JPH1037857A - 往復動圧縮機 - Google Patents

往復動圧縮機

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JPH1037857A
JPH1037857A JP19348996A JP19348996A JPH1037857A JP H1037857 A JPH1037857 A JP H1037857A JP 19348996 A JP19348996 A JP 19348996A JP 19348996 A JP19348996 A JP 19348996A JP H1037857 A JPH1037857 A JP H1037857A
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JP
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piston
pressure
ring
cylinder
rider
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JP19348996A
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Masafumi Kaai
雅史 河相
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Tokico Ltd
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Tokico Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は往復動圧縮機のライダリング及びピ
ストンリングの磨耗及び変形を防止することを課題とす
る。 【解決手段】 往復動圧縮機1は、クランクケース4
と、クランクケース4上に取り付けられた低圧シリンダ
5と、低圧シリンダ5上に取り付けられた高圧シリンダ
6とよりなる。クランクシャフト7の回転に伴って、連
接棒9に連結された低圧ピストン11が低圧シリンダ5
内を往復動すると共に、高圧ピストン13も高圧シリン
ダ6内を往復動する。高圧ピストン13の上端と下端に
は、高圧ピストン13の摺動動作をガイドするライダリ
ング24が強固に嵌合されている。このライダリング2
4の外周には、微細溝24aが軸方向に形成されている
ため、ライダリング24の上面側の圧力と下面側との圧
力とがほぼ同一となり、ライダリング24が上下面にか
かる圧力差により変形することが防止され、磨耗及び折
損の促進を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は往復動圧縮機に係
り、特に潤滑油を用いない2段圧縮により高圧気体を生
成するよう構成した往復動圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】高圧気体を生成する往復動圧縮機では、
高圧縮比のピストン・シリンダ機構が2段に設けられて
おり、吸引した気体を圧縮する第1のピストン・シリン
ダ機構と、第1のピストン・シリンダ機構により圧縮さ
れた気体を圧縮する第2のピストン・シリンダ機構とを
有する構成となっている。
【0003】この種の往復動圧縮機においては、第1の
ピストン・シリンダ機構よりも第2のピストン・シリン
ダ機構の圧縮比が高くなっているため、第2のピストン
・シリンダ機構のピストン口径が極めて小さくピストン
ストロークが長く設定されている。そして、往復動圧縮
機の型式としては、第2のピストン・シリンダ機構のピ
ストンに側面圧受圧部とシール部を分離させた所謂「ク
ロスヘッド形」が主に用いられている。
【0004】また、ピストンがシリンダ内径に芯ずれの
ない状態で往復動させるため、ピストンのクロスヘッド
部に対して圧縮シール部は少々可撓性をもたせた構成
(所謂「フローティングピストン」)としている。とこ
ろが、上記構成とされた往復動圧縮機を潤滑油を用いな
い無給油式(オイルレス)とする場合、特に高圧縮比を
有する第2のピストン・シリンダ機構では、ピストンリ
ングの摩耗が激しくなるため、運転時間が長くなるにつ
れてピストンリングがシリンダ内壁との摺動抵抗により
摩耗し、ピストンリングのセルフシール性能が著しく低
下し、耐久性を著しく低下させていた。
【0005】また、ピストンリングの摩耗によりピスト
ンリングのセンタリング機能が減少しピストンの芯ずれ
が生じた結果、フローティングピストンがシリンダ内壁
に対してがたついた状態で摺動することになり、ピスト
ンリングのより一層の摩耗、ひいては破損を招くおそれ
があった。
【0006】そこで、従来の無給油式往復動圧縮機で
は、次のような対策が取られていた。 ピストンリングを自己潤滑性のある材料で構成す
る。 高圧にも耐え、高い摺動性能を有し、耐磨耗性を有
するポリイミド樹脂(PI)、充填物を混合したポリイ
ミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEE
K)、充填物を混合したポリエーテルエーテルケトン樹
脂等でピストンリングを形成する。 フローティングピストンの外周にガイド部材を設
け、シリンダ内径に対してピストンの摺動を規制するよ
う構成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の往復動圧縮機で
は、次のような問題がある。上記のピストンリングを
自己潤滑性のある材料で構成した場合ピストンが往復動
するにつれてピストンリングが磨耗し、ピストンリング
のセンタリング機能の減少による芯ずれが生じる結果、
分離したピストン(フローティングピストン)が運転中
にがたつくことによりピストンリングの磨耗と破損が生
じる。
【0008】さらに、この往復動圧縮機では、ピストン
リングが吐出圧力の背圧により、シリンダ内壁に押しつ
けられながら摺動することになるため、ピストンリング
にとって過酷な運転となる。また、ピストンリングが少
量磨耗したとき、ピストンは、上下差圧の影響、及び往
復運動によって揺動しシリンダ内でがたつきを行うよう
になる。
【0009】また、ピストンリングの磨耗によるがたつ
きは、ピストンリングの材質によって条件が異なり、塑
性変形を起こしやすい材質(例えば、フッ素樹脂ナチュ
ラル材)では、塑性変形が進行してがたつきはさらに促
進される。また、塑性変形を起こしにくい材質でも、物
性によっては(例えば、エポキシ樹脂含浸黒鉛等)では
磨耗粉を発生し、がたつきは更に促進される上、耐久性
に問題があった。
【0010】上記とした場合、ピストンのがたつきを
防止するため、高圧にも耐え、高い摺動性能を有し、耐
磨耗性を有する上記材質によりピストンリングを形成し
ているが、これらの樹脂材は剛性が高い反面柔軟性に乏
しいため、ピストンリングがシリンダ内壁に有効に接触
せず、ガスシール性を損なうという問題、及び強く押圧
することによりピストンリングの折損等を引き起こすと
いった問題がある。
【0011】また、この種のピストンリングは、剛性が
高い反面、塑性変形が起きず、運転中シリンダ内壁にな
じまないため、無潤滑状態のシリンダ内部では、潤滑油
等によるシール性も期待できないのでガスシール性を損
なうといった問題がある。上記では、フローティング
ピストンの外周にガイド部材を設けてシリンダ内径に対
してピストンの摺動を規制してピストンが運転中にがた
つくことを防止するため、所謂ライダリングをピストン
の上下方向に均等に設置する。ここで、特に吐出圧力が
高く、潤滑油を用いないピストン・シリンダ機構である
場合、ピストンリングは変形、損傷が少ない構成となる
が、このときの摺動はすべて吐出圧力による背圧によっ
てシリンダに押し付けられながらピストンが往復動され
るため、ピストンリングにとって過酷な運転となるとい
った問題がある。
【0012】このときライダリングとして用いるピスト
ンリング、ないしはライダリング(摺動部材)に寸法規
制に伴う荷重以外にピストンリング上下の差圧によるシ
リンダへの押圧力がかかる、すなわちライダリングの上
下面に圧力差が生じるとピストンリングの磨耗が促進さ
れ、圧縮機の耐久性が低下することになる。
【0013】上述したように、従来の〜の対策を取
ったとしてもピストンリングの耐久性の多少の向上を図
れるのみであり、ピストンリングの摩耗に対する抜本的
な解決策とはなっていなかった。そこで、本発明は上記
課題を解決した往復動圧縮機を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記請求項1の発明は、
吸引した気体を圧縮する第1のピストン・シリンダ機構
と、第1のピストン・シリンダ機構により圧縮された気
体を圧縮する第2のピストン・シリンダ機構とを有する
往復動圧縮機において、前記第2のピストン・シリンダ
機構のピストンの外周溝に装着されたピストンリング
は、複数のピストンリング片を突き合わせて環状に形成
され、且つ前記ピストンリング片の突き合わせ部分が段
付き形状に形成されたことを特徴とするものである。
【0015】従って、上記請求項1によれば、第2のピ
ストン・シリンダ機構のピストンの外周溝に装着された
ピストンリングが、複数のピストンリング片を突き合わ
せて環状に形成されたため、ピストンリングの磨耗によ
る圧縮性能の低下を防止すると共に、耐久性の向上を図
ることができる。さらに、ピストンリングの磨耗に伴う
センタリング機能の低下、及びピストンリングのがたつ
きによりピストンリングの磨耗と折損の促進を防止す
る。
【0016】また、請求項2の発明は、前記第2のピス
トン・シリンダ機構のシリンダは、前記ピストンが摺動
する摺動面に微細な凹凸部分を形成したことを特徴とす
るものである。従って、上記請求項2によれば、ピスト
ンが摺動する摺動面に微細な凹凸部分を形成したため、
上記請求項1と同様な効果が得られると共に、ピストン
が摺動するシリンダの摺動面にピストンの摺動抵抗を軽
減するための柔軟層を形成することができる。
【0017】また、請求項3の発明は、吸引した気体を
圧縮する第1のピストン・シリンダ機構と、第1のピス
トン・シリンダ機構により圧縮された気体を圧縮する第
2のピストン・シリンダ機構とを有する往復動圧縮機に
おいて、前記第2のピストン・シリンダ機構のピストン
は、前記ピストンリングが装着されるピストンの外周に
周方向と交差する方向に延在する連通路を有することを
特徴とするものである。
【0018】従って、上記請求項3によれば、ピストン
リングが装着されるピストンの外周に周方向と交差する
方向に延在する連通路を有するため、ピストンの上動に
より圧縮された気体の一部が連通路を通過してライダリ
ングの上面側の圧力と下面側との圧力とが均等化され、
ライダリングが上下面にかかる圧力差による変形を防止
できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明の一実施
例について説明する。図1は往復動圧縮機の縦断面図で
ある。往復動圧縮機1は、無給油式の2段圧縮機であ
り、大略、吸引した気体を圧縮する低圧側の第1のピス
トン・シリンダ機構2と、第1のピストン・シリンダ機
構2により圧縮された気体を圧縮する高圧側の第2のピ
ストン・シリンダ機構3とが直列に組み合わせた構成と
なっている。
【0020】また、往復動圧縮機1は、クランクケース
4と、クランクケース4上に取り付けられた低圧シリン
ダ5と、低圧シリンダ5上に取り付けられた高圧シリン
ダ6とよりなる。クランクケース4の内部には、クラン
クシャフト7が回転自在に軸承する軸受8が取り付けら
れている。また、クランクシャフト7の一端には連接棒
9が連結されたフライホィール10が一体的に設けら
れ、クランクシャフト7の他端は駆動源である駆動モー
タ(図示せず)の駆動軸に連結されている。
【0021】連接棒9は、下端部がフライホィール10
の側面から突出するクランクピン10aが嵌合された軸
受9aを有し、上端部がクランクケース4から低圧シリ
ンダ5内に延在しており、低圧シリンダ5内に摺動可能
に挿入された低圧ピストン11のピストンピン(図示せ
ず)に連結されている。
【0022】低圧ピストン11は低圧シリンダ5内に嵌
入された円筒状のシリンダライナ5aに摺動自在に挿入
されている。また、低圧ピストン11は外周に複数のリ
ング溝(図1中隠れて見えない)が形成されており、各
リング溝には、ピストンリング12a,ライダリング1
2bが装着されている。
【0023】また、低圧ピストン11の上方中央には、
高圧ピストン13が固着されている。そして、高圧ピス
トン13は高圧シリンダ6内に嵌入された円筒状のシリ
ンダライナ6cに摺動自在に挿入されている。クランク
シャフト7の回転に伴って、連接棒9に連結された低圧
ピストン11が低圧シリンダ5内を往復動すると共に、
高圧ピストン13も高圧シリンダ6内を往復動する。従
って、上記第1のピストン・シリンダ機構2は低圧シリ
ンダ5と低圧ピストン11とから構成され、第2のピス
トン・シリンダ機構3は高圧ピストン13と高圧シリン
ダ6とから構成されている。
【0024】高圧ピストン13の摺動ストロークは低圧
ピストン11の摺動ストロークと同一であるが、高圧ピ
ストン13の外径は低圧ピストン11の外径よりも小径
となっている。そのため、高圧ピストン13の圧縮比
は、低圧ピストン11よりも高く設定されており、吸引
した気体をより高い圧力に圧縮することができる。
【0025】高圧シリンダ6は、下部が低圧側のシリン
ダヘッド部6aで、上部に高圧ピストン13が往復動す
る高圧側のシリンダ室6bが形成されている。また、シ
リンダヘッド部6aには、吸気音を軽減するサイレンサ
14が取り付けられた吸気路15と、第1のピストン・
シリンダ機構2により圧縮された気体を排出する排気路
16とが設けられている。
【0026】そして、吸気路15には1段目の吸込弁1
7が取り付けられ、排気路16には1段目の吐出弁18
が取り付けられている。吸込弁17は低圧ピストン11
が下方向に摺動する間に開弁するリーフ弁であり、吐出
弁18は低圧ピストン11が上方向に摺動する間に開弁
するリーフ弁である。
【0027】また、高圧シリンダ6のシリンダ室6bに
は、高圧ピストン13が往復動可能に嵌合しており、シ
リンダ室6bの上部は、閉塞プラグ19により閉塞され
ている。そして、高圧シリンダ6はサイドバルブ方式が
用いられており、閉塞プラグ19の下方には排気路16
から排気された圧縮気体が供給される2段目の吸込弁2
0と、高圧ピストン13の上動により圧縮された高圧気
体をタンク(図示せず)へ吐出させる2段目の吐出弁
(図示せず)とが設けられている。
【0028】高圧ピストン13は低圧ピストン11と共
に往復動する。従って、高圧ピストン13がシリンダ室
6bを下動する過程で高圧シリンダ6の吸込弁20が開
弁して低圧ピストン11により圧縮された圧縮気体がシ
リンダ室6bに導入され、高圧ピストン13がシリンダ
室6bを上動する過程で吐出弁(図示せず)が開弁して
さらに圧縮された高圧気体が高圧タンク(図示せず)に
充填される。
【0029】このように、往復動圧縮機1では、第1の
ピストン・シリンダ機構2と第2のピストン・シリンダ
機構3とが直列に組み合わされた構成となっているの
で、クランクシャフト7が回転駆動されると、圧縮比の
異なる低圧ピストン11及び高圧ピストン13が同時に
往復動して高圧気体が断続的に吐出される。
【0030】図2は高圧ピストン13を拡大して示す縦
断面図である。高圧ピストン13は、低圧ピストン11
より軸線に沿って延在するロッド21の上端にボルト2
2により固定されている。高圧ピストン13には、軸線
に沿って延在するボルト挿通孔23が貫通されており、
高圧ピストン13の上端にはボルト22の頭部22aが
挿入される凹部13aが設けられている。
【0031】ボルト22は外径がボルト挿通孔23の内
径よりも小径であるので、ボルト挿通孔23とボルト2
2との間には一定のクリアランスS1 ,S2 が設けられ
ている。従って、低圧シリンダ5内に嵌入されたシリン
ダライナ5aの軸線とシリンダ室6b内に嵌入されたシ
リンダライナ6cとの軸線とが半径方向(水平方向)に
ずれていた場合、上記クリアランスS1 ,S2 によりボ
ルト22がボルト挿通孔23内で半径方向に変位するこ
とができる。
【0032】そのため、直列に連結された低圧ピストン
11及び高圧ピストン13が低圧シリンダ5及び高圧シ
リンダ6の加工誤差、組立誤差等により低圧シリンダ5
と高圧シリンダ6との軸線が半径方向にずれた場合で
も、ボルト挿通孔23とボルト22との間に設けられた
クリアランスS1 ,S2 により低圧ピストン11及び高
圧ピストン13はスムーズに往復動する。
【0033】また、高圧ピストン13は外周にライダリ
ング用リング溝13bとピストンリング用リング溝13
cとが設けられ、ライダリング用リング溝13bにはラ
イダリング24が装着され、ピストンリング用リング溝
13cにはピストンリング25が装着されている。
【0034】図3は高圧ピストン13の外観を拡大して
示す側面図である。高圧ピストン13の上端と下端に
は、高圧ピストン13の摺動動作をガイドするライダリ
ング24が強固に嵌合されている。このライダリング2
4の外周は、高圧ピストン13に取り付けられた後、機
械加工によりシリンダライナ6cの内壁に隙間なく摺接
するように調整される。
【0035】このようにして高圧ピストン13の上端と
下端に装着されたライダリング24は、圧縮気体の圧力
により変形しないはずであるが、実際には高圧ピストン
13とシリンダライナ6cの内壁との微小なクリアラン
スにより、高圧ピストン13の上動により圧縮気体が高
圧になると共にライダリング24の上下面にかかる圧力
差が拡大してライダリング24を変形させてしまうこと
がある。
【0036】そのため、ライダリング24の外周には、
微細溝24aが軸方向に形成されている。この微細溝2
4aは、ライダリング24の外周の一部を軸方向に削除
して形成されており、シリンダライナ6cの内壁との間
にライダリング24の上面側と下面側とを連通する通路
を形成する。
【0037】このようにライダリング24の外周に軸方
向に延在する微細溝24aが設けられているため、高圧
ピストン13の上動により圧縮された気体の一部が微細
溝24aを通過してシリンダライナ6cの内壁と高圧ピ
ストン13外周との間に流入する。そのため、ライダリ
ング24の上面側の圧力と下面側との圧力とがほぼ同一
となり、ライダリング24の上下面にかかる圧力差が小
さくなる。その結果、ライダリング24が上下面にかか
る圧力差により変形することが防止され、磨耗及び折損
の促進を防止できる。
【0038】尚、本実施例では、ライダリング24の外
周の一部を削除するようにして微細溝24aを形成した
が、これに限らず、ライダリング24の上面側と下面側
とを連通する微細な孔をライダリング24の内部に形成
しても良い。また、微細溝24aは、溝幅が広いものの
半径方向の寸法が極めて小さいので、シリンダライナ6
cの内壁と高圧ピストン13外周との間を通過して低圧
シリンダ5へ流出する気体の量は僅かであり、圧力損失
は軽微である。
【0039】図4は高圧ピストン13に装着されたライ
ダリング24の変形例を拡大して示す斜視図である。ラ
イダリング24の外周には、螺旋状のスパイラル溝26
が形成されている。そのため、高圧ピストン13の上動
により圧縮された気体の一部がスパイラル溝26を通過
してシリンダライナ6cの内壁と高圧ピストン13外周
との間に流入する。よって、ライダリング24の上面側
の圧力と下面側との圧力とが均等化され、ライダリング
24が上下面にかかる圧力差による変形を防止できる。
【0040】このスパイラル溝26は、ライダリング2
4の上面側と下面側とを連通する微細な通路であり、上
記微細溝24aよりも全長が長くなっている。そのた
め、シリンダ室6bの加圧された気体は、スパイラル溝
26を通過してシリンダライナ6cの内壁と高圧ピスト
ン13外周との間に流入するまでに徐々に減圧され、気
体の流出量を絞ることができ、微細溝24aが形成され
たライダリング24を用いた圧縮機に比して圧縮効率の
低減を少なくすることができる。
【0041】図5は高圧ピストン13に装着されたライ
ダリング24の別の変形例を拡大して示す図である。高
圧ピストン13の上端及び下端には、角ネジ状の螺旋リ
ング溝27が設けられており、螺旋リング溝27には帯
状ライダリング28が装着されている。そして、帯状ラ
イダリング28は断面形状が螺旋リング溝27の断面と
同一の角柱状に形成され、螺旋リング溝27に圧入され
ている。また、帯状ライダリング28は、螺旋リング溝
27に対し接着あるいはかしめにより強固に固着されて
脱落が防止されている。
【0042】このように、帯状ライダリング28は高圧
ピストン13の外周に螺旋状に巻付けられているため、
帯状ライダリング28が巻装されていない部分には、螺
旋状通路29が形成されている。そのため、高圧ピスト
ン13の上動により圧縮された気体の一部が螺旋状通路
29を通過してシリンダライナ6cの内壁と高圧ピスト
ン13外周との間に流入する。よって、ライダリング2
8の上面側の圧力と下面側との圧力とが均等化され、上
下面にかかる圧力差によるライダリング28の変形を防
止できると共に、ライダリング28の高圧ピストン13
への組み付けが容易になる。
【0043】図6はライダリング24を使用しない高圧
ピストン13の構成を拡大して示す図である。高圧ピス
トン13には、ライダリングが装着されておらず、高圧
ピストン13の上端及び下端にもピストンリング30が
装着されている。このピストンリング30が装着された
リング溝31は、他のリング溝13cよりも寸法t1
け浅く加工されており、且つリング溝31と交差する軸
方向に延在する通路32が加工されている。
【0044】この通路32はエンドミル加工によりリン
グ溝31よりも寸法t2 だけ深く切削され、且つリング
溝31の溝幅よりも長く軸方向に延在している。そのた
め、通路32の両端に形成された円弧状部分は、リング
溝31の上下部分に開口している。よって、リング溝3
1の上部と下部とは、通路32を介して連通されてい
る。
【0045】そのため、高圧ピストン13の上動により
圧縮された気体の一部が通路32を通過してシリンダラ
イナ6cの内壁と高圧ピストン13外周との間に流入す
る。よって、ピストンリング30の上面側の圧力と下面
側との圧力とが均等化され、ピストンリング30が上下
面にかかる圧力差による変形を防止できる。
【0046】図7は高圧ピストン13に装着されたピス
トンリング25,30の構成を拡大して示す図である。
本実施例のピストンリング25,30は、弾性変形が望
めない材料、すなわちポリイミド樹脂(PI)に充填物
を混合したものやポリエーテルエーテルケトン樹脂(P
EEK)に充填物を混合したものや、カーボン等で形成
した場合、折損等が生ずる可能性が高い。また、ピスト
ンリング25,30の合口33は、両端が段付き形状に
形成されており、両端の各段付き部分が互いに噛み合う
ように形成されている。
【0047】しかしながら、これらの樹脂材は剛性が高
い反面柔軟性に乏しいため、ピストンリングがシリンダ
内壁に有効に接触せず、ガスシール性を損なうという問
題、及び強く押圧することによりピストンリングの折損
等を引き起こすといった問題がある。
【0048】そこで、本実施例では、図7(a)(b)
に示すように、円弧状に形成された複数のピストンリン
グ片34を組み合わせてピストンリング25,30を構
成することにより、一対のピストンリング片34の両端
部には合口35、36が形成されている。この合口3
5、36も各端部が段付き形状に形成されている。
【0049】ピストンリング25,30が受ける磨耗の
結果、一方の合口35が広がって他方の合口36が閉じ
た当接状態となるため、このままでは磨耗が促進される
おそれがある。しかしながら、円弧状のはり板37を一
対のピストンリング片34の内周に接着により結合させ
て一対のピストンリング片34を一体化させることによ
り合口35、36の間隔が均等になるようにする。これ
により、ピストンリング片34の磨耗促進を防止し、ピ
ストンリング片34の折損も防止できる。
【0050】また、図7(c)に示すように、はり板3
7は両端がピン38によりピストンリング片34の内壁
に固着されている。これにより、一対のピストンリング
片34がはり板37を介して一体化され、合口35、3
6の間隔を均等にする。また、図7(d)(e)に示す
ように、はり板37に両端近傍に外側に突出する切り起
こし37aが設けられている。この切り起こし37aが
ピストンリング片34の内周に食い込んで一対のピスト
ンリング片34を一体化させる。これにより、一対のピ
ストンリング片34の合口35、36の間隔が均等にな
る。
【0051】図8及び図9はピストンリング25,30
の材質強度を示すグラフである。図8では、(イ)がポ
リイミド樹脂(PI)に充填物を混合した材質の場合の
磨耗量の変化であり、(ロ)がポリエーテルエーテルケ
トン樹脂(PEEK)に充填物を混合した材質の場合の
磨耗量の変化であり、(ハ)が従来使用されていた所謂
テフロンと呼ばれている4フッ化エチレン樹脂に充填物
を混合した材質の場合の磨耗量の変化である。これよ
り、(イ)(ロ)の耐磨耗性が高いことが分かる。
【0052】図9では、(イ)がポリイミド樹脂(P
I)に充填物を混合した材質の場合の荷重に対する変形
率の変化であり、(ロ)がポリエーテルエーテルケトン
樹脂(PEEK)に充填物を混合した材質の場合の荷重
に対する変形率の変化であり、(ハ)が従来使用されて
いた4フッ化エチレン樹脂に充填物を混合した材質の場
合の荷重に対する変形率の変化である。尚、図9におい
て、×印が折損した荷重を示している。これより、
(ハ)は塑性変形域に即座に移行して折損の傾向がみら
れないのに対し、(イ)(ロ)は早期に折損に移行して
いることが分かる。
【0053】図10はピストンリング25,30の変形
例を示す横断面図である。図10(a)に示すように、
一対のピストンリング片34の外周には、4フッ化エチ
レン樹脂により形成された柔軟層40が被覆形成されて
いる。この場合、柔軟層40はシリンダライナ6cを摺
動することにより初期磨耗を促して、高圧ピストン13
の摺動動作を円滑にする。
【0054】図10(b)に示すように、ピストンリン
グ25,30の外周には、微細な凹凸部により形成され
たなじみ層41が設けられている。このなじみ層41
は、例えばツールマークと呼ばれる微細加工旋盤等の加
工痕により形成することができる。この場合、局所面圧
の付与により微視的塑性変形が誘発されてなじみ層41
が形成される。そして、高圧ピストン13はこのなじみ
層41の作用により円滑に摺動することができる。
【0055】図10(c)に示すように、4フッ化エチ
レン樹脂により形成された柔軟層40の表面に微細な凹
凸部あるいは微細加工旋盤等の加工痕よりなるなじみ層
41を形成して良い。そして、高圧ピストン13は柔軟
層40の表面に形成されたなじみ層41の作用により円
滑に摺動することができる。
【0056】尚、上記実施例では、2段のピストンが直
列に連結された無給油式2段圧縮機を一例として挙げた
が、これに限らず、此れ以外の構成の圧縮機にも適用で
きるのは勿論である。
【0057】
【発明の効果】上述の如く、上記請求項1によれば、第
2のピストン・シリンダ機構のピストンの外周溝に装着
されたピストンリングが、複数のピストンリング片を突
き合わせて環状に形成されたため、ピストンリングの磨
耗による圧縮性能の低下を防止すると共に、耐久性の向
上を図ることができる。さらに、ピストンリングの磨耗
に伴うセンタリング機能の低下、及びピストンリングの
がたつきによりピストンリングの磨耗と折損の促進を防
止する。
【0058】また、上記請求項2によれば、ピストンが
摺動する摺動面に微細な凹凸部分を形成したため、上記
請求項1と同様な効果が得られると共に、ピストンが摺
動するシリンダの摺動面にピストンの摺動抵抗を軽減す
るための柔軟層を形成することができる。これにより、
ピストンを円滑に摺動させることができる。
【0059】また、請求項3によれば、ピストンリング
が装着されるピストンの外周に周方向と交差する方向に
延在する連通路を有するため、ピストンの上動により圧
縮された気体の一部が連通路を通過してライダリングの
上面側の圧力と下面側との圧力とが均等化され、ライダ
リングが上下面にかかる圧力差による変形を防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる往復動圧縮機の一実施例の縦断面
図である。
【図2】高圧ピストンを拡大して示す縦断面図である。
【図3】高圧ピストンの外観を拡大して示す側面図であ
る。
【図4】高圧ピストンに装着されたライダリングの変形
例を拡大して示す斜視図である。
【図5】高圧ピストンに装着されたライダリングの別の
変形例を拡大して示す図である。
【図6】ライダリングを使用しない高圧ピストンの構成
を拡大して示す図である。
【図7】高圧ピストンに装着されたピストンリングの構
成を拡大して示す図である。
【図8】ピストンリングの材質に応じた磨耗量の変化を
示すグラフである。
【図9】ピストンリングの材質に応じた変形及び折損を
示すグラフである。
【図10】ピストンリングの変形例を示す横断面図であ
る。
【符号の説明】
1 往復動圧縮機 2 第1のピストン・シリンダ機構 3 第2のピストン・シリンダ機構 4 クランクケース 5 低圧シリンダ 6 高圧シリンダ 7 クランクシャフト 11 低圧ピストン 13 高圧ピストン 17 吸込弁 18 吐出弁 20 吸込弁 22 ボルト 23 ボルト挿通孔 24 ライダリング 24a 微細溝 25,30 ピストンリング 26 スパイラル溝 27 螺旋リング溝 28 帯状ライダリング 29 螺旋状通路 31 リング溝 32 通路 34 ピストンリング片 37 はり板 40 柔軟層 41 なじみ層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸引した気体を圧縮する第1のピストン
    ・シリンダ機構と、第1のピストン・シリンダ機構によ
    り圧縮された気体を圧縮する第2のピストン・シリンダ
    機構とを有する往復動圧縮機において、 前記第2のピストン・シリンダ機構のピストンの外周溝
    に装着されたピストンリングは、複数のピストンリング
    片を突き合わせて環状に形成され、且つ前記ピストンリ
    ング片の突き合わせ部分が段付き形状に形成されたこと
    を特徴とする往復動圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記第2のピストン・シリンダ機構のシ
    リンダは、前記ピストンが摺動する摺動面に微細な凹凸
    部分を形成したことを特徴とする請求項1記載の往復動
    圧縮機。
  3. 【請求項3】 吸引した気体を圧縮する第1のピストン
    ・シリンダ機構と、第1のピストン・シリンダ機構によ
    り圧縮された気体を圧縮する第2のピストン・シリンダ
    機構とを有する往復動圧縮機において、 前記第2のピストン・シリンダ機構のピストンは、前記
    ピストンリングが装着されるピストンの外周に周方向と
    交差する方向に延在する連通路を有することを特徴とす
    る往復動圧縮機。
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