変速マップに基づく変速制御が行なわれ、平坦
路走行に適した通常変速制御に復帰されることになる。
【0058】さらに、この制御によれば、降坂走行中で
あっても、次の場合にマップフラグFmapが1から0
にリセットされる。すなわち、アクセルペダル15が踏
み込まれてステップS18からステップS21を経由
し、ステップS29からS31に至ったのち、さらに次
のステップS32あるいはS33に進み、これらのステ
ップS32,S33でYESと判定された場合である。
【0059】このときステップS32でYESと判定さ
れるのは、前述した通り、アクセルペダル15が踏み込
まれた時からの車速の増加量が車速所定値Fvよりも大
きくなったときである。つまり、上記増加量が車速所定
値Fvを超えることは、運転者がそれほど大きく車速が
増加するまでアクセルペダル15を踏み込み続けた結果
であるから、かかる場合には、運転者が明らかにエンジ
ンブレーキを不要とし、加速を要求していると判断すべ
きであり、降坂変速マップの使用を中止して通常変速マ
ップで変速制御を行なうようにするのである。これによ
り、運転者の加速要求がより正確に反映されて、違和感
のない、良好なドライブフィーリングが実現することに
なる。
【0060】また、ステップS33でYESと判定され
るのは、前述した通り、アクセルペダル15が踏み込ま
れた時からの時間tが時間所定値Ftよりも大きくなっ
たときである。つまり、上記時間tが時間所定値Ftを
超えることは、運転者がそれほど長くアクセルペダル1
5を踏み込み続けた結果であるから、かかる場合におい
ても、運転者が明らかに加速を要求していると判断すべ
きであり、やはり降坂変速マップの使用を中止して通常
変速マップで変速制御を行なうようにするのである。た
だし、現実に車速が相当量増加したことによりマップフ
ラグFmapを1から0に変更するのが制御の信頼性の
面から好ましいので、このステップS33の判定はステ
ップS32でNOと判定された場合のバックアップとし
て実行する。
【0061】そして、その場合に、前述したように、上
記車速所定値Fvはアクセルペダル15の踏込み時の車
速Viが高いときの方が低いときよりも大きく設定され
て、マップフラグFmapが0にリセットされ難くなっ
ている。したがって、車速が高い状態で再びマップフラ
グFmapが1とされて低変速段に切り換わったときに
発生する大きな変速ショックの問題が防止されることに
なる。
【0062】また、上記車速所定値Fvは勾配値gの絶
対値が大きいときの方が小さいときよりも大きくなるよ
うに設定されて、同じくマップフラグFmapが0にリ
セットされ難くなっている。したがって、エンジンブレ
ーキの必要な急勾配の下り坂を走行中は余程車速が高く
ならない限りマップフラグFmapが0に変更されず、
なるべくエンジンブレーキの効いた走行が実現されるこ
とになり、また逆に緩勾配の下り坂を走行中はそれほど
車速が高くならなくともマップフラグFmapが0に変
更されて、早めにエンジンブレーキが解除され、運転者
の意志にマッチした良好なドライブフィーリングが維持
されることになる。
【0063】さらに、上記車速所定値Fvは、降坂制御
中の変速段G1が高いときの方が低いときよりも大きく
なるように設定されて、同じくマップフラグFmapが
0にリセットされ難くなっている。すなわち、降坂制御
によって変速段が4速から3速にシフトダウンされたと
きの方が、3速から2速にシフトダウンされたときより
も、該降坂制御の解除条件が厳しくされているのであ
る。これにより次のような作用が得られる。
【0064】すなわち、降坂制御によって3速にシフト
ダウンされた場合は、この3速ではエンジンブレーキ力
が相対的に小さいため、運転者のアクセルペダル15の
踏込みによって短時間のうちに車速Vが上昇し易くな
る。したがって、アクセルペダル15が踏み込まれた時
からの車速の増加量が早期に車速所定値Fvを超えるこ
とになり、マップフラグFmapが速やかに0にリセッ
トされてエンジンブレーキ力の殆どない4速へのシフト
アップが早期に起こる。しかし、この4速では、エンジ
ンブレーキ力が殆どないため、降坂路が続く場合は、運
転者は再び早期に制動操作を行なうことになり、その結
果、マップフラグFmapが再び短期間のうちに1にセ
ットされて、このような降坂制御の実行、解除が頻繁に
起こり走行し難いものとなる。そこで、降坂制御で3速
走行時には、上記車速所定値Fvを大きく設定して該降
坂制御の解除条件を厳しくすることにより、上記不具合
を解消するようにしているのである。
【0065】これに対して、降坂制御によってエンジン
ブレーキ力の大きい2速にシフトダウンされた場合に
は、逆に車速所定値Fvが小さく設定されて降坂制御の
解除条件が緩やかとされるので、3速へのシフトアップ
が早期に起こり、その結果、路面変化によって勾配が緩
やかになったとき等に生じるエンジンブレーキ過多の状
態が速やかに回避されて円滑な降坂走行が可能となる。
【0066】一方、上記時間所定値Ftはスロットル開
度TVOが小さいときの方が大きいときよりも大きく設
定されて、マップフラグFmapが0にリセットされ難
くなっている。したがって、運転者がアクセルペダル1
5をそれほど強く踏み込んでいない場合はマップフラグ
Fmapが0に変更されず、運転者が車速を少したて直
そうとする程度の目的でアクセルペダル15を僅かに踏
み込んだときに変速マップが通常変速マップに戻されて
違和感を与えるという不具合が解消されることになる。
【0067】さらに、上記時間所定値Ftは勾配値gの
絶対値が大きいときの方が小さいときよりも大きくなる
ように設定されて、同じくマップフラグFmapが0に
リセットされ難くなっている。したがって、エンジンブ
レーキの必要な急勾配の下り坂を走行中は余程長くアク
セルペダル15を踏み込み続けない限りマップフラグF
mapが0に変更されず、なるべくエンジンブレーキの
効いた走行が実現されることになり、また逆に緩勾配の
下り坂を走行中はそれほど長くアクセルペダル15を踏
み込み続けなくともマップフラグFmapが0に変更さ
れて、早めにエンジンブレーキが解除され、運転者の意
志にマッチした良好なドライブフィーリングが維持され
ることになる。
【0068】そして、上記時間所定値Ftは、降坂制御
中の変速段G1が高いときの方が低いときよりも大きく
なるように設定されて、同じくマップフラグFmapが
0にリセットされ難くなっている。すなわち、降坂制御
によって変速段が4速から3速にシフトダウンされたと
きの方が、3速から2速にシフトダウンされたときより
も、該降坂制御の解除条件が厳しくされているのであ
る。これによって、前述と同様に、降坂制御によって3
速にシフトダウンされた場合に起こり得る該降坂制御の
実行、解除の頻繁な繰返しが解消され、また、降坂制御
によって2速にシフトダウンされた場合に起こり得るエ
ンジンブレーキ過多の状態が回避されて円滑な降坂走行
が可能となる。
【0069】なお、以上のように、運転者のアクセルペ
ダル15の踏み量を検出する手段としてスロットルセン
サ17を用いたが、他にアクセルペダル15のストロー
ク(踏み量)を直接検出するアクセル開度検出手段や、
アクセルペダル15に作用する応力から踏み量を間接的
に検出するアクセル踏力検出手段等を用いてもよい。
【0070】次に、無段変速機を搭載した車両に本発明
を適用した場合の実施の形態について説明する。なお、
この場合における車両のハード的な構成は前述の実施の
形態に準じたものとされているので、その説明は省略す
る。
【0071】この場合の車両の変速制御は図17に示す
フローチャートに従って行なわれ、まずステップS10
1で、変速機への入力軸回転数、変速機からの出力軸回
転数ないし車速、スロットル開度ないしその変化率、路
面勾配、変速機のレシオ、つまり入力軸回転数に対する
出力軸回転数の比(速度比)等の各種出力信号を検出し
たのち、ステップS102でマップフラグFmapを判
定する。
【0072】そして、マップフラグFmapが0にリセ
ットされているとき、すなわち通常変速制御中は、ステ
ップS103で路面勾配が所定値αより大きいと判定さ
れ、ステップS104でブレーキスイッチがONと判定
され、且つ、ステップS105で車両の減速度が所定値
βより大きいと判定された場合に、ステップS106に
進んで図18に示すような降坂制御用の変速線図Bを選
択すると共に、ステップS107でマップフラグFma
pを1にセットし、一方、上記ステップS103ないし
S105のいずれかの判定でNO又はOFFの場合に
は、ステップS108に進んで図19に示すような通常
制御用の変速線図Aを選択すると共に、ステップS10
9でマップフラグFmapを0にリセットする。そし
て、いずれの場合も、次のステップS110に進んで、
各変速線図A又はBより目標入力軸回転数を算出し、ス
テップS111で、上記目標入力軸回転数が得られるよ
うにフィードバック制御により変速機に対してパルスを
発生する。
【0073】その場合に、上記降坂制御用変速線図Bで
は、通常制御用変速線図Aに比べて、速度比が最も高い
(エンジンブレーキが小さい)Highのラインが、図
18にRATIO1で示すように、Lowのライン寄り
に設定されている。これにより、スロットル開度が0の
場合であって、通常制御用変速線図A中、例えば符号カ
で示した走行状態のときに、変速線図が降坂制御用変速
線図Bに切り換えられると、該変速線図B中、符号カ’
で示すように目標入力軸回転数が上昇し、その速度比が
低下して、より大きなエンジンブレーキが得られるよう
になっている。
【0074】そして、このような降坂制御実行のための
判定に用いられる上記勾配所定値α及び減速度所定値β
が、それぞれ図20又は図21に示すように、通常制御
時の速度比が高いときの方が低いときよりも小さくなる
ように設定されている。これにより、降坂制御前の速度
比が高く、エンジンブレーキ力が小さい場合は、降坂制
御の実行条件が緩やかになって、結果として、速やかに
エンジンブレーキ力が高められることになり、一方、降
坂制御前の速度比が低く、エンジンブレーキ力が大きい
場合には、降坂制御の実行条件が厳しくなって、結果と
して、過大なエンジンブレーキ力の発生が低減されるこ
とになる。
【0075】一方、このようにマップフラグFmapが
1にセットされて、降坂制御の実行中であっても、ステ
ップS112でアイドルスイッチがOFFと判定され、
且つ、ステップS113で車両の加速度が所定値γより
大きいと判定された場合には、上記ステップS108に
進んで通常制御用変速線図Aを選択する。これにより、
降坂制御中であっても、アクセルペダルが踏み込まれ、
且つ、所定値γを越えて車両が加速されている場合に
は、降坂制御が解除されて通常制御に復帰することにな
る。
【0076】そして、その場合に、このような降坂制御
解除のための判定に用いられる上記加速度所定値γが、
図22に示すように、降坂制御時の速度比が高いときの
方が低いときよりも大きくなるように設定されている。
これにより、降坂制御中の速度比が高く、エンジンブレ
ーキ力が小さい場合は、降坂制御の解除条件が厳しくな
って、結果として、エンジンブレーキ力がさらに小さく
なることが回避されることになり、一方、降坂制御中の
速度比が低く、エンジンブレーキ力が過大となる場合に
は、降坂制御の解除条件が緩やかになって、結果とし
て、適度なエンジンブレーキ力で円滑な降坂走行が可能
となることになる。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の自動変速
機の制御装置では、車両の降坂走行時に運転者が制動操
作を行なったときは、降坂走行に適したより大きなエン
ジンブレーキ力が得られるように降坂制御を実行すると
共に、この降坂制御の実行中に運転者がアクセル操作を
行なったときには、該降坂制御を解除して運転者の加速
要求に沿った通常変速制御に復帰させる場合に、上記降
坂制御の解除条件を、該降坂制御中の走行変速段が3速
のような高速段の場合は厳しくすることにより、降坂制
御の実行、解除が頻繁に起こることが抑制されると共
に、2速のような低速段の場合には緩やかになるように
変更することにより、エンジンブレーキ過多の状態が続
くことが低減されて、全体として、違和感のない、円滑
な降坂走行を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における車両の制御シ
ステム図である。
【図2】 上記車両における変速制御のフローチャー
ト図である。
【図3】 上記変速制御で使用される通常走行用の変
速マップ図である。
【図4】 上記変速制御で使用される降坂走行用の変
速マップ図である。
【図5】 マップフラグの状態を決定する制御のフロ
ーチャート図である。
【図6】 同じくマップフラグの状態を決定する制御
のフローチャート図である。
【図7】 上記決定制御で用いられる所定値の傾向を
示す概念図である。
【図8】 上記決定制御で用いられる所定値の傾向を
示す概念図である。
【図9】 上記決定制御で用いられる所定値の傾向を
示す概念図である。
【図10】 上記決定制御で用いられる所定値の傾向
を示す概念図である。
【図11】 上記決定制御で用いられる所定値の傾向
を示す概念図である。
【図12】 上記決定制御で用いられる所定値の傾向
を示す概念図である。
【図13】 上記決定制御で用いられる所定値の傾向
を示す概念図である。
【図14】 上記決定制御で用いられる所定値の傾向
を示す概念図である。
【図15】 上記決定制御で用いられる所定値の傾向
を示す概念図である。
【図16】 上記決定制御で用いられる所定値の傾向
を示す概念図である。
【図17】 無段変速機の場合の本発明の実施の形態
における変速制御のフローチャート図である。
【図18】 上記変速制御で使用される降坂制御時の
変速線図である。
【図19】 上記変速制御で使用される通常制御時の
変速線図である。
【図20】 上記変速制御で用いられる所定値の傾向
を示す概念図である。
【図21】 上記変速制御で用いられる所定値の傾向
を示す概念図である。
【図22】 上記変速制御で用いられる所定値の傾向
を示す概念図である。
【符号の説明】
5 エンジン 6 自動変速機 13 ブレーキペダル 14 スロットル弁 16 車速センサ 17 スロットルセンサ 18 アイドルスイッチ 19 ブレーキスイッチ 21 コントロールユニット

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の降坂走行を検出する降坂走行検出
    手段と、運転者の制動操作に関連する値を検出する制動
    操作関連値検出手段と、上記降坂走行検出手段で車両の
    降坂走行が検出され、且つ、制動操作関連値検出手段で
    検出される制動操作に関連する値が所定の実行条件を満
    足したときに、変速特性を通常走行用の変速特性からこ
    の通常変速特性よりも変速線が高車速側に設定された降
    坂走行用の変速特性に切り換えて、この降坂変速特性に
    基づく変速制御を実行する降坂制御手段と、運転者のア
    クセル操作に関連する値を検出するアクセル操作関連値
    検出手段と、上記降坂制御手段による降坂制御の実行中
    に、上記アクセル操作関連値検出手段で検出されるアク
    セル操作に関連する値が所定の解除条件を満足したとき
    には、変速特性を降坂変速特性から通常変速特性に戻し
    て、この通常変速特性に基づく変速制御に復帰させる降
    坂制御解除手段とが備えられた自動変速機の制御装置で
    あって、車両の走行変速段を検出する変速段検出手段
    と、該検出手段で検出される降坂制御中の変速段が低速
    段のときは、高速段のときに比べて、上記アクセル操作
    に関連する値が、降坂制御解除手段が変速特性を降坂変
    速特性から通常変速特性に戻す際の解除条件を満足し易
    いように、該解除条件を変更する解除条件変更手段とが
    設けられていることを特徴とする自動変速機の制御装
    置。
  2. 【請求項2】 運転者のアクセル操作に関連する値は、
    運転者のアクセルペダルの踏込みによる車速の増加量で
    あり、降坂制御解除手段が変速特性を降坂変速特性から
    通常変速特性に戻す際の解除条件は、上記車速の増加量
    が所定値以上となることであると共に、解除条件変更手
    段は、降坂制御中の変速段が低速段のときは、高速段の
    ときに比べて、上記車速増加量の所定値を小さくするも
    のであることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機
    の制御装置。
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