JPH1037881A - ロータリコンプレッサ - Google Patents

ロータリコンプレッサ

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JPH1037881A
JPH1037881A JP19243496A JP19243496A JPH1037881A JP H1037881 A JPH1037881 A JP H1037881A JP 19243496 A JP19243496 A JP 19243496A JP 19243496 A JP19243496 A JP 19243496A JP H1037881 A JPH1037881 A JP H1037881A
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JP
Japan
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refrigerant
refrigerating machine
oil
machine oil
temperature
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JP19243496A
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Inventor
Takeshi Fukuda
岳 福田
Makoto Hayano
誠 早野
Kanji Sakata
寛二 坂田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地球環境に優しい冷媒と、その冷媒と相溶性
及び潤滑性を備えた冷凍機油を用いて、従来のR22用
コンプレッサを大幅に設計変更することなく対応を図
る。 【解決手段】 冷媒に、R407C又はR410A,R
410Bを用いる。一方、冷凍機油としては、ヒンダー
ド構造を持つ多価アルコールと、分子中の炭素数が5〜
10であり炭素鎖に分岐構造を持つ脂肪酸とが水を分離
して縮合生成されたポリオールエステルの分子構造を持
つと共に、絶対粘度が100℃において5.7cP以
上、使用冷媒と冷凍機油との低温側二層分離温度の最高
値が−20℃以上で、かつ、使用冷媒:冷凍機油=9:
1(wt)の比率における低温側二層分離温度が0℃以
下の条件とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、地球環境に優し
い冷媒を用いたロータリコンプレッサに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、空気調和装置や冷凍機等のロー
タリコンプレッサには、無害、無臭、取扱いが容易な所
からR22等のHCFC系冷媒が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】R22等のHCFC系
冷媒は、分子中に塩素を含むため、オゾン層を破壊して
地球環境に悪影響を与えるといわれており、将来的には
準備期間を設けて全面使用禁止となる。そのために、代
替冷媒及びその代替冷媒に対応した機器の開発が急務と
なっている。
【0004】代替冷媒としては、塩素を含まずオゾン層
を破壊しないHFC系冷媒を単一又は混合して使用する
ものが有力候補となっている。
【0005】ところが、HCF系冷媒は、R22用のコ
ンプレッサに使用されている冷凍機油と相溶せず、HC
F系冷媒と相溶性のある冷凍機油が求められる。
【0006】現在、R22用のコンプレッサに使用され
ている冷凍機油としてはVG56の鉱物油が広く使われ
ている。VG56の鉱物油の一例の、特性を図8に示
す。また、このVG56の鉱物油とR22との相溶性の
程度を表すため、冷媒と油の相溶性の指標として一般的
な、低温側二層分離温度曲線(JIS K 2211の
方法により測定)を図9に示す。(以下「低温側二層分
離温度」は「LCST」と略記する。なお、図9におい
て、横軸は、冷媒に対する冷凍機油の封入割合を示し、
例えば、10%は冷媒の9に対し冷凍機油が1となる
9:1の割合を、また、20%は8:2の割合をそれぞ
れに示す。
【0007】冷凍機油は機器内で冷媒と相溶して存在し
その役割を果たす。従って、代替冷媒に対応する冷凍機
油は、対象冷媒との組合せとして、従来の冷媒R22と
VG56の鉱物油との組合せと同等以上の役割をはたす
よう選定されることが望まれる。
【0008】そこで、この発明は、代替冷媒と、相溶性
のある冷凍機油とにより大幅な設計変更することなく優
れた性能、信頼性が得られるロータリコンプレッサを提
供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明は、冷媒に、R407C又はR410A,
R410Bを用いると共に、冷凍機油を内蔵したロータ
リコンプレッサにおいて、前記冷凍機油は、ヒンダード
構造を持つ多価アルコールと、分子中の炭素数が5〜1
0であり炭素鎖に分岐構造を持つ脂肪酸とが縮合生成さ
れたポリオールエステルの分子構造を持つと共に、絶対
粘度が100℃において5.7cP以上、使用冷媒と冷
凍機油との低温側二層分離温度の最高値が−20℃以上
で、かつ、使用冷媒:冷凍機油=9:1(wt)の比率
における低温側二層分離温度が0℃以下であることを特
徴とする。
【0010】そして、好ましい実施形態として、ヒンダ
ード構造を持つ多価アルコールとしては、ペンタエリス
リトールがある。
【0011】かかるロータリコンプレッサによれば、冷
媒にR407Cを用いると共に、冷凍機油に、ヒンダー
ド構造を持つ多価アルコールと、分子中の炭素数が5〜
10であり、炭素鎖に分岐構造を持つ脂肪酸とが水を分
離して縮合生成されたポリオールエステルを用いる。そ
して、絶対粘度が100℃において5.7cP以上、使
用冷媒と冷凍機油との低温側二層分離温度の最高値が−
20℃以上で、かつ、使用冷媒:冷凍機油=9:1(w
t)の比率における低温側二層分離温度が0℃以下の条
件とする一方、R22用のコンプレッサの仕様変更は一
切行なわず運転を行なった。
【0012】なお、軸受部には、電極を埋め込み運転中
の金属接触を検出し潤滑状態の判断を行なった所、従来
の冷媒R22とVG56の鉱物油の組合せと同等以上に
良好であった。
【0013】また、冷媒R22とVG56の鉱物油を組
合せた従来例と、運転中の油量を比較評価したが、従来
例に比べても油量が下回ることがなく、十分に油戻りが
あることが確認できた。
【0014】次に、冷凍機油を前記と同一条件とし、冷
媒にR410A,R410Bを用いる一方、R22用の
ロータリコンプレッサのシリンダの高さのみ変更して排
除容積を適正化し、その他の変更は一切行なわず、運転
を行なった。
【0015】なお、軸受部には、電極を埋め込み運転中
の金属接触を検出し潤滑状態の判断を行なった所、従来
の冷媒R22とVG56の鉱物油の組合せと同等以上に
良好であった。
【0016】また、冷媒R22とVG56の鉱物油を組
合せた従来例と、運転中の油量を比較評価したが、従来
例に比べても油量が下回ることがなく、十分に油戻りが
あることが確認できた。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図6の図面を参照
しながらこの発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0018】図1において、1はロータリコンプレッサ
3の密閉ケースを示しており、密閉ケース1内には、電
動機部5と圧縮機構部7がそれぞれ設けられている。電
動機部5は、密閉ケース1の内壁面に固着されたステー
タ9と、シャフト11に固着されたロータ13とからな
り、ステータ9に電流が流れることで、ロータ13を介
してシャフト11に回転動力が与えられるようになる。
【0019】圧縮機構部7は、密閉ケース1の内壁面に
固着されたシリンダ17と、シリンダ17内に配置され
たローラ19とから成り、ローラ19には前記シャフト
11が貫通している。
【0020】シャフト11はメインベアリング21とサ
ブベアリング23とによって回転自在に両端支持されて
いる。シャフト11には、シリンダ17に対応する部分
に偏心した偏心軸部25が設けられている。偏心軸部2
5には、シリンダ17内に配置された前記ローラ19が
嵌合し、ローラ19は、偏心軸部25の回転により偏心
回転が与えられるようになる。
【0021】メインベアリング21とサブベアリング2
3には、取入口が密閉ケース1内に臨む吐出管27と連
通し合う吐出ポート29が、また、シリンダ17には、
冷媒を取入れる吸込管31と接続連通し合う吸入ポート
33と、前記ローラ19の外周面と背圧又はばね等によ
る付勢手段35によって常時接触し合うブレード37と
が設けられ、ローラ19及びブレード37とにより圧縮
室39が作られるようになっている。
【0022】吐出ポート29には開閉弁41が設けられ
ると共に、吐出ポート29は、マフラー室49によって
取囲まれ、密閉ケース1内と連通している。
【0023】冷媒には、HFC系冷媒であるR410A
(R32とR125の2種混合冷媒、混合比50:50
wt%)あるいは、R410B(R32とR125の2
種混合冷媒、混合比45:55wt%),あるいは、R
407C(R32とR125とR134aの3種混合冷
媒、混合比23:25:52wt%)が用いられてい
る。
【0024】メインベアリング21及びサブベアリング
23と偏心軸部25の外周面には給油ポンプ43により
密閉ケース1の底部に設けられた冷凍機油45が潤滑給
油路47を介して供給されるようになっている。
【0025】冷凍機油45は、ヒンダード構造を持つ多
価アルコールと、分子中の炭素数が5〜10であり炭素
鎖に分岐構造を持つ脂肪酸とが水を分離して縮合生成さ
れたポリオールエステルの分子構造を持つと共に、絶対
粘度が100℃において5.7cP以上、使用冷媒と冷
凍機油との低温側二層分離温度の最高値が−20℃以上
で、かつ、使用冷媒:冷凍機油=9:1(wt)の比率
における低温側二層分離温度が0℃以下となっている。
【0026】この点について具体的に説明する。
【0027】まず、ポリオールエステル油であるが、こ
の、ポリオールエステル油は、原料の多価アルコールと
脂肪酸とがエステル結合した分子構造を持ち、HFC系
冷媒と相溶性を有する。現在は、原料の入手性やコス
ト、安定性、合成し易さ等から多価アルコールとして
は、ヒンダード構造(−OH基から2番目の炭素原子、
すなわち、β位の炭素原子が水素原子と結合をもたない
構造、アルコールとして安定性に優れる)であるネオペ
ンチルグリコール,トリメチロールプロパン,ペンタエ
リスリトールが有力であり、特にペンタエリスリトール
が最有力となっている。
【0028】また、脂肪酸としては、分子中の炭素数が
5〜10であり、炭素鎖が分岐構造(エステル結合とな
ったとき結合部の耐加水分解性が優れる)のものが最有
力となっている。
【0029】次に、絶対粘度が100℃において5.7
cP以上、使用冷媒と冷凍機油との低温側二層分離温度
の最高値が−20℃以上で、かつ、使用冷媒:冷凍機油
=9:1(wt)の比率における低温側二層分離温度が
0℃以下となっていることについて具体的に説明する。
【0030】まず、代替冷媒と、対応冷凍機油が従来の
冷媒R22とVG56の鉱物油の組合せで得られる場合
と同等以上の役割を果すために必要な特性を検討した
所、次の通りである。
【0031】まず、潤滑性について、軸受けでの流体潤
滑は、軸−軸受け間に油の粘性によって十分な厚さの油
膜が形成され両部材を非接触の状態に保つことでなされ
る。従ってその潤滑状態は、支えるべきガス負荷および
油膜形成に必要な粘度に依存する。ジャーナル軸受け理
論によると、軸受け半径r,軸半径すきまc,絶対粘度
η,回転数N,軸受面圧pとすると、ゾンマーフェルト
数Sは式1)の様に定義される。
【0032】 S=(r/c)2 ・η・N/p …1) また、同理論によると、油膜厚さはゾンマーフェルト数
Sに対し正の依存性がある(ゾンマーフェルト数が大き
くなると油膜厚さも厚くなる)。
【0033】ここで、式1)より、同一の設計の軸受け
では、軸受け半径r,軸半径すきまcが定数であり、ま
た、軸受けの潤滑面積が一定のため軸受け面圧pは荷重
Wに比例する。従ってゾンマーフェルト数Sは式2)の
ようになる。
【0034】 S∝η・N/W …2) 次に、負荷の大きさについて、まず、R407Cは、従
来のR22と冷媒物性が比較的近いことを特徴とする
が、同一温度での圧力が約1.1倍(NIST REF
PROP V.4による)である。従って、同一条件
(同一凝縮温度、同一蒸発温度、同一回転数)でのガス
圧縮負荷も約1.1倍となる(吐出圧力Pd、吸い込み
圧力Psがそれぞれ約1.1倍になるので、冷媒ガスの
圧力をPsからPdまで昇圧するために発生するガス圧
縮負荷も約1.1倍)。このために、従来のロータリコ
ンプレッサを変更せずに、同一回転数で油膜厚さを、従
来の冷媒R22とVG56の鉱物油の組合せの場合と同
等に保つには、粘度を1.1倍にすればよいことがわか
る。
【0035】次にR410AとR410Bの場合である
が、R410Bは冷媒物性がR410Aと非常に近いの
で、ここではR410Aを例にとって説明する。R41
0Aは、従来のR22と物性が異なる。まず、圧力がR
22の約1.6倍(NISTREFPROP V.4に
よる)である。このため、そのままではガス圧縮負荷が
約1.6倍となってしまう。しかしまたR410Aは冷
凍能力が高いので、R22と同能力のコンプレッサとす
るには圧縮室の排除容積がR22の約0.7倍(NIS
T REFPROP V.4による)でよい。従って、
排除容積の縮小の仕方によっては、コンプレッサの大幅
な設計変更をせずに、ガス圧縮負荷を、R22の1.6
×0.7=1.1倍程度まで少なくできる可能性があ
る。このことについて以下に説明する。
【0036】ロータリコンプレッサの場合、R410A
用対応として排除容積を0.7倍に変更するには、R2
2用コンプレッサの、シリンダの内径を変更するか、ロ
ーラー外径を変更するか、シリンダ高さを変更すること
となる。但し、シリンダ内径をR22用コンプレッサよ
り大きくすること、およびローラー外径をR22用コン
プレッサより小さくすることは、ブレード37の移動距
離を大きくすることにつながり、ブレード37側面の摩
耗を促進するなどブレード37の信頼性が悪化するので
好ましくない。従って、排除容積を0.7倍に小さくす
るには、シリンダ内径をR22用コンプレッサより小さ
くするか、ローラー外径をR22用コンプレッサより大
きくするか、シリンダ高さをR22用コンプレッサより
小さくすることで排除容積を調節することとなる。
【0037】次に、排除容積変更の仕方と、ガス圧縮負
荷の多少の関係を検討する。まず、ガス圧縮負荷は、ガ
ス圧力に抗して圧縮を行う面積に比例し、従ってローラ
ー外周の面積に比例する。このことから、ローラー外径
r 、シリンダ内径Rc (図2参照)、シリンダ高さt
(図1参照)、排除容積V、ガス圧縮負荷Fとすると、
次式が成立する。
【0038】
【数1】 F∝(ローラー外周の面積)=2πRr ・t …3) また、排除容積は次式で与えられる。
【0039】 V=(πRc 2 −πRr 2 )・t …4) 排除容積をR22コンプレッサの0.7倍にする場合
に、まず、ローラー外径Rr を一定値に固定しシリンダ
内径Rc とシリンダ高さtを変数と見なし、これらの値
を小さくして排除容積の変更を行う場合を考える。3)
式をみると、ガス圧縮負荷Fはtを小さくした場合のみ
減少するので、Rc はR22の値から変更せずtを小さ
くする方法が好ましいことがわかる。
【0040】そこで、次に、シリンダ内径Rc をR22
用コンプレッサの値に固定することとし、ローラー外径
r とシリンダ高さtを変数として排除容積をR22の
0.7倍とする場合を考える。4)式=(R22用コン
プレッサの排除容積の0.7倍)=定数であるので、
4)式によってRr とtは相関づけられており独立変数
ではない。従って4)式を3)式に代入しtを消去する
ことで次式を得る。
【0041】
【数2】 F∝(Rr /Rc 2 /{1−(Rr /Rc 2 …5) 5)式はRr に対し単調増加関数である。つまり、ガス
圧縮負荷はローラー外径Rr が小さいほど減少する。R
r を小さくするということは、4)式=定数である今の
場合は、tを小さくするということである。この場合も
結局、シリンダ高さtを小さくすることが望ましい。
【0042】以上の検討より、R22用ロータリコンプ
レッサの排除容積をR410A用に変更する際、ガス圧
縮負荷を小さくするにはシリンダ高さを小さくすること
が望ましい。
【0043】以上の検討より、R22用ロータリコンプ
レッサの排除容積をR410A用に変更する際には、ガ
ス圧縮負荷を小さくするにはシリンダ高さtを小さくす
ることが望ましいことがわかる。排除容積をシリンダ高
さtのみの変更で調節する場合、4)式よりガス圧縮負
荷はシリンダ高さtに比例するので、ガス圧縮負荷はR
22用コンプレッサの1.6×0.7=1.1倍とな
る。つまり、上記の考察より、ガス圧縮負荷を最小でR
22の約1.1倍程度とした際には、大幅な設計変更を
しないで済む。
【0044】このように、結果的にR407Cの場合と
同じように、R410Aを用いた場合でも、コンプレッ
サの大幅な設計変更をせずに同一回転数で油膜厚さを、
従来の冷媒R22とVG56の鉱物油の組合せの場合と
同等に保つには、粘度を1.1倍にすればよい。
【0045】ところで、コンプレッサ運転中の冷凍機油
は、温度の上昇により粘度が低下している。ここで、運
転中の軸受け部の温度を測定したところ、従来の冷媒R
22及び本発明の冷媒R407C,R410Aのいずれ
の場合も、代表的な条件(ASHRAE条件、60Hz
運転)で、軸受け温度が約100±10℃であった。従
って、軸受け部で油膜形成する冷凍機油の粘度はこの温
度の値である。よって、軸受けの潤滑油膜厚さを、従来
の冷媒R22とVG56の鉱物油の組合せと同等以上に
保つには、100℃における従来のVG56の鉱物油の
絶対粘度5.2cPの1.1倍、つまり5.7cP以上
の絶対粘度を持つ冷凍機油であることが好適である。
【0046】但し、上記で導出した好適条件は、冷媒と
冷凍機油の相溶性が従来の冷媒R22とVG56の鉱物
油の組合せと同程度で冷媒希釈による粘度低下が同等レ
ベルと考えられる範囲でのみ適用できる。このことにつ
いて以下に説明する。
【0047】コンプレッサ運転中の冷凍機油は、冷媒の
溶け込みによる希釈によっても粘度が低下している。冷
媒と冷凍機油の相溶性の違いによって軸受けの潤滑がど
のように影響するかを、コンプレッサ軸受けでの運転
中、金属接触量評価法で評価した。金属接触量評価法
は、軸受けに電極を埋め込み、運転中の軸−軸受けの油
膜切れ、つまり直接接触による導通を電気的に検出する
方法である。この方法により、R407C、およびR4
10Aと、適合候補油の軸受け潤滑状態を評価した。運
転状態は、コンプレッサをエアコン搭載、暖房条件(室
内気温27℃一定、室外気温0℃一定、コンプレッサ運
転周波数−暖房定格周波数)で行った。これらのデータ
の内100℃の絶対粘度が5.7cP以上の油(ポリオ
ールエステル油以外の油も含む)のものを、冷媒との相
溶性の指標として一般的な、低温側二層分離温度の最高
値を用いて整理した結果を図5に示す。図5より、低温
側二層分離温度の最高値が−20℃以下の場合では軸受
けで接触が起こっていることがわかる。このことから、
低温側二層分離温度の最高値が−20℃以下となり、冷
媒との相溶性が従来の冷媒R22とVG56の鉱物油
(低温側二層分離温度最高値が+5℃)に比べて良すぎ
る場合は、軸受けで油膜を形成する冷凍機油の粘度に対
する冷媒希釈の影響が従来の冷媒R22とVG56の鉱
物油の組合せに比べて大きくなり、上記で導いた条件を
満たしても軸受けで十分な油膜を形成する粘度を保てな
いと考えられる。従って、軸受けで、従来の冷媒R22
とVG56の鉱物油の組合せと同等の潤滑性を維持する
には100℃の絶対粘度が5.7cP以上であると同時
に冷媒との低温側二層分離温度の最高値が−20℃以上
であることが冷凍機油45として好適となる。
【0048】次に、冷凍機油の油戻り性について、冷媒
と油の相溶性はあまり悪くても不適である。冷凍機油は
冷凍サイクル内を循環するため、蒸発器からコンプレッ
サに戻ってくるためには、冷媒とある程度相溶性が良い
こともまた必要であるからである。従来の冷媒R22と
VG56の鉱物油の組合せと同等の油戻り性を確保する
には、蒸発器内の条件、すなわち多量の冷媒中に少量の
油が溶け込んだ状態での相溶性が従来の冷媒R22とV
G56の鉱物油の組合せと同等以上に良好であることが
好適である。従来の冷媒R22とVG56の鉱物油を組
合せた相溶性の指標を示す図9を参照すると、冷媒と冷
凍機油が9:1(wt)という冷媒リッチな比率で混合
された場合の低温側二層分離温度が0℃となっている。
R407C,R410A,Bと冷凍機油の組合せの場合
に従来と同等以上の油戻り性を確保するためには、冷媒
と冷凍機油が9:1(wt)の比率の低温側二層分離温
度が従来と同等の0℃以下であることが好適である。
【0049】このように構成されたロータリコンプレッ
サにおいて、冷媒にR407Cを用いると共に、冷凍機
油45に、多価アルコールとしてペンタエリストール,
脂肪酸として炭素数8で炭素鎖が1つのエチル(C2H
5−)基分岐をもつものと、炭素数9で炭素鎖が3つの
メチル(CH3−)基分岐を持つものを化学的に混合し
て水を分離し縮合生成した形のポリオールエステルであ
り、図3のような物性を持たせたポリオールエステル油
を用いコンプレッサ内に内蔵した。また、R22用コン
プレッサからの仕様変更は、一切行なわず運転した。
【0050】なお、軸受部には、電極を埋め込み運転中
の金属接触を検出し潤滑状態の判断を行なった所、図5
●印に示す如く、従来の冷媒R22とVG56の鉱物油
の組合せ、すなわち○印と同等以上に良好であった。
【0051】また、冷媒R22とVG56の鉱物油を組
合せた従来例と、運転中の油量を比較評価したが、従来
例に比べても油量が下回ることがなく、十分に油戻りが
あることが確認できた。
【0052】次に、冷媒にR410A,410Bを用い
ると共に、冷凍機油45に、多価アルコールとしてペン
タエリストール,脂肪酸として、炭素数8で炭素鎖が1
つのエチル(C2H5−)基分岐を持つものと、炭素数
9で炭素鎖が3つのメチル(CH3−)基分岐を持つも
のを化学的に混合して水を分離し縮合生成した形のポリ
オールエステルであり、図4に示すような物性を持たせ
たポリオールエステルをコンプレッサに内蔵した。ま
た、R22用コンプレッサの仕様は、シリンダの高さt
の変更にとどめ、排除容積を適正化して運転を行った。
【0053】なお、軸受部には、電極を埋め込み運転中
の金属接触を検出し潤滑状態の判断を行なった所、図5
□印に示す如く、従来の冷媒R22とVG56の鉱物油
の組合せ、すなわち○印と同等以上に良好であった。
【0054】また、冷媒R22とVG56の鉱物油を組
合せた従来例と、運転中の油量を比較評価したが、従来
例に比べても油量が下回ることがなく、十分に油戻りが
あることが確認できた。
【0055】ちなみに、図6に示す如く、冷媒に410
A,冷凍機油45にポリオールエステル油を用いると共
に、ポリオールエステル油の100℃における絶対粘度
を4.5cP,低温側二層分離温度の最大値−28℃,
冷媒:冷凍機油=9:1(wt)の比率の低温側二層分
離温度が−42℃とし、100℃粘度と、低温側二層分
離温度の最大値の条件を満していない状態で実験を行っ
た所、図5△印に示す如く軸受けでの油膜形成が不十分
となることがわかった。
【0056】また、図7に示すごとく、冷媒にR410
A、冷凍機油45にポリオールエステル油を用いると共
に、ポリオールエステル油の、100℃の絶対粘度を9
cP、冷媒:冷凍機油=9:1(wt)の比率の低温側
二層分離温度の最大値+12℃とし、冷媒:油=9:1
(wt)の比率の低温側二層分離温度の条件を満たして
いない状態で試験を行ったところ、運転中の油量を比較
評価したが24時間後の油の戻り性が従来に比べて不十
分となることがわかった。
【0057】
【発明の効果】以上、説明したようにこの発明のロータ
リコンプレッサの冷凍機油は、HFC系冷媒となるR4
07C又はR410A,R410Bと相溶性を有するた
め、十分な油戻りが得られた。また、潤滑状態も従来の
冷媒R22とVG56の鉱物油の組合せと同等以上の良
好な結果が得られた。しかも、従来のR22用のコンプ
レッサを大幅に設計変更することなく、冷媒とその冷凍
機油の入れ換えのみで、オゾン層を破壊するといわれる
地球環境問題に対する対応が可能になると共に、優れた
性能、信頼性が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるロータリコンプレッサの概要
切断面図。
【図2】シリンダの切断面図。
【図3】この発明にかかる冷凍機油の第1の実施形態の
物性値を示した説明図。
【図4】この発明にかかる冷凍機油の第2の実施形態の
物性値を示した説明図。
【図5】低温側二層分離温度の最大値と軸受接触量の関
係を示した説明図。
【図6】この発明にかかる冷凍機油において、100℃
絶対粘度及び低温側二層分離温度の最大値をかえた比較
例の冷凍機油の物性値を示した説明図。
【図7】100℃絶対粘度及び低温側二層分離温度の最
大値をかえた比較例の冷凍機油の物性値を示した説明
図。
【図8】従来の冷凍機油の物性値の説明図。
【図9】従来の冷媒と冷凍機油の相溶性の指標を示す説
明図。
【符号の説明】
3 ロータリコンプレッサ 45 冷凍機油

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷媒に、R407C又はR410A,R
    410Bを用いると共に、冷凍機油を内蔵したロータリ
    コンプレッサにおいて、前記冷凍機油は、ヒンダード構
    造を持つ多価アルコールと、分子中の炭素数が5〜10
    であり炭素鎖に分岐構造を持つ脂肪酸とが水を分離して
    縮合生成されたポリオールエステルの分子構造を持つと
    共に、絶対粘度が100℃において5.7cP以上、使
    用冷媒と冷凍機油との低温側二層分離温度の最高値が−
    20℃以上で、かつ、使用冷媒:冷凍機油=9:1(w
    t)の比率における低温側二層分離温度が0℃以下であ
    ることを特徴とするロータリコンプレッサ。
  2. 【請求項2】 ヒンダード構造を持つ多価アルコール
    は、ペンタエリスリトールであることを特徴とする請求
    項1記載のロータリコンプレッサ。
JP19243496A 1996-07-22 1996-07-22 ロータリコンプレッサ Pending JPH1037881A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100677526B1 (ko) 2005-07-29 2007-02-02 엘지전자 주식회사 로터리 압축기 및 이를 적용한 에어콘
JP2010139171A (ja) * 2008-12-12 2010-06-24 Hitachi Appliances Inc 冷媒圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP2015135214A (ja) * 2014-01-17 2015-07-27 株式会社東芝 空気調和装置
JP2021036193A (ja) * 2012-10-31 2021-03-04 ダイキン工業株式会社 冷凍装置

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